ファッションビジネス

2021年2月26日 (金)

2021年ifs新春フォーラム⑵ ゲスト二人とトークセッション

 「2021年ifs新春フォーラム」第2部は、コロナ危機が続く社会にあって、いかに快適に過ごすか、このための生活者へのサービスや暮らし方を考えるトークセッションでした。
 ゲストはJTB 名古屋事業部 営業四課 伊藤 慶宜氏と、主婦の友社ライフスタイル編集部 第3編集ユニット「古い家ではじめた、新しい暮らし」編集長 町野慶美氏の二人です。
  冒頭、コーディネーターのifs小原直花氏が「2030年に向けた時代の方向性」を解説。Img_35161
 ifsが昨秋実施した調査で、「コロナ以前の暮らしには戻さない」 と73%もの人々が回答していることや、働き方がテレワークに変わり、住む場所に観点が移って、どこに住んでも働ける可能性が広がる時代になったことを紹介しました。
 
 議論はこの話を受けてスタート。トップに立ったのがJTBの「My office NAVI」を担当されている伊藤氏です。
 JTBナビは、NECソリューションイノベータと共同開発したテレワーク施設簡単予約サービスで、ホテルの客室や宴会場といった遊休スペースを活用して、テレワーク場所として企業に提供しているといいます。当初は東京五輪・パラリンピックによる渋滞緩和・働く場所の確保などを支援する目的で始まったそうですが、今では全国400カ所のホテルにサテライトオフィスがあり、IT企業を中心に、数十社が利用しているとか。働きながら休暇をとる「ワーケーション(ワークとバケーションを組み合わせた造語)」の場にも活用されているといいます。
 選ばれるホテルは自宅に近いホテルが多く、定期代を支給せずにテレワーク費用に充てている企業もあるそうです。これまで都市部に向かって移動していた人たちが郊外へ移っていて、社会全体の流れの変化をもろに感じているとも。
 
 町野氏は、昨年11月「古い家ではじめた、新しい暮らし」という本を出版。
41jglodacul_sy349_bo1204203200_ 東京から地方へ移住した4組の住まい方を掲載したところ、大変参考になると好評だそう。ステイホームとなり、家事の頻度が上がり、料理や裁縫など手作りする人が増えて、楽しんで家事をしたい気分の人が多くなっているといいます。
 
 働き方や暮らし方を変えたいと思っている人を後押しするために必要なことは何かと問われて、伊藤氏は、テレワークの浸透率を上げるには、一に環境整備、二に信頼が重要と強調。そのためには仕事の評価基準も変化する必要があるといいます。ポイントは働く場をいかにストレスのない状態につくれるかで、ホテルは個室なのでストレスなしに仕事できるし、ワーケーションが可能なら、よりカラフルで楽しくなるといいます。
 
 最後に、伊藤氏が今後はテレワークとともにワーケーションが進む、旅行のやり方も多様化する、町野氏が紙の出版に拘らず、オンラインを活用してコンテンツをつくり、ネットに広げていきたいなどと語って、フォーラムを締め括りました。

 

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2021年2月25日 (木)

2021年ifs新春フォーラム ⑴ コロナが変えた未来の暮らし

 先般、恒例の伊藤忠ファッションシステム(ifs)の「2021年ifs新春フォーラム」がオンラインにて開催されました。題して「コロナが大きく変えた、だれにもまだわからない未来をどう楽しく暮らす!? まだ見ぬ社会を語り合おう!!」です。
 第1部では「2030年に向けた生活者の暮らし方キーワード」が発表され、第2部ではこれからの未来をどう楽しく快適に暮らしていくかについて、楽しいトークが繰り広げられました。

Photo_20210224073601  今や働き方や暮らし方が一変したことは誰もが感じているところですしょう。リモートワークが暮らしに入り込むようになり、仕事にも遊びにもフィジカル+デジタル=フィジタルな生活となりました。
 こうした中、心地よい暮らしとはどのようなものか、2030年に向けて未来はどうなる? フォーラムで語られた内容は、大変興味深いものでした。その概容を以下にまとめてみました。
 
 冒頭、次の二つの視点が提示されました。
 一つは、不確実が確実な時代。地球環境の変化、未知のウイルス、資本主義の限界と、この先何が起きてもおかしくない時代に突入していくとみられていること。もう一つは、生活者ムードが「常に不安と隣り合わせ」であること。サバイバルが要求される時代になっていくといいます。
 
 第1部は、上記の二つの視点を踏まえて、ifsナレッジ開発室 中村ゆい氏が、コロナ禍の生活者の変化をifs気分調査結果から分析。生活者にとっての快適さを形づくる要素とは何かをキーワード化して、紹介しました。 
 
