ファッションビジネス

2017年5月27日 (土)

JFW-IFF MAGIC テクノロジーでファッションを変える

 ファッション業界では、ファッションテック(ファッション+テクノジロー)という言葉がよく聞かれるようになりました。昨年はVR元年だったなどとも言われます。
 先頃開催のファッション見本市JFW-IFF MAGICでも、「デジタルを使ったアパレル体験を加速」と題したパネルディスカッションが行われ、 関連ベンチャー16社が集うファッションテック・ベンチャーエリアが設けられていました。
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Img_72991_2 そこにはアパレル店舗向けO2Oや人工知能スタイリスト、デッドストックのフリマなど、「テクノロジーでファッションを変える」サービスが目白押し。
 中でも私が注目したベンチャーをご紹介します。

○ヴァーチャサイズVIRTUSIZE
 「ヴァーチャサイズ」はオンライン試着ソリューションです。Img_72911ネットで買いたいアイテムと手持ちの商品をイラストで重ね合わせて比較できるという、スウェーデン発の画期的なシステムです。すでに世界中の多くの有力企業で導入されているといいます。
 代表取締役 上野アンドレアス・オラウソン氏のお話を伺い、パーソナルショッピングの実現!と驚嘆しました。
 ネットショッピングでは、サイズが合うかどうかは一番大きな関心事です。同じMといっても、年によって異なっていることが多く、標準化されていないのです。でもこれを導入すれば、顧客満足度は90%以上、返品率は30%減少し、売上増加につながるといいます。
 同氏は、欧米と日本の欧米のEコマースについても、違いを指摘しました。欧米では、まず買ってもらい、返品OKという仕組みなので、EC化率は高く、返品率も高いそうです。少しでも返品を減らそうと、有力アパレルが採り入れていることに得心します。日本は法律の制約もあって返品が少ないですが、EC化率は1割にも満たない、もとより低いのですね。
 日本は今後大きな市場と、可能性を期待していました。

○ラ ファブリック La Fabric
 「ラ ファブリック」は、オンラインカスタムオーダーのショッピングサイトです。とくに男性のビジネスファッションに力を入れていて、リアル店舗も持っています。一度採寸すれば、その後は好きな時間に好きな場所で気軽にショッピングを楽しめるという仕組みを提供しているのです。生地も選べるように、サンプルを送ってくれるとのこと。注文確定後、約4週間で仕上がり、自宅までスピードで届けていただけるといいます。忙しい人にうれしいサービスですね。
 もうこれでサイズが合わないスーツを着るという、うっとうしさから解放される人が増えそうです。

○光る靴 オルフェ Orphe
 「オルフェ」は動きに合わせて光る靴です。これはno new folk studioがANREALAGEとコラボレーションして開発した、話題のスマートフットウェアです。
Img_72931 スマホのアプリから光の色やデザイン、動きを自由に編集して、これまでにないダンスやアートのパフォーマンスができるようになったといいます。足の動きをセンシングして、運動をリアルタイムで解析し、ファッションやダンスのみならず、楽器やヘルスケア、スポーツ、またARやVRに拡張していけるとも。
 デモンストレーションで見せていただいた七色の光が美しかったです。タップダンスが楽しくなりますね。

○フィッティン FITTIN
 これは女性ランジェリーに特化したオンラインフィッティングサービスです。2_3 またこの春から、オンラインのオーダーメイド・ランジェリーサービスもスタートさせたといいます。
 女性の下着の悩みは声に出しにくいものです。同社パンフレットによれば、78%もの女性がトラブルを抱えた経験があり、70%の女性が下着のサイズを間違えているとのこと。
 店舗での試着アドバイザーを、WEB上で頼める、とあってユーザーが広がりそうです。

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2017年5月26日 (金)

JFW-IFF MAGIC ビームスの日本のモノ、コト再発見

 先般開催されたファッション見本市JFW-IFF MAGICのセミナーで、株式会社ビームス 執行役員 ビームス創造研究所(HALS)所長 シニアクリエイティブディレクターの南馬越一義氏のお話がありました。バイヤーの視点で全国に出かけて日本のモノ、コトを探し出し、“日本”を ブランディングするプロジェクトをディレクションされています。Img_72061jpg 「新しい価値の創造に挑む~日本の優れたコト、モノを再発見し、発信する~」をテーマに、その取り組みを対談形式で語りました。

