テキスタイル

2020年1月17日 (金)

JFW JC2020/ PTJ20AW ⑷ 環境配慮に拘りのデニム

 先般の「JFW JAPAN CREATION 2020(JFW-JC2020)」「Premium Textile Japan 2020Autumn/Winter(PTJ2020AW)」では、環境配慮に徹底的に拘ったデニムが注目されました。

◇カイハラ
 デニム製造における全工程、「紡績」「染色」「織布」「整理加工」を一貫体制で行っている日本を代表するデニムファブリックメーカーです。年間800~1000種類もの生地開発を行い、徹底した品質管理による高品質な素材を提供しているといいます。
Img_13841  今回は新染色「E-BLUE」を訴求していました。これは精錬剤(洗剤)を使用しなくとも従来通りのインディゴ染色を実現する染色法といいます。
 これまでは染色性を高め、均一に染める目的で精錬剤を使って糸に含まれる油分を除去してきたそうです。排水にも精錬剤の成分が流れ出て排水処理にも負担がかかっていたのですね。でもこの環境配慮型の新染色方法なら、美しい藍色をキープでき、水使用量も精錬工程の効率化により20%削減でき、薬剤使用料は「ゼロ」、排水処理エネルギーも17%削減するとのことです。さすが選ばれるカイハラデニム、ですね。
 
◇篠原テキスタイル
 カイハラと同じ福山市が本拠地で、糸や染め、織、仕上げに深く拘った、上質なデニムを追求しています。
Img_15481jpg  ブースではCOTTON USAの認証ジーンズを展示していました。デニムは40番手コーマ糸使いのきれいなストレート糸シリーズのものです。
 リサイクルポリエステルを使用したり、従来に比べよりCO2の排出量を減らした染色方法を採用したり、エコやトレーサビリティといった環境配慮にも力を入れているメーカーです。

◇ダックテキスタイル
 ここも福山市が本拠地のデニムメーカーです。
 Img_14641_20200118230701 2020秋冬向けには、環境配慮を意識したエコ染色によるデニムと、起毛したデニム、色落ちしにくい反応染めデニムなどを提案。また独自性、意匠性の高いジャカードデニムも多数揃えて、高い開発力をアピールしています。

◇シバタ
Img_14551  同様にデニムのメッカ、福山市にあるメーカーで、ブースではとくにオーガニックコットン使いのジャカードを展示していました。

◇播(へそデニム)
 西脇産地で播州織の企画・製造・販売を行っている企業で、“へそデニム”はこの産地初の一貫生産デニムです。
Img_14531jpg  今季は綛染めを中心に、加工や撚糸によって様々な変化をつけた生地を提案しています。

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2020年1月16日 (木)

JFW JC2020/ PTJ20AW⑶ サステなハイエンドカジュアル

 先般開催された「JFW JAPAN CREATION 2020(JFW-JC2020)」「Premium Textile Japan 2020Autumn/Winter(PTJ2020AW)」では、サステナビリティを意識したハイエンドカジュアル素材が広がりました。ウールやウインターコットンなどの天然素材が、充実した展開を見せています。

◇大江
 丹後産地の生地製造卸で、シルク、ウール、綿、麻、再生セルロースなどの天然素材系にノベーティブな加工を施し、他にはない新しい素材を開発しているメーカーです。とくに今シーズン、間伐材から液体を抽出して糸を染める「原木染」を訴求して注目されます。
 日本中で放置されたままになっている間伐材を利用することで、「SDG’s(持続可能な開発目標)に貢献できる」上、従来の染色と比べて大幅に染色時間も短いとか。
Img_15671jpg  色は基本的に茶色一色ですけれど、糸の種類によってむら感が出るのが特徴だそう。木材を原料にしているため、天然の抗菌性や消臭性、耐光性などに優れるほか、自然なハリ・コシも出るといいます。

