ファッションビジネス

2018年2月 8日 (木)

BFGU“ファッションとAI”―人間性とデジタルの共生

 第10回目を迎えたBFGU(文化ファッション大学院大学)ファッションウィークで、1月30日、シンポジウムが開催されました。テーマは「“ファッションとAI(人工知能)”―人間性とデジタルの共生」です。
Img_56281jpg  パネリストは、日本アイ・ビー・エム シニアマネージングコンサルタント GBS 事業本部 コグニティブ推進室の岡田明氏、YUIMA NAKAZATOブランドを手がけるデザイナーでアーティストの中里唯馬氏、文化ファッション大学院大学 ファッションクリエイション専攻 教授の吉田康成氏で、モデレーターとして日本放送協会 情報システム局 副部長小川徹氏が参加しました。

 口火を切ったのは、ファッションをライフワークとしているという小川氏です。最近のテクノロジーの変化に着目し、これまではワーキング・ウイズ・マシーンだったのが、これからはメイキング・ウイズ・マシーンとなり、ファッションの世界に一気にAIが入ってくるといいます。AIと人間がコラボしてアートを創る時代が来ているとし、とくに「AIとクリエイティブ」に絞って語り合いたいと提案しました。

 最新のテクノロジーとクラフトマンシップの融合で注目のデザイナー、中里氏は、終了したばかりの今春夏パリ・オートクチュールコレクションの新作について、次のように語りました。
 それは縫製がほとんどされていない、パズルのような組み立て式の服で、小さいパーツを組み合わせ、つなぎ合わせて仕立てられています。縫製しないメリットは、瞬時に組み換えが利く、サイズや形の変更はパーツの交換で可能、キモノのように一部調整するだけで代々着用できることなど。パーツは一つひとつ形が異なっていて、着る人独自の番号がふってあり、もしも壊れたらその部分だけ取り替えて修理できるそう。
 今シーズンは「宇宙」がテーマで、宇宙空間で長く着続けられる一着をJAXAとコラボレーションしてつくったといいます。首都高で使われなくなった横断幕をカットするなど、リサイクル素材も使用したとか。
 また服づくりの工程がすべて詰まっている移動式テーブルを発明。この机一つあればパターン作成・裁断などの作業が、AIの機能により自動的に最適化される仕組みで、データ入力などカスタマイズの時短につながるそうです。
 オートクチュールの民主化に向けて、いよいよ動き出したといった感じですね。

 岡田氏は、AIの進化について、IBMのAIワトソンとトミー・フィルフィガーとのコラボなどから、ある程度のクリエイティビティのパターン化はできるようになってきたといいます。しかしデザイナーの心中、思いまではコピーできないとも。
 提示はできても、決めるのはやはり人間といいます。

 吉田氏は、教育者としての立場から、AIの役割は、学生の創造力を引き出す手助けをするカウンセラー、といいます。AIと対話することで、先入観が壊れ、思いがけない気づきが与えられる、そこから新しいアイディアが生まれることを期待しているなどと語りました。

 これを受けて中里氏は、AIが出す最適解が果たして正解なのか、必ずしもそうとは限らないのではないか、といいます。確かに非合理的なものの方がよいということもあります。最適解を見つけるためにAIを利用してもよいとは思うけれど、デザイナーはその先をつくっていかないといけない。だからAIは現状、デザイナーのクリエーションのサポート役にはなれない、と。
 とはいえ、最後にAIの使い方について、次のように話したことが印象的でした。
 ―オートクチュールは客との対話が大事です。たくさんの人とコミュニケーションして、その人に合う一点ものを届けたいと思っているのに、それができない。だからデザイナーの代わりにAIがより多くの顧客とコミュニケーションしてくれるようになるといいと思うのです。―

 ファッションという人間の感性が問われる分野で、AIがどれだけ関われるのか、その可能性を探る、大変興味深いシンポジウムでした。

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2018年2月 2日 (金)