 まず快適さのベクトルとして「分散する」です。一極集中はリスクに変容し、働き方、住まいなど、あらゆる局面で物事を分散化させていく動きが進むといいます。次に快適さを形成する条件として「柔軟に選べる」、「失敗を許容する」を挙げ、状況に応じて選択を変えられたり、やり直せたりできる環境が大切とも。とくに他者との関係では「違いを許容する」、「無理に合わせない」ことが、これからのコミュニケーションの鍵といいます。
 さらに生活に向かう姿勢としては「目の前に集中する」こと。できることから一つずつ対応し、足元から暮らしを守ることが重要といいます。物事の判断は「自分自身」で行い、他人が何をしているかは参考にならないとも。またポジティブなムードは「内側からつくる」を提案。外出やコミュニケ―ションへの制約から、楽しみや刺激となる偶然を自分の外に求めるのが難しい現状で、ポイントは健康管理や免疫力を高めるなど自分でつくり出すこと。ポジティブの源泉となるのは、「身近―心近の充実」、つまりリアルに関われる範囲にあるモノ・コトや、心が近いモノ・コトを充実させること。また「“好き”がよりどころ」になることも指摘。
 最後にテクノロジーは「積極活用する」こと、コロナ禍以前・以後の「いいとこ取り」をして、個々人に合った暮らしを実現できるよう、選択の柔軟性を高めることもアドバイス。

 暮らしをポジティブにアップデートしていくための適切なキーワード、一つひとつに納得です。

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2021年1月23日 (土)

HFWから考えるデジタルファッションとサステナビリティ

 ファッションビジネス学会のFashionGood 研究部会が昨年末、初のオンラインイベントを開催しました。この研究部会を主宰するのはユニバーサルファッション協会理事でMASATO YAMAGUCHI DESIGN OFFICE代表/デザイナーの山口大人さんです。山口さんによると、FashionGoodとは「ファッション産業のGood(持続可能性)」の意味で、ファッションビジネスにおける持続可能性を環境、社会、経済など様々な角度から捉えて研究し、研究成果を実践の場に落とし込むことが目的といいます。
  
 第1回のテーマは「Helsinki Fashion Week(略称HFW)から考えるデジタルファッションとサステナビリティ」です。
 Hfw    HFWは、フィンランドの起業家のEvelyn Moraさんにより2015年に創設され、以来、毎年ヘルシンキで開かれているファッションイベントです。当初よりサステナビリティを軸に、デジタル化が進められていて、昨年は7月27日から8月2日、コロナ禍もありオールデジタルで開催されました。
 今回は、山口さんの呼びかけでこのHFWに参加した日本人2人、KoH T(コーティ)のクリエイティブディレクター、糀 泰佑さんとRITTAIFUKU ハラダ・アヤ(Harada Aya)さんが登壇。HFWを通してデジタルファッションとサステナビリティを考察するトークイベントとなりました。
 その概要を簡単にご紹介しましょう。
 
 最初はゲストの自己紹介です。
 糀さんは福岡出身で、神戸ファッションコンテストで特賞を受賞し渡英。経験を活かして2018年にコーティーデザインスタジオを設立。2019年、ファッションブランドのKoH Tをスタートさせています。
 ハラダさんは日本人とフィリピン人のハーフで、国籍はフィリピンとか。デジタルを独学で学び、服作りに関心があったことからデジタルファッションデザイナーの道を選ばれたといいます。
 
 次いでディスカッションに移ります。
 まずHFWへ参加した経緯と内容について。
 糀さんは、昨年3月の東京コレクションで無観客ショーをオンラインで発信し、ボーグ誌にサステナブルなファッションデザイナーとして紹介されたことがきっかけだったそう。そこからHFWからオファーがあったといいます。
 HFWのオンラインプラットフォーム「デジタル・ビレッジ」の、「デザイナー・レジデンシー・プログラム」に取り組む15組に選出されて、フィンランドの有害な科学物質を使わないパルプ繊維技術を開発したスタートアップSpinnovaとコラボ、3Dデザイナーとタッグを組んでデジタル化したコレクションを発表したといいます。
 ハラダさんは、自身のインスタグラムを見たHFWファウンダーのアシスタントからのコンタクトだったそう。インスタの発信力に驚かされますね。
 HFWでは3Dデザイナーとして、韓国のユン・リーさんやロンドンのデザイナーとコラボし、デジタルファッションツールのCLOや、Blender、CINEMA 4Dを使い、作品を制作したといいます。

 ちなみにCLOとは韓国のスタートアップが開発した3Dモデリングのソフトウェアのこと。従来のような型紙や縫製サンプルをつくる必要がなく、廃棄物を出さないことからサステナブルと考えられています。Blenderは、3Dモデルを作成できるツール、CINEMA 4Dは、3次元コンピューターグラフィックソフトであるとのこと。
 ハラダさんはとくに服飾専門学校に行かなかったといいます。パターンの技術や知識はなくても、CLOは誰でもウエブサイトで学べるので、勉強して欲しいと強調します。
 日本でも今、少しずつ普及しつつあるようですが、あまり進んでいるようには見えません。このままでは世界から取り残されてしまいそう。
 糀さんも、これまでの伝統的な服づくりの方式が変化し、サンプルの仕事がなくなり、パタンナーはデジタルに取り組んでいかないとキャッチアップできなくなる、そうした時代が来るといいます。
 
 次に、デジタルファッションとサステナビリティを考えます。
 デジタルファッションで今後何ができるようになるのかと問われて。
 ハラダさんは、可能性は大きいといいます。サンプルが不要になるなど、制作工程で無駄を省くことができますし、工場などの労働環境の改善にも役立つでしょう。
 糀さんは、HFWは最先端の領域を示唆するもので、デジタルはまだ実験段階とみているようです。作品が先走っても、社会が追い付いていないので、実際の運用で価値を示せないと、なかなか慎重です。

