日記・コラム・つぶやき

2018年6月20日 (水)

「触感をデザインする」ハプティックデザイン体験の衝撃!

 ITの進化でタッチ・ディスプレイをなぞると画像の質感を感じることができる技術の開発が話題になったことがありました。そのときは匂いも伝えられるというので、「えっ!そんなことできるの?」と夢物語のように思っていました。
Img_06461jpg  でもいよいよこれが実現しようとしています。それが「HAPTIC DESIGN(ハプティックデザイン)」です。ハプティックとは、手で触っている感覚を生み出すテクノロジーで、携帯電話が振動するのもその一つといいます。
 先般、開催された「日経ものづくり技術2018」で、“触覚”に基づく新たなデザイン領域を研究されている慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科(KMD) 准教授 南澤孝太氏による特別講演が行われました。題して「触感をデザインする~質感、実感、情感を生み出すHAPTIC DESIGN」です。
 バーチャルリアリティ(VR)が広がりを見せるなか、バーチャルな画像の質感、実感、そして情感までもがリアルに感じ取れるようになるとは、何という驚異でしょう。触覚を伝えるセンサーの働きで、そのものの重さや硬さ、温度、つるつるとかザラザラといった表面感、引っ張ったときの感覚など、様々な触感が再現できるようになるといいます。衣服の着心地や、フワフワ、サラサラ、カサカサなど生地の触感もデジタル化され、記録されて検索も可能になってくるとも。
 またしびれなどで皮膚感覚を失う病気がありますが、その治療にも使えるといいます。

 実演もあり、私も紙コップのデモに参加しました。水をコップに注ぐと、持っていた空のコップが重くなり、水が撥ねて動く感じがあってびっくり! まさに衝撃的な体験でした。

 南澤先生は、これを「補触器」と述べています。眼鏡は人間の視力を拡張します。補聴器は聴覚を拡張します。触覚も同様で、触感覚を拡張・増強させることができるというのです。
 そうなれば加齢によって鈍って来る皮膚感覚の回復や、熟練者の技術伝承にも役立ちます。私たちの日常生活もより楽しいものになってくるに違いありません。

 最後にEmbodied Media (身体性メディア)への取り組みについても語られました。これは身体を通して得る様々な経験を、記録・共有・拡張・創造するような未来のメディアテクノロジーといいます。触覚の本質的な価値は「さわり心地」だけではなく、身体を通じて得られる様々な経験にあることに気付いて、研究を始められたとか。
 ほんとうにすばらしい、画期的な研究です。久しぶりに人間の未来を思い、胸が熱くなりました。

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2018年5月28日 (月)

桑沢賞表彰 桑沢特別賞にコルクルームの安達市三社長

 今年度の桑沢賞の桑沢特別賞にコルクルーム代表取締役の安達市三氏が選ばれ、この19日、表彰式&パーティが、東京・原宿で催されました。
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Img_06961_2  桑沢賞は桑沢デザイン研究所の同窓会により毎年デザインの発展に大きく貢献したクリエーターに贈られる賞です。
 授賞後、安達さんは「作品というより人脈という宝ものに贈られた賞」と感謝の言葉を述べられました。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」が頭に浮かんできて、尊敬の念を新たにしました。
 表彰式は司会からしてユニークで楽しかったです。ユーモアたっぷり、温かいム―ドいっぱい!の演出で、さすがデザイナーやクリエーターを輩出している学校という感じでした。

 実は、安達さんももう傘寿で、この2日前に祝賀パーティが催されたばかりでした。楽しいお祝いが続いて、私にとってもまたしても忘れられないひと時となりました。ありがとうございます。そして安達社長、ほんとうにおめでとうございます!

