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2024年2月

2024年2月29日 (木)

25春夏PV ⒁ シルキー 新しいテクスチャーでモダナイズ

 動き、波打ち、揺れ動く、今シーズンのシルキー。さわやかなクレープ、軽やかなボイル、シフォン、オーガンジー、丸みのあるジョーゼットやサテン---、植物繊維とのブレンドやリサイクル合繊使いなど、新しいテクスチャーでさりげなくモダナイズされています。

サンコロナ小田
 オーガンザ販売シェア世界一を誇るサンコロナ小田。イブニングドレスやウェディングドレス用のテキスタイル開発で一目置かれる存在です。
Img_44851  右はトレンドエリアで注目されたオリガミプリーツ加工の生地です。経糸はポリエステル分繊糸、緯糸は和紙使いで、ペーパータッチがフレッシュです。
 またスパッタリングという金属ナノ・コーティングを施したちらちらと光る生地は、ラグジュアリーブランド向けに大ヒットといいます。

宇仁繊維
Img_41561  1999年の創業以来、ポリエステルの細番手糸を使用した高品質生地を提案。最近は環境に配慮した新しい生地づくりにも乗り出しています。
 右は今シーズンの人気素材という、強撚サッカー、乱玉プリント地です。

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2024年2月28日 (水)

25春夏PV ⒀ プレミアムリラックス コットンが主役

 「プレミアムリラックス」ゾーンはコットンが主役。上質のリラックスした感覚の生地を得意とするメーカーが集まっています。シックなワークウェア向け生地やパリッとしたペーパータッチ、また豊かなテクスチャー効果のある生地に注目です。

柴屋
 日本で100年以上の歴史を持つ繊維商社で、上質なコットンやリネン、ウールといった天然繊維を使用した "メイド・イン・ジャパン" を発信、在庫は300種類以上、最低数量も1反からと好評です。
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 日本でも人気の天日干しや、光沢を抑えたペーパー仕上げなど、様々なナチュラル感のある生地を打ち出していました。

東光商事
Img_40991  前回よりも商談数が多いとのことで、盛況の様子。
 軽やかな植物繊維のスラブやネップなどのテクスチャーを活かした生地、またとくにデニムが人気とのことでした。

 

 

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2024年2月27日 (火)

25春夏PV ⑿ シャツ地 くつろぎのあるエレガンス

 しなやかさ、軽さ、風通しの良さが求められるシャツ地。全体にくつろいだ雰囲気でエレガントな感覚のものが多く見られます。

古橋織布
 遠州産地の古橋織布がプルミエール・ヴィジョン(PV)パリのシャツ地ゾーンに初出展していました。
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 シャトル織機による伝統的な製法で独自に開発した綿織物を中心に、ソフトでふっくらとした表面と適度なテクスチャーを「TOUCH&FEEL(タッチ&フィール)」のポップでアピール。タイプライタークロス、パラシュートクロス、パドルクロスなど、上質なコットンを使用した高密度織物や、しっかりと織られバフ生地も好評で、手ごたえがあった模様です。

桑村繊維
Img_41081  経糸が綿で緯糸にナイロンコーデュラの先染めや、また綿100%ワッシャーストライプ(右写真)が人気といいます。
 コーデュラは摩耗、引き裂き、擦り切れに強いのが特徴。
 ワッシャーはMUG WASHER加工で、少量ずつ丁寧に揉み洗うことにより小じわを多く入れて凹凸感を出したもの。

丸和(植山グループ)
Img_44891  オーガニックコットンやリサイクル合繊など、環境配慮の素材を求めるバイヤーが多いそう。
 とくに人気は、右写真の綿/ナイロン先染めハニカム入りワッシャー加工の先染めとか。

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2024年2月26日 (月)

25春夏PV⑾イエールPVグランプリ イゴール・ディエリック展

 今回のプルミエール・ヴィジョン(PV)パリ展で、若手デザイナーの登竜門であるイエール国際フェスティバルにてPV賞のグランプリを受賞したベルギー出身のデザイナー、イゴール・ディエリック(Igor Dieryck)展が開かれました。(このブログ2024.1.12付け参照)
 イゴール・ディエックは、アントワープ王立美術アカデミーを卒業し、現在はエルメスでジュニアデザイナーとして働いているという、24歳の才能ある若者です。

