ファッションビジネス

2020年3月25日 (水)

FB学会講演 福崎学氏「商社から見えるファッションの未来」

 先般2月22日、ファッションビジネス学会東日本支部主催合同研究発表会が行われ、伊藤忠商事ブランドマーケティング第一部長 福垣 学氏が基調講演しました。題して「商社から見えるファッションの未来」です。
Img_69711  大阪出身で伊藤忠商事大阪本社織物貿易担当からニューヨーク駐在となり帰国後アパレル資材課へ、原料貿易に移動後、ブランドマーケティング配属となり、2011年から5年間コンバースフットウェアへ出向し社長に就任、その後東京本社に初勤務してブランドマーケティングを統括されていると自己紹介。併せて伊藤忠商事という「非資源ナンバー1商社」の紹介もされました。企業理念「三方よし」の精神とともに、業績はこの10年、右肩上がりで伸び、今年度連結純利益2,000億円を目指しているそう。

 まずは同氏が携わるブランドビジネスの話から。伊藤忠商事では全部で約150ブランドを取り扱っているとのこと、その主な形態に下記3つがあるといいます。
1. インポートビジネス 
 独占輸入販売契約を締結し、関連企業を通じて消費者に販売するビジネスで、その始まりは生地の輸入だったそう。その時のエピソードやその後アルマーニと交わした契約の話など、有力ブランドとの苦労話を披露。
2. ライセンスビジネス
 マスターライセンス契約を結び、サブライセンス・ブランドの取りまとめをするビジネスで、例えばフィラ(FILA)にはカテゴリーごとに16社のサブライセンサー、ミラショーンには同様に28社があるそう。他にもポールスミスなどを引き合いに解説。
3 商標権取得による自社展開
 商標権を取得し、自らブランドホールダーとなって展開しているビジネス。ハンティングワールド、ランバン、レスポートサックなど多数あり、ご自身も社長として活躍されたコンバースジャパンの経緯などを語られました。ちなみにコンバースは今もっとも好調なブランドだそうです。

 次に繊維カンパニーの今後について。直近のテーマとして、大きく下記3つを取り上げました。
1. 原料起点のバリューチェーンの構築
 注目は同社の独自素材「レニュー(RENEW)」。フランスで衣料品廃棄禁止の法律が施行されるなど、アパレル関連で見込まれるサステナブル原料への需要の高まりを受けて開発したポリエステル素材で、ペットボトルではなく、「服」から「服」を生み出すという画期的なプロジェクトです。日本で年間10億点あるという棄てられた服を回収して粉砕、チップに回してポリエステル繊維に戻すサーキュラーエコノミーの実現に一役かっています。今春発売のハンティングワールドのボルネオバッグにも使われるなど、欧州ブランドでもいくつか採用が決まったといいます。
 もう一つ、フィンランドのメッツァグループと、木材原料の環境配慮型のセルロース繊維工場の立ち上げにも参画しているそう。
2. 新たな流通ビジネスへの参入
 さらなるEC強化とともに、伊藤忠の社内ベンチャー「マガシーク」、マクアケと並ぶクラウドファンディング「キャンプファイア」への出資、360度の画像を処理する米国企業「フュージョン」への投資など、新たな取り組みが着々と進められているといいます。
3. リテールサポート事業の提供
 一つはAI採寸技術「ワン・メジャー(1 measure)」を展開する中国企業TOZIと資本業務提携したこと。これはゾゾスーツの高精度版だそう。またもう一つはRFID 非接触管理ICカード導入で、単品管理ができるので在庫管理の一元化につながるといいます。さらに米国JOOR社との資本・業務提携も発表。これはWEB上で受発注ができる展示会で、既に8,600ものブランドが採用しているとか。業務効率化につながり簡潔に作業できるとあって、様々なシナジー効果が期待されているといいます。
 最後に、今後の課題として「個」への対応を挙げたのが印象的でした。
 B to Cの「C」という個人中心時代が到来する中で、「個」をどう束にしてビジネスにつなげていくか、この課題を克服しビジネスの次世代化を進め、繊維産業を衰退産業から脱却させることが重要と強調して締めくくりました。

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2020年2月 3日 (月)

2020年ifs新春フォーラム 第2部 ifs気分調査より

  「2020年ifs新春フォーラム」の第2部を ご紹介します。
 
 Img_30641 ここでは伊藤忠ファッションシステム(ifs)が昨年実施したifs気分調査の結果を基に、割り出された「2030年に向けたキーワード」が、Ifsナレッジ開発室 中村ゆい氏より発表されました。
 
