ファッションビジネス

2019年1月16日 (水)

「日経クロストレンド2018」消費を変えるトレンドを体感

 「日経クロストレンド2018」というイベントが昨年11月末に東京国際フォーラムで開催され、2019年に向けて消費を変えるとみられるテクノロジーやトレンド、ヒットを体感してきました。遅ればせながら、その模様をお伝えいたします。

 出展ブースではトライアルさせていただけるものが多く、それぞれに皆、興味深かったです。

 中でもファッション関連で注目したのは、レナウンの「着るだけ」です。Img_92531jpg
 これは男性向けビジネスウェアのレンタルサービスです。コーディネイトやクリーニング、保管など面倒なことを一切気にせずに、ただ「着るだけ」でよいというもの。料金は月額制でスーツ2着が4,800円からとのこと。
 こんな風に「買う」のではなく「借りる」という流れがスーツにも来ているのですね。一つ気になったのは、似たようなスーツのレンタルサービスを行っていたアオキの「suitbox」が、最近撤退したというニュースです----。とはいえ昨今レンタルはもうフォーマルウェアだけではなく、女性服では普段着にも広がってきています。流れに乗ると期待しています。

 またコニカミノルタの「クンクンボディ(kunkun body)」もスゴイ、 と思ったテクノロジーです。これはニオイをかぎ分けるAIシステムで、目に見えないニオイを「見える化」する、つまりニオイを測定するツールなのです。
Img_92471  ブースでは体臭や口臭などをタッチ&トライしていました。私も体験してみて、結果はニオイはないとのことで安心しました!

 職場内などでよく、どうにかして欲しい、と思うことのトップが、体臭や口臭だそうです。アンケートでも約7割もの人が、ニオイが気になる、と答えているとか。スメルハラスメント(スメハラ)という言葉も出てきていますね。
 「クンクンボディ」は、こんなニオイの問題を解決する画期的な技術、と思われます。今後の展開が注目されるところです。

 会場では、恒例の日経トレンディによる2018年のヒット商品ベスト&2019年のヒット予測ランキングが、ずらりと展示されていました。
 簡単にご紹介すると、2018年のヒット商品ベスト30では、第一位が安室奈美恵、第二位 ドライブレコーダー、第三位 ペットボトルコーヒー、第四位 「ゾゾ」スーツ,第五位 グーグルホーム&アマゾンエコー、第六位 漫画「君たちはどう生きるか」、Img_92561jpgそして第七位が「アイボ(aibo)」でした。
 「アイボ」はご存知ソニーの犬型ロボットです。思っていたよりもずっと小さくて、だっこしやすそう。ほんとうに愛らしい!
 2018年1月11日(ワン、ワン、ワン)に発売を始めて、7月までの半年間で2万台売れたとか。今はもう予約待ちの状況といいます。

 2019年のヒット予測ランキングでは、第一位が日仏激安&高機能カジュアル「デカトロン&ワークマンプラス」、第二位 新ニッポンの夜明け「新元号フィーバー」、第三位 アジア最強の書店「誠品生活」----となっています。
Img_92641  上は、売れ筋予想トップの「デカトロン&ワークマンプラス」のコーナーです。
 アウトドアスポーツは昨年以上に大きな旋風を巻き起こすことになりそうです。

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2019年1月15日 (火)

筆記具のトップメーカー「三菱鉛筆」を訪問して

 先般、誰もが知っている筆記具のトップメーカー「三菱鉛筆」本社を訪ねました。これは日本ファッション協会うらら会の活動の一環として行われた企業訪問活動です。
 本社は昨年8月に竣工した大井町駅前にある新しい社屋で、エントランスホールは同社製品の展示スペースとなっています。
Img_93101jpg   
 実は私は、「三菱鉛筆」はその社名からてっきりあの三菱グループの中の会社と思っていたのです。でも実はそうではありませんでした。あの有名な三菱のマークと「三菱」の商標も、「三菱鉛筆」が明治36年に三菱財閥に先だって商標登録していたと聞いて、びっくり!
Img_93081  また鉛筆が中心のメーカー、というのも大きな間違いでした。三菱鉛筆といえば、あのおなじみのえび茶色の鉛筆「ユニ(UNI)」を連想します。もちろん鉛筆は50年来のロングセラー商品ではあるのですが----、今ではもう鉛筆よりもボールペンが主軸といいます。
 世界で圧倒的なシェアを持つ水性ボールペン「ユニボール」や、ガラスや革製品などにも書くことができ、幅広い年齢層に愛される「ポスカ」、驚くほどになめらかな書き心地で、ボールペンの概念を覆した「ジェットストリーム」、Img_93171上向きに書けるので重力の無い宇宙でもまた水中でも使えるボールペン「パワータンク」、 さらに「消せるペン」(右写真)など、同社は私たちに身近な商品を次々と展開されています。
 最近発表された鉛筆のような高級ボールペン「レイヤード(LAYERED)」も話題ですね。