シンポジウム「FBの未来に欠かせないエシカル精神とは」

 最近、SDGs(エスディージーズ Sustainable Development Goals)という言葉を耳にするようになりました。これは国連で2015年に取り上げられた持続可能な開発目標です。これを踏まえて、ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション(略称WEF)主催のシンポジウムが、昨年12月12日、東京・青山で開催されました。
Img_52272jpg  主題は「FBの未来に欠かせないエシカル精神とは-サステイナビリティ志向の思いやりと透明性-」です。関心の高いトピックであるだけに、会場は満席で、熱気がこもっていました。 

 冒頭、WEF会長の尾原蓉子氏が、「消費者意識が変化し、テクノロジーの進展とともに流通・販売も変容、企業の社会的役割も変換し、社会的責任を果たすことが要請されるようになってきました。本シンポジウムがこの問題の解決につながることを期待しています」と挨拶。

 第一部基調講演では、3人の講師が登壇。まず慶應義塾大学大学院教授 蟹江憲史氏が、「SDGsが地球と人間にもたらす変革」をテーマに講演しました。
 SDGsについて、国連で全ての国、米国や北朝鮮も含む国々が合意した文書で、企業の良心に基づく行動への要請であり、法的義務はないこと。貧困や格差をなくし、地球温暖化を食い止めることなど17の分野で、2030年までの達成を目指す行動指針が採択されていることなどを説明。
 その背景やプロセス、様々なアプローチを実例とともに語られました。これによると日本は北欧などに比べると遅れているようです。とはいえ一部で推進の動きがあると、地方創生に向けた自治体SDGsの取り組み、例えば北海道下川町のバイオマス産業都市や沖縄の読谷村、また先進的な企業の例も紹介。ただしまだ本質に迫るところは希少なので、今後は本質に則った事例をつくることが課題といいます。
 このためにはSDGsの本質を社会の変革と捉え、フォアキャスティングではなく、未来から発想するバックキャスティングで行うことが重要であり、矛盾のない未来をつくることがポイントと強調しました。
 次にパタゴニア日本支社支社長 辻井隆行氏が「多様な価値観が創るこれからの社会」と題して、同社の環境ビジネスを、フェアトレード、自然環境保護、環境再生事業、カーボン・ニュートラルなどを軸に解説。リスクを認識して、先行すべきと述べ、SDGsを先にやる企業に先行者利益がある、と指摘。
 さらにオーガニックコットン事業の草分けであり、社会企業家でもあるアバンティ代表取締役社長 渡邊千惠子氏が登場。同社の理念などを語った後、とくに新鮮に思えたのが同社ブランド「プリスティン」のリサイクル、「リプリプロジェクト」のお話。これはお気に入りの一枚を、染め替えたり刺繍をしたりなどして、新たな光を当て、再び使用できるようにする事業。
 また国産綿プロジェクトに触れ、国内綿花自給率をプラスの方向へもっていくと力強く発言、風力発電による「風が作る繊維プロジェクト始動」にも言及しました。

 第二部は、ファッション・ジャーナリストでWEF理事の生駒芳子氏をコーディネーターに、上記3人とのパネルディスカッションとなりました。
 エコやエシカル、サステイナビリティはビジネスを停滞させるのではないか、という質問に、これは逆にビジネスの強力なストーリーになると主張。三者三様に、「先にやる方がお得」、「エシカルはもうカル」などと力説しました。

 最後にファッション業界へのメッセージとして、SDGs はビジネスのリスクではなく、「リスト」であると断言。「2030年にどのようなビジネスが成立しているか、想像力を駆使してみて。未来はもう決まっている」との締めくくりのフレーズが印象的でした。

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2017年12月21日 (木)

