文化・芸術

2017年3月24日 (金)

「これぞ暁斎!世界が認めたその画力」展 

 「これぞ暁斎!世界が認めたその画力」展が4月16日まで、東京・渋谷 Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されています。
Img_67121  昨日、この内覧会があり、参加しました。
 暁斎は、幕末から明治期の天才絵師、河鍋暁斎(かわなべ きょうさい 1831-1889)です。動物や妖怪のユーモラスな姿を描く浮世絵師と思っていましたが、仏画など幅広い画題で、しかも様々な画法を用いて描いていたことがわかりました。

 展示されているのは180点で、すべてイスラエル・ゴールドマン氏所蔵の作品だそうです。ロンドンの画商だった同氏は、浮世絵に相当思い入れが深かったようです。

 最初に登場するのが、蛙をモチーフにした愉快な作品です。(なお写真は、特別な許可を得て撮影しています。)
Img_67171
 小品ですがこの蛙の絵を、ゴールドマン氏は転売することなく、手元に大切に保管されていたといいます。

Img_67221jpg  次に鴉の絵です。闇夜の鴉など印象的な名作が集まっています。
 鴉を題材にした作品は、第2回内国勧業博覧会で日本画の最高賞を受賞したこともあり、暁斎がとくに好んだものだったといいます。何しろ数百枚もの鴉の絵が残されているそうです。

 動物の絵はたくさんあって、イソップ物語の挿絵もあり、見ていて楽しいです。

Img_67411  明治時代になり、西洋人や中国人のいる風俗画も見られます。当時の服飾の貴重な資料ですね。

 ラクダが描かれていたりするのも不思議です。

 ちらしやポスターに使われている「一休と地獄大夫」です。
Img_67461  
 右側の絵には、三味線を弾いている骸骨が描かれていて、ぎょっとしました。この故人は三味線好きだったのですね。あの世でもこうして三味線を弾いています。
 禅僧の一休にとって、生きている者も死んだ者も違いはないということを表現しているといいます。Img_67471

 その隣に置かれていたのが、シルクハットにスーツを着用した骸骨です。(写真左)
 やはり三味線を弾いている姿で描かれていて、これも大変面白い作品と思いました。

 大作のニ双の屏風絵「百鬼夜行」です。
Img_67491jpg
 鬼たちが行進している様子を描いたもので、一匹一匹が個性的です。思っていたほど怖くなかったです。

 この他にも見どころはたくさんあって、飽きさせません。私もたっぷり楽しませていただきました。
  公式HP http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_kyosai/

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月21日 (火)

「金子國義×コシノヒロコ EROS 2017」展

 今、KHギャラリー銀座で展覧会「金子國義×コシノヒロコ EROS 2017」が開かれています。テーマは何と「EROS」で、ちょっと衝撃でした。 

Img_59661 先日の16日、オープニングレセプションがあり、コシノヒロコさんが金子國義氏との思い出を語られました。この日は同氏の命日で、金子氏を「ネコ」の愛称で呼ぶコシノさんは、パーティをするなら命日にと決めていたのだそうです。 

   会場には、聖なるエロスの画家と評されたネコ氏の妖艶な絵とコシノさんが描く大人のエロスの絵が展示されています。

 ギャラリートークはネコ氏の本邦初公開という油彩画の横で行われました。
Img_59771
Img_59721jpg_2 「本人がセクシーではないので---」とおっしゃるコシノさん。ファッションデザイナーがこのような絵も描くのかと私もびっくりしましたが、「春画」展を見に行き、そのとき現代の春画を描こうと閃いたそうです。
 「天国にいるネコの絵をじっくり見て、偲んでください」と結ばれました。

 セッティングもイマジネーションを掻き立てるもので、ネコ氏が好きだったというインテリアを集めたコーナーがあったり、Img_59671挿絵を担当したジョルジュ・バタイユ作品に登場する娼婦エドアルドの部屋にインスパイアされたという「娼婦の部屋」が設えられていたりします。

 名画の裏に潜む妖しげな世界観に、ドキドキさせられる展覧会です。会期は5月7日までとなっています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月20日 (月)

