文化・芸術

2019年9月 9日 (月)

静嘉堂文庫「入門 墨の美術―古写経・古筆・水墨画」展

 今、静嘉堂文庫美術館で開催されている「入門 墨の美術―古写経・古筆・水墨画―」の内覧会へ行ってきました。
 冒頭、河野館長が鑑賞のポイントを語られました。その中で印象に残ったのがタイトルの「入門」です。「書」というと、とかく敷居が高いと思われがちなので、少しでも多くの方々に「墨の美の世界」を楽しんでいただきたいと、この言葉を入れたそうです。書道は苦手、と思っていた私も、これで少し気が楽になりました。
 出品されているのは、同館所蔵の六曲一双の大屏風を含む30点で、墨の選りすぐりの名品揃い。それらが古写経・古筆・水墨画の3つのグループに分けられ展示されています。
 (写真は特別の許可を得て撮影しています。)
Img_60221jpg  水墨画によく登場する「寒山拾得(かんざんじっとく)図」(上)からオリジナルのキャラクター「かんざんくん」もつくり、古写経・古筆・ 水墨画の各コーナーで案内に一役買っています。
 Img_59971 この「かんざんくん」、ユーモアたっぷりの姿で描かれていて、モノクロームの世界を親しみやすいものにしていました。
 右は何と十二単で女装した「かんざんくん」。仮名文字を書こうとしているようです。

  最初は奈良時代、漢字の「祈りの墨―古写経―」です。
Img_60211  上は奈良に都があった1200年前のお経で、「5月1日経」という、仏教が伝来して間もない天平時代のものといいます。当時写経は一大事業であったとか。楷書の字体がきちんと揃って端正、美しく見えました。

 次が平安時代、「雅なる墨―古筆―」です。
Img_60021  平安朝となって、平仮名が生まれた頃のものです。「古今和歌集」高野切」など、水が流れるように流麗なやわらかい筆致は、一幅の絵を思わせます。厳かだった奈良時代と比べると、なんて優美なのでしょう。
Img_60061  上は、国宝「倭漢朗詠抄 大田切」唐紙のような下絵の上に書かれています。
 法華経の信仰が篤かったこの時代、末法思想からお経を筒に入れて土に埋めたそう。その経筒も展示されていました。

 さらに時代は下って室町時代、「墨に五彩あり―水墨画―」です。
Img_60141 Img_59841  当時の詩画軸の典型的な美術品や、「伝 周文」筆と伝承される重要文化財「「四季山水図屏風」など大屏風が多数展示されています。 Img_60251

 中国ではBC1500年、殷の時代には既に「墨」があったといわれているそうです。漢字が絵から発達したように、書画一致思想は東洋独自の文化で、その根底には墨というマテリアルがあったのですね。
 東洋美術の根幹をなす墨の世界、「書」の絵画のような芸術性に改めて感動しました。
 なお展覧会は10月14日までです。HP http://www.seikado.or.jp/exhibition/index.html
で詳細をご覧ください。

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2019年9月 3日 (火)

「日本のグラフィックデザイン2019」展 関連トークも

 先般、日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)主催「日本のグラフィックデザイン2019」展が、東京ミッドタウン・デザインハブにて開催されました。これはこのほど年鑑『Graphic Design in Japan』2019年版が発行されたことを記念する展覧会で、掲載作品の中から身近な雑貨や書籍、商品パッケージ、シンボル・ロゴ、ポスターなど約300点が実物やモニターで展示されました。
 
Img_53361jpg  上はアワード受賞作品の展示コーナーです。中央右のモニターに映し出されているのが、最高賞の亀坂雄策賞で色部義昭氏による「地下鉄のCI計画『Osaka Metro』」、また手前は、JAGDA賞パッケージのカテゴリーで受賞した渡邉良重氏の「Tartine(洋菓子店のパッケージ)」、奥に架かっているグリーンの作品は、JAGDA賞ポスターのカテゴリーで受賞した永井一正氏の「LIFE」です。
 
Img_53201jpg  またアワードとは別の「This One!」に選出された作品で、私がとくに注目したのが、浅葉克己氏による「デザイナーブランドのショップ」です。 これはイッセイ ミヤケが2018年に京都に出店したときのもので、Img_53211 一生さんの「一」の書を大胆に書いた暖簾です。
  「一」の一文字に強い意志が感じられ、インパクトがあります。
 うちわも添えられていて、何とも小粋!
 