①2020年の位置付け「解始する」 これまでの仕組みを解体し、新たな骨組みに組み替える作業に腰を据えて向かう。
②基本姿勢「好動する」 こうあるべきに合わせるのではなく、「自分がこうありたい」で動く。
③重視する感覚「無理しない」 それぞれが互いに心地よい、自分の周りが心地よい。誰かどこかに無理があるのは心地よくない。
④今後10~20年の時代感「課題=ズレに向き合う」 個と組織、上世代と下世代、人と地球環境---、思惑のズレや価値観の違い、理想と現実のギャップが痛烈にあらわれる。
⑤企業に求められる役割「ネガをポジに変換する」 「好動」に対応した社会へと仕組みを変える。仕組みの中で生まれる困難や課題は新たなビジネスチャンス。
⑥生活者が求めるもの「心の余白と充実」 「無理しない」は無理と不安の裏返し。心のゆとりと安心を切望。
⑦コミュニケーションの基本「分断しない否定しない」 過去-未来、旧-新、表層-深層、正-負、快-不快 どちらか一方でなく、地続きで共存しているのがリアル。現状を受け止めた上でよりよくする。

 今年は東京オリンピック・パラリンピックがあり、その後の市場の先行きが懸念されています。それが今回の「2020年ifs新春フォーラム」を伺って、少し視界が開けた感じがしました。大変勉強になる、充実したフォーラムに感謝です。ありがとうございました。

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2020年2月 2日 (日)

2020年ifs新春フォーラム 第1部 トークセッション

東京・虎ノ門ヒルズのアンダーズ東京にて1月23日、開催された伊藤忠ファッションシステム主催「2020年ifs新春フォーラム」に出席しました。2020年以降の10年間とどう向き合っていけばよいのか、興味深いセッションが盛り込まれた討論会でした。

  第1部はトークセッションです。Img_30451   コーディネーターはifsナレッジ開発室室長の小原直花氏、ゲストにスノーピークビジネスソリューションズ エヴァンジェリストで、NPO法人「ハマのトウダイ」共同代表の岡部祥司氏、大和ハウス工業マンション事業推進部 企画建設推進部 次長/設計デザイン室室長の瀬口和彦氏、ifsマーケティング開発グループ 太田敏宏氏です。テーマは「10年後の人々の暮らしとそれを踏まえた企業の動き」で、これからの10年をどのように築き上げていくべきか、を語り合いました。

 まず小原氏が「2030年に向けた時代の方向性」を取り上げ、「21世紀化を進めないと未来は開けないのでは」と問題提起します。
 これを受けて、岡部氏が横浜を中心に公共空間の活用や自販機の事業など、様々な事業に取り組まれているご自身のビジネスを紹介。既存の組織に別の視点を組み合わせ、既成概念を覆していくことが重要で、そうすることにより可能性が広がると指摘しました。
 瀬口氏は、今では住宅もマンションも斜陽産業になっているとし、現在、力を入れているのは流通や物流、工業団地、また海外で、さらにファイナンスや農業にも参入していると紹介しました。モットーは創業者の石橋相談役の言葉「事業はもうかるからやるのではなく、世の中の役に立つからやる」で、これを基に中興の祖といわれる樋口会長がつくった「ア・ス・フ・カ・ケ・ツ・ノ」を披露。アは安全・安心、スはスピード、フは福祉、カは環境、ケは健康、ツは通信、ノは農業で、今言われているSDGsにも沿う内容でもあり、これをキーワードに次のステージに向けた新たな価値創造を社会に届けていく方針と明言。RE100に加盟していることから、2035年までに事業にかかる電力はすべて再生可能エネルギーで賄う、また現時点で4兆円の売上は創業100周年の2055年には10兆円にするとも明かされました。

 太田氏は、「この先10年の時代背景」と題したミニレクチャーを発表。というのも最近「この先のビジネスについて一緒に研究して欲しい」というプロジェクトを受託することが多くなったからだそう。
 テーマは大きく5つあり、1つは「人口減少」で、この先10年で600万人減るとの見通しをグラフで提示。市場が縮小しGDPも下がるので、このままの状態での成長はないとみているといいます。
 2つ目は「働き方の変化」です。キーワードは3つで、①「足らない」、労働力不足で外国人やシニアやママたちが市場に投入される、②「要らない」、AIやロボティクスの活用によりバックヤードで働く人が不要になる。③「どこでも」、テレワーク化、フリーランス化、副業化でオフィスに出社しないスタイルが増加する。オフィス需要は今がピークで、その後空室率が高まるといわれていることなどを紹介。
 3つ目は「技術革新」。AIやロボティクス、5G、ナノ、VR/AR、MAAS、CASE、オーダーメイドを含むパーソナイライゼーションなどいろいろあり、これによりビジネスの成長の仕方や消費の仕方が変わっていくと指摘します。
 4つ目は「消費マインドの変化」です。“1億総中流” ベースの中間価格帯が消失し、コモディティ化、つまり低価格化が進む。コモディティで満足できない人がオタク化する現象も増え、「持たない」選択肢も拡大する。消費者は、従来の高価格でも良いものを持ちたいという富裕層と、コモディティで済ませる人たち、オタクといわれる人たちの3極化へ向かうと指摘します。
 5つ目は「場の変化」で、商業ではモールからパークへ、公園化がトレンドになり、オフィスはどこでもオフィス化し、コワーキングスペースが増える。住宅は複数拠点を持つ、また定住しないアドレスホッパーも現れるといいます。
 場の曖昧化がここ10年と起きるとみているそうです。
 
