文化・芸術

2018年7月10日 (火)

没後50年「河井寛次郎展」 民藝運動の軌跡とともに

 「河井寛次郎展―過去が咲いている今、未来の蕾で一杯な今―」が、東京・港区のパナソニック汐留ミュージアムで、先日7日に開幕しました。このプレス内覧会に参加してきました。
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 本展は近代陶芸の巨匠、河井寛次郎の没後50年の回顧展です。内覧会では監修された河井寛次郎の孫で河井寛次郎記念館学芸員の鷺 珠江氏とパナソニック汐留ミュージアム学芸員の岩井美恵子氏によるギャラリートークがあり、お二人の解説を伺いながらご案内していただきました。

 河井寛次郎は、濱田庄司や柳宗悦と親交を結び、実用を重んじた力強い作品を生み出し、民芸運動を推進していった作家です。本展はその軌跡をたどる展覧会でもあり、河井寛次郎が制作・収集した陶芸、木彫、書、調度品など約130点が紹介されています。

 パナソニックの創業者である松下幸之助は、寛次郎作品を愛好し、文化勲章に推薦したそうですが固辞、また人間国宝にも推挙されたのですがこれも辞退したといいます。「暮らしが仕事、仕事が暮らし」、「ひとりの仕事でありながら、ひとりの仕事でない仕事」など、人生を思索する詩作や書など、その高潔な人物像が偲ばれました。

Img_13551jpg (右) 呉洲刷毛目大壺   (左) 三色打薬双頭扁壺 昭和36年頃の作品。

Img_13791 (左) 鉄釉抜蝋扁壺 昭和18年頃の作品。

Img_13691  戦後は木彫制作にも力を入れたといいます。上の写真は手のひらに球をのせた木彫像です。寛次郎は丸いもの、球体が好きだったといいます。

Img_13901  書と絵、そして人生をうたった詩作に心を打たれました。

Img_13831  真鍮素材によるキセルのデザインも楽しんだそうです。ちなみに寛次郎自身は愛煙家ではなかったとか。

 この他、寛次郎が愛用した品々も多数展示されています。

Img_14071  同館一階のパナソニックショールームには、寛次郎のろくろのある仕事部屋が再現されています。
  (写真は特別な許可を得て撮影をしております。)

 なお会期は9月16日まで。詳細はhttps://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/18/180707/index.htmlをご覧ください。

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2018年7月 9日 (月)

ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界展に見る歴史と技

 今、三菱一号館美術館で開催中の「ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界」展に行って来ました。副題に「1780年パリに始まるエスプリ」とあるように、ショーメはパリのヴァンドーム広場に軒を連ねるジュエラーのなかで、もっとも古い歴史を誇っています。

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 展覧会は5章構成になっています。

 第1章は“歴史の中のショーメ”です。皇帝ナポレオンと皇妃ジョゼフィーヌの肖像画が飾られています。二人はそれぞれショーメのジュエリーを身に着けて描かれています。これでショーメが皇室ご用達として知られるようになったことがわかります。  

Chaumetmitsubishi ここではその技と歴史が、絵画と比較しながら鑑賞できるようになっているのです。背景など理解しやすい展示法がいいなと思いました。

 第2章は“黎明期のミューズ”です。皇妃ジョゼフィーヌと王妃オルタンス、皇妃マリー・ルイーズが身に着けたジュエリーが展示されています。
 右のちらしに掲載されているティアラは、ジョゼフィーヌが豊穣を願って注文したという、麦の穂のティアラです。また王妃オルタンスのオルタンシア(アジサイ)の花のブローチなどもあり、魅了されます。当時は古代風が流行ったこともあり、人気のカメオも出品されています。

 第3章は“戴冠!ティアラの芸術”で、ここが本展のメイン会場となっています。
Img_13251jpg パンジーのティアラ(写真右)や、フクシアのティアラなど、13カラットのダイヤモンドのついたものなど、ズラリと並んだティアラの数々に圧倒させられます。
 ティアラの中には、とり外してネックレスやペンダント、ブレスレットなどにも使うことができるようになっているものもあり、そうした繊細な細工の技術にも驚嘆しました。

 第4章は“旅するショーメ”です。時間旅行や水平線の彼方の新たな世界をテーマにしたジュエリーを目にすることができます。

 第5章は“自然を披露する”で、フロスト仕上げのクリスタルによる蛸の足など、様々な生き物のモチーフが見られて楽しい!

