ファッションビジネス

2019年5月 4日 (土)

キャリアミセス 『ミモレ』編集から見えてくる婦人のホンネ

 アパレルの中で売上が最も大きいのが、仕事をもつ女性や大人の女性を主なターゲットとするキャリアミセス市場です。先般の「ファッションワールド東京2019春」では、このキャリアミセスのトレンドにスポットを当てたセミナーが開催されました。登壇したのは講談社のWEBマガジン『ミモレ (mi-mollet) 』編集長 大森 葉子氏と、ファッションビジネスジャーナリストの松下 久美氏です。大人世代の女性たちが求めているものや本音、悩み、価値観を語り合うという、大変興味深い対談でした。

Img_15231

 ところで『ミモレ』とはどのような媒体なのでしょう。お話によると創刊は2015年1月で、会員はうなぎ上りに増えて現在6万人、PV/月900万、UU/100万とのこと。読者層は2018年のアンケートによると30~40代が最も多く、既婚75.6%、未婚24.4%、有職者は81.7%と高く、世帯年収は1,000万円以上が37.7%、600~1,000万円が30%で富裕層向けメディアということが分かります。ミモレ限定8万円のボックスを出したら即完売したそうです。
  ファッションメディアとしては大人世代ナンバーワンのスナップサイトが人気で、“なに着る”や“今日、なに着てる”で検索して入って来る人たちの、コーデを見たい、着たい、探したいという欲求に応えているといいます。これまでのスナップアーカイブ数は約12,000体とスゴイ数字になっているとか。スナップを自動解析しタグ情報を返すAIを搭載しているとも。ファッションはトレンドよりもいかに着こなすかをポイントに、自分らしさを表現したい読者にコミットしているといいます。
 コミュニティづくりも行っていて、もう一度学び直したい、同じ志を持つ人と友達になりたい、という声があることから有料講座を実施。東京や京都の大学で開講し、応募者が殺到しているそう。修了者数は延べ220名で受講生からは満足の感想を得ているそう。

 サイトを毎日訪れる層が全体の70%もある、というのにも驚かされます。それだけ多くの読者を生み出せている理由は、記事の作り手が全員顔を出し、背景にある思考のストーリーを体感できているからではないかと分析。365日毎日届くコメントは必ずバックし、次の記事づくりにつなげているとか。一人の意見の後ろにあるサイレントマジョリティの声を拾うことを常に心掛けているそうです。
 企画をリードしているのは、コンセプトディレクターの大草直子さん。例えば「大人の女性は“脱ほっこり”であか抜ける!」と“ほっこり”婦人にならないためにできることをアドバイス。この“婦人”という言葉を発案したのも大草さんで、女子カルチャーへのカウンターもあって“大人女子”ではない“婦人”にフォーカス、これで押し切ったといいます。“婦人”とは乙女心を否定しない存在、その代表が大草さんであり『ミモレ』のシンボルともなっているそう。
 たくさんの興味深いお話しの後、まとめとして下記を紹介。
 一つは女性を楽にしてあげるコンテンツであること。仕事を持ち母でもある女性は忙しい。ファッション関連が多いのは、そうした女性たちが自己表現に悩む代わりに記事を役立てて欲しいから。
 二つには「年齢を重ねることは楽しい」と思える社会を一緒につくっていくこと。若見えではない、気持ちを上げてくれるようなスタイル中心の構成はそのためといいます。
 最後に記事は中立であること。編集を手掛けているのは『ミモレ』世代で、純粋な気持ちで正直に書かないとバレることを知っている人たち。おしゃれ感度も読者とそれほど差はない。だからコスパのよいブランドなど、本当の意味で気に入ったと思うものだけを掲載しているそうです。
 女性たちの人生後半戦を応援する『ミモレ』。WEBサイトを拝見し、“婦人”の気持ちに寄り添う提案が満載、と改めて感じ入ったことでした。

| | コメント (0)

2019年5月 3日 (金)