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 作品はホテルのロビーで出会うキャラクターにインスパイアされたものだそう。ホテルは、彼が学生時代に受付係として働いていた場所とか。ユニフォームのコードを再考し、テーラリングにストリートの要素を取り入れて遊んだ“ベル”ラインの小さなジャケットやハイウエストのパンツなど。
 ユニセックスを意識させるデザインで、誰でもどこでも着用可能な洗練されたコレクションでした。

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2024年2月25日 (日)

25春夏PV⑽ スマートクリエーション③ デッドストック

 「スマートクリエーション」エリアでは、循環型経済とアップサイクルへの関心の高まりから、前回展で設置されたデッドストック専用業者が出展するコーナーがさらに拡充されていました。とくに今回は、一部の出展企業のデッドストックを実際に手に取って確認できるようになっていたのが、目新しかったです。例えばイタリアのレースメーカー、イルーナ(ILUNA)グループのレースやフランスのマリア・ケント (MALHIA KENT) のカラフルなツィードなど、他では見つけられない高品質の生地を求めるバイヤーやデザイナーが多数訪れていました。

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 また前回のLVMHグループの「ノナ・ソース(Nona Source)」に続き、シャネルが主導して4年前に立ち上げた「ラトリエ・デ・マチエール(L’Atelier des Matieres)」が初出展していたのも話題でした。
 ラグジュアリーブランドの売れ残りや未使用の製品の再利用に向けて、カスタマイズされたソリューションが提供され、商談で賑わうブース風景が見られました。

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 上は、レザーを中心としたデッドストックを販売する「アダプタ(Adapta)」です。2018年に設立され、約800のブランドと取引実績があるとか。色が微妙に違うなどで注文がキャンセルになってしまったものなど未使用品を販売し、「デッドストックは死んでいません!」とアピールしていたのが印象的でした

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2024年2月24日 (土)

25春夏PV⑼ スマートクリエーション② 革新的3D織布技術

  スマートクリエーションのスマートテックゾーンには材料のデジタル化、トレーサビリティ、環境への影響の測定など、革新的な技術ソリューションに取り組む先端企業が集っています。
 このゾーンでとくに興味深かったのが、米国サンフランシスコ発のスタートアップ企業「Unspun(アンスパン))です。2017年にH&Mファウンデーションの「グローバル・チェンジ・アワード(Global Change Awards)」を受賞しています。

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Img_45681  同社のミッションは、衣類の製造方法を革新することで、世界の炭素排出量を1%削減することとか。すべての衣類がオンデマンドで製造される世界を想像し、過剰生産を排除するため、独自の3D織布技術「Vega™」を開発。これは緯糸をらせん状に入れることで、糸を数分で衣類に織り込むことができる技術で、斜行防止も可能だそう。また3Dボディスキャンからカスタムフィットの衣類を生成するフィットソフトウェアも開発し、パンツなら20分もあれば、股部分を縫い合わせるだけで仕上がるといいます。
 ほぼゼロ廃棄物で地域密着、オンデマンド製造を可能にする画期的技術とあって、デ・カーボン化にコミットしたブランドやメーカーと提携しているとのこと。
 ファッション自動化の未来が期待されます。

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2024年2月23日 (金)

25春夏PV⑻スマートクリエーション① 日本の革新性に注目

 プルミエール・ヴィジョン(PV)パリでは2017年以来、出展者の責任あるアプローチを促進するため、イノベーション、エコデザイン、将来のファッションを形作る技術的なソリューションに特化したエリアを設けています。それが「スマートクリエーション」エリアで、今期は約65社が出展しました。
 このエリアはスマートマテリアル、スマートテック、スマートサービスの3つのゾーンに分かれています。各ゾーンには、サーキュラリティに特化したエリアが設けられていたのも今シーズンの特徴です。
 その一つ、スマートマテリアルゾーンには、革新的な材料、新しいエコデザイン繊維、染色プロセス、または影響を減少させる化学的なソリューションを紹介する企業が集まっています。日本企業3社もこのゾーンに出展し、その革新性に目が向けられていました。

Withal(ウィゾール)
 今回、初出展したのがWithalです。NPO法人繊維育英会が2022年に立ち上げた資源循環プロジェクトで、回収した衣類を再利用する「サーキュラー・エコノミー」という新しいリサイクル手法を実現することで、地球環境問題に取り組んでいるといいます。サーキュラー・エコノミーは一見、無駄のないリサイクルのように思えますが、繊維業界では多種多様な混紡素材や複合素材があるため、サーキュラー・エコノミーの一環として利用できるものとできないものがあるという現実があります。同社が考える循環型経済とは、「回収した繊維を、無駄なくリサイクルできること」とか。

