ファッションビジネス

2024年6月17日 (月)

堀田 覚氏 講演「ファッションとテクノロジーの現在地」

 ファッションビジネス学会東日本支部がこの5月25日、開催した総会後講演会に、先進的なマーケティングの取り組みを続ける株式会社パルの取締役 専務執行役員 プロモーション推進部部長(WEB事業推進室室長、コミュニケーションデザイン室室長)堀田 覚氏が登壇。「ファッションとテクノロジーの現在地~パルグループの戦略~」をテーマに講演されました。

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 冒頭、右肩上がりで売り上げ利益拡大中と自社紹介。アパレル売上高は、ファーストリテイリング、しまむら、アダストリアなどに続く5~6番目の規模、リアル店舗数は900で年内に1,000店を超える見込み。EC化率は2015年4%でしたが、今やその10倍近くに急伸。2030年には売上目標3,000億の内、ECで1,000億にするといいます。

激変するファッション業界の現状
 第4次産業革命の時代に突入し、様々な数値がデータ化され、それをAIが学習して新たな提案を行うようになりました。ほぼすべてがスマホでインターネットと常につながっている現代、ファッション業界も大きな変化を迎えています。

 かつて、ファッションは個性を重視するものでしたが、2014年に登場した「ノームコア」(究極の普通)が逆に個性的とされる時代となりました。所有よりも使用や体験が重視される感性の変化もあり、何を着るかよりもどう着るか、ブランド品よりも普通のものをかっこよく着こなすことが評価されるようになっています。例えば、ユニクロをおしゃれに着こなす方が高く評価されることもあります。

 トレンド消費から友だち消費・イベント消費への流れが強まっており、提供者としては、モノを手に入れた後の使用イメージを伝えること(「あなたの人生・生活にどう具体的に関わるのか」)が接客技術としてますます重要になっています。

 デザインとクリエーションの世界も変化しています。全員がクリエイターとなる時代が到来し、販売においてはユーザー主体の感覚とユーザーとのコミュニケーションが不可欠です。かつて分業で成り立っていたクリエイター職は、テクノロジーの進化により個人で全て完結できるようになっています。D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)モデルやユーチューバー、インスタグラマー、TikTokerの台頭がその一例です。

 アウトプットされた作品の上手さよりも、クリエイター個人の個性や信念が重要視されており、分業で作られたものには共感しづらくなっています。ものづくりの方法も変化し、データを活用して個人に合わせたパーソナルオーダーが拡大しています。

 店舗も変わっています。消費者にとっての便利さでは、24時間365日購入できるECサイトが実店舗よりも優位です。事業の効率性においてもECが優れています。しかし、五感で感じられる体験やワクワクする出会いは、実店舗がECに勝る部分です。実店舗では、AIがまだ到達できない五感をフルに活用したコンサルティング接客が重要で、接客技術の高い人の価値が高まっています。

オムニチャネルは、オンラインとオフラインを融合させた新たなサービス提供を目指すOMO(Online Merges with Offline)へと進化しています。ECも伸ばさないと顧客接点が減り、実店舗も厳しくなるため、ECと実店舗はともに成長させる必要があります。パルの現状では、顧客の実店舗とECサイト「PALCLOSET」の相互利用者は、片方のみの利用者と比べて約4倍の購入実績があるといいます。

 このように、激変するファッション業界において、データとAIの活用、SNSを通じた新たなプロモーション、個人の創意工夫がますます重要になっています。

パルグループの戦略
 パルグループの戦略は、スタッフのSNS活用、データの活用、個人の創意工夫を重視しています。パルのSNS戦略は特に強力で、SNS投稿を行うスタッフは約1,800名で、全社員の3~4割に当たります。1万人以上のフォロワーを持つスタッフは約250名、全スタッフの総フォロワー数は約1600万人に達し、日本のファッション業界でNo.1と自負しています。

 かつてのプロモーションはマスメディアや口コミに依存しており、一方通行でした。しかし、現在のプロモーションはSNSを通じて双方向のやり取りが可能になり、細分化された口コミ情報が循環する構造となっています。パルは、自社発信の重要性を強調し、スマホシフトによるSNSの普及やスマホでの情報摂取が能動型から受動型に変化している点を捉えています。人々が共感を通じて情報を受け取ることで、スタッフの生産性を向上させ、給与を上げるとともに、デジタルでの活躍を高く評価しています。

 パルのオムニチャネル戦略はSNSを中心に据えており、新規顧客のデータを収集し、パーソナライズされた心地よい情報発信を行うことを目指しています。エンゲージメント率が重要な指標であり、個人対個人のエンゲージメントが特に高くなることを重視しています。反応がAIのデータの元となるため、反応を引き出すことが成功の鍵となります。

 生成AIと識別AIの活用も進めており、チャットGPTなどのAIチャットサービスが次々と登場しています。しかし、現状では人とAIとのコミュニケーションにおいて、AIは質問に応えるだけにとどまっています。今後は、機械的なAIから一歩進み、人間のようなコミュニケーションができる「もう一人の私」となるAIを目指しています。