◇森菊
 三河産地の生地メーカーで、2018年に立ち上げたサスティナブルマテリアルのテキスタイルブランド「NATURE & SONS」を今回も大きく打ち出しています。 Img_14171 Img_14191g Img_14241
 オーガニックコットン、リヨセルを中心に混紡、交織、特殊加工など、他にはない泥染めや多重織コットンガーゼなどエコ素材を提案し、好評の様子です。
 
◇アバンティ
 オーガニックコットンを専門に手がける同社、今回、久しぶりの出展です。
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 環境に極力負荷を与えない加工工程、杢糸シリーズの展開、ウールや麻、シルクとの交織企画を提案し人気を集めていました。
 
◇豊島
 「フード テキスタイル FOOD TEXTILE」を展開。とくに食べ物が持つ「色」に注目したテキスタイルブランドで、食品会社・飲食店・農園の製造過程で出る、野菜や食材の残渣が色の元になっているそう。
Img_15251  食品廃棄物問題の解決方法を提案する注目のブランドです。
 
◇スタイルテックス
 埼玉県川越市を本拠地に、抜群の耐光堅牢度を誇るスレン染の技術を駆使した高密度織物を手掛けているメーカーです。
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  コート用の本物のギャバジン、綿100%、綿/ポリエステル交織、 ポリエステル/綿交織の3品番をストック販売していて、ミラノウニカにも2018秋冬Img_14321 ものから出展、 その高いクオリティが 国内外で好評を得ているといいます。
 今シーズンは全ての商品に撥水加工を施し、エコの一環としてフッ素フリーの撥水加工への取り組みをアピールしていました。

◇東海染工
 今回のテーマは「コンビネーション」で、今まで取り組んでこなかった新しい素材を 加工と組み合わせたテキスタイルを提案しています。
Img_13641jpg  右は「せのうみ(石花海)」と名づけられた加工です。波紋のようなフェードした色合いやヴィンテージ調の表現が特長。また新風合い加工「VOLIBIA(ボリビア)」や「塩縮風ニット ゴットン」なども。

◇鈴木晒
 遠州産地にて、創業60年以上の天然繊維を中心に染色、整理を行っている加工場です。
 今シーズンは花粉症のようなアレルギー症状をかかえる人向けの、アレルゲン鎮静化加工「アレルアタック」を訴求していました。
Img_14981pg  上はこの「アレルアタック」加工の生地を使ったパジャマです。

◇柴屋
 プルミエールヴィジョン・パリにも出展しているハイエンドなカジュアル・テキスタイルのメーカーです。
Img_15331  “極上天日干し”を大きく打ち出していました。
 
◇小松和
Img_15391  小さな釜で染色することで、織物にテンションを加えずリラックスさせて染める「東炊き(あずまだき)加工」に続いて「織姫炊き加工」をアピール。肉厚な素材も「織姫炊き加工」でソフトな仕上がりになるといいます。バリエーションが増えています。

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2020年1月15日 (水)

JFW JC2020/ PTJ20AW ⑵ ファンシー・プリント・先染め

 先般のテキスタイルビジネス商談会「JFW JAPAN CREATION 2020(JFW-JC2020)」「Premium Textile Japan 2020Autumn/Winter(PTJ2020AW)」で、出展各社の新作コレクションの中から注目した素材を分野別にピックアップしてご紹介します。

<ファンシー>
◇森川レース
 福井産地のレース生地メーカーで、昨年2月のミラノウニカや前シーズンのPTJに出展していて、このブログにも記事を掲載しています。(このブログ2019.6.15付け参照)
 打ち出していたのはトップテキスタイルデザイナーの梶原加奈子さんが手がけるオリジナルブランド「andante」です。ここで扱われているレースは国内に2台しかない1987年製のラッシェルレース編機で生み出されているといいます。従来のラッシェルレースの概念を覆すデザイン性にあふれたラインナップで、魅了されました。
 Img_13361jpg  上はデニム カムフラージュ レースで仕立てたジャケットです。

