テキスタイル

2019年9月12日 (木)

テキスタイルのデジタリゼーション~ITMA2019に学ぶ ⑶   「デジタルテキスタイルの現状と将来」

 (昨日のブログの続きです。)
 さらに続いて、デジタルテキスタイル研究部会運営委員でキャノンR&D本部材料技術22開発室の城田 衣 氏が登壇し、「部会運営委員が見たITMA~デジタルテキスタイルの現状と将来:材料の観点から~」と題して、デジタルテキスタイルの現状やITMA2019の出展状況などに関するお話しがありました。
 まず「デジタルテキスタイルとは何か」というと、スクリーンの版などを使用せずにデジタルで布にプリントする技術で、多品種小ロット短納期、デザインの自由度、それに低排水を実現するものであると分かりやすく解説。
 今、従来の大量生産・大量廃棄からミニマムな工場で必要な分だけ生産する方向への変革期にあって、デジタルテキスタイルは環境問題や社会問題を解決する鍵の一つになるといいます。
 市場規模は2025年に300兆円に拡大し、シェアは7.6%になると見込まれているとのこと。
 
 次にデジタルテキスタイルには大きく2つの方式があると説明。①直接方式で、布に直接プリントする、②昇華方式で、紙にプリントし、布に染料を移行させるもの。現在はこの2つが、ほぼ半々の割合で行われているそうです。
   直接方式                 転写方式
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 (実物サンプルをみせていただきましたが、直接方式も転写方式も違いはないように見えました。)

 今回のITMA2019では、既にコニカミノルタの稲田 寛樹氏が述べられていたように、顔料インクの技術が進歩し、直接昇華という新しい方式が注目されているといいます。これまでできなかった顔料転写が発表され、紙を媒介とするプリント方式が綿など全ての布で可能となり、対象布が拡大しているそうです。

 講演の後、質疑応答で話題となったことがあります。それは転写プリントの転写紙の問題です。転写紙は再生不可能な紙で、また転写専門の専用紙でないとプリントできないそうです。デジタルプリントがいかに節水に貢献するといっても、転写紙の製造に水の使用量が多くなっては環境に優位とはいえない、と指摘されました。
 「あちらを立てればこちらが立たず」、環境問題はほんとうに複雑です。
 とはいえ、従来の捺染プリントはデジタルへと置き代わっていくと結論づけました。今後の予測として、①デジタルプリントの市場は拡大する、②顔料インクの進歩で直接昇華が広がり、用途により昇華方式から直接方式への転換も可能になる。とくに環境問題から直接方式が多くなってくることが見込まれているようです。③従来捺染との組み合わせによる新たな表現が生まれるなど。
 
 私にとってデジタルテキスタイルの技術について、何となくしか分かっていませんでした。今回3人の専門家のお話しを拝聴し、改めて学び直し概容がつかめた気がしました。大変参考になる有意義な講演会でした。

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2019年9月11日 (水)

テキスタイルのデジタリゼーション~ ITMA2019に学ぶ ⑵  「ITMA2019に見るデジタルプリント」

 (昨日のブログの続きです。)
 続いて登壇されたのが、コニカミノルタのテキスタイル事業推進部 稲田 寛樹氏です。「ITMA2019に見るアパレル4.0時代の生産プロセスの変革とシングルパスの活用」をテーマに、ITMA2019と業界動向、主要プリンターベンダーの訴求点などをプレゼンテーションされました。ここではそのほんの概略ですが、記します。

 まずデジタルテキスタイルの市場動向から。
 デジタルプリントは今では全テキスタイルの5~6%(面積比)となり、2017-21年の年間平均成長率は20%と順調に成長、とくにデジタルプリント高速機シングルパスでの生産が増加し、また昇華転写は全体の44%になっているとのこと。プリント機のシェアはアジアとヨーロッパがそれぞれ38%と37%で、アジアでの稼働率はヨーロッパの2倍といいます。