 パルは、AIフェイスチェンジやAI骨格診断などのデジタルメイトサービスを提供し、簡単に自分の顔や骨格を理解できるようにしています。

 今後の目標は、お客様とスタッフがより密接に結びつき、「令和の商店街」のような個人商店の集まりを作り上げることです。

 最後に、ありのままの自分を楽しむことを支援し、コンプレックスと感じている特徴や偏愛を個性として認め、多様な美や価値観を共有できる世界を目指していると語って、講演を締め括りました。

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2024年6月13日 (木)

「コットンの日」イベント ⑵ 福田 稔氏 特別講演

 今回の「コットンの日」イベントでは、昨年に続き特別講演にA.T. カーニー株式会社シニアImg_7331 パートナー 福田 稔氏が登壇、『2040年アパレルの未来 ~「成長なき世界」で創る、循環型・再生型ビジネス~』をテーマに講演しました。
 下記、その概要をまとめましたので紹介します。

1. アパレル市場の変化
  ウクライナ戦争を背景とするインフレの加速や、コロナ禍に伴う二極化の進展、人々の価値観が職場中心から個人や家族を中心とした価値観へと移り変わる中で、下記3つの変化があるといいます。
① 多く作り、新品を売る時代の終焉
 インフレの影響を除いた実質ベースでみると、コロナ前、2019年の世界アパレル市場規模は248兆円でしたが、まだ戻っていません。2027年までの予測を見ても、ほぼ0.3パーセントと横ばいで、量としてはほぼ増えていません。世界の新品アパレル市場は成長力に乏しく、新品を売る時代が終わりを迎えつつあることを示しています。これには中国とアメリカの成長率が下方修正されたことが大きく、日本は実質ベースで完全にマイナス成長に入っています。価格帯別にみると、ラグジュアリーにはまだ成長余地が存在します。
②中古市場の世界的な拡大
 新品が伸び悩む一方で、中古品市場は世界的に拡大しています。 国内でも物価高、サステナビリティ意識の高まりを背景に中古衣料品市場が成長。世界のアパレル市場規模の推移予測では2023年は約30兆を超え、2027年には50兆を超えると予測されています。2027年の新品市場は約250兆と言われていますから、市場の6分の1が中古品になると予想されています。日本でも同じような状況で、日本の中古品市場は既に4000億を超え、年10パーセント以上の成長率で伸びています。
③ウェルネス関連市場の成長
 アパレル全体が横ばいの中で、ウェルネスに関連するスポーツやアウトドアなどは大きく伸びています。背景にはコロナ禍を経た価値観の変化があります。コロナ禍の3年間、日本では幸福度が上昇し続けていますが、これは職場中心から個人や家族中心の価値観への変化があったからと推察されます。

2. アパレル業界のサステナビリティの現状と対策の状況
 アパレル業界は、環境汚染、資源の無駄遣い、人権侵害など、多くのサステナビリティ関連の問題を抱えています。国連はこれらの問題を糾弾しており、特にCO2排出が大きな影響を及ぼしています。地球温暖化は深刻な問題であり、過去50年間で地球の平均気温は急激に上昇しています。このまま対策を講じなければ、2100年には最悪のシナリオで地球の平均気温が+6.4℃上昇すると予測されています。最善のシナリオでも+1.5℃の上昇が見込まれています(国連IPCC)。
 温暖化による異常気象は各地で発生しており、グローバルなGDPにも大きな損失を与えています。しかし、現行の規制枠組みでは1.5℃以上の上昇を抑えることは難しく、さらに厳しい規制が求められています。温暖化による海面上昇は、例えば荒川の洪水リスクを増大させています。アパレル業界のCO2排出比率は全体の8%に達しており、業界全体でこの問題に取り組む必要があります。

 CO2排出量の大部分は、原料調達から縫製の工程で発生しており、生産量の増加に伴って排出量も増加しています。世界のアパレル業界では、2010年代からサステナビリティへの意識が浸透し始め、特にEUの規制強化によってその傾向が加速しています。
 EUは2022年に「EUテキスタイル戦略」を策定し、循環型へのシフトに向けた様々な規制枠組みを検討しています。先進国を中心とした大量生産・消費は、途上国に多くの社会問題を引き起こしています。特にアフリカでは、中古衣料品の露店市場が形成され、安価ではあるものの自国の繊維産業が育たないという課題が存在します。大量に運ばれた衣料品の一部はゴミとなり、スラム街などでゴミの山が形成されています。
 2023年、EUはアパレル・繊維業界が循環型に移行するためのTransition pathwayを発表しました。特にデジタルプロダクトパスポート(DPP)の義務化は市場に大きな影響を与えると予測されています。EUでは既に小売業界において環境負荷表示が始まっており、消費者からも支持を得ています。例えば、カルフールでは環境負荷表示が行われており、アパレル業界でも普及すれば大きな変革が期待されます。
 フランスでは昨年、衣服の廃棄を禁止する法律が公布され、今年から段階的に施行されています。また、2023年にはスウェーデンやオランダでも同様の法律が導入されています。フランスでは2023年1月より、リサイクル素材利用率、リサイクルの可能性、トレーサビリティ、マイクロプラスチックファイバーの含有有無を情報提供事項として義務付けています。ユニクロなどはこれに対応しています。
 また、フランスではリペアにかかる費用を補填する制度を2023年10月から導入しています。この支援の原資は生産者や輸入者に課され、拠出額は2023年から2028年までの5年間で1億5400万ユーロ(約240億円)に上ります。
 ニューヨーク州ではアパレル企業に対して環境負荷低減に向けた取り組み状況の公開を義務付ける法律の導入を検討中であり、カリフォルニア州でも同様の動きがあります。

