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2024年5月

2024年5月31日 (金)

2025春夏PTJ展 ⑼ 先染めシャツ地 軽やかな表面変化へ

 シャツ向けの先染め織物では、春夏らしい軽やかなタッチで、さりげない表面変化を持たせた生地が増えています。

浅記(株)
 先染め織物の産地である新潟で、1869年に創業したテキスタイルメーカーです。
 オーガニックコットンを使用した表面変化のあるコードチェックや綿/麻素材に撚糸を加えて清涼感を持たせた、キャッチワッシャーシリーズなどの独自商品を提案しています。

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 上は、オーガニックコットンにコードを効かせたカジュアルチェックです。

(株)カゲヤマ
 播州織先染め産地である兵庫県西脇市にある繊維産元商社です。
 Img_72291_20240607200201 現在300品番2000色ものオリジナル生地をストックしていて、1反から購入可能とか。

 右は、同社の人気素材、両面リバーシブルの先染めです。

 
124  また、今季はカゲヤマオリジナルの「シェイキーマジック」を復活させています。(右の写真はPTJのホームページからお借りしました)

 これは特殊染色技術によって、ぼかしたプリントのような表情を付与した織物です。

 今から15年ほど前に、綿100%綾織に絞り込んで販売したところ、ヒットした商品といいます。

 

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2024年5月30日 (木)

2025春夏PTJ展 ⑻ 多様なデニム 持続可能へさらに進化

 デニムは汎用性の高い素材として、カジュアルから洗練されたものまで、多様なものが登場しています。水の使用削減など、持続可能性への取り組みにもさらなる進化が見られます。

カイハラ(株
 国内シェアは約50%という日本を代表するデニムメーカーです。年間800~1000種類もの生地開発を行い、徹底した品質管理による高品質な素材を提供しています。
 今季、とくに打ち出されていたのが、超軽量のエアチューブデニムです。デニムの表情そのままに空気をまとうように軽いデニムです。
 Img_72711pg右は、フッ素を使わない、シリコンを主成分とした独自の処方により開発された撥水加工のデニムです。
 さらに反毛20%混のリサイクルコットン使いのものも提案。サステナブルなデニムをさらに進化させています。

ダックテキスタイル(株)
 日本が誇るデニムの産地、広島県福山市と岡山県井原市を中心とする備中・備後地域の機屋と直結したものづくりを行っている専門商社です。東京・原宿にあるショールームには最新の商品サンプルが多数揃えられています。
Img_72541  今シーズンは、とくにシャトル織機という古い織機でしか織ることのできない、アンティーク感のある「セルヴィッジデニム」や、右写真の「スカシジャカードデニム」が注目されました。
 スカシジャカードデニムは柄を全面に出さず、あえて透かして浮き出すような柄が特徴で、柄柄しない、控えた感覚がシックです。また色鮮やかなカラーデニムや清涼感のある綿麻デニムなども出品されています。

(株)オールブルー
  岡山県倉敷市児島でデニムを開発、販売している会社です。本格的なデニムを中心に機能性、デザイン性のある素材も開発、また様々な生地加工を行うなど、常に新しい素材を提供しています。
 Img_72791jpg 今季は生機の素材感をそのまま活かしたワッシャーシリーズやリサイクルポリエステルを組み込んだデニム、さらにシルク100%のノイルデニムなども提案。右は、ブースで目立っていたマルチカラージャカードデニムです。

山陽染工(株)
 デニムの産地、広島県福山市にある国内有数の染工場です。原反から晒、無地染め、プリント、仕上げ加工まで一貫で行っています。
 備後絣の系統を受け継ぐ「インディゴ生地染め」や「抜染」などの特殊加工は、Img_72091pg 世界のハイブランドから高い評価を得ており、私もいつも注目して見ています。
 右は、シャディ加工という、ムラ染め加工の厚地コットン100%ツイルです。さりげないヴィンテージ調の雰囲気が出ています。

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2024年5月29日 (水)

2025春夏PTJ展⑺ 無地 天然素材中心に表情のあるものへ

 無地はサステナブルな天然素材が中心です。何の変哲もないプレーンに見えますが、よく見るとどこか懐かしい表情感のあるものが多くなっています。

柴屋(株)
 海外出展に積極的に取り組み、実績を上げているテキスタイルコンバーターで、布帛生地を中心にストック販売しています。取り扱っているのは、綿や麻の天然繊維が中心で、オリジナルテキスタイル約1500品番を取り揃え、1種類、平均で7色展開、トータル配色では、約7000色展開しており、1m~のオーダーに対応するとのことです。

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 人気は定番の天日干し「サニードライ」シリーズです。これに加えてアンティークダイのユーズド感のある素材、程よい色落ち感を表現したビッグライズ加工、うず潮ワッシャー、ハイカウントタイプライターTKS加工など、多くの加工生地を展開。ブースは、いつ行っても活気にあふれています。

スタイルテックス(株)
 同社は、埼玉県の関連工場(ダイワインターテック)で製造されるスレン染料Img_73091_20240607162101 を中心に糸染した高密度コートクロスの企画・販売を手掛けています。
 右は、シャンブレーコットンギャバジンで撥水加工のもの。上品な光沢のあるコットン100%で、格調高いコート地に最適。

古橋織布有限会社
 世界的にも希少なシャトル織機を使い、天然素材を中心とした、生地に表情のあるシャツ生地、アウター素材が得意な遠州産地のメーカーです。綿、麻、綿麻、綿ヘンプ、綿和紙、バンブーリネンなど、素材が生まれもつ機能性や、質感を最大限に生かしたものづくりにこだわっています。
 Img_73161jpg 右は、同社のロングセラーであるボイルウェザークロス、コットン100%です。経糸と緯糸は中番手糸の強撚糸使いなので、独特なハリとコシがある丈夫な風合いです。しかも経糸と緯糸はそれぞれ別の色に染めてから織る「シャンブレー」組成で深みのある色合いが表現されています。

山﨑テキスタイル(株)
 綿を中心に細番手、高密度、強撚糸使いの高品質なテキスタイルを開発している浜松産地のメーカーです。
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 ブースではGOTS認証済のオーガニック糸やリサイクルポリエステルを使用したサステナブルな商品を大きく打ち出していました。

赤堀産業(株
 1951年に事業を立ち上げて以来、70年以上に渡り、綿、麻、レーヨン、ウールなどの天然繊維を中心に、繊維の街である浜松から高品質な生地を提供しているメーカーです。
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 今回はメイドイン遠州の生地を使用した製品染のムラ染めを提案していたのが印象的でした。

古山(株
 天然素材の後染め商品を在庫展開している遠州・浜松の生地メーカーです。Img_71761
 特に加工方法に力を入れていて少量生産ならではの柔らかさやシワが特徴といいます。
 右は、リネン/コットン先染めシャンブレーです。

小松和テキスタイル(株)
Img_71841  同社の「東炊き」(右の写真)は、スカイツリーのお膝元である東京下町にある、製品染めからスタートした染工場で仕上げたもの。コットンやリネンといった天然繊維の染めが得意で、小さな釜の中で生地がぶつかり合うことで、ふんわり凹凸を感じる仕上がりになっています。
 また江戸時代から絹、絹染、銘仙で知られる足利・織姫神社の地で、絹糸の染からスタートした染工場で仕上げたものが「織姫炊き」です。ウールなど、縮みが出やすく繊細なタッチの生地も染めることが出来るといいます。

小原屋繊維(株)
 大阪を拠点に、国産の品質にこだわり、天然繊維を中心としたオリジナル生地の企画・販売を行っている生地商社です。在庫をストックしており、1反からの注文にも対応しているといいます。
Img_72981_20240607162401  右は、スーピマコットン/ナイロン混で、しなやかで強度のあるコットン糸に繊細なナイロンをブレンドすることで、天然繊維のナチュラル感と合成繊維のしなやかさを融合させた素材に仕上げたもの。ナチュラルなワッシャー仕上げが施されています。

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2024年5月28日 (火)

2025春夏PTJ展 ⑹ レースや刺繍 ジェンダーレスへ

 レースや刺繍と言えば、レディス中心ですが、昨今は男性下着に総レースのパンツがヒットするなど、ジェンダーレスへのトレンドが顕著になってきました。

落合レース(株)
 1941年日本橋で創業、2008年よりパリのプルミエールヴィジョン・アクセサリーにも出展を続けている同社も今シーズン、メンズの需要開拓に動いていました。
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Img_71291  全体に、ロマンティックな花柄よりはシンプルな幾何学模様やペーズリー柄を推している様子でした。


サン・ルック(株) 

 1984年創業の福井発の刺繍製造卸メーカーです。模様の糸振り、色合いに手の込んだ細工を施したオリジナルのレース生地、刺繍生地を開発し、刺繍を一つの後加工とした物づくりブランド「Ruby Garret『真っ赤な屋根裏部屋』」を立ち上げています。

Img_70771_20240607133201  右は、グラデーションサークルケミカルレースです。コットン70/ポリエステル30混で、ケミカルレースによる薄手のグラデーション配色のものがなかったため、企画したとのことです。
 濃淡の色使いと重なり合う円形のグラフィックが「アールデコ」をイメージさせる、優れたデザインと思いました。「What’s Next(次の売れ筋)」Textile コーナーに出品されていましたので、私も一票を投じましたが、アワードに入らず残念でした。

