文化・芸術

2021年6月20日 (日)

若槻せつ子「打掛」コレクション『絵を纏う』展

 ファッションディレクター若槻せつ子さんの「打掛」コレクション『絵を纏う』展が今、ポーラミュージアム アネックス・銀座にて開催中です。

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 ギャラリーには、豪華絢爛な打掛がズラリと展示されています。若槻せつ子さんが長い年月をかけて収集したコレクションの中から、1980年代後半から1990年代はじめに制作されたという13点です。バブル期だったこともあるのでしょう。どれも贅沢な素材や職人の技術が惜しみなく使われていて、目の眩むような美しさです。『絵を纏う』というように、1点、1点が一幅の絵画を見ているような、圧巻の展覧会でした。

Img_50881jpg  上は、国民的スターだった山口百恵さんが着用したのと同じ意匠の「5色老松飛翔鶴」と名付けられた打掛です。中央に目立つように飾られていました。白地の赤や緑の彩りが清楚で知的な印象の百恵さんらしいデザインです。
 
 打掛というと、現代では結婚式で新婦が纏う衣裳でもあります。その艶やかな衣裳には花嫁の幸せを願う気持ちや、長寿、家運隆昌、豊穣、生命の息吹、永遠の幸福への祈りを込めて、鳳凰、飛翔鶴、亀甲、御所車、松、四季の花々などの吉祥文様が織りや刺繍で丹念に表現されています。日本に息づく伝統美、その想いや意味を改めて見つめ直しました。

Img_50911   上は、ピカソ絵画をモチーフとした珍しい打掛です。金ラメを織り込んだ生地には、中国の手刺繍によるピカソの大きな人物画があしらわれています。ピカソの版権を取得して制作された、バブル期ならではの遊び心たっぷりの作品です。
 
 色とりどりの打掛を、ひとしきり堪能しました。会期は27日までです。

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2021年6月10日 (木)

色とりどりのカケラが広がる空間インスタレーション

 今、東京・青山のINTERSECT BY LEXUSで、「The Path of Color(カラーの道)」と題した空間インスタレーションが開催されています。
 展示空間には、ネットが空中に張られていて、そのネット上に色とりどりのカケラが広がっていて目をみはります。とっても綺麗!
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 これは小林弘和と山田春奈によるクリエイティブ・ユニット〈SPREAD〉に作品です。二人は、GW中に展覧会『SPREAD by SPREAD 明日は何色?』をスパイラルで予定していたのですが、緊急事態宣言により展覧会が中止となり、急遽方向性を再構築して制作したものだそう。
 この5月下旬には15周年記念の1st作品集「SPREAD by SPREAD」(青幻舎)を刊行し、その巻頭を彩っているのもこの新作インスタレーションです。特殊な活版印刷により、一つとして同じものがないグラデーションを鮮やかな発色で印刷し、手で千切った断片で構成されています。
 コロナ禍で変わった社会を明るく照らす、注目のアートワークです。

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2021年6月 9日 (水)

「ファッション イン ジャパン1945-2020―流行と社会」展

 いよいよ「ファッション イン ジャパン1945-2020―流行と社会」展が開幕しました。コロナ禍で1年延期され、島根県立石見美術館から巡回してきた展覧会です。
 内覧会に参加させていただきましたので、レポートします。

 本展は「もんぺからサステナブルな近未来まで、戦後の日本ファッション史をたどる、世界初の大規模展!」です。第二次世界大戦後、洋装が一般化して以降の日本ファッションの歴史を、デザイナーの作品や学生服、ストリートファッションのほか、流行を切り取った写真や広告など計約820点を年代順に展示しています。
 
 展示構成は下記のようです。ざっと展望してみましょう。
 
・プロローグ/1920年代-1945年 和装から洋装へImg_48441jpg  戦中の装い 国民服やもんぺ

・1945-1950年代 戦後、洋裁ブームの到来Img_48571   田中 千代 日本で初めてファッションショーを開催したデザイナー

・1960年代 「作る」から「買う」時代へImg_48881jpg   日本人デザイナー森 英恵、アメリカへ

・1970年代 個性豊かな日本人デザイナーの躍進Img_48991   山本 寛斎の「カンサイ ヤマモト」
 Img_49081_20210610182201   鳥居 ユキの「ユキ トリヰ」1976年春夏