 次に今回のITMA2019のデジタルプリントについてです。
 高生産のプリンターは超高速スキャンや多色化などもあって改善され、色合わせプロセスも簡略化、前後処理プロセスも短縮化して品質の見える化が進んでいるとのこと。中でも顔料の堅牢度がよくなり、E-コマースとの連動に大きな期待が集まっている、またハイブリッド捺染機が、スクリーンとデジタルの「ブリッジ」となりうる新たな選択肢として注目されているといいます。
 さらに主要メーカー各社に関する動きです。コニカミノルタの新機能を搭載したシングルパス捺染機SP-1や、MS Printing SolutionsのシングルパスLario、HPのスティッチSシリーズの発表などを紹介。
 Img_58191_20190906074101 右は東伸工業の靴下用プリンターGINGAのサンプルです。(実物の写真を撮らせていただきました。) 昇華、酸性、反応など素材によってインクの選択が可能で、印字後2分で熱定着するとのこと。発色もとても美しかったです。

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2019年9月10日 (火)

テキスタイルのデジタリゼーション~ITMA2019に学ぶ ⑴ 「デジタル化で変わるファッションマーケット」

 先月末、ファッションビジネス学会デジタルテキスタイル研究部会が主催する講演会に出席しました。メインテーマは「テキスタイルのデジタリゼーション~ITMA2019に学ぶ~」です。
 ITMAは、4年に一度開催される国際繊維機械機器展ですね。今年は6月に、スペインのバルセロナで“デジタリゼーション”をコンセプトに開催されたそうです。ここでは3人のスペシャリストが登壇し、ITMA2019のデジタルテキスタイルの最新技術や、デジタル化によるアパレル生産の近未来を語りました。大変新鮮で中身の濃い講演会でした。

 トップバッターはレクトラ(LECTRA)ジャパン代表取締役社長 田中昭彦氏です。Img_57821jpg 「デジタル化で変わるファッションマーケット」をテーマに講演されました。
 まずレクトラについて、ファッション・アパレル、自動車内装、家具などの企業に対し、インダストリー4.0で企業をサポートする世界のリーダーカンパニーであると紹介。1973年フランスのボルドーに設立され、以来40年以上が経過して、現在、各国に32の支社を持ち、100か国以上にまたがる25,000社の顧客にサービスを提供しているといいます。

 次にデジタリゼーションの背景を探る4つのメガトレンド、①顧客トレンド(人口減少の日本と異なり、欧米や中国では購買力のある30~40代の層が厚い)、②技術トレンド(デジタル化)、③産業トレンド((インダストリー4.0の進展)、④市場トレンド(中国への対応など)を挙げて解説。
 「何故この4つをメガトレンドとしたのか?」というと、そこにはスピードと自分だけのオンリーワンを求めるハイパー・コネクテッド・カスタマーの出現があるからといいます。オンラインとオフラインがシームレス化する時代が到来し、これまでのビジネスシステムが役立たなくなっている、つまりこれまでのメインストリームが変わりつつあると指摘します。

 「デジタル化の意味するところは何か?」、それはデジタル化により利便性が増すだけではなく、過去の履歴が残ること。つまりデータの蓄積により、「あなただけのもの」を提供できるようになる、カスタマーセントリックな手法がとれるようになることが最大のメリットといいます。
 「デジタル化とマス・カスタマイゼーションは相性がいい」のですね。

 それでは「何故、ファッション業界ではデジタル化が進んでいないのか?」です。その理由として下記があるといいます。
・ファッション業界はエモーショナルな部分に係るリアルなものを扱っているが故に、デジタル化が難しい。
・経営層にテクノロジーに理解のある層が薄く、IT投資を最小限にとどめたいコストと思っている。
・サプライチェーンが細分化され、分断されているため個々の企業がトータルのメリットを享受しにくい。
・デジタル化による成功体験を実はまだ誰も享受していない。
 ここでデジタル化は一つひとつ個別にデジタル化してもうまくいかない、すべてをデジタル化しないと進展しない、と強調されたのが印象的です。