 さらに関連イベントとしてトークショーも行われ、その一つに参加しました。
Img_53331  出演は、伊藤忠ファッションシステム/ifs未来研究所所長の川島蓉子氏と、廣村デザイン事務所 主宰の廣村正彰氏、聞き手はJAGDA年鑑委員長の柿木原政広です。
 最初に、東京2020スポーツピクトグラムの開発チームの一員としてデザインを担当された廣村氏が、その舞台裏を語りました。
 スポーツピクトグラムは1964年の東京オリンピックで初めて採用されたものだそうで、今回は当時のものをリスペクトしつつ、普遍性と先進性を追求したといいます。
 躍動するアスリートを幾何学的に単純化して表現するために、筋肉の動きに着目。胴体部分を抜くことでそれらしく見えるように表現したそう。そぎ落とせる部分はできる限り省いたといいます。とはいえ人の姿はどの競技にも入れたそう。ちなみに1964年のセーリングでは人は入っていません。体操は床、新体操はリボンの場面、バスケットボールはシュート、サッカーはシュートだったのをドリブルにしたなど、以前と変化したものも多々あるとのことです。
 Tokyo2020_03_o 33競技50種類をデザインされて、「会心の作は?」と問われて、廣村氏は「陸上競技」(右)と答えていました。
 スッキリと美しくて印象的です。
 
 次に川島氏が企業との事例、とくに「とらや」との取り組みについて明かされました。これはifs未来研究所と三越伊勢丹がコラボレーションして、「未来の夏ギフト」を展開したときのお話しで、興味深かったです。
 従来の地味な羊羹のイメージを超える「皆でワイワイ、シェアできる“みらい”の羊羹」をテーマにした、3人のデザイナーによる創作和菓子、グエナエル ニコラ氏の雅な扇子の形、テキスタイルデザイナーの須藤玲子氏の粋な縞模様、アートディレクターの渡邉良重氏の水中花のような表現は、もう従来の地味な羊羹のイメージを超えている、と思いました。
 バカラをイメージしてつくったという、ひと口サイズの和菓子の詰め合わせも、ほんとうにおしゃれでビックリ!です。「職人に無理を言うことで新しいものができる」というのも名言ですね。
 創業500年の老舗に新風を吹き込むことに成功した川島さん、これからもご活躍を期待しています。

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2019年8月30日 (金)

「今森光彦展 写真と切り絵の里山物語」豊かな里山と暮らし

 今、松屋銀座で開催されている「今森光彦展-写真と切り絵の里山物語」の内覧会に行ってきました。
 写真家で切り絵作家の今森光彦氏、そのご本人がギャラリートークしてくださり、素敵な会でした。今森氏は話し出すと止まらないという方で、トークをたっぷり楽しませていただきました。(写真は主催者より特別に撮影の許可をいただいています。)

 冒頭、「写真と切り絵を一人の人物がやっているとは思われないでしょう。写真は外、切り絵は室内のワークですからね」と切り出されて、お話しに引き込まれました。
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 第1章は「里山物語」です。タイトルの「里山」について、「里山というのは『山』ではなくて『野良』の意味。野良仕事をする場所が里山で、日本人は自然を壊さないように自然と共存して生きてきました。この自然観を当たり前のこととしてきたのに、それが壊れつつあります」と話し、本展で「人と自然が溶け込み合い共存する空間を理解していただきたい。この自然豊かな環境を感じて欲しい」とメッセージを発せられたのが印象的です。
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 海外歴も長いそうです。辺境の地が好きで、アマゾンなど48か国へ、ケニアには8年いたし、インドネシアには48回行ったとか。インドネシアのスラベシ島の風景はご自身がお住いの滋賀県大津辺りに似ているといいます。こんな棚田が外国にもあるのですね。でも展示されている写真は日本で撮影したものだそうです。
 