 お話は、2012年にファミリー3世代へ向けた新業態「ビーミング ライフストア(B:MING LIFE STORE)」を立ち上げたときのことから始まりました。当時は“ゆるキャラ”ブームで、中でも人気ナンバーワンだったのが「くまモン」です。この「くまモン」とコラボレーションして、大物産展を開催。熊本の手工芸品メーカーと組んでつくった「くまモン」グッズは大当たりし、大いに盛り上がったそうです。
 その後、東北の復興支援で、山形県のけん玉、福島のシルクや会津木綿、岩手の裂き織などを手がけ、地方との仕事が多くなっていったといいます。そうしたローカルとの出会いが広がる中、ビームス創業40周年の昨年、三越伊勢丹とのプロジェクト「スタンド フォーティセブン(Stand 47)」がスタートします。年末に開いた大縁起物市も大ヒット。これは九州と東北の縁起物と国内外のアーティストとのコラボ企画で、双六とかご祝儀袋など様々な雑貨からファッションでは長崎のパーカもよく売れたとか。
 セレクションの切り口は、何といっても「おもしろい」ことだそう。おもしろくて楽しいものをつくりたい、それが大前提といいます。伝統工芸だからといって必ずしもメイドイン・ジャパンにこだわらないし、また若い世代で頑張っている人たちと組むことも大事なポイントだそう。
 さらに目利き力は歩くことでついてくるとも。その地域とのつながりが地方を活性化することにも意義を感じるといいます。

 この春は、JTB国内旅行企画との協働プロジェクト「JTBeams」も創設しています。リリースによれば、モノ・コト・ヒトをキーワードにニッポンを楽しむコミュニティを創出し、地域活性につなげていくとのことです。自分も含めて、日本人なのに案外日本のことを知りません。ここにはきっと驚きの発見がありそうです。今後の展開を期待します。

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2017年5月25日 (木)

JFW-IFF MAGIC 尾原蓉子氏講演会「創造する未来」

 去る4月26~28日、東京ビッグサイトでファッション見本市JFW-IFF MAGICが開催されました。今回は従来のJFWインターナショナルファッションフェアと米国ラスベガスの合同展MAGICとの共同開催となり、700を越えるブランドが出展したといいます。

Img_71921  セミナーも多数行われ、そのトップを切って講演されたのが、一般社団法人ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション 代表理事・会長尾原蓉子氏です。昨年、出版された「Fashion Business 創造する未来」(繊研新聞社刊)を軸に、今年も参加された全米小売業大会からの最新情報も交えて、ファッションビジネスの未来を語られました。テーマは「Fashion Business 創造する未来 ― デジタル化とディスラプションでどんな未来を創造出来るか?」です。