特別展「江戸と北京-18世紀の都市と暮らし-」

 先日、江戸東京博物館で開催中の「江戸と北京-18世紀の都市と暮らし-」の内覧会が行われ、参加してきました。 
Img_58931g_2  江戸時代は鎖国していたとはいえ、中国交易は公認され、長崎を窓口にして文物の流れが滞ることはなかったのです。本展では江戸と北京の暮らしにスポットを当てて、様々な角度から当時の生活文化を比較しています。

 見どころはやはり、江戸と北京の街並みをそれぞれ描いた絵巻でしょう。(撮影には博物館より特別な許可をいただきました。)

Img_59071pg  一つは「熈代勝覧(きだいしょうらん)」(写真右)です。ベルリン国立アジア美術館から11年ぶりに里帰りしたという絵巻で、18世紀末の日本橋風景を描いています。行商人など1,700人もの人々が往来している図で、大通りをカメラで俯瞰するように活写していて、なかなか興味深かったです。

Img_59521  もう一つは「乾隆八旬万寿慶典図巻」(写真左)で、清朝最盛期の第6代皇帝、乾隆帝80歳の祝典パレードをカラフルな色彩で描いた絵巻です。
 故宮博物院からのもので、これは国外初公開だそうです。

 さらにもう一つ重要な絵巻「万寿盛典」も出品されています。康熙帝の60歳の誕生日を祝う書物だそうですが、色彩はなく、ちょっとわかりにくかったです。

 「商う」とか「育てる」、「遊ぶ」、「学ぶ」など、18世紀の江戸と北京の生活文化に係る展示が続く中、私がとくに関心を持って見たのは「装う」の展示でした。

Img_59261jpg  右は「染分麻地水辺風景鶴模様帷子」で、腰から下が水辺風景、上半身が飛翔する鶴を表しています。腰部分で色や模様を変える意匠は、18世紀前半によくみられる形式といいます。武家ではなく町人階層の女性所用の着物とみられているそうで、華やかな着姿が偲ばれました。

 上の着物とほぼ同時代の北京・首都博物館所蔵の婚礼服が下の写真です。
Img_59321  
 短い上着と裙子(スカート) で漢人女性のものと思われます。繊細な刺繍が美しいです。
 また満州族の女性が履いていたという盆底靴という10cmくらいのハイヒールも展示されていました。

 18世紀の江戸と北京、似ているところもありますけれど、違いも大きいと感じました。とくに色の好みは全く異なっていて、江戸のさっぱりとした粋な色に対して、北京は鮮やかな赤や青、緑、それに黄金色と華やかです。民族色といいますが、不思議です。

 最後にビデオコーナーで見た江戸城と北京の紫禁城の解説がすばらしかったこともお伝えしておきます。

 なお、こうした試みの展覧会は初めてとのこと。4月9日までの開催ですので、ご興味のある方はお急ぎください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月19日 (日)

エルメスの手しごと展 “アトリエがやってきた”

 今、「エルメスの手しごと展 “アトリエがやってきた”」が表参道ヒルズで開催されています。
 以前、東京国立博物館で見たエルメスの「レザー・フォーエバー」展(このブログ2014.12.18付け参照)が、素晴らしかったので期待しながら行ってきました。
Img_60281jpg  
 金曜日の夕方だったからかもしれませんが、もう、ものすごい人出でびっくり! しました。
 フランスのエルメスのアトリエから、職人たちがやって来て、伝統の技の数々を実演しているのですが、何重もの人の輪がとり囲んでいて、人の頭を見に行ったみたいでした。

 皮革職人とか靴職人、手袋職人、時計職人、クリスタル職人、 シルクスクリーン製版職人など、何人もの職人がその技術を披露しています。Img_60151その技に観客もチャレンジできるのです。参加型という、これまでにないスタイルで、何とも楽しい雰囲気でした。

 右は鞍職人です。

 

Img_60201jpg  宝石をジュエリーに固定する石留め職人の仕事は本当に細かい作業です。
 このコーナーでは誰もが顕微鏡を覗き見ることができるようになっていて、私もダイヤのキラめきを体験、その美しさに感動しました。 

Img_60091  左はネクタイ縫製職人です。
 一本の糸で丁寧に手縫いしています。

 開催は19日までということで、実は今日が最終日です。きっと相当に混むことでしょう。でもせっかくの職人技を間近に見ることのできる希少な機会です。どうぞお見逃しないように、お薦めいたします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月11日 (土)