 第2章は「里山の庭と暮らし」です。ここではアトリエの庭を語られました。
Img_58271  30年前にこの土地(1,000㎡)と出会ったときは、荒れた田んぼだったそうです。それを「蝶々が集まる庭づくり」を目指して再生し、Img_58642 今では70種もの蝶が棲息しているとのこと。蝶々を愛するナチュラリストを「オーレリアン」と呼ぶことから、「オーレリアンの庭」と名づけていらっしゃいます。ちなみにオーレリアンとは、ラテン語で「金色の蛹」のことだそう。

Img_58811  里山への思いがつまった「オーレリアンの庭」。春夏秋冬、季節とともに変化するその豊かな自然を撮った写真を鑑賞しながら、しばし清々しい気分に浸りました。
 
 第3章は「里山のアトリエ」です。いよいよ切り絵のコーナーに入ります。
Img_58311  アトリエの「みみずくハウス」をバックに今森氏が制作の秘密を明かされました。
Img_58421  使用するのは市販のラシャ紙で、この紙をハサミで切り抜きます。カッターなど用いず、0.3 mmの極細の線も切るとのことで、ハサミの方がカッターよりも楽といいます。子どもの頃からハサミを持つと自然に手が動いたそうで、今森氏、やっぱり尋常ではありません。 
 色付けも一切されていなくて、作品はラシャ紙170枚の生の色を使って仕上げられています。限られた色の中で、不自由な感覚で仕事するのが好きとのことでした。
Img_58431jpg  作品はほんとうに細かくて、洋ナシの点々も紙、このすべてが紙を貼ってつくられているとは!まさに驚きそのものでした。
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 美しい自然と超絶技巧の切り絵の世界を堪能させていただいた展覧会でした。豊かな里山との暮らし、私もすっかり魅せられました。
 なお会期は9月4日までです。詳細はHP http://www.matsuya.com/m_ginza/exhib_gal/details/20190828_imamorimitsuhiko_8es.htmlでご確認ください。

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2019年8月16日 (金)

銀座で「田名網敬一の観光」展 目くるめく田名網ワールド

 東京・銀座のギンザ・グラフィック・ギャラリーで、21日まで「田名網敬一の観光」展が開催されています。
Img_56161  まず目に飛び込んでくるのが、巨大な人間の頭部です。「いらっしゃいませ」と迎えてくれているのでしょうか。真っ赤な橋の上から
ギョロ目で睨んで歯をむき出しているのがちょっと不気味です---。

 そこには目くるめくような田名網ワールドが広がっていました。
 (以前このブログ2017.7.9付けで掲載した個展「貘の札」もご参照ください。)
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 今年83歳になられるという作家の創作へのエネルギーはもう衰えを知らないようです。恐るべきパワー!
 かつて体験された戦争の記憶、徘徊する妖怪たち、若冲からアメリカンコミックまで、様々なモチーフがこれでもか、これでもかというようにパワフルに組み合わさって、奇想天外な宇宙観を作り上げています。それは死者たちの理想の世界を表現した“曼荼羅”のようなものなのでしょうか。作家の悟りの境地---、とはいえとびきりポップ!です。 
 
 階下も鮮やかなカラーであふれていました。伊達な武装を思わせる、装飾いっぱいの服飾作品も展示されています。Img_56091 Img_56011 
 またこの春から発売されている田名網敬一とアディダスのコラボコレクション「Tanaami × adidas Originals」のコーナーも設けられています。Img_56141Img_56121jpg

 Tanaami独特のグラフィックを落とし込んだ黒のアイコニックなスポーツウェアは、さりげなく個性的で、洗練された感覚です。
 
 アートワークとファッションの連携は今どきのブーム。
 田名網ワールドにこれからも注目です。

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2019年8月10日 (土)

