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2024年5月 7日 (火)

アクティブシニア 購買心理を理解したマーケティング

 今年はシニアビジネス元年といわれています。歴史上初めて日本は人口の2人に1人が50歳を超える国となりました。
  先般開催された第7回ライフスタイルウイーク東京では、市場規模が拡大しているシニアのニーズを把握するため、シニアマーケティングに関するセミナーが実施され、大変興味深かったです。
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 登壇者は㈱オースタンス代表取締役社長 菊川 諒人氏です。「アクティブシニアの消費行動~購買心理を理解したマーケティングとは~」をテーマに、様々な事例を交えて語られました。

 下記、そのポイントです。

1. シニアマーケットがトレンドとなっている理由
・人口構成比率の高齢化による市場の単純拡大 ―― 来年にも市場規模は100兆円を超える見込みで、シニアビジネスは日本でまれに見る成長産業です。
・日々増加する高齢者の保有資産 ―― 個人金融資産約1,700兆円のうち、約6割(1,000兆円)の資産を保有しているのが60代以上です。
・中高年層以上の急激なデジタル化 ―― シニアのインターネット利用率は、60代で約90%、スマホ利用率は急増し、65歳以上の保有率は約77%に達しています。デジタルを使いこなすシニアが多くなり、デジタルでモノやサービスを届けられるようになっています。
・健康寿命/労働寿命の延伸による消費の加速 ―― 2020年の法改正で企業に対し70歳までの雇用確保が努力義務化され、70歳まで給与所得者になり、これまで年金所得者だった世代の財布の紐が緩む可能性があります。また医療の充実により健康寿命の向上によるシニア世代の拡張も必至です。

2. シニアマーケティングで陥りがちな状況 
 シニアマーケットに取り組む上で、よくあるバイアス(思い込み)を払拭して欲しいといいます。
・シニア世代のイメージは人によって異なります。 ―― 白髪のおじいさんやおばあさん像だったり、50~60代をイメージしていたり、乖離があります。
・情報収集の中心はテレビ ―― テレビの割合は高いが、一方でインターネットでの情報収集の割合も高い傾向にあります。
・デジタルリテラシーが低そう ―― 2020年段階で60代の70%以上がスマホを利用していると回答。仕事でPCを使うのは当然だった人たちなので、インターネット利用率も80%を超えています。
 シニアと言っても状況は多種多様。60代と80代ではライフスタイルが全く異なっています。仕事を続けているかどうかで金銭感覚も異なり、大都市圏と地方都市とでは価値観も異なっています。この他、同居する子どもの有無や孫の有無、友達の有無などもあり、一括りにはできません。 
  またマーケティングで頻繁に直面する難しさは、企画者との世代間ギャップで、自分ごと化がし難いことです。このギャップを埋めるために、顧客を見る解像度を高める必要があるといいます。

3. 顧客解像度を高く見るための方法
 菊川氏の会社、㈱オースタンスでは、解像度を高く顧客を見ることができる分析ツールとして、クレイトン・M・クリステンセン教授が発表した “ジョブ”理論という考え方を活用しているとのことです。
 これは状況で対象を分析する、状況でみると因果関係がわかる、因果関係を押さえると解像度がアップするというもので、これを基に、同社では、なぜその人はその商品を購入したのかなど、その購買行動に関する、しっかりとした消費者調査を数千人規模で行っているそうです。
 インタビューやアンケートでは、アノマリー、その裏の心理に着目することと、とくにシニアマーケティングで重要なのが、少し長い時間軸で見ることと、ステークホルダー(関係者)をしっかりと捉えることと指摘しました。
 またシニア顧客を理解する上での着眼点を4つ、挙げました。
・生理的観点 ―― 身体の衰えに起因する変化、認知能力低下等。このことを捉えないと手に取ってもらえない。
・資源的観点 ―― 収入構造の違いや可処分時間などに関連する変化。年金所得のみかどうかなど。
・心理的観点 ―― 成人発達理論など精神的な変化。たとえば年を取ると人との出会いが少なくなる、ライフイベントが変化するなど。
・社会的観点 ―― 社会情勢により形成された価値観。たとえば10年前は冷凍庫をつくっても売れなかったが、現在は冷凍食品の品質向上で積極的に利用されるようになっているなど、社会通念の変化もあります。
 顧客の解像度を高めるには、属性ではなく上記のような状況に注目することが大切で、これにより行動の因果関係を理解することができる、と強調しました。

 最後に、購買意欲を高めるための考え方について述べ、顧客心理を捉えたマーケティング施策を紹介しました。これには「売り込み」と感じさせないよう、知的好奇心を引き出し、好感を持たれるアプローチが重要で、この好感を得るための3つの要素として、入り口の建付けを工夫すること、商品を無理に勧めないこと、時間をかけて丁寧に説明することが肝要と解説して、締めくくりました。

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