文化・芸術

2019年5月21日 (火)

皇室文化が香る「ようこそ、ボンボニエールの世界へ」展

 銀座のミキモトホールで、「ようこそ、ボンボニエールの世界へ~皇室からのかわいい贈りもの~」展が、この10日まで開催されていました。丁度平成から令和に代わる頃で、皇室文化の香りにちょっと触れてみたくなったこともあります。何しろ私のような庶民には及びもつかない世界です。

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 ボンボニエールというのは、金平糖のようなボンボン菓子を入れる手のひらサイズの小箱のことで、とくに天皇の即位や皇室の方々のご成婚、ご誕生といった慶事の際に皇室から出される引出物のようなものを言うそう。
  本展では明治から平成にかけての銀製や磁器製、漆塗りなどのボンボニエール60点が展示され、菊のご紋をあしらったものや、駕籠型のもの、可愛らしい犬張り子型のものもみられ、高度な細工にびっくり! 拡大鏡でどこが開くのか、観察できるようになっているものもありました。

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 写真撮影が可能だったのは、上の「鶴亀形ボンボニエール」です。岩上の鶴亀を付した銀製菓子器で、明治天皇の銀婚式・大婚25周年の祝典の晩餐会で配られたものだそう。 

 日本の美と技を凝縮した小さくてかわいい贈り物---。代替わりという歴史的タイミングで目にしたこともあり、印象的でした。

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2019年5月14日 (火)

ギュスターヴ・モロー展 ― サロメと宿命の女たち ―

 今、パナソニック汐留美術館で開催されている「ギュスターヴ・モロー展 ― サロメと宿命の女たち ―」に行ってきました。
  ギュスターヴ・モローは、ジョルジュ・ルオーの先生だった画家です。同美術館はルオーのコレクションが有名で、昨年の秋には「ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ」展(このブログ2018.10.17付け)を開いているのです。
 今回はモローに絞った展覧会です。パリのギュスターヴ・モロー美術館からの名作、油彩・水彩・素描など約70点が一挙公開されています。

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 モローは1826年にパリの教養高い裕福な家に生まれ、印象派と同時代の19世紀末に活躍した画家で、象徴主義の先駆者といわれています。ギリシア・ローマの古典や聖書の物語を題材にした歴史画を描き、「アカデミズムの画家」などとも称されているそうです。
 私も以前パリのギュスターヴ・モロー美術館を訪れ、その重厚で荘厳な雰囲気に圧倒されたことがあります。
 まさに「目に見えないものを信じ、目に見えるものは信じなかった」というモロー、人間の内なるものを表現するアートを語る上で、非常に重要な画家であるといえるのですね。
 感情を揺さぶるテーマとして女性を好んで描いていて、本展は女性を軸に4章で構成されていました。

 第1章は「モローが愛した女たち」です。
 モローはどうもエディプス・コンプレックスだったようで、母に書いたラブレターのような手紙が展示されています。30年来の親しい女性もいた様子ですが、生涯独身を通したといいます。

  第2章は「≪出現≫とサロメ」です。
20190406_2841267   モローの出世作といわれる、あの≪出現≫(右)を見ることができました。宙に浮く血みどろのヨカナーンの首をカッと見つめるサロメの神秘的なシーンです。これはオスカーワイルドやビアズリーのサロメ像を生むきっかけになった名画とも言われているのですね。先日NHKの「日曜美術館」でもこのサロメを妖艶・冷酷・意志の強い女性としてとり上げていて興味深かったです。

 第3章は「宿命の女たち」です。
 男性をその魅力で破滅へと導く女性「ファム・ファタル」をモチーフにした作品、デリラやヘレナといった女性から異形のセーレーヌやスフィンクスなどがズラリ。「エウロペの誘惑」も出品されています。モローはほんとうに女性を「悪」と思っていたのでしょうか。

 第4章は「≪一角獣≫と純潔の乙女」です。
20190406_2841264  第3章とは正反対に、女性を清らかな存在として描いたコーナーになっています。右のように、ポスターにも使われている≪一角獣≫は、「貴婦人と一角獣」のタペスリーからの影響といわれているのですね。
 そして最後の最後に飾られていたのが「聖母マリア」でした。モローにとってマリア様こそ究極のファム・ファタルだったのでしょうね。
 