・1980年代 DCブランドの最盛期
Img_49381jpg  価値観を覆した川久保 玲の「コム デ ギャルソン」 パリでの衝撃
 Img_49331  豊かに着飾った時代 菊地 武夫、ドン小西、津森 千里---
 Img_49571  一世を風靡したブランド、金子 功の「ピンクハウス」
 
・1990年代 渋谷・原宿から発信された新たなファッションImg_49901  高橋 盾の「アンダーカバー」
 Img_50141jpg  「ユニクロ」のフリースジャケット

・2000年~2010年代 世界に飛躍した「Kawaii」、そして「いいね」の時代へImg_50271jpg  ゴシック&ロリータファッション
 Img_50371  黒河内 真衣子の「マメ クロゴウチ」

・未来のファッション
Img_50451  中里 唯馬の「ユイマ ナカザト」

Img_50561  森永 邦彦の「アンリアレイジ」2021春夏

 「こんな服を着ていた」と懐かしく思うものから、現代のサステナブルなファッションまで、もう満載! 見ていてワクワクします。
 会期は9月6日まで。ぜひお出かけ下さい。

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2021年6月 8日 (火)

マチュウ・コプランによる展覧会という場の可能性

 マチュウ・コプラン(Mathieu Copeland)による日本初の展覧会「エキシビジョン・カッティングス(Exhibition Cuttings)」が今、銀座メゾンエルメス フォーラムで開催されています。5月23日から臨時休館していたのですが、6月2日より再開されたと知り、行ってきました。
 テーマは「カッティング」、つまり「切る」です。これには二つの意味があるとのことで、次の二つの展示空間で、展覧会という場の持つ可能性を問いかけていました。

 一つは《育まれる展覧会》です。Img_48041Img_48071
  目に飛び込んでくるのは、ホール中央に設置された植物を植えたプランターで、植物は「挿し木・接ぎ木」された甘夏みかんだそう。生命体が他の場所に移され、自らとは異質な存在と交わって生態系を織りなすことを指しているのだとか。フィル・ニブロックによる楽曲が響く中、自然農園の土と水、ガラスの窓から差しこむ自然光で、みかんの木はすくすくと育つことでしょう。植物は音楽が流れているとより成長が早いといいます。会期末の7月18日にはどんなに大きくなっているか、楽しみですね。

 もう一つは《アンチ・ミュージアム:アンチ・ドキュメンタリー》という映像作品です。スイス生まれのアーティスト、フィリップ・デクローザの絵画で始まる展示室で上映されています。
 アーティストが芸術行為として、あるいは自らの決断により閉鎖した歴代の展示を取り上げたドキュメンタリームービーで、コプランが2016年に単独でキュレートした展覧会「A Retrospective of Closed Exhibitions(閉鎖された展覧会の回顧展)」の記録です。コロナ禍、美術館や展覧会の多くが閉鎖を余儀なくされた現実と相まって、考えさせられました。
 
 伝統的な展覧会の役割を覆し、認識を刷新するような実践を続けているというコプラン。その世界をほんの少しですが垣間見て、静かな衝撃を覚えた展覧会でした。

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2021年5月26日 (水)

スペシャルトーク「『装苑』と日本のファッションと雑誌」

 企画展「ファッション イン ジャパン1945-2020-流行と社会」がこの16日まで、島根県石見美術館(グラントワで)開催されていました。本展は6月9日から東京の国立新美術館で開催の予定です。
 グラントワでは関連プログラムとして、スペシャルトーク「『装苑』と日本のファッションと雑誌」が行われ、オンラインにて配信されました。
81o4a30zgxl  『装苑』といえば洋裁の専門誌として新たな文化を一般に紹介したファッション誌の草分け的存在です。
 登壇したのは、同誌の編集者として活躍し、現在、京都清華大学特任教授の西谷真理子氏です。1960年代から1990年代に刊行された『装苑』から、とくに本展の図録(右)に寄稿された1960年代を軸に、ファッション誌の編集やそのあり方などを語っています。
 
