テキスタイル

2018年7月15日 (日)

ミラノウニカ⑸サステナビリティ・プロジェクトが影の主役

 「我々の未来は持続可能か Is our future sustainable?」が一大テーマだった今回のミラノウニカ(MU)。サステナビリティの価値を広く振興しようというサステナビリティ・プロジェクトは、まさに影の主役でした。

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 トレンドエリアには、サステナビリティ(持続可能性)エリアが前面に設けられました。このエリアは前回2月展で初めて登場し、このときは53社250点が展示されましたが、それが今シーズンは123社750点を超える点数となり、約3倍の規模に拡大しています。

 ここでは前回同様、サステナビリティのための9つのカテゴリーによる分類が行われ、サンプルごとにそれぞれの認証を表すマークが付けられています。
Area_trend_sostenibilita_vuota_012_ ⑴オーガニック材料
⑵環境保全管理された森林に由来する材料
⑶リサイクル素材
⑷バイオベースの革新的繊維
⑸クローズドループシステムで製造された化学繊維
⑹環境負荷の少ない従来型材料
⑺クルエルティフリーの動物性繊維
⑻危険な化学物質の不使用
⑼持続可能な管理システムを採用している企業の製品

 MUが製作したカタログには、参加企業とそれぞれが取得したサステナビリティ認証に関する情報が記載されています。
 これにより展示サンプルを9つのカテゴリー別に見てみますと、もっとも多いのは、⑻の危険な化学物質の不使用で、全体の3分の2にあたる66%です。次が⑶のリサイクル素材の使用で、約3分の1の36%、3番目が⑼の持続可能な管理システムを採用している企業の製品で、29%、4番目が⑴のオーガニック材料を用いているで、16%、5番目が⑹の環境負荷の少ない従来型材料で、13%、あとは10%未満となっています。
 また取得した認証プログラムで、もっとも多かったのはエコテックス100で55%、次がデトックス・コミットメントで17%、グローバル・リサイクル・スタンダード(GRS)は14%、グローバル・オーガニック・テキスタイル・スタンダード(GOTS)は12%、ISO14000は11%などでした。

 なおこれらはすべてメーカーの自己申告で、科学的検証はなされていないといいます。ですからバイヤーとしては、メーカー側にきちんと問い合わせする必要があると思われます。
 今回陰の主役となったサステナビリティ・プロジェクト。次回はさらに重みを増しそうです。各代表機関とともにこの取り組みに注力していくというMU。今後出展各社がどのような動きを見せるのか、注視されます。

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2018年7月13日 (金)

ミラノウニカ⑶「オンツアー」ピエモンテ州クローズアップ

 ミラノウニカ(MU)初日の夕べ、毎年恒例となった「オンツアー ON Tour」が催されました。クローズアップされたのはイタリア北西部のピエモンテ州です。
 なぜこの州が選ばれたのかというと、ここには「毛織物の町」として世界的に有名なビエッラがあるからです。この町で誕生したメンズウェア用のテキスタイル展「イデアビエッラ」は、2005年MU発足に参加し、MUの中核見本市となっています。ちなみにMU現会長のエルコレ・ポッド・ポワーラ会長はレダ社の代表取締役で、イデアビエッラ副会長を務められていた方です。
 このイデアビエッラが今年で40周年を迎えたとのことで、今回の「オンツアー」はこれを祝う一大イベントとして行われました。

 会場に入ると、まずイタリアのコンパクトカー、フィアットの展示など、次いで目にしたのが宮廷衣裳を身に着けた方々による瀟洒な舞踏会でした。王宮で流行ったと思われる扇子言葉を交わす仕草が興味深かったです。
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 メインホールでは、オーケストラの演奏に合わせてカンツォーネが響く中、ピエモンテ州産の美味しいワインや食事がふるまわれました。
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 私も野菜のフランやリゾットなどをいただき、イタリアらしい楽しいおもてなしを堪能させていただきました。

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2018年7月12日 (木)