 それではデジタルファッションを普及するにはどうすべきなのでしょうか。
 山口さんは、フィジカルとデジタルを融合させて無駄なものをつくらない使い方がベスト、コスト削減にもつながるといいます。
 つまりサポートツールとしてのデジタルです。糀さんもルックブックで例えばシューズのみをデータ化して効率化したり、デジタル空間と合わせたプロモーションを行ったりすることで、ブランドの世界をより強く印象的に魅せることが可能になるといいます。
 今後の課題は、グリーンウォッシュ(環境配慮をしているように装いごまかすこと )ではない本当の価値ある服を提供できるブランドを目指すこと。それには世の中の意識が変わってくるように発信し続けることが重要と力強く語られました。

 サステナブルにテクノロジーの活用は必須です。デジタルの採用がサステナビリティにつながる、これは今や自明の理です。山口さんのレポートにもあるように、3D CADでの無駄の出にくいモノ作りや、AIによる需要予測、デジタル接客によるパーソナライズ化で生産量の抑制もできるようになります。
 HFWではデジタルツールによって環境負荷を見える化し、サステナビリティへの信頼度を上げているとのこと。ポイントは、①様々な分野の人と提携し双方向で情報を共有し、共創すること、②グリーンウォッシュにならないように透明性を確立すること、③既存の経済システムからの脱却です。
 
 ファッションのデジタルデータ化が持続可能性へのアクセスを生み出そうとしている現在、世界の趨勢は早いです。昨今はフィリッピンなどアジアの進展に目をみはることが多く、日本もうかうかしていると乗り遅れます。それにはハラダさんが言っていたように、学ぶことですね。 
 次回のFashionGood 研究部会でどのような “学び”があるのでしょうか、楽しみにしています。

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2021年1月22日 (金)

WWDジャパン サステナビリティ サミット ⑶ 服の廃棄問題とこれからの服作りを考える

セッション3
 「WWDジャパン サステナビリティ サミット」のセッション3は、「服の廃棄問題とこれからの服作りを考える」と題し、栗野宏文ユナイテッドアローズ上級顧問、セッション2でファシリテーターを務めた川崎和也シンフラックス主宰、米国サンフランシスコ発のスタートアップ企業、アンスパン(UNSPUN)のウォルデン・ラム共同創業者が香港から登壇。廃棄物問題などビジネスの現実的な課題に対してアジアの若手起業家はどんな解決方法を考え、未来を見ているのか? これからのファッションビジネスの可能性を探るトークイベントでした。
 司会は向千鶴WWDジャパン編集長です。
 
 そのポイントをピックアップすると---。

 冒頭、動画が紹介されました。登壇した二人のアントレプレナーがそれぞれ開発したもので、一つはアンスパン(UNSPUN)の完全オーダーメイドジーンズ、もう一つはシンフラックスのAIを活用したパターンメーキングシステム「アルゴリズミック・クチュール」です。
 

 アンスパンが開発した3Dボディースキャンで、資源の無駄を最小限に抑えた完全オーダーメイドのジーンズです。
 
 シンフラックスが開発したAIを使った廃棄ゼロのパターンメーキング技術です。3Dモデルでつくった服を直線で自動的に型紙をつくるCADシステムで、一般に服をつくる際には15%~20%の余り布地が出ますが、このシステムを使えば5%以下に抑えられるといいます。

 まず、一つ目のテーマ「廃棄を出さないことを前提にしたデザインは人が予想もしなかったようなデザインを生み出せるか」について。
 ウォルデン・ラム氏は、日本のきものが新しいイノベーションを起こしているといいます。きものは最大限生地を使い切るようにデザインされていて、日本には生地を最後まで保存する文化があると。
 栗野氏は、きものは廃棄ゼロに近い衣服で、日本にはこのDNAがあると指摘します。
 川崎氏は、二つの視点があるといいます。一つはパターンカッティングで、日本のきものに着想し、型紙を直線に置き換え廃棄ゼロにすることで新しい表現が生まれると考えていること。もう一つはコンピューターが生み出す面白いカタチです。コンピューターが生成する驚きの表現と廃棄ゼロを両立させることが、これからの課題になるといいます。

 ここで向氏から「人が見たことがないデザインを生み出したいと思うか」と問われて。
 ウォルデン・ラム氏は、新しいものを生み出そうという意識があるかといえば、「ノー」だそう。新しいというより既にあるもの、例えば尾道デニムのように、ワークパンツとして1年間穿き続けた本物のユーズドジーンズなど、使い古した(エイジドな)体験の方に価値が高まっていると。
 川崎氏は、新しくしなければいけないのはモードではなく仕組みの方ではないか。仕組み、つまりシステムをつくることが、新しいデザインにつながると持論を展開。(栗野氏がいうシステムデザイナーらしいですね)

