テキスタイル

2019年7月21日 (日)

ミラノウニカ⑿ 盛会裏に閉幕 結果報告とまとめ

 2020/21年秋冬のハイエンドなコレクションを発表した第29回ミラノウニカ(MU)が11日、盛会裏に閉幕しました。015_mu_cinema_mu29_ph_erdna1
 リリースによれば、来場した企業数は6,000社以上に上り、イタリア企業の数は堅調に推移、イタリア以外の各国からの来場社数は、前年同期比2.6%増と報告されています。
 このプラスに貢献したのは、インド(+ 13.7%)、香港(+ 13%)、イギリス(+ 11%)、フランス(+ 10%)、スペイン(+ 9.5%)、オランダ(+ 8.7%)とアメリカ(+ 3.5%)の企業で、中国(-13.7%)とドイツ(-14.7%)からの減少を相殺する結果となったといいます。
 出展社数についても昨年7月の水準を維持し、総数は608社。MU独自の出展社数は465社で、イタリアを除くヨーロッパからの出展社は93社となり8%増。日程を7月という早期開催に改めて3年目、この試みは概ね成功といえそうです。
 またオープニング・セレモニーで議論された、デジタルイノベーションとサステナビリティについて、MU会長のエルコレ・ポッド・ポアーラ氏は次のように言及しています。
 まずデジタルイノベーションでは、「ピッティ・インマージネとのコラボレーションにより実現したe-milanounicaの参加者が、わずか半年で3倍に増えたことは大変喜ばしい。オープニングでも述べた通り、これからは私たち全員がデジタル化の大きな利点のひとつである、パーソナライゼーションに取り組まなければならない」。
 次にサステナビリティでは、「生産プロセスに焦点を当てることに加えて、伝統的なグリーンの製品だけでなく革新的でクリエイティブな製品にも注意を向けることが重要と考えている。今後様々な分野でのプレゼンスを強化していく。」
 デジタルイノベーションとサステナビリティは、イタリアの製造業の国際化を支える基本的な要素になっているといいます。これは日本企業も同様で、企業競争力を維持するための必要条件といえます。
 
 とくにポアーラ会長との会見で、次のような本音のようなお話しもありましたので、簡単にまとめてご紹介します。
 「デジタル・トランフォーメーションを掲げているが、それ一辺倒にはなりません。アナログ好きは必ずいて、デジタルと程よいバランスのとれた社会になります。リアルな見本市は重要であり続けます。」
 サステナブルについては、「サステナブルな製品はなかなか売れていかず、かえって消費をダウンさせているようです。実際イタリアのアパレル市況はよくないです。しかし電気自動車が少しずつ出てきているように、徐々に伸びていくはずです。サステナブルなものが売れるようになるのは、まだ先のことと考えているうちに、いつか急に変化するときが来ます。ですからそのときに備えておく必要があるのです。私たちの子どもの世代、次の孫の世代には、サステナビリティが当たり前のようになるでしょう」。
 未来に向けて、胸に刺さる印象的な発言でした。さすが慧眼!

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2019年7月20日 (土)

ミラノウニカ⑾  特別展示いろいろ

 今シーズンもミラノウニカ(MU)では、特別展示がいろいろ行われました。
 まずはトレンドエリアの「フィーロ(FILO)」の先取り展示です。フィーロ(FILO)は、この9月25日と26日にミラノのステッリーネ宮殿で開催されるアパレルおよびインテリア・ファブリックス用織糸の見本市です。
025_politecnico_mu29_ph_erdna21  今シーズンの「フィーロ」のトレンドテーマは「メタモルフォーズ(変身)」です。資料を見ると、ギリシア神話に登場する“サテュロス”のような半人半獣の自然の精霊がイメージされています。19世紀末の絵画に登場した象徴主義、オディロン・ルドンやフェルナン・クノップフ、グスタフ・クリムトらが大きな発想源になっているようです。改めて神秘的なファンタジーの世界への関心が高まりそうです。
 
 次にミラノ工科大学学生の作品展です。テーマは「ユニフォーマルズ (UNIFORM ALS)」でした。歴史的なネイビーの軍服や、スクールユニフォーム、庭師やとび職などのワークユニフォーム、世界のアーミーの制服などにインスパイアされた作品が並び、なかなか壮観でした。015_mu_cinema_mu29_ph_erdna41  
015_mu_cinema_mu29_ph_erdna21  使用されている生地は、MU出展企業の提供によるものです。
 MUは毎回、このような若者のインキュベーション・プロジェクト支援活動を行っていて、その成果を見本市会場で発表しています。
 