ミラノウニカ⑵ 成長基調のイタリア生地 輸入大幅減

 今回のミラノウニカ(MU)で、イタリアファッション産業総連盟研究センターによるイタリア製テキスタイルに関する興味深いビジネスデータがリリースされました。概要は次のようです。
Synthesis_persone_007_mu27_sito_ph_  この1~3月期のイタリアのテキスタイル産業は、3.2%増と成長基調を示しています。しかし海外市場に関しては、2018年の幕開けは勢いに欠け、とくに海外でのテキスタイル売上高は微減(0.4%減)、輸入は大幅減少(8.9%減)となったといいます。
 イタリア製生地の輸出相手国では、上位の2か国、ドイツとフランスが好調で、それぞれ9.2%と6.1%の増加を示しています。その一方で、米国は11.1%減、中国と香港もそれぞれ4.8%減、5.5%減。
 またイタリアに輸出されるテキスタイルを原産国別に見ると、第1位の中国、第2位のトルコからの輸入がそれぞれ8.7%と4.7%と減少したといいます。それでも中国からイタリアに輸出されるテキスタイルは全体の25.9%を占めていて、トルコは2509%を占めているそうです。とくにパキスタンからの輸入は19.4%減と見過ごせないレベルに陥っているとか。
 これにより、2018年1~3月期におけるイタリア製テキスタイル全体の貿易収支額は4億3,340万ユーロを超え、2017年の同期に比べると増加を示しているといいます。

 データからは世界の動きが読み取れるのではないでしょうか。日本にも大いに共通する部分があるように思われました。

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2018年7月11日 (水)

ミラノウニカ⑴「我々の未来は持続可能か」テーマに開幕

 2019/20年秋冬テキスタイルと服飾付属品の大規模な国際見本市、第27回ミラノウニカ(略してMU)が7月10日~12日、フィエラミラノ・ローで開幕しました。私もこれに合わせて9日にパリを経由してミラノに入りました。 
 出展社の数は、日本と韓国のオッセルヴァトーリオ(パビリオン)や「オリジン・パッション・アンド・ビリーフ」を含めると607社と発表されました。MU本体の出展社は2017年の7月展比で4%増加し475社となったといいます。とくにヨーロッパ諸国からの出展社は昨年に比べ71社から86社に増え、“21%の大幅増”と特筆されています。これは昨年開催を7月に早めたことに、市場が好感度を高めた証と受け止められているようです。

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 初日の10日、恒例のオープニング・セレモニーが行われました。今回はいつもと異なり、MU会長のエルコレ・ポッド・ポワーラ氏の挨拶の後、シンポジウムとなりました。テーマは「我々の未来は持続可能か」です。ジャーナリストのマリア・シルヴィア・サッキ氏がコーディネイターを務め、エルコレ・ポッド・ポワーラ会長、システマ・モーダ・イタリア・サステナビリティ委員会の委員長アンドレア・クレスピ氏、イタリアファッション会議所会頭カルロ・カバーサ氏システマ・モーダ・イタリア会長マリーノ・ヴァーゴ氏が参加し、サステナビリティ(持続可能性)について議論が交わされました。
 エルコレ・ポッド・ポワーラ会長は、「持続可能性という課題は地球の未来を見つめるために、また我々の産業にとっても戦略的な意味をもつものです。私たちは流行を追っているつもりはありません。消費者の選択の中に根を下ろしつつある新しいニーズを前に、私たちはグローバル市場での競争力を高めるための備えを整えているのです」と語っています。続けて「今期トレンドエリアの中のサステナビリティエリアでは、123社から750点を超える製品が展示されました。これは前シーズンの3倍となる数字で、大成功といえるでしょう。出展社がいかに持続可能性に対して真剣に取り組み、強い関心を抱いているかを物語っています」とも。
 「我々の未来は持続可能か」、このテーマを基に具体的な成果をどう引き出していくか、各メーカーの舵取りが迫られるときがいよいよやってきたようです。

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2018年6月19日 (火)

2019クラボウグループ繊維展 「歓びと驚きをお客様へ」

 「2019クラボウグループ繊維展」が「歓びと驚きをお客様へ」をテーマに、5月15~16日、今年も東京・時事通信ホールにおいて開催され、最新コレクションをご案内していただきました。(昨年の記事はこのブログ2017.6.12付けで掲載しています。併せてご参照ください。)
 多様な提案の中から、とくに着目したブランドをご紹介します。

 まず「アクアティックAQUATIC」です。
Img_05611jpg  これは昨年発信した綿100%の次世代デニムです。製品洗い加工によるユーズド・ヴィンテージ感の表現が可能な上、デニム生地が擦れた時の色移りや洗濯時に色落ちしにくいのが最大の特長といいます。
Img_05511  私も白い布で擦る実験をさせていただき、色移りしないことを確認しました。これなら衣服の他、バッグやソファ地などインテリア用途にも安心して使えますね。
 新しい加工表現や、新色のターコイズやグレイッシュブルーなどが加わり、昨年よりもバリエーションが拡大しています。