世界一のデニム品質を誇る日本のものづくり 10年後の未来

 世界一の品質を誇る日本のデニム界。その次世代リーダーの雄たちが登壇するシンポジウムが、先般の「ファッションワールド東京2019春」で開かれました。
 パネリストはジャパンブルー専務取締役 真鍋 カツ氏、フルカウント代表取締役 辻田 幹晴氏、KUROブランドデザイナーの八橋 佑輔氏の3氏で、モデレーターはBegin編集長 世界文化社の光木 拓也氏です。「世界一のデニム品質を誇る「日本」のものづくり ~Made in Japan デニム 10年後の未来~ 」をテーマに、モノづくりへのこだわりや日本の強み、10年後を見据えた今後のヴィジョンなどが討論されました。

Img_15091

 まず日本のデニムが最高と思うところについて。
 真鍋氏は「セルビッチデニムをつくれる力織機を使い、職人との二人三脚で培ってきた生地づくり」を、辻田氏も「日本には60年代の力織機が残っていて、それを修理しながら使用してきた丁寧なものづくりがあること」を紹介。「手のコントロールで、織機のスビードを変えることができ、裏毛スエットのように見えるデニムや緯糸に銀糸を打ち込むなど様々な可能性がある」といいます。八橋氏は「日本の精密なモノづくり。キメ細かい味の出し方も上手」を挙げました。
 次に他社に負けないポイントは何か、です。
 辻田氏は「最もはき心地のよいジーンズをつくっていること」といいます。「ジーンズはその人のものとなってからよりよくなっていく。体の一部になるまではき続けられるところが他の服と違うところで、肌触りの良さこそ大きな価値と思っている」そう。真鍋氏は「日本のデニムがイタリアなど欧米と異なるのは、水質の違いからくる風合いと色」と強調。とくにインディゴブルーの様々な青の中で、「日本が発信している“ジャパンブルー”は、天然藍が緑色から青色に変化する、少し緑味の青。その日本ならではの感覚を大切にしている」といいます。
 さらに将来への夢やヴィジョンを問われて。
 八橋氏は「10年後は買い方か変化する。ネットでは味わえない奥深い付加価値を提供できる店づくりを広げていく」。辻田氏は「変化する売り方にチャレンジすることと、高齢化する川上での若手育成」を挙げ、真鍋氏も「産地が産地としてあり続けるように、産地を盛り上げることが大事」。その上で「グローバルなデニムサミットをシェアし拡散すること、そして世界一を担い発信していく」と発言するなど、実に前向きです。
 日本メーカーの将来像が見えて、頼もしく思えたセミナーでした。

| | コメント (0)

2019年5月 2日 (木)

対談「ツモリチサト25年の軌跡と今後の展望」

 先般「ファッションワールド東京2019春」の特別講演に、“カワイイ”で人気の「ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)」を手掛けるデザイナーの津森千里さんが登壇、美モード ファッションディレクターの萩原 輝美さんと対談しました。  
Img_13631  先頃、このブランドを取り扱ってきたエイ・ネットが同事業を終了するとのニュースが流れて、衝撃を受けたばかりです。それもあってか、会場は立ち見が出るほどの満席状態でした。
 テーマは「ツモリチサト25年の軌跡と今後の展望」です。25年を経て、昨年「2018 WAKU WORK 津森千里の仕事展」を開催するなど、今も愛され続けているブランドの秘密、そしてエイ・ネットを離れて、どのように展開していくのか。興味津々で拝聴しました。

 まずは「デザイナーをやめたいと思ったことは一度もない」ときっぱり。自身のデザイン事務所のティー・シィー(T.C)を通してデザイン活動を続けていく方向といいます。
 次に「ツモリチサト」ブランドについて、印象に残った言葉があります。それはブランドのミューズが自分自身であるということ。ご自分の中に多面的な子どもがいて、その子どもの好きなものや興味のあることを、自由な発想で素直に表現するブランドが「ツモリチサト」なのだそう。
 また“カワイイ”と言われるデザインについても興味深い発言をされています。子どもは可愛いけれど、実は可愛くないのが好きで、ペットも可愛くない方が好みだそう。大人は可愛くないので“カワイイ”大人をつくるための服づくりをしているといいます。とはいえ本音は“カワイイ”ではなく“カッコいい”服と思われたかったのに---、皆が“カワイイ”というとか。 
 “セクシー”の褒め言葉もよく聞かれるそうですが、“モテ服”というのはあり得ない。“着て楽しい服”という意味に捉えていると明言します。そうはいいながらも色ではピンク、とくにサーモンピンクがお気に入りとのこと。 
 さらにパリでは、フランスオートクチュール・プレタポルテ連合協会のディディエ・グランバック会長からオートクチュールを薦められたこともあったそうです。その上でもしもラグジュアリーブランドからオファーがあったら、大好きな「スキャパレリ」に行きたい、というのも津森さんらしいなと思いました。 
 