 ここから座談会となり、あらゆるものの境界がなくなっていくとみられていることから、下記3つのテーマが俎上に載せられ議論されました。

テーマ1 働き方・暮らし方が変わる
・テレワーク化が推進されるとみられていて、実験的試みが見られ始めている。
・ダイワハウス工業は2018年からテレワークが認められるようになり、瀬口氏もテレワークしてみて仕事の効率があがったそう。今夏の五輪期間中も、東京本社では出社せずにサテライト拠点で働くことなったといいます。
・ただし、テレワークの解禁はまだ非常に少ない。ちなみに伊藤忠もまだだそう。

テーマ2 消費が変わる 
・共感が消費につながる、ときめかないものは買わない、若者はむだなものにお金を使わない、モノを持つことが幸せなのか疑問視されているなど。
・住宅はわざと未完成にして未完成住宅をリノベーションする傾向も。
・適切なアドバイスを求める人が増えて、そうしたサービスをする人から買いたいという消費者が多くなっている。販売員の力量が問われている。

テーマ3 あらゆるものの境界線が曖昧になる
・アウトレットが飼い犬を見せる場になるなど、公園化。
・メルカリのように、売り手と買い手も曖昧化。
・トヨタが街づくりに乗り出したり、ソニーが車をつくったりしているが、重要なのは事業の軸。軸を見失わないことが肝要。

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2020年1月31日 (金)

次世代型商業施設「新生渋谷パルコの店づくり」

 昨年11 月22 日に約3 年の時を経てグランドオープンした「渋谷パルコ」。全く新しく生まれ変わった次世代型商業施設として話題になっています。(このブログ2019.12.29付け参照)

  この14日、その開発のキーマンといわれる泉水 隆 常務執行役によるImg_29111 トークイベントが、ユニバーサルファッション協会による運営の下、渋谷区代官山カラート71にて行われました。テーマは「新生渋谷パルコの店づくり」です。

 まずビルについて。渋谷区の再開発事業として建設され、名称は「パルコ・ヒューリックビル」で、B1~10階までがパルコ、11~18階はオフィスになっています。以前のパルコパート1とパート3の敷地を一体化し、中央に幅8mの通路(ナカシブ通り)を、またビルの外周をぐるりと回る立体街路(スパイラルウォーク)を設置、この立体街路がつなぐ屋外広場なども設けられ、歩行者が街を歩くようにショッピングを楽しめる空間を創出しているといいます。
 次にコンセプトです。ファッションに逆風が吹く中、本気でファッションを再生しようと、取り組んだのがこのファッションビルと強調。
 その理由は、“東京ファッション”がおもしろいからだそう。海外ではとくに日本のモード系メンズファッションが高評価されていて、そこを凝縮したフロアづくりを考えたといいます。
 ターゲットのキーは、 “ノンエイジ” 、“ジェンダーレス”、 “コスモポリタン”。“ノンエイジ" は、ファッション好きに年齢は関係なしというものの、反応がよいのは20代ミレニアルと50代DC世代、またハナコ世代も意識しているとか。“ジェンダーレス”は、文字通りLGBTQ、“コスモポリタン” はインバウンドにフォーカスしているといいます。
 また構成要素として挙げたのが、1. ファッション、2. アート&カルチャー、3. エンターテインメント、4. フード、5. テクノロジーの5つの柱。今回出店した180のショップがお互いの魅力を引き出し合えるように、それぞれのジャンルをミックスしながらフロア編集したといいます。

 さらに各フロアを紹介。
B1階「カオスキッチン」 グレードはピンキリ、ごちゃまぜにしたようなレストランフロアです。裏テーマは“ミュージック”で、音楽好きな大人が楽しめるカオスな飲食ゾーン。オープン以来大人気といいます。
1階 「商店街エディット東京」 商店街のように編集したフロア。ラグジュアリーブランドとしてグッチのコンセプトショップが入り、ロエベなども。コムデギャルソンは、日本の女の子たちがモードにチャレンジして欲しいとの思いから、コムデギャルソン ガールを出店し好調といいます。また日本の伝統工芸を売るディスカバージャパンのショップや化粧品ショップなども。
2階 「モード&アート」 ファッションのコアのフロア。国内外のデザイナーブランドショップが並び、モードとアートが一体化した2Gも人気。シンガポールのテセウス・チャンがインテリアデザインを手がけ、渋谷スクランブル交差点をイメージしたボーダー模様のフロアも好評。
3階 「コーナー・オブ・東京ストリート」 デザイナーズ、ストリート、ヴィンテージなど、東京ストリートの路面店を集積したフロア。
4階 「ファッション・アパートメント」 リアルな東京ファッションに、レストラン、ギャラリー、古着やクリーニングなどのサステナブルなサービスも展開。
5階 「ネクスト東京」 ファッションにテクノロジーを掛け合わせた売場、オムニチャネルなど。裏テーマは“裏原”だそう。
6階 「サイバースペース渋谷」 任天堂やポケモンセンター。
7階~9階 「パルコ劇場」 劇場入口は8階。糸井重里“ほぼ日曜日”など。9階には渋谷区との施設があるとか。
10階 「ルーフトップ パーク」 屋上広場やイベント施設。