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 現在、回収した衣料品を糸、ボード、紙、段ボール、ゼロエミッション燃料(バイオコークス)などにアップサイクルしていますが、将来的には、回収した衣料品をより多くの製品にアップサイクルできる体制を整える予定だそう。また、このようなプロジェクトで最も重要なのが持続可能性であると考え、コスト面を最大限考慮し、誰もが利用しやすく、参加しやすいシステムを構築しているといいます。
 誰もが身近に地球の未来を考えることができるリサイクルプロジェクトで、大変興味深い取り組みと思いました。

Spiber (スパイバー) 
 既に何度もPVパリに出展している同社は、微生物発酵プロセスによりつくられるタンパク質素材「Brewed Protein™(ブリュード・プロテイン™)」を開発するバイオベンチャーです。原料はサトウキビの糖で、2018年にこの原料を調達しやすいタイに工場を設置、昨年夏に量産がスタートし、生地メーカーとのコラボレーションに拍車がかかっています。

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 今シーズンは梶原加奈子さんとのスーパーゼロ企画など8社の生地がハンガーにかかっていて勢いを感じました。

BIOWORKS (バイオワークス)
 2回目の出展で、肌にやさしい革新的な新素材「PlaX™(プラックス™)」を訴求していました。これはサトウキビ(タイ産)などの植物を原料とするバイオプラスチック「ポリ乳酸(PLA)」に、同社が独自に開発した植物由来の添加剤を加えることで、品質と機能をアップデートしたカーボンニュートラルに貢献する新しい素材です。ポリ乳酸は速乾性、消臭性に優れ、高い抗菌効果があり、生地上のバクテリアの繁殖を抑え、手術用縫合糸など医療関連でも使用されているとか。

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 素材の循環性が重視されている昨今、石油由来の合成繊維の代替を目指す素材として注目されます。

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2024年2月22日 (木)

25春夏PV ⑺ メゾン・デクセプション 日本の工芸美に注目

 今回のプルミエール・ヴィジョン(PV)パリで、第11回「メゾン・デクセプション」が開かれました。これは国際的な職人技を紹介する特設エリアです。クリエイティビティを刺激することを目指し、創造的でユニーク、あるいはオーダーメイドの製品を提案するためにデザインされています。入場できるのは、特殊なノウハウを求めるブランドやファッションデザイナーと招待者のみです。
 出展したのは5ヵ国20社で、日本からは新規3社を含む5社が参加しました。中でも注目されたのは、日本の伝統工芸の美と匠の技でした。

青藍工房
 「藍染のふるさと」徳島からPVパリに初参加した工房です。

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Img_33931  ブースではその美しさが際立っていました。驚嘆したのはその大胆な構図です。
右は今年の干支である「龍」のモチーフです。
 制作したのは同工房の創始者、藍染作家の橋本陽子氏と娘である浮川初子氏です。橋本陽子氏は2022年ル・サロンの絵画部門に入賞し、2023年パリのルーブル美術館で開催された「第28回国際文化遺産展示会」に出展し大きな話題を集め、今回のPVパリ「メゾン・デクセプション」への選出につながったといいます。
 お二人が制作する藍染め作品は、藍ろうけつ染技法によるもので、伝統的な藍染めではないとか。蝋けつで描くため藍の濃淡多色染を自由自在な図案で表現出来るとのことです。
 ちなみに代表の浮川夫妻は日本語ワープロソフト「一太郎」の開発者と知りました。私もかつて使っていた懐かしいソフトです。そのような方と出会えたとは!と感激しました。

湧元(ゆうげん)
 設立は2004年大阪です。代表の池田豊 氏は、パリとロンドンで毎年開催されている「J-TEX」展の主催者であり、日本のテキスタイルが有する伝統技術の伝道者、ともいえる人物です。

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 「環境にやさしく、軽くて丈夫で、バッグにも使える素材」の開発をモットーに、廃棄された綿と楮を原料にした和紙に藍染めや柿渋染めなどを施したリサイクルペーパーや、漆を加工したソフトな鹿皮を展示していました。カルチェなど多くのラグジュアリーブランドが関心を寄せているといいます。

近江上布
 近江上布は、日本最大の湖である琵琶湖の東に位置する滋賀県湖東地方で手織りされる上質な麻・苧麻織物です。今回初出展した、そのきっかけは昨秋、パリのJ-TEX展に出展したことだったとか。

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 伝統的工芸品に指定されている生平(きびら)と絣(かすり)作品を展示し、とくに和紙混の新作を打ち出していました。数十社からサンプル依頼があったそうです。

