映画・テレビ

2019年6月 2日 (日)

映画「マックイーン モードの反逆児」を見て

 先日やっと暇をみつけて、アレキサンダー・マックイーンのドキュメンタリー映画「マックイーン モードの反逆児」を見てきました。ロードショーはもう終盤で、館内はほぼ満席でした。
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 実は私はアレキサンダー・マックイーンのランウェイを見たことがありませんでした。この映画で、彼のショーがいかにドラマティックな物語に満ちたスペクタクルなものだったかを得心しました。彼は偉大なショーマンでもあったのですね。2台のロボットがスプレーで人形のようなモデルの白いドレスに色を吹き付けていくパフォーマンスや、幻想的なケイト・モスのホログラム投影、モデルによるチェスゲーム、セントマーティン卒業以来ずっと支援してくれたイザベル・ブロウへのオマージュ、プラトンのアトランティス---と、まるで夢でもみているような印象的な場面が続々。会場の熱狂ぶりはいかばかりだったでしょう。
1_8  それにしてもこれほどまでに惹きつけられてしまうとは! そこには華麗なモードの裏に人間の暗い影の部分、死や暗黒の世界が横たわっているのを感じるからなのかもしれません。彼のデザインの原点は中世衣装にあるとよく言われます。そういえば“スカル”のモチーフを流行らせたのも彼でした。 
 サヴィルロー仕込みのテイラーリングの技術と、クチュールメゾンの職人技で、プレタポルテでありながらオートクチュールのような作品を送り出したアレキサンダー・マックイーン。商業主義に流されず、常に反骨精神をもって、この世にないものを生み出そうとした、衣服の「彫刻家」でした。
 映画では、天才ならではの苦悩がにじみ出ているようで、胸が傷みました。ファッションとは何か、クリエイションすることの意味を突き詰めようと最後までもがき続けていた姿が描き出されていました。40歳の若さで自死を選んだのは、このためだったのでしょうか。それは母の葬儀の前日でした。
 私たちもファッションについて改めて問い直してみる必要がありそうです。

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2019年1月20日 (日)

映画『ボヘミアン・ラプソディ』に興奮冷めやらず!

 映画『ボヘミアン・ラプソディ』、公開からずいぶん日が経ってしまったのにまだやっていました。先日ようやく時間を見つけて映画館に行ってきました。
 これは70年代から80年代にかけて絶大な人気を集めた英国のロックバンド、クイーンのヴォーカリスト、フレディ・マーキュリーの伝記映画です。
175831_2  フレディが様々な困難に直面しながらも、全身全霊で音楽に捧げる様子をテンポよく映し出していきます。日本との繋がりも深いようで、ドレッシングガウンにキモノを愛用していたフレディの姿が印象的です。クイーンから離れてソロになったフレディでしたが、メンバーは家族だった、と気づいて戻る場面も見ていてよかった、和みました。終盤の“ライヴ・エイド”はもう感動の嵐で、胸がいっぱいになりました。思わず涙腺が緩んだりして---。上映時間が2時間半で何て長いの、と思っていたのですが、ほんとうに早く過ぎて、もっと見ていたいといった感じでした。
 それにしても映画館はさすがの大画面です。久しぶりだったせいか、すごい迫力でした。フレディを演じたラミ・マレック、それに他のメンバーもそうなのですが、もうそっくりで、魂がのりうつっているかのように思えました。ゴールデングローブ賞で作品賞、ラミ・マレックが主演男優賞を受賞したというのもうなずけます。

 見終わって、今もクイーンの楽曲が耳の奥から離れません。かつて私もカセットテープに録音するなどしていたのです。改めて懐かしさがこみあげてきて、未だに興奮冷めやず!といったところです。

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2018年6月23日 (土)

映画「ファブリックの女王」 マリメッコ創業者波乱の人生

 マリメッコに関するミニレクチャー&「ファブリックの女王」上映会が、去る5月末に開催されたワールドインテリアウィーク2018で、東京デザインハブにて行われました。
 マリメッコといえば、フィンランドを代表するファッションブランドです。このブログ2017.1.5付けでも展覧会の記事を掲載しています。映画「ファブリックの女王」も話題となりました。このブームは北欧人気も相まって現在も続いているようです。今年2月末まで竹中工務店東京本店にあるギャラリーエークワッドでは「マリメッコの暮らしぶり」展も開催されていました。
Img_07671  上映会では、このギャラリーの副館長 主任学芸員の岡部三知代さんによる、マリメッコ創業者のアルミ・ラティアやそのスピリットに関するミニレクチャーがありました。