「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン」展 

 先日、三菱一号館美術館で開催中の「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展」の内覧会に参加しました。
 本展はプリーツドレス「デルフォス」で20世紀初頭の服飾業界で支持され、近年世界的に注目されているマリアノ・フォルチュニにフォーカスする初の企画展です。
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 担当学芸員の阿佐美淑子さんが、「青い日記帳」のTakさんをナビゲーターにギャラリートークされました。これによると、フォルチュニは総合芸術家であり科学者でもあるという、まさに天才!でした。私は実はファッションデザイナーとしての顔しか知らなかったのです。阿佐美さんも最初はそのように思われていたそうです。 ところが実際は、絵画や舞台芸術、染色、写真などあらゆる芸術の分野で活躍し、プリントやプリーツの機械、照明技術なども開発した発明家だったのです。

 Img_54341jpg 右の天井の照明器具もフォルチュニの作品です。
 精巧なつくりで手作りだそう。
 大小あって、これは小さい方です。

 本展の開催にあたっては、ヴェネツィアのフォルチュニ美術館による全面協力があったといいます。このため資料が多岐にわたり、何を重点的に展示するか、阿佐美さんも熟考されたそうです。結局、服飾を軸とすることでまとまり、絵画や版画、写真、舞台関連作品、デザイン関連資料などの各展示室には必ず一体、「デルフォス」を展示して、服飾作品に焦点を当てていることを暗に表現したといいます。Img_54561
 
 この「デルフォス」、設計図は残されているのですが、その通りにつくろうとしても、再現は不可能だそうです。 それほどに複雑なプリーツがとられているのですね。打ち寄せるさざ波のように重なり合う襞、そのレイヤーの繊細さに感動させられます。
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 ところで「デルフォス」が誕生したきっかけは、当時発掘された「デルフォイの御者」像(上の左写真)だったそう。この像を見た妻のアンリエッタのアドバイスがヒントになったとか。確かにこの御者像がまとっているものによく似ています。「デルフォス」の名称もこれに由来していたのですね。
 またフォルチュニはグラナダ生まれのスペイン人です。父親が画家だったことから画業を志し、パリに移り住みます。そこで妻となるアンリエッタと出会い、イタリアのベネツィアで暮らすようになったといいます。母親は日本のきものの蒐集家だったそうで、アンリエッタは日常的にきものを着こなしていたようです。きものはフォルチュニにとって身近な存在で、妻のためにも、きものスタイルのドレスを創作したのでしょう。妻思いの優しい人柄が偲ばれます。
 フォルチュニの「日本趣味」の謎が一つ解けました。
Img_54661  上はきものを着たアンリエッタです。

Img_55181  紫色のデルフォスにオペラジャケットの組み合わせ。1920年代の作品です。

 ところで、「デルフォス」を始めとする衣装を数多く所蔵しているのは、日本とアメリカで、肝心のベネツィアのフォルチュニ美術館には、服飾関連は意外にも少ないといいます。では何故日本に多いのかというと、かつて資生堂のモデルとして活躍した故ティナ・チャウのコレクションがあったからだそうです。
 80年代初めのティナ・チャウこと、ティナ・ラッツの透き通るような美しさが思い出されます。あの頃、フォルチュニ展がしばしば開かれ、私も見に行きました。それを再びここで見るとは、感慨深いです。

Img_54441  上は「デルフォス」収納用の箱です。

Img_55081jpg  絹製のプリーツの形状を保つために簾のようにドレスを巻き取り、さらに捩じってまとめると、驚くほどコンパクトになります。この簡便かつ携帯性の高さが、人気を押し上げる要因の一つになったそう。これも現代に通じる画期的な発明です。それにしても既に記したように、襞が美しい!