 次に「ループラス L∞PLUS」です。
Img_05781jpg  サステナブルな社会の実現を目指す取り組みで、服をつくるときに出る裁断くずをアップサイクルして再び衣服にするプロジェクトです。裁断くずの種類や量からどのようなものがどれくらいつくれるのか、シミュレーションするソフトも開発。現在、アパレルに訴求し、コラボを模索しているところだそう。

 さらに「ファインマスター FINEMASTER」です。
 これは汗ジミや水シミを軽減する素材です。生地の裏側が吸水、表側が水をはじく加工になっているため、水シミなどが目立ちません。パンツ向けになくてはならない加工になってくると思われます。
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 布の裏面です。            布の表面です。
 裏面左は加工生地で濡れた時は水をよく吸水していますが、表面にはその水シミがまったく見えません。


Img_05861jpg_2 上の写真は「インフルエンザ“0”活動」です。「クラボウ スマイル スクール プログラム」の一つで、「クレンゼ CLEANSE」の抗菌・抗ウィルス機能加工技術を小学校に提供したところ、インフルエンザにかかる子どもの数が激減したといいます。これはぜひとも全国に広げたい社会活動と思いました。
 
Img_05681jpg  最後にクラボウの「ヒューマンワークスラボ」が開発した新しいワークウェアの展示で、目が点になったのが、「ムービンカット MOBINCUT® 」です。
 動きやすい作業服をつくるための型紙作成という、クラボウはこのような技術も開発していたのかと、驚きました。

 この他、スマート衣料の「スマートフィット Smartfit」など、クラボウの先進テクノロジーにも注目です。

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2018年6月17日 (日)

2019/20秋冬ミラノウニカ開催概要 日本27社・団体が出展

 早くも2019/20年秋冬の第27回ミラノウニカ(Milano Unica 略してMU)が、7月10日~12日、ミラノのロー・フィエラミラノにて開催されます。その記者発表会がJFW事務局で、去る4月下旬に行われました。遅ればせながら概要をお伝えします。 
 総出展社数は601社で、来場者数は昨年同様6,000社を見込んでいるとのことです。
 昨年秋冬展を9月から7月に前倒して開催したMUは、来場者の増加やバイヤーの滞留時間増、出展社数の大幅増などで、主催者は7月開催を成功と評価しているといいます。但しレディスブランドにとってはテーマが決まっていない時期でもあり、求められたスワッチが発注に至る確率は落ちるとの声もあるとも。またMU終了後すぐにバカンス時期に入ることもあり、発注確定に至らないケースも見受けられたとのことでした。

Japan_observatory_010_milnounica_pe  今回で9回目となるジャパン・パビリオンの「The Japan Observatory at Milano Unica」(写真右は前回のもの)には27社・団体が出展します。この内新規は2社で、スタイルテックスと北高です。出展社のバリエーションが増し、前回よりもレディス分野が増加しているといいます。

 なお2019/20秋冬MUのトレンドも下記のように発表されています。
 テーマは「ネーション・トゥ・ネーション Nations to Nations」で、次の3つのストーリーが提案されています。

◇オーガニック・グランジ Organic Grunge : スコットランド、トルコ、ルーマニア
◇ハンドクラフト・エッセンシャリズム Handcrafted Essentialism : 韓国、スイス、スゥエーデン
◇テクノ・ロマンティックTechno Romantic : ベルギー、アゼルバイジャン、インドネシア

 このMU7月展を私も取材しに行きます。詳細はそのときまたご報告いたしましょう。

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2018年6月16日 (土)

2019年春夏ミラノウニカ 流行色2018 SUMMER掲載

Scan0045  この春発行された「流行色2018 SUMMER No.593」に、今年2月に開催された「2019年春夏ミラノウニカ」の柳原美紗子の記事が、掲載されました。

  その概要や発表されたトレンドテーマやカラー、また展示場で見られた素材の特徴などを4ページにわたり解説しています。ご参照ください。

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2018年6月15日 (金)

