文化・芸術

2020年6月30日 (火)

「写真とファッション 90年代以降の関係性を探る」展

 今、東京都写真美術館で「写真とファッション 90年代以降の関係性を探る」展が開催されています。
 これは90年代および現代における写真とファッションの関係性を探ることをテーマにした展覧会です。監修されているのが、資生堂の広報誌「花椿」編集者の林央子氏とのことで、興味をもって見に行ってきました。
 展示されているのは、90年代以後からの4人の写真家の作品や、ファッションデザイナーを含む若手アーティストらとのコラボレーション作品、特別企画としてのインスタレーションなど約100点です。

 ここでは写真というメディアがファッションと関わりながら変遷する軌跡が紹介されています。それは下記のようです。
 
 1990年代に入ると、写真は人々の考え方やライフスタイルにも影響を与えるようになっていきます。人々に訴えかけるイメージを作り出す写真家や、インディペンデントなスタンスで情報を発信するファッション誌の登場はそのあらわれでした。写真はファッションの魅力を伝えるという枠組みを超える存在になります。 
 2000年代以降インターネットが普及すると、写真はさらに変化します。かつて新聞や雑誌の編集者、記者など、限られた人々を介して伝えられていた最新のファッションショーや展示会の様子も、ツイッターやインスタグラムなどのSNSを通して、タイムラグなく一般の人々の手元に届けられるようになりました。また情報の受け手自身もタグ付けをしたセルフィー(自撮り)のように、様々な形で情報発信を行うようになっています。
 写真とファッション、切っても切れない関係にある両者が時代とともに変容を遂げていることを、改めて考えさせられた展覧会でした。
 
Img_84771  上は、写真家のアンダース・エドストロームの作品で、90年代に活躍したデザイナー、マルタン・マルジェラの1994年春夏コレクションの写真です。本展のポスターやちらしにも使われています。エドストロームはマルジェラの作品撮影を長く手がけ、大胆な構図が反響を呼んだといいます。
 Img_84271  フランス発のファッション・カルチャー誌「パープル」の展示もあり、懐かしい感じがしました。90年代に刊行され、インディペンデントな編集ポリシーと高いヴィジュアル・クオリティーで、世界中のアーティストや編集者から注目された雑誌です。
 Img_84691  上の写真は、高橋恭司の「Tokyo Girl」と題したファッション写真で、ストリートファッション誌「CUTiE」1992年6月号に掲載されたものです。
 90年代は、このようなストリートファッション誌が多数登場し、それとともに海外のクリエイターが“東京という場所”に注目しはじめた時代でもありました。
 
Img_84521jpg Img_84501  上は、大谷将弘と今福華凜のペアが2014年4月に立ち上げたファッションブランドPUGMENT(パグメント)のインスタレーションです。 ブランドのアーカイブの中から材料やつくり方が作品とともに展示されていて興味深く思いました。ファッションの機能や身体性に着目した実験的な服づくりがユニークです。 
 
Img_84581  右は、2019年のパグメント(PUGMENT) ×ホンマタカシによる「Images」シリーズの一つで、迷彩柄のミリタリージャケットと白いパンツ姿の若い女性を沖縄で撮ったもの。
 一連の作品は、多くの米軍基地がある沖縄を背景に、ミリタリーウェアを着こなす若者たちの姿を捉えたもので、“ミリタリー”という服のもつ価値や意味を考えさせられます。

 なお、 本展開催は7月19日までとなっています。

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2020年6月28日 (日)

蜷川実花の新作個展 「写ルンです」で東京にフォーカス

 写真家で映画監督の蜷川実花の新作個展「東京 TOKYO / MIKA NINAGAW」が、明日29日まで渋谷パルコのパルコミュージアムで開かれています。今月初めに出版された写真集「東京 TOKYO」の発売を記念して企画されたという写真展で、東京オリンピックは延期となりましたが、「東京オリンピック2020」に合わせての公開だったようです。