ミラノのファッション合同展「ホワイト」 東京初のイベント

 ミラノのファッション合同展「ホワイト(WHITE)」が、今月5日、イタリア大使館貿易促進部主催により、東京・南青山のスパイラルホールでその活動を紹介する初めてのイベントを実施しました。
 冒頭、ジョルジョ・スタラーチェ駐日イタリア大使や同展を主催するエム・セブンティグループCEOらの挨拶があり、この後、フロアショーが行われました。
Img_49391  
Img_49341jpg  ショーに参加したのは、次の有力4ブランドです。「アイム・イソラ・マラス(I’m Isola Marras)」、「フェデリカ・トージ (Federica Tosi)」、「モイ・ムルティプル (Moi Multiple)」(写真右)、「ステファノ・モルターリ(Stefano Mortari)」。

 同展は、2000年にスタートし、現在ミラノで年4回、ミラノファッションウィークの会期に合わせて開催されているとのことで、実績あるブランドから実験的レベルのものまで、500以上のブランドが出展しています。来場者は4日間で平均25,000人を超え、直近の9月展では過去最多の26,000人を集めたといいます。
 とくに若手デザイナーのデビューでも知られていて、「ユマ・ワン」や「ステラ・ジーン」といったデザイナーブランドは、本展参加を機に成功への階段を昇っていったそうです。
 現在、世界を巡回するプロモーションイベントを展開中で、アジアでは、この10月に「ホワイト上海」を初開催し、2,000人が来場したといいます。
 次回はミラノで「ホワイト・マン&ウーマン」が1月13日~15日に、続いて「ホワイト・ミラノ」が2月23日~26日という日程です。多くの日本ブランドの出展が期待されています。

 

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2017年12月 1日 (金)

「未来の購買体験」を演出するITサービスのスタイラー

 先般の「ファッションワールド東京2017 秋」展で行われた特別講演会で、ITサービスに関するお話しに興味を惹かれ、参加しました。講師はスタイラー(株)CEO小関 翼氏です。Img_31541_2 「ユーザー体験から未来の購買体験を考えよう!~海外の先端事例から探るファッションITサービス動向~」をテーマに、ファッション×テクノロジーの未来を語りました。
 元々金融マンだったという小関 翼氏は、アマゾンに入社し、アマゾンにも苦手な分野があることに気づき、スタイラー(Styler)を立ち上げたといいます。アマゾンはEC業界の中でもっともユーザー中心の企業で、安価で品揃え豊富、便利に購入でき、コモディティ商品に強い。しかし人間はそれほど合理的ではないし、そうではない特別な価値を求めていたりもします。とくにファッション商品は情緒的価値が重要で、答えは一つではないといいます。同氏はそうしたニーズをとらえて、コミュニケーション型コマースを開発し、「未来の購買体験」を演出するサービスを提供しているのです。
 たとえば同社の「フェイシー(FACY)」というアプリには、ユーザーのニーズがリアルタイムで流れています。「オフィスに着ていけるキレイ目のトップスを探しています」などと情報を書き込むと、様々なショップからおすすめの服が提案されます。ユーザーはそれらの中から好きなものを選んでネットで購入、あるいは実際の店舗に行って買うこともできます。
 グーグルなど検索サイトでは、ユーザーは知っているアイテムしか購入できませんが、これでしたら思いがけない商品に出会えます。ショップの方も、新規顧客を店舗へ誘導できるとあって導入が進んでいるといいます。
 このサービスは、ユーザーとショップをつなぐだけでなく、モノづくりにも生かせそうです。ユーザーの書き込みを基に、ニーズを分析して的確な企画を立てることが可能になってくるからです。
 ファッション業界の構造が、またしても変わってきそうです。

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2017年11月30日 (木)

デサントが語る「スポーツ×ファッションの可能性」

 先月10月11~13日開催された「ファッションワールド東京2017 秋」展で、業界活性化&若手応援のための特別講演会が行われました。
 その一つが、「スポーツ×ファッションの可能性」と題した講演です。登壇したのはデサントジャパン取締役 常務執行役員 第1部門(アスレチック&アウトドアブランド)長 小川 典利大氏で、この4月に現職に就任され、20年間ずっと身も心もスポーツ中心に歩んでこられたといいます。そして今、何よりも思うことは、スポーツ事業を世界レベルに引き上げること、そのために業界の枠を超えて多くの方々と協働したいと挨拶。スポーツとファッションの未来には、どのような可能性が広がるのか、デサントの展望を交えて語られました。

