心と体

2015年12月 2日 (水)

国際福祉機器展〜いつまでも元気に働く「10のコツ!」展

 この秋開催された国際福祉機器展で、興味深い企画展がありました。
Img_52881jpg_2  それは“いつまでも元気に働く「10のコツ!」展”です。
 超高齢社会を迎え、働く高齢者が増えています。でもいつまでも元気に働くにはどのような秘訣や道具があるのでしょう。好奇心もあって見に行ってきました。

 出品されていたのは、出展社の製品の中から、60歳以上現役で働いている方のアンケート調査をもとに選んだ“グッズ”です。健康、身だしなみ、仕事の3つのシーンに分けて展示されていました。選定基準は、①表示が見やすい、②聞き取りやすい音、③使い方がわかりやすい、④弱い力で扱える、⑤楽な姿勢で使える、⑥体に合うサイズがあることだそう。まさにユニバーサルデザインの原則に適っていると思いました。

Img_53081  左は身だしなみ編です。着やすい服やソックス、スカーフ、靴、バッグ、クシやヘアブラシ、デンタルリンスなどが揃っています。
 健康編では、涼しいポロシャツや靴、タオルなどからコップ、ビールクーラーなどまで出ています。

Img_53061_2  右は仕事編です。軽くて丈夫なナップサックやリュックサック、その中に入れる軽い傘や着替えのシャツ、ライト、ルーペ、絆創膏、ペンやノートに印鑑などの文房具、履きやすい靴、万歩計などが提案されていました。

 さらにここでいう「10のコツ」とは、次のようです。
<健康>
① 毎日歩く。一日1万歩、自分のペースでウォーキングする。
② バランスのよい食事をする。
③ 早寝早起きをする。
<身だしなみ>
④ 身だしなみに気をつける。
⑤ 自分から元気に挨拶する。
⑥ いつでも笑顔でいる。
⑦ 人の話をよく聞く。
<仕事>
⑧ 知識の吸収をする。
⑨ 楽しく仕事をする。
⑩ 働けることに感謝する。
 いずれも簡単そうで、わかってはいるけれど----というキーポイントばかりです。

 最後に「おやっ」と注目したのが、アンケートの回答結果(回答人数249人)でした。これによると「何歳まで働きたいですか」の問いに対し、75歳位が49%ともっとも多く、次いで70歳位が20%、80歳位も15%もあります。しかも「働く目的は何?」では、「健康のため」と答えた人が断トツのトップ。次いで「経済面」、「仲間づくりのため」が続くのです。
 「働く」ことは生活を支えるとともに、生きがいや健康につながっていきます。働きたい高齢者が多くなっている、その理由がわかった気がしたコーナー展示でした。

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2014年7月30日 (水)

これからのUDが目指す「ものづくりの新しい潮流」

Cimg53691  ユニバーサルデザイン(UD)マーケットが広がる今、これからのものづくりはどうあるべきか、その方向性を示唆するセミナーが、今月初め、産業技術大学院大学デザインミニ塾で開かれました。
 登壇されたのは、ユニバーサルデザイン総合研究所所長で科学技術ジャーナリストの赤池学氏です。「ものづくりの新しい潮流」をテーマに、UDのさらなる可能性を語られました。

 お話によれば、同氏がUDに取り組まれるようになったのは、老年学学者で工業デザイナーのパトリシア・ムーア氏と日本で出会い、UDの父といわれる故ロナルド・メイス氏を紹介され、米国へ渡ってUDの薫陶を受けたことがきっかけ。障がい者・健常者を問わない全ての人のためのデザインという概念に共感したといいます。
 このUDの考え方は、日本でも広がり、企業の中にデザインセンターを設けるところが増えるなど、近年とみにデザインの地位向上を感じていらっしゃるとか。