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2024年5月27日 (月)

2025春夏PTJ展⑸ プリント ぼやけた抽象化された表現へ

 プリント技術はアナログとデジタル、その融合へとさらに進化。モチーフはぼやけて、捉えどころのない抽象化された表現が増えています。

レインボーワールド(株)
 1951年(昭和26年)横浜市南区にて創業し、1989年(平成元年)に豊かな水と人材を求めて、秋田県能代市にレインボーワールド(株)と名前を改め移転、横浜の伝統捺染技術を、今も脈々と受け継ぐプリントメーカーです。
 デジタル化が急速に進む中で、人が創る温もりを大切にしながら、染色の無限の可能性を求めて、アナログとデジタルの融合を図っているといいます。

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Img_71681  今シーズンは天然素材染料によるハンドプリントの引き染め(染料をつけた刷毛を引いて布を染めていく技法)を大きく打ち出し、来場者の目を惹いていました。

(株)モエランスタジオ
 同社の魅力と強みは、デジタル技術に特化したテキスタイルデザイナーによるオリジナルデザイン力と柄の豊富さにあるといいます。シーズンごとに約70から100柄、年間で約400柄のデザインを発表しているとのことです。

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 また、日本に1台しか導入されていない最新のデジタルプリント機を導入し、オンライン受注販売という体制を取り入れ、環境に配慮した製造・販売体制を整えていることも訴求。現在、取り扱っているのは天然素材のシーチングやオックス、ダブルガーゼ、高品質なツイルやブロード、サテン、レーヨン混合等ですが、これらに加えて、新たに合繊プリント対応も可能になったそう。これまで以上に幅広い提案を実現させているモエランスタジオに注目です。

(株)グローブ
 ハンドプリントにこだわるテキスタイルコンバーターです。
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 オリジナルプリントと対応力が強みで、手捺染による深みのある色彩と豊富な柄数と素材を無限に組み合わせ、小ロットから大口の注文にも、あらゆる要望に応じたプリントテキスタイルをクイックに提供しているといいます。

近江織物(株)
 織布も加工も手掛けるメーカーですが、今回とくに目についたのがプリントです。綿や麻など天然繊維のプリントに適したインクジェットプリンターによるテキスタイルを提案していました。

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 伝統ある近江商人の「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」の精神を継承し、従来のアナログ技術と最新のデジタル技術の融合を加速しながら、地球環境にやさしいものづくりを目指すといいます。

(株)アルテックス
 京都の伝統と最新の加工技術を基盤に、プリントや意匠物を中心に企画・販売するテキスタイルメーカーです。今季は、表情のある見え方をテーマに、生地の凹凸感にこだわった、付加価値のある素材を展開。
 Img_73491_20240607110601 右は、「What’s Next(次の売れ筋)」Textile コーナーで人気を集めていた「マジックプリント」です。ナイロンタンブラータフタに温度を感知する特殊染料で加工したプリントで、31度以上になるとプリント柄がフェードアウトするとのこと。熱中症対策にもなるという、おもしろいプリントです。

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2024年5月26日 (日)

2025春夏PTJ展⑷ 初出展社 回復基調に乗り市場開拓へ

 今回のプレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)25年春夏で出展したのは70社、内新規出展した日本企業は下記5社でした。いずれも回復基調に乗って市場開拓へ積極的な動きを見せていました。

大松(株)
 京都本社の老舗で、テキスタイル事業は本部拠点を東京に置き活動している、総合ファッション製品の企画、製造、卸販売企業です。今回販路開拓のため初出展したといいます。
 Img_71511 取り扱い素材は、プリントや刺繍、ジャガードなど意匠性の高い素材が中心。とくにブースで目立っていたのが、立体的な表現に見える顔料厚盛プリントで、コットン100%ブロードのもの(右写真)。
 またシルクオーガンジーの繊細な先染めやサンドウォッシュ仕上げのデシン、薄地で適度な透け感が特徴のビスコース/綿のリップストップ、リサイクルポリエステル使いで特殊起毛加工を施した高密度タイプライタークロスなど。さらに色付き原糸(ウールや綿のトップ糸)の在庫ストックにも力を入れ始めたとも。

(株)ROKAL
 本社は東京で、播州(西脇)と備中備後(児島)の2ヶ所に産元としての拠点があり、各産地の強みを活かした営業活動が強みの会社とか。また、生地の二次加工に関するノウハウが豊富で、小ロット短納期に特化した様々な加工を得意としているといいます。
 メンズカジュアル向けを中心に約150マークの生地をリスク販売しており1m~購入可能といいます。
Img_70691  右は、摸紗織(ドビーパナマ組織)シャンブレーです。経糸と緯糸ともに20/1強撚糸使いで織り上げ、その仕上げにダブルワッシャー仕上げを施してシボ感を表現。透け感やシャリ感による肌離れの良さも特徴の生地です。
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 右は、綿100%ツイルに顔料インクジェットプリントの生地です。
 インクの量を増やして、刺繍風にプリントが施されています。


(株)ファイブワン(FIVE-ONE)

 同社の企業理念は “ジャパンメイドを大切に”です。創業以来、国内外のアパレルブランドと日本各地の仕入れ先との架け橋として事業を拡大してきたといいます。
 このほどエンブロイダリー刺繍の工場(F&stitch)の運営と生地専門の物流倉庫(F・CLOUD)の設立、それに伴う物流システムや検反システムを開発し、認知度を高めようと初出展。
 「What’s Next(次の売れ筋)」Textile コーナーでは、来場者が選んだ次の売れ筋第2位に同社の「サファリエンブロイダリープリント」が選ばImg_71321_20240606183701 れました。(このブログ2024.5.25付け参照)

 右は、綿100%蜂巣織(ワッフル織)に施された、赤いステッチ刺繍による格子柄がフレッシュな印象の生地です。

KIRARI(株)
 化合繊・再生繊維・天然繊維を幅広く揃え、小ロット・短納期対応が可能という同社。今回初出展し、上海の倉庫で管理し、中国縫製の顧客に迅速かつ安心して提供するとアピールしていました。
Img_73571  特殊な光沢とビンテージ加工で深みのある艶が特徴のアセテートサテンビンテージ、染色時の収縮差でランダムな凹凸感を表現するキュプラナイロン楊柳、また強撚糸のシャリ感とシワ加工、フィブリル加工を施したキュプラトリプルシアーなど。

西田通商(株)
Photo_index_02_02  シルクで有名な繊維問屋が初出展。国産と中国産シルクあるいはシルク混生地を総合ブック帳にまとめて提案していたのが印象的です。
 また台湾原産のカカオ豆の殻(農業廃棄物)をパウダー状に粉砕しポリエステルチップに詰めて作った繊維「Secao(セカオ)」は、エコ素材として今後注目を集めそうです。

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2024年5月25日 (土)

2025春夏PTJ展⑶ 来場者が選ぶ「What’s Next」Textile

 プレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)25年春夏で、昨年に続き、「What’s Next(次の売れ筋)」Textile コーナーが設置されました。
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 これは来場者がトレンド性、感性、技術、意匠、風合い、マーケティング性、好みなどの観点から投票で評価する来場者参加型の企画です。コーナーには39社から98点の応募があり、一次審査を通過した35社35点の生地が展示されました。
 参加者は昨年の3倍ほどに増えたとのことです。またブースには「What’s Next」Textileコーナーにあった生地はどれですか、と尋ねて来られるバイヤーも多数あり、集客機能を果たしているといいます。

 今回のPTJで、来場者が選んだ、次の売れ筋となりそうなテキスタイルは下記です。

1位 東レ「ウルトラスエード・ヌー」
Img_70891  (ポリエステル80%・ポリウレタン20%)
 粗原料の一部に植物由来の再生資源を使用した人工皮革、ウルトラスエード・ヌーにアルミフィルムとナイロントリコットを貼り合わせた形状記憶素材です。

2位 ファイブワン「サファリエンブロイダリープリント」
 Img_70751pg (コットン100%、1メートル=1万円)
 粗野な風合いの綿織物にキリンやワニなど動物が細かなステッチの刺繍で描かれています。動物の柄には様々な色をプリントした遊び心のあるテキスタイルです。

3位 溝呂木「チェックタフタレーザーカット刺繍」
 Img_70921_20240531203701 (ポリエステル100%)
 チュールの上に均等に並べた四角形の先染めチェックのタフタをレーザーカットで切り込み、その一部に刺繍を施し、アクセントにしています。

4位 サンウェル「マースルージャガード」
Img_71021pg  (ポリエステル94%・ポリウレタン6%、1メートル=900円)
 ジャカードで表現したぼこぼことした編地が印象的です。程良いシアー感もある生地です。



5位 ドゥミルサンク「エンタルピー」
Photo_06  (分類外繊維=モダール 52%・ ポリエステル44%・ポリウレタン4%、1メートル=1500円)
 抗ピリング性を持たせた、中肉で軽めのジャージーで、ポリウレタンを多層構造にした特殊な編みで、繊維、糸に程良い空間を作ったもの。