 最後に、売上はこれまでのところ狙い通りにクリアしている、と自信のほどを見せていたのが印象的でした。

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2020年1月30日 (木)

「ワークマン」 新たなブランド戦略への挑戦

 アパレル不況といわれる中で、独り勝ちしているのがワークマンです。元々群馬県のスーパーマーケットの一部門に過ぎなかったのが、今では売上高1千億円に迫る勢いとか。もう成長期のユニクロさながらです。
   主力は作業服の販売ですが、最近はブランドイメージが変化してImg_9266 “オ シャレで機能性の高いアウトドアブランド”になっているそう。インスタグラムの「#ワークマン女子」というハッシュタグが快進撃しているといいます。

 先般、ライフスタイルウィークのセミナーで、このブランド戦略仕掛け人、専務取締役の土屋 哲雄氏が登壇する講演会が行われました。講師プロフィールによると、ワークマン入社時、目標は①ネット専業に「定価」で勝てる作業服の開発。②仕事・アウトドアウェア・スポーツに使える機能性ウェアの開発だったそう。①は上下組で税込3000円からのG-Nextシリーズを開発して年間400万着販売。この分野では独走中。②はスタイリッシュな作業服とアウトドアウェアの複合店「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」を立ち上げ、現在、全国出店を加速中といいます。
 講演は「“作業服のワークマン”から、“アウトドアブランドのワークマン”へ 新たなブランド戦略への挑戦」がテーマでした。一般消費者向け、新業態店舗「WORKMAN Plus」の事例を交えながら、ブランドの在り方や売り方を変えていく、その戦略が語られました。
 かつてはワークマンといっても取り扱い商品は職人の作業服で、知る人ぞ知るの地味な存在だったようです。それが2018年、新型店の「WORKMAN Plus」をオープンすると一転、突如小売業界の表舞台に現れたのです。 
 これは30数年来の大改革だったといいます。客層拡大とデータ経営を目標に、心掛けたことは同じ商品を違う客に売ることと、見せ方を変えたことだったとか。 
 そのきっかけとなったのはリーマンショックで、作業服が企業業績の悪化で売れなくなってきたことにあったそう。そこで一般の個人客にも作業服を買ってもらおうと、大幅なデザインチェンジを行ったといいます。作業服は筋肉のある体型を意識して大きめなつくりになっているのですが、若い一般客に向けてスタイリッシュなシルエットに変更。アウトドア・スポーツ市場に参入したといいます。
 アウトドア・スポーツ市場では、機能性があって普及価格を求めるホワイトマーケットは、実はどこもやっていないとか。競合のない4000億円のホワイトマーケットを開拓できたことも大きな勝因といいます。
 またワークマンのアパレル業界に対する優位性として、下記三つを挙げました。
 一つは超低価格で、原価率は64%でやっているそう。
 二つ目は継続商品であること。PBは5年間継続して生産し値下げはしない。値引き販売率はわずか2%。変化させるのは色柄のみだそうです。
 三つ目は共通商品であること。作業服と一般客と共通のものが多い。
 今後はアマゾンに負けないようにクリック&コレクト化を進め、マスマーケテイングで競争を起こさない仕組みをつくることが大切とも。
 さらに重要視しているのがアンバサダーマーケティングであるといいます。女性客が半数いることもあり、SNSではインスタグラムに力を入れていて、現在30人のインフルエンサーをこの秋から50人に増やすそうです。インフルエンサーとコラボしてファッションショーも計画中といいます。
 ワークマン、驚くべき絶好調ぶりです。

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2020年1月26日 (日)

