テキスタイル

2020年7月 1日 (水)

U.S.コットン・トラスト・プロトコル サステナブルへ強化

 コットンUSAから、次のようなリリースが届きました。
Uscotton_trustprotocol_logo_sustainabiliField-to-market




  それは、U.S.コットン・トラスト・プロトコルがアメリカの綿花生産についてサステナブルな成果を文書化し加速するため、フィールド・トゥ・マーケット(Field to Marketサステナブルな農業を目指す団体)と正式にパートナーシップを締結することに合意したとのニュースです。
   この新たな提携は、両団体の業界をリードするサステナビリティ評価フレームワークを結びつけ、綿花生産農家とバリューチェーンの継続的な改善を推進する能力を強化するものといいます。

 締結された合意内容は下記のようです。
・フィールド・トゥ・マーケットのフィールドプリント・プラットフォーム(FieldprintÒ Platform)の測定指標を活用することで、綿作農家によるサステナビリティ測定が促進され、農業手法とサステナビリティ成果の関係性を分析できるようにする。
・業界で設定した環境目標に対する進捗状況を伝えるフィールド・トゥ・マーケットの『ナショナル・インジケーターズ・レポート』(National Indicators Report)の継続的な発行を通じて、アメリカ綿のサステナビリティの取り組み状況を追跡していく。
・相互の会議やワークセッションに参加することで、協力関係を一層深めていく。

 これにより両者は、アメリカ綿花業界が設定した環境目標に対する進捗状況を共同で評価していくことになるといいます。その環境目標とは、2025年までに土壌侵食、水使用、温室効果ガス排出、エネルギー使用の削減目標を達成するとともに、土地の利用効率を向上させ、土壌炭素を増加させることです。
 U.S.コットン・トラスト・プロトコルのエグゼクティブ・ディレクターであるKen Burton氏は、次のように述べています。「消費者、アパレル、小売業者から繊維メーカーに至るまで、アメリカ綿バリューチェーンにとってサステナビリティの重要度はますます高まっています。U.S.コットン・トラスト・プロトコルは、フィールド・トゥ・マーケットと協力することで、サステナビリティに対する影響度を高め、業界目標を達成し、アメリカ綿のサステナビリティを強化できるものと期待しています」。
 
 U.S.トラスト・プロトコルは、2019年の試験運用を終え、2020年末までに500以上の生産者の参加を目指して、2020年にプログラムの本格運用を開始するとのことです。
 フィールド・トゥ・マーケットとの取り組みの成果が楽しみです。

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2020年6月27日 (土)

ミラノウニカ9月展 日本からの出展中止を発表

 先日、気になっていた国際素材見本市ミラノウニカ9月展に日本パビリオンが出展するかどうかの答えがようやく出ました。JFW日本ファッションウィーク推進機構とジェトロ日本貿易振興機構からの発表はやはり中止でした。昨今の新型コロナウイルス感染症における日本国内及びイタリア国内の感染再拡大の状況および、外務省による渡航制限レベル、参加企業への調査回答等を総合的に加味した結果から判断したといいます。出入国の際に検査があり、場合によっては隔離されることもあるというのですから、出展を希望していても企業は渡航に慎重にならざるをえません。

 11_20200628105801 右は、この2月展で日本パビリオンに出展した宇仁繊維のブースです。にぎわっていますね。 (このブログ2020.2.17付け参照)

 次回ミラノウニカ自体は9月7日~9日開催予定となっています。これについては近日中に正式な発表があるものと思われます。私も行けるようでしたらぜひ行きたいのですけれど、まだどうなるかわかりません。訪れることができたとしても日本企業がいないのですから、相当寂しいものになりそうです。

 コロナ禍の展示会、その行方を今、見守っています。

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2020年6月22日 (月)

テックスワールド・パリ9月展は見送りに

 先日、メッセ・フランクフルト・フランスから9月にパリで開催する予定だったテックスワールド(TEX WORLD)展と、併催しているアパレルソーシング、アバンテックス、レザーワールド、ショール&スカーフ、テックスワールドデニム展を見送るとの連絡がありました。
 フランス政府からの衛生管理に関する情報不足や、海外からの渡航制限など、大規模なイベントの開催が保証されていないことが理由といいます。
 9月以降、メッセ・フランクフルト・フランスでは展示会に代わり、サプライヤーとバイヤーをつなぎ、ノウハウを紹介するためのデジタルソリューションを提供するとのことです。
 Img_51951jpg  上は、前回2月展の展示風景です。
 テックスワールドは毎回、約1,800社もの出展がある巨大な見本市で、出展社はそのほぼ半数が中国です。前回はコロナウイルス感染防止で中国人の出入国が禁止され、中国ブースはほとんどが空だったのが思い出されます。
 