 「そもそもインダストリー4.0ってそれまでとどう違うのか」、これについてもわかりやすく説明されました。それはこれまでの量産からマス・カスタマイゼーションになるということ、しかも確実に売れるものをつくること。工場も「これならできる」から「これもできる、あれもできる、何でもつくれる」工場へ進化させることがインダストリー4.0であるといいます。

 最後に、インダストリー4.0化したプロセス=デジタルの世界と現実の世界を結びつけるソリューションとして、レクトラの「レクトラ カッティング・ルーム4.0 (Lectra Cutting Room 4.0)」を紹介。これは労働集約的な裁断室のオペレーションをインダストリー4.0へ変革するもので、MTM/MOMなど多品種変量生産に対応した裁断工程へのアプローチとか。
 「つくるところから売るところまで、すべてを考えないとデジタル化は進まない」の言葉で締めくくりました。

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2019年8月 2日 (金)

2020/21年秋冬ミラノウニカ コットン素材傾向

 一般財団法人日本綿業振興会のHP内、「Newsプレスリリース」の7月31日付けで、柳原美紗子が寄稿した「2020/21年秋冬ミラノウニカ コットン素材傾向」の記事が掲載されました。
 http://www.cotton.or.jp/pr2019-07-31.htmlをクリックしてご覧ください。

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2019年7月27日 (土)

「アンテルフィリエール 」サステナブル&ウエルビーイング

 この7月初旬(6~8日)、パリで開催された下着と水着用素材の見本市「アンテルフィリエール  (Interfiliere)」を見て来ました。
Img_36231  入口付近はリゾートのリラックスした雰囲気が一杯!
 日本からも5社、旭化成、セーレン、栄レース、クロダレース、中越レースが出展していました。

 全般傾向としては大きく二つの流れがみられるようです。
 一つは、“サステナブル(持続可能)”に焦点を当てたもので、ファイバーとしてはバイオ原料やエコ・フレンドリーなナチュラル繊維、テキスタイルではリサイクル・ニットやリサイクル織物です。
 もう一つは、“ウエルビーイング(wellbeing 健康で安心)”です。快適性やプロテクト性に優れた高機能をクローズアップするものです。たとえばUVカットや抗菌、速乾、動きをサポートする伸縮性、超しなやかでやわらかな質感の素材です。

Img_33771  上はトレンドエリアです。“オーガニック・ムーブメント”や“ラグジュアリー・テキスチャー”、“ニュー・セクシー”、“ジェネラス (カラフルな花柄)”、“グラフィック・コントラスト”などのテーマ別に分類展示されています。

 日本のメーカーもこうした流れの中で、デザインや機能をさらに向上させた素材を提案していました。中でも開発力を誇る大手2社をご紹介します。
 
 旭化成は、スパンデックス繊維では世界で唯一GRS(グローバル・リサイクル・スタンダード)認証を取得した“ロイカ” の人気がますます高まっているようです。Img_35461jpg
 セーレンは、“ビスコマジック ビューティーパイル(VISCOMAGIC BEAUTYPILE)”と“フレックス ムーヴ(Flex Move)”を大々的に打ち出していました。
Img_35371   “ビスコマジック ビューティーパイル”は、ビスコマジック技術をパイル生地へ応用した3D凹凸デザインの機能素材だそう。
 一見フロッキー加工かと思いましたが、よく見るとデザインジャカードウェアでした。

Img_35431  “フレックス ムーヴ”は、革新的な8方向ストレッチとか。
 抜群のフィット性と、切りっぱなしでもほつれないフリーカットを実現しているといいます。
 
 いずれもインナーウェアに革命を巻き起こす素材と思われます。

 日本の技術ってほんとうにすばらしい!

