文化・芸術

2017年9月19日 (火)

特別展「ダイアナ:彼女のファッションストーリー」

 ロンドンに来て、ケンジントン宮殿で開催されている特別展「ダイアナ:彼女のファッションストーリー」を見に行ってきました。
Img_11701jpg  今年は、あの美貌のプリンセスが不慮の事故で亡くなって早くも20周年を迎えるのですね。8月31日は命日であったとか。この特別展は、これを記念して開催されています。

 会場には、ダイアナ元妃が実際に身に着けた衣装25点が年代順に展示されていました。衣装の足元には、ドレスを着用した元妃の写真と解説を記したパネルが置かれていて、ドレスの背景がわかっていいなと思いました。

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 上の写真で手前のペパーミントグリーンのドレスは、デビュッタントドレスです。婚約する前の1979年、社交界へのデビューで着用したものだそう。レースのベールとベルベットのリボンが付いています。

 左下は、1981年、ハネムーンで着用したツィードのスーツです。英国伝統のカントリースタイルです。飾らないダイアナ妃らしい普段着です。
 右下は、1985年のイタリア公式訪問の際の装いです。80年代の流行を採り入れたボックスシルエットのコートとスカートのスーツで、グリーンに黒のタータンチェック使い。

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 スタイル画も多数展示されています。

Img_11551  1992年、インド訪問のときのイブニングドレスです。キャサリン・ウォーカーのデザイン。
 ボディスには、インド伝統のモチーフをあしらった刺繍が施されています。

 1986年、日本に来たときに贈られたキモノを羽織った姿の写真もありました。 

  90年代の優美なドレスたちです。
 本展のポスターに用いられたベルサーチェのデザインのものも展示されていました。

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Img_11601  1997年、子どもたちへのチャリティイベントで着用されたピンクのスーツです。
 子どもたちを元気づけようと、明るい色を選んだといいます。 


Img_11621 1997年、ボンドストリートへプライベートなショッピングに出かけた時のものだそうです。気品あふれる淡いブルーのサテンジャカードのドレスです。
 この年、事故に遭い、帰らぬ人となってしまったのですね。

 ドレスはいずれもシンプルそのものといったデザインです。プロポーションの美しい、ダイアナ妃でなくては着こなせないエレガントなドレスばかりでした。

 改めてダイアナ元妃の美しさに感動した展覧会でした。開催は来年2月28日まで。

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2017年9月18日 (月)

ロンドンV&A プライウッド(合板)の展覧会

  ロンドンのヴィクトリア&アルバート(V&A)ミュージアムでは、昨日のこのブログに書いたバレンシアガ展と同じフロアーで、プライウッド(合板)展が開かれていました。
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 軽くて強い、デザイン性のある曲面をつくり出せる合板は、現代に欠かせない実用的な材料といいます。ベニヤ板も合板で、普通によく使われていますね。

Img_12391  その歴史は古く、何と古代エジプトにまで遡るそうです。

 右は、誕生した頃の自動車です。合板でつくられていたことがわかりました。
 昔の飛行機も合板製だったといいます。

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 お馴染みのチェアです。
 木なので、よくしなり、様々な形をつくり出しています。初のスタッキングチェアも合板でつくられたといいます。
 自然な和み感が心地よいですね。

 約120もの合板のオブジェを展示している、なかなか見応えのある展覧会でした。会期は11月12日までです。

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2017年9月17日 (日)

ロンドンV&A バレンシアガ展 現代性あふれる造形美

  パリへ向かう途中、ロンドンに立ち寄りました。 Scan0551 いつものようにショップリサーチをするかたわら、ヴィクトリア&アルバート(V&A)ミュージアムに行き、開催中のバレンシアガ回顧展「Balenciag: Shaping Fashion シェイピング・ファッション」を見てきました。

 伝記によると、クリストバル・バレンシアガは1895年スペインのバスク地方ゲタリアで裁縫士の息子に生まれ、サン・セバスチャンにブティックを開店、スペイン王室と王侯貴族を顧客にマドリッドやバルセロナに支店を開いたのですが、スペイン内乱の影響でパリに移住し、1937年にオートクチュールのメゾンをオープンしました。
 本展は、バレンシアガのアトリエ開設100周年、初のオートクチュールから80周年を記念する回顧展であるとのことです。
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 バレンシアガといえば、戦後のパリのオートクチュール黄金時代をクリスチャン・ディオールとともに築いた巨匠で、 「クチュリエ界の建築家」とか「はさみの魔術師」、「クチュールのピカソ」などと称されています。
  Img_11741jpg現代服のどこかには必ずバレンシアガのアイディアが表現されていると言われていますが、改めてその現代性あふれる造形美に感動しました。