 冒頭、強調したのが、ディスラプション(創造的破壊)の進行というビジネスの大潮流です。デジタル技術により既存ビジネスがディスラプトされ、ビジネスのパーソナル化と個人のライフスタイルを支援するサービス化が引き起こされているといいます。この新しいビジネスに未来を創造するチャンスが生まれていると指摘しました。
 今や時代は第4次産業革命に突入。アパレル小売業は、有店舗と無店舗合体販売からオムニチャネルへ、さらにマイストア―顧客専用にカスタマイズできるストアへ進化しつつあるといいます。顧客も変化し、従来のミレニアル世代とは異なる1990年代生まれのゼット世代が浮上。彼らは欲しいモノを楽に手に入れたいと思うキャラクターの持ち主です。そこで間接<仲介なしの直接、秘密性<オープンな透明性、一般向け<私にとって意味のあるものを求める傾向が一層強まるといいます。モノづくりの方向も従来のマス向け量産から個人向けカスタム生産へ向かうと明言します。
 次に米国におけるディスラプションの様々な成功例を紹介しました。いずれも日本の未来のヒントとなりそうな事例です。
 まずモバイル・オンディマンドの「Uber」、高級ファッションレンタルの「Rent the Runway」、メガネのネット販売「Warby Parker」、続いて「Bonobos」のショールーム・セールス・モデルです。これはリアル店舗が試着室で、販売はオンラインで行う新業態、またAIの活用で顧客に合うものを提供するパーソナル・スタイリング・サービスの「Stich Fix」、徹底的な透明性を謳い、生産から流通、消費者の元へ届くまでの全過程と、その過程にかかるコストを開示する「Everlane」など。こうしたサイトでは客が値付けする「ダイナミック・プライシング」も始まりつつあるといいます。適価販売はマーケティングの王道とも。
 こうした動きをリードするのがアマゾンで、昨年度売上はメイシーズを抜き14兆円に達したといいます。人工知能スピーカー「Amazon Echo&Alexa」は、音声と連携したサービスで新時代を予感させます。レジのない画期的な店舗「Amazon Go」も話題です。
 小売りの現場ではレベッカ・ミンコフやケイト・スペード、またリーバイスなど、VRやARを実践しているところが目立っているといいます。ノードストロムの顧客管理システム、サイズやフィットの問題を解決する「True Fit」サービスなど、枚挙に暇がないといった感じでした。
 さらにマズローの欲求5段階説によるマーケットの現状分析も印象に残りました。日本は現在5段階目の自己実現欲求にあり、消費者は自分自身にとって特別なものを追求するようになっているといいます。そこで重視されるのが感性価値、たとえば手紡ぎ手編みのセ―ターなど、感動を呼び起こすエモーショナルな商品というわけです。
 最後にファッションの未来形として、次の4つのDを提言。Design (デザイン設計)、Development(製品開発)、Display(提示)、Distribution(流通販売)です。そしてテキスタイルとアパレル、小売りを連動させることの重要性について改めて言及。日本のファッションビジネスの課題として、デジタル化とパーソナル化に向けたEコマースの実践が焦眉の急と業界をプッシュ。「The store is not dead. It’s digitalized.」(小売りホワイトペーパー)の言葉で、締め括りました。

 短時間でしたが、大変充実した実り多い内容で、さすが重鎮と敬服しました。

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2017年5月15日 (月)

コットンインコーポレイテッド 2017米国と日本の市場動向

 今年も米国コットンインコーポレイテッド社による「マーケット・リサーチ・プレゼンテーション」が4月21日、東京・日本橋で開催されました。講師は例年通り同社マネージャーでマーケット・アナリシスのジャスティン・コーテス氏です。
Img_71821  世界の市場を調査している同社の資料から、とくに2017年の米国と日本の市場動向について分析された結果を、「EMBRACING DISRUPTION (新しいテクノロジーを受け入れて突破口を見出す)」を基に解説されました。
 テーマは大きく二つあり、一つは「RETAIL RADICALS (小売ラジカル)」、もう一つは「JAPAN REIMAGINED (再構築される日本)」です。

 まず一つ目の「RETAIL RADICALS (小売ラジカル)」です。これは今まさにグローバルトレンドとなっているテクノロジーに焦点を当てたお話しで、小売業がテクノロジーをいかに駆使しているかについて、4つのポイントに絞って、語られました。
 第1に、カスタマイゼーションです。競争力を高めるにはこのテクノロジーが欠かせないと断言します。
 オンラインセールスはますます加速します。しかし先進国では衣類離れに歯止めがかからない。2016年の総支出にみるアパレルシェアは米国、日本とも3%、EUも4%で、2030年までの伸び率は米国やEUで1%程度とごくわずかとみられています。これに対して中国やインドでは現在5~7%で、2030年には倍増が予想されるなど、成長の可能性が非常に高い。
 こうした状況下、業績を伸ばすことができるのはテクノロジーで他と差別化可能なカスタマイゼーションを採り入れている企業といいます。例えばこの3月にオーダーセーターを2時間で完成させる「セーター・ロボット」をローンチしたアディダスや、この2月に「CODE COUTURE」を立ち上げたH&M。トップショップのウエアラブルテクノロジーに特化したスタートアップの発掘、及び育成プログラム「TOPPITCH」などを映像でプレゼンしました。
 第2に、触感・質感といった問題解決への努力です。これはオンライン販売の向上をはかるのに不可欠といいます。
 アンケート調査によると、10人中7人がオンラインでカスタマイズできるブランドを購入すると答えていて、とくにミレニアル世代ほど高いそうです。ただしオンラインでの服の購入は、試着できない、質がわからないといった不満があり、返品も多くなります。そこでこれを限りなく解消する突破口を開くことが鍵になります。例としてファッションレンタルビジネスの「RENT A RUNWAY」が行っている、顧客とほぼ同じサイズの人が衣装を着装する動画サービスや、ギャップが導入している「試着室アプリ」、これは体型に合ったアバターが試着するものなどが紹介されました。
 第3に、グローバルにローカライズするということです。とくにアパレル支出の増大が見込まれる中国やインド市場にフォーカス、各地域の特性に合わせたカスタマイゼーションや交流が重要になってくると指摘します。中国も広東はファッショニスタが多く、上海はアスレティックに熱心、北京はインターナショナルというように、求めるものが異なると数字を上げて解析。インドでは女性運動の一環として、女性たちにスポーツ参加を促すプログラムを提案するナイキの事例など、成功例を挙げました。 
 第4に、サスティナビリティの追求で、多方面から天然素材が推奨されているといいます。マイクロファイバーによる水質汚染や、レーヨン繊維の使用で樹木が伐採され森林枯渇が起こっている問題などに言及。世界中の85%の人々がコットンは環境にやさしいと回答し、3人中2人が化合繊使用を不快に感じ回避しているとの調査報告を公開しました。コットンに関する誤った情報を正すことを強調していたことも印象に残りました。