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 東京に生まれて東京に育ち、この町にしか住んだことがないという蜷川実花さん。プロローグで「いつか、東京ときっちり向き合って写真を撮らなくてはいけないとずっと思っていた」そうです。
 展示されているのは、2018年からの2年間、東京にフォーカスして撮影した500点以上の作品で、東京タワーや渋谷駅前スクランブル交差点などから緊急事態宣言の出た街並みまで、俳優の小栗旬や斎藤工、モデルの冨永愛や水原希子など著名人のカットからご自身の自撮りまで。
 それらほぼすべては「写ルンです」で撮ったものだそう。最近カメラ女子の間でブームというあの「写ルンです」です。すっかり廃れたと思っていたのですが、フィルム写真独特の懐かしい色合いや質感が今っぽい、のだとか。
 
 日々変わる東京の光景と人を「写ルンです」でレトロモダンに切り取っています。蜷川さんの言葉にもあるように「写真はやっぱり面白い」です。

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2020年6月26日 (金)

村上隆×ホリエモン「コラボビジネス論」

 最近視聴した動画で面白かったのが、カイカイキキ代表アーティストの村上隆さんがホリエモンこと、堀江貴文さんと対談した「コラボビジネス論」です。
 ルイ・ヴィトンやユニクロなどコラボレーションで話題の村上隆さんだからこそ話せる「コラボ論」が、Img_85031 「アート」や「ビジネス」など様々なテーマで繰り広げられています。
  
 その村上隆さんのコラボでは、この5日に開業したユニクロ原宿店(このブログ2020.6.11付け参照)で見た「ビリー・アイリッシュ」像(右)にインパクトを感じます。
 実際、ユニクロのTシャツブランド「UT」で、音楽とアート、それぞれの世界の最前線で活躍するアーティストがコラボする「ビリー・アイリッシュ×村上隆」は大きな人気を得ているようです。  

 対談で、村上さんは、「こうしたコラボはすべて偶然で、ここ5、6年は100%インスタグラムでつながったことから始まった」そう。そして「日本のアート界は世界からみて高いポテンシャルを持ち続けている」と強調します。経済が不況になると逆に文化は成長するとの持論を展開、日本は超文化大国になる可能性を秘めているといいます。
 とはいえ日本におけるアートビジネスは、残念ながら軽視され続けているとも語られ、「そうなのか」と目からウロコのお話も。現在、村上さんのお仕事の99.9%は海外だそうです。村上さんだけではなく、猪子寿之さんのチームラボも書道家の武田双雲さんも、数多くのアーティストが日本を離れて海外へ出ていっているのですね。
 それは何故かというと日本は「百害あって一利なし」だからだそうです。その一例として日本に寄付税制がないことを指摘します。日本ではチャリティであっても寄付すると課税されるのです。マネージメントのことなど足かせはいろいろあるようですが、「日本のコレクターはかわいそう」と嘆かれていたのが印象的でした。
 またもう一つ、心に残ったのが、堀江さんの次の言葉です。「不要不急なものこそ我々人類が人類であるために必要なもので、それをやめることは人間であることをやめましょう、と言っているのに等しい」と。村上さんはこれを受けて「人間は美を追求する動物」であり「不要不急を創ることが我々の人生を豊かにする」といった趣旨の発言をされていました。
 今回の新型コロナ騒動で、日本ではアートは「不要不急」とみなされ助成対象から外されました。これはファッションも同じです。コロナ後は、アートマーケットが拡大すること必至ですのに---。
 日本の文化支援策は世界各国と比べて何と遅れていることでしょう。そんな嘆き節が聞こえてくるようです。
 コラボビジネスからアートビジネスの今後の課題まで、二人のトークは大変小気味よく、興味深かったです。

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2020年6月21日 (日)

アートプロジェクト「東京フォトグラフィックリサーチ」展

 「東京フォトグラフィックリサーチ」展が今、六本木 蔦屋書店の「BOOK GALLERY」で開催されています。たまたま立ち寄ってみたのですが、写真のアートワークがすばらしいと思いました。
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  これは写真や映像を通して、まだ見ぬ都市や社会や人々の姿を探求し、見出されたヴィジョンを未来へ受け継ぐことを目的につくられたアートプロジェクトだそう。写真を新しい経験を生み出すためのツールと考えるというコンセプトを軸に、13組の写真家やアーティストたちが参加しているといいます。プロジェクトでは写真がすでに知られている物事の確認や再現するメディアではない、としているところがユニークです。

 本展では、「2020年代の大都市“東京”」をテーマに、6組の作家の作品が展示されています。
 
Img_82111  上はこのプロジェクトの発起人でもある写真家小山泰介氏の作品です。イメージ創りが何ともショッキング!