 またここ30年は、化粧品事業にも乗り出されているそうです。筆記具メーカーが何故? と不思議に思いますが、きっかけは筆ペンをマニキュアに応用したことだったとか。ペンで培った技術を活かして、アイライナーや白髪隠しなどといった化粧品をつくっているといいます。
 インクの新開発技術である顔料と染料のいいとこ取りした新色材も学ばせていただき、目からウロコでした。
 ファッションとは直接関係ない異業種をフィールドワークすると、いろいろな発見があります。ご担当者に心より感謝の意を表します。

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2019年1月14日 (月)

リシュモン ジャパン「ラグジュアリービジネスのこれから」

 リシュモンといえば、「カルティエ」や「ヴァン クリーフ&アーペル」「ピアジェ」「ジャガー・ルクルト」「IWC」「モンブラン」「ダンヒル」「クロエ」などのビッグブランドを傘下に持つグローバル企業です。売上は全世界の9%、LVMHに次ぐ第2位で、その半分はアジア市場に依存し、日本はその内の9%を占める重要な市場といいます。
 その日本法人、リシュモン ジャパンの代表取締役社長 三木 均氏による講演会が、先月初め、東京・渋谷のカラート71にて行われました。Img_92801jpg_3テーマは「ラグジュアリービジネスのこれから」で、ラグジュアリーマーケットはどう変化していくのか、普段は耳にできない貴重なお話しでした。要旨を簡単にまとめてみましょう。

 まずラグジュアリーブランドとは? からです。1990年代頃から高級品・高級ブランドに使われ出した言葉で、とくに定義はないそうです。とはいえそこには、①歴史があること、②世界流通していること、③アイコン商品や技術意匠があることの、3つの要素があることを指摘。ラグジュアリーブランドにはこれらが三拍子揃っていてそれ故に差別化されていると位置づけました。
 次にリシュモングループの現状についてです。同グループには現在、ファッションや宝飾品、時計類などのラグジュアリーブランドが20社あり、中でももっとも力を入れているのがハイジュエリーのビジネスであるそう。ハイジュエリーは今、資産価値として見直されているといいます。そこで顧客が期待する以上の豪華なイベントや贅沢なVIP向け企画を打ち出し、その魅力をアピールしていると実例を紹介。ブランドビジネスでは、必要性に駆られての“ニーズ”よりも、理屈ではない感情、“ウォンツ”を満たすことが肝要と強調しました。
 さらに今後の見通しです。
 一つはデジタル化で、米国ではラグジュアリーブランドの11%がE-コマースなのに対し、日本では1%にも満たないとのこと。これからは日本のE-コマース市場が飛躍的に伸びるとみているそうです。3年から5年以内にはすべてがバーチャル化する近未来の世界を予測、ビジネスの可能性はますます広がるといいます。
 もう一つはハイジュエリーのオートクチュール化です。ハイジュエリーもオートクチュールとほとんど同じ仕組みになり、その客にしか提供できない一つだけのモノをつくって、1対1で取引する時代になってくるといいます。これはまさにラグジュアリービジネスの究極の世界ですね。このためこれからはラグジュアリービジネスがサプライビジネスからデマンドビジネスになる、新しいリテールが予想されると言及しました。
 そこで浮上してくるとみられる2次流通にも触れられ、車における中古車市場のようなことがハイジュエリーのビジネスでも確立していくといいます。レンタルシェアもブランドのよさを認識できるという意義があり、それによりウォンツが生まれるとみているそうです。サステナビリティが話題の昨今、印象的なお話でした。
 この他ブランドの規模では、1兆円を目指すとしながらも、クオリティを担保しながら成長を促す、また中国市場もターゲットであり続けるなど、ラグジュアリービジネスの動向をつぶさに語られました。
 今後のヒントとなるキーワードも多く、予想以上に内容の濃い講演会でした。