 映画は期待していた通りの伝記的なドラマでしたが、アルミの苦悩ぶりが半端でなく暗くて重かった! 予告編にはなかった、見ていてつらくなるような場面が多かったです。それもそのはず、創業した頃は戦後間もない時代で、国土は荒廃し、生活は困窮を極めていたのです。そうした状況をデザインの力で変えようとしたアルミです。女一人で起業して生きていこうとすれば、強くたくましく、ときに破天荒にもならざるを得なかったのでしょう。鮮烈な彩りのファブリックの世界とはあまりにもかけ離れた波乱の人生模様に、すっかり気圧されました。

 とはいえフィンランドは2017年世界男女格差ランキングで第3位です。これも彼女のような女性パワーあってのことと思われます。ちなみに日本は114位と底辺に沈んでいます。また今年3月に国連が発表した世界幸福度ランキングでは、フィンランドは何と堂々の1位になりました。幸せと思っていた日本ですが、ランクを落として54位です。
 この差は何なのでしょう。背景に、のびのびと自由な環境があるかないか、そうした精神性によるのかもしれないと今思っています。フィンランドには、日々の暮らしに喜びを振りまいてくれるマリメッコのようなスピリットが、きっと息づいているのですね。
 映画を鑑賞して、その力強いユニークな「色と柄」、時代を感じさせない「タイムレス」なスタイルが何故生まれたのか、改めて考えさせられました。

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2018年1月27日 (土)

映画ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男

 このほど公開されたドキュメンタリー映画「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」を見てきました。 ライナー・ホルツェマー監督がドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)に1年間密着してつくりあげたという2016年制作の作品です。

Photo_2 ドリス・ヴァン・ノッテンは、パリコレで繊細な美的感覚で知られるベルギー出身のクリエイターです。2014年にパリ装飾美術館で大回顧展(このブログ2014.9.28付け参照)が開催されて、その百花繚乱ぶりに圧倒されたことが思い出されました。

 映画の冒頭、「ファッションは嫌い。半年も持たずに消えてしまうものは好きではない」の言葉が何とも印象的でした。トレンドに左右されない、時代を超えて長く着られるものをつくり続けていく、との姿勢に好感しました。
 ラグジュアリーブランドとしては数少ない独立派で、広告は一切しない、自由にクリエーションするためにスポンサーも要らない。またアクセサリーや小物ではなく服のデザインそのもので勝負している稀有なブランドでもあります。
 それなのに常に第一線で創作活動を続けて25年にもなるのです。大切なのはやはりよきパートナーやたくさんのスタッフたちの存在なのですね。彼らに囲まれて、生き生きと楽しそうに仕事しているシーンが何度も映し出されていました。

 めったにカメラの入らない、ドリスのアントワープの邸宅、それに花々に囲まれた庭園も紹介されて、あまりの美しさにうっとり!です。ガーデニングもお好きのようです。
 ファブリックは自らデザインして世界中に特注し、インドには刺繍工房も持っています。まさにタイトル通り、「ファブリックと花を愛する男」ですね。
 でも普段のドリスは、意外にもストイックと思いました。華やかなショーの舞台裏やアトリエでは、何の変哲もない白いシャツやセーター姿で、まじめそのものといった雰囲気です。あのスティーブ・ジョブズを連想したりしました。

 なかなか目にできない才能あるクリエイターの生き様を伝える力作でした。

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2016年6月16日 (木)

「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅」 衣装初公開

 映画衣装というとディズニー映画のファンタジックな衣装が楽しいですね。
Img_70011jpg_2  今、銀座三越で映画「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅」公開(7月1日から)を記念する、人気キャラクターの衣装展が催されています。

 この映画はティム・バートン監督作品「アリス・イン・ワンダーランド」の続編で、豪華キャストたちが再共演しているといいます。衣装デザインを担当したのは、本作も前作同様、コリーン・アトウッドで、前作では第83回アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞しました。
 その装飾美あふれる個性的な衣装は、映画の芸術性をより一層高めているようです。
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Img_69921  アリス役は前作からさらに成長したミア・ワシコウスカで、衣装は華麗な中国風ドレスです。