レクトラ ファッションとインテリアのコラボセミナー ⑵

 (昨日の続きです)
 セミナーはいよいよ佳境に入りました。
 四番手として、登壇したのが繊研新聞社業務局部長、PLUGIN事務局長の中村善春氏です。
 Img_22711jpg 「ファッションマーケットの変化:カスタマイゼーションの動向」をテーマに、2020年代を前に激変するファッションビジネスとマスカスタマイゼーションの今後を、具体的な数字を挙げながら、展望しました。
 今まさに大転換期にあるファッションビジネス、そのキーワードは、①サステナビリティ、②マスカスタマイゼーション、③DtoCやDNVB(Digitally Native Vertical Brand)へ。BtoCは終わり、CtoBへ、消費者があって生産する時代へ、④閉店ラッシュへ、です。
 そうした時代にあって、2020年代へ向けて変化のポイントは何か、というと、①DX(デジタルトランスフォーメーション)、ファッションテック(ものづくりから小売りまで)、AIやVR・AR、SNS、DtoC、②サステナブル、SDGs、③カスタマイズ、コミュニケーション、④世界、グローカル、インバウンド、⑤マーケティング・経営戦略・組織と運営体制など、すべてが変わると指摘します。
 これら産業パラダイム転換の鍵となるのがカスタマイゼーションで、これは新しいビジネスチャンスの到来を意味しているとも。課題として次のような問題を解決する必要があるといいます。
 ①分業制の壁⇒ハイスペック分業性へ、②デジタル化の推進は全産業で一気通貫に、③採寸精度⇒着心地重視へ、④市場創出と文化創造、⑤UX、コミュケーション。
 最後に、まとめとして下記3つを挙げました。
 ①サステナビリティとマスカスタマイゼーションは待ったなし。
 ②新しい洋服文化を創り出す、産業のパラダイム転換が起こっている。
 ③ファッションテックを活用しオーダーしてつくる文化の構築へ。
 私たちは今、そんな新しい産業パラダイムの入口に入って来ている、このことを痛切に認識させられた講演でした。
 
 最後にレクトラ・ジャパンの代表取締役 田中明彦氏が登場。Img_22991 「ファッション及びファニチャー オンデマンド」と題して、インダストリー4.0に基づいたレクトラの最新テクノロジーと、国内と海外のファッションおよびファニチャーの、カスタマイゼーションの取り組みの事例をプレゼンテーションしました。(このブログ2019.9.10付けも参照)
 そのポイントは、次のようです。
 1.カスタマイゼーションのトレンドとデジタル化は相性がいい。
 2.生産をデジタル化しないとカスタマイゼーションは完成しない(作業の自動化ではなく、プロセスの自動化)。
 3.デジタル化実現の鍵はバーチャルとリアルが融合するところで行動しなければならない。
 その上でオンデマンド生産、最適化された生産に、同社が適切なソリューションを提供できることをアピールして、セミナーを締め括りました。

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2020年1月25日 (土)

レクトラ ファッションとインテリアのコラボセミナー ⑴

 アパレルおよび家具業界向けの製造ソリューションを販売するレクトラ・ジャパンが、昨年12月10日、東京・港区の在日フランス大使館で開催した「ファッションとインテリアのコラボレーションセミナー」に参加しました。
 ミレニアル世代が購買層の多数を占めるようになった今、ファッションやインテリア業界にはどのような変化が起こっているのか。そして各マーケットはこの変化にどのように対応していくのか。レクトラのソリューションや海外の事例などを交えて、現状を分析し、未来像を語る意義深いセミナーとなりました。
 ビジネスフランス日本事務所 副代表 ベルトラン・ヴェロン氏の挨拶の後、演壇に立ったのは以下に記した5人のスペシャリストです。
 
 一番手は、ネリーロディ・ジャポン代表ブノワ・ピケ氏で、「世界のファッション&インテリアトレンドとカスタマイゼーション」と題して、「リ・バランス(再均衡)」の重要性を訴求、そこからオンデマンドによるマスカスタマイゼーションを提唱しました。
 世界は今、経済問題(デジタリゼーションやコミュニケーションの問題から生産の在り方が変わり不安定な状況が生まれていること)や、環境問題(ファッションは食料問題とつながっていて、環境汚染を引き起こす大きな要因になっていること)、アイデンティティ問題(マイノリティや男と女、ジェンダーの問題など)で、不均衡状態にあるといいます。そこで2021年のライフ&スタイルにおいて考えるべきは均衡(バランス)への復活、「リ・バランス」であると指摘します。消費者を「リ・バランス」の下、4つにプロファイリングしてそれぞれの特徴を披露。その上で、2021年に向けて焦点になってくるのはマスカスタマイゼーションであるとし、変化するトレンドをオンデマンドで考える“トレンド・オンデマンド”へのリアクションが重要と強調しました。
 
 二番手は、オーダーメイドファッションスタイリストの神崎裕介氏です。「今、ファッションマインドをインテリアに」をテーマに、インテリアとファッションの融合が必要な理由や、インテリアとファッション業界の今後について見解を述べました。
 ファッションブランドがインテリアに進出してきたのは1980年代頃からで、2000年代以降、アルマーニやフェンディ、ブルガリなどはホテル経営にも乗り出してくるのですが、これにはライフスタイルを丸ごと取り込むというブランド戦略があったといいます。
 当時、多くのインテリア企業では、世界観を伝えるための魅せ方が不足していたことなど、問題点があったそうです。これを乗り越えて成功した代表例がイケア(IKEA)で、売り手発信で魅力や使い方を伝えていきます。
  またイギリスのテキスタイルメーカー「リバティ」や、パリのセレクトショップ「メルシー」、そ1_20200126173501 れに神崎氏がスタイリングを手掛けたROOM DECOの「大人の女性のドレスルーム」(写真右)など、インテリアとファッションのコラボを実現した企業やショップの実例をプレゼン。いずれも人気店舗となって現在にいたっています。
 最後にインテリアとファッション業界の今後に寄せて、①センスの向上が不可欠であること、②家具も服も使ってこそ意味があるので、売場では提案型の仕掛けが必要、③商品ではなく、ライフスタイルそのものを提案して売ることが大切、とポイントを紹介しました。
 