 最初に目にしたのが、右の黄緑色シルクのドレスです。
 身体に対する抽象的な造形美にハッとさせられます。
 これこそ現代のデザイナーたちに、大きな影響を与えたデザインでしょう。
 前衛性が実に刺激的です。

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 上は「パーフェクト・ルーズフィット」のドレスたち。
 ケープのデザインを取り入れたイブニングドレスで、1963年の作品です。
 このシンプルな構築性、まさに先進的ですね。

Img_11861jpg  左はハーパース・バザーの伝説的編集者、ダイアナ・ヴリーランドが、ニューヨークのMETでの展覧会の折、バレンシアガの「ワンシーム・コート one-seam coat」を手に持って、紹介している写真です。

 ダイアナ・ヴリーランドは、バレンシアガを「シルエットの預言者」とも呼んでい.たといいますが、ほんとうにその通りと思います。

  この「ワンシーム・コート」はキモノのような平面構成のコートになっているのです。コーナーには、この型紙のミニチュアの紙の束が置かれています。この紙に描かれた折り線通りに折って、切ると、オリガミコートがつくれるようになっていました。
Img_11881_2  みんな一生懸命、指先を動かして、紙を折っていました。私も体験してみたのですが、それほど難しくはなかったです。  バレンシアガのパターンの先見性が、これでまた一つ、わかった気がしました。

 「キモノ・クチュール」も興味深かったです。
Img_11911jpg 日本のキモノを、バレンシアガに紹介したのはマドレーヌ・ヴィオネだそうです。当時ヨーロッパでは、日本の浮世絵が人気を集めていたのですね。
 バレンシアガは、1939年に初めてキモノ・スリーブを採り入れたドレスを発表したといいます。
 右のドレスは、1958年に発表したカクテルドレスです。
 袖はキモノ袖で、オビのようなベルトを締めて、ウエストをほっそりと見せています。
 キモノのディテールを使っていますが、キモノらしさを感じない、モダンな感覚に仕上がっていて、さすがクチュールの技! 美しいです。

 二階に上ると、そこにはバレンシアガの影響を受けたデザイナーたちの作品がズラリと勢揃いしていました。ジバンシーやクレージュ、イッセイミヤケ、リック・オーエンスなど、錚々たる顔ぶれです。

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 上は、コム・デ・ギャルソンの川久保玲デザインのドレスで、1983年の作品です。

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 上は、現在バレンシアガのアーティスティック・ディレクターをつとめるデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)による2016年コレクションのスーツ作品で、バレンシアガのアーカイブにヒントを得たといいます。

 なお展覧会は来年2月18日までの開催です。会期は長いので、訪れてみてはいかがでしょう。

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2017年9月15日 (金)

エマニュエル・ソーニエ展「セロニアス・モンクに捧ぐ」

 銀座のメゾンエルメス フォーラムで開催中のエマニュエル・ソーニエ展、そのギャラリーツアーに参加しました。

1x_3  エマニュエル・ソーニエといっても、確かになじみがありません。日本での個展は初めてだそうです。
 ガラスを用いた作品で知られる彫刻家で、1952年パリ生まれ、トルコのイスタンブールへも行き来し、パリ国立高等美術学校で教鞭もとっているといいます。

 テーマは「ATM tempo I/II/IIIセロニアス・モンクに捧ぐ」です。セロニアス・モンクはアメリカの有名なジャズ・ピアニストですね。なぜモンクに捧ぐなのかというと、あるとき聞いた彼の即興演奏に感動したからだそうです。彼へのオマージュを作品として表現したかったのだといいます。
 「ATM」の頭文字は「ア・セロニアス・モンク(A Thelonious Monk)」のことだったのですね。