 これからも着ることで気分が上がり、楽しくなれる服をつくり続けていきたいと語って、対談を終えました。

| | コメント (0)

2019年5月 1日 (水)

日本のファッション流通 ECとデジタルシフトの未来を語る

 ファッション流通はここ10年で劇的な変化を遂げました。企業はテクノロジーの進化や顧客の変化に果たして追いつけているのでしょうか。
 先般の「ファッションワールド東京2019春」ではこの課題を取り上げた特別ディスカッションが行われました。登壇したパネラーはナノ・ユニバース経営企画本部 WEB戦略部長の越智 将平氏とDoCLASSE CMO 兼 web事業長の藤原 尚也氏、SHIBUYA109エンタテイメント オムニチャネル事業部 兼 マーケティング戦略事業部 担当部長 澤邊 亮氏の3氏と、コーディネーターのビジョナリーホールディングス執行役員 デジタルエクスペリエンス事業本部 本部長 川添 隆氏です。「どうなる、日本のファッション流通 ~ECとデジタルシフト 5年後の未来~」と題して、通販や小売り業の分野から今後のECのあり方を議論。川添氏の問題提起にパネラーが答えるという対談形式で進められました。
 
 まず「5年前と現在とで変化したことと変化しなかったことは?」から。
 越智氏は「変化していないのはプロダクツとプライス。 セールはクーポンで対応。Img_19291 変化したのはプロモーションとプレイスで、ポップアップストアが増えて、宣伝の仕方や売る場所が多様化した」。
 (右はナノ・ユニバースのショップ)
 藤原氏は「マーケティングの軸を常に顧客体験の最大化に置いていることに変わりはない。変化したのはメディアとITの進化で、1999年にツタヤオンラインをつくった当時は、オンラインとオフラインが敵対していた。しかし現在はシームレスにつながるようになり溶け込み合っている」。
 澤邊氏は「変わらないのはSNSの重要性と顧客の理解。変わったのは店舗やショップスタッフの役割で、ECとリアル店舗が一緒になって同じ形で売り上げを見るようになった。スタッフにはSNSのインスタやラインなどを自由に使いこなす力が求められる」という
 
 次に「これまでで失敗したと思うことは何か?」では。
 越智氏は「ファッションテックを導入したが失敗した。3Dスキャンで体型データを計測するというものだったが、体型、特に首回りを正確に測れなかったことが一因。テック系は本質的サービスがきちんとできていないと上手くいかない」。
 藤原氏は「元々紙媒体で年齢層も高い。SNSの優先順位は低く、それよりは公式サイトからの客を増やす戦略をとっている。テレビCMを初めて大規模に打ち、これをそのまま動画サイトに流したが反応は鈍かった。WEB用に動画をつくったところ、これは上手くいっている」。
 澤邊氏は「若者マーケティング研究機関“109ラボ”を立ち上げ、アンケートやグループインタビューなど、かなりアナログなことをやっている。直接会って話を聞くと、ブランドにこだわらない若者が最も多いことがわかったりする。エンタメやライブへの関心をつかんだり、新ブランドの導入に活用したりして、役立てている。2017年にオープンしたインキュベーションプラットフォームは上手くいかなかったが、今年再スタートしている」。
 
 さらに「5年後の未来を見据えて、今やるべきことは?」との質問に。
 越智氏は「ECだけではなくリアル店舗の改革が必要。店内での客の行動をデータ化する」。
 藤原氏は「サイトのリニューアルで、サイト自体をシンプル化する」。
 澤邊氏は「いったん原点に戻り、店舗の役割が増すと思う。客が何を望んでいるか、データをとり、体験価値を上げていく」など。
 