 解説によると、中国文化を表現するために、テキスタイル部門のスタッフが手作業でシルク地に刺繍を施したとか。ビンテージ調の見事な仕上がりが印象的です。


Img_70001  ジョニー・デップ演じるマッドハンターの衣装は、やはり帽子がポイントのようです。
 ヴィクトリアン調の帽子でサイズをより大きくして、キャラクター性をより強調したといいます。
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 赤の女王も前作と一緒でヘレナ・ボナム=カーター、衣装も同じ天然の赤ぶどうで染めたものとか。

 ちょっとの間でしたけれど、タイムトリップした気分を味わってきました。

 開催は28日までで、22日からは伊勢丹新宿店と名古屋のイセタンハウスでも開催されるそうです。

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2016年4月21日 (木)

日本科学未来館 「9次元からきた男」に見る宇宙の始まり

 日本科学未来館が、この4月20日、リニューアルオープンしました。
9dimensions_20160_204_2  これを記念する3Dドームシアターガイア最新作映像「9次元からきた男」の試写会と、映画を科学監修された素粒子論の権威、カリフォルニア工科大学教授・理論物理学研究所所長の大栗博司氏のレクチャーに先月末、行ってきました。

 映画「9次元からきた男」は本当に衝撃的でした。3Dドームというのは初めての体験で、真に迫る大迫力とはこういうのをいうのでしょう。すべてが超リアル、まるで目の前で起こっていることのように思われました。映像は美しく、天空にきらめく星々が忘れられません。
 それにしても「9次元」とは不可思議です。副題となっている「すべては“ひも”で出来ている」とはどういうことでしょう。見る前は謎だらけでしたが、見終わってなんとなくわかった感じになりました。

Img_54151  この映画は物理学の究極の目標である「万物の理論」がテーマになっています。「万物の理論」とは自然界の法則、すなわち「宇宙はどのようにして始まったのか、宇宙はどのようにできているのか」を解明することです。この理論の一つが大栗先生の「超弦理論」で、映画はこの仮説を元に、ホラー映画界の第一人者、清水崇監督が1年がかりでつくられました。まさに力作です。

 大栗先生は「9次元から来た男とは何者か」がテーマに、「超弦理論」をわかりやすく解説してくれました。宇宙誕生のワクワクするようなお話があり、世界はミクロとマクロの二つの矛盾する法則であらわされているといいます。「超弦理論」はこの二つ、マクロな重力の法則とミクロな素粒子の法則を結びつける究極の統一理論で、これを可視化したのが「9次元から来た男」です。今、私たちは3次元の空間を体験していますけれど、超弦理論では空間は9次元とされていて、物質の基本単位は点ではなく“ひも”であるといいます。この辺からチンプンカンプンになってきます。

 映画では、「9次元から来た男」は「T.o.E.(トーエ)」という名前で表現されています。ストーリーは、科学者たちがこの「T.o.E.(トーエ)」を探す旅物語です。彼を追いかけるうちに、観客も科学者と一緒に、素粒子の世界や宇宙の始まりへ旅をします。9次元まで、次元が折りたたまれていく映像もおもしろかったです。

 難解でしたが、理論物理学者が見ている究極の景色を体験し、宇宙の謎にますます興味を持ちました。楽しい夢が広がります。どうぞ日本科学未来館のドームシアターガイアに足を運んでみてはいかがでしょう。

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2015年11月12日 (木)

映画 「ザ・トゥルー・コスト〜ファストファッション真の代償」

Tcposter  先日、映画「ザ・トゥルー・コスト〜ファストファッション真の代償」の試写会がエシカル協会主催で行われました。想像していた以上の衝撃的な内容で、見終わった後、重い気持ちになりました。

