文化・芸術

2020年11月17日 (火)

「東郷青児 蔵出しコレクション~異国の旅と記憶~」

 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館を改装して、この7月に開館したSOMPO美術館で今、「東郷青児 蔵出しコレクション~異国の旅と記憶~」が開催されています。 11月11日のオープンに先駆けて行われた内覧会に行ってきました。
 1_20201117171401 テーマは「旅」で、モダンな美人画で知られる東郷青児がこんなにも多岐にわたる旅をしていたのかと驚かされます。年譜によると24歳から7年間をフランスで暮らし、63歳以降は毎年のように海外を旅してまわっています。東郷は生涯、異国に強烈な興味を抱き続けていたようです。
 本展では画伯が旅先で見たもの、持ち帰った物、それらに刺激を受けた作品など、これまであまり展示する機会がなかった収蔵品約140点が紹介されています。
 
 最初のコーナーが東郷青児のアトリエ風景です。
Img_21701jpg  イーゼルにかかっているバーバリーのトレンチコートスタイルの肖像写真がカッコいいです。

第1章 1920年代のフランス
Img_21711pg  フランス留学時の作品で「コントラバスを弾く」。ピカソに触発されて描いたもののよう。
 右の写真も東郷のイケメンぶりがわかります。あの宇野千代が小説「色ざんげ」を書いた、そのきっかけをつくった人でもあったのですから。

Img_22061  左「南仏風景」、右「スペインの女優」(1922年)
 
第2章 モダンボーイの帰国
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 「超現実派の散歩」(1929年)。Img_21821pg  宙に浮くという不思議な感覚をテーマに、「超現実派(シュールレアリズム)の理論は嫌いだが、唯純粋にそれだけを摘出してみたい」と描いた作品とか。
 
第3章 イメージの中の西洋 
Img_21901pg  左「赤いベルト」(1953年)。クリスチャン・ディオールのニュールックの特徴を捉えています。なだらかな肩、絞ったウエスト、長い丈のフレアスカート---、1950年代の女性のファッションを牽引したシルエットでした。
 右「望郷」(1959年)。未来を夢見るだけでなく、失われたものに思いを馳せる憂いを帯びた表情が印象的です。

第4章 戦後のフランス
Img_22201jpg  左「魚藍観音」(1962年)。この頃、仏像に興味を持つようになっていったといいます。二科展出品作品。

第5章 異国の旅と蒐集品
Img_22241pg  異国で出会った女性の絵コンテです。右下がちらし掲載の「ヴァンスの女」(1972年)、真ん中上が「チェッコの女」(1970年)など。タッチがステキです。

Img_22321  「ラムセスの寵姫」(1976年)。エジプトのルクソールを訪れたときの思い出とか。

 最後に、晩年の彫刻作品が展示されています。Img_22291pg  ゴツゴツとした感触で、「青児美人」とはまったく異なる作風です。凄みというか迫力を感じます。
 
Img_22581  収蔵品コーナーもあり、セザンヌやゴーギャンなどとともに、奥まったガラスケースに展示されていたのがゴッホの「ひまわり」でした。
 
 この他、もうほんとうにたくさん。知らなかった東郷青児の世界を堪能しました。
 
 展覧会は来年の1月24日まで。詳細はHP https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2020/togoseiji2020/をご参照ください。(なお写真は特別な許可を得て撮影しています。)

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2020年11月15日 (日)

ミナ ペルホネン「風景の色 景色の風 / feel to see」展

 今、スパイラルで開催されているミナ ペルホネンの「風景の色 景色の風 / feel to see」展を見てきました。
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 まずは天井から巨大なミナ ペルホネンの代表的なテキスタイルが吊り下げられていて、それが上下して動く演出にびっくり!これはテキスタイルを海の波に見立てているそう。

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  時代の変化を受け止めながら、移りゆく景色を創るテキスタイルデザインの世界を体感します。

 次に円形の広いホールに出ます。「motion」と名付けられた映像の一つひとつのデザインが独立しつつもお互いにつながり合っていることを示唆する空間です。Img_22791
 ホールを囲む壁面には、深い森が描かれていて狼やカラスのような動物もいます。映像とともに鏡もあって、森の中で遊んでいるような気分に誘われます。Img_22821
   HPで公開されている「motion」の動画です。 映像はオランダを拠点に活動する遠藤豊によるもの。
 