下川織物
 30以上の工程を経て織られる伝統的な二重絣の久留米絣。下川織物はその久留米絣の織元です。前年に続く2回目の出展で、市場開拓を前進させていました。

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笠木ファイバースタジオ
 2018年以来、高品質のウール製品を製造するため「羊から製品まで」、一貫体制を敷いている笠木ファイバースタジオ。染色も柿渋染めなどの自然染色にこだわっています。

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 とくに今シーズンは自社で採取した地衣類で染めた、赤茶色のウールが目を引いていました。

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2024年2月21日 (水)

25春夏PV ⑹ カラーは突然変異する「ミューテーション」

 2025年春夏のカラーは「ミューテーション」、つまり突然変異する色です。これが物語るのは移り変わり続ける色です。その中心にあるのが光で、未来をより明確に見る欲望を示唆しています。

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 キーカラーはミルキーイエローです。24/25秋冬の黄土色を漂白したような輝きを持つ、進化した黄色で、柔らかく懐かしみのある色合いです。

 PV提案色は下記、4つの軸で構成されています。

 1つ目は光の色で、漂白された色調を中心に、過剰に露出した暖かい色合いや脱色された乾燥した色合い、空気のような冷たい色合い、生物発光の光色も含まれます。

 2つ目はリジェネレーションで、非常に強い彩度を持つ色や過度に色づけられた色、エネルギッシュな閃光が特徴です。

 3つ目は、微妙なニュアンスと深い色味の間の釣り合いです。この組み合わせが、曖昧な赤や微妙に色づいたニュートラルカラー、明るいまたはオパールのような淡い色合いで、奇妙で魅惑的な雰囲気を醸し出しています。

 4つ目は、変異するクールな色調で発酵した色合い。緑色や茶色がかったアースカラー、青みがかった色や紫がかった色など、生物からインスピレーションを得た色彩です。

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2024年2月20日 (火)

25春夏PV ⑸ インスピレーションフォーラム 「繭」に着想

  PVパリのファッションインスピレーションフォーラムは、シーズンの最もクリエイティブな開発に焦点を当てています。今シーズンのテーマは「ミューテーション(突然変異)」であり、変容する季節の中心にある「繭(コクーン)」がクリエイティブな提案にインスピレーションを与えています。
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 インスピレーションフォーラムは、巨大な「繭」を意識させるつくりとなっていて、内部はそれらしいオブジェで装飾されていました。
 今季は「繭」に着想し、変容のプロセスの真っ只中で一瞬止まる季節、といえそうです。

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 脱皮やさなぎ、繭といったイメージがテクスチャーやデザインに影響を与えている今シーズン。生地やプリントには、透明性や光、立体感など突然変異的なテクスチャーや奇妙さを持ったデザインが取り入れられており、ニットやテクニカルファブリックも独特な変異的な表現が見られます。透け感のある素材は、さなぎを包むような形をしており、トリムやジュエリーにも透ける要素が取り入れられています。レザーでは、新しい突然変異スキンが登場し、多様な質感やテクスチャーを表現しています。

 これらを組み合わせ、季節を形作る永遠の変容を具現化するシーズンが来ています。


 

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2024年2月19日 (月)

25春夏PV ⑷ 主要テーマは「ミューテーション(突然変異)」

 2025年春夏の主要テーマは「ミューテーション(突然変異)」です。PVトレンドのプロジェクトマネジャー、ルーシー・ジャノー氏は、今シーズンを転換点と位置付け、「本質的な変化を背景に展開されるシーズン」と表現しています。
Mutation  環境問題をベースに生成AIなどによる新しいアプローチが生まれ、デザイン性や快適さ、性能と耐久性などの基準を守りながらも製品は大きな変化を遂げています。この再定義されていくパラダイムの中心にあるのが「ミューテーション」、即ち突然変異です。
 今季は時間と共に形になっていく実験、探求、働きかけ、プロジェクトを後押しし、シーズンごとに入れ替わるファッションではなく、長期的視点を持ってもらおうとするシーズンです。美学とプロセスの両方に影響を与える、意味のある包括的なコンセプトが、私たちをさまざまな方向へと導きます。

 このテーマではとくに下記、3つのサブテーマが浮上しています。

 1つ目は「リジェネレーション(再生)」です。自然との関わりから生まれる変化を重視し、自然界の再生を目指す姿勢が示されています 。
 2つ目は「トランスフォーメーション(変化)」です。蛹が脱皮して成虫になるように、変容に着想し、根本的に新しくなった美しさを表現しています。
 3つ目は「アダプテーション(順応)」です。新たな均衡を提案し、環境の変化に適応する素材や技術を追求しています。