 川添氏の巧みなリードもあって、それぞれ異なる立場からファッション流通の現場が率直に語られました。近未来へのヒントもいっぱい、大変興味深い座談会でした。

| | コメント (0)

2019年3月22日 (金)

タキヒョー 滝 富夫氏が語る「ファッションビジネスのコツ」

 先月23日、ファッションビジネス学会東日本支部研究発表会が開催され、タキヒョー名誉顧問 滝 富夫氏が基調講演されました。滝 富夫氏と言えば、伊藤操著「マネージ―ダナ・キャランを創った男」として、レジェンド的存在の方です。この講演も伊藤操氏のご尽力で実現したとのことでした。
Img_11261  タイトルは「ファッションビジネスのコツ」です。とはいうものの滝 氏は冒頭「ファッションビジネスにコツはない」ときっぱり。「当たり前のことをやればいい」と断言し「自分はラッキーでタイミングもよかった」といいます。
 内容はこれまでのご自身のお仕事を振り返るもので、その波乱に富んだ体験談を語られました。お年は何と1935年生まれの84歳とか。とてもそのようには見えないしっかりとした語り口が印象的でした。
 タキヒョー社長に就任されたのは1962年で、その後1973年にニューヨークのデザイナーブランド、アン・クライン社を買収します。しかしその翌年にデザイナーのアン・クラインが急死して大混乱に陥ります。しかし当時アシスタントをしていたダナ・キャランを起用し、セカンドラインのアン・クラインⅡを成功に導くのです。そのときのエピソードも面白かったです。あるときダナに「何故私を選んだの?」に訊かれて、「あなたには色彩感覚や素材選択眼、デザイン力だけではない、フィット性がある」と告げたそう。それは滝氏が、客が服を購入する最後の決め手は“フィット”にあると見極められていたからなのですね。数字を示すことでデザイナーは納得、仕事に打ち込まれていったそうです。
 その後1985年に「ダナ・キャラン・ニューヨーク」を設立、1988年にその頭文字をとった「DKNY」を立ち上げて爆発的なヒットを呼び込みます。
 このヒットの裏には、科学的な根拠があったと強調。クリエイティブな人はとかくビジネスを卑下する傾向があるが、実は論理的に筋道を立ててビジネスをすることが重要で、デザイナーに算数の話をしてびっくりさせたこともあったとか。
 またシーズン最後の見切りをどのようにして減らすか。見切りは「身を切ること」で、このようなことを平気でやってはいけない。そこは出口改革を行って解決していくしかないとも。
 この他、クリエイティブ・マネージメントの重要性など、様々な興味深いお話しの後、これからの商品開発で大切なのはお客様が心のうちに抱いているウオンツ(欲しいモノ)を掘り起こしていくことといいます。たくさんの目に見えない「困った」を引っ張り出してきたからこそ、ここまで走り続けてこられたと感慨深げに仰って、講演を終えました。
 進藤由佳著「回想・滝富夫の流儀~困ったねから始まる」をプレゼントしていただき、再度読み直して、その経営の手腕に改めて感銘したことでした。

| | コメント (0)

2019年1月16日 (水)

「日経クロストレンド2018」消費を変えるトレンドを体感

 「日経クロストレンド2018」というイベントが昨年11月末に東京国際フォーラムで開催され、2019年に向けて消費を変えるとみられるテクノロジーやトレンド、ヒットを体感してきました。遅ればせながら、その模様をお伝えいたします。

 出展ブースではトライアルさせていただけるものが多く、それぞれに皆、興味深かったです。

 中でもファッション関連で注目したのは、レナウンの「着るだけ」です。Img_92531jpg
 これは男性向けビジネスウェアのレンタルサービスです。コーディネイトやクリーニング、保管など面倒なことを一切気にせずに、ただ「着るだけ」でよいというもの。料金は月額制でスーツ2着が4,800円からとのこと。
 こんな風に「買う」のではなく「借りる」という流れがスーツにも来ているのですね。一つ気になったのは、似たようなスーツのレンタルサービスを行っていたアオキの「suitbox」が、最近撤退したというニュースです----。とはいえ昨今レンタルはもうフォーマルウェアだけではなく、女性服では普段着にも広がってきています。流れに乗ると期待しています。

 またコニカミノルタの「クンクンボディ(kunkun body)」もスゴイ、 と思ったテクノロジーです。これはニオイをかぎ分けるAIシステムで、目に見えないニオイを「見える化」する、つまりニオイを測定するツールなのです。
Img_92471  ブースでは体臭や口臭などをタッチ&トライしていました。私も体験してみて、結果はニオイはないとのことで安心しました!

