25春夏のデザインの底流にあるのは「ミューテーション(突然変異)」です。テキスタイルデザインでは、この変化への称賛の意がさまざまな形で表れています。
ブリーチド (BLEACHED)
同系色のパステルカラーのパターンがぶつかり合い、重なり合い、抽象的で漂白されたような効果を生み出しています。
ミルキーアブストラクト
シミのような花のモチーフを連想させる、はっきりしない形が、乳白色と水彩画を思わせる効果の間を揺れ動いているデザインです。
希薄に見える有機的あるいは抽象的なフォルムは、不思議な柔らかさを帯びています。花々は抽象的なまでに歪み、ミルキーな淡い色彩とぼやけた輪郭は、穏やかな憂いを帯びているようです。
ウォーターダウン
「ウォーターダウン」とは、水で薄める、という意味です。
花などのモチーフは、水彩絵の具が水増しされて、淡い色調になり、パステルカラーが混ざり合ったり、コントラストをつけるダークトーンも分解されたり---。ランダムなぼかしの効果で、純粋に具象的でもなく、完全に抽象的でもない、魅力的な模様に仕上げられています。
XXL ミニマリズム (XXL MINIMALISM)
「ミューテーション(突然変異)」のストーリーは、絵画技法の選択にも受け継がれています。インク消費量の制約を考慮しながら、強い視覚的インパクトを持つ版画を作るにはどうすればいいのでしょうか。その主な方向性が、XXLミニマリズムです。これは、大きなモチーフと限られたパレットを組み合わせ、スケールの効果を楽しむテーマです。
ナイーブなバイカラーデザイン
ナイーブな切り絵はその純粋なシンプルさに感情が揺さぶられます。
ミニマルなデザインをテキスタイルに応用すると、プリントに必要な顔料が少なくて済み、環境フットプリントが削減されます。同時に、強烈な視覚的インパクトを生み出すデザインも可能になります。
線描きの花
控えめで詩的な線描きの花柄は、科学的な図解を思わせる細密なデザインから、より様式化されたバージョンまで、さまざまなスタイルで単一のモチーフを表現しています。
ツートンの組み合わせは、ナチュラルな色合い(ベージュ地に黒のラインなど)だけでなく、対照的なビビッドカラーの組み合わせでサイケデリックなムードを醸し出したりもします。
マルチプリケーション(MULTIPLICATION 増殖)
物質の核心を想起させる視覚的インスピレーションとして、生命に不可欠な増殖する細胞を想起させるパターンが浮上しています。ミクロの斑点模様は、カモフラージュや動物のモチーフを思わせ、デザインに生命を吹き込みます。
生きている世界
今季の中心テーマである「ミューテーション(突然変異)」は、自然の回復力に敬意を表しています。あらゆる場所で、あらゆる規模で、無限のサイクルで発展し、増殖する生命のグラフィカルな表現や幾何学的なパターンが組み合わさったり、重ね合わさったり。ミクロのスケールで遊び心たっぷりに、また目の錯覚を生み出すキネティック・アート風に表現されたりします。
絡み合う葉
植物をモチーフとしたデザインは、自然の美しさや生命力を表現するだけでなく、持続可能性や環境への配慮を象徴する要素としてもクローズアップされます。
エキゾチックで豊かなヤシの葉などが交差し、絡み合います。透明感や反射する光の演出で、目を欺くイリュージョンを生み出していていたりするものも見られます。