 最後の展示室がジャポニズムです。桜吹雪のプロジェクションマッピングが美しいコーナーになっていて、雷神のブローチなどがディスプレーされています。

 ショーメが未来に向けて創作を続けている様がよくわかりました。
 このゴージャスな展覧会、会期は9月17日までです。

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2018年7月 8日 (日)

アンティーク・レース展 ダイアン・クライスコレクション

 この春夏もレースが流行っています。パンツの上に重ねたスカートにレースが使われるなど、カジュアルにスポーツウェアに、様々なアイテムで見られるようになりました。これらのレースはほぼ機械レースか、あるいは化学的に処理されたケミカルレースです。
1_2 機械がなかった昔は、人間の手でつくられてきました。それが手工レースで、アンティーク・レースと呼ばれています。その技術は現在ではほとんど失われてしまい、再現は不可能といいます。
 このアンティーク・レースのコレクターで鑑定家でもあるダイアン・クライス氏の「アンティーク・レース」展が今、東京・渋谷の松濤美術館で開催されています。展示されているのは、同氏の膨大なコレクションの中から、16世紀から19世紀のレース全盛期の作品を中心にした約170点です。

Img_12951 先日、記念講演会が行われ、本展を監修された大阪成蹊短期大学教授 百々徹氏が、「21世紀におけるアンティーク・レースの魅力」と題して講演されました。その概要を以下にまとめてみました。

 まずレースの技法です。大きく二つあり、刺繍レースと組み物レースです。前者はニードルポイント・レース、後者はボビン・レース、糸巻レースとも呼ばれます。ニードルポイント・レースは、羊皮紙の上に下絵を描き、その上に職人がひと針一針刺し、そのモチーフをつないでつくったもの。ボビン・レースは、パスマントリー(房飾り)職人から生まれたもので経糸を三つ編みの要領で組んで網目状にしたものです。
 次にレースの歴史です。ニードルポイント・レースは16世紀のヴェネツィアで始まったといわれます。穴を開けてボタンホールステッチで止めたカットワークや、織り糸を引き抜くドローンワークが発展してニードルポイント・レースになっていったといいます。
 一方でフランドル地方で誕生したのがボビン・レースです。17世紀初頭にネーデルランド、すなわちオランダが独立します。フランドル地方はその南部です。北部は亜麻の産地で、布地や糸の漂白で古くから栄え、この二つの技術が組み合わさって、真っ白なレースが生み出されます。
 ルネサンスから17世紀バロックに移る頃は、このイタリア産レースとフランドル産のレースが宮廷文化を席巻したといいます。17世紀後半になるとルイ14世が統治するフランスが台頭し、宮廷の装いにレースは不可欠なものとなります。フランス国産のレース産業が奨励され、ヴェネツィアのレース職人が招聘されて、アランソンなど各地に王立工場が建てられます。そこからポワン・ド・フランスといわれるニードルポイント・レースがつくられていくことになります。
 18世紀、レースは技術的にも意匠的にも最高峰に達し、手工芸の粋を極めます。
 それが19世紀になると市民社会の到来で、機械による安価なレースが求められるようになり、手工レースは衰退していくのです。とくに分業でつくられてきたニードルポイント・レースは、今ではもうほとんどないといいます。しかしメヘレンのレースなどボビン・レースは、一人の職人がおびただしい数のボビンを使用してつくることもあって、細々ながら続いているとのことです。
 さらにレースの着衣学についても触れられました。18世紀に流行した袖飾りのアンガシャントにレースがたっぷり用いられたのは、ピアノを弾くときに袖口を優美に見せるためだったそう。貴族の女性の必需品だったレースの扇はコミュニケーションツールだったというお話しなど、興味深かったです。
 最後に、現代テクノロジーとレースに対する見解を語られました。今では3Dプリンターでアンティーク・レースそっくりのものもつくれるようになりましたが----、しかしそれだからこそ、「本物が価値を持つ」との言葉が印象的でした。「レースは今ひとたびの人間賛歌である」と述べられて講演を締めくくりました。

