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2024年3月29日 (金)

ハルメク~ 今、企業が知るべきシニア層へのマーケティング

 雑誌「ハルメク」は、直販スタイルのシニア女性向け定期購読誌です。日本ABC協会によると、書店やコンビニで販売されていないにもかかわらず、近年、雑誌販売部数において、女性誌部門でNo.1を獲得しているといいます。
Photo_20240422103701  なぜ雑誌「ハルメク」がシニア女性から熱い支持を得ているのでしょうか。
 先般、eコマースフェア東京のセミナーで、その秘密を解き明かすセミナーが開催されました。登壇したのはハルメクホールディングス、ハルメク・エイジマーケティング管掌 執行役員 木船 信義 氏です。「団塊の世代が後期高齢者に突入する2025年問題はすぐそこ! 今 企業が知るべきシニア層へのマーケティング」と題して、シニアのニーズ把握の取り組みや、心を掴む訴求や商品開発のツボを語られました。

 冒頭、ハルメクは50代以上、シニアに特化したマーケティング集団であり、雑誌・ウェブ・リアル体験・物販事業・店舗事業を行っていることを紹介、その後講演がスタートしました。
 下記、その興味深い概要です。

1. 団塊の世代が後期高齢者になる「2025年問題」のインパクト
 ベビーブーム世代と言われる1947~49年生まれは640万人で、日本の経済発展を支え、流行をつくり出してきました。その彼らが後期高齢者となる2025年は、要介護者も増え「バブル経済」や「失われた30年」以上のインパクトが起きるとみられています。

2. 前期高齢者と後期高齢者の消費性向の違い
 自覚年齢は若く、いつまでも若いと見られていると思っている人がほとんどです。しかし65歳ではまだシニアと認めたがらなかった前期高齢者も後期になると変わってきます。健康年齢もあり膝・腰など健康不安から、後期高齢者の消費は体力を使わないものへ移行します。
 たとえば75歳以上になると旅行をしなくなります。ゴルフのラウンドを回る人もぐんと減り、庭いじり・ガーデニングも減少。視力の衰えで読書や将棋なども漸減し、手先や目を使う編み物・和洋裁をやる人も少なくなり、コンサートや映画も2時間が耐えられなくなります。代わりに、自分のできる範囲で頑張れる体操や運動、カラオケなどが伸び、絵画・彫刻制作など、自分一人でも楽しめる趣味が増加します。
 また消費される内容も変わります。後期高齢者の1人当たり支出額は減少、新車を買わなくなり、スマホなど通信費が減ります。逆に増えるのが医療・入院費です。全体に世帯収入が減少する中、60代から70代初めは退職金や相続で余裕のある所帯も見られます。

3. ハルメクのシニアマーケティング
 シニアは年寄りらしくないものを求めています。補聴器は首掛け式集音機と呼んでいますし、キャリーカートもおばあさんっぽくないデザインにするなどして、明るい暮らしを目指すことが重要と強調しました。
 また葉書で客の声を聞いたり、アンケートや座談会を行ったりするなど、「思い込みを捨てる、分かった気にならない」ことが大切と指摘。
 デジタル化はシニアも進んでいて、前期高齢者はほぼ100%スマホが使えます。但し、本当に使いこなしているかは別問題ですが。スマートウオッチはまだ浸透しているとは言えないそう。
 SNS利用率は30%を超え、インスタグラムが2倍以上に増加。とはいえ閲覧が中心で発信するのは3割くらいとか。
 ネットショッピング利用率も右肩上がりで増えていて、およそ2人に1人、52%が利用しているとのことです。しかし75歳以上ではまだ10%程度で、シニアと言っても一括りにできないといいます。
 シニアは概して裕福なので、彼らを攻略しないと、日本経済は動かないと釘を刺しました。

4. 今後の市場流行予想・展望
 ハルメクでは何が流行っているかを定期的に調査しているとのことです。2022年~2023年のトレンド分析で浮上したキーワードを挙げ、次のように解説しました。
●スマ活シニア 
 スマホを活用した決済や動画視聴、ポイント活用、インスタグラムの利用が大幅に増加しています。スマホが生活に不可欠なものとして入り込んでいることがうかがえます。
●推し活で若返り
 シニア女性の35.2%が推しを持ち、年間平均9万円を推しに費やしています。推しは彼女たちの行動や生活を変え、心身にポジティブな効果をもたらしています。
●とっくにSDGs 
 シニア世代は、食材を無駄にしない丁寧な暮らしを続けてきました。今後も賢いSDGs生活をリードする存在です。
●コンパクト終活 
 生前整理はシートに書くだけで、身の回りも気持ちもスッキリ。葬式準備は身内だけで行うと、伝統や形式から解放されます。
●Ageメイク
 眉毛や目元をメイクすると気分がアップ。外出したくなりますし、年齢に合ったポイントメイクで華やかさを楽しめる気持ちになります。
●素材丸ごとおやつ
 栄養価が高く食品ロスも減らせるお菓子です。野菜の素揚げや小魚スナック、ドライフルーツなどが含まれ、自然な素材を活かしたおやつは、シニア世代に不足しがちな栄養素を補うのに人気です。

 シニア女性は多くの未解決ニーズを抱えています。サービスの不足や、年配者向けに特化しすぎていることが課題となっています。彼女たちは新しいことを学び、挑戦したいと思っていますが、その機会や場がないことが多いです。また、オシャレを楽しみたいと思っても、体型の変化や勇気の欠如、やり方がわからないことなどがハードルとなっています。さらに、孤独を回避する手段も不足しています。
 最後に、長寿社会が到来し、若者を追いかけるだけでなく、シニア独自の新しい動きが彼女たちの悩みを解決する鍵となると述べて、結ばれました。

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