 上位に並んだのは、どれも自社の技術を光らせた独創性のある生地でした。

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2024年5月24日 (金)

2025春夏PTJ展 ⑵ トレンド「あらゆる角度から接点を持つ」

   「ファッションは素材から」、近年はこの言葉が示すように、個性を演出する要素としてテキスタイルへの関心が高まっています。
 第26回プレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)2025年春夏展では、自然や揺らめく光からインスピレーションを得た新しい華やかさの表現など、視覚に訴えるデザインが目立ちました。また温暖化の影響で、猛暑が問題となる中、軽くて心地よい素材が注目されています。

 こうした中、PTJのトレンドコーナーでは出展企業の2025年春夏向け一押し素材がテーマごとに分類展示されました。
 主要コンセプトは「あらゆる角度から接点を持つ」です。これは、複雑で不確実な現代社会において、異なる視点や価値観を取り入れながら協力し、共に成長することの重要性を示しています。
 この考え方を基に、提案されたのが以下の4つのテーマです。

たそがれ ⇋ あかつき Sunset ⇋ Sunrise
1_images  少しひんやりとした風を感じる夕暮れ、都会の中で懐かしい出来事や今日の自分と対話する。
 初夏の切ない感情が消え、朝焼けにときめきながら一日を占う。自然と共に目覚め、心地よい一日を望む。
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建築家 ⇋ 小説家 Architect ⇋ Novelist
2_images   建築家や小説家はイメージとテーマを通じて心地よさと安らぎを提供する。彼らの表現は我々を未知の世界に引き込み、総合的な安らぎや自然な落ち着きを与える。憧れとタイムレスな価値、美意識を追求する。
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Jazz ⇋ Classic Jazz ⇋ Classical
3_images  クラシックは楽器で心を揺さぶり、丁寧に育んだドラマティックな演奏を、ジャズはアドリブやセッションでメンバーの思いをぶつけ合い響き合う。
 どちらも時代を越えて進化し続ける多才な音の魅力を持つ。
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散歩道 ⇋ 帰り道 Promenade ⇋ Return path
4_images  春の陽光と微風に包まれた新緑の季節、外に出てリフレッシュする散歩道。
 植物の空気を吸いながら気分転換するが、帰り道に不安を感じることもある。自然と戯れ、心が豊かになる自分を感じる。
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2024年5月23日 (木)

2025春夏PTJ展 ⑴ 更なる「情報発信」をキーワードに

 第26回 Premium Textile Japan (略してPTJ) 2025Spring/Summer」展が5月9日~10日に東京国際フォーラムにて開催されました。
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 出展企業は国内59社、海外11社、合計70社(92.5小間)でした。その内新規出展は8社、海外からは、DALIAN EXE TRADE(中国)、INTIMITI AUSTRALIA(オーストラリア)、PAKA INTERTEX(韓国)の3社が初参加でした。
来場者数はほぼ前年並みと発表されています。

 JFWO(一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構)事務局長の古茂田 博氏は「PTJはビジネス商談の場ですが、全国の産地から多くのテキスタイルメーカーが集合しており、『ここに来たら何か新しい発見がある』といった場にもなっています。また、「情報発信」をキーワードにより魅力ある展示会を目指して取り組んでおります。」と語られています。

 昨年開始した「What’s Next」Textileコーナーには39社から98点の応募があり、一次審査を通過した35点が展示されました。来場者がトレンドや技術性などの観点から投票し、「次の売れ筋テキスタイル」を選ぶ参加型企画で、出展者への刺激にもなっています。バイヤーや学生が評価し、参加者は昨年の3倍に増加しました。

 また、新設の「What’s Next」Sustainableコーナーでは、一般社団法人unistepsの提言を紹介し、ファッション産業のサステナビリティについて発信しました。
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 来場者の要望に応えて、今回はカテゴリー別に、デニム関係を集積するなどのレイアウトに変更。2025年度に向けて変革を進めていくといいます。

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2024年5月22日 (水)

今年の連休は3年ぶりに春スキー 地球温暖化を実感

 この5月の連休は絶好のスキー日和とあって、3年ぶりに志賀高原へ行ってきました。昨年はこの時期、雪がない、とのことで、私たちがよく行くホテルは営業していなかったのですが、今年は3月に雪が降ったため、ホテルを予約できたのです。
 でも4月は異常高温で標高1,900mでも雪が極端に少なく、私のような初心者向けゲレンデは閉鎖されていました。
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  湿原に咲いていた水芭蕉です。

 そこで日本最高所のスキー場、標高2,307mの横手山・渋峠スキー場へ移動したのですが、それでもゲレンデは狭かったです。
 20240504122858imgp54041  横手山山頂からの横手山スキー場の眺望です。雪が少なかったですね。

Img_06491_  横手山展望台からは北アルプスの白馬連峰がすっきりと見えました。

 スキーを楽しめる環境はどんどんなくなっていきます。温暖化を実感した春スキーでした。

 

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2024年5月21日 (火)

5月連休の日比谷公園で「花と光と音のアートイベント

 この5月の連休、日比谷公園で「花と光と音のアートイベント」が開催され、私は開幕前日の4月26日に開かれた、メディア向け内覧会に行って来ました。
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 東京都生活文化スポーツ局長の古屋留美氏が登壇し、キュレーターに東京アートアクセラレーション共同代表の山峰潤也氏を迎え、日比谷公園内にアート作品を展示した現代美術家の大巻伸嗣氏、建築家の永山祐子氏、サウンドアーティストの細井美裕氏の3人がスピーチ。最後にアンバサダーのモデル西内まりやさん(写真中央)も加わって、イベントの立ち上げ経緯や見どころなどが語られました。
 テーマは「Playground Becomes Dark Slowly」です。日中はアートなプレイグラウンドとして、夜は幻想的な光の動きを楽しむという体験型の演出で、親子で1日中楽しめる、ゴールデンウィークに相応しいイベントだったと思います。

 公園内に登場した著名アーティストによるアートインスタレーションを紹介します。

⑴ 「はなのハンモック」
 永山祐子氏による「はなのハンモック」は、何といっても一番ステキでした。 Img_67751  
 花畑というと、普通は遠くからは鑑賞するものですが、もっとお花と触れ合いたい、そんな想いを実現したのが芝生広場につくられたこの作品です。色とりどりのお花畑の上に山なりに張られた白いネットが、まさにハンモックでした。
11jpg_20240530181001  その上にゆったりと寝転がったり、ふわふわ歩いたりできるようになっていて、1つの面に大人が2人まで乗れる強度があるとのことです。眼下に花々が広がり、花を真上から見るというのも、できない体験でした。 
 ネットは廃棄漁網でつくられていて、再利用しているそう。

⑵ 「花の灯篭」
 こちらも永山祐子氏による体験型イベントで、期間中の3日間、催されたとのことです。心字池に花の付いた風船型の灯篭を浮かべ、夜になると風船の中の光の粒が光り出して、幻想的なムードに包まれるという、魅惑的な作品です。
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 永山さんは、普段は近寄れない水辺に近づいて、新しい発見をしてもらいたいと話していました。

⑶ 「Gravity and Grace」
 公園北西部の草地広場にそびえ立つのが巨大な壺です。
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 大巻伸嗣氏の作品で「Gravity and Grace」とは、フランスの哲学者シモーヌ・ヴェイユの箴言集『重力と恩寵』に由来しているといいます。「Gravity」は「重力」、「Grace」は「恩寵」で、暗くなるとLEDライトが灯り、壺の中で鮮烈な光を放つ美しい発光体が恩寵を表現しているとのことです。とはいえ私は夜、行く機会がなくて、見逃がしてしまいました。
 ともあれ高さが約7mもあるという圧倒的な存在感と、精緻な花や鳥など文様を描いた透かし彫りは、昼間見ても圧巻でした。

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2024年5月20日 (月)

イッセイミヤケ「アイム・メン」残布ゼロ特別展“ FULFILL”

 イッセイミヤケのメンズブランド「アイム・メン(IM MEN)」による特別展「“FULFILL” (フルフィル)」が、5月31日まで東京・銀座の店舗「イッセイミヤケ ギンザ / 445」で開催されています。
 アイム・メンは三宅一生の「一枚の布」という思想を男性の身体という視点から捉えて、ものづくりの可能性を追求しているブランドです。
 スタートしたのは2021年で、今シーズンのテーマは“FULFILL”、つまり「残布ゼロ」、布を残さずその全てを用いて1着の服をつくろうというものです。四角い形の布地から余りを出さずに衣服をつくることは、まさに至難の業! 何しろ人間の体は立体で、曲線的であるにも関わらず、布地は四角い形をしているのですから。
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 会場にはこの難題に挑戦したアイム・メンのチームによる革新的な衣服の数々が展示されていました。またバックヤードではアイディアを出し合い、完成に向かっていく、その思考のプロセスを記録したインタビュー動画や模型がプレゼンテーションされていました。