 次に、二つ目のテーマ「ヒューマンスキルとテクノロジーは共存できるのか」について。
 川崎氏は、ともにつくることが大切。ファッションブランドの「ハトラ」とAIの柄をニットでつくったとき、残糸を少なくする方式で、逆に職人の仕事を増やしてしまったことがあり、新しい仕組みと現状のすり合わせが重要といいます。 
 ウォルデン・ラム氏も、テクノロジーは人をサポートし、エンパワメントするために使われるものととらえているそう。
 二人ともヒューマンスキルとテクノロジーは共存できるということのよう。
 
 さらに肩書について尋ねられて---。
 ウォルデン・ラム氏は、「プロブレムソルバー」。在庫リスクや売れ残りなどの問題解決者といいます。
 川崎氏は、スペキュラティブデザイナーと称しているように、遠くの未来に問いを投げかける問題提起と解決をセットでやる職業と思っているそう。

 最後に、これから何をしたいか、です。
 川崎氏は、ファッションシステムの改革が最重要課題。国境を越えてサステナブルなファッションのデザイナーとコラボする、また大手メーカーと組むなどして、ファッションシステムを変えていくことに取組んでいくといいます。
 ウォルデン・ラム氏は、地球上のCO2排出量を2030年までに半減することが目標。他のブランドとのコラボをメインに積極的にやっていきたいと。
 
 栗野氏が、二人の活動は必ず生かされていくとまとめて、終了となりました

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2021年1月21日 (木)

WWDジャパン サステナビリティ サミット ⑵ サステナブルな世界のためのマテリアル&デザイン革新

セッション2
 「WWDジャパン サステナビリティ サミット」のセッション2に登壇したのは、サステナブルなテクノロジーで話題の企業のトップ、2人です。人工クモの糸で日本発の素材革命を目指すスパイバーの関山和秀取締役兼代表執行役と、サステナブルなモノづくりを掲げる新会社CFCLを立ち上げたデザイナー、高橋悠介代表で、彼ら若きリーダーに斬り込み、ファシリテーターを務めたのが、AIを使った廃棄ゼロのパターンメーキングを開発した研究者、川崎和也シンフラックス主宰です。
 「サステナブルな世界のためのマテリアル&デザイン革新」をテーマに、モノづくりから経営までサステナビリティの本質を語るトークイベントとなりました。

 まず川崎氏が、これからのファッションとサステナビリティについてディスカッションすると挨拶。関山氏は素材開発研究者の立場から、高橋氏はファッションデザイナーとしての立場から、ファッションと環境がよりよい関係を結ぶために何をすべきか、必要なアクションを語られました。
 関山氏は、スパイバーが開発したブリュードプロテイン(微生物による発酵で作られた人工の構造たんぱく質)素材について、可能性は非常に大きいと話します。社会が自然の生態系とつながる循環型を目指そうとしている現在、自然界のタンパク質を使いこなすことは実際、ますます重要になるでしょう。Img_53421_20210124172801
 (上写真は、スパイバーのブリュードプロテイン素材の展示です。プルミエールヴィジョン・パリの2020.2月展で撮影しました。)
 スパイバーはゴールドウィンとコラボし、ムーンパーカやTシャツに加えて、このほど第三弾の新アイテム「ザ・セーター」を発表したといいます。素材はウールやカシミアにインスパイアされたブリュードプロテイン、保温性があって肌触りがよく、天然繊維ならではの風合いに新しい機能を追求したものとか。進化を続けていますね。
 
 高橋氏は、イッセイミヤケを退社して昨年新ブランドCFCLを立ち上げ、この2月から販売開始の予定とか。CFCLは「Clothing For Contemporary Life」の略称です。イッセイミヤケの花形メンズデザイナーから一転、独立したきっかけは、娘の誕生だったそう。環境活動家グレタ・トゥーンベリさんにも触発されたとか。次世代へ向けてアクションを起こすために、自立の道を歩むことにしたといいます。
 手がけるのは、ほぼ全て3Dコンピュータプログラミングニット、つまり廃棄物をほとんど出さないホールガーメントニットとのこと。糸も再生ポリエステル100%でつくっているといいます。

 次に川崎氏が「未来への責任」を問いかけます。
 高橋氏は、CFCLにチーフ・サステナビリティ・オフィサーCSO(最高サステナビリティ責任者)という役職を置くとともに、モのづくりから流通、販売までブランドの全てにおいて環境配慮の素材以外扱わない方針といいます。
 関山氏は、2021年末までに量産プラントをつくるなど、量産体制を整えているとのこと。巨大なファッション産業にインパクトを与えることで地球のサステナビリティに貢献したいと話します。

 さらに未来をどのように考えているのかについて。
 関山氏は、ブリュードプロテインが普及した未来に、タンパク質は選択肢の一つとなるとみているとのこと。セルロースを含むバイオ材料で地球に負荷をかけずにつくる基盤を確立していきたいといいます。
 高橋氏は、服は売りっぱなしではなく回収を考え、つくり直すなどのシステムが必要。自身がつくる服はシーズン性にあまりとらわれない長く着ることができるものをデザインしていくといいます。デザイナーは自分が表現したいものだけをつくっていてはいけないのではないかとも。
 