 フランスや欧州においては、実態を伴っていないにもかかわらず環境に配慮した製品・サービスであると見せかける「グリーンウォッシュ」を規制する動きが加速しています。2022年9月、オランダ当局はH&Mに対して、コンシャスラインをグリーンウォッシュとして賠償請求し、欧州での販売停止が波紋を呼びました。他の欧州諸国でも公的機関によるグリーンウォッシュに関する調査や警告が増加しています。
 例えば、ウルトラファストファッションの英ASOS(エーソス)は、好調な業績にもかかわらずサステナビリティの観点から批判を浴び、株価は下落しました。ASOSは2030年カーボンニュートラルを宣言していますが、2022年7月にはグリーンウォッシュの疑いでイギリス当局の捜査が開始されています。欧州では「脱炭素」という言葉を安易に使うこと自体がグリーンウォッシュと見なされる可能性があり、取り組みの中身と質が問われています。
 その最たる例として、カナダのルルレモンが見せかけの環境配慮を主張しているとして、カナダの規制当局に提訴されています。サステナブル/ウエルビーイングなイメージがある企業でも、イメージと実態に矛盾があると、グリーンウォッシュと指摘されるリスクがあります。数年後には、第三者認証が必要なサステナビリティレポートの報告が企業に義務付けられる見通しです。

 日本でも経済産業省と環境省が2023年に「繊維製品の資源循環システム検討会」を設置し、現在は「産業構造審議会繊維小委員会」に引き継がれ議論が継続しています。2023年末には、繊維製品の資源循環システム構築に向けた課題と取り組みの方向性が示されました。今年、繊維製品における環境配慮設計を促進するために「環境配慮設計ガイドライン」が作成・発表されました。このガイドラインでは、繊維産業のサプライチェーンに従事する各事業者が取り組むべき環境配慮設計項目、評価基準や評価方法が設定されています。
 欧州で先行する規制強化の動向を踏まえると、今後日本でも新たなサステナビリティ対応が求められる可能性があります。

3. 資本主義と消費社会の行方
 ケイト・ラワースが提唱する「ドーナツ経済学」は、社会と地球の限界を尊重しながら経済を運営する必要性を強調しています。資本主義は地球の環境容量を考慮したモデルへと移行すべきです。特にアパレル業界は、バージン素材を使った大量生産が環境に多大な負荷をかけていることを認識する必要があります。
 現在、世界のマテリアルフットプリント(資源消費量)は増加の一途をたどり、地球の環境容量とされる500億トンの2倍に達しています。GDPとマテリアルフットプリントの成長率は密接に関連しており、アパレル・繊維産業におけるバージン素材の使用量も増加しています。循環型モデルへの移行が求められていますが、まずはバージン素材の使用量を抑え、リサイクルを促進するために素材自体の見直しが必要です。
 現状の技術では、混紡素材のリサイクルは難しく、3種類以上の混紡が困難です。そのため、単一素材やリサイクルしやすい素材へのシフトが求められます。現在、手放される衣類の中でリユース・リサイクルされる割合は約35%に過ぎず、クローズドループ(循環型)のモデルを構築することが業界の課題となっています。
 例えば、スイス発スニーカーのOnは使用済みのランニングシューズを回収し、素材を100%リサイクルする取り組みを開始しました。さらに、パーツ数を抑えた100%バイオベースの素材を使用したランニングシューズを販売しています。サブスクサービス「Cyclon」では完全リサイクル可能なランニングシューズも提供しています。同様に、東リはタイルカーペットの完全循環型モデルを開発しました。このようなモデルをどのように横展開していくかが今後の課題です。

 また、環境再生型(リジェネラティブ)のアプローチも必要です。食品大手のネスレは、2030年までに環境再生型農業からの調達を50%まで増やすとしています。サステナブルを超えたこのアプローチは、農地の二酸化炭素吸収量を増やすことを目指しています。繊維アパレル業界でも、パタゴニアやステラ・マッカートニーが環境再生型農業で栽培されたコットンを使用した製品を発表しています。綿花の栽培においても、このアプローチが重要なキーワードとなるでしょう。

 リーディングプレーヤーたちは、スコープ1/2/3の削減に向けた目標を掲げ始めています。例えば、ザラの親会社Inditexは、2018年から2022年にかけて売上を25%増やす一方で、スコープ3のCO2排出を6%削減することに成功しました。CO2削減に向けては、スコープ3の削減が重要であり、生産量の削減、製品仕様の再設計、ブランドポートフォリオの変革が必要です。