 レースについて知らなかったことが多々あり、後で実物を拝見して、職人たちの手の痕跡に改めて畏怖を覚えました。
 なお展覧会は今月29日までです。私たちが目にするものとは一線を画したアンティーク・レースの数々。その美と技に関心のある方は、どうぞお早めに。

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2018年6月26日 (火)

横尾忠則が手がけたISSEY MIYAKEパリ・コレ招待状展

 今日から1週間、銀座・森岡書店で、横尾忠則が手がけたISSEY MIYAKEパリ・コレ招待状展が行われています。ここは、書店とはいいながら「1冊の本だけを売る」ちょっと変わったギャラリーです。今週は小池一子・著『イッセイさんはどこから来たの? 三宅一生の人と仕事』(このブログ2月1日付けの関連記事参照)を販売しています。
 展示は、この書籍の発売記念として行われているもので、本書には横尾忠則による、1977年から1999年までのイッセイ ミヤケ パリ・コレクションの招待状が収録されています。

Img_12831jpg  今回はその中から厳選された10数点が出品されて、壁面を彩っていました。

 この本のトークイベントがあった折り、横尾忠則は最初の15年間ずっと三宅一生の顔をモチーフにしたそうです。
Img_12751jpg コンピューターに興味を持つようになり、写真をコンピューターグラフィックで作品にしたといいます。封筒も特注でつくったと伺いました。
 それにしてもそんなに長期間、いつも三宅一生の顔だったなんて、さすが盟友ならではのお話しですね。

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 現品を見るめったにない機会です。気軽に体感しに行かれてみてはいかがでしょう。

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2018年6月25日 (月)

「デヴィッド・ボウイ浮世絵展」 あの大スターが浮世絵で

 今、「デヴィッド・ボウイ 浮世絵」展が、表参道のBOOKMARCで開催されています。
 そのオープニングの人出がすごくて、さすが大スターですね。
 親日家として知られるデヴィッド・ボウイへのオマージュ展で、浮世絵プロジェクトの第3弾だそう。現代のスターを伝統木版画で表現し、浮世絵職人の技術を伝承しようというものです。

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Img_12511  発表された作品は2つあり、写真上はその一つです。ちらしにも使われている作品で、ロンドン出身の写真家テリー・オニールによる「ダイアモンド・ドッグズ」プロモーション撮影時の写真(1974年)をモチーフに、曲独楽(きょくごま)の芸を披露する藤次を演じるボウイを描いたもの。

Img_12581  もう一つは右で、英国人の写真家ブライアン・ダフィが手がけたアルバム「アラジン・セイン」(1973年)のジャケット撮影で撮った写真を用いたもの。
 ボウイが大蛇を操る鬼童丸の姿で表現されています。

Img_12521  壁にはボウイの有名な写真も。

Img_12711  また浮世絵ならではの手仕事がわかるパネルも展示されています。版木や小刀、顔料なども見ることができます。

Img_12681jpg  実演コーナーもあり、摺師の職人が和紙にバレンで摺る技を指導してくれます。
 浮世絵が精巧な職人技でつくられていることを改めて実感させられます。

 なお今回制作された2作品はいずれも108,000円、限定200点で販売されているとのことです。開催は7月1日まで。

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2018年6月 2日 (土)