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2019年7月21日 (日)

ミラノウニカ⑿ 盛会裏に閉幕 結果報告とまとめ

 2020/21年秋冬のハイエンドなコレクションを発表した第29回ミラノウニカ(MU)が11日、盛会裏に閉幕しました。015_mu_cinema_mu29_ph_erdna1
 リリースによれば、来場した企業数は6,000社以上に上り、イタリア企業の数は堅調に推移、イタリア以外の各国からの来場社数は、前年同期比2.6%増と報告されています。
 このプラスに貢献したのは、インド(+ 13.7%)、香港(+ 13%)、イギリス(+ 11%)、フランス(+ 10%)、スペイン(+ 9.5%)、オランダ(+ 8.7%)とアメリカ(+ 3.5%)の企業で、中国(-13.7%)とドイツ(-14.7%)からの減少を相殺する結果となったといいます。
 出展社数についても昨年7月の水準を維持し、総数は608社。MU独自の出展社数は465社で、イタリアを除くヨーロッパからの出展社は93社となり8%増。日程を7月という早期開催に改めて3年目、この試みは概ね成功といえそうです。
 またオープニング・セレモニーで議論された、デジタルイノベーションとサステナビリティについて、MU会長のエルコレ・ポッド・ポアーラ氏は次のように言及しています。
 まずデジタルイノベーションでは、「ピッティ・インマージネとのコラボレーションにより実現したe-milanounicaの参加者が、わずか半年で3倍に増えたことは大変喜ばしい。オープニングでも述べた通り、これからは私たち全員がデジタル化の大きな利点のひとつである、パーソナライゼーションに取り組まなければならない」。
 次にサステナビリティでは、「生産プロセスに焦点を当てることに加えて、伝統的なグリーンの製品だけでなく革新的でクリエイティブな製品にも注意を向けることが重要と考えている。今後様々な分野でのプレゼンスを強化していく。」
 デジタルイノベーションとサステナビリティは、イタリアの製造業の国際化を支える基本的な要素になっているといいます。これは日本企業も同様で、企業競争力を維持するための必要条件といえます。
 
 とくにポアーラ会長との会見で、次のような本音のようなお話しもありましたので、簡単にまとめてご紹介します。
 「デジタル・トランフォーメーションを掲げているが、それ一辺倒にはなりません。アナログ好きは必ずいて、デジタルと程よいバランスのとれた社会になります。リアルな見本市は重要であり続けます。」
 サステナブルについては、「サステナブルな製品はなかなか売れていかず、かえって消費をダウンさせているようです。実際イタリアのアパレル市況はよくないです。しかし電気自動車が少しずつ出てきているように、徐々に伸びていくはずです。サステナブルなものが売れるようになるのは、まだ先のことと考えているうちに、いつか急に変化するときが来ます。ですからそのときに備えておく必要があるのです。私たちの子どもの世代、次の孫の世代には、サステナビリティが当たり前のようになるでしょう」。
 未来に向けて、胸に刺さる印象的な発言でした。さすが慧眼!

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2019年7月20日 (土)

ミラノウニカ⑾  特別展示いろいろ

 今シーズンもミラノウニカ(MU)では、特別展示がいろいろ行われました。
 まずはトレンドエリアの「フィーロ(FILO)」の先取り展示です。フィーロ(FILO)は、この9月25日と26日にミラノのステッリーネ宮殿で開催されるアパレルおよびインテリア・ファブリックス用織糸の見本市です。
025_politecnico_mu29_ph_erdna21  今シーズンの「フィーロ」のトレンドテーマは「メタモルフォーズ(変身)」です。資料を見ると、ギリシア神話に登場する“サテュロス”のような半人半獣の自然の精霊がイメージされています。19世紀末の絵画に登場した象徴主義、オディロン・ルドンやフェルナン・クノップフ、グスタフ・クリムトらが大きな発想源になっているようです。改めて神秘的なファンタジーの世界への関心が高まりそうです。
 