 これらのテーマを通じて、自然の美しさや再生可能性に焦点を当て、ファッションにおける環境への配慮を促進することが目指されています。

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2024年2月18日 (日)

25春夏PV ⑶ 要は「サステナビリティ」

 プルミエール・ヴィジョン(PV)パリの要となっているのが「サステナビリティ」です。中でも25春夏の製品開発の指針となっているのが「再生」です。
Img_45771_20240227141601  上はサステナブル素材を集積したエコイノベーションコーナー。

 その焦点は、大地の再生に貢献する植物繊維と、既存の繊維製品のアウトレットから調達したリサイクル素材の活用による土壌保全の促進です。繊維から織物へと変化させる重要なステップである加工工程では、水やエネルギー、化学薬品の使用を最小限に抑えるため、低負荷の方法を採用することに重点が置かれています。環境保護を最優先し、それぞれの素材が持つ本来の特質を際立たせるために、最新の開発技術が採用されています。
 今シーズンは、完璧さではなく、個々の美しさを大切にし、自然の素材の持つ特性を巧みに活かしつつ、技術的な洗練と魅力的なデザインを融合させる方向へ動いています。

 テキスタイルは今、大きな変革期を迎えています。化石燃料や集約的農業、規制の不十分な化学プロセスからの調達が主である一方で、原料や新繊維は新たな代替的アプローチをとるようになっています。既存の鉱床、水やエネルギー効率の高い技術、厳格な化学物質管理、トレーサビリティ・ツールに目を向けることで、生産と消費のより好循環的なモデルへと視野を広げているのです。

 そのポイントとして下記、4つが提案されています。

〇自然を守る
 天然動植物繊維の使用は、より持続可能な農業モデルを目標としています。BCI、GOTS、Good Earth Cotton™、Regeneagriなど、さまざまな認証が異なる要件を定めていますが、その目標は、水の保全、生物多様性、土地の活性化を目標とする公約に最大限準拠することです。原材料の原産地とそのトレーサビリティは、無害な農業、育種、収穫プロセスを保証するのに役立ちます。European Flax?は、ヨーロッパで栽培された亜麻と麻を認証しています。ウールについては、ミュールシングを禁止する飼育区域によって動物福祉が保証され、RWS、ZQ、Peta Approvedの認証によって確認されます。
 ラベルだけでなく、自然を破壊することなく利用し、その再生を確実にするためには、単純な常識が有効な指針となることも。さらにこの常識は、天然繊維の品質、植物繊維の通気性、リネンや麻の断熱性、ウールの熱調節性などを再考することによって、製品の用途に至るまでのバリューチェーン全体に適用されるべきであるとの指摘に注目です。

〇再生可能な合成繊維
 ポリアミド、ポリエステル、エラスタンの加工は、化石燃料への依存を減らし、プラスチック微粒子の分散を抑え、リサイクルと生分解性を促進するという3つの大きな課題に直面しています。PLAやその変種であるSorona🄬、PLaX、Noosa™のような、サトウキビ糖、ヒマシ油、コーヒー残渣、トウモロコシデンプンをベースとするポリマーは、ますますこれらの目標を満たすようになってきています。
 ある種の合成繊維の機械的伸縮性は、自由な動きを与えるには十分ですが、伸縮性のサポートや圧縮に関しては、エラスタンの代わりにはなりません。従来のストレッチ素材に代わる最初のエコロジー素材であったリサイクル・エラスタンは、現在では再生可能な資源やリサイクルされた生産廃棄物から作られた、生分解性の早い弾性フィラメントに環境性能の点で追い越されています。

〇適切な仕上げ
 環境に配慮した原材料を選択することは、テキスタイルが環境に与える影響を最小限に抑える上で中心的な役割を果たしますが、仕上げの段階でも持続可能な調達努力に沿ったものでなければなりません。クローズド・ループ・システムでの染色工程は、水の浄化とリサイクルとともに、最低限の約束事であるべきといいます。
 今日、天然染料の進歩により、クリーンな染色の選択肢が広がっています。褐藻類、果実、花、木材残渣、織物由来の顔料は、現在では堅牢度と再現性を保証しています。装飾の分野では、アセテート・グリッターの使用や、コットン・パウダーを使用した合成繊維を使用しないフロッキー・デザイン、リサイクル・ポリエステルから作られたスパンコールなど、プラスチック素材の蔓延を抑える取り組みが始まっています。
 アウトドアとプロテクションの分野では、繊維製品の防水性を高める膜やコーティングに含まれるパーフルオロカーボンとも呼ばれる有機フッ素化合物(PFASまたはPFC)の段階的廃止が大きな課題となっています。5万年もの間、大気中で生き残るこれらの有毒な分子に代わるものとして、現在、防水性、防風性、ダウンプルーフのテキスタイルには、生分解性が促進された再生可能な天然資源から作られたポリウレタン・コーティングやメンブレン、天然ワックスや植物油から作られた含浸剤などが使用されています。 