 その一部を紹介します。

INSIDE OUT(インサイドアウト)
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 これは布地を切って回転させて組み合わせることで、コートをつくるアイデアです。膨大なパターンの研究から生まれた裁断線が用いられています。ざっくりとした質感の布地を裁断した幾何学的なパーツをつなぐとコートになるデザインで、ジグソーパズルのよう。前開き部分に生地の耳がきて、デザインアクセントとなっています。

BUILD(ビルド)
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 布地に切り込みを入れてひねりながら縫い合わせることでブルゾンの構造を作り出す手法です。パーツを縫い合わせるのではなく、1枚の布から立体が形成されます。生地の端まで使用するため、耳が随所に現れ、クラフト感を演出します。生地端はグログランテープのように厚みのある織りで、アクセントとなっています。

STRINGS(ストリングス)」
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 長方形の布地にコードを通して、引っ張ることで、平らな一枚の布から変形するコートです。ギャザーが縦に真っ直ぐ入っているのが美しい。どのようにコードを通すのが機能的で美しく感じられるのか、幾種類もスタディしたそう。素材は超軽量の100%植物由来のナイロン製。

DUO(デュオ)」 Img_76781_20240530144401
 ポリエステル/コットン混で、熱加工により立体を作り出すパンツシリーズです。一見普通のギャザーパンツですが、ポリエステルに熱加工が施されて、立体的な股ぐりを実現しています。イッセイ ミヤケの「製品プリーツ」と異なり、DUOは立体的なパターンを採用し、切り取った布地をバックポケットに再利用しています。

NARROWS(ナローズ)
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 通常より狭い幅(約50cm)の布地パーツを使用したシリーズです。日本の伝統的な精神を活かしつつ、現代服として昇華させています。特別な織機(小幅)を使用するというのではなく、生地端の耳を中に設け、希望する幅の布地が3本織り上がるように特別な織り方を研究した生地が使われているとのことです。

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2024年5月19日 (日)

ミー・イッセイミヤケ「ストレッチプリーツ」焦点の特別展

 今、ミー・イッセイミヤケ(me ISSEY MIYAKE)の代表作「ストレッチプリーツ」に焦点を当てた特別展、「FOCUS ON STRETCH PLEATS」が、2121デザインサイトギャラリー3で開かれています。

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 ストレッチプリーツはme ISSEY MIYAKEが20年以上にわたって展開してきた、ブランドのアイコンとも呼べる素材です。その特徴は縦と横にプリーツ加工を施し、伸縮性を持たせる構造にあります。ストレッチ素材の布を用いているわけではなく、あくまでも構造がストレッチを生み出しているのです。その構造を観察すると、縦と横の二重折りがマス目となり、たくさんのグリッドが連なっているように見えます。

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 中央には、me ISSEY MIYAKEの衣服とプリーツ幅を変えたコンセプトモデルが展示され、プリーツの動きが可視化されていて、興味深かったです。 
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 奥の展示スペース(上)では、縦と横のプリーツ構造の組み合わせから生まれる、形や動きのバリエーションを見ることができました。

 全方向へ伸縮し、誰もが自由に楽しく着こなせる衣服をつくりだすストレッチプリーズ。この素材を新しい視点で表現した展覧会です。会期は6月23日までです。

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2024年5月18日 (土)

『ISSEY MIYAKE 三宅一生』刊行記念展

 この4月22日~ 4月29日、三宅一生の仕事を網羅した書籍『ISSEY MIYAKE 三宅一生』(2024年、TASCHEN社)の刊行を記念した展覧会が、21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3で開催され、見に行ってきました。
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 書籍は2016年に出版された同名書の増補改訂版で、会場には表紙を飾る「リズム・プリーツ」のドレスが展示されていました。

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 Img_68071 この作品は、1990年春夏コレクションで発表されたもので、楕円、丸、四角の形をしたプリーツのドレスです。

 平面が立体にダイナミックに変化して服になるという、驚きのフォルムで、これぞ世界が感嘆した三宅一生を象徴するデザインと思いました。

 さらに、このドレスを撮影したアーヴィング・ペンと、グラフィックデザインを担当した田中一光によるポスターも出品されていました。

 会場には書籍も置かれていて、実際にページをめくることで、三宅の革新的な仕事の一端に触れる絶好の機会となりました。

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2024年5月17日 (金)

FaW TOKYO ⑶ 健康・美容・スポーツウェア サステナブル

 FaW TOKYO (ファッション ワールド 東京)では、今回もサステナブル関連のエリアが充実していました。

(株)BIOTECHWORKS-H2
 中でもアトリウムで一大イベントを展開していたのが、(株)BIOTECHWORKS-H2です。

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  東京とシリコンバレーを拠点とする革新的なグローバルスタートアップ企業で、廃棄物管理とエネルギーの革命を目指すプロジェクトの第一弾として「REBORN by BIOTECHWORKS-H2」を発表しました。これは有機廃棄物をクリーンな水素エネルギーに転換する第一歩の事業といいます。

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 代表取締役 西川明秀氏によるサステナビリティの取り組みに関する説明会も開かれました。また私は行けなかったのですが、公式ローンチには鏡開きが行われ、女優の広末涼子さんも特別ゲストとして登場し、会場をわかせたとのことです。廃棄物ゼロを目指し、サステナブルな未来を実現するスタートアップ、期待されます。

東洋紡せんい (株)/御幸毛織(株)
  東洋紡グループでは、「明日に『e』こと」をテーマに、「さいくるこっと🄬」と「Manerd🄬-EG」を提案していました。いずれも、綿のリサイクルにより貴重な淡水資源の使用量を減らし、また、特殊紡績技術によりマイクロプラスチックの流出を抑えて、きれいな海を守るという、サステナブルな素材です。

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 上は「さいくるこっと🄬」を使用した製品です。従来ゴミとして捨てられるクズ糸や、生機や加工生地の裁断クズをリサイクルした原料が使用されています。バージンコットンとそれほど遜色ないクオリティです
 「Manerd🄬-EG」は、天然繊維(短繊維)と合成繊維(長繊維)を均一に混合する東洋紡独自の長短複合紡績技術で、短繊維に天然繊維のウール、長繊維には環境配慮の合成繊維(再生ポリエステルやトリアセテートなど)を使用し、毛羽脱落が大幅に減少。洗濯時のマイクロポリエステル排出問題に配慮したサステナビリティウールヤーンだそう。

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2024年5月16日 (木)

FaW TOKYO ⑵ 健康・美容・スポーツウェア ウェルネス

 FaW TOKYO (ファッション ワールド 東京)の健康・美容・スポーツウェアEXPOウェルネス関連で、昨日の続きです。気になったブランドを紹介します。

フットマーク(株)「フットマーク ベースウェア」
 東京都墨田区で健康に役立つ創意あふれる製品、サービスを開発している同社は、「FOOTMARK BASEWEAR(フットマーク ベースウェア)」を出展していました。
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 これは軽い締め付け感で、自然に意識できる、無理なく美しい姿勢と動きをサポートするベースウェアです。
 これまではウィメンズ向けのみでしたが、今シーズンは新しくメンズ向けをローンチし、人気を集めていました。

(株) コムト 「キュアモ」
 昨年4月にデビューしたデイリーウェアブランド「curemo(キュアモ)」を、今季も前面に打ち出していました。これは纏うだけで身体の調子を整えてくれるという、からだにうれしいブランドです。日本各地の野山に自生する3つの植物「イタドリ」「よもぎ」「柿の葉」から独自の技術で抽出したBANSEIを世界初のテクノロジーで、レーヨン繊維に練り込んだ素材で、繰り返し洗濯しても成分が損なわれないとのことです。
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 健康な人の免疫機能を維持しサポートする効果が期待できるといいます。

(株)サトー 「シャンブル・マキ」
 創業100年を超える東京都台東区浅草橋にある老舗帽子メーカー(株)サトーが製作するケア帽子(医療用帽子)のブランド「CHANVRE MAKI(シャンブル・マキ)」に注目しました。

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 抗がん剤治療などで脱毛した方が安心して着用できる帽子で、病気に関わらず、誰もがかぶれるユニバーサルファッションのデザインです。洗練されたファッショナブルなデザインのステキな帽子と思いました。

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2024年5月15日 (水)

FaW TOKYO ⑴ 健康・美容・スポーツウェア 瀧定名古屋

 日本最大のファッション展、FaW TOKYO (ファッション ワールド 東京)が4月17日~19日、東京ビッグサイト西棟で開催されました。最新のサステナブルファッション、アパレル、バッグ、シューズ、アクセサリー、生地・素材・副資材、ファッションDXを扱う世界25カ国、800社が出展し、来場者は国内外から約25,000人と盛況でした。

 中でも今期、注目されたのが、新設の第1回健康・美容・スポーツ ウェア EXPO (WELLNESS & SPORTS EXPO)です。

 とくに目立っていたのが瀧定名古屋(株)でした。

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 同社は160年の歴史のある繊維専門商社です。そんな企業が「すべての人を快適に」のコンセプトで、「次世代のユニバーサルデザイン」を掲げていたのに驚かされました。