 まずはその歴史から。『装苑』は1936年に創始された日本最古のファッション雑誌です。文化服装学院の教科書として誕生したので、おしゃれを楽しむというよりは服飾の研究誌であり、ファッションというより洋裁雑誌と言った方がよい内容だったといいます。
 戦後に復刊しますが、その基礎を創ったのは今井田勲さんで、文化出版局長として高名な方でした。今井田さんは1950年代に『装苑』を洋裁文化の中心的存在に押し上げます。1959年に従来の情報に飽き足らない層に向けて高級モード誌「ハイファッション」を、1961年に「ミセス」を創刊しました。『装苑』はより若い雑誌に変えていくように構想したといいます。
 次に主題の1960年代です。服づくりのための製図が付いている雑誌は、既製服よりも自分でつくったり、洋装店などで仕立ててもらったりしていた時代に重要な情報源だったといいます。
 この頃『装苑』で活躍したのが江島玉枝編集長で、お話しはこの江島さんを中心に展開しました。(たくさんのエピソードが語られ、1970年代にパリでお会いしたことがある私にとって、ほんとうに懐かしい思いでいっぱいになりました。)
 江島さんは『装苑』を、単に洋裁に役立つだけの雑誌ではない、もっと文化的な香り漂うものに変貌させていきます。ファニーフェイスのモデルを使ったり、アイビールックの女の子を登場させたり---、若者がおもしろがるものに目を光らせ、外に目を向けたファッション雑誌をつくろうと、周囲をリードしたそうです。
 彼女がつくった誌面やレイアウトを見せていただき、センス抜群で見る目、文才ともにすばらしい女性だった、と改めて感銘しました。
  
 1970年代になると既製服時代に入ります。服はつくるのではなく買う時代となり、雑誌の製図ページはなくなっていきました。
 ファッション雑誌も世につれ人につれ、変化していったのですね。でも『装苑』には1997年まで、製図があって服のつくり方を解説していたといいます。浮き沈みの多い業界にあって、そこには一本、変わらない筋のようなものが通っているようです。
 これからも息長く続いていって欲しいと願う、『装苑』はそんなファッション雑誌です。

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2021年5月21日 (金)

シャネル「ミロワール マンガ・ミーツ・シャネル」展

 東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールで、開催中の「ミロワール マンガ・ミーツ・シャネル (MIROIRS  Manga meets CHANEL ) Collaboration with 白井カイウ&出水ぽすか」に行ってきました。 「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)の人気作『約束のネバーランド』の原作者である 白井カイウ&作画家の出水ぽすかと、シャネルの協業による展覧会です。
Photo_20210521221201  日本の漫画は世界で高く評価されていて、『約束のネバーランド』もフランスに多くのファンがいるようです。その一人がシャネルで、白井カイウ&出水ぽすかにシャネルをインスピレーション源とした新たな作品を依頼したといいます。こうして書下ろされた作品が『ミロワール(MIROIRS =鏡)』です。
 本作を掲載したジャンプの発売日が4月30日で、この日に合わせて本展もスタートしています。

  タイトルについて、白井カイウは「『ミロワール(MIROIRS)に寄せて』の中で次のように記しています。
 <ガブリエル シャネルについて調べていく中で、彼女が語ったと言われる、「鏡は厳しく私の厳しさを映し出す それは鏡と私の闘い 私という人間をあらわにする」という言葉がありました。 避けられない”自分”そのものを映し、教えてくれる”鏡”。 今回、ガブリエルの数ある多面(と私個人が感じ取ったもの)の一部をモチーフにして、各章それぞれの物語を組み立てました。 ガブリエルの多面性を何枚もの鏡に見立て、また、ガブリエルのアパルトマンの印象的な鏡の数々をイメージして、タイトルは『ミロワール(MIROIRS)』にしました。>

 エントランスを入ると序章「ミロワール(MIROIRS)」です。コリドーには東京の夜景が映し出されています。
 展示はマンガの3つの章で構成されていて、章ごとに3つの部屋が用意されています。各部屋にはマンガ作品に込められたメッセージやシャネルの貴重な資料が立体的に表現されていました。