〇持続可能なイノベーション
 工業的規模で利用できるにもかかわらず、今日の供給量のごく一部にすぎない有望な例を紹介します。それはここ数シーズン、さまざまな方法で実験されている循環型生産です。再生可能資源や化石資源を使用するのではなく、廃棄物を利用することで、2つの主要なアプローチが出現しています。
 一つは、Tex2Tex™(高容量、コスト競争力、低環境負荷のポリエステル・リサイクル技術)のようなポリエステルや、Nucycl🄬、Circulose🄬、Circ🄬lyocellのような第二世代のセルロース系人工繊維を使った、消費前または消費後の繊維製品のリサイクルです。パイナップルやバナナ繊維の紡績、柑橘類や亜麻仁油、麻の残渣のケミカルリサイクルなど、農業食品産業からの副産物の開発は、まだ普及していないものの、最も有望な手段です。
 もう一つは、Spiber社が開発したBrewed Protein™フィラメントのように、植物原料を独自の発酵プロセスで製造する新技術です。化石資源も土壌も使用せず、大気を汚染することのない、まさに画期的な素材製法です。

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2024年2月17日 (土)

25春夏PV ⑵ 「ア・ベターウェイ」プログラムの進展

   サステナブルな素材や生産方法が一般的になる中で、これらを確実に提供するためのトレーサビリティ(追跡可能性)サービスや認証に対する関心が高まっています。
Pvpictoabetterway_20240227113101  PVパリでは環境への貢献をピクトグラムで表示するプログラム「A BETTER WAY(略してABW)」を、昨年7月展から始めました。これは年々増え続ける環境配慮型製品の調達や熱心なパートナー探しを容易にするための施策です。PVはこれにより、環境に配慮したアプローチを強化し、サステナブルなコレクションの開発を支援するといいます。
 このプログラムに認定された企業には、右のABWマークがガイドブックやマーケットプレイスなどに付与されて、環境配慮への信頼度が増すことになります。企業数は初回7月展の290社(内、日本9社)から、今回は350社(内、日本13社)に増加していました。少しずつですが進展を見せているこのプログラムを次回も注視したいと思います。

  ちなみにABW表示は、下記5つのテーマごとに定められたピクトグラムに基づいていますので、紹介します。

1_20240227112001 〇社会的取り組み
企業慣行を通じて、またサプライチェーンにおいても、人々へのより良い配慮を。

Pv12_20240227112101 〇生産拠点のインパクト
生産施設を所有しているか下請け業者を使用しているかにかかわらず、商品を生産している会社の環境への影響を改善する。

Pv13 〇トレーサビリティ
製品のさらなるトレーサビリティ。

Pv14jpg 〇製品構成/工程
オーガニック、責任ある、認証された、リサイクルされた、または環境負荷の低い加工など、より良い組成と使用素材。

Pv14pg 〇製品のライフサイクルと使用済み製品
エンド・オブ・ライフの考慮を製品設計に組み込むこと、特に:耐久性、修理可能性、リサイクル能力。


 またPVにより厳選されたラベル、認証、プログラムを参考までに挙げておきます。2_20240227113501

 なお、PVパリでは正確さを確認するため、参加企業の10%に相当するサンプルを対象に、出展者の申告内容のランダムチェックを行うとのことです。

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2024年2月16日 (金)

25春夏PV ⑴ 成功裏に閉幕 次期7月展へ準備を整えて

 2月6日(火)~8日(木)に開催されたプルミエール・ヴィジョン(PV)パリは、ファッション業界の盛り上がりに後押しされて成功裏に終了し、熱意と信頼を持って、2024年7月の展示会に向けて準備を整えたといいます。
 3日間にわたる会期中、厳選された1,180社の国際的な出展企業が、最新のクリエーションを求める来場者に向けて最新のコレクションや開発を提案しました。この質の高さが評価され、多くの来場者がPVパリのパイオニアとしての地位を裏付け、業界での国際的な評価はさらに高まったようです。