 その主軸となっていたのが、住友金属鉱山(株)と協業して独自開発した、唯一無二のレアメタル練り込みによる近赤外線吸収繊維「NIROL🄬ナイロール」です。
 Img_67071 「誰もが体感できるサステナブルな機能性繊維」であり、光吸収発熱、盗撮防止、光老化防止、遮熱の機能を発揮するといいます。
 ブースではこの高機能糸を使った織物、編み物生地全般をスポーツメーカー中心に、ファッションアパレルや雑貨資材関係に幅広く打ち出していました。
 右は、透けない盗撮防止素材、N-Shut🄬使いのウェアです。
 これなら女子アスリートも安心して着用できますね。

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 上は、熱中症対策に遮熱機能のある光老化防止のTrubeaute🄬素材使いのものです。

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 右は、WarmdArt🄬で、近赤外線の光エネルギーを熱に変換して暖かくなる素材使いのモデルです。
 この車椅子のモデルは、昨年9月に開催された国際福祉機器展で、一般社団法人 日本障がい者ファッション協会がプロデュースした「NextUD (ネクストUD= next universal design )」を発信するファッションショーに登場しました。(このブログ2023.10.26付け参照) 同社はこの協会ともコラボレーションしているとのことです。

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2024年5月14日 (火)

クリエーション・アムール展 「心地良い上質を楽しむ」

 今年も4月16日~18日、渋谷のトランクホテルにて「CREATION.AMOUR(クリエーション・アムール)」展が開催され、行って来ました。
 愛あるブランドストーリーや丁寧なものづくりにこだわるライフスタイルの展示会で、「心地良い上質を楽しむ」がテーマ。百貨店などへの出展実績のある15ブランドが集合し、次シーズンに向けたビジネス商談でにぎわっていました。

とくに気になったブラントを紹介します。

TEU YAU (テウヤウ)
 ハイクオリティの「モダンクチュール」といった佇まいのウィメンズウェアのブランドです。東京ファッションウィークに参加しているデザイナーの林 秀三 氏と千葉県旭市に所在するアパレル工場「ソーイングアサヒ」がタッグを組んで、今年設立されたばかりのファクトリーブランドで、本展示会がデビュー展といいます。
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 コンセプトは、シンプルながら一癖ある「イージーエレガンス」です。リラックスした雰囲気なのにきちんとした感覚のデザインに、「和」に通じる様式美を感じて、伺ってみると、デザインの根幹に日本の伝統文化である着物があるとのことでした。
 つくりはイージーオーダー方式で、どんな体型でも優美にフィットするフォルムを追求しようと、アイテムをあえてシャツとブラウス、ドレスに特化しているそう。
 素材はサステナブルなシルクで、シックな無彩色。福井の坪由織物のシルク織物と米沢の行方工業によるシルクタフタが使われているとのことで、これも「日本のラグジュアリー」、と思いました。

petite la ‘ deux (プティラドゥ)
  女性の可能性を開花させる「女性性開花のお店」がキャッチコピーのインナーウェアのブランドです。
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 ルームウェアやパジャマの縫い目は外側でストレスフリー、足首ウォーマーはミニカイロを入れるポケット付き、“カワイイ”にこだわった布ナプキンなど、素材はすべてオーガニックコットン100%で心地よい肌触りです。縫製は青森県にある自社工場で、ひと針ひと針、丁寧につくられているとのこと。女性のためのすてきなブランドです。

WAYUULA (ワユーラ)
 地域貢献のエシカルブランドで、南米コロンビアの先住民族、ワユー族の女性たちがひと編みひと編み、編んでつくったバッグを展開しています。
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 2018年に日本にデビューして、百貨店でポップアップショップに出店をスタートさせたとか。南米らしい幾何学模様にも惹かれました。

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2024年5月13日 (月)

25年春夏尾州マテリアル・エキシビション 来場者大幅増

 第27回「尾州マテリアル・エキシビション」(尾州ファッションデザインセンター主催)が4月16、17日、東京・原宿で開催されました。プレスリリースによると、尾州産地のテキスタイルメーカー12社が出展し、25年春夏の新素材、合計1035点が発表され、来場者は879人で昨年同時期の1.5倍となり、大幅に増加したとのことです。

 全般的な傾向としては、透け感や光沢感があり、表情豊かな質感の素材、リネンやファンシーツイードが人気。またカラーはナチュラルなカラーや鮮やかな色合いが好評だったといいます。

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 トレンドコーナーではパリのトレンド発信企業、ネリーロディの情報をもとにした開発素材146点が、次の3つのテーマ、クワイエット・ラグジュアリー、プレッピー・ポップ、ワイルド・エステティックに分類されて展示されました。

 メガトレンドは反逆者(Rebel)です。反逆というと権力を拒否することですが、ここでは今日的反抗の意味で使われています。ですから反逆者といっても平和主義者であり、自由な表現を称賛し、混沌とした世界に対話や相互理解、調和をもたらす人々を指しています。
 その3つのテーマと注目素材を紹介します。

クワイエット・ラグジュアリー QUIET LUXUARY
 文化的寛容や平和が称賛されると、重要になってくるのがラグジュアリー、平穏、逸楽です。カラーは永遠不変のニュートラルなパレットが中心。
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左 : 岩田健毛織㈱ リネン/コットンギンガム ナチュラルな表情のリネンギンガム
右 : 三星毛糸㈱ リネン/コットンツイード リネンとコットンの意匠糸使い

プレッピー・ポップ PREPPY POP
 最大限の楽観主義で抑圧や不平等に立ち向かう陽気な反逆者の姿とともに。ミルキーパステルをベースにしたカラフルなカラーレンジです。
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左 : 森織物(資) コットンリングファンシー コットンリング糸を羽根調に表現したグログランツィード
右 : 林実業㈱ ナイロンテープカット・ジャカード 桐生とのコラボ

ワイルド・エステティック WILD AESTHETIC
 リサイクル、バイオ素材・加工などが野性的なニュエイジという時代を創始します。ワイルドな美学のもと、カラーはナチュラルが主調です。
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左 : ファインテキスタイル㈱ コットンチエック PU使いのサッカーチェック
右 : みづほ興業㈱ インディゴデニム風 糸で色落ちがほとんどないインディゴ染料を練り込んだデニム風生地

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2024年5月12日 (日)

プラグイン/エディトリアル 来場者が2000人超で商談活発

 恒例の合同展「プラグイン/エディトリアル展」が東京・恵比寿のエビス303で4月17~19日に開催されました。出展企業は74社100ブランドで、初参加が75%を占め、新興ブランドや日本初進出の海外ブランドが目立ちました。
 来場者も前回を上回る2,041人と発表され、活発な商談風景でした。

  アパレルを中心に、気になったブランドを紹介します。

 まず注目したのが、「PDMスタジオ」です。婦人服のキュリアスデザイン、帽子の水野ミリナー、靴のオギツの3社による協業ブースで、今シーズンの「プラグイン/エディトリアル・グランプリ」に選ばれました。
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 ブースでは、キュリアスデザインが手掛けるParc.1(パルクアン)のコートがステキでしたね。
 ブランドの原点という「黒」を引き立たせる素材・色・フォルムの組み合わせたデザインは、モード感たっぷりです。

 次に、天然繊維使いにこだわるアパレル「テガミ」と「ワシフク」です。ともにブランドディレクターの八木清次氏が手掛けるブランドとか。

 「テガミ」は、インドの手仕事を感じさせる、モノトーンの落ち着いたデザイン。綿や麻を中心に、付属はシェルボタンを使うなど、天然素材にこだわったレディスアイテムを揃えています。Img_66701
 「ワシフク」は、和紙糸を使用した、ドライなタッチが魅力のゆったりとしたセットアップが中心。

 また韓国ブランドが目に付いたのも今季の特徴でした。
その一つが、「People of the world」です。コンセプトは「グレー」で、理知的で都会的なユニセクシュアルなムードを醸し出しているブランドです。Img_66541

Img_66791  さらにサステナブル、アップサイクル標榜するブランドとして、「イフェメル/ダブルフェイス・トーキョー(Ifemelu / Doubleface Tokyo)」に注目しました。
 上質な日常着を長く着るという考えのもと、生地は国産を使用、地方の小さな工場とモノ作りを行っており、トレーサビリティに責任を持っているといいます。
 縫製には「カンヌキ」を施して長持ちする商品を目指しているとも。

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2024年5月11日 (土)

Tokyo Creative Salon 24 特別トーク「明日へのヴィジョン」

 Img_63561pg 先般、クリエイティブの祭典「Tokyo Creative Salon 2024」が東京ミッドタウン・デザインハブで開催され、特別トークイベントの一つに株式会社ユナイテッドアローズ 上級顧問 クリエイティブディレクション担当 栗野宏文氏が登壇、Panoramatiks 主宰/TCS 統括クリエイティブディレクター/2023年度グッドデザイン賞審査委員長 齋藤精一氏を聞き手に「Vision For Tomorrow(明日へのヴィジョン) (Social Stream and Creative Direction of Tokyo 2024)」と題して、日本のクリエイティブにおける美意識の方向性を5つのキーワードで解説されました。
 以下、その概略です。