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2018年5月15日 (火)

「ファッションに見るダイバーシティ」寄稿

 このところよく聞かれるのがダイバーシティ=多様性です。この社会思潮が、大きな渦となってファッションにも押し寄せていることから、一般財団法人日本綿業振興会発行の機関紙「COTTON PROMOTION コットンプロモーション」(2018年春号)のコラム「マーケティング・アイ」に寄稿しました。
 本紙と併せてご覧下さい。
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2018年5月12日 (土)

コットンの日⑵ サステナビリティと革新の取り組み

 (昨日のブログの続きです)
 5月10日の「コットンの日」のイベントでは、アメリカ綿のサステナビリティ(持続可能性)とイノベーション(革新)への取り組みが改めて紹介されたことが印象的でした。

 本イベントのため来日されたのは国際綿花評議会(CCI) 会長のテッド・シュナイダー(Ted Schneider)氏と、CCIワシントンDCディレクターのヴォーン・ジョーダン(Vaughn Jordan)氏、中国・北東アジア担当理事のカリン・マルムストロム(Karin Malmstrom)氏の3氏です。それぞれの立場からプレゼンテーションされました。

 アメリカ綿は全体に生産量が増加しています。その理由は、綿花価格が一時に比べて上昇し、栽培農家の生産意欲が高まっていることと、品種改良による単位面積当たりの収穫が向上したことがあるようです。

 とくに興味深かったのが、テッド・シュナイダー会長のお話です。アメリカ綿のサステナブルな栽培や経営について次のように語られています。
 アメリカ綿を生産している農家は18,000軒を超え、97%強が家族経営であるそう。ご自身もルイジアナ州からアーカンソー州に広がる3,600エーカーの農場所有者で畑仕事にも精を出されているといいます。何世代にもわたり、家族で耕作してきた綿畑は、息子や娘、孫たちに代々受け継がれるべき唯一最大の資産であるといい、1_3いち早くサステナビリティにも取組んでこられたそうです。

   その成果は、右の画像の通り、過去35年間の環境負荷削減データから明らかです。(COTTON USAのHPもご参照ください)

 昨年8月には、2025年に向けてサステナビリティに関する計測可能な数値目標も設定されました。このことも重要なポイントで、このような数値目標を示した国はアメリカだけと強調します。
 COTTON USAはこうした厳格な規制システムの下、生産されているのです。

 これら規定を遵守するために、不可欠なのが精密農業であるといいます。精密農業とは、コンピューターによるハイテク測定システムを使った画期的なテクノロジーで、水と化学薬品の使用を減らしながら、農作物の収量及び品質の向上を図る農業管理手法です。2015年の調査では全米綿作農家の70%が何らかの形で導入していると答えたそうで、現在はもっと増えているといいます。
 同氏の畑も、無人飛行機技術により畑をマッピングし、水の散布が必要な場所を特定したり、植物保護製品(農薬)の使用を無駄のない適切な量で調整したりして、土壌を守っているとのことでした。

 ヴォーン・ジョーダン氏は、アメリカの綿花輸出について解説しました。アメリカはいうまでもなく生産の9割を輸出している世界最大の綿花輸出国です。その5大輸出先はベトナム、中国、トルコ、インドネシア、パキスタンで、世界中の国々とパートナーシップを維持しているといいます。
 アメリカ綿はサステナブルであることはもちろんのこと、繊維長が長く強力があり、あらゆるグレードで高品質、品質が一貫して安定しています。ですから最近話題の中国との通商問題について、それほど深刻とはとらえていないようです。とはいえアメリカ政府に対して中国の重要性への理解を促しているそうで、早い解決を願っていると述べました。

 カリン・マルムストロム氏は、CCIが昨年立ち上げた「WHAT’S NEW IN COTTON」(コットンの新機能)をファッションショーとともに紹介しました。
Img_03521  上はこのショーのフィナーレです。

 イノベーションというと、とかく化学繊維に偏りがちです。これは天然繊維のコットンも革新的な高機能素材であることを訴求するプロジェクトです。スポーツやアウターなど、様々な分野でコットンを活用していただく、そのためのインスピレーション源になればと、提案しているといいます。
 なおこのプロジェクトについては、このブログのプルミエールヴィジョン・パリに関する記事の中で、2017.9.23付け2018.2.26付けに掲載しています。出展各社の機能素材も一部取材していますので、併せてご覧ください。