 Img_55201jpg  桜か梅、桃と思われる文様を配した羽織風ジャケットです。袖や襟の形がきもののように平面的です。とはいえ脇や袖の明き部分や衽が省略されていて、きものの仕立てではありません。西洋服の構成になっていることが見て取れました。
  
  テキスタイルにも驚嘆させられました。Img_55221_20190810093901
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  フォルチュニはドレスや外衣だけではなく、室内装飾用にも時として同じデザイン、材質のものを使用したといいます。 日本の布の図案をそのまま引き写して絹や木綿のベルベットにプリントを施したのです。Img_55301 出来上がった模様は、プリントではなく織物によるものとしか見えません。
 右はジャカード織のベルベットのようなプリント生地です。
 
 フォルチュニはプリントの技術を考案するなど、特許も多数取得していたといいます。
Img_54931  日本の染め型紙や型押し木型、プリント生地もたくさん出品されています。
 
 それにしてもこの「デルフォス」、もう復刻できないとはいえ、映画やTVドラマなどで時折登場します。「ダウントン・アビー」で、ミシェル・ドッカリーが着ていたのも「デルフォス」だそう。そのエッセンスは現代に受け継がれています。イッセイミヤケの「プリーツ・プリーズ」のように---。

 本展を見て、女性の身体をコルセットから解放し、自然な曲線を美しくみせるその先進性に、改めて感銘させられました。「100年経っても新しい」、この言葉がぴったりな展覧会でした。

 (なお写真は美術館の許可を得て撮影しています。)
 会期は10月6日まで。詳細はHP、https://mimt.jp/fortuny/をご覧ください。

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2019年8月 5日 (月)

デビュー50周年記念「萩尾望都 ポーの一族」展

 銀座松屋で開催されている「萩尾望都 ポーの一族」展に行って来ました。少女マンガに革新をもたらした萩尾望都のデビュー50周年記念展です。萩尾望都ももう70歳なのですね。会場は思いがけなく混んでいて、50代以上ではと思われる女性たちでいっぱいでした。Img_55851
 展示されているのは約300点もの魅惑的な原画です。デビュー前のものから「ポーの一族」第1作に始まるシリーズがズラリ。それに「トーマの心臓」もあります。
 2016年には40年ぶりとなるシリーズ新作が大反響を巻き起こし、2018年には宝塚歌劇団によって舞台化が実現したのですね。本展の奥のコーナーに、そのときの花組の公演「ポーの一族」の舞台が再現されています。
 舞台衣装や・小道具も特別展示されていて、衣裳は撮影が可能です。
Img_55611 Img_55651jpg Img_55631jpg  





 







 左はメリーベルとエドガー、右はシーラとポーツネル男爵です。
 
Img_55811  左はアラン、右はエドガーです。
Img_55571  
 右はエドガーです。
 時代衣裳とはいえ、男子服はモダンです。今着ても全然おかしくないし---、というよりも装飾を求めるファッションに合っています。

 このコーナー、見逃せません。

 なお展覧会は明日6日までです。
 興味のある方はお急ぎください。

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2019年8月 1日 (木)

ヤブノケンセイ展 「SPOUT(注ぎ口)」をテーマに

 今、ヤブノケンセイ(KENSEI YABUNO)の展覧会が、渋谷のelephant STUDIOにて8月1日まで開かれています。
Img_53441  テーマは「SPOUT(注ぎ口)」です。
 注ぎ口から液体があふれ出すような、有機的なフォルムは何かの生き物のよう。ちょっとコミカルでファンタジックな世界です。Img_53421
 ヤブノケンセイは26年にわたり、様々な媒体で発表し続けているアーティストです。2011年春夏のコム・デ・ギャルソンのコレクションでは、作品がテキスタイルとして採用されるなど、クリエーションの発想源にもなっています。
 そんなグラフィックの世界に注目です。

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2019年7月28日 (日)