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2018年12月26日 (水)

“フレンチライフスタイル” で来日 輸出促進をアピール

 先月8日、フランス大使館で行われた「“フレンチライフスタイル” 来日ミッション」の記者会見に出席しました。
 これはフランスのエレガントで気取らない豊かさを日本市場に訴求しようという、輸出促進のための取り組みです。来春EPA(日EU経済連携協定)がスタートすることもあり、フランスはモードだけではない、豊かなライフスタイルを持つ国であることをアピールする狙いもあるようです。
 フランス公的投資銀行(bpiフランス)による初の公的支援と、またマカロンなどで著名なパティシエのピエール エルメ パリ (PIEREE HERME PARIS)のサポートもあって実現したといいます。

Img_85661  ローラン・ピック駐日フランス大使を囲んで記念撮影。

 来日したのは、モードと食、インテリアの3分野で構成される12社です。100社を超える応募の中から選出されたといいます。

Img_85761_2   モードでは、スポーツテイストのメンズブランド「リュー・ベガン(RUE BEGAND)」(右写真)や、高級紳士靴の「フィンズベリー(FINSBURY)」、ダウンのノウハウで世界的に知られる「ピレネックス(PYRENEX)」、それに森林再生プImg_85801jpg_2 ロジェクトなどを支援しているというフレンチファッションブランド「ファグオ(FAGUO)」(左写真)も来ていました。

  1週間の日程で、日本のバイヤーやディストリビューターと商談、店舗視察など市場調査活動をし、成果を挙げて帰国されたようです。

 来年はフランス産品の日本進出がいよいよいよ本格化しそうです。

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2018年12月 9日 (日)

ファッションワールド東京 スノーピークの山井社長が講演

 アウトドアスポーツが人気を呼んでいる昨今、世界に発信するアウトドア総合メーカーが新潟県三条市にあります。それが「スノーピーク(Snow Peak )」で、その熱狂的ファンという“スノーピーカー”を生み出しているといいます。
Img_83331  先般の「ファッションワールド東京2018秋展」のセミナーに、スノーピーク代表取締役社長の山井 太氏が登壇し、「好きなことだけ!を仕事にする経営 ~熱狂的ファンはいかにして生まれたか~」をテーマに特別講演されました。
 力の入った語り口に引き込まれて、聴き入ってしまった講演会でした。その概要をまとめてみます。

 本社屋はキャンプ場の中にあるというスノーピーク。3年前に東京・原宿にも本部を設けているのですが、そのコンセプトは「人生に、野遊びを。」だそう。山井氏も自らキャンパーといいます。
 まずはその沿革から。創業は1958年で、1986年に入社した山井氏は、アウトドアブームの波に乗り、オートキャンプのブランドを築きます。ブームがピークを迎えた1996年に社長に就任、社名を「スノーピーク」に改称し、1998年、「スノーピークウエー」というキャンプイベントをスタートさせます。2010年頃まで業績がシュリンクしたものの、その後年15%の成長を成し遂げ、10年で売上規模を4.3倍に拡大したといいます。
 次に山井氏は、その発展の原動力について、第一に理念、第二にブランド戦略、第三に熱量と明言しました。
 第一の理念は、同社の企業理念「ザ・スノーピークウエー」で、山井氏がもっとも大切にしているステートメントだそう。つまり自然志向のライフスタイルを提案し、実現するリーディングカンパニーになること。常に革新を起こし、自身がユーザーの立場に立って、お互いに感動できるものを提供していくという考え方です。コンパスがいつも真北を指しているように、いつもぶれることなく、この想いでやってこられたとか。東証一部上場企業になれたのも、20年前に仲間とつくったこのミッションがあったからと、振り返ります。
 第二のブランド戦略では、誰に売るのか、何を売るのか、どう売るのか、選択の自由を行使することが重要といいます。
 誰に売るのかでは、オートキャンプで初めて高価格帯のテントをつくり顧客を選んで販売したそう。日本にはなかったハイエンドな市場を狙ったことがヒットの理由といいます。
 何を売るのかでは、ハードやソフト、感性面で差別化した製品をつくる一方、全製品に永久保証を付けるなどアフターサービスにも努めているとのこと。イベントを行うなどして、ユーザーとのつながりを大事にしていることも好感されているようです。
 どう売るのかでは、問屋を使わずに直営店とECサイトで販売し、ビジネスモデルのシンプル化を実現しているとのこと。
 第三の熱量とは、つまりパッションです。「自分たちが心から欲しいものしか作らない」という信念と、徹底したユーザー目線で独自のものづくりを貫いていると強調。それが熱狂的ファン“スノーピーカー”を生み出しているのですね。
 今ではオートキャンプを中核に、アパレルからアーバンアウトドア、地方創生など、様々な事業を手掛けているというスノーピーク。その情熱に圧倒されます。