 さらに注目は、ミナ ペルホネンの原点となるデザインの展示コーナーです。今日まで続く始まりの物語を興味深く拝見しました。

Img_23021  上はブランドを手掛ける皆川 明さんが、初めて描いたエンブロイダリーレースの柄「hoshi hana」1955。「星のような花のような」、そんな柄にしたかったそう。

Img_23081  最初のコート、1999-00秋冬の「happa」です。

 他にもいろいろ。

 本展は今年初めまで開催されていた「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」展(このブログ2020.1.28参照)を受けての企画展。皆川さんは、テキスタイルというブランドの起点となるデザインを通して、ミナ ペルホネンの営みや背景にある物語を体験していただきたいと述べています。
 このコロナ禍で、ふんわり温かい気持になれるステキな展覧会でした。

 開催は12月1日までです。待たされることもあるので、事前予約して行くのがよいかなと思います。x

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2020年11月 8日 (日)

21春夏東京コレクション⑹ 服飾と絵画の合作「サモン」展

 東京ファッションウィークの会期中、メイン会場となった渋谷ヒカリエで、服飾と絵画の合作「サモン」展が開催されていました。
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 「サモン」とは「召喚」の意味ですが、前を通りかかった私も呼び寄せられてしまったようです。つい引き込まれてしまいました。
 服飾は出口壮夫さん、絵画は小玉智輝さんで、出口さんの布でつくった人形と小玉さんの女神をイメージした巨大な絵画が組み合わさったインスタレーションです。
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 テーマは「生活」で、共同生活をする両氏の日常を出発点に、心的エネルギーに焦点を当てて制作したといいます。
 はずむ心臓の鼓動が聞こえてきそうな生命力に満ちた作品です。どんよりとした空気も刺激されて動き出しそう。

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2020年10月13日 (火)

飯田 梓 個展「ミラー、ミラー、オンザウォール」

 飯田 梓(AZUSA IIDA) 個展がこの4日まで、神宮前のオフスギャラリーで開催されていました。
 飯田さんはFASHIONSNAP.COMの占いコンテンツ「日曜日22時占い」のメインヴィジュアルなどを手掛けている若手アーティストです。

Img_11221jpg 会場にはあの色鮮やかで大胆な筆致のスタイリッシュな人物画、15点がラインナップ。

 タイトルは「ミラー、ミラー、オンザウォール(MIRROR,MIRROR ON THE WALL.)」です。白雪姫の「鏡よ、鏡、鏡さん、(この世で一番美しいのは、だあれ?)」の印象的なフレーズから採ったものですね。

Img_11231  ミラーというように、作品にはすべてに鏡がはめ込まれていて、鑑賞する者を映し出します。
 
 絵とともに自分を見つめ直してみる、そんな展覧会でした。 

Img_11301  入口手前の小部屋ではアーティストのアトリエ風景も展示されていました。

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2020年9月21日 (月)

「中原淳一のはじめての、ふろく展」 思い出のアーカイヴ

 雑誌というと毎号、付録が楽しみです。中でもあの中原淳一がつくったという付録ならましてや、少女たちのときめきはさぞかし大きかったことでしょう。
 その「中原淳一のはじめての、ふろく展」が、29日まで表参道のTOBICHI東京にて開催されていて、私も行って来ました。
Img_05001 よくもまあ残っていた、と思う、思い出の小さなアーカイヴが約50点展示されています。
 Img_05031 ファッションのスタイルブックや手芸の小冊子、レターセット、カルタ、カードゲームなど、戦前の「少女の友」、戦後の「ひまわり」のために中原淳一が精魂込めて創り出した付録がズラリ!