 そんな同氏が提唱するUDの10要件とは、次のようです。
①セーフティ(安全性)、②アクセシビリティ(接しやすさ)、③ ユーザビリティ(使いやすさ)、④ホスピタリティ(慰安性)、⑤アフォーダビリティ(価格妥当性)、⑥サステイナビリティ(持続可能性)、⑦ エキシパンダビリティ(拡張性)、⑧パーティシペーション(参画性)、⑨エステティック(審美性)、⑩ジャパン・バリュー(日本的価値)
 これらの内、もっとも重要なのは、次の3つ、⑤アフォーダビリティ、使いやすい製品を価格面でも接しやすくつくること、⑥サステイナビリティ、環境対応を考えたデザイン、そして⑧パーティシペーション、ユーザーを参加させ、様々な意見を反映させながら、ものを形にしていくこと。これは自社商品をUDに進化させるのに欠かせないといいます。

 また“ものづくりにおける「21世紀品質」開発の循環図”を示され、従来は機能を生み出す「ハードウェア」と使い勝手を生み出す「ソフトウェア」が循環する構図でしたけれど、21世紀は、これに新しい価値として、愛情や愛着を生み出す感性品質の「センスウェア」と、新しいビジネスモデルを生み出す公益品質の「ソーシャルウェア」が加わり、この4つの価値がらせん状に循環し、高度化していくことが基本になると解説。

 この後、ご自身が手がけられた事例を含め、様々なUD商品をピックアップ。「これ知っている」というのもいくつかあり、大変興味深かったです。

 最後に、キッズデザインに触れ、未来を担う子どもたちに向けたUDの重要性を強調されていたのが心に残りました。子どもの死亡原因のナンバーワンは不慮の事故だそうです。私たち大人は、子ども目線で、考えなければならないことが、まだまだたくさんあるように思われます。

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2014年7月25日 (金)

“重介護ゼロ社会”実現に向けて

 先日、星新一賞記念イベントで、このブログ7月3日付けで掲載した「ロボットスーツHAL FITⓐ」を発明された筑波大学教授・サイバニクス研究センター長で、サイバーダイン株式会社代表取締役社長山海嘉之氏の講演が行われました。

 「サイバニクスに託す未来~ビジネスと夢の追求~」をテーマにお話され、「ここ5年以内に“重介護ゼロ社会”を日本から発信する産業をつくる」と宣言、またしても感銘させられた次第です。

1  サイバニクス(Cybernics)とは、山海教授が確立し、命名された新学術分野で、わかりやすく言えば、人とテクノロジーをどう一体化するか、低下した身体機能の残存能力をどう高めるか、介護する側とされる側の双方に役に立つ技術を研究する学問です。長年、医療・福祉・生活に焦点を当てて研究されてこられた成果が、世界初のサイボーグ型ロボットHALⓐ(Hybrid Assistive Limbⓐ)です。
 写真は湘南ロボケアセンターで撮ったもの。

 原理は、次のようです。人体は生体電位信号を発しています。脳には無数の神経系がこの信号とともに流れて体を動かしているのですが、病気になると、この神経系のループがこわれてしまいます。HALⓐは、人が体を動かそうとするときに皮膚表面に流れる微弱な信号をキャッチし、コンピュータの中で整理して、こわれたループを元通りに作り直す働きをします。ですからこれを装着すると、機能再生が促され、歩けなかった人も再び歩くことができるようになるのです。

 この技術で最高の特許を取得された先生ですが、大手企業が採用してくれず、10年前、ご自分でサイバーダイン社を設立したといいます。
 今では、地球規模の展開になりつつあり、EUでは、昨年初めて医療機器認証を取得され、とくにドイツで公的労災保険が適用されて、一人当たり40万円がカバーされているといいます。日本では170の病院で約400体が稼働中、治験も進み、医療器械として認定されるのも間もない模様です。

 身体はすべて神経細胞でつながっているので、ロボットとの連携ブレーが可能なのですね。今後は脳卒中などの予防から、寝たきりになってもメッセージを送れる装置の開発など、様々なテクノロジーを準備しているといいます。
 重介護ゼロの社会を実現しようと努力されている、山海教授。私たち未来の希望の星です。本当にスコーイ!としかいいようがありません。

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2014年7月 3日 (木)