 職場内などでよく、どうにかして欲しい、と思うことのトップが、体臭や口臭だそうです。アンケートでも約7割もの人が、ニオイが気になる、と答えているとか。スメルハラスメント(スメハラ)という言葉も出てきていますね。
 「クンクンボディ」は、こんなニオイの問題を解決する画期的な技術、と思われます。今後の展開が注目されるところです。

 会場では、恒例の日経トレンディによる2018年のヒット商品ベスト&2019年のヒット予測ランキングが、ずらりと展示されていました。
 簡単にご紹介すると、2018年のヒット商品ベスト30では、第一位が安室奈美恵、第二位 ドライブレコーダー、第三位 ペットボトルコーヒー、第四位 「ゾゾ」スーツ,第五位 グーグルホーム&アマゾンエコー、第六位 漫画「君たちはどう生きるか」、Img_92561jpgそして第七位が「アイボ(aibo)」でした。
 「アイボ」はご存知ソニーの犬型ロボットです。思っていたよりもずっと小さくて、だっこしやすそう。ほんとうに愛らしい!
 2018年1月11日(ワン、ワン、ワン)に発売を始めて、7月までの半年間で2万台売れたとか。今はもう予約待ちの状況といいます。

 2019年のヒット予測ランキングでは、第一位が日仏激安&高機能カジュアル「デカトロン&ワークマンプラス」、第二位 新ニッポンの夜明け「新元号フィーバー」、第三位 アジア最強の書店「誠品生活」----となっています。
Img_92641  上は、売れ筋予想トップの「デカトロン&ワークマンプラス」のコーナーです。
 アウトドアスポーツは昨年以上に大きな旋風を巻き起こすことになりそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019年1月15日 (火)

筆記具のトップメーカー「三菱鉛筆」を訪問して

 先般、誰もが知っている筆記具のトップメーカー「三菱鉛筆」本社を訪ねました。これは日本ファッション協会うらら会の活動の一環として行われた企業訪問活動です。
 本社は昨年8月に竣工した大井町駅前にある新しい社屋で、エントランスホールは同社製品の展示スペースとなっています。
Img_93101jpg   
 実は私は、「三菱鉛筆」はその社名からてっきりあの三菱グループの中の会社と思っていたのです。でも実はそうではありませんでした。あの有名な三菱のマークと「三菱」の商標も、「三菱鉛筆」が明治36年に三菱財閥に先だって商標登録していたと聞いて、びっくり!
Img_93081  また鉛筆が中心のメーカー、というのも大きな間違いでした。三菱鉛筆といえば、あのおなじみのえび茶色の鉛筆「ユニ(UNI)」を連想します。もちろん鉛筆は50年来のロングセラー商品ではあるのですが----、今ではもう鉛筆よりもボールペンが主軸といいます。
 世界で圧倒的なシェアを持つ水性ボールペン「ユニボール」や、ガラスや革製品などにも書くことができ、幅広い年齢層に愛される「ポスカ」、驚くほどになめらかな書き心地で、ボールペンの概念を覆した「ジェットストリーム」、Img_93171上向きに書けるので重力の無い宇宙でもまた水中でも使えるボールペン「パワータンク」、 さらに「消せるペン」(右写真)など、同社は私たちに身近な商品を次々と展開されています。
 最近発表された鉛筆のような高級ボールペン「レイヤード(LAYERED)」も話題ですね。

 またここ30年は、化粧品事業にも乗り出されているそうです。筆記具メーカーが何故? と不思議に思いますが、きっかけは筆ペンをマニキュアに応用したことだったとか。ペンで培った技術を活かして、アイライナーや白髪隠しなどといった化粧品をつくっているといいます。
 インクの新開発技術である顔料と染料のいいとこ取りした新色材も学ばせていただき、目からウロコでした。
 ファッションとは直接関係ない異業種をフィールドワークすると、いろいろな発見があります。ご担当者に心より感謝の意を表します。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019年1月14日 (月)