「うるしの彩り―漆黒と金銀が織りなす美の世界―」展

 今、東京・六本木の泉屋博古館分館にて開催中の企画展「うるしの彩り―漆黒と金銀が織りなす美の世界―」、その内覧会に行ってきました。
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 漆は器などで身近に使われていますけれど、工芸美術品として触れる機会はあまりありません。本展では近代から現代までの金銀蒔絵や螺鈿、彫刻----など、変化に富んだ華麗な漆工芸の住友コレクションが紹介されています。
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Img_09841_2  その見どころをご案内していただいたのが、同館学芸員の森下愛子氏です。
Img_09871jpg  まずはコレクターだった住友春翠が好んだという能の楽器、鼓や笛に見られるものを見せていただきました。
 右は、小鼓に吉祥柄、たとえば鯉の滝登りや鳳凰といったモチーフの蒔絵を施したものです。
 楽器と漆は繋がりが深いのですね。

 次に香道の香合や茶道の棗などといったお道具に見られる漆工芸のコーナーです。
Img_09951jpg  右は足利義政ゆかりの香合で、明時代の中国から伝わったものだそう。
 日本では漆に金銀などの金属粉を蒔く蒔絵の技法が独自に発展したといいます。
 ちなみにこの朱の台皿は日本製とのことです。

Img_09981  上は桃山から江戸時代にかけての典型的な香箱です。
 これは特別参加された目白漆芸文化財研究所 代表取締役の室瀬智弥氏がとくに気に入っているという逸品です。黒漆をバックにした平蒔絵で、あわびの螺鈿細工が入っている華やかなものです。漆の接着効果を駆使して鉛など様々な素材を組み合わせ、光らせたり、鈍く見せたり---、技術的にも注目されるといいます。

 次に泉屋博古館の京都本館の学芸員 外山 潔氏から、中国や琉球の作品を解説していただきました。
 中国の漆工芸は彫漆といい、漆を塗り重ねた層に彫刻刀で文様を彫り込んでいく技法で、見た目からして日本とは異なっているのが興味深かったです。

Img_10131_2  上は中国の皇帝のシンボルだった龍を彫ったお盆です。龍は本来5本指でなくてはならないのですが、これは指が4本しかありません。民間に流出した際、1本削り取られたのではないかとみられているそうです。
 中国ではこのような漆器がたくさんつくられたのですが、今では日本にしかないといいます。理由は中国では漆器が消耗品としてぞんざいに扱われたのに対し、日本では舶来品として珍重され、大切にされてきたからだそう。

Img_10241  18~19世紀の琉球漆器で、朱漆に金箔を貼った箔絵の技法のもの。琉球ではこのような日本人好みの中国風の作品がつくられ、日本への献上品として用いられたそうです。

 この他、明治政府が力を入れたという超絶技法の漆芸作品など、すばらしい作品揃いです。
 なお写真は美術館より特別に撮影の許可をいただき掲載しています。
 本展は7月16日まで。詳細はWEBサイトhttps://www.sen-oku.or.jp/tokyo/program/をご覧ください。

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2018年5月29日 (火)

ひと・人・ヒトを幸せにする広告展 心温まるCMに感動

 汐留・アドミュージアム東京で開催されている「ひと・人・ヒトを幸せにする広告 -F751e5a92596654bc741958b0c3085ef396 Good Ideas for Good II- 展」に行ってきました。

 これは2年前に開催した「世界を幸せにする広告」の第2弾だそうです。
 今では広告禍といってもいいほど、広告という雑音があふれていますが----。こうしたなかで「世の中を幸せにする」という視点でつくった広告コミュニケーションを紹介したところ、大きな反響があり、これが本展開催につながったといいます。

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 テーマは「Humanity(人間性)」で、いわゆる障がい者や貧困、女性などマイノリティと呼ばれる方々をベースにしたCM作品が中心です。
 「こころをはだかにしてみよう。」、「知らず知らず傷つけてるなんて知りませんでした。」、「つめたくするのは人間、あったかくするのも人間。」などの印象的なコピーとともに、全部で56本の作品が視聴できるようになっています。いずれも「社会をよくしよう」というものばかり。その心温まる内容に感動です。
 スポンサーとなった企業名も、「こうこく(広告)」と「こうふく(幸福)」をかけあわせた「こうこくは こうふくのそばにいなくちゃね。」のコピー通り、控えた表現で、広告主の良心を感じさせられました。