 事業を行っている方々にはとくに響くお話しだったのではないでしょうか。講演を終えて、会場はなお興奮冷めやらぬといった雰囲気でした。

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2018年12月 5日 (水)

ファッションワールド東京 早乙女喜栄子講演 VMD語る

 先般の「ファッションワールド東京2018秋展」で、以前からお話しを聞きたく思っていたVMDディレクターの早乙女 喜栄子氏が講演されました。
Img_83191 テーマは「購買率と客単価を高めるVMD」です。ちなみにVMDとはヴィジュアルマーチャンダイジングのことで、視覚に訴えて商品をディスプレーする考え方です。
 「お客が入りたがる店の基本的なところを伝えたい」と、事例を交えて語られました。
 その要点をまとめてみましょう。

 まずは何といっても視覚が重要で、「お客が入りたいかどうかは2秒で決まる」といいます。最近は動画をウインドーに映し、それに合わせてスカーフなどが空間を舞うディスプレーなど、動きのあるものが増えているそうです。また以前表参道ヒルズで巨大な鯨を出現させたことがあったのですが、そうした意表をつくオブジェを採り入れるのも集客につながるとのこと。見た目キャッチーなものが求められているのですね。
 次に売場づくりでは人間の習性を知ることが大切だそう。例えば人は明るい方へ動く、また視線が左から右に水平移動することから、右に解放的な空間をとるようにするとよいといいます。また人間の5感で、視覚に次いで重視されるのが香りなので、高級品売場でゆったりとした気分にさせるフローラの香りを漂わせるのも購買意欲をそそるといいます。
 売場に求められるチェックポイントも次のように紹介されました。
 4つのEとしてエンターテインメント(Entertainment もてなし)、エキサイトメント(Excitement  感動)、エンジョイメント(Enjoyment  楽しみ)、エクスペリアンス(Experience  経験)。
 4つのFとしてフレッシュ(Fresh 鮮度感、清潔感)、フィーリング(Feeling 気付き、こだわり)、フィクション(Fiction、非日常性)、フェミニン(Feminin  やさしさ、思いやり)を挙げて解説。
 さらにVMDの基本として、見せ場と売り場をはっきり分けることや、センスのよいコーディネイト、客ダマリの重要性にも言及。配色は明度差が大きいほど視認性が高まることや、強弱のコントラストがつけられる3角形構成のディスプレー手法も披露されました。

 最後に来店客に視覚的にわかりやすく伝えることが成功の鍵!と強調。大変中身の濃い講演会でした。

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2018年12月 4日 (火)

ファッションワールド東京 滝沢直己講演AI時代のデザイン

 ファッションデザイナーの滝沢直己氏が、先般の「ファッションワールド東京2018秋展」で特別講演されました。
Img_82671  滝沢直己氏といえば、イッセイミヤケのクリエイティブディレクターを経て、ユニクロのデザインディレクターに就任し、美智子皇后陛下の衣装デザインも担当するという、実用衣料のユニクロと皇室という真逆の方向でデザイン活動を行っている、世界が認めるデザイナーです。2007年にはフランス芸術文化シュバリエ勲章を受賞されています。
 2017年にブレザージャケットのブランド「B-Tokyo」を立ち上げ、この10月には自身初のコンセプトショップ「NAOKI TAKIZAWA FITTING ROOM」を東京・代官山にオープンしました。

 そんな話題のデザイナーが考えるAI時代の風景とは、どのようなものなのか、興味津々で講演を拝聴しました。テーマは「私のデザイン ワークアウト」です。
 2006年、イッセイミヤケを離れて、独立した滝沢直己氏。異業種の方々と仕事する機会が多くなり、ディレクターとして全体のバランスをとることがメインの仕事になったといいます。どうすれば成功するのか、AIがトレンドを教えてくれれば楽なのですが---と言いながら、次のような見解を述べられました。