「吉岡徳仁 スペクトル」展 プリズムの光を体感

 今、「吉岡徳仁 スペクトル」展が銀座の資生堂(SHISEIDO)ギャラリーで、26日まで開催されています。
Img_57951
 副題は「プリズムから放たれる虹の光線」です。闇の中、プリズムの7色の光が輝く様子は、まるで宇宙空間にでもいるかのよう。そんなちょっと不思議な気分を体感してきました。

 吉岡徳仁氏といえば、結晶の椅子などガラスのプロジェクトで世界的に高く評価されているアーティスト/デザイナーですね。今月15日には、ミラノのバグッタ通りにイッセイミヤケの旗艦店がオープンするそうで、この店舗デザインを手がけたのも同氏といいます。
 次回ミラノに行く楽しみが一つ増えました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月 9日 (木)

「シャセリオー展―19世紀フランス・ロマン主義の異才」

 今、国立西洋美術館で開催されている「シャセリオー展―19世紀フランス・ロマン主義の異才」で、初日に行われた内覧会に行ってきました。

 美術館入り口で出迎えてくれるのは、シャセリオー、その人の自画像です。Img_58201jpg16歳のときのものだそうですが、大人びています。画家という職業を表すパレットが左上に描かれているのも興味深いです。本人は醜男だと気にしていたそうですが、これを見る限りそんなこと全然なくて、相当モテたに違いありません。

Im_2017chasseriau  ところでテオドール・シャセリオー(1819~1856)といっても、日本ではこれが初めての回顧展です。本家フランスでも回顧展が開催されたのは1933年と2003年の2回だけだそうですから、あまり知られた存在ではないようです。とはいえ11歳でアングルに弟子入りし、若くして才能を発揮、後にドラクロワに傾倒するようになり、「絵画界のナポレオン」と呼ばれたといいます。37歳の若さで早逝したのが惜しまれます。

 ちらし掲載の「カバリュス嬢の肖像」(1848)は、春の花の香りいっぱいのロマン主義らしい作品です。髪に水仙の花飾り、スミレの花束を手にしています。この画家の代表作として心に留めておきたいと思いました。
Tom_77241
 なお写真は「展覧会主催者からの提供の公式写真」を使用しています。

 この他にも、「アポロンとダフネ」(1845)など神話の世界を題材にした美しい作品が続々。5月28日までの開催ですので、チェックしてみてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年2月15日 (水)

春一番のパリ百貨店 ⑶ 塩田千春の白いインスタレーション

 パリ左岸のボンマルシェ百貨店では、日本を代表するアーティストの一人、ベルリン在住の塩田千春さんによるインスタレーションアートが、店内中央いっぱいに展示されていました。
Img_54591jpg_3  
Img_54701_2  それは白い一本の毛糸から生み出される “あやとり”を 無数に組み合わせたような巨大なオブジェです。
 ふんわりとした雲のよう、あるいは細胞の塊のように見えなくもありません。

 タイトルは「Where are we going ? (私たちはどこへ向かうのか)」。
 塩田さんは人生を糸に例え、人生と旅を重ねて、「人生とは目的のない旅のようなもの」という格言を表現したといいます。
Img_54571
 フランスで1月は「白の月(Le mois du blanc)」と呼ばれ、バーゲンの時期ですが、新しい年の始まりに白いものを買いそろえる習慣があります。ピュアな白い糸によるインスタレーションは、百貨店のスタートを飾るのにふさわしいアートとなったようです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年2月11日 (土)

パリ装飾芸術美術館で「バウハウスの精神」展

 「バウハウスBauhaus」はドイツ語で「建築の家」という意味ですが、1919年にドイツ人建築家のヴァルター・グロピウスがワイマールに創設した総合芸術学校でもあります。建築から絵画、彫刻、デザインなどの分野で人材を輩出し、20世紀モダニズムをリードしたことで有名です。
Img_45951  
Espritbauhausnewaubalcon  そのジオメトリカルな造形は1920年代に“アールデコ”として花開き、モードもこれに呼応するように、シンプルで直線的なシルエットへ変化していきます。
 このブログで昨日、パリの装飾芸術美術館で行われていたモード展のことを書きましたが、同館で併催されていたのが「バウハウスの精神 L’Esprit de Bauhaus」と題した企画展でした。ファッションの世界では今、このエスプリが浮上しているところです。これは見ておく必要があると思い、門をくぐってきました。