 次にミラノ工科大学学生の作品展です。テーマは「ユニフォーマルズ (UNIFORM ALS)」でした。歴史的なネイビーの軍服や、スクールユニフォーム、庭師やとび職などのワークユニフォーム、世界のアーミーの制服などにインスパイアされた作品が並び、なかなか壮観でした。015_mu_cinema_mu29_ph_erdna41  
015_mu_cinema_mu29_ph_erdna21  使用されている生地は、MU出展企業の提供によるものです。
 MUは毎回、このような若者のインキュベーション・プロジェクト支援活動を行っていて、その成果を見本市会場で発表しています。
 
 また今回初めて「e-MilanoUnica at the Cinema」というイベントも開催されました。025_politecnico_mu29_ph_erdna1
 これはこの2月にスタートしたデジタルプラットフォームの「e-MilanoUnica」の運用基準や出展のメリット、マーケットなどを説明する10分程度のショートムービーです。見本市や出展社情報を補完する重要なツールとなるもので、半年ごとに更新されます。コンテンツのさらなる充実に期待です。
 
 この他、いつものようにMUヴィンテージという古着展もあり、盛りだくさん。モーダインからシャツアヴェニュー、イデアビエラまでの広い会場を、会期内にすべて見ることなどできません。巨大なテキスタイル見本市は見応えたっぷりでした。

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2019年7月19日 (金)

ミラノウニカ⑽ 日本パビリオン 注目のニット生地

 ミラノ・ウニカ(MU)の日本パビリオン、ジャパン・オブザーバトリー(JOB)では、全国一の丸編みニットの産地、和歌山県のメーカーの活躍が目立っていました。
 その注目のニット生地を追ってみましょう。

カネマサ莫大小
 布帛のような丸編み、それも非常に薄地のものを開発している世界トップの技術を持つ編地メーカーです。素材がコットン100%で実現されているところもスゴイとしか言いようがありません。Img_45941jpg  写真のメンズジャケットは、ニットというのに、どこから見ても布帛しか思えませんでした。

エイガールズ
 今回はゆっくりと落ち着いて商談ができたと満足そう。イタリアを始めアメリカや中国など世界中からバイヤーが来場したといいます。
 とくに目立った動きとしては、毛足の長いエコファーやスペックル染めの太番手の編地、厚みのあるワッフル編みといったテキスタイルの存在感が増していたこと。
 ボリュームのある見た目とは裏腹に軽量というのもポイントです。Img_46271 Img_46321







吉田染工

 和歌山県の地元でつながっているグループ企業の貴志川工業と合同でブースを展開。Img_45971
Img_45981jpg  今回も島精機のスライを使用したコンピューターシャカージニットを見せていました。
 布帛のようにしっかりとしたボリューム感のあるファンシーな編地です。


森下メリヤス工場

 吊編み機からコンピュータージャカードニットまで、すばらしい技術でバイヤーを魅了するメーカーです。
Img_46371jpg  今シーズンは、毛足の長いモヘアの丸編みにチャレンジしていたのが印象的でした。

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2019年7月18日 (木)

ミラノウニカ⑼ 日本パビリオン サステナブルのパワー増す

 ミラノ・ウニカ(MU)の日本パビリオン、ジャパン・オブザーバトリー(JOB)では、MUが提唱するサステナブル・イノベーションに向けて、全体にそのパワーが増しているようです。
 とくに注目したブースをご紹介しましょう。
 
古橋織布
 今回は来場者が少ないと、少し浮かない表情でしたが---。
Img_46021jpg  人気は依然、シャトル織機による薄地のコットン生地とか。
 とくにウール芯にコットンをカバーしたコアヤーンで、ウール/綿混による縮率の差が生み出す独特のシボ感のあるテキスタイルが好評といいます。