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 PVパリのジェネラルマネージャー、ジル・ラズボルド氏は、プレスリリースで「2024年7月2日(火)~4日(木)に開催される次回PVパリの準備は、すでに始めています。この展示会では、ホスティッドゲスト(200名以上の招待者)やマッチメイキングのプログラムを刷新し、コミュニケーションツールを強化します。パリオリンピックは当展示会の3週間後に控えておりますが、ホテルやフライトも許容可能な価格で利用できる見込みです。アパレルブランドがパリに集結するポジティブな兆候があり、7月の展示会も有望です。」と述べています。
 このほどPVパリがコラボレーションしたパリ観光案内所「パリ・ジュテーム」のコリーヌ・メネゴー氏は、「クリエイティブなモード業界における必見の地として、パリをプロモーションする上で、これらの見本市が果たす役割は大きい」と強調しているとのこと。

 次回7月展がオリンピックの影響でどうなるか、見守ることにしましょう。

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2024年2月15日 (木)

テックスワールド・エボリューション・パリ ⑵ トレンド情報

 テックスワールド・エボリューション・パリでは25春夏ファッション・トレンドブックが発行されるなど、テキスタイル・トレンド情報の発信にも力が入っていました。

12_20240225174501  上はトレンドエリアの風景です。

 25春夏シーズンのメインテーマは「ヴェリタス(Veritasラテン語で「真理」の意味)」です。これは人工知能AIを活用して想像されたクリエイティブなテーマで、各個人の「自分自身の」真実を守る世界の探求がモチーフになっています。

 下記、「ヴェリタス(Veritas)」の4つのテーマです。

#1 Belief 信念
1_20240225174601  あまり主張せず、どちらかといえば内向的で、エレガンスと思慮深さで自己を表現します。
 色合いは穏やかで、緑と青が支配的、よりミネラルな色合いを指向します。
 テクスチャーは物質感と振動を表現しています。

#2 Immanence 無常
2_20240225174701   より自由で非伝統的なスタイルを持つ「ボヘミアン・シック」な世界を表現し、やや皮肉っぽい視点で主張します。「これが私たちの新しい共同生活のルールだ。あなたはそれに従って生きなければなりません」と言っているように。
 色使いは表情豊かで暖かみがあるが、かなりクラシック。ニットや刺繍、浮き彫りやつや消しの素材表現が多い。

#3 Knowledge 知識
3_20240225174701   自分を肯定すること。
 このテーマもまた、自然、植物、花といった古典的なインスピレーションの源に基づいていますが、それらを根本的に変えることを目的としています。
 色彩は強く、対照的で、相反するものであり、未来を表現する素材に適用され、しわくちゃ、液体、透明な質感を持っています。

#4 Experience 経験
 4_20240225174701 これは、主観的な真実の分野で最もコミットしたテーマです。「自分だけを信じなさい。信じるな。誰も信じるな。自分の経験から学べ」。
 色彩は非常に大胆で、注目を集めるためにそれらを着用します。酸味のある甘い色合いが主役で、都会的またはスポーティなコードを想起させる素材は、裂け目や光沢、オーガニック(セカンドスキン・タイプ)、そしてレースや透け感のあるものも。

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2024年2月14日 (水)

テックスワールド・エボリューション・パリ ⑴ その新動向

 テックスワールド(略してTW)エボリューション・パリが2月5日~7日、ポルト・ド・ベルサイユ展示場で開催されました。(このブログ2024.1.18付けも参照) 会場がこれまでのパリ郊外から市内に移転し、アクセスしやすくなり、前回展よりも活気がある、との声が多く聞かれました。

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 本見本市は今回、テキスタイルのテックスワールド(TW)と縫製品のアパレルソーシングの2つの展示会で構成され、TWには760社、アパレルソーシングには約500社が出展、中国やインド、トルコといった新興国の出展が目立ち、価格帯が異なるといったこともあり、日本からはアパレルソーシングに1社、豊島が参加しました。
 来場者は約8,000人で、そのトップ5は、フランス(全体の20%、2023年比で大幅増)、英国(8.3%)、イタリア(7.9%)、トルコ(7.2%)、スペイン(6.8%)と発表されています。