 また今回初めて「e-MilanoUnica at the Cinema」というイベントも開催されました。025_politecnico_mu29_ph_erdna1
 これはこの2月にスタートしたデジタルプラットフォームの「e-MilanoUnica」の運用基準や出展のメリット、マーケットなどを説明する10分程度のショートムービーです。見本市や出展社情報を補完する重要なツールとなるもので、半年ごとに更新されます。コンテンツのさらなる充実に期待です。
 
 この他、いつものようにMUヴィンテージという古着展もあり、盛りだくさん。モーダインからシャツアヴェニュー、イデアビエラまでの広い会場を、会期内にすべて見ることなどできません。巨大なテキスタイル見本市は見応えたっぷりでした。

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2019年7月19日 (金)

ミラノウニカ⑽ 日本パビリオン 注目のニット生地

 ミラノ・ウニカ(MU)の日本パビリオン、ジャパン・オブザーバトリー(JOB)では、全国一の丸編みニットの産地、和歌山県のメーカーの活躍が目立っていました。
 その注目のニット生地を追ってみましょう。

カネマサ莫大小
 布帛のような丸編み、それも非常に薄地のものを開発している世界トップの技術を持つ編地メーカーです。素材がコットン100%で実現されているところもスゴイとしか言いようがありません。Img_45941jpg  写真のメンズジャケットは、ニットというのに、どこから見ても布帛しか思えませんでした。

エイガールズ
 今回はゆっくりと落ち着いて商談ができたと満足そう。イタリアを始めアメリカや中国など世界中からバイヤーが来場したといいます。
 とくに目立った動きとしては、毛足の長いエコファーやスペックル染めの太番手の編地、厚みのあるワッフル編みといったテキスタイルの存在感が増していたこと。
 ボリュームのある見た目とは裏腹に軽量というのもポイントです。Img_46271 Img_46321







吉田染工

 和歌山県の地元でつながっているグループ企業の貴志川工業と合同でブースを展開。Img_45971
Img_45981jpg  今回も島精機のスライを使用したコンピューターシャカージニットを見せていました。
 布帛のようにしっかりとしたボリューム感のあるファンシーな編地です。


森下メリヤス工場

 吊編み機からコンピュータージャカードニットまで、すばらしい技術でバイヤーを魅了するメーカーです。
Img_46371jpg  今シーズンは、毛足の長いモヘアの丸編みにチャレンジしていたのが印象的でした。

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2019年7月18日 (木)

ミラノウニカ⑼ 日本パビリオン サステナブルのパワー増す

 ミラノ・ウニカ(MU)の日本パビリオン、ジャパン・オブザーバトリー(JOB)では、MUが提唱するサステナブル・イノベーションに向けて、全体にそのパワーが増しているようです。
 とくに注目したブースをご紹介しましょう。
 
古橋織布
 今回は来場者が少ないと、少し浮かない表情でしたが---。
Img_46021jpg  人気は依然、シャトル織機による薄地のコットン生地とか。
 とくにウール芯にコットンをカバーしたコアヤーンで、ウール/綿混による縮率の差が生み出す独特のシボ感のあるテキスタイルが好評といいます。

ブルールーム
 ブルーはインディゴ、ルームは織機で、産地間コラボ、播州の「播」、尾州の「御幸毛織」、浜松の「成和第一産業」によるブランドです。今回で2回目の出展で、来場者は約60社と、前回の8割程度とか。
 シャトル織機によるセルビッチ生地は、サステナブルなスロー・ファブリックとして関心が高く、とくにメンズ関連のバイヤーが興味を示してくれるといいます。
Img_46041jpg  強撚ギャバジンのコート地や、ユニフォームのブレザー地、コンパクトなシャツ地、またインディゴ染めでブリーチ加工のコーデュロイも珍しがられるそう。

前田源商店
 オーガニックコットン生地を60点展示。一つひとつの生地にトレーサビリティを可能にするQRコードを付けたのも、新しいポイントです。折からのサステナブル志向でバイヤーが絶えない様子で、大きな人気を博していました。
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 コットン100%のものに加えてウールや麻混の交織も提案。
Img_46151_20190720153301  また「こもれび」ジャカードも発表。これは山梨県富士吉田市の産地企業が山梨県産業技術センターと山梨大学と連携し共同開発したもので、木の葉のぼやけた影をできるだけ自然のままに再現させたジャカード柄シリーズです。カスリのようなグラデーションが生地に趣のある深みを与え、表現の幅が広がりました。