 復刻デザインの「スカートとタイ付ブラウスのセット」も受注販売されていました。

 まさにカワイイの原点! 
 あのつぶらな瞳にどんなに憧れたことか、当時を偲んだひと時でした。

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2020年9月16日 (水)

オノデラユキ FROM Where展 「古着のポートレイト」

 パリを拠点に活動する写真家、オノデラ ユキの写真展「オノデラユキ FROM Where」が、ザ・ギンザ スペースで開催されています。
 作品は、ご自身が1995年に発表した「古着のポートレート」シリーズから厳選した15点です。ギャラリーのやや高い位置に展示されていました。会場の赤い照明は、暗室をイメージしているとのことです。Img_05221jpg
 これらの古着は、フランスを代表する現代アーティストのクリスチャン・ボルタンスキー展で使われたもので、それをオノデラさんが買い取ったといいます。私もボルタンスキーを見て、古着が人間の抜け殻のように展示されていたことを思い出しました。(このブログ20194.26付け参照)
 オノデラさんは古着を針金のような細いハンガーにかけて、窓際に置き、その古着に合う雲が現れたときにシャッターを切ったとか。
 いつまでも色褪せないものの価値を再確認する展覧会です。会期は11月29日まで。

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2020年9月 9日 (水)

日産アートアワード2020 予言の《ディスリンピック2680》

 第4回「日産アートアワード展」が今、横浜のニッサンパビリオンで22日まで開催されています。展示されているのは5人のファイナリストの作品です。
 会場に入って真っ先に目に飛び込んでくるのが、風間サチコの大作、2.4×6.4メートルに及ぶ巨大な木版画の《ディスリンピック2680》です。 Img_04421
 描かれているのは、神殿のような、あるいは廃墟のようなスタジアムです。スポーツの祭典らしい開会式が行われていて、小さな同じ形をした人間が行進し整列しています。でも無観客状態! Img_04441
 これは「ディスリンピア」、架空のオリンピックです。今年行われるはずだった東京オリンピック/パラリンピックが思い浮かびます。コロナウィルスで延期された現在の姿をまさに予言しているようです。 
 作家は4年前のオリンピック招致が決まった年に、この作品を構想したといいます。イメージしたのは1940年に東京で開かれる予定だったのに、戦時のため中止になった、あの幻のオリンピック。タイトルの2680は、2020年が皇紀2680年にあたるところから名付けたとか。1940年のオリンピックの年は皇紀2600年で、その80年後が今年です。何と言う符号!
 もうアーティストには予言力があるとしか思われません。

Img_04571  上は今回のアワードでグランプリを受賞した作品です。上海出身で東京を拠点に活動している潘逸舟の《where are you now》。日本でよく見かける消波ブロックをモチーフとした新作インスタレーションで、新型コロナの影響で移動が拒否され、消費の物流だけが稼働する現在の状況を、「群」から離れたテトラポッドで表現したといいます。

 この他、下記3つの作品も簡単にご紹介します。
Img_04551  和田永の《無国籍電磁楽団:紀元前》です。これは使われなくなったブラウン管テレビやリール式テープレコーダーなど、古家電を楽器化するアートプロジェクトです。5ヶ国の人々に家電楽器のつくり方と部品を送り、それぞれが現地で古家電を手に入れ、楽器を作成し、初めての演奏に挑戦する映像が流れる作品で、作業している姿も楽しそう。

Img_04491  《無主物》(2020)。《無主物》とは、「所有者のない物」を指す法律用語だそう。これは三原聡一郎による「水」をモチーフにした新作で、空気中の水分子を氷、水、水蒸気の推移として可視化、苔も置かれていて、発生した水を得て会期中に育っていくといいます。木材も水と太陽で育った素材ということで採用、釘を用いていないとか。

Img_04641_20200911073901  複数の彫刻のような作品で構成された、土屋信子の新作《Mute-Echoes Mute-Echo, Breve, Repeat, Creotchet, Key, Rest, Sharp, Quaver》(2020)です。素材はウールやシリコン、鉄の破片、綿、プラスチックなど、身近なものや拾い集めた廃材を組み合わせたものだそう。

 全体に社会問題や環境問題に触れる作品が目立っていました。アートの力を改めて見直した展覧会でした。

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2020年9月 8日 (火)

横浜トリエンナーレ「光の破片をつかまえる」⑶ 第三会場

 P_20200904_104326_vhdr_auto1jpg 横浜トリエンナーレ「光の破片をつかまえる」ではもう一つ、第三会場の日本郵船歴史博物館があります。
  こちらはトリエンナーレのチケットがあれば、無料で会期中はいつでも入場できます。

 
  展示されているのは唯1点、マリアンヌ・ファーミの《アトラス》という新作です。
Img_00721  水摘をイメージした透明アクリルの巨体な立体によるインスタレーションで、光を反射して、アクリルに玉虫のような色彩やゴールド、シルバーといった色がうっすらと付いているのが美しい!