 最初はバウハウスの成り立ちで、当時は陶芸や木工、テキスタイルなど様々なアトリエがあり、当然のことですが職人の手仕事が重要視されていたようです。日本の民藝運動にも触発されたといいます。 
 その後パウル・クレーやカンディンスキーらも教鞭をとるなど、芸術と技術を融合させた機能的な製品を次々に生み出していきます。

 その知られざる内幕を垣間見た後、次に目に飛び込んできたのがポスト・バウハウスの展示です。 バウハウスは1933年に消滅しますが、その精神は根強く継承され、様々なプロダクツとなって表れているのです。
Img_45861jpg モードでは、何と日本人デザイナーの作品がディスプレーされていました。

 左はジュンヤ・ワタナベのコレクションです。

Img_45881jpg

 右はイッセイ・ミヤケのリアリティ・ラボのブランド、「132 5. ISSEY MIYAKE」です。

 現代アートやデザイン、そしてファッションに、現在も計り知れない影響を与え続けている「バウハウス」。今後のトレンドの一つとして注視したい流れになってくるでしょう。
 なお本展は今月26日までの開催で、もはや終盤です。お早めにどうぞですが、パリは遠いですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年2月10日 (金)

パリ「きちんとした服装とは-服がスキャンダルになるとき」展

 パリの装飾芸術博物館ではいつ行っても魅力的な展覧会が開催されています。今回は「Tenue correcte exigee, quand le vetement fait scandale きちんとした服装とは ― 服がスキャンダルになるとき」展が催されていました。

 現代はどんな服装をしても許される時代です。しかしついひと昔前までは「きちんとした服装でおいでください」というような無言の圧力がありました。「女性のパンツスタイルは醜い」とか、「ジーンズはご法度」などと言われたものです。
 それではきちんとした服装とはどのようなものでしょうか。答えはモラルを打ち破るスキャンダルなモードに焦点を当てることで見えてくるはずというのが、本展の主旨であるようです。

 ここではこうしたスキャンダル・シックな約300着の服とアクセサリーが、次の3つのテーマで分類され、展示されています。Photo
 「服と規則 Regles et conseils」(例えばロココの女王、マリー・アントワネットのシュミーズドレス)、「女の子か男の子か? Fille ou garcon」(マレーネ・ディートリッヒの映画「モロッコ」の男装や男のスカートなど)、「過剰の挑発 Trop c’est trop! 」(穴あきダメージ加工ジーンズなど)です。
 各々歴史をたどりながら今日までを振り返る興味深い構成でした。

 写真撮影は不可ですので、右の図録を購入してきました。

 開催は4月23日まで。この間、パリに来られたら、ぜひ立ち寄られますようお勧めします。パリモードの劇的な変遷を目の当たりにできる絶好の機会になると思います---。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年2月 9日 (木)

バービカンで「ザ・ヴァルガー:ファッションの再定義」展

 ロンドンではもう一つ、興味深いファッション展が開催されていました。それがバービカン・アート・ギャラリーの「ザ・ヴァルガー:ファッションの再定義」展です。最終日ギリギリで、かなり混んでいました。

1  「ヴァルガー Vulgar」とは、「俗悪、悪趣味、下品」といった意味です。ファッションはしかし、最初はそうしたところから始まるのですね。妙に大きすぎたり、装飾し過ぎたり、過度に露出させたり、部位を強調したり---。まさにタブーをものともせず、スキャンダラスに装う風姿が、その時代のファッションとなりスタイルとして定着していきます。
 ここでは、そんな「ザ・ヴァルガー」たちの装いが、余すところなく紹介されていました。中世ヨーロッパからルネサンス、バロックといった歴史衣装から、現代を代表するデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドやジョン・ガリアーノ、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク、またプラダなどのブランドのものまで、「えっ!」と声を上げたくなる誇張された挑発的なデザインの数々に驚かされること頻りでした。

 日本の「カワイイ」ファッションもフォーカスされていて、それをゴスロリに身を包んだ女性グループがはしゃいで見ていたのが思い出されます。
 だからファッションっておもしろいです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