 綿俵のすべてに追跡タグが付けられ、DNAレベルでのトレーサビリティ(追跡可能)が可能となるなど、今やコットンも進化しています。来期のPVパリでは、新たに6社が出展するとか。日本のメーカーの参加が期待されます。

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2018年5月11日 (金)

コットンの日⑴ COTTON USAアワードに広瀬アリスさん

 昨日、5月10日はコットンの日でした。国際綿花評議会(Cotton Council International以下、CCI)は、ウェスティンホテル東京で第15回目となる「COTTON USAアワード2018」授賞式を開催しました。
 今回、受賞したのは女優の広瀬アリスさんです。コットンのように優しい爽やかなイメージや、多彩な役に挑戦する姿勢が、革新を続けるCOTTON USAにふさわしいとして選ばれました。

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 上はCCI会長のテッド・シュナイダー氏からトロフィーを贈られた広瀬さん。綿100%の華やかなピンクのロングドレス姿で登場しました。
「芸能界に入って10年でこのような賞は初めて。コットン製品は肌触りがよいので、タオルなど、日頃から使っています」と美しい笑顔で喜びを語りました。

 このアワードに先立ち、もう一つ授賞式が行われました。Twin2018granそれは恒例の「Tシャツ・プリント・デザイン・コンテスト2018」のグランプリ発表・表彰式です。
 授与されたのは、大阪府のグラフィック・デザイナー杉本裕一さんで、「少しでも業界に貢献できたらうれしい」とコメントしました。
 作品は、テーマの「コットンとサステナビリティ」の頭文字と編み物記号を綿花の小枝の縦長ラインにバランスよく組み合わせたものです。審査会には私も参加し、そのすっきりとしたシンプルなデザインに好感させられました。
 このモチーフは、今回もTシャツにプリントされて当日の出席者などにプレゼントされました。

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2018年3月20日 (火)

パリ「針の祭典」 特別展「白」で達人技に魅了!

 先月2月初旬パリを訪れ、週末に開催されていたヨーロッパ最大の国際手芸見本市「レギュイユ・オン・フェット(l’Aiguille en Fete)」に行ってきました。これは日本では“針の祭典”として知られています。デモンストレーションもあり、一般の方も入場できる楽しい展示会です。
 中でも興味深いのが特別展で、毎年テーマを変えて展示されます。今年のテーマは「白」でした。爽やかな白いアート作品が並ぶなか、とくに目を引かれたのが日本人アーティストお二人のコーナーでした。ともにすばらしい達人技で来場者を魅了していました。

 一人は中山久美子ジェラルツさん。世界的に有名な「ブティ(boutis)」作家です。
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Img_70951jpg ミッチ・渡辺雪三郎で、オートクチュール、プレタポルテの企画に携わり、渡仏されて28年になられるとか。現在もデザイン活動を続ける一方、南仏プロヴァンス地方に伝わる伝統的なキルト、「ブティ」を研究し作品を制作、発表されています。 

Img_70921  「布の彫刻」とも呼ばれるブティ。その凹凸の陰影が美しくすっかり魅せられました。
 つくり方は、2枚の薄い布を重ねてステッチをかけ、裏からコットンヤーンを2枚の布の間に詰めていきます。コットンヤーンの詰まっている部分と詰まっていない部分ができることで、立体的な模様が生み出されます。

 その繊細な技法に、只々感嘆させられました。

 もう一人は昨年このブログ(2017.2.12付け)でご紹介した横山由紀子さんです。「よろけ織」作家で染織工房「夢織りびと」を主宰されています。
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Img_71301  今回は白を採り入れた新作を展示されていました。白を用いることで柄構成の大胆さが引き立てられ、よりモダンな作品に仕上がっているようでした。

 昨年逝去された吉岡(旧姓石井)洋子さんは、横山由紀子さんのお弟子だったことがわかり、不思議なご縁に感謝しました。吉岡さんのことは、このブログ2017.6.22付けで、「書・石井明子 織・故吉岡洋子 姉妹展」の記事で紹介しています。
 彼女を偲び謹んで、合掌。

