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2024年3月23日 (土)

ポンピドゥー「外見の越境」展 アートとファッションの対話

 パリのポンピドゥー・センターで、「外見の越境 (La traversee des apparences) ~アートを通じたファッション」展が開催されています。
Chefsoeuvreducentrepompidou  ポンピドゥー・センターは現代アートを中心とした総合文化施設で、2025年から2030年まで修復工事のため閉館となるとのことです。本展は、その前に人気のファッションイベントに乗り出して、印象を残しておこうと企画されたといいます。

 20世紀初頭から、アートとファッションは絶え間ない対話を続けてきました。たとえばオートクチュールの先駆者の一人であるポール・ポワレは、ロベール・ドロネーやアンドレ・ドラン、コンスタンティン・ブランクーシ、パブロ・ピカソ、ラウル・デュフィなどのアーティストと交流した最初の一人でもありました。それ以来、行き来は決して途切れることなく、お互いを養い合ってきました。この流れは近年、ますます強まり、今や融合といってもよいような状況を創り出しています。 

 展覧会はこのアートとファッションの密接な関係に焦点を当てたもので、ポンピドゥー・センターの中核である近代美術館が収蔵する最高傑作と17人のファッションデザイナーの作品が対話する、絶妙な演出になっていました。
 そこにはキュレーターであるジャーナリストで作家のロランス・ベナイムのポンピドゥー・センターのコレクションに対する新しい視点が感じられました。実際、彼女は次のように述べています。「これはファッションと現代アートの類似性だけでなく、それらが作品同士で対話し合い、相互に影響し合う関係や内面的なつながりを追求することを目指す試みです」と。
 たとえば、ジャン=ポール・ゴルチエのシルバーのコルセットと、シュルレアリストの画家ウィルヘルム・フレディのエロティコ・ブラスフェミックな絵画とを対比させたり、マリン・セールのネオ・フューチャリストなルックと、マルセル・デュシャンの「故障した機械」と対置させたり。またアンリ・マティスのフォーヴィスムのパレットとイヴ・サンローランのエレガンス、ロベール・ドロネーの幾何学的狂気とシャルル・ド・ヴィルモランのサイケデリックなポップとの融合、さらにマルク・シャガールの「エッフェル塔の花婿花嫁」がイリス・ヴァン・ヘルペンの彫刻的なシルエットと一緒に舞い踊っていたり、マーシャル・ライスの金属製の肖像画がアルベール・エルバスと交差したり、ジョルジオ・デ・キリコの形而上学的な作品がマルタン・マルジェラの大胆さと組み合わさっていたり---。

 とくに注目は下記、日本人デザイナーの作品との対話でした。

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 左 Francis Picabia 右 Comme des Garcons (川久保 玲)
  色彩や音、情報の洪水に圧倒されたため、モノクロームの静けさを求めた川久保 玲。彼女のコレクションは黒がベースです。またピカビアの「Udnie(若い女性、ダンス)」は、その音楽の中から川久保に着想した服を着た踊り手が飛び出してくるような印象がありました。

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 左 Issey Miyake 右 Hans Hartung
 三宅一生の作品は、先進技術による軽やかなボリュームで、素朴で詩的な美しさを表現しています。彼の作品は未来を原始の夜へと連れ戻し、永遠へと回帰させます。それは戦争で片足を失ったハンス・ハルトゥングの黒い手のひらや、ハンスが幼い頃に雷を描いていたことと共鳴しているように思われました。

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 左 Kazuo Shiraga   右  Yohji Yamamoto
 白髪一雄は、足でキャンパスに絵を描く抽象画家で、絵画は彼にとって色との身体的な闘いです。一方、山本耀司は強い黒を使い、「包み込むような」傷だらけの表現をします。1981年のパリのデビューショーでは、裸足のモデルが生地を使い古したような服を着用しました。そのコレクションには、アンドロジナスな黒のフロックコートがあって、確かに白髪の絵画との類似性を感じさせられました。

 展示では、異なるものが引き合いながらも、親和性を表現し、異なるスタイルや時代間の関係がうまく調和していました。

 改めて、ファッションが芸術的表現であることを確認した展覧会。会期は4月22日までです。

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