ブルールーム
 ブルーはインディゴ、ルームは織機で、産地間コラボ、播州の「播」、尾州の「御幸毛織」、浜松の「成和第一産業」によるブランドです。今回で2回目の出展で、来場者は約60社と、前回の8割程度とか。
 シャトル織機によるセルビッチ生地は、サステナブルなスロー・ファブリックとして関心が高く、とくにメンズ関連のバイヤーが興味を示してくれるといいます。
Img_46041jpg  強撚ギャバジンのコート地や、ユニフォームのブレザー地、コンパクトなシャツ地、またインディゴ染めでブリーチ加工のコーデュロイも珍しがられるそう。

前田源商店
 オーガニックコットン生地を60点展示。一つひとつの生地にトレーサビリティを可能にするQRコードを付けたのも、新しいポイントです。折からのサステナブル志向でバイヤーが絶えない様子で、大きな人気を博していました。
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 コットン100%のものに加えてウールや麻混の交織も提案。
Img_46151_20190720153301  また「こもれび」ジャカードも発表。これは山梨県富士吉田市の産地企業が山梨県産業技術センターと山梨大学と連携し共同開発したもので、木の葉のぼやけた影をできるだけ自然のままに再現させたジャカード柄シリーズです。カスリのようなグラデーションが生地に趣のある深みを与え、表現の幅が広がりました。

渡縫織物
 山梨・富士吉田産地のハイクオリティな先染め織物のメーカーです。
Img_46201jpg  前田源商店と同様に、「こもれび」ジャカードを提案していました。シンプルな幾何学柄に微妙なシャドーが入り、立体的な奥行きを感じさせます。素材はキュプラや化合繊、シルク、コットンなど様々です。

小林当織物
 このところ秋冬シーズンのみの出展です。
 今回は予想以上の入りで、メンズとレディスのバイヤーが半々くらい。イタリア以外のバイヤーも多いといいます。
Img_43661jpg  右は、柄のリピートが60cmという巨大なジャカード織物です。
 二色使いのシンプルなデザインが爽やかな印象で、好評を博している様子です。コットン/ナイロン/ポリエステル混。

宇仁繊維
 全体に例年に比べ来場者が少ないとのこと、今シーズンはとくに英国人バイヤーの来場が目に付いたそう。前面にディスプレーした生地をもっと華やかな彩りのものにすればよかった、などと話していました。
Img_43751jpg
Img_43801  人気は透け感のあるメッシュなど、表情のあるテクスチャーです。
 しかしながら35,000点ものストックを持ち、小ロット・短納期で販売する同社はさすがに強い。ファッション市場の低迷にもめげない様子です。

サンウエル
 日本の匠の技術でつくられたトレンドファブリックを常時ストックしていることで人気の同社。今回も約100社が来場したといいます。
Img_45751_20190720154201  ウール調合繊が好調で、前面にバイオウオッシュの光るデニムをデイスプレーして人目を惹いていました。

東レ
 前週のPVブロッサム展に続く出展の同社。ここでの提案は、またしてもウルトラスエードです。イタリア中心に約60社と商談し、絶好調といった様子でした。
Img_46241  人気はリサイクルポリエステルや生分解性素材を使用したサステナブルなウルトラスエードです。明るいさわやかな色調がウインドーを飾っていました。

八木通商
 前回並みの来場者数を維持した同社ですが、全体に少ないといいます。国別ではイギリスやドイツ、フランスからの来場が増え、イタリアが少なめだったとか。
 不況の影響か、ミニマルの価格を気にするバイヤーが増え、慎重姿勢が目立ったといいます。
Img_43861  デニムはリサイクルデニムや水節約につながるテンセルデニムなど、サステナビリティを意識した素材を提案。
 右は、コットンに和紙をボンディングした特殊加工の素材です。
Img_43811jpg  
 さらに注目は右のダッフルコートです。
 素材はウール/アクリル混で、伝統の本格的なダッフルの表情を保ちながらも、アクリルによる蓄熱機能糸が取り入れられていて、保温性の高いものになっていることがポイント。
 しかも中空糸使いで、20%の軽量化が実現されているといいます。
 緻密なヴィンテージ調のヘリンボンの風合いが昔懐かしい感じでした。