Img_44671  第1章は「Sorcieres  魔女」です。 

Img_44721jpg  第2章は「Menteuse  嘘つき」です。

Img_44591jpg  第3章は「 Corneille noir  カラス」です。

 
 マンガ作家とシャネルとの時代を超えた出会いを追体現---。たまにはこういうのも楽しいです。会場のつくりも、いつものことながらすばらしかった!
 会期は6月6日まで。入場は無料ですが、事前予約が必要です。

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2021年5月20日 (木)

八木華デザイナーの個展「fragments (切片)」

 若手美術家でデザイナーの八木華さんによる個展が、614日まで東京・目黒区の小さなギャラリーで開かれています。Img_44931
 テーマは「fragments(切片)」で、メインピースは繊細な白いレース使いのドレスです。
 Img_44851jpg 蚤の市で買い集めたようなアンティックレースが盛りだくさんに使われていました。材料は在庫処分市などで買い集めたというウエディングドレスや生地の残布、切れ端、端切れといいます。
 ゴテゴテした感じがないのは、ホワイト・オン・ホワイトでまとめているからでしょう。森の妖精のような神秘的な佇まいです。

 八木さんは、“ここのがっこう”出身で、2019年に欧州最大のファッションコンペティション 「ITSInternational Talent Support)」のファッション部門に弱冠19歳でファイナリストに選出されたといいます。そのときの作品は「リペア」で、日本の民藝にインスパイアされた「ぼろクチュール」が評価されたとか。青森「こぎん刺し」や「南部菱刺し」、裂き織といった修復技法がお得意のようです。

 棄てられていたものをアップサイクルしてアート作品に蘇らせる、そんな今という時代に注目すべき才能の一人と思いました。

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2021年5月17日 (月)

「Di_stance」展 アート×ファッションでコロナに対応

 「W HIROKO PROJECT(ダブル ヒロコ プロジェクト)」による「Di_stance(ディ スタンス)」展が23日まで、東京・神宮前のBLOCK HOUSEで開催されています。
 「W HIROKO PROJECT」は「ヒスイ(HISUI)」を手掛けるファッションデザイナーの伊藤弘子さんと、アーティストの岡田裕子さんが昨年4月に立ち上げたアートプロジェクトです。新型コロナ感染に揺れる社会と人々をテーマに活動を続けているといいます。

 本展ではアート×ファッションをキーワードにコロナに対応した作品を展示。タイトルの「Di_stance」は、社会的距離(distance)を取ることと、ダブルヒロコ(伊藤弘子さんと岡田裕子さん) のDiを掛け合わせた造語だそう。
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 それにしても行ってみてびっくり!しました。目に飛び込んできたのは、たくさんの巨大な突起を突き出したゴム風船型のオブジェです。突起はしぼんだり、ふくらんだりを繰り返しています。まるで伸縮運動をしている大きな生命体のようにも、また何かの細胞のようにも見えました。
 伊藤さんによると、この形状を変化させる服は、免疫細胞を表現しているそう。散りばめられたプリントのモチーフはよく見ると、Y抗体や様々なカタチの免疫細胞でした。

Img_45161jpg  マスク「TSUNAGARU MASK」の提案も目につきました。不織布などのフィルターを入れるポケット付きの布マスクです。販売もされていました。
 コロナに打ち克とうという思いを込めた展覧会、これでコロナ退散といきたいものです。

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2021年5月 1日 (土)