 次に二つ目のテーマ、「JAPAN REIMAGINED (再構築される日本)」です。日本は今後少子高齢化の影響でマーケットが縮小し、2030年のアパレル消費額は7.9兆円と現在より17%減少すると予測されています。こうした中、明るいと見られているカテゴリーが下記4つです。
 1つは、アクティブウェア市場です。機能的な服を購入する消費者が増え、2020年に向けて販売額は17%増と見込まれ、ワードローブの主要アイテムになってくるといいます。
 2つ目は、デニムです。二人に一人がデニムを着用するようになり、オフィスで、また洗練されたものならディナーでも、ジーンズをはく機会が拡がるといいます。2022年に売上高は現在より9%上昇するとの見方も示しました。
 3つ目には、オンラインショッピングです。2030年には日本人の99%がインターネットにアクセスするといわれ、ますます勢いを増しそうです。2021年にEコマースサイトでの販売は46%になり、55%がモバイルで買い物を楽しむようになるといいます。そこでサイズ、フィット、マテリアル、レビューといったきめ細かな情報の伝え方が大事とアドバイスされました。
 4つ目は、アパレル輸入で、サプライチェーンが多様化するといいます。品目としてはニット81%、織物19%の割合で、ニットが圧倒。とくに東南アジアからのサプライヤーの急増は止まらず、この流れは変わらないとみているようです。

 なお日本における調査は、15~54歳の男女を対象にオンラインで実施、第3者機関に依頼し、CCI国際綿花評議会とコットンインコーポレイテッド社とのコラボレーションで行われたといいます。

 最後に、同氏のセミナーは今回で終了とのことです。毎年、世界市場と日本のマーケット動向について貴重なお話しを伺い、大いに参考にさせていただきました。心よりお礼を申し上げたいと思います。ほんとうに長い間、ありがとうございました!

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2017年4月26日 (水)

WEFシンポジウム ⑵ 未来のファッション・ビジネスを考える

 昨日のブログの続きです。 
 ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション(WEF)主催のシンポジウム「デザイン・シンキング(Design Thinking)-これからのファッション・ビジネスの価値創造に不可欠なアプローチ―」で、アーティスト/bcl /Poiesis Labs. CEOの福原志保さんが登壇。「アーティストとクリエイティブ・イノベーションの関係から未来のファッション・ビジネスを考える」をテーマに基調講演しました。