渡縫織物
 山梨・富士吉田産地のハイクオリティな先染め織物のメーカーです。
Img_46201jpg  前田源商店と同様に、「こもれび」ジャカードを提案していました。シンプルな幾何学柄に微妙なシャドーが入り、立体的な奥行きを感じさせます。素材はキュプラや化合繊、シルク、コットンなど様々です。

小林当織物
 このところ秋冬シーズンのみの出展です。
 今回は予想以上の入りで、メンズとレディスのバイヤーが半々くらい。イタリア以外のバイヤーも多いといいます。
Img_43661jpg  右は、柄のリピートが60cmという巨大なジャカード織物です。
 二色使いのシンプルなデザインが爽やかな印象で、好評を博している様子です。コットン/ナイロン/ポリエステル混。

宇仁繊維
 全体に例年に比べ来場者が少ないとのこと、今シーズンはとくに英国人バイヤーの来場が目に付いたそう。前面にディスプレーした生地をもっと華やかな彩りのものにすればよかった、などと話していました。
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Img_43801  人気は透け感のあるメッシュなど、表情のあるテクスチャーです。
 しかしながら35,000点ものストックを持ち、小ロット・短納期で販売する同社はさすがに強い。ファッション市場の低迷にもめげない様子です。

サンウエル
 日本の匠の技術でつくられたトレンドファブリックを常時ストックしていることで人気の同社。今回も約100社が来場したといいます。
Img_45751_20190720154201  ウール調合繊が好調で、前面にバイオウオッシュの光るデニムをデイスプレーして人目を惹いていました。

東レ
 前週のPVブロッサム展に続く出展の同社。ここでの提案は、またしてもウルトラスエードです。イタリア中心に約60社と商談し、絶好調といった様子でした。
Img_46241  人気はリサイクルポリエステルや生分解性素材を使用したサステナブルなウルトラスエードです。明るいさわやかな色調がウインドーを飾っていました。

八木通商
 前回並みの来場者数を維持した同社ですが、全体に少ないといいます。国別ではイギリスやドイツ、フランスからの来場が増え、イタリアが少なめだったとか。
 不況の影響か、ミニマルの価格を気にするバイヤーが増え、慎重姿勢が目立ったといいます。
Img_43861  デニムはリサイクルデニムや水節約につながるテンセルデニムなど、サステナビリティを意識した素材を提案。
 右は、コットンに和紙をボンディングした特殊加工の素材です。
Img_43811jpg  
 さらに注目は右のダッフルコートです。
 素材はウール/アクリル混で、伝統の本格的なダッフルの表情を保ちながらも、アクリルによる蓄熱機能糸が取り入れられていて、保温性の高いものになっていることがポイント。
 しかも中空糸使いで、20%の軽量化が実現されているといいます。
 緻密なヴィンテージ調のヘリンボンの風合いが昔懐かしい感じでした。

 




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2019年7月17日 (水)

ミラノウニカ⑻ 日本パビリオン 新規出展に手応えを感じて

 今シーズンのミラノ・ウニカ(MU)の日本パビリオン、ジャパン・オブザーバトリー(JOB)には30社・グループが出展しました。その内新規は5社です。初めてながら著名ブランドのバイヤーの来場が予想以上に多く、手応えを感じたといいます。次回も出展への意欲をのぞかせていました。

ショーワ
 プルミエール・ヴィジョン・パリ(PVパリ)に長年出展してきた同社が、今回MUに初出展しました。なぜPVパリを離れたのか、と伺うと、PVパリでは来場者は多くても、実のある商談がしにくかったからだそう。元々イタリアメーカーとの取引が多いという事情もあったようです。ここMUでは落ち着いた環境で、充実した商談ができたといいます。
 主調はMUのテーマとなっている、サステナビリティやエコロジーを意識したデニムです。オーガニックコットンに草木染めしたセルビッチデニムも多数提案。
Img_45841jpg  とくに目新しく感じたのは、綿100%のプリーツ加工のデニム(右)です。
 またグラデーション調に光沢加工したプリントデニムなど、デニムのバリエーションがまたしてもいろいろ、増えていたのが印象的でした。
 