DESIGN MUSEUM BOX 森永邦彦氏“ハブラギン”展示

 先日、銀座ソニーパークで開催されていた「DESIGN MUSEUM BOX (デザイン ミュージアム ボックス) 集めてつなごう 日本のデザイン」展に行ってきました。(※本展は緊急事態宣言に伴い、4月24(土)までで終了してしまいました。残念です。)
 これは日本のデザインに新しい光を当てる展覧会でした。展示されていたのは、NHK番組「デザインミュージアムをデザインする」に出演した5人のクリエーターが各々見つけたデザインの「宝物」です。Img_44401jpg
 建築家の田根剛氏は、岩手の御所野縄文博物館「縄文のムラのデザイン」、デザインエンジニアの田川欣哉氏は、金沢の柳宗理記念デザイン研究所「柳宗理のデザインプロセス カトラリーを例に」、エクスペリエンスアーキテクトの水口哲也氏は、浜松のヤマハ イノベーションロード「トランスアコースティックピアノ 匠とテクノロジーの出会い」、映像作家の辻川幸一郎氏は日本玩具博物館「ぶちゴマ、そこから広がるさまざまなコマ」、そしてファッションデザイナーの森永邦彦氏は、奄美の宇検村生涯学習センター 元気の出る館/瀬戸内町立図書館・郷土館 「ノロの装束“ハブラギン”」を紹介、日本の各地にはすごい宝物が隠されていることを知りました。

 中でも感銘したのは、最奥に飾られていた森永邦彦氏による「ノロの装束“ハブラギン”」です。ノロとは、奄美地方の祝女(女性祭祀)で、“ハブラギン”とは祭事の際にノロが着用した衣装のこととか。3角形の布で構成されたパッチワークのきもので、コットンやシルク、柄と無地など異なる端切れが継ぎ接ぎされていて、何ともグラフィカルです。Img_44231jpg Img_44351
 この3角形のカタチには意味があり、“ハベラ”と呼ばれて蝶や蛾を意味し、霊魂が込められているといいます。つまり“ハブラギン”は、代々のご先祖様たちが着る人を守るという意志の詰まったデザインだったのです。
 森永氏は、服とは身を飾っておしゃれするだけではない、祈りや願いがカタチになったものでもある、といいます。
 Img_44281  上は森永氏がデザインしたパッチワークのジャケットです。光りを当てると一瞬にして光って柄が浮き上がるフォトクロミック素材が使用されています。まさに最新技術で現代に蘇った“ハブラギン”!
 
 新型コロナウイルスの脅威にさらされる今、ファッションデザインも“ハブラギン”のような目に見えないもの、人知を超えた存在へ向き合うことが求められているのかもしれません。

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2021年3月 9日 (火)

「輝板膜タペータム」落合多武展

 銀座メゾンエルメス フォーラムで開催中の「輝板膜タペータム」落合多武展を見てきました。落合多武はニューヨークを拠点に制作しているアーティストで、私も見に行ったことがある横浜トリエンナーレにも参加されているといいます。
 「輝板膜タペータム」は、夜行性動物の眼球内にある輝板のことで、網膜の外側にあり、暗闇の中のわずかな光を捉えて反射する機能を持つものだそう。猫の目が暗闇で光る現象は、猫がこの輝板を持っていて、それが反射するからといいます。ちなみに人間の視覚にはこの輝板がないそうです。
 「暗い場所で光を反射し続ける眼球は、見られるものに対して中間地点にいる」と落合氏は語っています。この展覧会は、つまり眼球の中の世界なのか、と不思議な気持ちになります。その上、本展は四半世紀にわたって落合氏が制作した幾つかのシリーズ《ashtray sculpture(灰皿彫刻)》、《Chopin, Op.97(ショパン、97分間)》から、任意の作品群を組み合わせて、再編成されたものなのです。私のように過去の作品を知らない者にとっては、繋がりが見えなくて、さらに難解でした。
 Img_34081  会場にはドローイング、ペインティング、彫刻、写真、インスタレーションなど、様々な形態の作品が展示されています。
 Img_36831  その起点となる作品が、一番奥の猫のインスタレーションだそうです。よく見るとこの猫、瞳がありません。猫は落合氏がよく用いるテーマといいます。 
 Img_36851  猫だけではなく、ここには動物のモチーフがたくさん見られます。椅子にも尻尾が隠れるように置かれていたりします。
 Img_33901  灰皿にも意味があって、灰は「死」を表し、落合氏によれば、死ぬ時間を見ているような感じがあるそう。
 

 上は落合氏が自ら解説している動画です。

 連鎖と断絶の中を巡り、日常生活の中でふと感じる物事の思いがけない関係性を感じて、会場を後にしたことでした。
 なお会期は4月11日までです。

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