Img_69871  セントマーティン修士課程修了の気鋭のバイオ・アーティストという福原さん。故人の遺伝子を樹木に埋め込み墓標とする新しい埋葬サービス会社、バイオプレゼンス社を立ち上げています。きっかけとなったのは昭和天皇の大喪の礼で、日本にはお墓が不足していることに気づいたことからだそう。
 Google社のウェアラブル衣料開発プロジェクト「Google ATAPプロジェクト・ジャカード」のリーダーでもあり、講演はこの画期的なジャカードの話が中心でした。これは私も以前から大いに注目していたもので、まさに“未来を拓く”といっても過言ではないテキスタイルです。 
 福原さんは、このGoogle ATAPチームとリーバイスが共同開発したコミュータージャケットを動画で紹介しました。スマホと連動するウェアラブル・ジャケットで、袖のカフス部分にセンサー機能を持つ電導性のある繊維を織り込んだジャカードデニムが使用されています。この布にチップ内蔵のタグを接続することで、デバイス操作ができる仕組みです。発売は今春とのことでしたが、今秋になるそうで、価格は350ドル(約4万円)とか。
 鍵となる電導性繊維は、何と日本製! 銅線にポリエステル繊維を複雑に組み合わせたもので、日本伝統の組紐技術が使われているそうです。テキスタイル企画会社アンファンテリブルと組み、八王子の澤井織物工場で製造されたといいます。後で洗濯について伺いましたら、できるとのことでした。
 デニムのみならず様々なテキスタイルに織り込み可能ですから、衣服をはじめシューズなど、多様なアイテムがインターフェイス化されていくことになるのでしょう。そう思うとこの「見えない技術」にわくわくします。
 それにしてもGoogle社がファッション・ビジネスの世界に乗り出してくるとは----、未来の業界地図は大きく変わっていきそうですね。

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2017年4月25日 (火)

WEFシンポジウム ⑴ 無印良品の“感じ良いくらし

 先月末、ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション(WEF)主催のシンポジウム「デザイン・シンキング(Design Thinking)-これからのファッション・ビジネスの価値創造に不可欠なアプローチ―」が、都内ホールで開催されました。
 冒頭、WEF尾原蓉子会長は、「ファッション・ビジネスは今、大きな壁にぶつかっている。これを打破するために、ゼロベースで消費者の本音に密着したビジネスモデルが求められている。そのリーダーに基調講演をお願いした」と挨拶。
Img_69781  その演者として最初に登壇したのが、(株)良品計画の代表取締役会長、金井政明氏です。
 金井氏は、「無印良品のデザイン哲学“感じ良いくらし”~グローバルブランドを育てた生活美学~」をテーマに、そのビジョンを語りました。

 まずデザイン哲学は、1980年の創業時と変わっていないといいます。当時、堤清二社長は消費社会に疑問を持ち、田中一光氏とともに、ブランドや印などつけずに販売することをコンセプトにしました。トレンドに流されない自分らしく美しく暮らしたい人々に向けて、「役に立つ」を大戦略とし、人間らしい生活の回復に焦点を当てたのですね。 
 ここで例として挙げたのが、フォーク&スプーンとお箸の比較です。前者は誰がやっても同じ結果を出せる “道具の脱人間化”、後者は練習により道具が自分の体の一部になる“道具の人間化”で、道具も人間と同じ自然の中で生きた存在になっているといいます。日本人の生活美学の一端が見えてくるようです。
 またもう一例として「自己家畜化」の話をされました。豚を家畜化すると人間にとって有益な能力は伸びるが、本来の力は退化します。人間も同様で、現代社会にあまり必要でない能力は退化していく。そこで無印良品では、この消費社会の中で失ったものを取り戻そうと、簡素で簡潔、しかも丁寧で調和のとれた生活美学を提案しているといいます。
 次に“感じ良いくらし”についてです。この考え方は、2011年の東日本大震災をきっかけに生まれたそうです。この頃から利他主義的な精神がリスペクトされるようになり、抑制や我慢が、むしろ“感じ良い”ものと思われるようになってきたといいます。モノづくりのビジョンも、「これがいい」ではなく「これでいい」へ、つまり価値観が従来の個性の強いモノから、理性的満足感のあるモノへ移行するようになっていきます。そこで省資源、省アイテム、汎用性の精神で、例えばお箸に通じるようなモノをつくる、それが足つきマットレスなどのヒット商品につながっていったといいます。

 今や「MUJI」は世界的に評価が高まっています。海外店舗数も2020年には国内を上回る400以上に増やすといいます。その背景には、そうした“感じ良いくらし”のデザイン哲学に世界の人々が共感する価値観の変化があるからでしょう。
 “感じ良いくらし”の持つ深い意味に気づかされた、目からウロコのご講演でした。

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2017年3月31日 (金)