 展覧会は大きくtempo I/II/III の3部構成になっています。

 tempo Iは、森の木の枝を燃やして形作ったインスタレーションで、一つひとつが不思議な形をしています。1_2 あるものはトカゲのような爬虫類のようにも見えます。
 壁には大きく「ATM」の文字が描かれていて、文字をよく見ると、吹きガラスの細いチューブでできていました。ガラス細工が得意なソーニエらしいです。(写真はエルメス公式サイトより)

 tempo IIは、個人コレクションで、家族や親交のある作家たちの作品が展示されています。

 tempo IIIには、3つの大きな彫刻が置かれています。手前は、台座の上に太いガラス管をいくつも並べたインスタレーションで、ガラス管には水が満たされているそうです。タイトルは「キー(Keys)」で、言われてみればピアノの鍵盤のように見えます。
 真ん中は、「トランス(Trans)」で、円盤に尖った串を直立させたもの。突き刺す側と受け入れる側を暗示させるといいます。
 その奥にあるのが、「ブル(Boule)」と名付けられた作品です。「玉」や「泡」を「ブル」といいますが、これは魚を獲る魚籠のようでもあります。不安定な人の世を映し出しているのかもしれません。

 セロニアス・モンクが1963年に来日したときの映像も流れています。
 開催は10月31日まで。ジャズに興味のある方、必見でしょう。

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2017年9月14日 (木)

「浅井忠の京都遺産」展 洋画家で教育者の足跡を辿る

 東京・六本木の泉屋博古館分館で9日から始まった「浅井忠の京都遺産」展の内覧会があり、行ってきました。副題は京都工芸繊維大学美術工芸コレクションです。
 浅井忠は、明治時代、黒田清輝らと並ぶ日本洋画壇を率いた画家だったといいます。1900年にパリ万博を訪れ、全盛期のアールヌーヴォーに触発されて、デザインに興味を持つようになります。パリ滞在中に京都工芸繊維大学の前身であった京都高等工芸学校の中澤岩太校長に誘われ、帰国後同校の図案科教授として教育者の道を歩むことになったのだそうです。

 本展は、この浅井忠の足跡を辿る特別展で、3章構成になっています。
 とくに晩年の5年間の作品や、京都工芸繊維大学で教鞭をとったときに用いたという、欧米の工芸品などの教材が多数紹介されていて興味深かったです。

 第1章は、「はじまりはパリ、万国博覧会と浅井忠」です。
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Img_09721jpg  アルフォンス・ミュシャの「椿姫」のポスターや、ティファニーの花形ガラス瓶や海藻モチーフの花瓶などが展示されています。


Img_10281_2  エミール・ミュラーのマットな釉薬の作品もあります。
 それにしても釉薬によってこれほどに色彩や光沢が変化するとは!
 釉薬が醸し出す美しさ、すばらしいです。


 第2章は、「画家 浅井忠と京都洋画の流れ」です。
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 パリに行き、水彩画を描くようになったときの作品や、武士山狩図の油彩画の大作にも圧倒されます。
 弟子の鹿子木孟郎らの洋画も展示されています。

 第3章は、「図案家浅井忠と京都工芸の流れ」です。
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Img_10041  植物の図案が多いですが、動物のイノシシや七福神、古代エジプト、オリエント風のモチーフ、また鬼ヶ島の桃太郎伝説に因んだものなど、多彩なことに驚かされます。

 写真は美術館より特別許可を得て撮影しています。
 開催は10月13日までで、ゲストトークやロビーコンサートなどイベントも盛りだくさん。関心のある方はどうぞお早めにお出かけください。

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2017年9月13日 (水)

ヨコハマトリエンナーレ2017 ⑶ 社会へのメッセージ

 ヨコハマトリエンナーレ2017で感じたのは、作品に込められたアーティストの社会への思いです。社会へのメッセージが伝わってくる、ストーリー性のある作品が多く見られました。
 とくに横浜開港記念会館の地下スペースで行われている柳幸典のインスタレーション、「プロジェクト・ゴジラ(Project Godzilla)」は、強烈な文脈で迫ってきます。会場は少し離れていましたけれど、行ってみる価値ある展示と思いました。

20170826170116imgp27111jpg  暗い闇の中を進んでいくと、ギロッと光るゴジラの目が現れます。
 ビキニ環礁での水爆実験で突然変異したというあの空想上の怪獣、ゴジラががれきの中に隠れているようです。
 それにしても大きな目です。瞳の中にはキノコ雲が映し出されていました。

 次に赤い光に照らされたコーナーに出ます。
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 日本国憲法第9条の条文が、バラバラにされて、傾いていたり、ときに逆さまになったりして設置されています。
 第9条の墓場 ということなのかもしれません。

20170826170452imgp27151  最後に出会うのが、ギラギラと輝くオレンジ色の球体です。マグマが噴き出しているかのようです。これは核戦争後の地球の姿なのでしょうか。
 核の恐怖を静かに発信している力作です。 