 まず取り上げたのは、スポーツマーケットの魅力です。今やスポーツはライフスタイルの一部となりましたが、そのきっかけとなったのは2002年のサッカー日韓だったと振り返ります。当時はベッカムスタイルなども登場し、スポーツ量販店が拡大、セレクトショップではジャージ、つまりトラックトップが大々的に展開されるようになり、ランニング人気もあってスニーカーブームが起こり、スポーツシーンが一般化していったといいます。
 世界的なスポーツイベントの影響はかくも大きく、これからも2018年パンパシフィック水泳選手権、2019年ラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピック・パラリンピックと目白押しです。健康・美容面から自己を鍛えるトレーニング人口も増加するなど、スポーツカルチャーの一大ブームも予想され、過去最大のチャンス到来とあって、需要の大幅アップは間違いないと断じました。
 次にファッションとの関わりです。スポーツとファッションの境目が曖昧になり、両者は同じ土俵で一つになり、融合すると指摘します。但しファッションブランドが流行り廃りのあるデザインからスタートするのに対して、スポーツブランドは機能から入ると、違いも強調しました。デサントはトップアスリートと共同開発を進めています。当然ですが機能が生み出す美やデザイン性を重視し、機能をファッショナブルにするスポーツモードを目指しているといいます。
 さらに今後の方向について、とくに来年10周年を迎えるオルテラインのImg_48451 「水沢ダウン」(写真右 デサントショップ東京)に触れ、このようなシンプルで高機能にこだわったスポーツウェアが、少しずつ市民権を得られるように努力していくと述べました。水沢ダウンは、同社岩手県水沢工場でのみ生産される高品質なハイテクダウンジャケットです。ステッチが無く、水を通さないので雨や雪の日にも着用できる画期的な製品で、ショップに出すとすぐに売り切れる「知る人ぞ知る」のジャケットです。
 最後にスポーツファッションの可能性はますます大きいとしながらも、ポイントは世の中の動きに流されない独創性にあるときっぱり。機能にイノベーションを推進しながら、「ブランドらしさ」をつくっていく、このためには「変えない勇気」も必須要素と直言しました。
 示唆に富んだ提言あふれる講演でした。

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2017年10月28日 (土)

JFW-IFF MAGICセミナー デジタル化が与えるインパクト

  JFW-IFF MAGIC 9月展のセミナーで、カート・サーモン マネジング・ディレクターの河合 拓氏が登壇しました。Img_28041jpg テーマは「アパレル業界の課題と近未来 ~デジタル化が与えるインパクト~」です。数多くの企業の立て直しを手がけてきた経営コンサルタントが、アパレル業界の現状を俯瞰し、その課題や論点を語りました。

 まず、なぜ今デジタルなのか。これには流通小売業の人手不足があるといいます。2025年には200万人も不足するというのです。しかしそれを補うのがITで、無人レジやRFIDの導入などで解決できるといいます。
 次にアパレル業界の課題と論点です。アパレル市場はこの20年で3分の2(金額ベース)に減少しました。購入の仕方も変化し、百貨店売上が凋落、ECマーケットへシフトしています。
 今後、百貨店向けアパレルはますます苦しくなり、専門店SCは飲食や雑貨など異業種連携によるクロスインダストリービジネスへ、激安アパレルはIT化と国際化がさらに進むとみられています。
 こうしたなかで、経営を圧迫しているのは家賃、人件費、それに余剰在庫であるといいます。とくに大きな問題はつくり過ぎによる供給過多で、この余剰在庫の適正化には、MD領域にフォーカスした改革が必要。このためAI 技術の活用が求められるといいます。
 さらにデジタル化のインパクトとして挙げたのが、ユニクロのパーソナルオーダーを始めとする受注生産型モデルです。受注生産と計画生産のハイブリッドにより、さらなる在庫極小化へ向かうといいます。
 最後に第4次産業革命で、国をまたいで海外と組むことがますます重要になってくるとのこと。
 一企業ではなかなかできないことばかり。
 激変するアパレルビジネス、難しい問題が山積みのようです。