1. インディヴィジュアリティ (individuality主体性)
 気候変動など問題山積の現代において重要なのは「主体性」であると提言。主体性を大切にしている人物の代表として、45万部のベストセラーとなった『人新世の「資本論」』の斎藤幸平氏や、杉並区で初の女性区長に選出された岸本聡子氏、日本の食の在り方を研究する藤原辰史氏、『ぼくはイエローでホワイトで、ときどきブルー』の著者ブレイディミカコ氏らを挙げました。時代をブレークスルーするのは彼らのように自分で考え、自ら行動し、伝え、オーガナイズする、主体的な人たちと推挙されていたのが印象的です。

2.  ユニティ (unity共生)
 人が集まり、ともに活動し、補い合って生きる社会的価値の重要性が高まっています。格差や分断の無い世界へ、1960から70年代のレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーが音楽の力で「ユナイト」を実現ようとしたように、ファッションもその役割を果たせると、「ユニティ」を感じたファッション、ブランドやショーを紹介しました。
 一つはメンズファッションフランドの「COGNOMEN(コグノーメン)」です。サッカー好きなデザイナー、大江マイケル仁が秩父宮ラグビー場で開いた初のランウェイショーは、テーマが「ファイトフォー (Fight for)」。チーム一丸となって闘い、最後は敵味方無しのノーサイド、その精神に感動したといいます。
 もう一つは、22/23年AW 「ダブレット(doublet)」のショーです。モデルたちはお面をつけてウォーキングし、フィナーレでマスクを脱ぐと、そこには様々なモデルたちの顔が現れました。それはダイバーシティを体現するショーでした。ブランドを手掛けるデザイナーの井野将之は、この演出を通じて、多様性が本当の意味で実現されるのは、それが誰からも意識されないときであることをアピールしていました。ファッションに社会を変える力があることを示すコレクションでした。

3. インヘリット (inherit 継承) 
 クリエーションというと前のものを否定して新しいものを追う、と思われがちですが、伝統を継承することにもブレークスルーが伴います。
 たとえば「スズサン(suzusan)」という有松絞りのブランドがあります。代表の村瀬氏は、デュセッドルフで海外のセレクトなどとコラボレーションして、有松絞りの技術を文化財ではない、コンテンポラリーなものに活かして成功されています。他にも西陣や漆など、日本には世界に通用する有力な伝統技術が残っていますから、いろいろな分野でこういう方が出てくるとよいと話されました。
 「素材と用途は捨ててもよいが、技術は継承したい。変えてはいけないもののために変えるべきものを変え続ける」との氏の名言に、感銘しました。

4. アウトサイダー( outsider突破者)  
 アウトサイダーはクリエイターであり、クリエイターはアウトサイダーでもあります。アウトサイダーを極め続けることが未来を拓くといいます。
 その代表がコムデギャルソンの川久保 玲です。異端を正統にしてしまうところは誰も真似できない、すばらしいことと賛辞を送りました。他にもアンダーカバーの24春夏コレクション、また山梨県・富士吉田市を舞台にした「ここのがっこう」の卒業制作展、アウトサイダーアートの展覧会など、先が見えない現代はアウトサイダーを求めていると強調しました。

5.  エクレクティック(eclectique 折衷) 
 和 ✕ 洋の折衷に着目。
 LVMHプライズ2023のグランプリを受賞した日本人デザイナー、桑田悟史の「セッチュウ(SETCHU)」は、サヴィルロウで培った経験を活かし、2024春夏コレクションでシルエットや丈を自在に変えることができる「折り紙のような服」を提案しています。キモノには無駄がありません。テーラードとキモノの組み合わせに未来性を感じているといいます。

 複雑なファッションクリエーションの今後の展望を分かりやすい言葉で語られた、大変興味深いトークショーでした。

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2024年5月10日 (金)

Tokyo Creative Salon 24 特別トーク「デザイナーの美意識」

 この3月中旬、ファッションウィークとデザインウィークの同時開催によるクリエイティブの祭典「Tokyo Creative Salon 2024」が開催され、「日本のクリエイティブにおける美意識を考える」と題した特別トークが東京ミッドタウン・デザインハブ内インターナショナル・デザイン・リエゾンセンターで行われました。

 その一つが、日本を代表するプロダクトデザイナーでデザインスタジオエス プロダクトデザイナーの柴田文江氏と、服飾デザイナーでSOMA DESIGN クリエイティブディレクターの廣川玉枝氏による対談です。

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 「デザイナーの美意識」をテーマに、作品への想いや美意識がざっくばらんに語られ、大変興味深いセッションとなりました。

 まずは最近、手がけた作品について、柴田氏はコンランショップ丸の内店で開いたポップアップショップの話をされました。タイトルは「どちらでもないもの」で、たとえば旅行というより「旅情」を感じさせる革カバンなど、新しいけれどどこか懐かしい空気感のあるものに惹かれているといいます。
 廣川氏は、第二の皮膚をコンセプトに2006年に誕生したニットウェア、「スキンシリーズ」を進化させ、3Dクチュールの最新作として新作ジャケットやトップスを発表されています。その一方、新時代の和装「ソワハ(SOWAHA)」を提案。一幅の絵を纏う、重ねの美でキモノのような洋服もデザインされています。
 柴田氏からイッセイミヤケに就職したのは何故、と問われた廣川氏。「縫うことがそもそも嫌い」だったし、布がそのまま服になるイッセイに共感したからと率直。一本の糸で立体を創るニットの魅力を語ったり、男女デザイナーの視点の違いを述べたり。男性デザイナーによる女性もののデザインは、想像力たくましく造形的に美しいものが多いけれど、女性デザイナーは自分が着用したいと思うものをつくっているなど、おもしろい。
 また柴田氏は、異質なものをミックスした、どこか愛嬌があるデザインが好きで、シュッとしたかっこいいものを良いデザインとは思えないそう。シンプルも密度がないと単に簡素なものになってしまう、などと語られていたのが印象的でした。

 最後にデザイナーにとっての美意識とは――。
 柴田氏は、「単純にきれいということだけではない、皆の心の中にある思い出とか記憶みたいなことに共感するものがあると、それがいいと言ってくれるように思うのです。懐かしさとか気持ちよさといったもの、そんな記憶みたいなものをいつも探しています。」
 廣川氏は、「美意識は多様化していますが、根本は一つです。それは人間の直感的感覚に触れるものであり、時代を超えて長く生き続けられるデザインです。人間の美的感覚で本来持っている感覚は自然の美しさと思っています。例えば花は人間の本能に訴えます。デザインは目に見えない感覚をカタチにしていく作業で、それをカタチにすることができたら、長く続けられる美しいものがつくれるのかな、とよく考えています。」と。

 デザイナーの美の深層を垣間見た気がしたトークセッションでした。

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2024年5月 9日 (木)

日本クリエイション大賞とシネマ夢倶楽部表彰 合同表彰式

 日本ファッション協会が主催する「日本クリエイション大賞」と「シネマ夢倶楽部表彰」合同表彰式が、この3月19日、帝国ホテルで開かれました。華やいだ雰囲気の会場には約200名が集い、私もその一人として参加しました。
 「日本クリエイション大賞」の大賞に輝いたのは、世界に先駆けてペロブスカイト太陽電池を開発した宮坂 力氏(桐蔭横浜大学 特任教授、ペクセル・テクノロジーズ株式会社 代表取締役)です。
1_20240518083301   ペロブスカイト太陽電池は、軽量・薄型で曇天でも発電可能な次世代の太陽電池で、折り曲げやゆがみにも強く、ビルの壁や窓など多様な場所に設置できるとのことです。私も以前から、驚くべき発明と注目していました。主要原料であるヨウ素の生産で日本は世界第2位のシェアを持っているといいますし、早期実用化が期待されます。(写真はホームページからお借りしました。)
  ノーベル賞の候補にも挙げられている宮坂教授、受賞が待たれます。

 もう一つ、着目した賞が、「しあわせ職場賞」です。この賞は日本理化学工業株式会社に贈られました。
 日本理化学工業株式会社は、環境に配慮した「キットパス」と「ダストレスチョーク」を製造・販売している企業ですが、すばらしいと思ったのは、同社のものづくりを担っているのが知的障がい者たちということでした。
 1_20240518083302米ぬか由来のライスワックスが主原料の、窓ガラスや鏡に描いて消せるお絵かき道具も、国内シェア70%を誇るダストレスチョークも、社員の約7割を占める知的障がい者たちがつくっていたのです。
 (写真はキットパス、ホームページからお借りしました。)
 同社の製品に「愛」を感じてうれしくなりました。

 この他、「交流と文化の町賞」は東川町(北海道上川郡)、「宇宙浪漫賞」は安全で燃費に優れた小型衛星用“水エンジン”を開発した株式会社Pale Blueが受賞しました。

 次いで「シネマ夢倶楽部表彰」では、ベストシネマ賞の一位に「PERFECT DAYS(パーフェクトデイズ)」が選ばれ、今の世相を反映しているなと思いました。
 私はこの2月、パリでこの映画を鑑賞したのですが、ささやかな日常生活がとても新鮮に描かれていて、共感しました。アカデミー賞を取れなかったことが残念だったのですが、今回の受賞でもやが晴れました。

 すてきな表彰式でした。

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2024年5月 8日 (水)