 横浜開港記念会館近くで併催されているヴァンクアート・スタジオNYKにも行ってみました。ここは日本郵船の倉庫だったところだそうで、建物自体おもしろいつくりです。
 注目は3階の「花と海と光」の設置型アートでしょう。
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  レジ袋でつくったという無数の花は「無音花畑」という丸山純子の作品です。それに高橋啓祐による青い渚のプロジェクションマッピングが組み合わさって、コンクリートの無機質な空間をドリーミーに演出しています。
 ここも一見の価値ありと思いました。

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2017年9月12日 (火)

ヨコハマトリエンナーレ2017 ⑵ 赤レンガ倉庫も楽しい!

 巡回バスで、赤レンガ倉庫1号館へ行きました。大型展示や体験のできるスペースもあって楽しいです。

 中でもびっくりしたのが、宇治野宗輝の「プライウッド新地」です。
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 暗闇の中で、突然灯りがつき、ミュージックが鳴り始めます。でも楽器を演奏しているのは人ではなく、ヘンテコな機械です。まるで意志があるかのように動き出すので、ポルターガイスト現象?と錯覚させられます。
 機械といっても古い電気製品やミキサーなどの調理器具、自転車、ギター----を集めたもので、人間の手のように見えるのは、車のワイパーでした。ダンスでもしているように見えます。
 かつて日本にもたらされたアメリカ文化をユーモラスに表現した作品とか。それにしてもホント、愉快なパフォーマンスを見せてもらいました。

Img_07171  アイスランドのラグナル・キャルタンソンによるミュージック映像によるインスタレーションもおもしろかったです。
 いくつもの巨大スクリーンが設置されて、それぞれがミュージックを奏でて、一つの音楽をつくっています。ミュージックを立体的に体感するとはこういうことをいうのでしょう。
 でも映像に映っているのは演奏している人ばかりではありません。寝転んでいたり、浴槽に浸かっていたりする人もいます。お風呂に入っているのは、作家自身だそうで、これも驚きです。

Img_07121jpg  ドン・ユアンの「おばあちゃんの家」も印象的です。
 部屋の中にあるのはすべて絵です。家財道具からテーブルの料理まで、細かく描かれています。作家は中国人で、この祖母の家は、取り壊されることになっているのだそうです。祖母との楽しい思い出を描くことで、失われていくものを残そうという試みに拍手を送ります。

 この他、ほんとうにたくさんの作品が続々で、とてもご紹介しきれません。

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2017年9月11日 (月)

ヨコハマトリエンナーレ2017 ⑴ 「島と星座とガラパゴス」

 3年に一度の現代アートの祭典、「ヨコハマトリエンナーレ2017」が今、横浜美術館や赤レンガ倉庫1号館、横浜市開港記念会館ほかの会場で、11月5日まで開催されています。

 テーマは「島と星座とガラパゴス」で、メインテーマは接続と孤立です。接続は世界のグローバル化を、孤立は紛争や難民、ポピュリズムの台頭を指しているといい、「世界の今を考える」という深い意味がこめられているといいます。
 タイトルの「ガラパゴス」は、ご存知の通り赤道直下にあって島の中でも独自の進化を遂げた島です。これはアーティストを暗喩するキーワードでしょう。でもこれらの島々は、決して孤島ではありません。海でつながっているのです。かれらアーティストたちは今、横浜で星座のように結び合い、作品を通してメッセージを発信しています。それが大変興味深く、刺激的でした。

 会場別に印象に残った作品をご紹介しましょう。

 まず横浜美術館です。ここは本展の中心会場です。
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Img_05511  正面外壁には、窓枠のように救命ボートが張り付き、メインゲートの柱には、天高く無数の救命胴衣が飾り付けられています。

 胴衣は実際に難民がギリシアのレスボス島にたどり着いたときに着用していたものだそうです。

 これはアイ・ウェイウェイの「安全な通行」という作品で、来場者は皆このタイトルのように安全に:ゲートを通り抜けます。 

 入場すると待ち受けているのが、この巨大な竹製のゆがんだオブジェです。
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 インドネシアのジョコ・アヴィアントが、注連縄(しめなわ)から発想し、2000本ものインドネシアの竹を独自の手法で編み上げたものだそうです。失われつつある伝統文化を表現しているとのことで、しばし考えさせられます。