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2017年10月27日 (金)

JFW-IFF MAGICセミナー 高級ブランド導入成功の軌跡

 先般開催のJFW-IFF MAGICセミナーで、世界を相手にビジネスを拡大してきた商社、八木通商の代表取締役社長、八木雄三氏が登壇されました。Img_27951 モンクレールやマッキントッシュ、ファリエロ・サルティなど数多くの高級ブランドを導入し、成功を収めているカリスマ経営者です。「どの様にブランドビジネスをグローバル市場で成功に導くか」をテーマに、世界のファッション市場における変化にチャレンジし、それをいかにしてチャンスに変えてきたのか、その軌跡が語られました。

 同社は昨年創立70周年を迎えたといいます。発足以来、繊維輸出を手がけ、世界に拡大しようとしていた矢先の1971年、ドルショックが起こりました。しかしこれが大きな転機となったと、八木氏は振り返ります。当時まだ29歳だったとか。ラグジュアリーな高級ブランド品の輸入に徹するようになり、幸運にも利益を出せるようになっていったといいます。
 その後市場はドレッシーからカジュアルへ変化していきます。仕入れ先もそれまでの高級ニットやドレスから切り替え、バッグや靴といったアクセサリー分野を強化していったそうです。こうした洞察力と対応の早さも成長の要因だったといえそうですね。
 今や押しも押されもしないグローバル企業となり、その戦略に変わりはないようです。これはいいと思うブランドがあれば買収し、欧米やアジアなど世界に出店して販売していく方向と抱負を述べられました。

 次に同社が扱うブランドビジネスの中で、モンクレールとマッキントッシュを挙げて、そのサクセスストーリーを紹介しました。
 モンクレールは、元はフランスのグルノーブルのスキーウェアメーカーだったそうです。1995年にイタリアのメーカーにより買収されましたが、八木氏がこのブランドと巡り合って、独占輸入するようになったのは、1996年だったとか。しかしモンクレールはその後倒産し、再度買収、倒産が繰り返され、2008年に今度はアメリカの投資会社により買収されました。不安定な仕入先で大丈夫かと心配もしたそうですが、しかし世界最高級のダウンをつくろうというモンクレールの姿勢は変わらなかったといいます。プレミアムダウンという原料しか購入しないモンクレールを、同氏は、ダイヤモンドの原石のように思ったそうです。そして2009年に現モンクレールCEO、レモ・ルッフィーニ氏と合弁でモンクレール・ジャパンを設立しました。軽量でスリムなダウンウェアのアイディアがヒットし、青山や銀座に旗艦店をオープン。今や堂々のドル箱ブランドです。

 マッキントッシュは、スコットランドの伝説的ブランドで、当初は売りにくいとためらったそうです。しかしゴム引きクロスの明快なオリジナリティに動かされ、英国大使館を通じて契約の話もあり、2007年に子会社化したといいます。輸入品は順調で、また三陽商会とライセンス契約して誕生した「マッキントッシュ フィロソフィ」も好調に推移しているそう。「マッキントッシュ ロンドン」はあと少し時間がかかるが成功させるとのこと。

 「これからもブランドを発掘し、磨いていく。オリジナルのスタイルがあって、感性に優れているかどうか。相手の資質を見極めることが何よりも大事」という八木社長。その素晴らしいカンと目利きぶりに改めて感動しました。

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2017年10月23日 (月)

JFW-IFF MAGICセミナー インディテックス(ZARA)は今

 先般開催されたJFW-IFF MAGICセミナーで、もう一つ興味深く拝聴したのが、ディマンドワークス代表の斎藤孝浩氏のご講演でした。Img_27881jpg 同氏が2014年に出版した「ユニクロ対ZARA」はベストセラーとなりました。(このブログ2015.2.23付け参照) その後もZARAを持つインディテックス社は拡大を続けています。同氏は本セミナーで「グローバル市場で独り勝ちしている、世界一のアパレルチェーン、インディテックス(ZARA)は今どんなことに取組んでいるのか」をテーマに、インディテックス社の変化のポイントを3つ挙げて解説されました。