Img_82031  上は変わり行く都市、東京を写したもの。アーティストの永田康祐氏による作品です。
 
 写真といっても、こういうのもあるのかと思う、様々な実験にあふれた展覧会でした。開催は7月26日までとなっています。

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2020年6月17日 (水)

原 美術館「森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020」展

 延期されていた「森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020―さまよえるニッポンの私」展がようやく再開され、東京・品川の原 美術館へ行ってきました。
 森村泰昌は、様々な歴史上の人物に扮したポートレートで知られるアーティストですね。先般、森美術館で開催された「未来と芸術」展でも、耳切り事件を起こしたゴッホの自画像に変身した森村泰昌の初期の作品が出ていて、「エッ、これほんものじゃない」と目を丸くしたことでした。

 本展では、何と言ってもスペクタクルなのがマネの「オランピア」を題材にした2018年の大作2点「モデルヌ・オランピア」です。
Img_81231  Img_81041  ベッドに横たわる日本髪の女性は、チョーカーとブレスレットと靴だけを身につけた森村さんです。
  
Img_81081  金髪のヴィーナスも森村泰昌さん、その人です。
 
 マネがこの作品を発表したときは、スキャンダラスと批判されたといいますが、森村さん自身が絵の中に入り込んでしまうとは、ほんとうに挑発的でビックリ! 
Img_81071  同じ展示室には、両作品に使用されたセットも展示されています。
 
 上の階には、昭和天皇とダグラス・マッカーサー、三島由紀夫やマリリン・モンローのポートレート作品も出品されています。森村さんが画中の人物になりきっていて、興味深かったです。ただし、撮影は不可でした。
Img_81151   階段の踊り場から撮った「エゴオブスクラ」の部屋です。壁には、着物美女が化粧している白黒の自画像が架かっています。最初゛美輪明宏”かと錯覚しました。これももちろん、森村さん本人です。

 最後に、映像ドキュメンタリー「エゴオブスクラ (Ego obscure)」を鑑賞しました。森村さんの自作自演で、53分もの見応えのある作品です。視聴してやっと、「さまよえるニッポンの私」という副題が見えてきた気がしました。

 それにしてもなぜ森村さんはこのような仮装をするのでしょう。それはそうすることで、歴史や文化を理解できるようになるからといいます。
 冒頭、ロラン・バルトの「表徴の帝国」の「虚構としての日本」を引き合いに、日本文化の真理や価値、思想は空虚と語っていたのが印象的です。中心が空虚だから着脱可能ととらえることができるというのです。
 たとえば「思わぬ来客」という作品です。主題はマッカーサーと昭和天皇の写真で、マッカーサーを夫、昭和天皇を妻の結婚記念写真に見立てています。森村さんを始め私たち日本人はこの二人の間に誕生し、戦後を体現してきたといいます。森村さんはそこに虚しさのようなものを感じているようです。この空白感、何となく理解できる気がします。
 また「モデルヌ・オランピア」では、日本髪の女性は“蝶々夫人”をイメージしたといいます。ここでは日本人は西洋かぶれしていないで、アジア人であることに向き合うべきという意味が込められているようです。
 さらに三島由紀夫とマリリン・モンローを対にした二つの作品も、実は興味深いパロディになっているのですね。鑑賞者はアメリカとニッポンがコインの裏表という関係にあることを再認識させられるのではないでしょうか。
 
 映像の最後、三島になりきった森村さんが絶叫する場面は大迫力で、衝撃でした。
 
 各作品には一つひとつに創作の意図があり、森村さんの複雑に逡巡する考え方を反映していることが分かります。
 今という時代や社会への関心をそそる、アートなのにアートらしくないユニークな展覧会でした。

 会期は7月12日までで、鑑賞には予約が必要です。念のため。

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2020年6月15日 (月)