 三番手は、アトリエファヴォリインターナショナル代表でインテリアデザイナーの石黒久美子氏です。
 「ビスポークの喜び=ファッション・アート・インテリア」をテーマに、インテリアがファッション化し、若い人たちがインテリアに目を向けるようになり、ファッションを楽しむようにインテリアを楽しむようになったこと。またインテリアのビスポーク「オーダーメイド」が欧米のインテリアマーケットでは当たり前となっていること、そのアートやエコを絡めたアイディアなど、最新のトレンドを語りました。

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2020年1月 8日 (水)

FB学会 特別講演 齊藤孝浩氏「ファッション・サバイバル」

 先般、ファッションビジネス(FB)学会2019全国大会で、昨年2月に上梓された「アパレル・サバイバル」(日本経済新聞社刊)の著者、ディマンドワークス代表の齊藤孝浩氏が特別講演されました。Img_09702 テーマは「ファッション・サバイバル~これから10年のファッション消費の未来」です。講演は、ご著書「アパレル・サバイバル」に沿う内容で進められ、ITシフトにより大きく変わる「消費の形」とともに、進化するアパレル業界の最前線に迫る、という大変興味深いものでした。
 前半はデジタルショッピングを中心に、後半はサステナブルの考え方、とくにクローゼットに溢れている服やものの循環について語られました。
 冒頭挙げたのが日本の衣料品市場規模と販路別シェアの変化です。2008年から2017年までの10年間で、規模は7%シュリンクし、販路別では百貨店や量販店が減じた一方、専門店や通販は約4割増となり、プレイヤーが入れ替わったといいます。
 まず、ファッションの流通革新は10年周期で起こっているとし、これからの10年を意識して活動していかないといけないと注意喚起しました。1990年代後半にユニクロなどのベーシックSPAが登場し、2000年代後半にH&Mなどのファストファッションが旋風を巻き起こしました。その後2010年代後半にはショッピングのデジタル革新が起こり、ファストファッションには定着感があるといいます。2018年はポストファストファッションへ向けて節目の年だったと指摘します。
 次に日本は欧米から10年遅れで追随していると釘を刺します。欧米では既にオムニチャネルを卒業し2020年からサステナブルの時代に入っているのに、日本はまだオムニチャネル時代でECモール依存からも脱皮していないといいます。
 そこで変化のヒントをつかむべく、ポストファストファッション時代に向けて先行する欧米の事例を大きく4つ、紹介しました。
①都市型トレンドファッションディスカウンターの台頭。例えばH&Mの6掛けで販売する英国のプライマーク。また米国のオフプライスストア(ブランドの余剰在庫を低価格で販売する店舗)TJXカンパニーなど。TJXはもしかしたら世界一の売上高とか。日本でもワールドが子会社を通じてオフプライスストア「アンドブリッジ(&BRIDGE)」を展開しています。
②女性の内面の美にフォーカスするビューティ部門を導入したファッションストア。ビクトリアシークレットを始め、アンソロポロジーもスキンケアに乗り出しています。
③コト提案をする体験予約型ストア。教室やパーソナルカウンセリングに力を入れるルルレモンやセフォラなど。
④ショッピングのオンライン活用とオムニチャネルリテイリングOMOへの取り組み。アマゾンの自宅をフィッティングルームにする「アマゾン プライム ワードローブ」やゾゾのWEARなど。
 これら、とくに④のサービスがこれまでと違うのは、情報のパーソナライズを提供することで、時間短縮やコスト節約、それに加えて無駄足なし待ち時間なしでストレスを解消していることといいます。従来のオンラインショッピングは事前情報収集や店舗行き、商品探しといった消費者が抱えるショッピングの悩みを流通革新(イノベーション)により解決してきました。しかしこれからはアマゾンなどの例にみられるように、パーソナライズを通じて、顧客の発見の過程をさらに加速する(最適化)する時代になっているのです。
 その上で、オンラインショッピング時代に残された課題は、フィッティング、コーディネイト、商品受け取りであるとの見解を披露。デジタル時代の店舗革新の例として、英国ではクリック&コレクト、米国ではストアピックアップが進んでいること、また欧米店舗では、来店客のスマホを店頭でオンラインにつなぐことにより、ショッピングの体験価値を拡張する試みが進行中であるとレポートしました。情報収集~ショッピング~その後のフォローを途切れることなくシームレスにつなぐシームレスショッピングにより、とくにザラでは顧客に「失敗」させない最適解を提供しているといいます。
 またテクノロジーの進化に関する明言も興味深かったです。「これまでテクノロジーは企業の勝ち残りのためのものでした。しかしスマホ・4G以降、テクノロジーは消費者の豊かさのためのものになった」といいます。そして「次の革新は消費者のスマホの中で起こる。解決すべき消費者の課題は買うだけではなくその先にあるクローゼットにも広がっていく」。パラダイムシフトが「~1990年代のプロダクト・アウト」から「1990年代のマーケット・イン」へ、「2000年代はクローゼット・イン」へ変化している、との提言も目からウロコでした。
 さらに「革新の舞台は店頭から顧客のクローゼット最適化へ」お話は佳境に入っていきます。ここではスマホを舞台に繰り広げられる、主なワードローブ(服)の循環支援型ファッションテックをピックアップしました。
①コーディネイトをヒントに買い足しを手伝うシェアリングサービス
②ワードローブの着回し管理アプリ
③着なくなった服を下取りして新しい服を買うオンライン古着販売
④大好きな服と長く付き合うオンラインクリーニング完結型サービス
⑤オフシーズン服を預かり撮影、オンラインクローゼットにのせる都市型トランクルームサービス
⑥着なくなった服をもって買い物に行く、自己完結型衣料品循環プロジェクトなど
 ほんとうにいろいろな事例があっていずれも巨額の利益を出しているというのも驚きです。

