ファッション・アクセサリ

2023年4月24日 (月)

23/24秋冬 チョノ 服の本質を問うモノクロームの世界

 中園わたるデザイナーによる「チョノ(CHONO)」の23/24年秋冬もの展示会が4月19日から20日、表参道にて開催されました。
 テーマは「カラー・ザ・モノクロマティック・ワールド Color the monochromatic world」です。
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 モノクロームの世界にはモノクロ映画や写真のように、色彩豊かな表現では気づくことのできない美しさがあります。今季、チョノではクラシックな白黒映画を彷彿させるモノクロームの世界で、服が持つ本質的なエレガンスを追求しています。
 着目したいのは、同ブランドのオリジナルファブリックです。こだわりの職人技から生まれた質感のコントラストや、凹凸による光の陰影で、モノクロームの世界をリズミカルに演出します。意匠糸使いのグレンチェックツィードや、星形の幾何学模様で構成されたふくれ織ジャカード、エンボス加工でドット柄をつけた軽くて重厚感のある三重織ファブリック、星形模様のキルティングなど。プリントも花の写真をベースに描いたという、夢のように曖昧なニュアンスを持たせた花柄のグラフィックデザインがダークな地色のシフォンを彩っています。
 クラシカルなモノトーンと、ロマンティックなムードのバランス感覚も絶妙です。星形ジャカードのドレスに、レザーのハーネスを合わせたルックなど、フェミニンでも甘くなりすぎないスタイリングに仕上げています。

 コレクションは23/24秋冬東京ファッションウィークでオンライン配信されました。モノクロームの世界で服の本質に迫る大人のエレガンスに注目です。

 

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2023年4月23日 (日)

23/24秋冬 ミキオサカベ 「ゴミ屋敷」からの発想

 1年半ぶりにミキオサカベ(MIKIOSAKABE)のランウェイショー開催され、会場となった新大久保の淀橋教会に足を延ばしました。
 会場中央には、古びてところどころ埃をかぶった衣服を並べたハンガーラックがズラリ! その奥にはゴミ屋敷からあふれ出たゴミ袋の山が積まれています。
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 ブランドを手掛ける坂部三樹郎デザイナーは、「ゴミ屋敷みたいなところに住んでいる引きこもりの人たちが外に出る」ということをコレクションで表現したかった、と語っています。招待状が皺くちゃに丸められて届き、ちょっと驚いたのですが、これも「ゴミ屋敷」からの発想だったのですね。
 登場したのはサイズ感の合わないルックやアシンメトリーのデザインなど、「わざとチープ感を出した」演出のモデルたち。変色したジャケットやゴミ袋を思わせる素材が見られる一方、煌めくドレスも現れ、華やぎをプラス。



 着崩した気だるいシルエットの中に、「ゴミゼロ」への希望を感じたコレクションでした。

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2023年4月21日 (金)

23/24秋冬 ネスト展 今の気分に寄り添うブランド合同展

 ネスト・クリエーション・ラボ(NEST CREATION LABO)主催の23/24秋冬ファッション合同展「ネスト」が、代官山スピークフォーを会場に行われました。出展したのは今の気分に寄り添う4ブランドです。

トーゲントーゲン TOHGEN TOHGEN
 Img_20611 テーマは「ヴェルヴェットコード」です。これは1970~80年代のニューヨークの伝統的なディスコだった「Studio54」のドレスコードのことで、人々は人種、性別、年齢を超えた個性的で華やかな装いで訪れたとか。
 今季はそんな女性に自信をくれるようなスタイリングが目を惹きます。
 とくにテキスタイルのセレクションがユニークで、すばらしい!と思いました。
 レース、ジャカード、カットアウト、オパール加工---。

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 クラシカルなのに今の気分に寄り添うコレクションです。

Sol Levande 1918 (by ASAHI SENSHOKU)

 ソレヴァンテ(Sol Levande)は、足利産地の老舗企業、朝日染色の企画提案を行うセクションです。ネスト展では珍しいテキスタイルブランドの出展で驚きました。実は、上記「トーゲントーゲン」のコレクションで使用されている生地は、同ブランドのものでした。