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 左上はストライプ・リブ、コーデュロイのようなレースです。
 右上はストライプ刺し子レースです。
 いずれも綿高率混で、ヴィンテージ感や和のイメージも感じさせます。

◇久山染工
 京都にある手捺染の工場で、古来よりまつわる友禅染を継承しているといいます。そのオリジナルの特殊加工によるクリエイションは、内外のバイヤーの目を惹き付けてやみません。
Img_13681  今シーズンの一押しは、土に還る成分解機能をもった自然に優しい素材で、しかも革の表情をもった素材「3WL」だそう。
Img_13721 Img_13791jpg  左上は綿100%のもの、右上はボロボンディングです。

◇クロスジャパン
Img_15041jpg  テキスタイルの企画・提案会社で、東京・千駄ヶ谷にショールームがあります。
  ブースでもドビー・ジャカード織物を中心に、刺繍・カットソー等、テクスチャーにこだわった自社オリジナル企画の生地を展開していました。

◇クリスタルクロス
 大阪が本拠地の婦人テキスタイル企画・販売会社で、今シーズンも布帛・ニット・プリント・刺しゅうなど、トレンディなテキスタイルコレクションが人気です。
Img_14861 Img_14881  毛足のある表情豊かなウール地が注目されます。

◇マルマス
 ファンシーな宇仁繊維グループ企業で、元老舗だった頃のアーカイブに着想したファッション性の高いオリジナルテキスタイルを開発しています。
Img_15101 Img_15121  左上はTCRストレッチコール、右上はマットオーガンジーフロッキー顔料加工のものです。

<プリント>
◇コッカ
 プルミエールヴィジョン・パリに毎回出展している日本を代表するプリント生地商社です。商品はALLSTOCKされていて、コッカネットで商品在庫検索、注文、発送を行う事が出来るようになっています。Img_15281pg
Img_15291 Img_15301_20200118143401  日本製やサステナビリティにこだわったものづくりにも注目です。
 
◇イマダ
 プリントのモチーフは花、花、花---。
Img_14931 Img_14941  地組織を活かしたプリントや、スカーフパネル柄のものなど。

◇グローブ
Img_15161jpg  大阪が本拠地のテキスタイルコンバーターで、プリントテキスタイルならあらゆるニーズにクイックに応えられるといいます。
 その斬新なグラフィックが今も目に焼きついています。

<先染め>
◇植山織物
 播州織の織布工場で、オリジナルの企画生地は600品番以上を在庫していて国内外の様々な要望に対応できるとのこと。またグループ企業を通じて生地の企画・製造・販売から衣料製品・付属品の企画・製造・販売まで、一貫して行っているのも強みといいます。
Img_13891  2020秋冬は「昔と今、自然とそこにあるモノと日々を、大切にゆっくりと積み重ねた時間の経過を感じさせるヴィンテージ感と洗練されたナチュラルへの未来」をテーマに新作を発表。表情豊かで心地良い天然素材による「サスティナブル」で「ナチュラル」なブース構成が印象的です。Img_13981g

◇カゲヤマ
Img_14911_20200118150101  播州織の産地西脇市が本社の産元商社です。
 今シーズンは、しっとりとやわらかく温かいヤク使いのテクスチャーを打ち出していました。

◇浅記
 新潟産地で「糸染、製織、整理加工」等全ての工程を一貫生産している織物メーカーです。
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 Img_1474j1pg 今季の目玉は、一つが「ウインターツイーディコットン」シリーズで、一押しは起毛素材やネップツイード素材によるチェック柄。もう一つは「メイキング テクスチャーズ」でより表面感とテクニカル感を出したドビー織や複合素材のシリーズです。

◇モナ・ニット
  愛知県豊川市で丸編みニット生地とアパレル製品を主体に、Img_15421 企画から製品化まで自社一貫生産している繊維メーカーです。
 ブースでは編みと加工のテクニックによるオリジナルデザインが数多く取り揃えられていました。
  今シーズンはジャカードニットを中心に展開、下はスペック染めによるインディゴ調のカットソーです。Img_15441