25春夏テキスタイルネットワーク展 ジーニング・ラプソディ

 日本全国の産地のテキスタイル職人による合同展示会、「テキスタイルネットワーク・ジャパン(TN J)」展が4月8日~9日、東京・原宿のWITH HARAJUKU HALLにて開催され、15の企業団体が2025年春夏の生地コレクションを発表しました。
 今季のテーマは「ジーニング・ラプソディ」です。会場にはブルージーンズをイメージした生地の展示コーナーが設けられ、各社のブースにはブルーのファブリックが前面に展示されていました。デニム生地専門のメーカーは出展していませんでしたが、各メーカーが得意とする技術で開発したジーニング素材には、重苦しいムードを一掃する爽やかな風が吹き抜けているようでした。

有限会社 福田織物
 静岡県掛川市を拠点に超高級細番手からリサイクルコットン、「ベコ」の名で親しまれているコーデュロイまで、様々な綿織物を手掛けている同社。データではわからない織りあがった生地を徹底的に手で触り、感じることで他社との差別化を図りオリジナルの生地に仕上げているといいます。
Img_65371  今季は、シャンブレーを前面に打ち出していました。

株式会社 近藤紡績所
 糸からの一貫生産体制を確立しているKONDOBOだからこそできる、世界最高水準の綿糸による「クワイエットラグジュアリー」なニットを提案。美しいブルーに魅せられます。Img_65681pg

Img_65651_20240517114001 株式会社 匠の夢
 新潟県見附市の老舗機屋で、綿を中心としたドビー織りとジャガード織りが人気です。
 今回は0.5mから販売可能な生地も紹介していました。


株式会社 東匠猪俣

Img_65621_20240517113901  創業明治29年という米沢織機屋でシルクサッカーに定評があります。
 今シーズンはシルクデニムを提案。軽い、薄い、シワになりにくい着心地の良い商品に仕上がりました。

遠孫織布 株式会社
Img_65571  兵庫県西脇産地のジャカード織物専門工場です。綿または綿混で、多彩な色柄や、立体感のある大胆でアーティスティックな表現が得意です。
右は、荒ぶる波のようなジャカード織です。

株式会社 貴志川工業株式会社
 和歌山の丸編み産地でチーズ染色による糸の染色加工を行っている吉田染工。グループ会社である貴志川工業では生地の整理加工も手掛けており、グループ全体で糸から生地までの染色対応が可能です。
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 また、工場内にニット機械を導入し、糸染から編みまでを一貫して行う〈SOMEKARA〉プロジェクトが人気を博しています。特にSRYと呼ばれるインレー組織を活用した特殊なニット生地の開発と提案に力を入れ、ニットと布帛のハイブリッド企画として他にはない新しい感覚を追求しています。

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2024年5月 7日 (火)

アクティブシニア 購買心理を理解したマーケティング

 今年はシニアビジネス元年といわれています。歴史上初めて日本は人口の2人に1人が50歳を超える国となりました。
  先般開催された第7回ライフスタイルウイーク東京では、市場規模が拡大しているシニアのニーズを把握するため、シニアマーケティングに関するセミナーが実施され、大変興味深かったです。
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 登壇者は㈱オースタンス代表取締役社長 菊川 諒人氏です。「アクティブシニアの消費行動~購買心理を理解したマーケティングとは~」をテーマに、様々な事例を交えて語られました。

 下記、そのポイントです。

1. シニアマーケットがトレンドとなっている理由
・人口構成比率の高齢化による市場の単純拡大 ―― 来年にも市場規模は100兆円を超える見込みで、シニアビジネスは日本でまれに見る成長産業です。
・日々増加する高齢者の保有資産 ―― 個人金融資産約1,700兆円のうち、約6割(1,000兆円)の資産を保有しているのが60代以上です。
・中高年層以上の急激なデジタル化 ―― シニアのインターネット利用率は、60代で約90%、スマホ利用率は急増し、65歳以上の保有率は約77%に達しています。デジタルを使いこなすシニアが多くなり、デジタルでモノやサービスを届けられるようになっています。
・健康寿命/労働寿命の延伸による消費の加速 ―― 2020年の法改正で企業に対し70歳までの雇用確保が努力義務化され、70歳まで給与所得者になり、これまで年金所得者だった世代の財布の紐が緩む可能性があります。また医療の充実により健康寿命の向上によるシニア世代の拡張も必至です。

2. シニアマーケティングで陥りがちな状況 
 シニアマーケットに取り組む上で、よくあるバイアス(思い込み)を払拭して欲しいといいます。
・シニア世代のイメージは人によって異なります。 ―― 白髪のおじいさんやおばあさん像だったり、50~60代をイメージしていたり、乖離があります。
・情報収集の中心はテレビ ―― テレビの割合は高いが、一方でインターネットでの情報収集の割合も高い傾向にあります。
・デジタルリテラシーが低そう ―― 2020年段階で60代の70%以上がスマホを利用していると回答。仕事でPCを使うのは当然だった人たちなので、インターネット利用率も80%を超えています。
 シニアと言っても状況は多種多様。60代と80代ではライフスタイルが全く異なっています。仕事を続けているかどうかで金銭感覚も異なり、大都市圏と地方都市とでは価値観も異なっています。この他、同居する子どもの有無や孫の有無、友達の有無などもあり、一括りにはできません。 
  またマーケティングで頻繁に直面する難しさは、企画者との世代間ギャップで、自分ごと化がし難いことです。このギャップを埋めるために、顧客を見る解像度を高める必要があるといいます。

3. 顧客解像度を高く見るための方法
 菊川氏の会社、㈱オースタンスでは、解像度を高く顧客を見ることができる分析ツールとして、クレイトン・M・クリステンセン教授が発表した “ジョブ”理論という考え方を活用しているとのことです。
 これは状況で対象を分析する、状況でみると因果関係がわかる、因果関係を押さえると解像度がアップするというもので、これを基に、同社では、なぜその人はその商品を購入したのかなど、その購買行動に関する、しっかりとした消費者調査を数千人規模で行っているそうです。
 インタビューやアンケートでは、アノマリー、その裏の心理に着目することと、とくにシニアマーケティングで重要なのが、少し長い時間軸で見ることと、ステークホルダー(関係者)をしっかりと捉えることと指摘しました。
 またシニア顧客を理解する上での着眼点を4つ、挙げました。
・生理的観点 ―― 身体の衰えに起因する変化、認知能力低下等。このことを捉えないと手に取ってもらえない。
・資源的観点 ―― 収入構造の違いや可処分時間などに関連する変化。年金所得のみかどうかなど。
・心理的観点 ―― 成人発達理論など精神的な変化。たとえば年を取ると人との出会いが少なくなる、ライフイベントが変化するなど。
・社会的観点 ―― 社会情勢により形成された価値観。たとえば10年前は冷凍庫をつくっても売れなかったが、現在は冷凍食品の品質向上で積極的に利用されるようになっているなど、社会通念の変化もあります。
 顧客の解像度を高めるには、属性ではなく上記のような状況に注目することが大切で、これにより行動の因果関係を理解することができる、と強調しました。

 最後に、購買意欲を高めるための考え方について述べ、顧客心理を捉えたマーケティング施策を紹介しました。これには「売り込み」と感じさせないよう、知的好奇心を引き出し、好感を持たれるアプローチが重要で、この好感を得るための3つの要素として、入り口の建付けを工夫すること、商品を無理に勧めないこと、時間をかけて丁寧に説明することが肝要と解説して、締めくくりました。

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2024年5月 6日 (月)

「受け継がれし明治のドレス」昭憲皇太后御大礼服 特別展

 今年は昭憲皇太后百十年祭・霞会館創立百五十周年の式年にあたるとのことで、これを記念し、明治神宮ミュージアムでは「受け継がれし明治のドレス」をテーマに記念展が開かれています。

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 ここでとくに注目されたのが、京都の大聖寺が所有する昭憲皇太后御大礼服の展示です。これは明治時代、昭憲皇太后が女性皇族で初めて洋装した現存最古の大礼服で、約5年間かけて修復され、昨年に完了し、本展で初公開となったものです。
 私は4月6日のシンポジウムに参加し、修復プロジェクトに携わった国内外の研究者の方々のお話を拝聴しました。その一人、中世日本研究所(京都市)所長のモニカ・ベーテさんは刺しゅう糸から、この大礼服が明治20年代に日本で作られた可能性が高いことを指摘されました。
 その実物を目にして、当時の刺繍や織り方はまさに超絶技巧の技が駆使されて仕立てられていたことが分かりました。
 またこのシンポジウムには秋篠宮妃紀子さまも聴講されていました。じっと耳を傾けていらっしゃった、その気品のあるお姿が印象的でした。

 ミュージアムでは宮中へ洋装が導入される以前の重要儀式で昭憲皇太后がお召しになられていた装束、いわゆる十二単なども併せて、広く紹介されていたのも興味深かったです。 
 なお、本展は前期と後期に分かれていて、後期は5月25日~6月30日まで、前後期で展示品は全て入れ替わるとのことです。

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2024年5月 5日 (日)

24/25秋冬ハトラ 「Orbs (オーブ=球体)」をテーマに

  「ハトラ(HATRA)」は東京ブランドの中でいち早くファッションとテクノロジーの関係性に着目し、3DクロスシミュレーションやAI技術の応用を通して、新しい身体感覚の在り方を模索しているブランドです。