 さらに、現時点では新規植林・再植林が炭素除去の有力オプションであり、「排出量を減らす」ことが最も重要です。とはいえ気候変動の責任の大部分は先進国にあり、今後規制が強化されるほど、グローバルサウスからの反発が拡大する可能性があります。グローバルサウスのGDPは2040年前後に米国や中国を抜く可能性があり、世界は多極化と混迷へと向かうでしょう。
 現在は「株主資本主義」から「公益資本主義」への移行期です。新しいイデオロギーの下で、新たな繊維・アパレル産業の創造に取り組むべきです。消費者も徐々に消費行動の中でサステナブルを意識するようになっています。

 最後に、ライフスタイル企業に求められる企業経営の在り方が大きく変化する中、勝ち残るためのポイントを6つ、挙げました。
●大量生産モデルからの脱却:大量生産・大量消費を前提としたビジネスモデルからの脱却。衣服を長くリペアしながら着る時代へと変わっていく。
●循環型・再生型へのビジネスモデルのシフト:循環型のクローズドループを作り、バージン素材の利用を減らすことが喫緊の課題。中期的には循環再生型の要素を取り入れ、バリューチェーンに組み込み、環境再生につなげることが必要。
●カーボンニュートラルに向けた継続的な取り組み:アパレル産業はサプライチェーンの改善が必須。特に気候変動対策、カーボンニュートラルは不可欠。
●5R(リペア、リユース、リデュース、リサイクル、レンタル)を通じたライフタイムの延長:既存の製品に対して5Rを実践するのではなく、5Rを前提とした製品デザインや商品計画に変えていくことが重要。
●ESG対応:上場企業は株価を意識した無理な売上成長を追求すべきではない。売上・利益よりもESGスコアの向上を目指すことが株価の伸びにつながる。
●KGI/KPI改革:従来の経営指標を再設計し、幸福度や環境負荷を重視したKPI設計が必要。 

 以上のように、「企業経営の在り方が大きく変わる端境期にあることを理解し、適切な対応を進めていくことが重要です」述べて、講演を結ばれました。

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2024年6月12日 (水)

「コットンの日」イベント ⑴「サステナビリティ」をテーマに

 今年も5月10日の「コットンの日」を迎え、ホテル雅叙園東京にて「コットンの日」のイベントが開催されました。
 今年のテーマは「サステナビリティ」でした。
 冒頭、日本紡績協会の竹内郁夫会長(東洋紡社長)は、「日本の繊維業界は、持続可能な社会を目指し、環境配慮型の原料綿や加工プロセス、リサイクル技術を導入しています。また、サプライチェーンにおける人権尊重も重視し、多くの企業経営者が宣言しています。」などと挨拶。
 次いで特別講演に入り、福田 稔 A.T.カーニー株式会社 シニアパートナーが登壇、「2040年アパレルの未来 ~業界が持続可能になるためにすべきこと~」と題して講演しました。内容は明日のブログで詳しく紹介します。
 さらに国際綿花評議会アジア地区担当上席理事のラズヴァン・ワンチャ(Razvan Oancea)氏による講演があり、「U.S. Cotton サステナビリティとトレーサビリティ」をテーマに、U.S.コットン・トラスト・プロトコルについて解説しました。
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 氏は、「サステナビリティは単なる流行ではなく、すべての業界に必要な重要な要素です。米国の綿花業界では、1985年からエコシステムとサステナビリティに取り組み、水の使用量や温室効果ガス排出量、土地利用、エネルギー使用量を削減してきました。2025年に向けて、新たに土壌炭素の増加など6つの目標を設定し、農家やサプライチェーン、ブランド、消費者にとって情報の透明化と明確化が重要であることをアピールしています。米国は40年以上にわたり、安全で信頼性の高いサステナブルなデータを提供しており、CCIは生産を最適化する技術的なソリューションを提供しています。U.S.コットン・トラスト・プロトコルは、サステナブルで責任ある技術を用いて綿花栽培の新基準を策定し、サプライチェーン全体で製品を追跡して完全な透明性を確保しています。」と述べ、U.S.コットン・トラスト・プロトコルの意義を改めて強調しました。

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2024年5月11日 (土)

Tokyo Creative Salon 24 特別トーク「明日へのヴィジョン」

 Img_63561pg 先般、クリエイティブの祭典「Tokyo Creative Salon 2024」が東京ミッドタウン・デザインハブで開催され、特別トークイベントの一つに株式会社ユナイテッドアローズ 上級顧問 クリエイティブディレクション担当 栗野宏文氏が登壇、Panoramatiks 主宰/TCS 統括クリエイティブディレクター/2023年度グッドデザイン賞審査委員長 齋藤精一氏を聞き手に「Vision For Tomorrow(明日へのヴィジョン) (Social Stream and Creative Direction of Tokyo 2024)」と題して、日本のクリエイティブにおける美意識の方向性を5つのキーワードで解説されました。
 以下、その概略です。