 なお次回は2021年2月1日~4日にパリのル・ブルジェにて開催されるとのことです。

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2020年6月16日 (火)

PVパリ9月展 オンライン展示会による補完を決定

 つい先日、プルミエール・ヴィジョン(PV)ジャパンからプレスリリースが届きました。このブログ5月3日付けの続きで、気になるプルミエール・ヴィジョン(PV)パリ9月展に関するニュースです。
 フランス国内では9月1日(火)より5,000名以上のイベントが再開される見通しとなり、これを受けてPVパリ9月展は初めてオンライン展を同日開催し、これによりリアル展を補完することを決定したといいます。

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  下記、プレスリリースから要点を掲載します。

 PVパリ9月展はパリ・ノール ヴィルパント見本市会場にて9月15日(火)~17日(木)に開催されます。それと同時にオンライン展をマーケットプレイス・プルミエール・ヴィジョン上で開催するとのことです。その目的は、リアル展での提案やイベントを補完し、国際的なバイヤーの幅広い層に対して、出展企業各社の提案の可視性を高めることにあるといいます。リアルとオンラインが共催する次回展は、国際的なファッション業界の全てを動かす、とくに業界の再起を推進していく見本市になるとしています。
 
 そこには下記の内容が盛り込まれています。
○政府が求める衛生プロトコルを遵守し、出展企業と来場者が新しいコレクションを発見、共有するために、再び会うことができる見本市(リアル展)を運営する。
○出展者の最も象徴的で創造的な製品やデザインを発見するためのマルチメディアフォーラムを設置する。
8月31日(月)までに事前登録を行った来場者の入場パスを無料化する。
デジタルイベントやツールの開発を強化しサポートすることで、クライアントとサプライヤーとの打ち合わせを活性化する。
第二世代マーケットプレイスの新サービスと機能性をローンチする。これはコレクションのプロモーションと展示会の来場準備のためのオンライン商談を容易にするために開発されたもの。これにより業界をサポートし、より広範なデジタル化に向けて不可逆的な新たな一歩を踏み出せるようアシストする。
およそ20のウェビナーを通じて、ファッションの未来を解読・分析する。

 ジル・ラスボルド PVゼネラルマネージャーは、次のように語っています。
 「リアル展としての見本市開催と、マーケットプレイスに投資しサービスを世界市場全体に提供するオンライン展開催の決定は、業界全体が再び出会い、立ち直り、回復を始めることができるように支援するという、私たちの決意を示すものです。
 私たちは信頼を寄せてくださっているメーカーの方々が、顧客との直接のコンタクトを維持できるようにしていきたいと考えています。出展企業が有利になるように、早々にいくつかの措置も講じました。(出展契約条件の緩和、出展申込期限の後ろ倒しなど) 3月中旬からは、マーケットプレイスの無料提供も開始しました。
 リアル展の力を補完し、増強するために、PVはデジタルに投資する新しい段階に足を踏み入れました。変化する業界を支え、推進するために対応しなければならない転換です。」

プルミエール・ヴィジョン・パリ2020年9月展(リアル展)の開催確定
 PVパリはパリ・ノール ヴィルパント見本市会場にて、当局より要請された衛生プロトコルに基づき、かつ、バイヤーと出展企業の出会いを容易にするため考案された形式で開催されます。:
○あらゆる人への衛生上の安全を保障:すべてのバッジのデジタル化、除菌ジェルとマスクの配布、ソーシャルディスタンス確保のためのスペース配置の見直し、混雑緩和など。
○ヤーン・ファイバー、テキスタイル、レザー、服飾資材・部材、テキスタイルデザイン、縫製・製造の補完的で厳選された提案
マルチメディアなファッションフォーラム:インスピレーションを得、2021/22秋冬シーズンを発見するための、没入感があり感覚的なスペース、カラーと素材のトレンド、プルミエール・ヴィジョンのモードチームにより選ばれた出展企業の新素材。
○出展企業のブースで提案される2021/22秋冬コレクションのすべて。
より濃縮されたセミナープログラム
○8月31日(月)までに事前登録を行ったすべての来場者への、見本市への来場およびセミナー参加の無料化