ロボットスーツHAL FIT®がもたらす希望の光

 「車椅子の人が立ち上がって歩けるようになる」、ロボットスーツHAL FIT®を用いたトレーニング施設が、「湘南ロボケアセンター」です。先日、辻堂駅近くのピルにあるこの施設を見学する機会がありました。

Cimg51551_3  右写真は、トレーニングスタジオのロボットスーツHAL FIT®です。

 これは、昨年来、NHKテレビなど様々なメディアで取り上げられている歩行支援ロボットです。実際に使用されている場面を目の当たりにして、話に聞く以上にスゴイ! まさに未来の希望の光になる画期的な最先端技術と感激ざせられました。これがあれば、たとえ歩行困難になっても、何とか自力で歩くことができるようになるでしょう。
 
 湘南ロボケアセンターは、神奈川県の黒岩知事により、国から指定を受けた「さがみロボット産業特区」のシンボル施設として整備され、今年1月にオープンしています。ロボケアセンターは、三重県鈴鹿市や大分県別府市にもあり、新潟県でもこれから始まるとのことですが、この湘南は全国最大規模とのこと。車椅子に乗ったまま入れる、完全フラットになるトレッドミルがあるのも、ここだけだそう。神奈川県、やりますね。
 また親会社は、筑波大学教授・工学博士の山海嘉之研究室チームのITベンチャー企業、「サイバーダイン」で、ロボケアセンターは、彼らが開発した技術をサービスする場になっているといいます。
 
 さて、このロボットスーツ、何がすばらしいのかというと、人間が頭で考えた通りの動きをするということです。身体を動かそうとすると、脳から動かしたい筋肉に送られてくる生体電位信号を、身体に取り付けたセンサが感知し、コンピュータ制御によって各関節のパワーユニットを稼働させ、装着者の動作をアシストします。機械が人間の意志を読み取ることができるとは!本当に驚きです。

 同センターの小倉トレーナーに、このロボットスーツの実演をしていただきました。

Cimg51441  セミナールームですので、脚の代わりに腕を使ってのデモンストレーションです。
 腕の皮膚表面にセンサを貼りつけて、肘を曲げたいと思うと、ロボットの膝部が曲がり、まっすぐにと思うと、実際そうなるのです。コンピュータモニターを見ていると、その都度データの色が変わるので、反応がわかります。
 これは痛みや極端な拘縮がない場合なら、誰もが利用できるそうです。サイズもS、M、Lが揃っています。既に175の施設で、470台が使われているとか。サイバーダインでは、現在、家庭用のものを開発中といいます。
 但し、日本では保険適用がなく、同センターでは、90分間で15,000円と高価。受けられる回数も1週間に1〜2回だそうです。ちなみにドイツでは、労災保険が週5回、計60回、適用され、3か月間くらいの短期集中で、歩けるようになられる方がたくさんいらっしゃるといいます。
 
 日本の場合、HAL FIT®は、まだトレーニングの扱いで、リハビリテーションではないとの考え方がされているからだそうですが、身体機能改善、機能向上という点では本質的に、どちらも同じです。早く保険が使えるようになるといいですね。
Cimg51591  トレーニングスタジオ入り口にあるカフェカウンターには、かわいいおしゃべりロボットの「パルロ」が置かれていました。
 
Cimg51531  右は、ウェアやグッズ販売コーナーです。

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2013年8月17日 (土)

学生の新発想が光るユニバーサルデザイン

 今年も横浜の福祉総合展、ヨッテクには多数の大学から大学生たちが出展しています。
Cimg52591jpg  中でも注目されるのが、千葉大学大学院デザイン科学専攻の学生が発表しているコーナーです。ここではユニバーサルデザインのユニークなアイディアを発見できます。1年生という、柔軟な彼らが考案した作品をいくつかご紹介します。
 