 本展は6月23日までです。詳細はhttps://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/19/190406/index.htmlで。ご興味のある方はお早めにどうぞ。

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2019年5月 7日 (火)

コシノヒロコ展 伝統芸能の新たなる創造

 ファッションデザイナーでアーティストでもあるコシノ ヒロコさんは、ほんとうに芸の達人です。小学校4年生の頃から長唄三味線をやっていて長唄杵勝会に所属し、名取となる腕前だそう。
 この4月末から歌舞伎座で開催されている長唄杵勝会の全国大会では「抄曲集」の舞台背景画を担当し、その記念としてKHギャラリー銀座で6月8日まで「コシノヒロコ展 伝統芸能の新たなる創造」が開催されています。

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 本展ではその原画となる墨絵5作品を中心に、多彩な墨の世界を展示。原画はセーレン株式会社の技術によって大型幕にプリントされ、大会のクライマックスを彩るとのこと。

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 またコシノさんが直筆で絵付けした着物も出品されています。

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 2階では、2018年、福井県鯖江市で開催された展覧会「コシノヒロコ展COLORS アートとファッションの世界」の際に絵付けした越前漆器も披露されました。

 初日のレセプションで、コシノさんは「伝統に新しい現代のくさびを打ち込むことで、ファッションの楽しさの裾野を広げてきました。 伝統芸能も同様です。今までなかった新しい風を吹き込むことが私の使命と思っています。現代のテクノロジーにより拡大された新作の墨絵には、伝統芸能の世界を身近に感じてほしいという願いを込めています。その新たなる創造をご高覧ください」などと語られました。

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2019年5月 6日 (月)

ギンザシックスに塩田千春のアートインスタレーション

 今、東京・銀座のギンザシックスに塩田千春のアートインスタレーションが出現しています。
 テーマは「6つの船」で、中央吹き抜け空間を飾っているのは、全長5メートルにもなる6隻の船です。黒いフエルトに覆われたこれらの船は、無数の白く細い糸で吊り下げられています。これは困難を乗り越え発展してきた銀座の「記憶の海」を出航し前進する様子を表現しているそうです。

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 私は以前パリのボンマルシェで塩田千春展(このブログ2017.2.15付け参照)を見たことがあります。タイトルは「私たちはどこへ向かうのか」でした。
 今回の新作は船がモチーフになっていますが、パリで見たときと同様に私たちを空想の旅へと向かわせます。
 私たちは何を求めてどこへ向かおうとしているのでしょう?考えさせられる作品です。
 なおこの6月から六本木の森美術館にて、過去最大規模の塩田千春個展が開催されるとのこと。これも楽しみです。

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2019年4月26日 (金)

クリスチャン・ボルタンスキー「ライフタイム」 漂う想念

 現代を代表するフランス人アーティスト、クリスチャン・ボルタンスキー。その半世紀にわたる大回顧展が今、大阪の国立国際美術館で開催されています。先月、大阪出張の折り、東京の新国立美術館に先駆けて行われていた「LIFETIME ライフタイム」と題した展覧会を見て来ました。

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  館内は薄暗闇です。地底でもさ迷っているかのように思えたりして---。
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 人間の生の痕跡をひたひたと感じながら歩いていると、ここはもう冥界なの?といった気分にさせられます。

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 写真上は、明るい自然が広がる空間です。浄土とはこんなところなのかも、と思わせられる光景でした。 正面には風鈴が揺れ動き、左側は白い砂浜が広がる海辺のよう、右側は草原のようです。
 その真ん中の道をたどって向こう側に入ると“ぼた山”です。

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 この“ぼた山”は着なくなった服を積み重ねてつくったもの。その周りにはいくつもの抜け殻のような服が佇んでいて、思わずギョッとさせられました。
 服の内側には人の声を発する装置が付けられていて、死者?の想いを聞くことができるようになっているのです。

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 「死」を鑑賞体験し、久しぶりに心が震えた展覧会でした。

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2019年4月25日 (木)