東播染工
 予想を上回るバイヤーが来場し、目標を達成できたと嬉しそうでした。目に付いたのはイタリア以外のヨーロッパ、とくにオランダ人やイギリス人が多かったといいます。またその半分くらいがメンズ関連のバイヤーだったとも。
 トレンドエリアには5点、サステナブルイノベーションエリアには10点が展示され、これを頼りに訪れるバイヤーもあったそう。
Img_43611  全体に細番手ガーゼが好調で、光沢を施したライン入りシャツストライプ(右)や、やわらかなコットン起毛や先染めシャンブレー調のものも。
 また尾州テキスタイルコンテストでアワードを受賞したドビー織ギャバジン(このブログ2019.5.18付け参照)も好評を博したといいます。
 
中外国島
 長年、PVパリに出展し、ショーワ同様PVパリでおなじみの顔の同社です。今回MUに参入を決めたのは、メンズブランドの有力バイヤーが多いと聞いたから、といいます。
 提案したのは二つの異なるラインです。一つはメンズスーティングで、細番手のオーガニックウール素材のもの。もう一つは「コボ」のハイエンド向けカジュアル生地で、ウールにリネンやコットンなどを組み合わせ、織りや加工で意匠性を出した“ありそうでない”素材です。
Img_45901jpg  さらなる拡大を目指して初出展してみて、反響の大きさに驚かれたとか。予想以上にバイヤーが来てくれて、当然のことながらイタリア人バイヤーが多かったそう。日本のクオリティがイタリアに負けていないことを改めて感じたといいます。

豊島
 輸出に力を入れているものの、イタリア向けについてはあまりできていなかったことから、認知度を上げるために出展したといいます。
Img_46421  注目は「フードテキスタイル」のコーナーです。テンセルフィラメントやトリアセ、キュプロなどとともに人目を惹いていました。これは食品廃棄物を再活用するアイデアです。トマトやキャベツ、サクランボなどの野菜・果物の残渣、コーヒーの搾りかすなどから抽出した染料で染めた「オーガビッツ」コットンのコレクションで、ニット生地が中心。
 来場者はやや少なかった様子ですが、ビジネスは「これから」と意気込んでいました。
 
織工房 風美舎
 お坊さんの袈裟地という、欧州で珍しいからみ織を提案。ポリエステルが中心ですが、シルクやカシミア混も開発し、反応はなかなか良かった様子でした。

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2019年7月16日 (火)

ミラノウニカ⑺ 日本パビリオン 客足まばらも好調を維持

 今シーズンもミラノ・ウニカ(MU)に日本パビリオンのジャパン・オブザーバトリー(JAPAN OBSERVOTORY 略してJOB)が出展しました。
 会場は前回同様ホール12の同じ区画(総面積482㎡)です。厳選された30社・グループがブース展示しました。
025_japan_observatory_2_mu29_ph_erdna1  上はJOBのトレンドコーナーです。哲学≒美学、魅力≒魔力、発想≒妄想、個性≒感性の4つのテーマで、日本のプレミアムクオリティな素材を美しく飾り付けていました。

 ところが客足の方はというと、少しまばらのようでした。前回は出展10回記念のイベントがあり盛り上がっていたのですが、今回はそんな話題もありません。地元イタリアをはじめ欧州もアパレルビジネスはダウン傾向なのです。
 とはいえ商談は来場者の多寡ではありません。質の高いバイヤーの来場やリピーターと落ち着いた商談ができたというブースも多く見られ、全体的には好調を維持したといえそうです。

 とくに集客に当たっては、MUのトレンドエリアでのサンプル展示もポイントです。2020/21秋冬のトレンドテーマ“エコロティカ”では、JOBから179点、またサステナブル・ファブリック86点が選ばれて展示されました。バイヤーはこの展示を見てブースを訪れることが多いのです。中でもMUが提唱するサステナビリティを上手く採り入れて訴求しているところほど反応がよいように見受けられました。
 まずは積極的にサンプルを提出すべきですね。
 
Img_39561  毎回恒例となった午後3時からのドリンクサービス、「スプマンテバー」は連日人だかりでした。これが目当てのバイヤーも多い様子で大好評!何でも続けることが肝要のようです。

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2019年7月15日 (月)

ミラノウニカ⑹ 今夏もオリジン・パッション&ビリーフス展

 ミラノウニカ(MU)で今夏も第6回目となる「オリジン・パッション&ビリーフス(ORIGIN PASSION & BELIEFS)」展の特設エリアが開設されました。008_origin_mu29_ph_erdna31