リシュモン ジャパン「ラグジュアリービジネスのこれから」

 リシュモンといえば、「カルティエ」や「ヴァン クリーフ&アーペル」「ピアジェ」「ジャガー・ルクルト」「IWC」「モンブラン」「ダンヒル」「クロエ」などのビッグブランドを傘下に持つグローバル企業です。売上は全世界の9%、LVMHに次ぐ第2位で、その半分はアジア市場に依存し、日本はその内の9%を占める重要な市場といいます。
 その日本法人、リシュモン ジャパンの代表取締役社長 三木 均氏による講演会が、先月初め、東京・渋谷のカラート71にて行われました。Img_92801jpg_3テーマは「ラグジュアリービジネスのこれから」で、ラグジュアリーマーケットはどう変化していくのか、普段は耳にできない貴重なお話しでした。要旨を簡単にまとめてみましょう。

 まずラグジュアリーブランドとは? からです。1990年代頃から高級品・高級ブランドに使われ出した言葉で、とくに定義はないそうです。とはいえそこには、①歴史があること、②世界流通していること、③アイコン商品や技術意匠があることの、3つの要素があることを指摘。ラグジュアリーブランドにはこれらが三拍子揃っていてそれ故に差別化されていると位置づけました。
 次にリシュモングループの現状についてです。同グループには現在、ファッションや宝飾品、時計類などのラグジュアリーブランドが20社あり、中でももっとも力を入れているのがハイジュエリーのビジネスであるそう。ハイジュエリーは今、資産価値として見直されているといいます。そこで顧客が期待する以上の豪華なイベントや贅沢なVIP向け企画を打ち出し、その魅力をアピールしていると実例を紹介。ブランドビジネスでは、必要性に駆られての“ニーズ”よりも、理屈ではない感情、“ウォンツ”を満たすことが肝要と強調しました。
 さらに今後の見通しです。
 一つはデジタル化で、米国ではラグジュアリーブランドの11%がE-コマースなのに対し、日本では1%にも満たないとのこと。これからは日本のE-コマース市場が飛躍的に伸びるとみているそうです。3年から5年以内にはすべてがバーチャル化する近未来の世界を予測、ビジネスの可能性はますます広がるといいます。
 もう一つはハイジュエリーのオートクチュール化です。ハイジュエリーもオートクチュールとほとんど同じ仕組みになり、その客にしか提供できない一つだけのモノをつくって、1対1で取引する時代になってくるといいます。これはまさにラグジュアリービジネスの究極の世界ですね。このためこれからはラグジュアリービジネスがサプライビジネスからデマンドビジネスになる、新しいリテールが予想されると言及しました。
 そこで浮上してくるとみられる2次流通にも触れられ、車における中古車市場のようなことがハイジュエリーのビジネスでも確立していくといいます。レンタルシェアもブランドのよさを認識できるという意義があり、それによりウォンツが生まれるとみているそうです。サステナビリティが話題の昨今、印象的なお話でした。
 この他ブランドの規模では、1兆円を目指すとしながらも、クオリティを担保しながら成長を促す、また中国市場もターゲットであり続けるなど、ラグジュアリービジネスの動向をつぶさに語られました。
 今後のヒントとなるキーワードも多く、予想以上に内容の濃い講演会でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年12月26日 (水)

“フレンチライフスタイル” で来日 輸出促進をアピール

 先月8日、フランス大使館で行われた「“フレンチライフスタイル” 来日ミッション」の記者会見に出席しました。
 これはフランスのエレガントで気取らない豊かさを日本市場に訴求しようという、輸出促進のための取り組みです。来春EPA(日EU経済連携協定)がスタートすることもあり、フランスはモードだけではない、豊かなライフスタイルを持つ国であることをアピールする狙いもあるようです。
 フランス公的投資銀行(bpiフランス)による初の公的支援と、またマカロンなどで著名なパティシエのピエール エルメ パリ (PIEREE HERME PARIS)のサポートもあって実現したといいます。