 一つは、ハイブリッド型生産ポートフォリオです。
 ZARA全体で65%を占めるトレンド商品は、これまでスペイン、ポルトガルで生産し、多くの工程を内製化してきました。しかしここ2年で近隣国のトルコやモロッコの工場にまで広がったといいます。もちろん完成品を重視して適量を生産しているそうです。残り35%のベーシック商品は、中国やインドなどアジアの生産基地でつくられていて、トレンドとべーシック商品を上手に使い分けているといいます。また商品企画は店頭を起点に高速でサンプルを作成。近隣国でスピード生産したものは、チャーター便の空輸を活用し、同社スペインの物流拠点であるサラゴザに集められ、仕上げ・検品は自社で行っているそうです。
 二つ目は、オムニチャネル戦略です。
 実店舗とオンラインの連携などIT化を進めていて、モバイル決済アプリの“InWallet”を自社開発し導入。店頭での商品ピックアップ、クリック&コレクトの比率は66%といいます。来店頻度が高まり、購買促進につながっているそうで、2016年には店頭売り上げが10%上昇したとか。またRFIDを全店舗に採用し、在庫管理を適切に行えるようにしたり、インターラクティブなフィッティングルーム内でのコーデ提案をしたり、顧客がより良い体験ができるように図っているとのこと。
 三つ目は、サステイナブル経営です。
 2002年に早くもサステイナブルレポートをスタートさせたというインディテックス。サステイナブル活動には積極的で、2016年1月にスタートした国連のSDG’s(サステイナブル・ディベロップメント・ゴール)と連動した経営を行っているといいます。SDG’sは国連加盟国が 2030年までに理想の世界をつくるための合意です。17の開発目標があり、ZARA はその全てに取組んでいく方針で、7つの優先事項を取り上げてアニュアルレポートを発表していくといいます。

 斎藤氏は、常に先手を打つインディテックス社に、余裕のようなものを感じているそうです。「ZARAをウオッチすることで、日本の未来の流通革新が見えてくる」の言葉が印象的でした。

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2017年10月22日 (日)

JFW-IFF MAGICセミナー 日本ブランドが勝ち残るには

 先般のJFW-IFF MAGICで行われたセミナーで、ファッションデザイナーの田山淳朗氏が登壇。質問に応えるという形式で対談されました。Img_27811 田山氏と言えば、海外市場に挑戦し、中国でも事業を広げています。また数々のファッションデザインコンテストでは審査委員長も務めている日本有数のデザイナーです。「2010年代のファッションと2020年代のファッションの展望」という興味深いタイトルもあって、会場には田山ファンが大勢駆けつけました。
 まず海外ビジネスで成功するヒントから。そのポイントは現地の人と一緒に現地生産することだそうです。日本のようなオケージョンやモチベーション需要はありませんし、日本での思い込みは通用しないといいます。中国では赤が好まれるといわれますが、実はそうではなくて、逆にシックさが好まれ、モード志向であるそうです。サイズも背丈や裄丈が日本とは異なっていて、日本でつくったものをそのまま持ってきても売れないといいます。
 次に2010年代のファッションについてです。勢いのあったファストファッションは定着し落ち着いてきたと語ります。早い、安いが売りだったファストも、工賃上昇でサステイナブルな高額商品をつくり始めていて、アセアンに移行した生産基地もいずれはなくなるとみているようです。
 ネットも進化し、ショーで見た商品をすぐに買う「シーナウ・バイナウ」の動きは今後ますます拡大。またクリエーションやモード発信も、AIの登場などで大きく変化してくるといいます。
 最後に2020年代に向けて。心構えとして、自己のアイデンティティがますます求められるようになってくるといいます。日本人デザイナーは所属ブランドや企業への帰属性が強過ぎるのが欠点だそう。もっと自分らしい個性を発揮して「つくりたい服をつくる」ことが大切、と説きます。翻って外国人デザイナーは自身が考えた服がつくれればよいのであって、つくることができればどこでもよいと考えます。だから帰属意識は薄い。その代わりアピール力は強いといいます。