 




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2019年7月17日 (水)

ミラノウニカ⑻ 日本パビリオン 新規出展に手応えを感じて

 今シーズンのミラノ・ウニカ(MU)の日本パビリオン、ジャパン・オブザーバトリー(JOB)には30社・グループが出展しました。その内新規は5社です。初めてながら著名ブランドのバイヤーの来場が予想以上に多く、手応えを感じたといいます。次回も出展への意欲をのぞかせていました。

ショーワ
 プルミエール・ヴィジョン・パリ(PVパリ)に長年出展してきた同社が、今回MUに初出展しました。なぜPVパリを離れたのか、と伺うと、PVパリでは来場者は多くても、実のある商談がしにくかったからだそう。元々イタリアメーカーとの取引が多いという事情もあったようです。ここMUでは落ち着いた環境で、充実した商談ができたといいます。
 主調はMUのテーマとなっている、サステナビリティやエコロジーを意識したデニムです。オーガニックコットンに草木染めしたセルビッチデニムも多数提案。
Img_45841jpg  とくに目新しく感じたのは、綿100%のプリーツ加工のデニム(右)です。
 またグラデーション調に光沢加工したプリントデニムなど、デニムのバリエーションがまたしてもいろいろ、増えていたのが印象的でした。
 
東播染工
 予想を上回るバイヤーが来場し、目標を達成できたと嬉しそうでした。目に付いたのはイタリア以外のヨーロッパ、とくにオランダ人やイギリス人が多かったといいます。またその半分くらいがメンズ関連のバイヤーだったとも。
 トレンドエリアには5点、サステナブルイノベーションエリアには10点が展示され、これを頼りに訪れるバイヤーもあったそう。
Img_43611  全体に細番手ガーゼが好調で、光沢を施したライン入りシャツストライプ(右)や、やわらかなコットン起毛や先染めシャンブレー調のものも。
 また尾州テキスタイルコンテストでアワードを受賞したドビー織ギャバジン(このブログ2019.5.18付け参照)も好評を博したといいます。
 
中外国島
 長年、PVパリに出展し、ショーワ同様PVパリでおなじみの顔の同社です。今回MUに参入を決めたのは、メンズブランドの有力バイヤーが多いと聞いたから、といいます。
 提案したのは二つの異なるラインです。一つはメンズスーティングで、細番手のオーガニックウール素材のもの。もう一つは「コボ」のハイエンド向けカジュアル生地で、ウールにリネンやコットンなどを組み合わせ、織りや加工で意匠性を出した“ありそうでない”素材です。
Img_45901jpg  さらなる拡大を目指して初出展してみて、反響の大きさに驚かれたとか。予想以上にバイヤーが来てくれて、当然のことながらイタリア人バイヤーが多かったそう。日本のクオリティがイタリアに負けていないことを改めて感じたといいます。

豊島
 輸出に力を入れているものの、イタリア向けについてはあまりできていなかったことから、認知度を上げるために出展したといいます。
Img_46421  注目は「フードテキスタイル」のコーナーです。テンセルフィラメントやトリアセ、キュプロなどとともに人目を惹いていました。これは食品廃棄物を再活用するアイデアです。トマトやキャベツ、サクランボなどの野菜・果物の残渣、コーヒーの搾りかすなどから抽出した染料で染めた「オーガビッツ」コットンのコレクションで、ニット生地が中心。
 来場者はやや少なかった様子ですが、ビジネスは「これから」と意気込んでいました。
 
織工房 風美舎
 お坊さんの袈裟地という、欧州で珍しいからみ織を提案。ポリエステルが中心ですが、シルクやカシミア混も開発し、反応はなかなか良かった様子でした。

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