 今回は一人の作家が個展のように複数の作品を出品しています。
Img_06211jpg  中でも心に残ったのが風間サチコの白黒の木版画です。
 右は「人間富嶽」と名付けられた作品。
 現代の不穏な空気感や、若者たちが抱いている不安感を映し出していて、ドキッとさせられました。

 思わずハッとしたのが、木下 晋の部屋です。
Img_06341 絵のタイトルは 「光の孤独」、「祈りの塔」----。
 緻密な鉛筆画は、ハンセン病回復者で詩人の桜井哲夫さんを描いたものだそう。以前にも平塚美術館で見たことがあり、衝撃を受けたことが思い出されました。 

 ザオ・ザオの「プロジェクト・タクラマカン」(写真下)です。
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 タクラマカン砂漠の真ん中に、高圧電線や冷蔵庫を配して、冷えたビールを飲もうというインスタレーションです。
 タクラマカン砂漠があるのはウイグル地区で、この地区は作家の出身地といいます。ここは民族紛争の舞台でもあり、アートを通してそのことを茶化しているようにも思えます。

20170826111818imgp26471  フィリピンのマーク・フイティニアーニの作品、「トンネル」。
 無限のブラックホールに吸い込まれるような感覚に襲われます。

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2017年8月28日 (月)

ストリートの主役 プリントTシャツの起源求める展覧会

 今やストリートファッションの主役となったプリントTシャツ。Img_04801その起源を求めて、 というコピーに惹かれて、東京・渋谷のDIESEL ART GALLERYで開催されている「センシビリティ アンド ワンダー(SENSIBILITY AND WONDER)」展に行ってきました。

 これは英国出身のジョン・トーヴとテキスタイルデザイナーのモーリー・ホワイトという二人のアートユニットによる日本初の個展です。
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 ギャラリー中央に巨大なプリントTシャツのインスタレーションが設置され、その周りの壁には、パンクにインスパイアされたアート作品がズラリと展示されています。
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Img_04841  二人は1960年代後半、初めてTシャツにスクリーンプリントで、当時人気のアーティストのポスターをプリントしたといいます。例えばデヴィッド・ボウイ(David Bowie)やイギー・ポップ(Iggy Pop)、シド・ヴィシャス(Sid Vicious)----らです。このグラフィックなプリントTシャツは、多くのアーティストたちに愛され、世界中の人々に親しまれるようになります。
 Tシャツという民主的なアイテムのおかげで、パンクなイメージ・ヴィジュアルを、誰もが手ごろな価格で手に入れることができるようになったことも大きかったでしょう。反逆のメッセージを伝えるのに、Tシャツほどぴったりなアイテムはありません。

 ストリートファッションの発祥は、彼らのつくったTシャツにあった、といわれる所以がわかる展覧会です。開催は11月9日までです。

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2017年8月21日 (月)

「ジャコメッティ」展に行ってきました!

 先日、東京・六本木の国立新美術館で開催されている「ジャコメッティ」展(このブログ2017.8.1付けで予告)に行ってきました。
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 全体に高さ1mくらいのどちらかというと小さい彫刻と、素描や版画が多いです。12頭身?と思うような、ひょろりと細長い、なかには針金みたいな小像もあって、不思議な気分にさせられます。日本人哲学者、矢内原伊作をモデルとしたスケッチもじっくり拝見しました。何度も描き直したようなタッチが独特です。

 とくに印象的だったのは、「ベネツィアの女」シリーズで、9体揃っての展示は圧巻でした。
 「鼻」という作品の長い鼻は人間の傲慢さを表現しているのでしょうか。
 またドッグ&キャットも。とくにキャットの胴体がやたら引き伸ばされて長いのも、なぜそこまで、と思ってしまいます。

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 写真撮影が可能だったのが、チェース・マンハッタン銀行からの依頼を受けて、ニューヨークの広場のために制作された3点の大作です。

Img_04531jpg  いずれも1960年に制作されたブロンズ像で、立像は2mを超える高さです。さすがに迫力がありました。

 右は、「大きな頭部」という題名の彫像です。

 左下はポスターやちらしに使われている「歩く男1」、右下は「大きな女性立像」です。
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 ジャコメッティは、作品を「見えるままに描いた」といいます。といえ「見える」とは形ではない心象風景で、ものの本質はすべて細長いゴツゴツしたものに収束する、ということのようです。
 ジャコメッティが見たもの、それが何なのか、私にも少し理解できた気がしました。
 
 このジャコメッティ展、開催は9月4日まてです。

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