1. インディヴィジュアリティ (individuality主体性)
 気候変動など問題山積の現代において重要なのは「主体性」であると提言。主体性を大切にしている人物の代表として、45万部のベストセラーとなった『人新世の「資本論」』の斎藤幸平氏や、杉並区で初の女性区長に選出された岸本聡子氏、日本の食の在り方を研究する藤原辰史氏、『ぼくはイエローでホワイトで、ときどきブルー』の著者ブレイディミカコ氏らを挙げました。時代をブレークスルーするのは彼らのように自分で考え、自ら行動し、伝え、オーガナイズする、主体的な人たちと推挙されていたのが印象的です。

2.  ユニティ (unity共生)
 人が集まり、ともに活動し、補い合って生きる社会的価値の重要性が高まっています。格差や分断の無い世界へ、1960から70年代のレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーが音楽の力で「ユナイト」を実現ようとしたように、ファッションもその役割を果たせると、「ユニティ」を感じたファッション、ブランドやショーを紹介しました。
 一つはメンズファッションフランドの「COGNOMEN(コグノーメン)」です。サッカー好きなデザイナー、大江マイケル仁が秩父宮ラグビー場で開いた初のランウェイショーは、テーマが「ファイトフォー (Fight for)」。チーム一丸となって闘い、最後は敵味方無しのノーサイド、その精神に感動したといいます。
 もう一つは、22/23年AW 「ダブレット(doublet)」のショーです。モデルたちはお面をつけてウォーキングし、フィナーレでマスクを脱ぐと、そこには様々なモデルたちの顔が現れました。それはダイバーシティを体現するショーでした。ブランドを手掛けるデザイナーの井野将之は、この演出を通じて、多様性が本当の意味で実現されるのは、それが誰からも意識されないときであることをアピールしていました。ファッションに社会を変える力があることを示すコレクションでした。

3. インヘリット (inherit 継承) 
 クリエーションというと前のものを否定して新しいものを追う、と思われがちですが、伝統を継承することにもブレークスルーが伴います。
 たとえば「スズサン(suzusan)」という有松絞りのブランドがあります。代表の村瀬氏は、デュセッドルフで海外のセレクトなどとコラボレーションして、有松絞りの技術を文化財ではない、コンテンポラリーなものに活かして成功されています。他にも西陣や漆など、日本には世界に通用する有力な伝統技術が残っていますから、いろいろな分野でこういう方が出てくるとよいと話されました。
 「素材と用途は捨ててもよいが、技術は継承したい。変えてはいけないもののために変えるべきものを変え続ける」との氏の名言に、感銘しました。

4. アウトサイダー( outsider突破者)  
 アウトサイダーはクリエイターであり、クリエイターはアウトサイダーでもあります。アウトサイダーを極め続けることが未来を拓くといいます。
 その代表がコムデギャルソンの川久保 玲です。異端を正統にしてしまうところは誰も真似できない、すばらしいことと賛辞を送りました。他にもアンダーカバーの24春夏コレクション、また山梨県・富士吉田市を舞台にした「ここのがっこう」の卒業制作展、アウトサイダーアートの展覧会など、先が見えない現代はアウトサイダーを求めていると強調しました。

5.  エクレクティック(eclectique 折衷) 
 和 ✕ 洋の折衷に着目。
 LVMHプライズ2023のグランプリを受賞した日本人デザイナー、桑田悟史の「セッチュウ(SETCHU)」は、サヴィルロウで培った経験を活かし、2024春夏コレクションでシルエットや丈を自在に変えることができる「折り紙のような服」を提案しています。キモノには無駄がありません。テーラードとキモノの組み合わせに未来性を感じているといいます。

 複雑なファッションクリエーションの今後の展望を分かりやすい言葉で語られた、大変興味深いトークショーでした。

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2024年5月10日 (金)

Tokyo Creative Salon 24 特別トーク「デザイナーの美意識」

 この3月中旬、ファッションウィークとデザインウィークの同時開催によるクリエイティブの祭典「Tokyo Creative Salon 2024」が開催され、「日本のクリエイティブにおける美意識を考える」と題した特別トークが東京ミッドタウン・デザインハブ内インターナショナル・デザイン・リエゾンセンターで行われました。

 その一つが、日本を代表するプロダクトデザイナーでデザインスタジオエス プロダクトデザイナーの柴田文江氏と、服飾デザイナーでSOMA DESIGN クリエイティブディレクターの廣川玉枝氏による対談です。

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 「デザイナーの美意識」をテーマに、作品への想いや美意識がざっくばらんに語られ、大変興味深いセッションとなりました。