パリのプティ・パレで「フェルナン・クノップフ」展覧会

 先般訪れたパリで、プティ・パレ美術館で開催されていた「フェルナン・クノップフ(Fernand Khnopff)」展を見てきました。
 フェルナン・クノップフって誰? というほど知らない人物でしたけれど、外ならぬ友達の薦めです。ちょっと調べましたら、クノップフは、19世紀後半から20世紀初頭に活躍したベルギー象徴派を代表する画家で彫刻家、また演出家でもあるという、様々な顔を持つアーティストです。以前ポール・デルヴォーの小さな回顧展(このブログ2016.10.19参照)を見たことがあるのですが、現実離れした幻想的な画風で、ベルギーにはそうした作家が多い様子です。
 ファッションにも関係がありそうと思いながら、興味津々、足を運びました。

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 まずエントランスの先に静かに立っていた、白いドレスをまとった女性像に目が留まりました。これは最愛の妹、マルグリット・クノップフの肖像画を拡大したものといいます。
 
 館内に足を踏み入れると、エレガントな佇まいです。クノップフの邸内を模したつくりになっていて、裕福なブルジョワ階級の出身ということがわかりました。

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 混み具合は適度な感じでした。
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 上は最高傑作といわれる「愛撫」という作品です。スフィンクスがオイディプスに謎を出すギリシャ神話に題材をとったもので、これもマルグリットがモデルといいます。

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 上は叫び声が聞こえてきそうなメドゥーサの首。

Img_03171_2  右は「眠れるメドゥーサ」と題した作品です。
 神秘的な謎に満ちた女性たちが数多く描かれていて、見ている方も不可思議、というかちょっと不安な気持ちにさせられます。
 世紀末というとこうした作品が多くなるようです。

 40年ぶりというクノップフの大回顧展、今はもう終了してしまったのですが、予想以上に見応えのある展覧会でした。

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2019年3月31日 (日)

クスッと笑いを誘う「ユーモアてん。/Sense of humor」

 「ユーモア」とは、コミュニケーションにおける最も大切な感性のひとつというアートディレクターの浅葉克己氏。この浅葉氏がディレクションしている展覧会「ユーモアてん。/Sense of humor」が今、東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催されています。

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 会場には浅葉氏がシンパシーを感じるデザイナーやアーティスト(国内外から30組以上)の作品が一堂に展示されていました。

Img_04191  右は、まさにその浅葉氏です。
 
 ちょっとクスッと笑いたくなるようなものがいっぱい!中には不思議なモノありますけれど----。とにかくどれもみんなユニークです。

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 卓球をテーマにしたものは浅葉氏の作品。卓球をプレーするのが、ことのほかお好きのようです。

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 「招き猫のアトム」と「タイガースのだるま」 福田繁雄作品。

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 珍奇な肖像画で知られるイタリアの画家、ジュゼッペ・アルチンボルドを思わせるオブジェも福田繁雄作品。

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 加納典明の「ピンクの犬」。写真をキャンヴァスにプリントし、アクリルでペイントした新作とか。

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 「私のメガネはどこ?」も楽しい! デザイン 浅葉克己/アートワーク ロン・アラッドの作品。
 
 まだまだたくさんあります。
 6月30日までの開催されていますので、ユーモアを楽しみに出かけてみてはいかがでしょう。

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2019年3月26日 (火)

「テキテキ展」 東京造形大学テキスタイルデザイン学科卒展

 「テキテキ」展とは東京造形大学テキスタイルデザイン専攻有志卒業制作展です。同大学の特任教授でテキスタイルデザイナーの須藤玲子さんからご案内をいただき、今月半ば、会場となった東京・青山の複合文化施設「スパイラル」に行ってきました。

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 入ってみてびっくり!のほんとうに素晴らしい展示でした。

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 一つひとつの作品にストーリーがあって、見ていて楽しくなります。
 
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 卒業生の皆さん、この才能を活かし、世界に羽ばたいて行って欲しいなと思いました。

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2019年3月23日 (土)