 まずトレンドとは人がつくって、人が終わらせるものといいます。多様な要素が絡まり合ってトレンドが生まれ、それを終わらせるのも人間なのですね。トレンドが生まれる瞬間をいち早く察知して、そのときのムードをつかめば、来たるシーズンを予想できるといいます。 
 このために大切にしているのがトレンドリサーチだそう。社会現象や気候変動からくるトレンド、アートや建築からの影響、ストリートカルチャーなど、様々な動きを常に意識しているそうです。またプルミエール・ヴィジョン・パリのようなトレードフェアからの情報も重要といいます。しかしデザイナーはそうしたアナリストたちの分析をうのみにしないこと、それらはあくまでもヒントと解釈すべきと釘を刺します。
 次にファッション業界の現状について、今はLVMHとケリンググループが主導権争いをしている大きな変化の時代との認識を吐露。こうした流れの中で、新しい傾向として「ラグジュアリー・ストリート」が浮上しているといいます。リードしているのは、セリーヌのエディ・スリマンやディオール・オムのキム・ジョーンズ、ルイ・ヴィトンのヴァージル・アブローといったデザイナーたち。さらに有力インフルエンサーの発信にも注目しているそうです。たとえばファッションアイコンとして有名なカリーヌ・ロワトフェルドやミラノのキアラ・フェラーニなど。
 こうした様々なファクターから色や素材、形などの方向づけをするのがディレクターであり、AIが優れているとしても、それだけに頼っていてはトレンドをつくることはできないと強調。 
 ディレクターとしてのものの見方をわかりやすく解説されました。

 最後に、ご自身のブランド「B-Tokyo」にふれ、ジャケットとシャツ、デニムにスタイリングを限定、とくにシャツを重視していると持論を語って、締めくくりました。

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2018年10月30日 (火)

JFW-IFF MAGICセミナー「ビームスの海外戦略」を語る

 先般開催されたJFW-IFF MAGICでは、次代のビジネスを展望する多数のセミナーが行われました。その柱テーマの一つが「海外の市場開拓」でした。最終日にはビームス執行役員 経営企画室 室長金田 英治 氏が登壇し、「ビームスの海外戦略」と題して、ブランディングをはじめとする様々な事例を、繊研新聞の柏木均之記者との対談形式で語りました。
Img_69261  
 セレクトショップのトップを常に走り続けるビームスは、昨年英国と台湾に現地法人を立ち上げるなど、海外に積極的に打って出ています。
 中でも評価の高いブランドが「ビームスプラス」だそうです。これはアメリカのオーセンティック・カジュアルブランドですが、アジアよりも欧米で人気とか。アメリカの源流にこだわるブランドが本場米国では非常に少ない、というのも興味深いです。
 ヨーロッパ進出は、2014年のパリ、ボンマルシェが最初、2017年にはロンドンのハーヴェイニコルズに、いずれも期間限定でショップをオープン。スカジャンや吊編み機によるスエットから日本の玩具やこけしまで品揃えして、手応えを得たといいます。VMDや売場構成がヨーロッパでは新鮮に映ったこともあるそうです。しかし「何故?」と問われて、金田氏は「個人の感覚が盛り込まれていたから」といいます。ビームスでは店頭スタッフが自分なりのアレンジを自由に採り入れることができるのですね。個人の感覚を自由に出せるのがビームス流といいます。
 また英国の現地法人では、主にブランディングやPRなど日本ブランドの海外進出のサボートと、海外ブランドの日本市場参入のサポート、アーティストのマネジメント事業などを扱っているとのこと。たとえばフランス出身のアーティスト、ジャン・ジュリアンとコラボしたり、ミスターポーターと協業して日本ブランドをキュレートしたり、コペンハーゲンの国際ファッション展CIFFに出展して日本ブランドを紹介したり、ここでは会場をビームスのシンボルカラーであるオレンジ色に染めて盛り上げたエピソードも披露。
 このようにビームスの持ち味は編集型にあるといいます。日本のコンテンツ、伝統工芸などを海外発信するアシストもしていて、地方自治体からはビームスなら何とかしてもらえるのでは、と思われているとも。
 各所にネットワークを持つビームスの強みを活かした取り組みに花が咲きました。
 最後に小売業で重要なのは、「人」といいます。コミュニケーションをとってコミュニティをつくるのは人の魅力あってこそで、ビームスにはそうした魅力的スタッフがたくさんいるそうです。個々人がWEBサイトに登場して、フォロワー数を増やしている。そんなファンたちの要望もあって、昨年宝島社から、スタッフの家での暮らしぶりにスポットを当てた「ビームス・オン・ライフ」を出版、版を重ねているそうです。その人が次に何を着ようとしているのか、ファンはそれを参照して商品を購入するといいます。
 これはグローバルサイトでも同様だそう。商品紹介だけではなく、いかに自分流にアレンジするか、着こなし方も提案するなど、現在はファンづくりに注力しているといいます。
 小売りの真髄はモノ(=商品)でも器(=店舗)でもない、「人」であると改めて強調。日本でも海外でも評価されるビームスの強みは、「個人個人がブランドの形をつくっていること。規模を追うのではなく、小さなコミュニティを各都市に増やし、熟成させていく」と述べてセミナーを締めくくりました。