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2020年6月12日 (金)

アクティブウェアにテクニカルな天然繊維―コットン調査から

 米国でもコロナウイルス感染拡大防止によりスポーツジムやヨガスタジオなどのドアが閉じ、フィットネスファンは自宅でのエクササイズに励むようになったといいます。再開したとはいえ、アクティブウェアを含めた健康関連ビジネスが以前のような状態に戻るかどうかは不透明です。
 この危機を乗り越えるには、消費者が何を求めているのか、その動きをみていく必要があるでしょう。コットンの消費動向を調査しているコットンライフスタイルモニターに、「消費者ニーズは天然繊維でパフォーマンス性の高いテクニカルなアクティブウェアにある」との興味深いレポートが掲載されています。この概要をまとめてみました。
  Img_80281                                (上はナイキショップ)
 ニューヨーク州ポートワシントンに拠点を置く市場調査会社NPDグループによると、米国の大人用アクティブウェア業界の2019年の売上高は503億ドルで、男性用が市場シェアの51%を占めているのに対し、女性用は49%です。成長率もメンズ市場で2%と、3年連続で女性を上回っています。女性向けアクティブウェアの売上高は2018年比で横ばいです。 
 これについて同グループのマット・パウエル上級副社長兼スポーツ業界アドバイザーは「女性用アスレチックアパレル市場は、スポーツ業界の最大の失敗であると同時に、最大のチャンスでもあり、そのことに変わりはない」といいます。そして「苦戦を続ける伝統的なアスレチックブランドが成功するためには、女性向け製品に多くのリソースを投入し、誠実なつながりを作り、女性たちがどこで買い物をしているのかを理解することが不可欠で、今こそ今日の女性に同調しないアクティブウェアの小売モデルは払拭されるべき」と語っています。
 
 パウエル氏がこのように述べたのはウイルス感染爆発が起こる前でした。その後全国的な閉鎖が起こり、米国商務省の発表によると4月の小売売上高は前年比21%減少となり、衣料品・服飾雑貨では非店舗(eコマース)では昨年同期比22%増加したものの、店舗での売上は2019年4月に比べ89%の大幅減になったといいます。

 こうした壊滅的損失から立ち直るために、為すべきことは消費者の嗜好に訴えかけることです。2020年コットンライフスタイルモニター調査によると、消費者の65%が衣服購入の際、機能性が重要と答えています。上位に挙げられているのが防縮性(67%)、防臭性(66%)、耐久性の向上(61%)。次いで、汗を隠す機能(60%)、水分管理(58%)、防汚性(56%)、撥水性(51%)です。 
 またもう一つ、消費者が追求しているのは、健康によいというだけでなく、地球にも優しいことです。モニター調査によると、消費者の3分の1近く(30%、2018年の17%から増加)が、合成繊維の衣服のマイクロファイバーが地球の海や水を汚染しているという懸念し、3分の2近くの人々が(62パーセント)、マイクロファイバー汚染のために、服に合成繊維を使用しているブランドや小売店が気になっていると答えています。ブランドは、化合繊に手を伸ばすのではなく、10人に8人近くの買い物客(78%)が「お気に入りはコットン」と答えていることを考慮すべきでしょう。買い物客の大多数(51%)は、価格が高くてもフィットネスウェアに綿リッチ混を選ぶと回答しています。

 NPDグループは、売上が上昇傾向にあるブランドに、チャンピオン(Champion)とヘインズ(Hanes)の二つを挙げています。いずれもウェブサイトを見ると「ベストセラー」として綿や綿を多く含むアイテムが大量に掲載されていて印象的です。
 