 まずは最近、手がけた作品について、柴田氏はコンランショップ丸の内店で開いたポップアップショップの話をされました。タイトルは「どちらでもないもの」で、たとえば旅行というより「旅情」を感じさせる革カバンなど、新しいけれどどこか懐かしい空気感のあるものに惹かれているといいます。
 廣川氏は、第二の皮膚をコンセプトに2006年に誕生したニットウェア、「スキンシリーズ」を進化させ、3Dクチュールの最新作として新作ジャケットやトップスを発表されています。その一方、新時代の和装「ソワハ(SOWAHA)」を提案。一幅の絵を纏う、重ねの美でキモノのような洋服もデザインされています。
 柴田氏からイッセイミヤケに就職したのは何故、と問われた廣川氏。「縫うことがそもそも嫌い」だったし、布がそのまま服になるイッセイに共感したからと率直。一本の糸で立体を創るニットの魅力を語ったり、男女デザイナーの視点の違いを述べたり。男性デザイナーによる女性もののデザインは、想像力たくましく造形的に美しいものが多いけれど、女性デザイナーは自分が着用したいと思うものをつくっているなど、おもしろい。
 また柴田氏は、異質なものをミックスした、どこか愛嬌があるデザインが好きで、シュッとしたかっこいいものを良いデザインとは思えないそう。シンプルも密度がないと単に簡素なものになってしまう、などと語られていたのが印象的でした。

 最後にデザイナーにとっての美意識とは――。
 柴田氏は、「単純にきれいということだけではない、皆の心の中にある思い出とか記憶みたいなことに共感するものがあると、それがいいと言ってくれるように思うのです。懐かしさとか気持ちよさといったもの、そんな記憶みたいなものをいつも探しています。」
 廣川氏は、「美意識は多様化していますが、根本は一つです。それは人間の直感的感覚に触れるものであり、時代を超えて長く生き続けられるデザインです。人間の美的感覚で本来持っている感覚は自然の美しさと思っています。例えば花は人間の本能に訴えます。デザインは目に見えない感覚をカタチにしていく作業で、それをカタチにすることができたら、長く続けられる美しいものがつくれるのかな、とよく考えています。」と。

 デザイナーの美の深層を垣間見た気がしたトークセッションでした。

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2024年5月 7日 (火)

アクティブシニア 購買心理を理解したマーケティング

 今年はシニアビジネス元年といわれています。歴史上初めて日本は人口の2人に1人が50歳を超える国となりました。
  先般開催された第7回ライフスタイルウイーク東京では、市場規模が拡大しているシニアのニーズを把握するため、シニアマーケティングに関するセミナーが実施され、大変興味深かったです。
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 登壇者は㈱オースタンス代表取締役社長 菊川 諒人氏です。「アクティブシニアの消費行動~購買心理を理解したマーケティングとは~」をテーマに、様々な事例を交えて語られました。

 下記、そのポイントです。

1. シニアマーケットがトレンドとなっている理由
・人口構成比率の高齢化による市場の単純拡大 ―― 来年にも市場規模は100兆円を超える見込みで、シニアビジネスは日本でまれに見る成長産業です。
・日々増加する高齢者の保有資産 ―― 個人金融資産約1,700兆円のうち、約6割(1,000兆円)の資産を保有しているのが60代以上です。
・中高年層以上の急激なデジタル化 ―― シニアのインターネット利用率は、60代で約90%、スマホ利用率は急増し、65歳以上の保有率は約77%に達しています。デジタルを使いこなすシニアが多くなり、デジタルでモノやサービスを届けられるようになっています。
・健康寿命/労働寿命の延伸による消費の加速 ―― 2020年の法改正で企業に対し70歳までの雇用確保が努力義務化され、70歳まで給与所得者になり、これまで年金所得者だった世代の財布の紐が緩む可能性があります。また医療の充実により健康寿命の向上によるシニア世代の拡張も必至です。

2. シニアマーケティングで陥りがちな状況 
 シニアマーケットに取り組む上で、よくあるバイアス(思い込み)を払拭して欲しいといいます。
・シニア世代のイメージは人によって異なります。 ―― 白髪のおじいさんやおばあさん像だったり、50~60代をイメージしていたり、乖離があります。
・情報収集の中心はテレビ ―― テレビの割合は高いが、一方でインターネットでの情報収集の割合も高い傾向にあります。
・デジタルリテラシーが低そう ―― 2020年段階で60代の70%以上がスマホを利用していると回答。仕事でPCを使うのは当然だった人たちなので、インターネット利用率も80%を超えています。
 シニアと言っても状況は多種多様。60代と80代ではライフスタイルが全く異なっています。仕事を続けているかどうかで金銭感覚も異なり、大都市圏と地方都市とでは価値観も異なっています。この他、同居する子どもの有無や孫の有無、友達の有無などもあり、一括りにはできません。 
  またマーケティングで頻繁に直面する難しさは、企画者との世代間ギャップで、自分ごと化がし難いことです。このギャップを埋めるために、顧客を見る解像度を高める必要があるといいます。