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2018年9月 1日 (土)

セミナー「独自性のある店づくりがお客の支持を集める!」

 消費の価値観は今や、「プレミアム消費」、「ディスカウント消費」、「シェアリング」など様々に多様化しています。こうした中、ジャパンジュエリーフェア2018セミナーで、消費動向と今後の展望を語るパネルディスカッションが行われました。
 パネラーは、三越伊勢丹の特選・宝飾時計統括部バイヤー 志村 英明 氏、髙島屋横浜店ジュエリー&ウオッチサロン シニアマネージャー青木 繁 氏、ジュエリーカミネ代表取締役 上根 学 氏、ジュエリーサロン ポンデュプレジール代表 橋本 佳代 氏で、司会はPR現代代表取締役社長 下島 仁 氏です。テーマは「独自性のある店づくりがお客の支持を集める!」で、お客さまの支持を集める取り組みについて議論が交わされました。ファッション業界にそのまま当てはまるようなお話しが多く、大変興味深かったです。

 まず最近のお客の動向について、百貨店の立場から志村氏は「賢い消費をするようになり二極化している、本物志向で、ストレスフリーの快適性を求める動きが強い」。青木氏は「直近6ヶ月の実績をみるとジュエリーの売上げがダウン、逆にウオッチはアップしていて、プレミアム消費が時計に移行している」などと述べていたのが印象的です。
 次にお客に喜ばれる自社の取り組みを、志村氏は「中間層に向けて広く浅くはもう通用しない。上客に焦点を当て、品質価値や独自性を伝え、快適空間へのアプローチで顧客の心をつかむようにしている」。青木氏は「イベントの開催や、オリジナル商品の提案、販売時の体験談をHPで共有する試みなどを行い、お客様にジュエリーの魅力を伝える努力をしている」と語られました。
Img_41081jpg  神戸で宝飾店を営む上根氏は「スリランカに鉱山を所有し、原石から宝飾品まで一貫して取り扱っていることを強みに、世代を超えた代々の宝物となるように、不朽の名作づくりに取り組んでいる。アニメ好きなので、手塚治虫の“アストロボーイ”のジュエリーや“ベルサイユのばら”、“リボンの騎士” のサファイアの王冠などをつくったところ、大きな反響がありTV局などメディアが押し寄せ、今まで宝石を知らなかった人たちにも認知されるようになった」そう。WEBを接点にオーダーメイドのジュエリーを手がける橋本氏は「買い物がストレスになる時代なので、まずは安心できるサービスを提供することが基本。ラインでの問い合わせなど客がアクションを起こしやすい工夫を心掛けている」など。
 さらにジュエリー業界の課題と今後の可能性に触れ、志村氏は、「一つは品質の低下で、そうならないようにしっかりと本物のクオリティを扱っていく。もう一つは百貨店が入り込めていない地方で、地域の富裕層の満足度が高い企画を打ち出す」。青木氏も「価格訴求の限界が来ている。ラグジュアリーも値上げしている」などと述べ、「ジュエリーの魅力発信の一つとして“ハロウィーン” などのオケージョンも考えている」。上根氏は「ヨーロッパの名家に伝わるような宝飾をつくり続ける」。橋本氏は「WEBが今後ますます有効な手段になってくる」、「SNSなどを通じてWEB世代に魅力を伝えていくことが大切と思う」といいます。

 話し合われた内容は、ジュエリー業界に限らない重要なポイントばかりでした。私も大いに参考になりました。これを機に業界のさらなる発展を期待しています。

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2018年8月 7日 (火)