 綿素材は今や技術が進化し、消費者が求める性能を備えたアクティブウェアと、消費者が好む綿の着心地の良さを両立させることが可能となっているのです。
 
 ここからはコットンインコーポレイテッド社が開発した革新的な技術の一端を紹介します。
 「タフ コットン(TOUGH COTTON)」は耐久性が高く、摩耗やシワに強い特徴を持っていますし、「トランスドライ(TransDRY)」は高性能の水分管理技術で特許を取得しています。防臭・抗菌技術を搭載したものも数多くあります。
 またピュアプレス(PUREPRESS)」という、衣類をシワになりにくくする耐久性のある仕上げや、アーチロマ社とのコラボレーションから生まれた「アースカラー(EarthColors)」、これはテキスタイルの染色に責任あるソリューションを提供しています。
 中でも画期的なのが、「ナノテックス(Nanotex)」と共同開発した「ドライインサイド(DRY INSIDE)」です。これは湿気を身体から遠ざけ、生地表面に拡散させる湿気管理システムで、ポリエステル100%などの合成繊維と比べても遜色ない、競合他社よりも優れた加工といいます。さらにスパンデックスを使用せずにコットンアパレルに快適なストレッチ性を与える「ナチュラルストレッチ(NATURAL STRETCH)」も注目です。

 最後は、前述のNPDグループのパウエル氏の言葉で締め括りましょう。「米国のように成熟したアクティブウェア市場が成長するには新鮮なアプローチが必要です。市場全体を成長させる鍵は、男性とほぼ同じ市場シェアを持ちながら、潜在能力を十分に発揮できていない女性市場にあります。その“ルネッサンス”の機会はテクニカルな天然繊維でつくられるでしょう」。

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2020年6月 2日 (火)

2021年春夏ミラノウニカ 流行色2020SUMMER掲載

Scan0148  この春発行された「流行色2020 SUMMER No.601」に、今年2月に開催された「2021年春夏ミラノウニカ」の柳原美紗子の記事が、掲載されました。

  その概要や発表されたトレンドテーマやカラー、また展示場で見られた素材の特徴などを4ページにわたり解説しています。ご参照ください。
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2020年5月24日 (日)

国際綿花評議会(CCI)サステナブル・アパレル連合に加盟

 サステナビリティがビジネスの基本理念として定着しつつあります。こうした中、国際綿花評議会(CCI:COTTON COUNCIL INTERNATIONAL)がこのほどサステナブル・アパレル連合(Sustainable Apparel Coalition: SAC)に加盟し、同連合が開発したサステナビリティ測定ツール「Higgインデックス」を活用して、サプライチェーン全体における環境および社会的責任を推進していくことになりました。
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 ちなみにCCIはCOTTON USAマークを通して、アメリカ綿とその綿製品の販売促進を行う非営利業界団体です。SACは、2011年にアメリカで設立され、アパレル、フットウェア、テキスタイル各業界の主要ブランド、小売業者、サプライヤー、サービス提供会社、事業者団体、非営利団体およびNGO、学術機関など250を超える組織が参加して、製品が世界各地に及ぼす環境的、社会的影響の軽減に取り組んでいるNGO組織です。
 
 報道資料によると、CCIはSACへの加盟をきっかけに、「Higgインデックス」にサステナビリティの成果を計測したデータとリソースを提供するとのことです。「Higgインデックス」は指標となるツール集ですので、サプライヤー、製造業者、ブランド、小売業者は、この指標を使って、環境パフォーマンス、社会的責任ある労働慣行、製品デザインの選択に基づく原料、製品、設備、生産工程の評価などを行うことができます。
  CCIの欧州地区アパレル/小売担当ディレクターであるステファニー・ティエールさんも、「信頼性の高い環境データを業界に提供するという強い思いを共有しながら、力を合わせてサプライチェーンの透明性を高め、確かな情報に基づく意思決定を実現していきたいと思います」と意気込みを語っています。
 
 サステナビリティの継続的な向上を約束しているアメリカ綿花業界にとって、これは素晴らしいニュースです。
 アメリカの綿作農家は過去35年間にわたり環境負荷削減の大きな実績を上げ、精密農業を実践するなど、さらなる成果を積み重ねています。私も大変うれしい気持ちになりました。

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2020年5月19日 (火)

ファッション業界の大きな関心事はサステナビリティ

  今、ファッション業界の大きな関心事はサステナビリティ (持続可能性)です。
   Img_48311 2020/21年秋冬コレクションウィークでも、多くのデザイナーが気候変動や環境への責任に声を上げていました。
 (右はステラ・マッカートニーのこの春発売されたセーターです。「We are the weather(私たちは天気)」の文言が入っています。)
  コロナ収束後も、この流れはさらに大きなうねりとなって続くとみられています。
 何故かというと、消費者がサステナブル(持続可能)な「品質」を求めているからです。