 最後に感想として、高橋氏が、今素材はサステナブルであることがセールスポイントになっているが、バリエーションが広がって、あらゆる素材がサステナブルになるとよい。ボタンやファスナーなどの副資材もサステナブルな材料にしたいのでスパイバーでつくれないかと相談しました。関山氏の答えはもちろん可です。すでに樹脂の開発も行っているそうです。

 希望の持てる前向きな話で締めたセッションでした。

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2021年1月20日 (水)

WWDジャパン サステナビリティ サミット ⑴ 政治と産業が協働し、サステナブルなファッション産業を目指す

 先月、WWDジャパン主催のオンライントークイベント「WWDジャパン サステナビリティ サミット」を視聴しました。「サステナブルなファッションの未来を共につくる~これからのイノベーション、クリエーション、コラボレーション~」と題したシンポジウムで、ファッションのモノづくりに焦点を当てた興味深い議論が展開されました。 
 統括した向千鶴 WWDジャパン編集長は、「ファッションの未来を拓く鍵は、サステナブルな環境の中にある」といいます。一見対立しているように見えるサステナビリティとファッションですが、しかしファッションの創造性は、サステナブルという制約のある環境でこそ高まるものです。「制約は創造の源」という言葉に共感しました。
 登壇者はポジティブかつ、イノベーティブな視点を持つ識者・研究者たちです。3部構成で行われた各セッションには、関連企業のみならず様々な分野の知が集まり、共有とアクションの輪が広がりました。
 その概要を簡単にまとめてみます。
 
 セッション1です。
 ここではファッションと縁遠いと思われていた政治の世界から、何と小泉進次郎環境大臣が登壇してびっくり!そのお相手は、パリからマリー・クレール・ダヴー ケリング CSOです。ナビゲーターは日比保史コンサベーション・インターナショナル・ジャパン代表理事で、「政治と産業が協働し、サステナブルなファッション産業を目指す」をテーマに、フランスと日本のファッションビジネスにおける課題や未来について語り合いました。1_20210124075201
 冒頭、小泉氏が「政治とファッションがサステナビリティを通してつながった。日本でもサステナビリティとグリーンリカバリーが本格的に動き出したことを伝えたい」と切り出すと、マリー・クレール氏がケリンググループのサステナビリティへの取り組みを流れるように話し出しました。(ちなみにケリンググループとは、パリを拠点にグッチ、サンローラン、バレンシアガなどのグローバル・ラグジュアリー・ブランドを保有するコングロマリットで、他者に先駆けてサステナビリティに取組んでいることで知られています。)
 「同グループのピノーCEOはサステナビリティとラグジュアリーは同一というビジョンを持っている。サステナビリティは責務であり発展に不可欠な条件との考えから、EP&L(環境損益計算)を導入し、グループの環境負荷を数値化し可視化している。取締役会にも傘下のブランドにもサステナビリティ専門のスタッフが50名いる。協働へのアプローチ、透明性やオープンソース化も重要」といいます。
 また「サステナビリティを進めるにはエネルギーが必要」で、「ケリングではパイロットプロジェクトをつくり、そこから大規模に展開するプロセスで進めている」とのこと。小泉氏も「省内に27名のファッション タスクフォースを立ち上げ、ファッション業界と意見交換をしている」と日本の事情を紹介。 
 次に、話題は「ファッション協定」に移りました。これは2019年8月にパリで開かれたG7サミットで発表されたファッションパクトで、ファッション産業の環境負荷軽減に向けた国際的な枠組みです。ケリンググループが主導して発効したと言われています。
 マリー・クレール氏は「パクトの柱は3つ、気候変動と生物多様性と海洋の保護で、現在14か国60社、250ブランド以上が加盟している」と説明。「日本企業もこの協定に参加していただきたい。小泉大臣にはファッション協定の日本のアンバッサダーになってもらいたい」と要請しました。
 小泉氏は「この協定に日本企業が一つも入っていないのはもったいない。パクトへの加盟を促し、国際的な流れをつくっていきたい。この対談がそのスタートになればいい」と応じました。(実は日本企業ではアシックスが初加盟しています)
 パクトの目標の一つ、生物多様性は指標化が難しいとみられていますが、これについても、ケリングは生物多様性のための基金を立ち上げ500万ユーロの予算を当てたとか。(さすが違いますね。)
 さらにサステナビリティに不可欠なイノベーションでは、小泉氏が「日本は世界トップのサステブル技術を持っている。そうした企業へのサポートを進めていく」と述べると、「イノベーションはケリングの鍵。119のスタートアップと連携しているが、日本のスタートアップともぜひ協業したい」とマリー・クレール氏。
 生活者のライフスタイルにも言及があり、マリー・クレール氏は「ミレニアル世代やZ世代はサステナブルへの意識が高い。重要なのは企業のトップレベルでメッセージを発信すること。客との対話が企業を動かし、業界全体を動かすことにつながる」と強調。
 最後に、小泉氏が「タスクフォースを通じて、日本がサステナブルなファッションの国であることを後押しする」と断言して、セッションを締めくくりました。

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2021年1月12日 (火)