PTJ 2019春夏⑻ 華やかなプリントデザイン

 先般のPTJ2019春夏展で、ひと際目立っていたのが華やかなプリントデザインです。花柄、幾何柄やグラフィカル、更紗調、リゾート感覚なものまで様々。

◇北高
Img_03071  メンズのアロハ向けプリントが好調とのことで、大胆な意匠のアロハシャツを前面に打ち出していたのが印象的です。

◇コッカ
Img_02191jpg  今シーズンは、天然素材によるナチュラルなスタイルがメインといいます。花柄は全体に大人っぽい抑えた表現になっています。

◇グローブ
Img_02801  大阪が本拠のテキスタイルコンバーターで、個性あふれるプリントを展開しています。大胆な動きのあるポップな柄行きを打ち出し、意匠力を感じさせられました。

◇イマダ
Img_02251jpg  花模様が人気のプリントメーカーです。今シーズンは大柄やダーク地など、甘味を控えたロマンティックがポイントのようです。

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2018年6月14日 (木)

PTJ 2019春夏⑺ ジャパンクオリティ支える染工場の技術

 日本の素材クオリティの高さは世界一といっても過言ではありません。それを支えているのが、様々なニーズに応えている染工場の技術です。
 PTJ2019春夏展に出展した2社の注目素材をご紹介します。

◇久山染工
 日本のものづくりの最先端を引っ張っている京都発の染工場です。世界の一流メゾンがその独自の特殊加工によるアイデア、オリジナリティに魅せられています。

Img_02441  今シーズンは上の写真のような、綿の撥水加工を前面に押し出していました。フッ素は不使用で松脂など天然材料を使っているとのことです。
Img_02401  ぐっとシンプルになって機能を打ち出していたのが印象的でした。

 もちろん、右のようなオパールベルベット加工など意匠性の高い、ファンシーなものも多数取り揃えられています。

◇三陽染工
 福山市本拠の日本有数のインディゴ染めの染工場です。環境汚染の問題にも積極的に取り組まれていて、世界から高く評価されています。
Img_02681  ブースでは右の「スミナリエ」という特殊段落ち抜染を大きく打ち出していました。二度染めして、洗い加工などで色を落とすと下から異なる色が出てくるというもので、全体的に落とせば玉虫調に、部分的に落とせば2色のコントラストが楽しめるといいます。

Img_02711jpg  また新開発のインディゴプリント「サインズ(SAINS)」も披露。これによりこれまで量産が難しかったインディゴによる様々なプリント表現が可能になったといいます。落ち感やブリーチ脱色、染め生地へのプリントなど、アイデア次第で今までにない商品開発ができるようになったとのこと、今後の活用が期待されます。

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2018年6月13日 (水)

PTJ 2019春夏⑹ ジャカードは軽やかなタッチへ

 装飾への傾向が続いていることから、引き続き意匠素材に目が行きます。その代表がジャカードです。先般開催のPTJ2019春夏展では、軽やかなタッチのものが多く目に付きました。透け感や光沢感があって超軽量な素材や、ストライプなどカジュアル感のあるスポーティな感覚のものが増えています。

◇丸増
 1949年の創業以来、培われてきたアーカイブを現代感覚に仕上げた意匠素材を提案しています。
 今シーズンは、グラデーション調の彩りを施したポリエステル/コットンのフィルム格子をアピール。スリットクロスのプリントも美しく、大人のエレガンスを誘います。
 その軽やかな透け感と適度な張り、しかも上品な光沢にすっかり魅せられました。
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◇クロスジャパン

Img_02131  オリジナリティあふれるテキスタイルが好評の同社です。
 ブースでは大胆なジャカードが目立ちます。とくに今シーズンの売れ筋を伺いましたら、右のようなストライプ使いのカットジャカードが一番人気とのことでした。
 カジュアル感があって、使いやすそうです。

◇クリスタルクロス
 「当たり前のものは提案したくない」というように、ブースには個性的なジャカードや先染め、プリントがいっぱいです。きらめくラメや透けるもの、カットジャカード、ファンシーな意匠糸使い、オパール加工など。とはいえ決して重くならず、春夏シーズンらしい軽快なタッチに満ちていて、見ていて楽しくなります。
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◇近江織物

 綿や麻中心に、様々な織物の製織や染色整理やImg_01981jpg晒加工を得意とするメーカーです。
 今シーズンは薄地のエレガントなボイルやオーカンジー、インクジェットにカレンダー加工、コンピュータージャカードを提案。
 右はコンピュータージャカードの五重織です。

◇高坂繊維
 足利産地でレディス向けジャカードや特殊加工を手掛けている老舗メーカーです。
 今シーズンは、トレンドのスポーティで爽やかなカットジャカードを提案。素材はポリエステルやナイロンにコットン複合のものが多く見られます。
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