3. 顧客解像度を高く見るための方法
 菊川氏の会社、㈱オースタンスでは、解像度を高く顧客を見ることができる分析ツールとして、クレイトン・M・クリステンセン教授が発表した “ジョブ”理論という考え方を活用しているとのことです。
 これは状況で対象を分析する、状況でみると因果関係がわかる、因果関係を押さえると解像度がアップするというもので、これを基に、同社では、なぜその人はその商品を購入したのかなど、その購買行動に関する、しっかりとした消費者調査を数千人規模で行っているそうです。
 インタビューやアンケートでは、アノマリー、その裏の心理に着目することと、とくにシニアマーケティングで重要なのが、少し長い時間軸で見ることと、ステークホルダー(関係者)をしっかりと捉えることと指摘しました。
 またシニア顧客を理解する上での着眼点を4つ、挙げました。
・生理的観点 ―― 身体の衰えに起因する変化、認知能力低下等。このことを捉えないと手に取ってもらえない。
・資源的観点 ―― 収入構造の違いや可処分時間などに関連する変化。年金所得のみかどうかなど。
・心理的観点 ―― 成人発達理論など精神的な変化。たとえば年を取ると人との出会いが少なくなる、ライフイベントが変化するなど。
・社会的観点 ―― 社会情勢により形成された価値観。たとえば10年前は冷凍庫をつくっても売れなかったが、現在は冷凍食品の品質向上で積極的に利用されるようになっているなど、社会通念の変化もあります。
 顧客の解像度を高めるには、属性ではなく上記のような状況に注目することが大切で、これにより行動の因果関係を理解することができる、と強調しました。

 最後に、購買意欲を高めるための考え方について述べ、顧客心理を捉えたマーケティング施策を紹介しました。これには「売り込み」と感じさせないよう、知的好奇心を引き出し、好感を持たれるアプローチが重要で、この好感を得るための3つの要素として、入り口の建付けを工夫すること、商品を無理に勧めないこと、時間をかけて丁寧に説明することが肝要と解説して、締めくくりました。

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2024年4月29日 (月)

Ifs未来フォーラム~2024年から始めるサステナビリティアクション~ ⑵ 「Z世代」×「旅」をテーマに

  「ifs未来フォーラム2024~2024年からはじめるサステナビリティアクション~」では、トークセッション1に続くトークセッション2で、「Z世代」×「旅」のテーマが取り上げられました。

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 セッションのタイトルは、「令和的非日常~ Z世代の旅から見えた、これからの『消費の兆し』と『マーケティングの方向性』~」でした。中村ゆい氏がファシリテーターを務め、(株)JTBコミュニケーションデザインの吉濵 舞氏とifsの小林脩人氏がゲストとして参加し、座談会形式でディスカッションが行われました。

  セッションではまず、旅から見えたZ世代の消費の兆しについて解説がありました。
 Z世代は、より高い目標の達成から等身大の目標の実現へと価値観がシフトしており、また社会への関心が一般的な社会全体から身近なコミュニティへと変化しています。彼らの消費キーワードは「小さな安心を積み重ねる消費」や「心理的なつながりを求める消費」であり、自己表現よりも自然な自己を重視し、SNSを日常の記録や思い出のアーカイブとして活用しています。

 次に、「令和的」マーケティングの方向性について、Z世代が内面的な満足感を求める傾向が強まっていることが強調されました。これに伴い、消費者との関係が平成時代のような一方通行から、より対話的で参加型の関係へと移行していくことが示唆されました。
 コロナ禍を経て、若者世代の旅の在り方が大きく変化していることが浮き彫りになった興味深いセッションでした。

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2024年4月28日 (日)

ifs未来フォーラム~2024年から始めるサステナビリティアクション~ ⑴ 「あしたの消費のドライバー」

 伊藤忠ファッションシステム株式会社(以下、ifs)が2月末に開催した「ifs未来フォーラム2024~2024年からはじめるサステナビリティアクション~(以下、未来フォーラム)」に参加しました。
Ifs  「サステナビリティ」というテーマにふさわしい、東京・南青山の緑豊かなLittle Darling Coffee Roastersを会場に、ファッションや化粧品、食、自動車、百貨店、不動産、商社など様々な業種から約200人が集う中、世の中の今と未来を読み解き、一歩先の新たなビジネスの可能性を考えるトークセッションが実施されました。 
 クローズアップされたのは環境意識が高いといわれる 1996年ごろ~2012年ごろ生まれの「Z世代」です。彼らは2020年には全人口の約3分の1となり、今後収入の4分の1を占め、未来を大きく動かす存在になると予測されています。

 トークセッション1では、「あしたの消費のドライバー」と題して、ifs 未来研究所の上席研究員である小原直花氏と浅沼 小優氏が登壇し、ファシリテーターにはifs未来研究所の所長代行である山下徹也氏が務めました。彼らは2024年の消費を動かすキーワードとして、「コミュニティコマース」、「ケアリングエコノミー(思いやり経済)」、「メタバースへの参加」、「ゆっくりとしたリカバリー」を挙げ、消費の牽引役となるZ世代の消費マインドを掘り下げました。

 特に注目すべきはifs独自の世代マーケティングです。コロナ禍が明けて、気候変動への意識が高まるとともに、人との交流が活発化しています。自己や周囲への関心が強まる中、男性は仕事、女性は家庭に重点を置く傾向も根強く残っており、年齢によって異なるライフステージの影響が顕著になっています。リタイア世代がのんびりとしたリラックスムードを楽しんでいる一方、40代以下は経済的な不安や政治への不信感から「いらいら」した気分を抱える人が多く、現役世代ではとりわけ経済的不安や人間関係、ストレスケアに対する不安・心配が高まっていると指摘されています。