 映画は、華やかなファッション業界の裏側で起こっている生産現場の現状を次々と暴き出します。中でも悲劇的なのが、2013年4月に起きたバングラデシュ・ダッカの縫製工場「ラナ・プラザ」の倒壊事故です。このときはニュース映像が何度も流れましたから、見知ってはいましたけれど、何と1100人を超える死者を出しました。なお本作はこの事故をきっかけにアンドリュー・モーガン監督がメガホンを撮ったといいます。
 労働者たちは、危険とわかっている工場でも、低賃金で働かざるを得なかったのですね。そうしないと暴力を振るわれ、仕事を奪われる、その悲惨な姿も映し出されました。 
 ファストファッション企業は、その国の法律に基づき正規に生産しているといいます。しかし実情はやはり違っているようです。低価格へのしわ寄せは、相変わらず貧しい労働者たちに及んでいるのです。こうした労働者の血の代償で成り立つファッションシステムは、やはり異常と言わざるをえません。
 この他、映画には環境活動家やオーガニックコットンの栽培農家も登場します。モンサントの利益至上主義も痛烈な非難の対象でした。その不条理を改めて考えさせられました。
 また環境汚染を引き起こす産業は、第一に石油産業、次いで衣服産業であるという指摘も胸にグサッと突き刺さって、未だに離れません。

 ファッション業界の闇にスポットを当てたこの記録映画、一見の価値ある作品と思います。多くの方に見ていたただきたいですね。
 14日から渋谷アップリンクにて公開されます。

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2015年7月 3日 (金)

映画「アドバンスト・スタイル―そのファッションが人生」

11401468_972130969504299_4413629541  この4月公開の表題の映画を、先日ようやく見てきました。ブログAdvanced Styleが話題となり、写真集が出版され、写真展(このブログ2015.2.26)も開催されましたから、既におなじみの方も多いことでしょう。

 映画は、写真家アリ・セス・コーエンが、2008年から4年にわたり、62歳から95歳のニューヨーカー、女性7人に密着取材したドキュメンタリーです。この7人の超個性的なファッションや人生観は、私たち日本人にも、大いに共感させられるものがあると思いました。

 実は、私はこの映画を見る前、「アメリカ人シニアは過剰に派手好き」という偏見を持っていました。今話題のベストセラー本、「フランス人は10着しか服を持たない」を読んで、フランス人のマダム・シックの生き方に共鳴していたからです。といってもこの10着はシャツなどの組み合わせ服で、コートやジャケットやドレスは含まれていません。タイトルが誇張し過ぎで、だまされたといった感じでしたが---。良いものを長く着る精神は、見習いたいものです。
 この映画の中の女性たちも、マダム・シックのように、シャネルのバッグをいつまでも大切に愛用していたり、自分で古着をリメイクしていたりします。7人それぞれがその人らしい、独創的な装いを楽しんでいるのです。
 80歳になるジョイス・カルパティの気品のある着こなしにも魅せられます。「若く見えることよりは魅力的に見えたいの」という彼女の言葉が、心に響きました。 
 また赤く染めた自分の髪の毛を切って、つけまつげをつくってしまう、93歳のイロナ・ロイス・スミスキンにもびっくり!です。彼女は、「今のファッションは何でもアリ。昔は固定観念があって、何がエレガントか、何が下品か明確だった。でもこの歳になると本人がよければいいと思う。おしゃれは自分のためだもの」と語っています。これはまさに名言です。着ることは生きることそのものなのですから。こんなふうにいつまでも自由でありたいものですね。
 カメラは、さらに最高齢95歳のゼルダ・カプランを追いかけます。アフリカで見つけたという布で仕立てた服を誇らしげに着ていましたが、ファッションショーを見ている最中に帰らぬ人となってしまいます。ドラマティックな最期でした。
 死と隣り合わせであればこそ、彼女たちにとって、おしゃれが生きるエネルギー源になっていることがわかります。

 とてもあんな風には装えませんけれど、刺激的でした。見終わって、元気をもらった感じがしました。館内には、お年寄りに交じって若い女性や、また男性の姿もちらほら。きっと同じ感想を持たれたのではないでしょうか。久しぶりにいい気分で映画館を後にしました。

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2015年1月 5日 (月)

映画「ビル・カニンガム&ニューヨーク」を見て

Main_large  このお正月休みに、ビル・カニンガムのドキュメンタリー映画「ビル・カニンガム&ニューヨーク」をビデオで見ました。日本でこの映画が公開されたのは2013年春です。そのときぜひ見たいと思っていましたのに、忙しさに紛れてずっと見逃していました。