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2020年1月14日 (火)

JFW JC2020/ PTJ20AW ⑴  新作素材一堂に

 2020/21秋冬新作素材を一堂に集めた日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)主催「JFW JAPAN CREATION 2020(JFW-JC2020)」「Premium Textile Japan 2020Autumn/Winter(PTJ2020AW)」が、昨年11月19日~20日、東京・有楽町の東京国際フォーラム・展示ホールで開催されました。
 今回は、84件・294社/210.3小間(うち海外出展者9件・19社/19.5小間)、PTJは85件/116.5小間(9件・9小間)と過去最多の出展社数となり、来場者数は、消費税導入など衣料市場の苦戦にもかかわらず、16,811人(昨年17,220人)とほぼ前年並みを維持したとのことです。全体に新規出展者が増加し、バリエーションが拡大、海外からの来場者が増えたことも特徴だったといいます。
 
 各社一押しの素材が並ぶトレンド&インデックスコーナーには、新しい商材を求めるバイヤーが熱心にメモをとる姿が数多く見受けられました。とくにサステナブルに対応した素材は高く評価された模様で、来年度からのサステナビリティコーナー開設が期待されています。

 下記注目のトレンドコーナーをご紹介します。メインテーマは「意識と感覚」で、791点の素材が4つのストーリーに分類され、提案されました。詳細はHPをご覧ください。
 
哲学 ≒ 美学 -Philosophy ≒ Aesthetics-
 ソフトで柔らかな感性を利かせた、繊細なカラーパレットで展開されるグループ。
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魅力 ≒ 魔力 -Charm ≒ Mystique-

 ダークに妖しく魅せるカラーを、ヴィヴィッドに鮮度アップされたカラーで魅せる。
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発想 ≒ 妄想 -Inspiration ≒ Delusion-

 パウダリーグレイッシュソフトカラーを、品よく洗練させたカラーパレットで展開。
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個性 ≒ 感性 -Individuality ≒ Sensitivity-

 シックで深みを感じさせるミディアムカラーバリエーションを、情緒的なカラーパレットで。
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2020年1月 7日 (火)

JAPANTEX 2019 ⑵ 特別対談 わたなべひろこ×須藤玲子

 今回JAPANTEX(ジャパンテックス)2019で行われたセミナーの一つ、「テキスタイルデザイナー特別対談 わたなべひろこ×須藤玲子」に参加しました。わたなべひろこ氏は国際テキスタイルネットワークジャパン 代表/多摩美術大学 名誉教授、須藤玲子氏は(株)布 取締役デザインディレクター/(株)良品計画 アドバイザリーボードメンバーです。
  この我が国を代表するテキスタイルデザイナー、お二人が「日本のImg_09351 繊維産業が忘れているものを考える」をテーマに、 日本の豊かな繊維文化をもう一度取り戻し、新しい繊維産業の未来を拓く為に私たちは今何をすべきか、語られました。

 最初にわたなべひろこ氏が自己紹介。四季の風土に根ざした日本の染織文化には世界に誇れるものがあり、この仕事に長年携わってきたことに喜びを感じているといいます。
 その上で、テキスタイルデザイナーとは、色柄はもちろん素材加工、使用目的に応じた諸々のことまで企画する職業であると定義。かつてテキスタイルデザインといえば京都や大阪が主体で、ファッション系に偏っていたといい、東京はどちらかというと不毛だったそうです。そこで住居の中のインテリアテキスタイルの道に進もうと思うようになり、そのためにはテキスタイルの勉強だけではなく、建築も学ぶ必要があると気づかれたと話されました。