小売・アパレルがおさえておくべき消費のあり方

 コロナ禍で多くの小売・アパレル企業が窮地に陥る中、「2030年アパレルの未来」著者で、 ドイツを本拠とする経営戦略コンサルティングの2_20210113123401 ローランド・ベルガー日本法人 パートナーの福田 稔氏が オンラインセミナーに登壇。企業は消費に合わせてどのように変わっていけばいいか、小売・アパレルがおさえておくべき「これからの消費のあり方」をテーマに講演しました。

 まず取り上げたのが「コンテクスト消費」です。消費者の価値観が多様化し、モノではなく精神の充足が必要となっている現代では、消費する理由を促すコンテクストが必要と訴求します。商品やマーケティングのどの部分で自分に合うコンテクストを感じてもらうか、たとえばマクロではサステナビリティに共感できる取り組みを行っているとか、ミクロでは誕生日に記念クーポンが届くなど、消費者が欲しいのは、商品そのものではなく理由であると指摘。これを喚起するためには、ブランドの世界観や商品、マーケティングなど企業活動の様々なポイントで自分事化を促すような仕掛けを埋め込んでいくことが重要といいます。

 次にコロナにより何が変わったのか、です。
 ローランド・ベルガーが昨年7月に実施した日本を含むアジアや欧米の10ヶ国・地域の調査から、変化した価値観を6つ挙げて解説しました。①安全・安心志向―健康・予防や安定性や拠り所の重視。②節約志向―高額の支出の削減、安価。③本質追求志向―より効率的な手段へ、本当に重要なものへの集中。④イエナカ充実志向―在宅でできる手段、自宅の更なる充実と投資。⑤家族志向―家族と過ごす時間の充実、家族との関係を考えた消費。⑥社会協調志向―公益性や社会貢献の優先、企業や人々への応援意識です。
 中でも世界的に高まったのが安全志向や社会協調志向で、先進国では誰もが満たされていると感じていた安全欲求が簡単に脅かされることが明らかになったと言及。企業はこれらの価値観を社会共通のコンテクストとして意識することが重要といいます。また20~30歳の消費者は50歳以上の消費者よりも最大1.5倍程度価値観を強めているとの分析も紹介しました。
 
 さらにウイズコロナで重要となる要素について。冒頭の「コンテクスト消費」を捉えるには、大きく二つ、社会全体のコンテクストと個々人のコンテクストへのアプローチが必要で、とくに求められるのが次の3つの要素といいます。
 一つはダイバーシティです。日本では男女問題にフォーカスされるきらいがある多様性の問題ですが、グローバルな観点ではBLM運動など人種問題が浮上。日本でも関心度は高まっていく見通し。
 二つ目はサステナビリティです。繊維産業はものづくりの仕方として地球環境に大きな負荷をかけていることが国際社会の課題となっています。そこで直近、グローバルでみるとアパレル企業のサステナビリティに対する意識は大きく改善されつつあるといいます。2018年には66%の企業がサステナビリティ関連5項目以上の目標を定めるようになり、変化がみられるとのこと。消費者の方も地球温暖化への意識が強まり、1年間新しい服を買わないように呼び掛けるボイコットファッション運動が話題になるなど、業界を大きく揺るがすような気運もあり、社会共通のコンテクストとして取り組んでいく必要があるといいます。
 三つ目はパーソナライゼーションです。オンラインとオフラインの融合が進む中でテクノロジーを駆使した広告や商品のパーソナライズが、「売り方」、「見せ方」、「作り方」の3つの領域で重要といいます。「売り方」では、これまでの売り切りモデルからサブスクモデルの登場、「見せ方」では音声インターフェイスにも最適化領域が拡大していること、「作り方」ではマスカスタマイゼーションの適用領域が拡がりを見せているとのことを提言。多様化する個人のコンテクストを捉えるパーソナライゼーションこそ勝負の鍵と断言しました。
 
 最後に、株式市場で評価の高い企業は、①DX・パーソナライゼーションの推進、②ESG・サステナビリティ対応、③収益性の高さのいずれかを押さえているとまとめ、これまでのビジネスモデルを変える転換期にあることを強調してセミナーを締め括りました。

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2021年1月 9日 (土)

ユニバーサルファッション「人を元気にする力がある」⑵

 「ファッションは人を元気にする力がある」のトークセッションで、続いて登場したのがコヒナ (COHINA)代表/ディレクターの田中絢子さんです。2018年1月に小柄女性向けブランドのコヒナを創業、インスタで知られるようになり、1年半で月商5,000万円を達成、1回のインスタライブで200万円を売り上げるという、今話題の起業家です。

