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2024年5月11日 (土)

Tokyo Creative Salon 24 特別トーク「明日へのヴィジョン」

 Img_63561pg 先般、クリエイティブの祭典「Tokyo Creative Salon 2024」が東京ミッドタウン・デザインハブで開催され、特別トークイベントの一つに株式会社ユナイテッドアローズ 上級顧問 クリエイティブディレクション担当 栗野宏文氏が登壇、Panoramatiks 主宰/TCS 統括クリエイティブディレクター/2023年度グッドデザイン賞審査委員長 齋藤精一氏を聞き手に「Vision For Tomorrow(明日へのヴィジョン) (Social Stream and Creative Direction of Tokyo 2024)」と題して、日本のクリエイティブにおける美意識の方向性を5つのキーワードで解説されました。
 以下、その概略です。

1. インディヴィジュアリティ (individuality主体性)
 気候変動など問題山積の現代において重要なのは「主体性」であると提言。主体性を大切にしている人物の代表として、45万部のベストセラーとなった『人新世の「資本論」』の斎藤幸平氏や、杉並区で初の女性区長に選出された岸本聡子氏、日本の食の在り方を研究する藤原辰史氏、『ぼくはイエローでホワイトで、ときどきブルー』の著者ブレイディミカコ氏らを挙げました。時代をブレークスルーするのは彼らのように自分で考え、自ら行動し、伝え、オーガナイズする、主体的な人たちと推挙されていたのが印象的です。

2.  ユニティ (unity共生)
 人が集まり、ともに活動し、補い合って生きる社会的価値の重要性が高まっています。格差や分断の無い世界へ、1960から70年代のレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーが音楽の力で「ユナイト」を実現ようとしたように、ファッションもその役割を果たせると、「ユニティ」を感じたファッション、ブランドやショーを紹介しました。
 一つはメンズファッションフランドの「COGNOMEN(コグノーメン)」です。サッカー好きなデザイナー、大江マイケル仁が秩父宮ラグビー場で開いた初のランウェイショーは、テーマが「ファイトフォー (Fight for)」。チーム一丸となって闘い、最後は敵味方無しのノーサイド、その精神に感動したといいます。
 もう一つは、22/23年AW 「ダブレット(doublet)」のショーです。モデルたちはお面をつけてウォーキングし、フィナーレでマスクを脱ぐと、そこには様々なモデルたちの顔が現れました。それはダイバーシティを体現するショーでした。ブランドを手掛けるデザイナーの井野将之は、この演出を通じて、多様性が本当の意味で実現されるのは、それが誰からも意識されないときであることをアピールしていました。ファッションに社会を変える力があることを示すコレクションでした。

3. インヘリット (inherit 継承) 
 クリエーションというと前のものを否定して新しいものを追う、と思われがちですが、伝統を継承することにもブレークスルーが伴います。
 たとえば「スズサン(suzusan)」という有松絞りのブランドがあります。代表の村瀬氏は、デュセッドルフで海外のセレクトなどとコラボレーションして、有松絞りの技術を文化財ではない、コンテンポラリーなものに活かして成功されています。他にも西陣や漆など、日本には世界に通用する有力な伝統技術が残っていますから、いろいろな分野でこういう方が出てくるとよいと話されました。
 「素材と用途は捨ててもよいが、技術は継承したい。変えてはいけないもののために変えるべきものを変え続ける」との氏の名言に、感銘しました。

4. アウトサイダー( outsider突破者)  
 アウトサイダーはクリエイターであり、クリエイターはアウトサイダーでもあります。アウトサイダーを極め続けることが未来を拓くといいます。
 その代表がコムデギャルソンの川久保 玲です。異端を正統にしてしまうところは誰も真似できない、すばらしいことと賛辞を送りました。他にもアンダーカバーの24春夏コレクション、また山梨県・富士吉田市を舞台にした「ここのがっこう」の卒業制作展、アウトサイダーアートの展覧会など、先が見えない現代はアウトサイダーを求めていると強調しました。

5.  エクレクティック(eclectique 折衷) 
 和 ✕ 洋の折衷に着目。
 LVMHプライズ2023のグランプリを受賞した日本人デザイナー、桑田悟史の「セッチュウ(SETCHU)」は、サヴィルロウで培った経験を活かし、2024春夏コレクションでシルエットや丈を自在に変えることができる「折り紙のような服」を提案しています。キモノには無駄がありません。テーラードとキモノの組み合わせに未来性を感じているといいます。

 複雑なファッションクリエーションの今後の展望を分かりやすい言葉で語られた、大変興味深いトークショーでした。

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