Img_07611  ファッションに関連するCMでは、「ボー・ギルバート:100歳のモデル」が魅力です。英国ヴォーグ誌(2016.5)が出稿したハーヴェイ・ニコルズのキャンペーンに登場した史上初の100歳の女性にスポットを当てたものです。まさに「歳をとることがカッコといいなぁ。」です。
 コンゴ共和国の社会運動家たちのドキュメンタリー、ギネスの「サプール」も心惹かれるトピックでした。おしゃれすることは平和の証です。

 この他もっとたくさん、深刻なものや考えさせられる内容のものがつまっています。
 開催は7月14日まで。

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2018年5月16日 (水)

「カディ インドの明日をつむぐ」展 マルタン・シンを偲ぶ

 先日、21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「Khadiインドの明日をつむぐ- Homage to Martand Singh-」展に行ってきました。
Cpr_2018apr09_01  「Khadi (カディ)」とは、現在もインド各地で手紡ぎ、手織りによってつくられている綿布のことです。本展はこのカディなど幅広い文化復興活動で知られるマルタン・シン氏の偉業を偲ぶ展覧会でもあります。
 マルタン・シン氏はマブーの通称で親しまれた人物で、昨年逝去されました。インドの独立を指導したマハトマ・ガンジーの思想を継承し、カディを「自由の布」と呼んでいたといいます。
 イッセイミヤケで、私も大好きなHaaTは、インドのテキスタイルから発想するブランドです。1980年代にこのマブーとのコラボレーションがあって、このブランドが誕生したのですね。

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 企画監修をされたISSEY MIYAKEのテキスタイルディレクターの皆川魔鬼子さんによるギャラリートークにも参加しました。

Img_04241  上は、その屋外でのトーク風景です。白いカディを纏った皆川さんと同館キュレーターの川上典李子さんの対談形式で行われました。

Img_04201  右はチャルカ(糸車)です。インド独立の父、ガンジーが獄中でこのチャルカを回す写真はあまりにも有名です。
 トークショーで見た映像の中に、大勢の学生が無心にこのチャルカで、綿から一本一本、手で紡いでいるシーンがありました。もうまるでヨガの修行のようで、印象的でした。
 500番手という、信じられない細さのダッカモスリンは、こんな風に瞑想でもするようにゆっくりと手を動かすことで、績み出されたのですね。

Img_04221  展示されたカディで、300番手のものがあり、その極薄の繊細さに驚嘆しました。

Img_04591  上はカディの衣裳の展示です。このコレクションはマブーの依頼でアシャ・サラバイがデザインしたもので、インド独立のシンボルだったカディが、ファッション素材として定着したことを伝えているといいます。

 着れば着るほど風合いが増し、独特の美しさを育むカディ。インドのものづくりの精神に改めて大きな敬意を覚えた展覧会でした。
 開催は20日まで。興味のある方はお急ぎください。

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2018年5月13日 (日)

「エッフェル塔特別ライトアップ」プレス発表会

 フランスを代表するモニュメント、エッフェル塔が、日仏友好160周年を記念してパリで開催される日本文化・芸術の祭典「ジャポニスム2018」の公式企画の一つとして、今年9 月13 日、14 日の2 夜にわたり、特別ライトアップされます。
 手がけるのは、日本を代表する世界的照明デザイナーの石井幹子氏と同氏の長女でパリを拠点に活躍されている石井リーサ明里氏です。
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  先月17日、都内でプレス発表会が行われました。
 「エッフェル塔で日本を題材とした演出が行われるのは、初めて。日本の文化と最新テクノロジーを知っていただくまたとないチャンスになるでしょう」などと語られました。

 コンセプトは「エッフェル塔、日本の光を纏う」で、エッフェル塔が日本の美を表現する光の映像に包まれます。約10分間の構成で、オリジナル・サウンドとともに繰り返し上映されるといいます。
 そのプログラムとして2つ、一つは7分間の「自由と美、そして多様性」をテーマにした光のメッセージ、Scan0043もう一つは3分間のシンボリックイメージで、ここで映し出されるのが、「黄金の塔と国宝の燕子花図屏風(尾形光琳作)」だそう。
 右はそのシミュレーション画像です。