 Photo_20210110171601 セールスポイントは「アラウンド150 cmの小柄女性を綺麗に見せる服」で、身長155cm以下の女性が対象。日本人女性の平均身長は157cmなので、全体の2~3割に当たるとのことです。田中さんご自身148 cmでとってもキュートで可愛らしい。前職はマーケティングで、アパレルは素人だったそうですが、ご自身に似合う服がなかなか見つからない。身長が低いというだけで、ファッションを楽しむ可能性が閉ざされてしまっていると感じ、それなら創ろうとブランドを立ち上げたといいます。
 コアな客層は小柄の中でもとくに小さい150 cm以下の小柄さん。彼女たちに向けて、どちらかというとベーシックな服を展開しているといいます。というのもその多くが、皆が当たり前に着ている服を私も着てみたいと思っているからだそうです。一歩先をチャレンジする前に、当たり前を当たり前のように着たい顧客に合わせて品揃えしているとか。
 ベーシックというとユニクロがあり、サイズも豊富です。しかしそのSサイズでも大き過ぎて、丈詰め一つとっても、お直し代の方が商品代よりも高くなってしまうそう。
 そうした悩みをすくいあげているのが、SNSを通じたコミュニケーションといいます。インスタグラムのフォロワーは現在15万人いるとのことです。こんな商品が欲しい、ここのサイズが困っているなど、インスタライブでリアルタイムに客の声を聴き、それを直接商品に反映するモノづくりをしているそうです。生産元の工場とも直接会話しながらつくっているのも特徴で、デザイナーではないからこその商品展開ができていると語ります。
 D2C形式で客との距離感を縮め、事前のヒアリングを行って在庫を積まない、DNVB(デジタル・ネイティブ・バーティカル・ブランド)として確立していることが、まさにこのブランド成功の秘密なのですね。
 
 このトークセッションで、フライングジーンズを開発した加藤健一さんは、「このジーンズを穿くとかっこいいと言われる、それがうれしくて外に出てみたくなる」と言われて感激したそうです。コヒナの田中絢子さんは「サイズが合うというだけで社会の一員として認められた気がした」の声を紹介し、服は人の存在にかかわるものだった、服には人を肯定する力があるとコメントされていました。
 お二人のお話しを伺って、「ファッションは人を元気にする力がある」ことに改めて感動しました。

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2021年1月 8日 (金)

ユニバーサルファッション「人を元気にする力がある」⑴

 昨年11月初旬、東京・渋谷で国内最大級のソーシャルデザインの都市フェスSOCIAL INNOVATION WEEK(SIW)が開催され、ユニバーサルファッションをテーマにしたトークセッションが行われました。題して「ファッションは人を元気にする力がある」です。山形バリアフリー観光ツアーセンター 代表理事の加藤健一さんと、コヒナ (COHINA)代表/ディレクターの田中絢子さんが登壇し、MASATO YAMAGUCHI DESIGN OFFICE代表/デザイナーの山口大人さんがモデレーターを務めました。1_20210109193201
 山口さんは昨今ファッション業界に旋風を巻き起こしているサステナブルファッションを専門に活動されています。誰もがファッションを楽しみ続ける社会を創ることが、サステナビリティになり得るというヒントをこのセッションから引き出して欲しいといいます。車椅子のために生まれたジーンズ「フライングジーンズ (Flying jeans)」の発案者である加藤健一さんと小柄女子のためのファッションブランド「コヒナ」を運営されている田中絢子さんとの対談は、ファッションがいかに人を豊かにする力があるか、その力がいかに社会をポジティブに変える可能性を秘めているかを伝えてくれました。

 ファッションが持つ“人を元気にする力“とは何か、下記は登壇した二人が語った興味深いストーリーです。

 世界最軽量の重さ3.5kgの車いすを使用している加藤さんは、通称「空飛ぶ車いす社長」と呼ばれているそうです。山形県南陽市を拠点に、山形バリアフリー観光ツアーセンターの代表理事をはじめ、様々な活動をされています。
 21歳で筋ジストロフィーを発症し、車いす生活となって一番感じたのはあきらめなければいけないことの多さだったとか。そのバリアを片っ端からこわしていきたい、こんな思いから始めたのが車いすでのフライトだったといいます。
 地元のハングライダーのフライトエリアは、世界で唯一の障がい者を受け入れる施設だそうです。憧れの福祉国家、デンマークからも多くの観光客が車いすでフライトを楽しんでいかれるとか。
 こうした「バリアフリーインバウンド」や障がい者用駐車場の塗装作業「ブルーペイント大作戦」などに取り組む中で、「フライングジーンズ」も誕生したといいます。
2_20210109193301  ジーンズは障がい者にとって穿きにくいアイテムの一つなのですね。車いす利用者は、柔らかくて伸びるスウェットやジャージーパンツで過ごす人が多いといいます。でも皆が当たり前のように穿いているジーンズです。ジーンズのおしゃれをあきらめて欲しくないと思い立ち、丸安毛糸とコラボし、両国の丸和繊維工業の「動体裁断」という特殊な裁断法によって、座った状態できれいにはけるジーンズを開発されました。
 これにより座ってもウエストラインが下がらず、膝を曲げた時に突っ張る不快感もなく、脱ぎ着しやすくなったそう。裾が上がらないし、不自然なしわも寄らないため、見た目も良くてかっこいい。¥28,000も高価ではないようで、海外からも注文がくるといいます。
 はきやすくてシルエットが良いので、座って仕事することの多い健常者にも好評の様子です。これぞユニバーサルファッションのジーンズですね。

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2020年12月27日 (日)

コットン ワークス 変化する世界に適応する生活者と衣服

  米国コットンインコーポレイテッド社香港が15日、オンラインで開いたコットン ワークスCottonWorksの「今秋マーケットリサーチセミナー」に参加しました。3_20201227161001
 講師はコットンインコーポレイテッド社マーケットインサイトのマネージャー、キャサリン・ブルース氏で、テーマは「変化する世界に適応する生活者と衣服」です。米国と中国のマーケット調査結果を基に、生活者は変化する社会の中で衣服に何を求めているのか、これからのアパレルに影響を与える3つの主要なトレンドを語りました。 