P_20200904_103345_vhdr_auto1  ファーミはエジプトのアレキサンドリア出身で、「水」にまつわる歴史を創造的に再解釈して作品化するアーティストだそう。
 エジプトの海と日本の海は水でつながっています。だからでしょうか。周囲をとりまく歴史的な船の展示と不思議に似合っていると思いました。

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2020年9月 7日 (月)

横浜トリエンナーレ「光の破片をつかまえる」⑵ プロット48

  横浜トリエンナーレ2020の第二会場であるプロット48を訪れました。約20人のアーティストの作品が展示されています。 

 私が注目した作品をご紹介します。

P_20200822_160636_vhdr_auto  玄関前には、大きな木があり、自転車のベルが吊り下がっています。これはデニス・タン(陳文偉)の《自転車ベルの件》というインスタレーション。
 ベルを鳴らして、館内に入ります。

P_20200822_172331_vhdr_auto1  ナイジェリアを拠点に活動するラヒマ・ガンボの作品です。《タツニヤ(物語)》と題された映像は、過激派組織ボコ・ハラムの脅威を生きのびた少女たちが再び教育の機会を得て、学校で遊び心を取り戻していく様子をとらえたストーリーです。希望の光が灯ります。

Img_98271  台湾のアリュアーイ・プリダン(武玉玲)の《生命軸》。鮮やかな布製のソフト・スカルプチャーです。「布を織る」「ビーズを縫い付ける」といった営みを連綿と続けてきた部族の女性たちの脈動が伝わってきます。

P_20200822_171944_vhdr_auto1  ドイツのアンドレアス・グライナーの《弦より古生物へ》は、ピアノの弦に反応して発光するプランクトン(夜光虫)を鑑賞する体験型の作品です。プランクトンは海水が入ったプラスティックボトルの中にいるのです。ピアノの音が強くなる度に、光を放ちます。か細い光でだんだん反応しなくなっていきました。プランクトンもお疲れだったのかな。
 真っ暗闇の中、15分間の起立状態はちょっときついと思ったのですが、終わってみれば意外と短かかったです。

P_20200822_162150_vhdr_auto1  東京で活動するオーストラリア出身のエレナ・ノックスによる《ヴォルカナ・ブレインストーム》。拘束具などが展示されている刺激的な空間にギョ!

P_20200822_173411_vhdr_auto  ベトナムのハノイを拠点とするグループ、ファーミング・アーキテクツの《Architecture is a miracle universe》という作品。「都市に緑の種をまく農家のような建築」を活動のコンセプトにしているといいます。木の枠組みの間には、グリーンが置かれ、何と金魚が泳いでいる水槽もあって、爽やかムード満載でした。

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2020年9月 6日 (日)

横浜トリエンナーレ「光の破片をつかまえる」⑴ 横浜美術館

 先日、横浜トリエンナーレ2020に行ってきました。(3年前にも来たことが思い出されます。)コロナ禍で開催されている初の大規模な現代アートの国際展です。参加者は30か国から65組67人に上っています。

 20年目を迎えた今年、初めて海外からアーティスティック・ディレクターを招聘したそうで、それがインドの3人のアーティスト集団、「ラクス・メディア・コレクティブ」です。彼らは来日が叶わなかったのですが、「AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」をテーマに、光の破片をつかまえて、次のステップへ歩むきっかけとなるようにと、企画したといいます。「自分で考え、光を発し、人をいたわり、共に生き、『毒』とも共存する」のコンセプトは、私たちに希望の光ととともに毒をも受け入れよ、ということでしょう。コロナの時代を生きる知恵となる考え方ですね。
 
