「アライア/クラマタ、創造の軽やかさ」 響き合う二人展
パリのマレ地区に位置するアズディン・アライア財団で、現在も開催中の「アライア/クラマタ、創造の軽やかさ(Alaia / Kuramata : la legerete en creation)」展を訪れました。
会場に足を踏み入れると、そこは二人のデザイナーの魂が響き合い、一体となった世界が広がっていました。
倉俣史朗は、ガラスやアクリル、光などで構成される透明感、浮遊感に満ちたインテリアデザインで有名です。重力の法則を無視したような家具を軽やかで幽玄な芸術作品へと変貌させ、1990年にフランス文化省芸術文化勲章を受章しました。
クチュールの名手であったアズディン・アライアは、倉俣史朗のアートに常に魅了されていたそうで、2005年に倉俣の作品展を開催しています。
それから20年後、アズディン・アライア財団は、この亡き二人の卓越したアーティストを結びつける形で、2007年の創設以来初となる、このオマージュを復活させました。
今回の展示では、財団のコレクションから、倉俣の家具やオブジェとアズディン・アライアのオートクチュール作品、それぞれ22点が共鳴し合うように並べられていました。シンプルなドレスのルレックスのニットは、椅子の金属メッシュと呼応し、透明なアクリル製の棚はオートクチュールの繊細なモスリンと美しいハーモニーを奏でています。
二人のアーティストの作品は、軽やかさと洗練さが融合し、異なる素材や形状の中に共鳴し合う美しさが宿っています。その出会いが生む予期せぬ調和が、展示空間に新たな命を吹き込み、一つの詩的な世界を創り上げていました。
二階の展示スペースでは、ジェシー・ノーマンのドレスが展示されていました。これは1989年フランス革命200周年記念式典のために国家を歌うジェシー・ノーマンのために特別に制作された作品です。
1989年、フランソワ・ミッテラン大統領の下、文化大臣ジャック・ラングの提案でジャン=ポール・グードがフランス革命200周年のパレードをデザイン。アズディン・アライアは友人のグードに誘われ、金刺繍のベルベットコートやフランス国旗を使った、この歴史的なドレスを制作したといいます。
チュニジア生まれの偉大なクチュリエ、アライアはフランス市民権を最も大切にしていたそうです。パリ・オリンピックと同時期のアライアに捧げる衣裳展は、彼が愛したフランス文化と芸術への深い敬意を示し、時を超えた彼の創造の遺産を今一度、祝福する場となっていました。
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