「キモノマニア」展 伊若手デザイナー日本文化にオマージュ

 この8~14日、イタリア大使館貿易促進部主催「キモノマニア」展がイタリア文化会館にて開催され、レセプションに招待されて行ってきました。
 これは日本文化の影響がイタリアのファッションに与えた、また今も与え続けている影響に焦点を当てたもので、出発点は何と400年前の支倉常長と慶長遣欧使節団です。彼らは1615年にイタリアに到着したのです。支倉常長は豪奢な織物を組み合わせた着物を身にまとい、ローマ風の帽子をかぶっていたという記録が残っているといいます。

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 この史実に由来し、イタリアの若手デザイナー10名がキモノを自分たちなりに解釈して創作した作品が多数披露されました。
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 イタリア人が日本の着物を夢想して仕上げるとこんな風にデザインされるのですね。日本人では思いもつかないようなユニークな発想の個性的なドレスが揃っていました。
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 「ジャポニスム」と呼ばれる、異文化が絡み合うことで生まれた多面的な現象、そのいくつかをご紹介しましょう。

 Img_02061  右は、フランチェスカ・ノリさんの作品です。
 
 伝統技術の“金継ぎ”にインスパイアされたドレスとか。
 シルクサテンとリサイクルビロードにゴールドのファスナー、帯の結び目には蓮の花があしらわれています。
 
 
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 左は、イタロ・マルセグリアさんの作品です。
 
 黒のコットンポプリンとブロンズ色のメタルスパンコールを刺繍したチュールを合わせたトラベルコートです。
 コットンポプリンには撥水加工が施されていて、ゴージャスなのに機能的でもあるのです。 

Img_02211jpg  右は、サント・コンスタンツォさんの作品です。
 
 軽やかな折り襞の職人技術を復活して見せています。
 日本のオリガミをヒントにしたと言っていました。
 16世紀に大流行したラフ(ひだ襟)を思わせます。
  
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 左は、トンマーゾ・フィクスさんの作品です。
 
 鎧のようです。
 つなぎ目の縁取りには印伝のような模様にキリスト教の十字架が組み込まれています。
 
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 右は、ガッティノーニのデザイナーとして著名なギレルモ・マリオットさんの作品です。
  ハンドペイントのダッチェスサテンのマキシ丈のキモノドレスです。

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2019年3月 3日 (日)

松屋銀座で「ベニシアさんの手づくり暮らし展」開催中

 今、松屋銀座で「ベニシアさんの手づくり暮らし展」が11日まで、開催されています。先日、その内覧会が行われ、参加しました。

 ベニシアさんはあのイギリス人女性、ベニシア・スタンリー・スミスさんです。由緒正しい英国貴族の家系に生まれながらも、19歳で放浪の旅に出て、京都・大原で出会った日本の古民家で素朴な手づくりの暮らしをされているのですね。10年ほど前に、その生活ぶりを紹介する写真展が開かれ、これがNHKの記者の目に留まり、Eテレで「猫のしっぽ カエルの手」という番組が放映されるようになったとか。私も時折見ていて、そのたびに古民家の古き良き暮らしっていいな---と憧れています。その後制作された「ベニシアさんの四季の庭」というドキュメンタリー映画も見ました。意外にも波乱な人生を過ごされていて、感動したことが思い出されます。

 本展では美しい写真や映像、スケッチとともに、ご自宅のお庭やキッチン、愛用のテーブルウェアなどが再現されています。テレビや映像では伝わってこない、ベニシアさんの穏やかな暮らしを体験できる、ちょっとすてきな展覧会です。

Img_00081  お庭の風景です。ベニシアさんの庭づくりの原点は、一家が1956年に移り住んだジャージー島の農場での体験にあるといいます。

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Img_00171jpg  絵もお得意で、スケッチが多数展示されています。

Img_00611  本展の一番の見どころがこの広い空間です。

Img_00621   とくに暖炉は大のお気に入りだそう。

Img_00451  キッチン台にはスペイン風のタイルがはめ込まれています。

Img_00541jpg  ピクニックセットです。布には手づくりの刺繍が施されています。

Img_00831  最後にご夫妻で仲睦まじく手をつないで登場。ご主人は山岳写真家の梶山正氏です。

  なお、写真は美術館より特別の許可をいただきました。詳細は、http://www.matsuya.com/m_ginza/exhib_gal/details/20190228_venetia_8es.htmlを参照ください。

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