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 プリントはハンドにこだわっているものの、デジタルプリントもはじめ、プリントや染色の枠を超えた、ニードルパンチを含む、あらゆるテキスタイル加工を手掛けているといいます。糊は食品由来の独自の糊を使うなど、環境負荷に配慮、排水もきちんと処理し、栃木県のSDG's承認を受けているそう。
 今回の「トーゲントーゲン」とのコラボレーションでは、同社しかできないスペシャルなプリント加工を実現したとか。ミラノウニカに出展し、世界の有力企業からの信頼も厚い、まさに日本が世界に誇る名ブランドの一つです。

セタイチロウ(Seta Ichiro)
 瀬田一郎デザイナーが手掛けるブランドで、今季も丁寧に作りこんだナチュラルでエレガントなシルエットが魅力です。
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モディスト(Modiste)

 パリ仕込みの「帽子」ブランドです。オート・クチュールのテクニックで、一点一点丁寧に作られています。ちょっとしたレースの扱いもエレガントで、そのシンプルな美しさに感動しました。
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 帽子はルックを印象づけるもの、もっと楽しみたいものと思いました。

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2023年4月20日 (木)

23/24秋冬ファッション合同展「プロジェクトトーキョー」

 この3月15日~16日、国際的なファッション合同展第8回「プロジェクトトーキョー(PROJECT TOKYO)」が東京国際フォーラムにて開催されました。
 「connecting fashion + culture」をコンセプトにする同展には、老舗ファクトリーブランドから新進デザイナーズ、ライフスタイル雑貨まで、約200を超える国内外ファッションブランドが集結。とくに海外ブランドの出展増が目立ち、特別招待の海外バイヤーも15の国と地域から30店舗に増えたとのことで、全体に賑わっていました。

 ここでは出展していた多数のアパレルブランドの中から、気になったブランドをご紹介します。

青衣 あをごろも
 “ 新しいニッポンのテキスタイル ”をコンセプトに、ちょっと懐かしい、ちょっと新しいニッポンの風景を集めて「こんな柄があったら楽しいな」をカタチにしているブランドです。Img_15881jpg_20230504145801
Img_15911pg  テキスタイルの絵柄は、富士山、錦 鯉、暖簾に燕、とんびに油揚げ、鴨といった日本らしいモチーフです。右は太刀魚のデザインです。
 染色はすべて京都で行われていて、京都という土地柄を大切に、従来のイメージを心地よく裏切る、ポップでカラフルな新しいテキスタイルを目指しているといいます。
 素材は心地よいコットンが中心です。

フェイバニッツ FavorKnits
 「見た目ジャケット、着心地カーディガン」のニットジャケットのブランドです。Img_15961jpg
 新潟県五泉市の協力工場の職人技による成型編みテクニックを駆使し、見返しのない完全一枚仕立で、廃棄原料ゼロを実現されています。フィットしたウエストサイド、背面のゆとりですっきりと見映えする立体的なシルエットに注目です。

マグノリア・パール Magnolia Pearl (USA)
 テキサス州フレデリックバーグ市が本拠地のアパレルブランドです。設立は2002年で、デザイナーであるロビン・ブラウンが捨てられたり、破れたりしたものをつなぎ合わせて服をつくったことからスタート、長い年月をかけて成長してきたといいます。

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 時を経たアンティーク・ロマン、その半端ではないヴィンテージ感に衝撃を受けました。

サミュエル・ゼリグ Samuel Zelig (USA)
 2020年にハリウッドを拠点にスタートした、Dylan LubellとJonathon Leviteの2人が手掛けるブランドです。

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 1930年代から50年代のアメリカのスポーツウエアに着想したというスウェットシャツを展開。生地は日本製だそう。エンブロイダリーやプリントで、1枚1枚を特別な作品の様に仕上げた、現代的アプローチが印象的です。

セッツェン・ファッション Setsen Fashion
 モンゴル発の “アートクチュール”をコンセプトに掲げるブランドです。

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 デザイナーはD. Ariundelger で、モンゴル王室にふさわしい荘厳なオーナメントや服飾を研究し商品化しているといいます。手刺繍やプリントモチーフのユニークさにビックリ!