Img_85661  ローラン・ピック駐日フランス大使を囲んで記念撮影。

 来日したのは、モードと食、インテリアの3分野で構成される12社です。100社を超える応募の中から選出されたといいます。

Img_85761_2   モードでは、スポーツテイストのメンズブランド「リュー・ベガン(RUE BEGAND)」(右写真)や、高級紳士靴の「フィンズベリー(FINSBURY)」、ダウンのノウハウで世界的に知られる「ピレネックス(PYRENEX)」、それに森林再生プImg_85801jpg_2 ロジェクトなどを支援しているというフレンチファッションブランド「ファグオ(FAGUO)」(左写真)も来ていました。

  1週間の日程で、日本のバイヤーやディストリビューターと商談、店舗視察など市場調査活動をし、成果を挙げて帰国されたようです。

 来年はフランス産品の日本進出がいよいよいよ本格化しそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年12月 9日 (日)

ファッションワールド東京 スノーピークの山井社長が講演

 アウトドアスポーツが人気を呼んでいる昨今、世界に発信するアウトドア総合メーカーが新潟県三条市にあります。それが「スノーピーク(Snow Peak )」で、その熱狂的ファンという“スノーピーカー”を生み出しているといいます。
Img_83331  先般の「ファッションワールド東京2018秋展」のセミナーに、スノーピーク代表取締役社長の山井 太氏が登壇し、「好きなことだけ!を仕事にする経営 ~熱狂的ファンはいかにして生まれたか~」をテーマに特別講演されました。
 力の入った語り口に引き込まれて、聴き入ってしまった講演会でした。その概要をまとめてみます。

 本社屋はキャンプ場の中にあるというスノーピーク。3年前に東京・原宿にも本部を設けているのですが、そのコンセプトは「人生に、野遊びを。」だそう。山井氏も自らキャンパーといいます。
 まずはその沿革から。創業は1958年で、1986年に入社した山井氏は、アウトドアブームの波に乗り、オートキャンプのブランドを築きます。ブームがピークを迎えた1996年に社長に就任、社名を「スノーピーク」に改称し、1998年、「スノーピークウエー」というキャンプイベントをスタートさせます。2010年頃まで業績がシュリンクしたものの、その後年15%の成長を成し遂げ、10年で売上規模を4.3倍に拡大したといいます。
 次に山井氏は、その発展の原動力について、第一に理念、第二にブランド戦略、第三に熱量と明言しました。
 第一の理念は、同社の企業理念「ザ・スノーピークウエー」で、山井氏がもっとも大切にしているステートメントだそう。つまり自然志向のライフスタイルを提案し、実現するリーディングカンパニーになること。常に革新を起こし、自身がユーザーの立場に立って、お互いに感動できるものを提供していくという考え方です。コンパスがいつも真北を指しているように、いつもぶれることなく、この想いでやってこられたとか。東証一部上場企業になれたのも、20年前に仲間とつくったこのミッションがあったからと、振り返ります。
 第二のブランド戦略では、誰に売るのか、何を売るのか、どう売るのか、選択の自由を行使することが重要といいます。
 誰に売るのかでは、オートキャンプで初めて高価格帯のテントをつくり顧客を選んで販売したそう。日本にはなかったハイエンドな市場を狙ったことがヒットの理由といいます。
 何を売るのかでは、ハードやソフト、感性面で差別化した製品をつくる一方、全製品に永久保証を付けるなどアフターサービスにも努めているとのこと。イベントを行うなどして、ユーザーとのつながりを大事にしていることも好感されているようです。
 どう売るのかでは、問屋を使わずに直営店とECサイトで販売し、ビジネスモデルのシンプル化を実現しているとのこと。
 第三の熱量とは、つまりパッションです。「自分たちが心から欲しいものしか作らない」という信念と、徹底したユーザー目線で独自のものづくりを貫いていると強調。それが熱狂的ファン“スノーピーカー”を生み出しているのですね。
 今ではオートキャンプを中核に、アパレルからアーバンアウトドア、地方創生など、様々な事業を手掛けているというスノーピーク。その情熱に圧倒されます。

 事業を行っている方々にはとくに響くお話しだったのではないでしょうか。講演を終えて、会場はなお興奮冷めやらぬといった雰囲気でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