 次に紹介された須藤玲子氏が、そのキャリアをプレゼンテーション。1984年に「布」ブランドの設立に加わり、1987年から本格的に「布」のものづくりから販売まで、全てを担当するようになったといいます。建築家伊藤豊雄氏との出会いは「布」を立ち上げた頃で、今治市伊藤豊雄建築ミュージアム「シルバーハット」のテキスタイルを任せられたのが始まりとか。その後伊藤豊雄氏とパリのポンピドゥセンターでの展覧会など、いろいろな仕事をするようになったそうです。「せんだいメディアテーク」の壁の布がN YのMOMAで再現されるなど、そのすばらしい技量が重なり国際的に高い評価を集めるようになっていきます。
 そうした折りに入って来たのが、2005年に開業したマンダリン オリエンタル東京というホテルのオリジナルテキスタイルを手掛ける仕事だったといいます。皇居が見えることから「森と水」の“成長と成熟”をテーマに、京都や桐生など全国80カ所の工場とテキスタイル制作に取り組まれたそう。あれから14年経った今も、テキスタイルは当時のまま変わりなく古びていないのは、まさに職人の為せる技だからでしょう。わたなべひろこ氏も「感動した!」と絶賛されていました。

 2018年に国立新美術館で開催された「こいのぼり」展(このブログ2018.5.14参照)も話題に上り、須藤玲子氏が「産地の職人との布づくりが何よりも大切」と強調。「デザインの仕事は人をつなぎ、人の暮らしを豊かにする仕事」と述べると、わたなべひろこ氏も、「生活の中にアートが入りクロスオーバーする時代に、テキスタイルアートの世界には大きな未来がある。これが廃れてしまうのはもったいない」と持論を展開。「繊維産業は国策でやるべき」と提言されたのも印象的でした。

 最後に、日本では繊維産業の多くが軽んじられ、目先のビジネスに追われて衰退している現状を憂えて、日本の繊維文化を見直し、忘れてしまったもの取り戻そうと呼びかけ締めくくりました。

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2019年12月31日 (火)

2020-21年秋冬ミラノウニカ 流行色2019 WINTER掲載

Scan0112  この春発行された「流行色2019 WINTER No.599」に、今年7月に開催された「2020-21年秋冬ミラノウニカ」の柳原美紗子の記事が、掲載されました。

 その概要や発表されたトレンドテーマやカラー、また展示場で見られた素材の特徴などを4ページにわたり解説しています。ご参照ください。
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2019年12月21日 (土)

2020/21秋冬 T・N Japan東京展「未来を始めています」

 T・N Japan(テキスタイル・ネットワーク・ジャパン)東京展は、日本全国の産地のテキスタイル職人による合同展です。この10月24日~25日、渋谷文化ファッションインキュベーションにて、「未来を始めています」をテーマに13社が集結、2020/21秋冬向けた新作を発表し、商談を進めていました。

 印象に残ったメーカーをいくつかご紹介します。

宮下織物 (富士吉田産地)
 ウェディングドレスを中心に舞台衣装の為の生地を織っているメーカーです。ミラノウニカの日本パビリオンの常連で海外販路の開拓も進んでいる様子です。
Img_04921_20191221232401  上は、先頃行われたパリオペラ座バレエ団の日本公演で、ダンサーのドレスに使用されたジャカード織物です。クジャクの羽根のモチーフが何ともゴージャス!

京都紋付 (京都産地)
 日本の伝統的な正装である黒紋付だけを約100年間染め続けている工房です。染め職人の熟練の技と経験をもとに、つくられる”黒”はここでしか出せない究極の黒です。
Img_05151  とくに「クロフィネ KURO FINE」という“深黒加工”の取り組みが興味深かったです。これは愛着があって所有しているものを黒色に染めることで使用する機会を増やしてもらおうという再利用のプロジェクトで、今のサステナビリティの潮流に沿うものですね。デニムなどカジュアルな服も、黒にすると洗練された味わいが加わって、また違った雰囲気で着こなせそうです。価格はコートなど5,000円程度からといいます。
 