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2023年4月19日 (水)

23/24秋冬 ヒスイ ヒロコ イトウ 数字の「3、4」で構成

 デザイナーの伊藤弘子さんが手掛ける「ヒスイ ヒロコ イトウ(HISUI HIROKO ITO)」の23/24秋冬もの展示会が、東京・目黒のギャラリーUにて開かれました。

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 今シーズンは「トライアンギュラー・スクエア」の「3と4」をテーマに、ブランドが掲げる数字シリーズの中から「0、1、2」と、今回の「3、4」をモチーフに構成されたワードローブを提案していました。
 それは直線的なパターンに、三角形のマチがついたデザインです。シルエットもオーバーサイズで動きやすいつくりになっています。
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 2ウェイ、3ウェイと着ることができたり、アシンメトリーや立体的なフォルム、ドレープ、レイヤードなど、様々な手法が用いられていたりします。
 色使いや素材組み合わせも大胆で、楽しいエネルギーを感じさせるコレクションです。

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2023年4月18日 (火)

23/24秋冬 ミントデザインズ 「フラワーパンク」テーマに

  勝井北斗と八木奈央のデザイナーデュオによる「ミントデザインズ(mintdesigns)」は、東京ファッション・ウィークの期間中、23/24年秋冬コレクションをオンラインで発表。同時にミントデザインズ青山のショップで展示会を開催しました。

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 テーマは「フラワーパンク(FLOWER PUNK)」で、キュートなフリルやフラワーモチーフとパンクやホラー要素が融合し、カラーも優しいピンクやラベンダー色にゴシック調の白/黒が組み合わさっています。
 注目は、イラストレーターの黒田 潔さんとのコラボレーションによるプリントで、繊細なモノクロの線画のデザインがクールです。今シーズンもミントデザインズらしい“甘辛ミックス”スタイルの提案で、人気を集めそう。

 さらにミントデザインズは今季、「楽天ファッション・ウィーク23年秋冬」のブランドサポートプログラムのデジタル部門「JFWデジタルグランプリ」を受賞したとのことです。

 コレクションの内容と映像作品の完成度に加え、動画の視聴回数からも判断されたようで、ほんとうにおめでとうございます!
 来シーズンはランウェイショーで見せてくれることでしょう。楽しみにしています。

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2023年4月17日 (月)

23/24秋冬東コレ⑿ トモ コイズミ ミラノ・パリ凱旋ショー

 「ファッション・プライズ・オブ・トーキョー (FASHION PRIZE OF TOKYO)」の第5回受賞ブランド「トモ コイズミ TOMO KOIZUMI」による23/24秋冬ミラノ・パリ ファッションウィーク凱旋ショーイベントが、表参道ヒルズにて開かれました。
 トモ コイズミは小泉智貴デザイナーが手掛けるファッションブランドです。華やかで大胆なラッフルドレスが特徴の演劇的コスチュームやウェデイングドレスのコレクションを展開しています。
 今シーズンはパリ ファッション ウィーク期間中に自身初のコレクション発表をプレゼンテーション形式にて実施、これに先駆けてミラノでは「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」のサポートにより23/24年秋冬コレクションをランウェイショーで披露しました。
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  花が咲いたように美しい彩りのドレスであふれるイベント会場で、小泉智貴デザイナーは、ミラノでのコレクションショーのビデオをバックに、ショーの模様を次のように語りました。Img_17971jpg
Img_17871jpg  「今シーズンは “マルチカラー” がテーマ。すべての色を使って、無秩序な中に調和のある美しい状態がつくれたらいいなと思って制作しました。プリントはドルチェ&ガッバーナのオートクチュールライン“アルタ モーダ(Alta Moda)”のシチリア伝統のカレット柄を提供してもらい、花をふんだんに取り入れています。生地はリサイクルポリエステルの“レニュー” を用い、オーガンジーのラッフルの他に、新しいディテールとしてハンドスモッキングのテクニックを採用しました。スワロフスキーで装飾したボディコンシャスなデザインなど、新しいものを創り出せたのではないかと思っています。」

Img_17811  上は、2021年に大阪でポップアップを開催した際に壁面装飾に使用した生地を再利用しもの。5人で着る着方を考え、皆でシェアして楽しめるピースにしようと創作したといいます。

  明るく元気づけてくれるような、ポジティブなエネルギーいっぱいのコレクションで、改めてファッションの力強さを実感したイベントとなりました。

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2023年4月16日 (日)