「more than Reason」展 プリーツが衣服から天井や壁へ

 東京・銀座のLIXILギャラリーで今、「more than Reason (モア ザン リーズン)」展というちょっと不思議な展覧会が開催されています。
Img_51021  ドレスに纏った紙のプリーツが頭の上に伸びて、天井や壁を覆っているのです。 微妙に響く音楽も流れていて、衣服が建築に変身していく様子が興味深いと思いました。
Img_50971  このインスタレーションは、建築家の隈研吾、「アンリアレイジ(ANREALAGE)」デザイナーの森永邦彦、サカナクションの山口一郎の3人のコラボレーションによるもので、同ギャラリーの展覧会企画「クリエイションの未来展」の第19回目だそう。建築とファッションと音楽の連携プレーとは!
 カードに書かれた俳句もヒントになっているようで、和のイメージもあります。末広がりの扇形プリーツのデザインが日本的です。
 カードのQRコードをかざすと音楽が聞こえてきたりして---。こういうのも、これまでにない未来のアートの楽しみ方なのでしょうね。

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2019年7月24日 (水)

ミラノでレオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年の記念イベント

 今年はレオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年とあって、ミラノでは様々な記念イベントが開催されています。先般のミラノウニカ(MU)のサマーイベントでもダ・ヴィンチが残した作品の模型などが登場しました。(このブログ2019.7.11付け参照)
 MUからミラノの街に戻ってきて、「万能の天才」と言われるダ・ヴィンチの世界に触れてみたくなりました。訪れたのが二つのミュージアムです。 
 一つは、レオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館2階のレオナルド・ダ・ヴィンチ・ギャラリーで行われていた「パレード」というタイトルの特別展示です。
Img_47161  これはもう圧巻の展示でした。暖かな電球の明かりがダ・ヴィンチの科学技術研究を取り囲み、デッサンやスケッチを基に制作された天文学や医学、建築などの資料、40点余りを照らし出しています。壁面を飾るのは16世紀の古色を帯びたフレスコ画です。
Img_47111  ここはかつて修道院だった建物なのですね。あちらこちらにその面影を感じ、ちょっと厳粛な気持ちになりました。
 
 もう一つは、スフォルツェスコ城にあるミュージアムです。ミラノには何度も来ているのですが、ミラノ市最大の観光名所となっているこのお城へ行くのは初めてでした。
 ここにはレオナルド・ダ・ヴィンチがミラノ公爵 ルドヴィゴ・イル・モロを祝福するために描いた壁画で知られる「アッセの間」があり、このほど修復工事が完了、今年5月から一般公開されているのです。
  趣のある中世ロマネスク様式の佇まいを進むと、最奥が「アッセの間」です。そのドーム状の部屋で、「モロの影の中で」をテーマにした音と映像と光のマルチメディア・インスタレーションを楽しみました。Img_47571 Img_47521 ミラノで歴史の面影を垣間見たひと時でした。

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2019年7月23日 (火)

無印良品 銀座 創設100年「バウハウス」展にみる共通点

 この4月にオープンした無印良品の銀座旗艦店で開催中の「バウハウス」展に行って来ました。
 バウハウスは、第一次世界大戦後の1919年、ドイツ・ワイマールに創立された総合芸術学校です。無印良品では、デザインにまつわる重要な記録を保存・活用し、未来へ伝達する試みとなるシリーズ「Archives」で、今回創設100年を迎えた「バウハウス」にフォーカスしたといいます。
Img_49541jpg  6階のMUJI HOTEL手前にある「ATELIER MUJI GINZA」の展示スペースには、プロデューサーの中原慎一郎氏により厳選されたアーカイブ:バウハウスでも優れた才能を発揮したマリアンネ・ブラントの実験的な写真作品や照明器具、ウィルヘルム・ワーゲンフェルドの作品などが並んでいます。無印良品から選んだ製品も見られ、何と私がいつも使っているアルミ製洗濯ハンガーもありました。
 バウハウスと無印良品、ともにシンプルで機能的、むだのないピュアなデザインですね。使い手の使い勝手がよく考えられています。世の中にない革新的なものつくりを追求する姿勢も似ています。学校と企業とで業態は異なっていても、共通点が多いと感じました。
 「感じよいくらし」をテーマに、生活に本当に必要なものを最適な素材、形、そして買いやすい価格で提供してくれる無印良品。そこにはバウハウスの精神が流れていたのです。ファン度がまたしても高まりました。
 本展は9月23日までです。

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