古橋織布 (遠州産地) 
  コットンを始めとする天然素材の良さを引き出すために、従来のImg_04721jpg 織物より5~10%も糸密度を高くし、低速のシャトル織機で織り上げているといいます。
 ミラノウニカの日本パビリオンに長年出展し、海外でも人気のメーカーです。

辻村染織 (遠州産地)    
 Img_04741 藍染・刺子、作務衣の販売、産地直送を手掛けるメーカーです。
 同社のルーツという刺し子織。
 白刺し子柄の綿100%です。

匠の夢(見附産地)
Img_04851jpg   感性豊かな独特の先染め織物で好評のメーカーです。
 カラーミックス調や大胆なチェックが目を惹きます。



遠孫織布
 (西脇産地)
 色使いの美しいカットジャカードを提案していて、注目です。
Img_04801jpg_20191221232401 Img_05021jpg_20191221232301




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2019年12月20日 (金)

2020/21秋冬尾州マテリアル・エキシビション エコテーマに

 一宮地場産業ファッションデザインセンター(FDC)主催の「2020/21秋冬 尾州マテリアル・エキシビション BISHU MATERIAL EXHIBITION」が、10月9日~11日、東京・北青山のテピアにて開催されました。
 参加したのは尾州産地のテキスタイルメーカー16社です。各社の新作約1,400点が出品され、会期3日間で1,554名が来場、1社平均690点のサンプルリクエストがあったといいます。

Img_91341  また今シーズンは「エコ (ECO)」をテーマに展開。「サステナブルゾーン」の新設も話題となりました。ここではリサイクルやオーガニック、ノンミュールシングウール、フッ素フリーの撥水加工など環境に配慮した生地63点が展示されました。

 注目のトレンドコーナーでは、FDCが提携しているネリーロディ社のトレンド情報を基に製作した開発素材144点が、次の3つの柱 ― アウトドア・フィーリング、アーバン・バイブレーション、アーカイック・フューチャリズム ― で分類展示されましたのでご紹介します。
 
アウトドア・フィーリング OUTDOOR FEELING
Img_91431  伝統とモダンの組み合わせ、機能的で快適、アウトドアやスカンジナビアからの影響。

Img_91451Img_91471pg 虫文毛織  2方向 綿ストレッチ        ヒラノ W/Cリファインチェック
     
アーバン・バイブレーション URBAN VIBRATION
Img_91571   ゲーム文化や夜遊びの刺激に満ちたリュクスの世界。デジタルのメリーゴーラウンド。

Img_91511Img_91551pg 日本エース Wフェイス カルゼ     ファインテキスタイル ソフト綿ツィル

アーカイック・フューチャリズム ARCHAIC FUTURISM
Img_91641  人類の前へ前ヘという競争に反するウェルビーイング、スマートとスローの組み合わせ。

Img_91591Img_91621jpg 林実業 W/Cブロック楊柳     西川毛織 ランダムポイント       
 さらに今回で4回目となる、糸の展示会「尾州ヤーンフェア BISHU YARN FAIR」が同時開催されました。下記、注目した2社です。

浅野撚糸
  空気を最大限に工夫して撚糸する「スーパーゼロ」シリーズのタオル 「エアーかおる」を前面に。
Img_91691jpg  一般の綿糸とスーパーゼロを秤にかけ、ボリュームがあるのに軽いスーパーゼロの特徴を目に見える形でアピールしていました。

豊島
  食品の製造過程で出る野菜や食材の残渣から抽出した色素で染めた素材「フード・テキスタイル」が印象的です。自然由来でありながら色落ちしにくく長く使える生地がつくれることを訴求していました。Img_91721

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2019年12月19日 (木)

繊維産地を担うテキスタイルデザイナー展『ニ・ナウ』の力

 繊維産地を担うテキスタイルデザイナー展『ニ・ナウ』展が、10月10日~11日に東京・代官山で開催され、初日の出展者によるプレゼンテーションに行ってきました。
 主宰する小島日和さんの司会で、出展者一人ひとりが作品制作の苦労話などを語るという、テキスタイルデザイナーを目指す若者たちにとって大きな励みになるトークイベントでした。
Img_91821  出展したのは次の7人です。穐原真奈(大城戸織布)さん、井上美里(槙田商店)さん、江崎久美子(宮田織物)さん、大岡千鶴(タケヤリ)さん、小野圭耶(東播染工)さん、川上由綺(桐生整染)さん、そして小島日和(terihaeru)さんです。
 