17/18AW AFWT「服づくり4.0」ジュンハシモトの成果発表

 今回のアマゾンファッションウィーク東京(AFWT)で、「服づくり4.0」プロジェクトが始動しました。これは橋本 淳デザイナーが手がける「ジュンハシモト(junhashimoto)」と繊維産地/工場が直にコラボレーションし、シタテルのITプラットフォーム「マイアトリエ」を通じて服づくりを行うというものです。従来の服づくりとは異なる、デジタル時代の服づくりを実証実験する経済産業省によるプロジェクトです。

Img_62171  この成果を発表するイベントが、20日、渋谷ヒカリエで開催され、作品を作成する過程の映像とともにトークショーやインスタレーションが行われました。
 トークでは、橋本 淳氏らが登壇して、日本のファッションブランドのグローバル化の必要性が議論され、「デジタル化で作り手と顧客の距離が近くなり、コスト面で15%程度削減できている」とデジタル化のメリットなどが語られました。

 インスタレーションでは、「ジャパニーズ・クラシコ」をコンセプトに、イタリアで培った美意識を日本人の「粋」の精神に基づく細やかな仕事により表現する「ジュンハシモト」の服が展示されました。Img_62241

 展示された服は来場者がその場でオーダーできるといいます。まさに「See now buy now」の試みで、いよいよファッション革命? その予兆のようなものを感じました。

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2017年2月16日 (木)

2018春夏テックスワールド ⑴  CCI出展は今回が最後

 パリのル・ブルジェで、この6日~9日、テックスワールド(TEXWORLD 略してTW)パリ展が開催されました。これは世界中のテキスタイルが一堂に集結する巨大な見本市です。初日はプルミエールヴィジョン・パリ展の前日でもあり、ラグジュアリーブランドも数多く訪れます。

 出展したのは、TW展に25か国732社、アパレルソーシング展に272社でした。TW展では、中国が412社と圧倒的な存在感です。次いでトルコが89社、韓国77社、インド54社、台湾25社、パキスタン24社、タイ12社、香港9社と続きます。米国は1社、国際綿花評議会(COTTON COUNCIL INTERNATIONAL 略称CCI)が出展していましたが、来期はないということです。日本企業の姿は今回ありませんでした。
 実は多くの企業がTW展をグローバル市場に参入するための登竜門と考えています。ここで手応えをつかみ、この後プルミエールヴィジョン・パリに乗り出すというパターンです。

 今期が最後となった上記CCIも、次回9月展からはプルミエールヴィジョン・パリ展に出展するとのことです。理由はクライアントの減少だそう。
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 写真は今回ブースでサービス活動を行ったCCIのスタッフです。
 左からロンドンのステファニー・ティエール・ラトクリフ(STEPHANIE THIERS-RATCLIFFE)さん、 香港のアリッサ・ロー(ALLISA LAU)さん、デュッセルドルフのエデルガルド・バウマン(EDELGARD BAUMANN)さんです。

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2017年2月 4日 (土)

第24回ミラノウニカ 未来を見つめて華やかに開幕

 この1月31日に日本を出発し、ミラノに来ました。欧州テキスタイル見本市を視察し、テキスタイル動向を取材する旅行で、ミラノの後、ロンドン、パリを巡ります。

  ミラノでは、2月1日から3日開催の2018春夏ものを発表するイタリアのテキスタイル見本市、第24回ミラノウニカを取材しました。

 昨年9月にフィエラミラノ・ローへ会場を移転し、2度目の開催となる今回は、レイアウトを刷新し、ブースの位置がわかりやすくなりました。またバッジのQRコードをチェックする出展社も増えた印象です。その一方で感じたのが、会場の広さです。モーダインファブリックをはさむようにイデアヴィエラとアクセサリーエリアが配され、トレンドエリアはアクセサリーエリアの最端です。前回の経験をもとに改良されたそうですが、トレンドエリアは遠く、やはり入口近くがよいと思いました----。

Bozzaautomatica10  初日恒例のオープニング・セレモニーは会場を出た先にあるビジネスセンターで行われました。登壇したのは、エルコレ・ポッド・ポワーラ会長やミラノ市ファッション評議員クリスティナ・タジャニ氏、システマモーダ会長のクラウディオ・マレンツィ、経済発展省政務次官のイヴァン・スカルファロット氏といったお歴々です。各人各様に、世界に扉を開き、ハイエンドに目を向け未来を見つめながら、テクノロジーと現代性をより重視した見本市にしていくとスピーチしました。
 とくにポアーラ会長は、新しく導入するインタラクティブなプラットフォーム「MU365」を紹介。各企業の大きなビジネスチャンスにつながるアセットと、アピールしていました。 
 出展企業は今回、イタリア企業300社とイタリアを除くヨーロッパ企業65社、それに日本企業40社と韓国企業22社を加えた総数427社です。前回同様、まずまずの人の入り、商談も活発のように見受けられました。