「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展

 今、東京都現代美術館で「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展が開催されています。本展は開催直前に新型コロナ禍で延期となり、この9日から再開されました。
 
 Scan0149 オラファー・エリアソンは、アイスランド系デンマーク人アーティストです。
 この作家が興味深いのはアートを介したサステナブルな世界の実現を試みていることです。
 たとえばグリーンランドのフィヨルドに浮かぶ氷の塊を採取して、ロンドンの街中に置いたり、ニューヨークに巨大な滝をつくったり---。自然現象を用いた巨大なインスタレーションによる表現活動です。

 彼の個展はNHK日曜美術館(4月23日)で放映され、私は開館したらすぐに行ってみたいと思っていました。そのレポートを簡単ですがご紹介します。
 
Img_81271  上の3枚の水彩画は、「あなたが移ろう氷河の形態学」。左から「過去」、「メタンの問題」、「未来」と名づけられています。紙の上にグリーンランドの氷河を置いて、氷が溶けていくところに絵の具を垂らして描いたものとか。自然現象を共同制作の相手とみなすエリアソンらしい作品で、かげろうのように揺らめく光を感じます。
 
Img_81331  次のコーナーは、煌めく光の万華鏡!その彩りの美しさに、もう目が点になりました。作品名は「太陽の中心への探査」です。中心から来る光が幾何学的に組み合わされたガラスを通って、壁や床に反射して写っています。光源や光の動きはソーラーパネルのパワーで生まれているとのことです。
 
Img_8131  この展示室には何もないのです。でもそこを通り過ぎようとすると、壁面に重なり合う影が映ります。これは「あなたに今起きていること、起きたこと、これから起きること」という作品で、私の影です。エリアソンは「あなたが行動するときだけ物事が見える」と言っているのですね。動けば新しい発見につながる、そんなことをアートが表現しているなんて! 教えられました。
 
Img_81371  上は「サステナビリティの研究室」です。ここにはベルリンにあるエリアソンのスタジオで開発された、野菜くずを原料にした顔料などのサステナブルな素材や、制作過程で出たガラスや木の破片などを利用した作品が多数、展示されています。
 
Img_81481  「人間を超えたレゾネーター(共振器)」という作品。美しい光の同心円を鑑賞します。暗い海を明るく遠くまで照らす灯台の光の仕組みが応用されているそうです。
 
Img_81521  本展の展覧会名となっている「ときに川は橋となる」の作品。中央に水が入った丸い水盤が置かれていて、水面で起こるゆらぎやさざなみが上空のスクリーンに投射されるインスタレーションです。絶えず流動的に変化する世界状況を反映したエリアソンの新作といいます。

 最後が「ビューティー」(動画)、本展のちらしにも使われている目玉作品です。
 滝のように流れ落ちるウォーターミスト(霧状の水)には、虹がかかっています。波打つ様子はまるでオーロラのようです。見る人の位置によって色や形が変化して見えます。裏側にも歩いて行ってみたのですが、ミストしか見えませんでした。
 それにしても部屋の中に、自然現象を人工的につくり出してしまうとは! オラファー・エリアソン、ほんとうに驚きでした。

  なお、開催は9月27日までとなっています。

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2020年6月 8日 (月)

西欧と日本のマスク文化を考える

 何故日本はコロナによる死者数が少ないのか、その理由の一つとして挙げられるのが日本のマスク文化です。日本では花粉症やインフルエンザ対策で当たり前のようにマスクをする習慣が根付いています。しかし西欧ではマスクの慣習は奇異に映るようで、当初「マスクは無意味」などと言われてきました。それが今では外出時のマスクの装着が推奨されるようになり、フランスでは交通機関利用時のマスク着用が義務づけられているといいます。
 日本は特別な罰則もないのにほとんどの人がマスクを着けているのに対し、フランスではそう言われても守らない人が半分くらいいるそうです。
 そこには明らかに文化の違いがあるようです。
 
Img_80071  フランスのマダムフィガロ誌(5月15-22日号)にマスク特集があり、セレブたちがマスク姿で登場しています。社会学者のミシェル・マフェゾーリ(MICHEL MAFFESOLI)氏とのインタビュー記事も掲載されていて、同氏が「マスク着用はゲームでありチャレンジである」と語っているのが興味深かったです。
 