 コットン・インコーポレーテッドの2020年ライフスタイルモニターによると、消費者は新しい服を購入する際にフィット感(96%)、着心地(96%)に次いで「品質」(92%)を挙げています。またほとんどの消費者(63%)が、コットンやウールなどの天然繊維を使用したアパレルブランドの方が、より親近感を感じたり、愛着を覚えたりするといいます。少し高くてもサステナブルな素材を使用して、ファストファッションではない服を作っているデザイナーにとって、心強いデータですね。
 さらにもう少し詳しく見ていくと、4人に3人以上の消費者(78%)はコットンが最も好きな繊維であると回答しています。また、人工の繊維と比較して、81%の消費者はコットンが最もサステナブルで、最も柔らかく(81%)、最も着心地が良く(80%)、最高の品質(73%)で、その上66%が最も長持ちすると答えています。

 とはいえファッション業界が直面する問題の一つは、服に使用されている繊維のほとんどがプラスチックをベースにしていることです。
 エレン・マッカーサー財団の調査によると、最も一般的な素材はポリエステル(55%)、次いでナイロン(5%)、アクリル(2%)となっています。これらの合成繊維は、地球の海に入る主要なマイクロプラスチック汚染の35%を占めているのです。この微小なファイバーは洗濯で水路に流れ込み、天然繊維のように分解されません。その代わりに、最大で200年間水中を漂い続け、その間に繊維は水生生物によって消化され、食物連鎖に取り込まれます。世界保健機関(WHO)によると、マイクロプラスチックによる汚染は飲料水にも見られるといいます。
 サステナブル・ファッション・コレクティブの次の指摘にも注目です。「合成繊維は安価で大量生産が容易。だがマイクロプラスチック汚染の他に、ポリエステルの製造だけでも7,000万バレル近くの石油を使用している」というものです。デザイナーやブランドは、再生可能な天然繊維の使用を検討してみてはいかがでしょう。消費者が求めているのは価格の安さではないのですから。実際、ライフスタイルモニター調査によると、ほとんどの消費者が、Tシャツ(60%)、カジュアル衣料(56%)、デニム・ジーンズ(54%)、アクティブウェア(51%)などのアイテムで、綿がポリエステルなどの合成繊維で代替されないようにするために、少し高めの価格を支払うことを厭わないと答えています。
 
 最後にサステナビリティとは何か、です。ニューヨークでメンズウェアコレクションを発表しているデザイナー、ディヴィッド・ハートは「サステナビリティとは新しいものをつくることではない。今あるものでよしとすることが持続可能性で、もちろん生地もつくりも高品質でね」と。ハートは今シーズン、自身のアーカイブの中からお気に入りの作品をいくつか引っ張り出してきて、街中で見つけた古着と組み合わせたコレクションを披露しています。

 長く愛用できる「品質」こそ、サステナビリティなのですね。

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2020年5月18日 (月)

「Blue Jeans Go Green™」注目のデニムリサイクル

 コットンは自然で持続可能な繊維です。このコットンで作られたオーセンティックなデニム、つまり本物のデニムなら、分解して新しいものに変えることができます。
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 「Blue Jeans Go Green™(ブルージーンズ・ゴー・グリーン)」は、デニムをリサイクルするプログラムです。 米国のコットン・インコーポレイテッドが2006年に立ち上げたもので、「古いデニムに新たな目的を」と呼びかけ、共感した小売業者、大学、団体、個人が年200万枚以上のデニムを回収。その結果、1,000トン以上の繊維廃棄物が埋め立てられずにすんでいるそう。回収されたデニムは提携しているBonded Logic, Inc. のUltraTouch™Denim Insulationの断熱材に再利用され、毎年、その一部は、ハビタットなどの建築活動を支援するために配布されているといいます。
 この注目のデニムリサイクルの動画、https://bluejeansgogreen.org/をクリックしてご覧ください。

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2020年5月17日 (日)

今年のアースデイ 空気をきれいにする当たり前の選択

 Topmove7          (写真 一般財団法人日本綿業振興会より)

 毎年4月22日に行われているアースデイ。アメリカで始まったこの環境ムーブメントも、今回で50周年を迎えたといいます。それが今年はこれまでとは大きく異なり、空気がいつも以上にきれいになって、思いがけない場所に野生生物が出現したとか。
 コロナ禍の下、オンライン開催となったためですが、コンサートや行進、集会のために何百万人もの人々が集まり、車で道路を埋め尽くし、使い捨ての飲食物の容器を残すよりも、はるかに好ましい---。皮肉な話だと思いませんか?
 