 翌日、ポワーラ会長の記者会見があり、これによると各企業の初日の反応は概ねポジティブとの感想を得たといいます。ヨーロッパ市場及び日本、中国も安定し、米国はトランプ政権下、何が起こるかわからないものの好調。とくに縮小していたロシア市場に期待を寄せている様子でした。
 また来期について、7月への変更は、メンズのみならずレディス関連でも好意的に受け止めているといいます。次の上海ウニカもできればタイミングを少し早めたいとコメントされていました。
 さらに中国の記者から、またしても中国メーカーの出展の可能性はないのかと訊かれて、それはないときっぱりと否定。日本や韓国メーカーは、イタリアでできないような価値あるものをつくっていることが評価されているといいます。ミラノウニカとしては、中国はやはりマーケットとみているのでしょう。
 最後に新WEBサイトの「MU365」に触れ、話題の「See Now Buy Now」のフレーズをもじって、「See Now Pay Now」と語ったユーモアもセンスがある、と思ったことでした。

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2017年1月12日 (木)

全国アパレルものづくりサミット― パネルディスカッション

 (昨日のブログの続きです。)

 第4回「全国アパレルものづくりサミット」の第二部は、パネルディスカッションでした。登壇したのは、日本発ものづくりを核とするビジネスを展開しているセンチュリーエール代表取締役社長 森本 尚孝氏、バーンズファクトリー代表取締役 松浦 永氏、メーカーズシャツ鎌倉取締役会長 貞末 良雄氏、それに日本アパレル工業技術研究会会長 近藤 繁樹氏です。3社のトップは、それぞれ独自のビジネスについて語られ、また近藤氏は、ビジネスの国際標準化やJ∞QUALITY事業に関する興味深いお話しをされました。
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 そのポイントをまとめてみましょう。

 森本氏が代表を務めるセンチュリーエールは、高品質な紳士服オーダースーツを手がけて54年になられるとか。世界中どこから客が来てもオーダースーツを出せる体制を整備。ロンドンのサヴィルローのテイラーともコラボし、英国の伝統を日本製で具現化しているといいます。
 今世界はオーダーブームだそう。AIを活用し、フィッティングの仕組みを確立、最新自動縫製も採り入れながら日本の匠を活かすものづくりを進めているといいます。

 バーンズファクトリー代表の松浦氏は、同社のT.P.S(Twin Plover Seam)ミシン縫製(写真右)を紹介。これは日本でしか流通していないミシンだそうで、突合せで縫うので縫い代が出ません。Img_31401jpg_2
 ロビーではカシミア100%のパッチワークのコートを展示していました。(写真右)
 都内板橋区の丸編みカットソーメーカーで、一本の糸から製品まで、日本製こだわったモノづくりを目指すファクトリーです。

 メーカーズシャツ鎌倉会長の貞末氏は、海外進出にますます前向きです。一昨年ニューヨークに2号店、昨年は台北に、また次は韓国や香港にも出る意向のよう。工場の将来を考え、売上数量増が工場の希望になるといいます。
 ネット取引も年間売り上げの25%を占め、64か国にダイレクトに販売しているそうです。ただし最近はデリバリー事情が悪化しているとの懸念も示されました。とはいえ海外に出店したことで、胸ポケットのないシャツを求められるなど、多くのことを学んだと述べ、あくまでも謙虚。新しい体験の中に機運を見つけることが大事と諭されたことが印象的です。

 日本アパレル工業技術研究会の近藤会長は、アパレル用国際インフラづくりや、2014年から携っているJ∞QUALITYの動向などを解説。織り編み、染色、仕上げ、縫製の4工程のすべてが日本製と認証された企業数は現在、715社、商品認証数993品番に上っているそうです。
 とくに注目は日本発の3次元サイズ国際標準への取組みです。日本が売れるインフラを、アマゾンやグーグルに先駆けてつくろうと提案されているのです。グローバルなインフラへの挑戦、大いに期待しています。

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