 ビル・カニンガムはニューヨーク在住の名物ファッション・フォトグラファーです。1929年生まれといいますから、今年で御年86歳になられますけれど、ニューヨーク・タイムズ紙でファッションコラムを担当されている、バリバリの現役です。
 私はいつも、同紙WEBサイドの彼の動画「オン・ザ・ストリート」で、トレンドチェックしています。彼はストリートファッション観察の元祖で、えっ!と驚く奇抜なスタイルを紹介しているので、見ていて楽しいです。
 現在、掲載されているのは、昨年ニューヨークのメトロポリタンミュージアムで開催された「チャールズ・ジェームス」展に因んだデビュッタントドレスです。従来のダウンタウンからアップタウン志向に、ファッションイメージが変化していて、若い人たちがチャールズ・ジェームスのようなハイソなドレスに目を向け始めていることがわかります。

 この映画で、本当にすてき!と思ったのが、ビルの屈託のない笑顔でした。仕事が好きで楽しくてたまらないといった感じなのです。
 その清貧?な生活ぶりにも驚かされます。車には乗らずいつも自転車で、青い上っ張り姿です。雨用ポンチョが破ければテープを貼り、「ニューヨークっ子はものを粗末にする」とつぶやきます。「コーヒーは3ドルでいい」と言い、パーティに招かれても食事には手を付けずにカメラ一筋です。カーネギー・ホール上階の小さなスチュジオに一人住まいし、部屋はフィルムが詰まったキャビネットでいっぱい、バストイレは共同というのにもびっくりします。

 アメリカン・ヴォーグ誌編集長のアナ・ウィンターは、19〜20歳頃からビルに写真を撮ってもらうのが楽しくて、今も「ビルのために毎日、服を着る」と言います。80歳を越えてなお現役のスーパーモデル、カルメン・デロリフィチェも、水たまりを飛び越える写真を撮られて、「ピルの方が楽だしアヴェドンより自然だった」と語り、ファッション・アイコン、アイリス・アプフェルは「会うたびに写真を撮られたわ」と自慢するように話します。ビルは「クッキー型のようなファッションはつまらない」と、着飾った女性を街で探しては撮りにいきますが、女優カトリーヌ・ドヌーヴにパパラッチが群がるのを見て、「撮るかどうかは、ファッション次第」と言ってのけます。
 そして自分は写真家ではない、街で撮ったものを記録しているだけとあくまでも謙虚。「自由が大事」とノーギャラでやる、というのも驚きです。

 彼の語録で印象深いのが、最初に出てくる「最高のファッションショーは、ストリートにある」と「ファッションというのは、現実を生き抜くための鎧である。手放せば文明を捨てたも同然だ」というところでしょう。
 今やファッションはストリートから始まります。その先導者の言葉だけに、重みがあります。

 それにしても、「好きなワーク」もとことん追い求めていくと、彼のような清廉な哲学者のような人物になるのですね。

 映画制作に彼は乗り気ではなく、交渉に2年、10年がかりで完成したとか。2010年に初公開されますが、ニューヨークのたった1館だけだったそうです。それが口コミで世界中に広がっていきました。

 ファッション業界人でなくても、なかなか楽しめる名画ではと思います。

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2014年8月27日 (水)

ディズニー・アニメ「アナと雪の女王」を見て

 昨日のニュースで、アニメ映画「アナと雪の女王」の国内上映の観客動員数が2000万人を超えたと伝えていました。この大台突破は、13年ぶりで、興行収入も国内歴代2位の「タイタニック」に迫っているとか。

 私も字幕版と、松たか子が謳う「Let It Go ありのままに---」を聞きたくて日本語吹き替え版と、両方を見ました。ミュージカル仕立てで、音楽もよかったですが、ストーリーに惹かれました。よくある童話のお姫様と王子様の物語ではなく、自身の力で困難を切り抜ける二人の姉妹の物語でした。最後はてっきり氷になったアナが、山男クリストフのキスで救われるのかと思っていましたが、そうではなくて自己を顧みない強い姉妹愛だったという、予想外の展開です。女性受けすること間違いなしでしょう。とくに日本の女性たちには、痛快に感じられたのではないでしょうか。
 これまでの常識を破る女性の活躍が盛り込まれた作品ですね。さすがディズニー、新しい時代感覚をうまくとらえているなと思いました。

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