 フランスと日本、そのマスク文化の相違はどこから来ているのか、歴史を調べてみました。
 日本衛生材料工業連合会の資料によると、日本でマスクがつくられたのは明治初期で、主に炭鉱労働者の粉塵除けとして用いられたようです。それが広く普及するようになったのは大正時代で、スペイン風邪の大流行がきっかけだったといいます。日本のマスクは衛生という観点に立った実用品という位置づけです。
 西欧では図版などの記録を見ると、16世紀から18世紀にかけて上流階級の女性たちはマスクを日常的に身に着けています。暑さ寒さを防ぐ効用もあったといいますが、それ以上にその下に隠れている美しい顔が、異性の好奇心をそそったようです。マスクは魅惑的な女性を演出するための欠かせない服飾品であり、身分の高い女性であることの証でもあったのです。しかし19世紀になり民主化の波が押し寄せるとともにマスクは廃れ、現在ではベネチアのカーニバルなど限られた場面でのみ使用されています。 

 マスクとは、すなわち仮面です。仮面というと日本では能楽を始めとする演劇などで見られますが、一般的ではありません。でも仮面ではなくマスクと表現すると、衛生観念の強い日本では予防や他人への配慮もあって、ごく普通に着けることができるのでしょう。
 ところが西欧でマスクは、かつて独特のモードでした。王侯貴族のマスク風俗は根強く存在しているといいます。顔を隠す妖しい魅力をファッションデザイナーがコレクションで取り上げることもよくあります。コロナ以前は異質な存在とみられていたマスクですが、感染爆発が起こり、そんなことも言っていられなくなったようです。
 WHOが布マスクの効果を否定しなかったこともあり、西欧では日本と異なり、布マスクの使用が多く見られます。スカーフやバンダナなどで鼻と口を覆うのもよいとのことで、マスクは、一躍おしゃれなアクセサリーに昇格した模様です。

 マスクは単に健康を保つ機能があるというだけではなく、コミュニケーションの手段でもある---。そう思うようになって、改めて、上記マフェゾーリ氏の言葉「マスク着用はゲームでありチャレンジである」に共感したことでした。

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2020年6月 1日 (月)

ドレス・コード?―着る人たちのゲーム展 オンライントーク

 この夏、東京オペラシティアートギャラリーで「ドレス・コード?―着る人たちのゲーム展」の開催が予定されています。これに先立ち、篠崎友亮さん主宰FashionStudies🄬による、オンライントーク動画が公開されました。
▼チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC1xd23Bzn-KZPJwNqNXjH_g/

11_20200531194901  この展覧会は昨夏に京都で始まり、熊本、そして今年東京へ巡回してきたものです。コロナ禍で開催日程が未定ですが、決まれば、私もぜひ見に行きたいと思っています。
 「今日着ている服、あなたはどうやって選びましたか?」の問いかけに始まる本展、服を「着る」という行為にはいつも意味があることに気づかされます。
 京都服飾文化研究財団 アソシエイト・キュレーターの小形道正さんがおっしゃっているように、服には特定のグループに通用するコードがあり、他者とコミュニケーションしている、というのは、ファッションの本質ですね。
 提案されている13のコードは、すべて質問形で表現されていて、たとえば「裸で外を歩いてはいけない?」、「組織のルールを守らなければならない?」といったような形式で展開されるそう。どのような展示がなされるのか、楽しみです。
 またファッション展というと、ふつう服飾の歴史とかデザイナーに焦点を当てられるものですが、これは「視る/視られる」立場にある「着る」人が主体の展覧会になっているとのこと。その意味でもかつてない異色の展示が見られそうです。
 動画を拝見してますます興味をそそられました。

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2020年5月25日 (月)

新しいパフォーミングアーツの拠点が横浜に誕生

 日本では希少なダンス専用のダンスハウス、「Dance Base Yokohama(ダンス・ベース・ヨコハマ)」が、このほど横浜・馬車道の「KITANAKA BRICK&WHITE」に誕生しました。
 先日、プレス発表会がオンラインで開かれ、私も参加させていただきました。実はこの発表会は4月初めに予定されていたのですが、コロナ感染防止で延期となっていたのです。