リファッション2018シンポジウム 「SDGsから考える」

 この7月7日、文化学園大学にて開催された「リファッション2018」シンポジウムに行ってきました。これはファッションビジネス学会リファッション研究部会が毎年開いているもので、今年で10回目を迎えます。
 今回のテーマは「SDGs(国連の持続可能な開発目標)から考える」です。

 基調講演では、日本エシカル推進協議会会長の中原秀樹氏が「リファッションとエシカル ― エシカルって何?」をテーマに登壇。「ファッションがつくられ消費される結果、人と環境の両方が苦しんでいる」とし、買い手よし=エシカルな消費、売り手よし=エシカルな企業、世間よし=エシカルな社会の「三方よし」を実現すべきと強調しました。

 企業講演は2社で、最初の報告はH&Mジャパンです。世界のトップを行くスウェーデン発ファストファッションブランドの登場とあって、今回のシンポジウムのメインはやはりここでした。注目の発表となりました。
Img_14363 パネリストはH&MのPRプロジェクトリーダー、ジェンナー真帆氏 (写真 右)とCSRマネージャーの山浦 誉史氏です。「H&Mにおけるサステナビリティの今」と題して、同社のサステナビリティへの取り組みを語りました。

 そのビジネスコンセプトは「ファッションとクオリティを最良の価格でサステナブルに提供すること」であるそう。既に2015年から「コンシャス・エククルーシブ・コレクション」を打ち出しています。「SDGsコンパス」はH&Mの行動指針であるといいます。そこには次の3つのポイントがあるようです。

⑴ 100%循環経済を目指す。
・2030年までに素材をすべてサステナブル、つまり再生可能なものに切り替える。コットンは2020年までにオーガニックやリサイクル、ベター・コットン・イニシアティブ認証など持続可能な綿花栽培によるものに変える。
・古着の再利用は、2030年までに95%にする。
・2040年までにクライメット・ポジティブ(地球温暖化に対して積極的に影響を与える)企業となる。
⑵ 100%変化に導く。
・技術革新を助成する。例えばトレーサビリティの実現で、昨秋立ち上げた新ブランド「アーケット(ARKET)」は、「どの生地を使い、誰が作り、どこで生産されているのか」といった情報をオープンにしているのが特徴。
・非営利のH&Mファンデーションが2015年に創設したイノベーション・コンペティションのGlobal Change Award。その目的は、革新的なアイデアを通じて廃棄物ゼロの「100%循環型のファッション業界」を達成することといいます。
 2018年の受賞者は、クロップ・ア・ポーター(Crop-A-Porter 収穫後の作物の残り物を、バイオ繊維に再生する技術)、スマート・ステッチ (Smart Stitch 服のお直しとリサイクルを簡単にする溶ける糸)、ザ・リジェネレーター(The Regenerator コットンとポリエステルの混紡布地を分解し、衣服を新しい布繊維に再循環させる技術)、藻類のアパレル (Algae Apparel 藻類をエコフレンドリーで肌に良いビタミンを放出する、バイオ繊維と染料に変える)、きのこファッション(Fungi Fashion 着古したら地面に埋めて分解。きのこの根から裁断も縫製もしない服を3Dプリンタで実現)と、まさに驚異的でびっくり!
⑶ 公平かつ平等な労働環境を支援する。
・D&Iグローバル・リーダーを創設し、バングラデシュなどのサプライ工場と民主的労働環境づくりを推進している。ちなみにD&Iとは、ダイバーシティ& インクルーシビティのことで、Diversity&Inclusivityの略。
・H&Mでは、女性従業員数が76%、その内女性管理職は72%と働く女性の比率が圧倒的に高い。

 次に企業講演したのは、ジム専務の早川千秋氏。1965年に原宿にメンズニットアパレルとして創業し、当初から、「地球環境を考える」を企業理念としていたといいます。
 オーガニックコットンとメイド・イン・ジャパンを訴求する「ギブ ライフ GIVE LIFE」を立ち上げ、その30年の変遷を追いながら、「リバース・プロジェクト」とのコラボレーションや、「エシカルタウン原宿」を発信する活動などを振り返りました。
 今後の環境変化への対応や小企業が世界に羽ばたくことの困難な状況についても言及されていたのが印象的です。

 最後に、学生による意欲的な研究発表などがあり、シンポジウムを締めくくりました。

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