○ORIpack オリパック
 折って形が変わるプロダクト。視覚障がい者でも使いやすい薬のパッケージのアイディアです。
Cimg52421_2  ・触るだけで飲む回数を識別できるパッケージ 
 飲む回数によって形が変わるため、飲むべき薬を識別しやすく、誤飲を防ぎます。
・家族による飲み忘れの確認ができます。
 高齢者に多い飲み忘れがないか一目で確認できます。
・1週間分で1セットです。
 1日1本ずつ使うことで、薬をカレンダーのように使用することができます。

○GAM-MAG ガム・マグ 
・片手でスライドさせるだけで、簡単に蓋が開けられる容器です。 
・中にあるプラスティックの芯をずらすことで、マグネットシートの磁石が反発し合う力とプラスティックの弾性によって、片手で簡 単に開閉できる仕組みです。
Cimg52531jpg Cimg52521_2

○FREEHOOK フリーホック
・片手で簡単につけられるブラホック。
・お気に入りのブラがそのまま使えます。
Cimg52351_2 Cimg52361jpg_2

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2013年8月16日 (金)

「リズム歩行アシスト」で上り坂も楽々移動

 先月末、横浜で開催された福祉総合展、横浜ヒューマンテクノランド(ヨッテク)で、注目されたのが「リズム歩行アシスト」です。脚力が低下し、歩きにくさを感じている方々には朗報です。
 
 今回のヨッテクは「移動」がテーマ。国内大手車両メーカーが揃って出展する中で、ホンダのアシモに代表されるロボット技術を応用した「リズム歩行アシスト」が光っていました。これはベルト着用タイプのシンプルな構造の歩行を助ける補助装置です。専門の技術者が付き添ってくれる体験コーナーは、順番待ちの行列ができる盛況でした。
Cimg52161 Cimg521512pg  
 私もサイズを合わせていただき、歩行体験をしてみました。重さは2.5kgあるのですが、装着すると思っていたほど重くはありません。歩くと膝がよく上がる感覚があります。普段ずり足になりがちな方にはぴったりな補助具でしょう。
 とくに「アシストされているな」と思う感触があったのは、階段の上りです。背中が押されて、体を前へ出す力が働いているのをありありと感じました。これなら上り阪も快適、きつい段差も楽に上れると思いました。
 
 この装置は、現在、全国のリハビリテーション病院で利用されているといいます。早く市販されるようになるといいですね。

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2013年8月15日 (木)

介護ロボットは思いやりと夢のあるデザインで

 「介護には使う人に歩み寄る思いやりと夢のあるデザインが必要」というのは、喜多俊之氏。長年介護ロボットの開発を手がけてこられた世界的プロダクトデザイナーです。
Cimg52051jpg  先般、同氏の企画で「介護とデザイン」と題したサロントークが東京・銀座で行われ、最先端の介護ロボット「ロボヘルパー・サスケ」と「ワカマル」が展示紹介されました。
 
 いずれもコンセプトは「介護する人もされる人も、優しさと安心を。そしておしゃれに」。使う人に歩み寄る思いやりの心を大切に、そしておしゃれに敏感な今どきのシニアが、わくわくするような夢のあるデザインを考えたといいます。やさしい黄色を使ったのは、人を元気づける色だからだそう。海のブルーとのコントラストが美しい。
 
Cimg52111  「ロボヘルパー・サスケROBOHELPER SASUKE」(マッスル製)は、ベッドから車椅子などへの移乗を支援するシステムで、昨秋、国際福祉機器展2012で発表され、新時代の介護リフトとして話題を集めたもの。人を「吊り上げる」のではなく「かかえこまれる」ことを意識してデザインされたという、喜多氏こだわりの新商品。
 
Cimg52101jpg  「ワカマルwakamaru」(三菱重工業製)は、コミュニケーションロボット。これが日常的に使えたら、どんなに楽しいかと思いますが、150万円という価格は家庭用にはちょっと高いかも。2005年の愛知万博に出展され、かわいいアイドルになっていたことを思い出します。
 デザインで苦心されたのは「目」だそうで、見つめられると嬉しくなる目、人の気持ちがわかる目にしたいと、目の位置は生後3か月の赤ちゃんを、また瞼のカーブは喜多氏の愛犬の目を参考にされたとか

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