41r20ccpbl  最後に「クリエイティブとは、新しいものを創り出すだけでなく、問題提起をし、解決策を提案すること」の言葉で締めくくりました。このことに気付いて実行できれば、未来は決して悲観するばかりではありません。逆に明るく楽しいショッピング環境が整うと、改めて思いました。

 今やサバイバルの分岐点、「アパレル・サバイバル」、ぜひ一読をお勧めします。

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2019年12月29日 (日)

渋谷の街が変わった! 若者も大人も楽しめるSC開業

 今年末、街の風景が大きく変わったといえば渋谷でしょう。11月1日に「渋谷スクランブルスクエア」、11月22日に「渋谷パルコ」、12月5日に「東急プラザ渋谷」の3つの大型SCがオープンしました。ファッションではラグジュアリーブランドやデザイナーブランドが増え、アートを採り入れた施設や感度の高いライフスタイルショップが拡充されています。これまで「若者の街」というイメージで発展してきた渋谷が、これら新商業施設の開業で、「若者も大人も、また外国人も楽しめる街」へ変貌し始めているのです。

「渋谷スクランブルスクエア第一期(東棟)」
 10月末に行われた内覧会に参加しました。ここは渋谷エリアで最も高い47階建てビルの地下2階から14階を占める商業施設です。東急東横百貨店の跡地に建っていますから渋谷駅に直結・直上していて、交通至便なことは言うまでもありません。 
Img_03711jpg  まずは230mの展望施設「渋谷スカイ」を訪れようと、エレベーターに乗り込みました。Img_03701jpg 天井から光から降り注ぐ演出に驚いているうちに、あっという間に屋上へ到着。広々とした心地よいスクエア(広場)から、東京を一望しました。
 ここはまさに渋谷のランドマークタワー、渋谷の新名所になりそうです。

 12階と13階はレストランフロアで、美味しいメニューを堪能できます。日本初のスペイン料理のお店「ホセ・ルイス」も出ています。
 10階と11階はライフスタイル・グッズ・フロアで、11階に中川政七商店がツタヤブックストアと軒を並べています。

Img_04141jpg 日本全国つづ浦々からの工芸技術を活かした生活雑貨が人気の店です。

 7階から9階はファッションフロアで、セレクトショップなどが出店しています。
 またビューティが6階にあるというのも新しい構成です。

 注目のラグジュアリーブランドは、駅の改札階でもある3階に入っています。
Img_04301  上はブランドのシグネチャーカラー、白黒のインテリアでまとめたジバンシーです。この他、バレンシアガ、サンローラン、ディオール、サカイ、ブルガリ、ティファニーなど。洗練されたモード感あふれるフロアです。
 
「渋谷パルコ」
 ここはファッションとアート、エンターテインメントが見事に融合しているSC。

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 渋谷駅から600m離れていても、行ってみようと思わせられてしまいますから不思議です。

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 1階の入口付近に陣取っているのはグッチで、奥にはロエベやディオール×リモアなどもあります。以前はなかったラグジュアリーブランドを導入して、富裕層を狙っているようです。 

Img_24601 コム・デ・ギャルソン・ガールは、赤やピンクを訴求。ポップな水玉模様をあしらうなど、ガーリーなファッションを提案しています。

 2階は今をときめくデザイナーブランドが勢揃いしています。
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 中でも人気なのが2 G(ツージー)。ギャラリーとセレクトショップとアートトイショップが一体化したスタジオです。入口のデザインからしてアートムードたっぷり。