 この中で浮上しているのが、ifsが新しく発表したオリジナル世代区分の「Self-D世代」です。Z世代の中の18~22歳、2001年~2004年生まれの若者世代を指し、“ Self-D”の “ D” はDiscipline(自律)/Diversity(多様)/ Defense(防御)を表しています。「不安定さ」、「あわただしさ」、「さみしさ」を感じつつも、新たなチャレンジや興奮を求める気持ちが強い世代とされています。

 その特徴は「自分の暮らしは自分で守る」、「他者の視点を積極的に取り入れて自身の可能性を広げる」、「成長の実感が不安を解消。常に動き続けることを意識する」、「お金は自分の選択肢を広げてくれるもの」、「消費は自分の成長を映すもの」にあります。企業はこれらの特性を踏まえた上で、新たなビジネスを創出していくことが重要だと強調されました。

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2024年4月23日 (火)

RFWT24/25秋冬「アルゴリズムによって形成された着物」展

 RFWT2024年秋冬では会期中、「Algorithm-Formed Kimono(アルゴリズムによって形成された着物)」展が開かれました。
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 これは “Sync Fabric Studio”のインスタレーション第1弾です。“Sync Fabric Studio”は2024年に創設された体験型スタジオで、現代社会におけるファブリックの在り方を提案しています。
 ここではKORI-SHOW PROJECTの山口 壮大氏と 東京国立博物館協力の元、江戸時代の“着物の図案”をジェネレーティブAIで機械学習し、伝統に即しながらも革新的なグラフィックを生成。また、着物の“無駄の無い構造”にも着目し、データシミュレーションを応用して、最新のファブリックを用いながらも廃棄率をゼロにしたパターンメイキングを実現。生成された着物の図案を最新のデジタル機器でプリントした“未知の羽織”を実験的に製作・展示していました。

 下記、“Sync Fabric Studio”の解説を引用して紹介します。

セクション1 : 雛形図案 × ジェネレーティブAI (機械学習) 
 雛形本とは江戸時代の代表的衣裳の見本帳のこと。当時は小袖図案制作の参考資料として、呉服屋が注文を受ける際のサンプルとして、あるいは絵本として、様々な用途で流行の衣裳の模様、意匠(デザイン)の見本帳(カタログ)として利用されていました。

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 この雛形図案のデザインをAIに学習させ、ルールを踏襲したAIが新たに図案を生み出すことで、伝統に即しながらも前例のない、革新的なデザインを提案。実際の雛形本から生成AIによって新たなデザインが生み出されるまでの過程を見ることができます。

セクション2  : パターン×データシュミレーション×機能素材
 着物の反物を100%使い切る理念をstudioが推奨する生地規格に踏襲。着物の“おくみ部分”を無くし、長方形のパーツのみで構成される羽織の構造を採用し、数億通りのデータシュミレーションを経て、ロス率1%~3%のパターンメイキングをシュミレーションしています。
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 体型に対して厳密な洋服とは異なり、肉体を寛容に包み込む和服ならではの“身体を最優先しない構造”を“未知の羽織”と称して、新たなスタンダードの一端として提案しています。

セクション3  : 雛形本×オーダーシステム
 雛形本の発注書/仕様書としての機能を現代に適応するべく、オーダーシステムを試験的に実装しています。好みの図案を選び、身体寸法、生地規格の適合をオンラインオーダーシステムを通して模擬体験できるようになっています。

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 ジェネレーティブAIやデータシュミレーションを活用し、江戸時代の雛形本から着想を広げた、現代に相応しい着物を考察した展覧会でした。

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2024年3月30日 (土)

ifs未来フォーラム~2024年から始めるサステナビリティアクション~ ⑵ 「Z世代」×「旅」をテーマに

 「ifs未来フォーラム2024~2024年からはじめるサステナビリティアクション~」では、トークセッション1に続くトークセッション2で、「Z世代」×「旅」のテーマが取り上げられました。セッションのタイトルは、「令和的非日常~ Z世代の旅から見えた、これからの『消費の兆し』と『マーケティングの方向性』~」でした。ifs未来研究所研究員の中村ゆい氏がファシリテーターを務め、、Z世代の当事者である(株)JTBコミュニケーションデザインの吉濵 舞氏と ifsマーケティング開発第3グループ の小林脩人氏がゲストとして参加し、座談会形式でディスカッションが行われました。

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  セッションではまず、旅から見えたZ世代の消費の兆しについて解説がありました。Z世代は、より高い目標の達成から等身大の目標の実現へと価値観がシフトしており、また社会への関心が一般的な社会全体から身近なコミュニティへと変化しています。彼らの消費キーワードは「小さな安心を積み重ねる消費」や「心理的なつながりを求める消費」であり、自己表現よりも自然な自己を重視し、SNSを日常の記録や思い出のアーカイブとして活用しています。

 次に、「令和的」マーケティングの方向性について、Z世代が内面的な満足感を求める傾向が強まっていることが強調されました。これに伴い、消費者との関係が平成時代のような一方通行から、より対話的で参加型の関係へと移行していくことが示唆されました。コロナ禍を経て、若者世代の旅の在り方が大きく変化していることが浮き彫りになった興味深いセッションでした。

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