 ブランドを手掛けるファッションデザイナーの長見佳祐さんは、コンセプトに「リミナル・ウェア」を挙げています。これは分解人類学の領域で「境界性」という意味で用いられている「リミナリティ」に由来する言葉で、日常と非日常、インドアとアウトドア、プライベートとパブリックなど、異なる場面をシームレスに繋ぐ「境界線上の服」です。また心理的に揺れ動く人間関係の中にいることが不安になるなど、誰にでもあるそうした「境界的な」状況に寄り添うための服でもあるといいます。
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  そんなハトラの今季は「Orbs (オーブ=球体)」がテーマです。会場となった東京・恵比寿のギャラリーには曲線的なラインが印象的な、身体を包み込むようなシルエットの服が勢ぞろいしていました。
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  中でも注目されたのが、ジャカード・タペストリーレーベル「ヴィジョン(VJQN)」のデビューです。デジタルイメージをコンピューターの起源とも言われるジャカード織機で織り上げ、再現したアイテムで、新作の「VJQN-Orbs」には揺れる水面のようなグラフィックが施されています。
  現在、オンラインにて受注を受け付けているとのこと。布によるグラフィック表現の新しい可能性、期待されますね。

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2024年5月 4日 (土)

24/25秋冬リトゥン・バイ 「ほろ苦いシンパシ―」テーマに

  リトゥンバイ(written by)は、デザイナーの山縣良和さんが手掛けるリトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)のセカンドラインです。
その24/25秋冬ものを発表する展示会が、目黒区駒場で開かれ、行ってきました。
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 テーマは「bittersweet sympathy (ほろ苦いシンパシ―)」です。忙しなく過ぎ去っていく日々の細やかな喜びや切なさ、日常の情景からインスパイアされた新しい家族をモチーフに展開しています。

 Img_64451_20240515084001 中でも目を惹くのがプリント柄です。
 丁寧につくられた紙のちぎり絵や切り絵が取り入れられていて、誰もが心の奥底のどこかに持っている郷愁を誘います。
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 手づくりのあたたかな温もりを感じさせるコレクションでした。

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2024年5月 3日 (金)

24/25秋冬「ネスト」合同展 今季も3ブランド出展

 ネスト・クリエーション・ラボの24/25秋冬ファッションブランド合同展が、この3月末の3日間、南青山のギャラリーで開かれました。
参加したのは前回同様、ゾエル(ZOELLE)とトーゲントーゲン(tohgentohgen)、モディスト(Modiste)の3ブランドでした。

ゾエル(ZOELLE)
 クリエイティブディレクターは、かつてイッセイ・ミヤケのプリーツ・プリーズのデザイナーを務めていたゾーイ・チェン( Zoe Chen)です。彼女は、グラフィックを通じて華やかでアート性の高いファッションを表現しています。とくにプリーツが特徴的な、動きのあるワンピースやスカートが印象的です。Img_64571_20240513195201

Img_64591 トーゲントーゲン(tohgentohgen)
 スーチングスタイルを中心に据え、ダイバーシティムードをテーマに、スタジオ54(Studio 54)に集うセレブリティの煌びやかな装いに焦点を当てています。このクラブは1977年にマンハッタンでオープンし、伝説となっています。

モディスト(Modiste)
  パリに一軒しかない木型屋さんla formeの木型や、1880年から続くlegeronのコサージュたちと共に、フランス仕込みのエスプリとクチュールテクニックと共に日本のアトリエで一点一点丁寧に作ったハット&ヘッドドレスが人気のブランドです。1_20240513195201

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2024年5月 2日 (木)

東京ケアウィーク’24 ⑵ 介護予防・健康長寿商品

 先般の東京ケアウィーク’24で、気になった「介護予防・健康長寿」商品を二つ、紹介します。

 一つは、フットマーク(株)の車椅子用ワンタッチベルトキーパーです。
 最近、車椅子で転倒する事故が増えているようです。もしもそんなことが起きたら死に繋がりかねません。それぐらいベルトキーパーは大切なツールです。
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 今回、同社が発表したベルトキーパーは、前方でも留められるように工夫されているので、一人でも装着できる利点があります。日本医療科学大学作業療法学専攻の研究者と共同開発したもので、車椅子ユーザーにとってより使いやすいものになっているとのことです。

 もう一つは、ユニチカトレーディング(株)のELECTEX(エレクテクス)と「くぅぽの」です。
 ELECTEX(エレクテクス)は、心電計測用の繊維型電極モジュールで、これが画期的なのは、繰り返し使える、リユーザブルであることといいます。
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 心電データのモニタリングで電極は必要不可なパーツの一つですが、現在、主流となっているのは、「使い捨てパッチ」と呼ばれるものや、「粘着剤」を使用したものだそうです。このELECTEXは繰り返し洗濯しても性能が衰えない、新しいタイプの電極で、繊維型でもあり、肌に直接触れる電極として金属型やゲル型と比べて装着時の冷たさがないのというのも訴求ポイントです。

 「くぅぽの」は、3Dプリンターで作られている自助具です。材料に感温性フィラメント「TRF」が使用されているので、ドライヤーや温水等の簡単な加温で使う人に合わせて形を調整することができます。
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 商品は食事のサポートを主としたユニバーサルデザインの手指固定具3タイプです。(上の写真参照。この写真はホームページからお借りしました。)
 これがあれば、これまで使えなかったカトラリーのスプーンやフォークを持って食事ができるようになります。
 身体が不自由な人が日常生活の動作をより便利に、より容易にできるように工夫された道具、自助具に拍手です。

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2024年5月 1日 (水)

東京ケアウィーク’24 ⑴ KUTO「スルースリーブ」に注目

 東京ケアウィーク’24がこの3月12日~14日、東京ビッグサイトにて開催されました。これはケアテックス東京、ケアテクノロジー東京、ヘルスケアジャパン東京、カラダケアEXPO東京の4つの専門見本市から成る介護・健康施術業界必?の見本市です。超高齢社会を迎えるわが国では、健康長寿を促進する商品やサービスのマーケットの急拡大に伴い、ニーズが急激に高まっているとあって、今期も 約430もの企業が一堂に集結しました。

 「介護予防・健康?寿」に特化した商品・サービスを見て回る中、「おやっ」と目が留まったのが、(株)KUTOの「スルースリーブ(Through sleeve)」シャツです。麻痺があっても片手でらくに着ることができるシャツで、これなら誰でも自由に気軽にファッションを楽しめます。まさにユニバーサルファッションのシャツです。

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 その着やすさに特化したポイントは3つあります。
Img_61201  一つ目は、脇と肘が伸びること。左右の脇下にひし形のストレッチ素材を使うことで、肘が脇を通るときに脇の部分のストレッチ生地が伸び、腕を通しやすくなっています。


Img_61221   二つ目は、袖のカフスがゴム仕様であること。袖のカフスはゴム仕様にすることで、手を通すだけで留めることができます。また手の拘縮が進んだ方には、カフス部分が大きく広がるマグネットボタン仕様も用意されています。

Img_61211pg  三つ目は、マグネットボタンでらくらく開閉できること。前立てのボタンはマグネットのボタンを使うことにより、力を入れなくても一番上のボタン位置を合わせるだけで下まで簡単に留まるようにしてあります。

 メーカーの(株)KUTOは島根県松江市にある縫製工場です。同社代表取締役の福田圭祐氏は、「スルースリーブ」シャツ開発のきっかけを次のように語っています。
 「妻が闘病中に洋服の着替えに不自由を感じ、好きな服を着て前向きに生き抜いた経験から、身体障害者や医療機関、学校の関係者と協力し、実際のニーズに応える素敵なデザインの服を作りたいという思いで事業化を決意しました」と。
 日本には132万人もの人々が脳卒中やALS、パーキンソン病などの病気や障害により洋服の着替えに困難を抱えており、ファッションを楽しむことを諦めざるを得ない状況にあります。しかし、こうした方々は介護用の服や大きめの服を着たいわけではなく、一般的な服を着たいという願いを抱いているのです。
 福田氏は、彼らが特別なものを求めているのではなく、通常の生活を取り戻したいという願いを持っていることを知り、介助者にとって着せやすい服ではなく、自分で着られる服をつくろうと決意。その結果、袖を通すことに特化した「スルースリーブ」シャツを生み出したといいます。
 
 このシャツは、このほど国際ユニヴァーサルデザイン協会(IAUD)主催 「IAUD国際デザイン賞」で、銀賞を受賞しました。
 表彰式での審査員のコメントは、「見た目が他のシャツと変わらないデザインで、腕の動きが制限されていても、身なりを整えたい、そうした状況の人々の特別なニーズを満たしています」。

 襟付きのシャツを一人で着て出かけることで、もう洋服の着替えで家族や他人に迷惑を掛けないで済むのです。それだけで人は自尊心が守られ、前向きで幸せな気持ちになれるのではないでしょうか。これもファッションの力です。
 「スルースリーブ」はこれまで服を着ることを諦めていた方々に希望を与えてくれることになるでしょう。

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