 あのパリのランドマークがこの秋、日本の美を表現する光のアートに包まれるとは! 何とワクワクさせられることでしょう。飛んでいきたい思いにかられます。

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2018年5月 6日 (日)

コンセプチュアル・クロージング 眞田塾展2018「快楽」

 「眞田塾」は、衣服造形家の眞田岳彦氏が、2003年に設立したデザイン塾です。眞田氏は昨日のブログで掲載した「七月七日会」の中心人物でもあります。
 その15周年記念となる「コンセプチュアル・クロージング 眞田塾展2018」が、先月の4月23日~29日、六本木のアクシスギャラリーで開催され、ギャラリートークに参加しました。
 テーマは「快楽」です。人工知能が進化し、シンギュラリティの到来が予見されている時代に、人は何をもって人としての幸福を享受するのでしょう。
 Img_99761冒頭、眞田氏が、「次の時代に向かう今、重要なキーワードは快楽」と挨拶。
 次いで5名の塾生が、それぞれの思いを込めて制作したインスタレーションについて語り合いました。主題が哲学的であるだけに、各人深く思い悩みながら制作されたようです。

 中でも最後にプレゼンテーションされた井上麻由美さんの作品が印象的でした。というのも一般的にポジティブに受けとめられる快楽を、ネガティブなものと捉えていたからです。発表は、井上さんのヨーロッパ出張と日程が重なり、スカイプを通して行われました。
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 テーマは「掻き消す」です。快楽への欲望は湧き続け、快楽により掻き消された痕跡だけが残される 、世界はそんな人々の欲望に満ちているという社会的メッセージ性の高い展示でした。
 Img_99801スクリーンには、ご自身の体の痒みを掻く行為などの映像が映し出されています。その前には数個の黒い巨大ゴミ袋が配置され、袋の中には空のペットボトルが押し込まれていたり、一万円札が大量に入っていたり。この袋は、福島の原発事故の除染で出た土や草木などを入れているのと同じ「フレコンバッグ」で、耐用年数は3~5年程度。それが行き場もなく環境を汚染しながら現在も増え続けているのです。
 いくら取り除いても永遠に消えない放射能汚染と、掻き消してもまた現れる一生逃れられない痒みを結びつけたインスタレーションで、その思いがけない発想に驚嘆させられました。

 中澤萌音さんは、透明液体樹脂を利用した色と光りが美しいインスタレーションを発表していました。これはゲド戦記の言葉に影響されて制作したものだそうです。
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Img_99951 本を読むことが好きで、快楽は空想と現実の世界を行き来する、その瞬間の隙間に湧き起こるといいます。
 現在も子どもの本の専門店に勤務されているそうで、右のように絵本からインスパイアされた作品も展示されていました。

 山崎広樹さんは、木材の可能性を追求し、草木染を仕事にしているそう。
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Img_00041  作品は、和紙をシワシワにし、その上にびっしりと模様を書いたものです。約1か月がかりで書いたという数百枚もの和紙をつなぎ合わせて仕立てた力作でした。
 快楽とは、制約のある場を書き埋める行為で、制約に対する反発力が快楽を与えるといいます。それにしてもほんとうにびっくり!のインスタレーションでした。

 山本佳那さんは過去の記憶が追憶へと変わるとき、快楽に包まれるといいます。
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 「リプレイス (REPLACE =更新)」をテーマに、花と透ける素材で構成された儚くも優しい展示を見せていました。花はドライフラワーにして記憶をとどめたそう。 

Img_00021  清野優奈さんは、ナチュラルな藍染めをポイントにした衣服造形作品を披露。
 徳島の阿波藍染の助手を務めていることから、人と関わり、存在を承認されることも快楽の一つといいます。

 5人5様の「快楽」の解釈と演出、アートな造形美---、若いエネルギーに圧倒されたすばらしい作品展でした。

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