23/24秋冬東コレ⑾ メグミウラ ワードローブ 多様なモデル

 「メグミウラ ワードローブ(MEGMIURA WARDROBE)」は、デザイナー・三浦メグが手掛けるファッションブランドです。2023S/SシーズンにJFW DIGITAL GRAND PRIX 2023 S/S 受賞し、今シーズン、東京ファッションウィークに参加して初めてのランウェイショーを渋谷駅西口地下のタクシー待機所で開催しました。
 登場したのは“羽織るだけで、360度美しいコート”というアウターウェアが中心です。ブランドが掲げる「ジェンダーレス、エイジレス、ボディ ポジティブ」を体現するように、シニアから子どもまで多様な体型のモデルがウオーキングしました。
 ゆったりと心地よさそうなシルエットで、重ね着や着合わせの妙、遊び心のある素材組み合わせ、それにダッフルコートに使用されるトグルボタン使いも随所に。

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 全体にモヘアやツィード、スエードなど温かみのある素材を用いた、重厚感のあるコレクションでした。

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2023年4月15日 (土)

23/24秋冬東コレ⑽マニラ発 ピーエッチ モード トーキョー

 「ピーエッチ モード トーキョー(PH MODE x TY)」はフィリッピンデザイナーの合同ブランドです。フィリピン最大のファッションウィークイベントであるマニラファッションフェスティバル (MFF)が日本を代表する繊維専門商社スタイレムとコラボレーションして、2022年に立ち上げたといいます。
 MFFは2014年にスタートして以来、主要ファッションメディアとパートナーシップを締結し、これまでに150以上のデザイナーブランドの最新コレクションを制作発表しているとのことです。
 昨シーズンに続き、今季も楽天ファッションウィーク東京に参加し、7ブランドが2023秋冬コレクションを東京・南青山STUMP BASEを会場に披露しました。

Img_1754  ティアン・ロドリゲス(THIAN RODRIGUEZ) 演劇的でアートなムードが漂います。

Img_17581  バルバ(BARBA) 静的なデザインとシンプルでありながら力強いスタイルです。

Img_17711  アーカイブズ エリス コー(ARCHIVES ELLIS CO) 黒と白のエッジの効いたデザイン。

Img_17721  上はフィナーレの写真です。正面がトップに登場したアロディア・セシリア(ALODIA CECILIA)で、ナチュラルでシンプルな雰囲気のドレスを提案していました。

 他にアズカール(AZUCAR)、ジョーエル エスピーナ(JOR-EL ESPINA)、ストイック(S’TOI|C)。

 いずれもスタイレムのサステナブルなクオリティ素材とフィリピンのエスニック素材が融合するクロスカルチャーコレクションです。フィリピンデザイナーのクリエティブな感性は、予想以上に洗練されていてレベルが高いと思いました。日本市場で大きな反響を巻き起こしそうです。

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2023年4月14日 (金)

23/24秋冬 東コレ⑼ アキコアオキ 聖母マリアに着想して

 昨年、東京都とJFWOが共催するファッションコンペ「東京ファッションアワード(TOKYO FASHION AWARD)」を受賞した「アキコアオキ(AKIKOAOKI)」。今季はこれに伴うサポートを受けて、5年ぶりにランウェイショーを開催しました。
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 着想源は聖母マリアです。ブランドを手掛ける青木明子デザイナーは、「マリアは突然、神の母になる運命を告げられ、一人の女性として自分の使命を全うし、今も生き続けています。その姿は現代の女性の精神性にも通じていて魅力的です」と語っています。
 登場したのは、得意のユニホームの解体・脱構築を軸に、神聖さとテーラードやミリタリー、ストリートスタイルを織り混ぜた多彩なマリア像です。修道女風のベールをまとったストイックな細身のシルエットに、透ける生地使いでセンシャルな風情を演出したり、コルセットを彷彿とさせるバックストラップを組み入れたり、フレアシルエットのパンツをベルトで絞ってボンテージ風に仕上げたり。古着リメイクや宗教画のようなグラフィックプリントも見られます。

Img_17061  カラーはブラックやグレーなどダークを主調に、ピンクやブルーの彩りをプラス。レースや光沢のあるビニール、ファーの様な素材など、様々な質感の素材が溶け込み合っています。
 従来のマリアのイメージに新しい視点をもたらすコレクションでした。

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