 作品は横浜美術館とプロット48を中心に展示されています。まずはメイン会場の横浜美術館から見ていきましょう。
 
P_20200822_115405_vhdr_auto1  入口です。建物全体にブルーの幕が張ってあって、工事中なのかと思いましたら、そうではなくてそれも立派なアート、クロアチアのイヴァナ・フランケの《予期せぬ共鳴》と名付けられた作品でした。
 
P_20200822_115629_vhdr_auto1  吹き抜けのエントランスホールでは、巨大なモビールが目を惹きます。ニック・ケイヴの《回転する森》という作品です。
 キラキラ光って揺れているのは、アメリカの住宅の庭などによく見られる「ガーデン・ウインド・スピナー」と呼ばれる装飾だそう。スピナーをよく見るとピースマークもありますが、ピストルや弾丸の形をしたちょっと怖いモチーフのものも含まれています。美しくきらめく光の中には、怖い毒もある、そんな現代社会を映し出しているようです。

P_20200822_135241_vhdr_auto1  「えっ、これ何?」と思うような巨大な作品は、スペインのエヴァ・ファブレガスの《ポンピング》。人間の腸のかたちをしていて、シリコンやゴムなどでつくられているのか、弾力性があってやわらかい。私たちは腸内フローラと共生しながら生きているなど、意識が広がります。

P_20200822_135543_vhdr_auto1  突然出現するのが、体操競技場。ロシアのタウス・マハチェヴァの《目標の定量的無限性》。体操器具をよく見ると、鞍馬の持ち手は一つしかありませんし、平行棒は斜めになっています。耳を澄ますと、響いてくるのは私たちが日常生活でしばしば聞く、人の行動を制御するための抑圧的なフレーズ、「どうしてこんなことができないの?」とか、「もっと高く、もっと速く」といった言葉です。
 ジムで展開されるパフォーマンスから、現代社会における身体、規律、統制について問いを投げかける印象的な作品です。
 
P_20200822_140047_vhdr_auto1  スエーデンのインゲラ・イルマンによる大きな立体作品《ジャイアント・ホグウィード》です。ジャイアント・ホグウィードとは、花は美しいけれども、光が当たると毒をつくるという中央アジア原産の植物です。これはその姿を巨大化させたインスタレーションで、美しいのにかぶれてしまう毒との共生を考えさせられます。

P_20200822_120008_vhdr_auto1  新井 卓の《千人針》。一枚の布に千人の女の人が赤糸で一針ずつ刺して縫い玉をつくって出征兵士に贈ったものです。その縫い目を撮影した1,000枚のダゲレオタイプの写真を壁面いっぱいに並べて展示。戦争という暗い影の中に漂う祈りの気持ちを感じます。
 
P_20200822_124627_vhdr_auto1  ポーランド出身ズザ・ゴリンスカの《ランアップ》。赤いカーペットの段は硬いかと思ったら、ぐにゃっとしていてやわらかい。見た目と中身のギャップに戸惑います。

P_20200822_140608_vhdr_auto1  ツェリン・シェルパの《54の智慧と慈悲》。極彩色のチベット仏教絵画を54のパズルに分解。完璧に対する疑念を表現しているようです。
 
P_20200822_142800_vhdr_auto1  竹村 京の《修復されたY.N.のコーヒーカップ》。壊れた陶器の破損部分を絹糸で縫い直す「修復シリーズ」の一つ。カップを覆っている透ける薄地には光る糸で刺繍が施されています。この光る糸は、オワンクラゲの緑色蛍光タンパク質を創る遺伝子を用いて開発された蛍光シルクだそう。思い出の品と過ごした過去の時間が蘇ります。
 
P_20200822_143402_vhdr_auto1  1階ホールの階段上に設置されている大作は、青野文昭の《なおす・代用・合体・侵入・連置》。仙台出身のこの作家は、「なおす」という行為を主題に、使い古された家具や浜辺の漂着物などの欠損箇所から想像を膨らませ、異なるモノと結合させながら創造的復元を行っているといいます。
 これは東日本大震災の体験を新しいかたちに生まれ変わらせたというインスタレーションです。温かな家族があったことが思われ、しばし当時を偲びました。

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