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2018年3月18日 (日)

シネマ夢倶楽部表彰 ベストシネマ賞1位に大林宣彦監督

 日本ファッション協会が行っている顕彰事業、「日本クリエイション大賞」と「シネマ夢倶楽部表彰」の合同表彰式がこの5日、帝国ホテル東京で開催されました。今年は400名を超える参加者があったとのことで、盛会でした。

 各賞が授与されるなか、もっとも感銘したのは、やはりこの人、大林宣彦監督です。Img_83761 映画「花筐/HANAGATAMI」でメガホンをとり、ベストシネマ賞第1位に選ばれました。
 「映画はハッピーエンドをつくれる。嘘でもいいから平和を信じて、映画でハッピーエンドを願えば、ほんとうにそうなれる」などと、魂を振り絞るように語られたお姿が印象的でした。
 監督は今年で御年80歳になられるそうです。肺がんで余命3ヶ月と言われながらも、本作に挑まれ完成させた、その精神力にも驚嘆させられました。

 日本クリエイション大賞では、大賞の超小型衛星を開発したアクセルスペースの他、とくにすばらしいと感じ入ったのが、日本の巧みな技(わざ)賞を受賞した高知県日高村の「ひだか和紙」です。何でも2013年に厚さ0.02mm、1.6g/㎡の世界一薄い機械漉き和紙の開発に成功したとのこと。この極限まで薄い、しかも塩素を使用しない和紙は、文化財の修復に欠かせないものだそうです。今やルーブルや大英博物館など、世界中で引っ張りだこなのだとか。
 その実物をお土産にいただきました。まさに手のひらが透ける、超のつく繊細さです。改めて日本の技術力に感動しました。

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2018年3月15日 (木)

東京ファッション専門学校生 夢紡ぐファッションショー

 先月半ば、東京ファッション専門学校の学生によるファッションショーが、東京・銀座松屋で開催されました。
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 同校のファッションデザイン科1年生と2年生、きものファッション科2年生による力作が披露され、コレクションのレベルの高さと、モデル役をこなした学生たちの堂々としたウォーキングぶりにびっくり!
 テーマは「CLOTHO (クロト)」です。これはギリシア神話に出てくる運命の三女神の一神で、「紡ぐ女」を意味する女神です。その糸車から生命の糸を紡ぎ出すといいます。
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 クロトが糸を紡ぐように、ひとり一人夢を紡いで羽ばたいていって欲しい----。私も応援しています。
 

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2018年3月12日 (月)

コットン・ファッション・セミナー開催のお知らせ

 今シーズンもまた、コットン・ファッション・セミナーを下記の通り開催いたします。
 皆様のご参加をお待ちしています。

 なお、一般財団法人日本綿業振興会のHP内、「イベント」ページで、「コットン・ファッション・セミナー開催」の記事が掲載されています。http://cotton.or.jp/seminar.htmlをクリックしてご覧ください。

                   記

テーマ:「2019春夏~2019/20秋冬コットン・ファッションと素材の傾向」
講 師:柳原美紗子(ファッション・ディレクター)

日程および申し込み先
■ 大阪 4月10日(火) 2:00P.M~4:00P.M. 大織健保会館8階
  主催/協同組合 関西ファッション連合 
  申し込み先/電話06-6228-6525

■ 東京 4月12日(木) 1:30P.M~3:30P.M.  東京ウイメンズプラザホール
  共催/東京織物卸商業組合、一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会
  申し込み先/一般財団法人日本綿業振興会 電話06-6231-2665

* 大阪と東京の各セミナーは主催団体が異なります。お申込み・お問合せは、必ず直接それぞれの団体にお願いします。

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2018年2月22日 (木)

COTTON PROMOTIONコラム掲載                        「クロスオーバーデザインの新潮流」

 一般財団法人日本綿業振興会発行の機関紙「COTTON PROMOTION(コットン・プロモーション)」2018冬号534号のコラム、マーケティング・アイに、柳原美紗子の「クロスオーバーデザインの新潮流」記事が掲載されました。ご参照ください。
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