  初参加した江崎さんは筑後出身で、自分の手を動かしてつくる織物に興味を持ち、女性が長く働ける職場づくりを目指す地元の宮田織物に入社したというバリバリの若手です。
 同Img_91981社のアイコニックな製品のハンテンを羽織られてインタビューに応えていました。
 「3年が経って、繊維業界活性化に取り組んでいる『ニ・ナウ』の小島さんを知り、一緒にやりたいと申し込みをし、社長の一押しもあって出展が叶いました」と笑顔でコメント。
Img_92001pg  右は、久留米絣の産地ならではの経糸と緯糸の組み合わせにより表現された綿織物です。
 とくに色の出し方にこだわっているそうで、モダンな仕上がりがステキですね。

 もう一人、新メンバーとして参加したタケヤリの大岡千鶴さんは、趣のある墨流しの技法を取り入れた帆布を提案。「帆布の加工バリエーションを増やし、新しい使い方を広げたい、産地を盛り上げるためにできることをやりたい」などと挨拶されていました。

Img_91921jpg  上は、今や『ニ・ナウ』の常連となった東播染工の小野圭耶さんです。
 今シーズンは、米綿の色付きオーガニック綿花を使用し、染色しない自然のままのコットンの色を活かして、くっきりとしたストライプを高密度な織り組織で表現した新作を発表していました。

 産地の衰退が叫ばれる日本ですが、このような若いデザイナーたちが繊維の産地を支えようと頑張っている姿を見て、「大丈夫、何とかなる」と思いました。次シーズンも期待しています。

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2019年12月 6日 (金)

「ベンベルグ裏地ミュージアム+(プラス)」を訪問して

 先般、旭化成の「ベンベルグ裏地ミュージアム+(プラス)」を訪問する機会がありました。日本ファッション協会うらら会の企業訪問の一環として行われ、格別の便宜を図っていただき実現したものです。
 ミュージアムが開設されたのは2014年で、千代田区神保町にあったそうですが、本社移転にともない、昨年11月、東京ミッドタウン日比谷に移転し、リニューアル・オープンしたとのこと。見学は業界関係者に限られ、予約制になっています。

 「ベンベルグ」は、キュプラの商標で長年裏地として親しまれてきた再生繊維です。原料がコットンリンター(綿花を採った後の短い繊維)であることから、エコな素材として脚光を浴びるようになりました。サステナビリティという追い風にも乗り、昨年あたりから再びベンベルグに注力してプロモートするようになったといいます。Img_89502
 キュプラは銅アンモニアを使用してつくられることから、銅アンモニア繊維とも呼ばれています。発明されたのは19世紀末のことでドイツのメーカー、ベンベルグ社によるものだったといいます。旭化成はこれを日本で「ベンベルグ」と呼んで売り出したのです。しかしながらドイツのベンベルグ社は製造工程で銅の回収ができずに撤退してしまいました。イタリアのメーカーも手掛けていたのですが、2009年に生産を終了し、現在キュプラを製造しているのは銅を100%回収する技術を有する旭化成のみだそうです。
Img_89431jpg  滑りやすいので裏地に最適ですし、最近はドレス素材としても人気があります。ミュージアムにはたくさんのサンプルや有力ブランドのファッション衣料が展示されていました。旭化成つながりでコム・デ・ギャルソンのものも見られました。

Img_89511  輸出では中近東向けが好調のようで、とくにインドのサリーには最も多く使われているといいます。

 あまり広くない空間にその歴史や製造法など、情報がギュッと詰まっている、そんなミュージアムでした。

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