  これはメイド・イン・イタリーの卓越性に的を絞ったイタリアファッション製造業界の展示会で、トップを務めるのは、イタリアの巨大テキスタイルグループ企業のマルゾット(Marzotto)を率いるマッテオ・マルゾット氏。世界有数のファッションブランドの少なくとも80%が、服やアクセサリーを生産するプロセスの1つあるいは複数の段階で、オリジン・パッション&ビリーフスに依存しているといいますから驚きです。
 今回は出展社数が90社を超えてMU参加以来最大となっています。(このブログ2018.7.18付けも参照)  前回同様、4つの分野:テキスタイル、レザー、テクノロジー、そしてジュエリーに別れての展示です。
 トピックとして、サステナビリティに関するプレゼンテーションも行われました。南アフリカ ケープタウン発の“WASTEMARK 廃棄物の価値 ”をテーマに、ブルーイタリーによるゼロインパクト製品製造のための新研究、ブルー・バイオ・プロジェクト(Blue BioProject)の発表など、意欲的な取り組みが見られました。
 Img_46681jpg  上は5人の国際的なデザイナーによる作品展示です。

 とくに注目したブースをご紹介します。
 008_origin_mu29_ph_erdna51 このブログで何回かご紹介しているTessitura La Colombina - Nicki Colombo。今回も機織りの実演が目を惹きます。
 
Img_46591jpg  GRISOTTO。1959年創業のライニングと布地のメーカー。旭化成のキュプロの生地を提案されていました。プリントも前面に菊の花模様が出ていてちょっとびっくり。
 
Img_46651  ビスポークシャツのLA MORANDI。シチリアが本拠地の本格的オーダーシャツのメーカーです。高級綿のダブルツイストコットンヤーンのドレスシャツを見せていました。

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2019年7月14日 (日)

ミラノウニカ⑸ 2018年の総売上高は推計を上回る

 ミラノウニカ(MU)ではSMI(システマ・モーダ・イタリア)により毎回経済概況が発表されます。
015_mu_cinema_mu29_ph_erdna11  今回は2018年のイタリア テキスタイル産業の総売上高が、今年2月時点で推計した数字を少し上回ったといいます。(総売上高0.3%減の予測に対して0.8%増) 貿易収支の黒字額も輸入が大幅に減少したため、24億ユーロを超えたとのことです。
 それに対して、2019年の第1四半期は、生産も輸出も減少したとか。それはドイツ向け輸出の落ち込みによるものだそう。アメリカ向け輸出は15.5%増と成長し、中国への輸出もそれなりの数字3.2%増を記録したのですが、ドイツ向け輸出が18%の大幅減で、穴埋めができなかったといいます。とはいえドイツが中国・香港とともにイタリアの最も重要な貿易相手国であることに変わりはないそうです。
 他のヨーロッパ諸国についても、輸出はフランスが0.5%微減、ルーマニアが7.9%減少となったのに対し、スペイン11.1%増、ポルトガル18.5%増、イギリス13.7%増。
 EU域外国では日本は5.6%増、ベトナムは28.5%増と著しい増加、一方香港は9.2%減だったそう。
 輸入では、イタリアが輸入する生地の国別シェアは、中国が27.2%、トルコが18.8%を占めているとのこと。
 製品部門別の推移に関しては、部門ごとに異なる動向が見られ、毛織物の輸出は減少に転じ、2.4%減となったとか。紡毛織物が4.1%増だったのに対して、梳毛織物は4.7%減少したとのこと。綿織物は4.2%減、ニット生地も2.6%減でしたが、絹織物は0.8%とわずかな伸び、麻織物は9.5%増の成長だったといいます。
 これらの数字には世界情勢の変化やトレンドが反映されていて、いつも興味深いです。

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2019年7月13日 (土)

ミラノウニカ⑷ 「サステナブル・イノベーション」広がる 

 ミラノウニカ(MU)では 「テキスタイル産業は持続可能性を維持できるか?」の問いに対して、「イエス」と答えられる状況になってきたといいます。それは「サステナブル・イノベーション」エリアが広がりを見せているからです。参加企業は今回、150社を超え前回比22%増、製品数は1004点となり40%増の大幅な増加だったといいます。
001_sostenibilita_vuota_mu29_ph_erdna11  また製品の分類基準に二つのカテゴリーが新たに設けられていました。一つは「エヴァ―グリーン」で時間的な持続性を表現するもの、もう一つは「ファンシーグリーン」でクリエイティブな革新的製品を対象とするものです。
001_sostenibilita_vuota_mu29_ph_erdna21  「エヴァ―グリーン」コーナー
001_sostenibilita_vuota_mu29_ph_erdna1  「ファンシーグリーン」コーナー
 