 日本のファッションデザイナーやブランドが今後、世界市場で勝ち残っていくためのポイント、さらに2020年代のクリエーションや製造、売り方、流通について言及もあり、さすがに奥が深いです。海外展開を考えるデザイナーブランドには、とくに参考になるお話しだったのではないでしょうか。

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2017年10月21日 (土)

JFW-IFF MAGICセミナー サステイナブルへの変革目指す

 先月9月26日から28日まで東京ビッグサイトで開催されたファッションイベント「IFF MAGIC Japan」では、今回も業界をけん引する企業やオピニオンリーダーらによるセミナーが多数行われました。
Img_27781jpg_2  その一つが、ファーストリテイリングのサステイナビリティ活動に関するお話でした。ファーストリテイリングは、言わずと知れたユニクロやジーユーを持つグローバル企業です。登壇したのは、ファーストリテイリングのサステイナビリティ担当グループ執行役員新田 幸弘氏で、「サステイナブルなビジネスへの変革を目指して」をテーマに、同社の方針や活動の軌跡を語られました。

 同社サステイナブル活動の始まりは2001年に設置した「社会貢献室」です。最初に瀬戸内の自然を守る活動「瀬戸内オリーブ基金」を立ち上げ、次いで売れ筋フリースのリサイクルを開始します。2005年には社会貢献室を「CSR部」に改称し、2006年から全商品リサイクルへ拡大させていきます。難民キャンプへ古着を寄贈することになったのもこの頃からで、2011年初頭に、UNCHR(国連難民支援高等弁務官事務所)とパートナーシップを締結。この後起きた東日本大震災では、115万点の衣料品と14億円を寄付したそうです。
 しかし寄付だけではなく、別の形で支援はできないかと考えたのが、2010年にスタートしたバングラデシュでのソーシャルビジネスだったといいます。ノーベル平和賞受賞の経済学者ムハマド・ユヌス氏によるグラミン銀行と組んで、「グラミン・ユニクロ」を設立し、貧困層への融資や職業訓練などに取り組むようになります。
 こうした中、2013年にバングラデシュのダッカでラナ・プラザ崩壊という悲惨な事故が発生しました。大手同様、ファーストリテイリングも批判の対象となり、再発事故防止に向けて、動き出します。しかし2015年、国際人権NGOの調査報告書で下請け工場での過酷な工場労働問題が糾弾され、デモ騒動へ発展してしまいます。改善に向けた取り組みを本格的に進めるため、2016年にCSR部を「サステイナビリティ部」に改編。世界第3位の小売業にふさわしい持続可能性の強化に乗り出すことになったのです。
 本セミナーで新田氏は、人権や労働環境を守ることは当たり前のこと、このことなくしてユニクロの未来はないとも断言されました。サプライチェーンのトレーサビリティ(追跡可能性)を高めるため、この春からほぼ全ての取引先縫製工場の情報を開示し、ジーユーの工場も今年中に開示するとのことです。
 最後にサステイナビリティは、全社を上げての事業目標であると述べられ、2020年までに達成できるよう、ロードマップをつくっているといいます。サプライチェーン、商品、店舗とコミュニティ、従業員の4つの領域で推進していく方向で、たとえばサプライチェーンでは、人権・労働問題や環境配慮、廃棄物の利用、商品ではサステイナブルな素材の選択、動物愛護、安全性や耐久性、店舗とコミュニティでは、個店の地域社会への貢献や難民支援、従業員では倫理的行動や多様性、ワークライフバランス、キャリア開発促進などというように、世界をより良い方向へ変えていくと強調しました。
 グローバル企業として、社会的責任の大きさを痛感しているファーストリテイリング。今後の活動が注目されます。

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