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2024年6月 6日 (木)

横浜トリエンナーレ ⑷ 「すべての河」の章

 横浜トリエンナーレのテーマ「野草:いま、ここで生きてる」の「すべての河」と名付けられた章は、メイン会場である横浜美術館以外に設置された二会場で展示されました。
 「すべての河」というタイトルは、イスラエルの作家ドリット・ラビニャンの小説『すべての河』(2014年刊)から取られています。このタイトルは、数多くの小さな流れが合流して大きな川になる様子を比喩として使い、国籍、人種、宗教、言語の違いを超えて結びつく新しい社会関係を象徴しています。

 一つ目の会場はBankART KAIKO。約100年前の帝蚕倉庫の一棟を復元した建物内にあるアートスペースです。
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 ここでは本展の最年少作家、25歳のミャンマーのアーティスト、ピェ・ピョ・タット・ニョのインスタレーション、《わたしたちの生の物語り》(2024年)が目を惹きました。金属や植物、人工的加工物が入り混じり、朽ちて崩壊していくようである一方で、新しい生命体に変態したかのように見える作品です。有機的な形と赤い光が合わさった様子は、何やら奇妙な生き物のよう。また3年前から内戦が続くミャンマーに生まれた、全く新しい生命体かもしれません。

 二つ目の会場は旧第一銀行横浜支店です。1階ホールでは、カフェや古着屋、 低料金の宿泊所などを運営する人々の活動が紹介されていました。
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 中でも目立っていたのが、杉並区高円寺でリサイクルショップ「素人の乱」を経営しながら、任意団体「貧乏人大反乱集団」を主宰する松本哉による大パネル展示です。そこには「革命の先にある世界」をイメージして、「世界大混乱!! もうやるしかない!!」とか「2024年、世界のマヌケ地下文化圏の奴らの交流は、いよいよとんでもないことに!!」などと書かれています。かつての反体制派の若者たちを彷彿させられ、もし革命が起こったら、こんな風になるのかも、と思ったりしました。
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 またリメイクブランド「途中でやめる」の山下陽光が初参加し、今回のテーマである「野草」をモチーフにした新作を発表、リメイク服を展示販売していました。

 2階では、オランダの作家、ブック・フェルカーダによる《根こそぎ》 (2023‐2024年)と題したHDビデオ(カラー / サウンド / 6分30秒)上映が行われていました。
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 庭に住む植物や虫たちが、薬剤をふりまく庭師に、わたしたちが生きる環境を壊さないで、と語りかけるストーリーです。動物と人間、植物が混じり合ったような奇妙なキャラクターが登場し、夢で幻覚を見ているような世界が繰り広げられます。
 人と自然の新しいあり様を表現するアニメーションでした。

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