 ところで、そもそもサステナビリティとは何でしょう。MUのエルコレ・ポット・ポアーラ会長が正鵠を得た発言をされていますのでご紹介します。「サステナビリティは環境に対して払われる敬意であり、製品のみならず工程管理においても持続可能な革新を行おうとする業界全体の自覚に始まり、循環型経済を推進する廃棄物リサイクルにまで及ぶもの」と。 
001_sostenibilita_vuota_mu29_ph_erdna31  製品サンプルにはサステナブルであることを特徴づける10種類のアイコンラベルが付けられています。ポアーラ会長の言から、これらのラベルの中で、もっとも重要なものは何かというと、それはエネルギー消費の低減や水節約といったサステナブルなプロセス(工程)管理システムなのです。データによると、このようなシステムを導入し、透明性を高める方針を示している企業は全体の約4割で、そのほとんどはイタリア企業でした。イタリアのテキスタイル産業がいかにサステナビリティに注力しているかを見せつけられました。
 またサンプルの展示で最も多かったのは有害な化学物質を排除した素材で67%、次にリサイクル素材37%、オーガニック農産物23%、スローな技術やプロセスで生産された伝統的素材18%、動物愛護10%、管理された森林保全9%、循環型化合繊9%、バイオ合繊5%となっています。
 さらにサステナブル認証では、エコテックス36%、ZDHC(有害物質の使用制限)19%、GRS(グローバルリサイクルスタンダード)19%、GOTS 16%など。
 詳細はMU「サステナブル・イノベーション」カタログに記載されています。クリックしてご覧ください。

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2019年7月12日 (金)

ミラノウニカ⑶ トレンドテーマは“エコロティカ”

 2020/21秋冬ミラノウニカ(MU)のトレンドを物語るタイトルは“エコロティカ (Ecorotica)”です。これは現代を象徴する二つの重要な概念、一つは地球環境を保全する“エコ・サステナビリティ”と、もう一つは自分自身を楽しませたい欲動の“エロティシズム”の融合から生まれたといいます。すなわち地球という複雑に息づくマクロな視野と、より個人的な感情をかき立てるミクロな視点に立った、二つの考え方が組み合わさっているのです。
 アートディレクターのステファノ・ファッダ氏は、「エロティシズムという発想は、グローバルなスケールで影響力のあるSNSが始まりです。“Like! (いいね!)”は自己を表現し、見せることで人から褒められたい、評価されたいという欲求を高める原理で、そこにはエロティシズムと受け取れるような美的次元に導くパワーがあります。一方、エコ・サステナビリティは今では避けては通れないあらゆるクリエーションの原点です」と語っています。
 加えて「このトレンドでは自らの姿を見せたい、驚かせたいという力強い美が展開されます。ダークなクチュールのムードが主調で、光りや透け感、クラフトワーク、メリハリを効かせたテクスチャーミックスが浮上する」とも。
 トレンドエリアではこのコンセプトを基調に次の3つのテーマが提案されました。ドラマティックな“エコロティック・ドラマ”、超自然的な“エコロティック・エデン”、シュールな“エコロティック・サーカス”です。

“エコロティック・ドラマ”

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 デヴィッド・リンチやリドリー・スコット、遡って1920年代のサイレント映画、さらにはマン・レイなどがアイコニックなシンボル。未来派的エロスのヴィジョンを表現するテーマで、ゴージャスなドレスに光沢の強いオーガンジーやブロケード、サテン。繊細なランジェリー風の縁取りも忘れずに。

“エコロティック・エデン”

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 キマイラやケンタウルスから食中植物、半ば昆虫で半ば人間のヒューマノイドなど、ドリーミーな超自然的世界。スティーブン・スピルバーグからソルヴァ・スンツボ、宮崎駿のアニメまで。みずみずしい自然と共生するエロティシズムが主役で、オーガニックなジャカードや羽根、ファー、タフティングなど。

“エコロティック・サーカス”
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 シュールな雰囲気、だまし絵風。不遜で揶揄しているように見えることもある、漫画のジョーカーのイメージ。映画ならリュック・ベッソンやティム・バートン、また官能的なクレイジーホースやシルク・ド・ソレイユのような世界の表現も。マクロなチェックやオプティカルなストライプ、エキセントリックなディテールなど。

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