 普段、騒がしい私たちの世界では、ごく当たり前の選択が見落とされがちです。 たとえばコットンのような天然繊維です。サステナビリティ(持続可能性)の議論で、話題に上るのはリサイクルペットボトルから作られたポリエステルを含む新しいコレクションの方で、何十年も前に聞いた天然素材の話は現実を反映していないものとされてしまいます。

  コットンは「渇きやすい作物」と言われてきましたが、本来は暑さや干ばつに強い農作物です。米国農務省は綿花を食用作物として規制していて、同省の2012年のデータによると、米国で灌漑された土地のうち、トウモロコシの占める割合が最も高く、25%を占めています。次いで干し草などの飼料作物(18%)、大豆(14%)、野菜(8%)、果樹園作物(8%)、綿花(7%)、小麦(7%)、米(5%)と続きます。国際綿花諮問委員会(International Cotton Advisory Committee)も、綿花は世界的に見て、灌漑用水のわずか3パーセントしか消費していないことを明らかにしています。
 米国とオーストラリアのサステナブルコットンプログラム「コットンリード(Cotton LEADS)」によると、米国では綿花の大部分(約60%)が灌漑なしで生産されており、降雨のみに頼っています。残りの40%の綿花には、灌漑は作物の必要量を補うためにのみ使用されているといいます。
 
 また綿花生産で米国の綿作農家は、水の使用量を減らすだけでなく、殺虫剤の投入量も少くさせています。綿花農家はかつて農薬を多く使っていましたが、今では農薬使用量は、その前の世代に比べて50%も減っています。この大幅な減少の理由の一つは、1996年に害虫抵抗性のある遺伝子組み換え作物、BTコットンが導入されたからです。これにより、収量の増加と殺虫剤の使用量の削減をともに実現しているのです。
 米国の農家にとって水や殺虫剤の投入量の節約は重要です。なぜかというとほとんどの綿花栽培農家が「大規模経営」ではないからなのです。米国農務省(USDA)によると、2017年のデータで16,149の綿花農場のほとんど(65%)が家族経営の農場で、24%が提携農場です。水や投入資材の節約は、個々の農家の経費削減を意味します。ですから使用する量が少なければ少ないほど利益につながるのは当然のことです。
 
 ゲイリー・アダムス博士、ナショナルコットンカウンシルの社長兼CEOは、「持続可能性は、米国の綿花農家個人の問題」といいます。そして次のように語っています。「彼らは、彼らの世代のためだけでなく、次の世代に引き継ぐつもりで農業をしています。土地が現在よりもっと多く投入されることはありません。増え続ける需要を満たすには、テクノロジーが不可欠で、資源を節約する必要があるのです。」と語っています。
 
 2020年、コットンインコーポーレイテッドが実施した「コットンライフスタイルモニター」調査によると、消費者の10人に8人近く(77%)が一番好きな素材はコットンと回答、また81%の消費者がコットンの衣料品が最もサステナブルであると答えています。さらに、約半数の消費者(45%)が、より持続可能性の高い、あるいは環境に優しい衣料品を提供するブランドの衣料品をより愛用するといい、この数字はミレニアル世代では55%に跳ね上がっているといいます。
 またブランドや小売業者からは、消費者の少なくとも5人に2人が、下着(48%)、Tシャツ(45%)、カジュアルウェア(42%)、デニム・ジーンズ(42%)に、少し高めの価格を支払っても合繊よりコットンが好ましいと答えているそうです。
 
 コットンは、このように環境に優しい素材です。その繊維がセルロースでできているからです。「アースデイ2020」が掲げるカーボンニュートラルに貢献するのはコットンであることを、改めてお伝えして締めくくります。

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