 一つ目は「コロナが個人消費に及ぼす影響」です。パンデミックの最初の数か月は衣料品の支出が大打撃を受けましたが、秋になると回復し、パンデミック前の日常に戻りました。しかしその割合は米国で36%なのに対し、中国は84%でした。この差は衣料品支出に現れていて、中国は8月に前年比7%に上昇、9月は5%増、米国では9月になって一部店舗が再開したことを受けて4%アップとなったそう。
 家で過ごす時間が長くなった生活者は、カジュアルな快適さを選択していて、Tシャツやスエットシャツやスエットパンツが伸び、カジュアルシャツやドレスパンツやドレスが落ち込んだといいます。リモートワークもありレギンスやヨガパンツなどさらにカジュアルな服が選ばれ、デニムジーンズが仕事場でこれまで以上に受け入れられるようになったとも。
 ボトムはデニムジーンズ、アスレティックパンツ/ショーツパンツ、スエットパンツ/ジョギングパンツの順に人気。中国では約3分の1がドレスパンツやドレススカートを頻繁に着用すると答えているそうです。
 またこの3ヶ月以内に衣類を購入する予定と答えた人は米国で67%、中国で83%、品目としてアスレジャーやアクティブウェア、ラウンジウェアが挙げられています。
 素材は80%がコットン製を好むと回答、「コットンは快適」と選ばれる繊維になっているといいます。
 
 二つ目は拡大する「デニム市場」についてです。
 生活者のエコノミックデータからデニムジーンズはワードローブの定番になっているといいます。2019年から2024年までの統計によると世界的なデニムの支出額は2024年に米国は170億ドルで4%増、ヨーロッパは168億ドルで8%近い増加、中国は134億ドルで13.5%増と力強い成長が見込まれています。対して日本は2024年に5.4億ドルで5.6%減です。(講演後の質疑応答で、日本は少子高齢化の影響で、衣料費支出全体でも3.1%減とみられているそう。-5.6%は妥当な数字といいます)
 米国小売業ではデニムはフロア面積で32%と最大のシェアを占めていて、提供されるボトムの3分の1がデニムジーンズ。次いでカジュアルパンツ、ショートパンツ、レギンス、スカートと続くそう。
 またデニムジーンズは米中とも生活者の3分の2以上が、もっとも多くの場面で頻繁に着用し、クローゼットの中で何年間も保管している特別なアイテムになっているといいます。ほぼ半数の人がデニムジーンズを毎日か隔日で履いていて、4人に3人以上の人がデニムは流行遅れにならないと考えているというデータもあるそうです。
 さらにデニム購入のドライバー(推進要因)は、フィット感と快適さ、品質と耐久性、スタイルパフォーマンスと持続可能性にあると指摘。オンラインショッピングではフィットしたジーンズを見つけ難いですが、しかしアプリを使用してボディをスキャンし、カスタムフィットを作成するカスタムジーンズが人気を集めているとか。測定ツールを提供するブランドからジーンズを購入する生活者は66%に上っているといいます。
 快適さでは、もっとも快適なボトムは何かと訊いたところ、男女ともほぼ半数がデニムジーンズをトップに挙げたそう。女性はジーンズに次いでスエットパンツとジョギングパンツ、レギンス。男性はアクティブパンツとショートバンツだったとか。男性の場合、デニムジーンズは職場でもデートでも見栄えがよいアイテムと思われていて、汎用性が高いことも人気の要因といいます。
 好まれる素材は圧倒的にコットンで、生活者の4分の3が綿100%か、あるいは綿リッチ(綿の割合が多い)のストレッチが快適と回答しているそう。今後はますます速乾などの機能加工で付加価値をつけた革新的コットンデニムが広がりそうです。

 三つ目は「衣類を長持ちさせることの重要性」です。米中の生活者調査で、約3分の2が地球環境をより良くしたいと答え、9割が長く着ることが服の重要な属性と考えているといいます。
 実際、服の長持ち度はここ10年で増加し、2010年にTシャツは2.8年、ジーンズは4年だったのが、最新の調査ではTシャツは4.5年、ジーンズは5.1年に伸びたそうです。
 米国では一人平均86着の衣服がクローゼットにあり、その4分の1がTシャツとデニムジーンズ。長持ちするので何年も保管されていることから、ワードローブの中でもっとも古い衣類になっているといいます。実際、綿の割合が多いほど、保管期間が長い傾向があるようです。
 最後に綿リッチな衣類は長持ちするだけでなく、頻繁に着用されることから、耐摩耗性や生地強度を高めたコットンインコーポレイテッド社開発の「タフコットン」を紹介、セミナーを締めました。
 
 生活者はコロナ禍でよりカジュアルなウェアを求め、デニムジーンズを愛用し、長持ちさせることを期待していることが、データで示され、大変参考になりました。今回は米国と中国でしたが、来年は日本市場についても調査するとのことです。また楽しみにしています。

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