 6階は、任天堂が入っていて、ポケモンセンターもあって大人気!Img_25341 ここはもう人でごった返していました。インバウンドも多いようです。
 
Img_25251  右は、地下の飲食店街「キッチンカオス」にあるシンボルデザインです。デザイン設計は藤本壮介さんで、派手なネオンサインがカオスのような路地裏を表現しているようです。
 何とジビエと昆虫食を出す「米とサーカス」も出店していてビックリ!
 驚きに満ちた新生パルコです。
 2020年3月にはパルコ劇場がオープンする予定で、これに先駆けてこけら落とし公演が1月末に行われるそう。
 話題の多いパルコに、ますます目が離せません。

「東急プラザ渋谷」
 かつての東急プラザが、「大人を楽しめる渋谷へ」をコンセプトに、ライフスタイルを提案する商業施設に生まれ変わっています。
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 ターゲットは40代以上、年齢を重ねるに連れて足が遠のいていた層に向けて渋谷の面白さや楽しさをアピールしていくそうです。
 それを象徴するのが、5階の「シブヤライフラウンジ」。イオンのお直し・リメイク・オーダーのサロン「アトリエ・クチュリエール」があったり、資産運用や投資、保険などの様々な大人の悩みに対応するサービスカウンターがあったり。大人世代の要望に応えての展開。この中心にロボットのペッパーが働く「ペッパーパーラー」があるのもおもしろいです。
 
 こんな風に渋谷の新SCを見てきた私、一見似ているようですが、やはりそれぞれの特徴を活かした業態になっていると思いました。「渋谷スクランブルスクエア」はエレガントな高級感、「渋谷パルコ」はビジネス×アート、「東急プラザ渋谷」は大人のライフスタイルを打ち出しているというように。

 さて来年は6月にあの宮下公園に、巨大な商業施設がオープンするとのことになっています。またしても生まれ変わる渋谷、街歩きがますます楽しくなりそうです。

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2019年12月28日 (土)

新1万円札の顔 渋沢栄一を紐解く 東の渋沢と西の五代

 この4月、新しい紙幣を2024年度に発行することが発表されました。20年ぶりとなる紙幣刷新で、新1万円札の顔となるのが渋沢栄一です。 
  東京商工会議所では今年度、東京商工会議所の創設者で初代会頭でもあった渋沢栄一を記念するセミナーを複数回開いています。
 Img_05231jpg 明治初期の日本経済発展の礎を築いた実業家の一方で、東京養護院に情熱を注ぐなど社会事業家でもあった渋沢栄一とは、どのような人物だったのでしょう。その人となりに興味を持ち、先般、開催された講演会に参加しました。
  登壇したのは大阪商工会議所大阪企業家ミュージアム館長・大阪大学名誉教授 宮本又郎 氏です。「激動期におけるビジネスリーダーの役割~東の渋沢栄一、西の五代友厚を中心に~」をテーマに語られました。
 まずは東の渋沢栄一と西の五代友厚の人物評です。五代友厚はNHK朝ドラ「あさが来た」でディーン・フジオカが演じて一躍有名になった大阪経済界の重鎮でした。渋沢は豪農の出で、五代は薩摩武士の出身。ともに明治政府の官僚で経済界の実力者だったことなど、共通点は多いようです。そんな二人もパリ万博を巡ってさや当てがあったそう。ちなみに五代は日本初の洋式紡績工場、鹿児島紡績所の設立に尽力し、これが現在のユニチカの礎になったのですね。
 次に両者の功績を振り返りながら、彼らの行動理念や現代経営にもつながる要諦などを検証していきます。新事業の創出を積極的に援助した二人、渋沢は主に移植産業、銀行や鉄道を、五代は在来産業、両替商金融事業を展開し、蓄財せずに、渋沢は91歳没で長寿を全う、五代は49歳で没しています。 
 二人が目指した新しいビジネスモデルやニュービジョンについて触れる中、とくに心に深く刻まれたのが渋沢の「合本主義」と「道徳経済合一説」です。渋沢は“日本資本主義の父”といわれていますが、自身では決して資本主義という言葉は使わず、「合本主義」と呼んでいたそうです。これは「公益を追求するという使命や目的を達成するのに最も適した人材と資本を集め、事業を推進させるという考え方」と定義される概念で、また「道徳経済合一説」は道徳と経済は一致するという説です。宮本先生はこれを「合成の誤謬」、狭い道をみんなが我先にと通ろうとすると却って混雑してスムースに通行できなくなるという例えを使って、他者の利益を尊重することで自分も利益を得られるという渋沢の思想を紹介しました。サステナビリティへの流れから最近、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が提唱したCSV (Creating Shared Value共通価値の創造)が注目されていますが、渋沢栄一は明治時代に既にこれを実践していたのですね。
 最後に今日における財界指導者の役割として、ベンチャーをもっと支援すべきあり、渋沢栄一の合本主義の精神「他利尊重」でいくことこそSDG’sの目標に叶うと強調して講演を締めくくりました。

 なお会場となった東京丸の内の東京商工会議所ビル6階には、東商渋沢ミュージアムがあり、渋沢栄一の直筆書物や銅像などが展示されています。足跡を訪ねてみたら意外な名言に出会えるかも。Img_05261 Img_05291

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