1_20200522202801  「Dance Base Yokohama」は、新しいパフォーミングアーツの拠点となる施設だそう。DaBY(デイビー)の愛称も親しみやすくてステキです。
 プロフェッショナルなダンス環境を整備し、クリエイター育成に特化した事業を企画・運営し、振付家やダンサーといったアーティストのみならず、音楽家、美術作家、映像作家、照明デザイナー、音響デザイナー、またプロデューサーやプロダクションスタッフ、批評家、研究者、さらに観客との交流も目指すといいます。

 プレス発表会ではDaBY アーティスティックディレクター(愛知県芸術劇場シニアプロデュー)の唐津絵里さんが、次の3つのポイントを挙げて、概容を語られました。
 1_ ダンスの観客層を広げる ――“ダンス・エバンジェリスト”というダンスの伝道師に当たる職種を設け、振付家でダンサーの小㞍健太さんが就任し、舞台と観客を結ぶハブの機能を担うといいます。
 2_ 専門的な人材を広げる ―― ダンスに関心のある人材をプロにつなぐ。そのための法律的な相談窓口となるリーガルアドバイザーも迎えているそう。
 3_ 若手の登用 ―― プロのダンスアーティストの道を開く人材育成。
 
 日本は欧米に比べ、ダンサーという職業が仕事として成立しにくいといわれているそうです。プロとアマの境界がないのも問題といいます。それほど有名ではなくても、プロとして生活していければよいのですが、そのようになっていないのですね。そんな厳しい現実を知った発表会でした。
 DaBYがオープンしたことで、ダンサーと言う職業がシステムとして確立したものになるように願っています。
 
 なお、イベントは当面、オンラインでの実施になるとのことです。コロナの一日も早い収束が待たれます。

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2020年4月12日 (日)

「キモノ・リファッションド」展の米国巡回展記録集

 「キモノ・リファッションド (Kimono Refashioned) ニュージャージー/サンフランシスコ/シンシナティ」展の記録集が届きました。お送りいただいた京都服飾文化研究財団(KCI)に感謝です。
 本展は、きものがファッションに与えた影響を考察する展覧会で、2018~2019年、KCIの企画により、米国ニュージャージーのニューアーク美術館、サンフランシスコ・アジア美術館、シンシナティ美術館の3館を巡回したといいます。
 出品されたのは、きものにヒントを得て生み出された衣裳作品で、その核となったのが約50点のKCIコレクション。次の4つのセクション、「Kimono in Painting 絵画に描かれたきもの」、「Japonism in Fashion モードのジャポニスム」、「Kimono in Contemporary Fashion 現代ファッションにおけるきもの」、「Japan Pop ジャパン・ポップ」で構成され、巡回展とはいえ各館それぞれの個性を反映した展覧会となった様子がうががえました。

Scan0130 上は記録集の表紙写真です。
 使われているのは、マウリッツィオ・ガランテのプルオーヴァー(1994年秋冬)の部分を撮ったもの。絞り染めの技法で連続する括り縫いの
突起と伸縮性を活かしたデザイン。
  現代のテキスタイルでよく言われる“タクタイル(触覚的)”な質感とは、まさにこれ、と思います。
 
 Kimono_refashioned_1024x1024 左は、図録写真で、3Dプリンターを駆使してフューチャリスティックなドレスを制作しているイリス・ヴァン・へルペンの作品 (2016年春夏)。
  天池合繊のスーパーオーガンザ、天女の羽衣と呼ばれる素材を用い、日本の絞りの技法を採り入れたドレスです。


 きものはカタチが一定しているが故に、日本の職人たちはその粋を集めて高度な染織技術を生み出してきました。今、その伝統の技が世界の多くのデザイナーたちを魅了しているのです。

Scan0131 裏表紙に掲載されている川久保玲によるコムデギャルソンのドレス(1991年秋冬)部分です。金箔使いの墨彩画が素晴らしい!
 
 現代ファッションを刺激して、新しい創造を促しているきものの展覧会。それを米国で紹介するとはさすがKCIですね。日本人として誇りに思いました。日本でも開催されるようになるとうれしいです。

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