 主催者のメッセフランクフルト・フランスのフレデリック・ブジャール社長は「衣料品市場の減速にもかかわらず、ヨーロッパは繊維・製品メーカーにとって依然として主要な市場です。一部のメーカーにとっては、ロシアやアメリカ市場に重くのしかかる不確実性を相殺する戦略的な市場にもなりつつあります」と語っています。
 とくに今回、素材調達に関して、焦点が当てられていたのがニア・ソーシングでした。もちろんアジアが重要な調達先であることに変わりはありません。しかしユーザーは短納期や小ロット対応の利点から、東欧へ目を向け始めています。

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 これを象徴していたのが、アパレルソーシング展に設けられたウクライナ繊維革産業会社連合傘下の9社のコーナー(上の写真)でした。またブルガリアやイタリア、オランダの企業も、この見本市の知名度を利用して、フランスやヨーロッパのバイヤーの調達計画に自社の専門知識を盛り込むことができたといいます。

 さらに来期、TWエボリューション・パリは名称を「テックスワールド・アパレルソーシング・パリ(Texworld Apparel Sourcing Paris)」に変更するとのことです。多くのバイヤーが、素材を選ぶだけでなく、完成品を直接調達し、コレクションを補完したり、品揃えを増やしたりしたいと考えているからとか。この新しい名称には、「未来を織る;調達 | ビジネス | ソリューション」という副題が付随し、見本市の進展とサービス重視の位置付けを強化していくとも。

 市場の変化に対応するため、見本市も変わろうとしています。

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2024年2月13日 (火)

25春夏MU ⒀ JOB 欧州市場開拓に積極的な産地企業

   ジャパンオブザ―バトリー(JOB)には、多くの産地企業がグループで出展しています。円安で割安感が出ていることもあり、どこも欧州市場開拓に積極的です。

KYOTO TEXTILE シルクテキスタイル・グローバル推進コンソーシアム
 京都の伝統産業である西陣、友禅、丹後の三産地の連携を強化するシルクテキスタイル・グローバル推進コンソーシアムが、新たな販路開拓を目指し出展。シルクを中心に意匠糸や製織技術による立体感ある織物や、エコ素材を組み合わせた織物が充実しています。

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 参加したのは、下記5社です。
田勇機業株式会社 ― 京縮緬で名高い丹後産地の老舗です。日本の伝統的な撚糸、織の技術を活かした高級シルク素材を提案。
創作工房糸あそび ― 4mm幅のシルクリボン糸を織り込んだ素材や様々なシルクジャカード、先染めテキスタイル(抜染)
宮眞株式会社 ― 伝統的な技術を基に開発された革新的な丹後シルクが注目されます。
岡文織物株式会社 ― 西陣織の特徴である金銀糸やカラフルなシルクを組み合わせた生地を提案。ワッフル状の立体的な生地など、シルクならではの高級感にあふれています。
株式会社もりさん ― 張りと耐久性のある華やかな西陣織ジャカード。環境に配慮したリサイクルポリエステルを使用しているとのこと。
 MUのトレンドエリアでは、もりさんのサンプルが一際光っていたことも一言付け加えておきます。Img_22921_20240224235501

福山デニム
 デニムの産地、福山の技術の粋を集めた下記、2社が出展していました。 
篠原テキスタイル株式会社 ― 1907年創業の歴史ある機屋Img_22211 で、昔ながらのヴィンテージデニムや、日本の伝統的な技法を取り入れた特別なデニム素材、とくに刺し子風デニム(右)に目を奪われました。
山陽染工株式会社 ― 伝統的なインディゴ抜染や同社ならでは段落ち抜染の生地を提案。

湖東繊維工業協同組合
 JOBへの参加は、今回で6回目だそうです。同産地は室町時代より麻織物で知られ、とくに“近江ちぢみ” が有名です。この伝統を大切にしながら、麻だけではなく、綿などの天然繊維や様々な繊維も手がけ、新製品を開発している下記、2社が出展していました。

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株式会社 大長 ― 新塩縮や近江晒(特殊晒し加工)など、伝統技法と最新の加工方法を融合させた素材。
株式会社 麻絲商会 ― 100%リネンとリネン混紡の多様な生地を提案。
  いずれも洗いざらし風のシワやふくらみのあるソフトな風合いが注目されます。

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2024年2月12日 (月)

25春夏MU⑿ JOB 世界に向けて発信を強化する注目企業

 ミラノ・ウニカ(MU)のジャパンオブザ―バトリー(JOB)では、どの企業も世界に向けて得意素材の発信を強化しています。とくに気になった注目企業を紹介します。

スタイレム瀧定大阪株式会社
 同社はミラノのショールームに加え、昨年9月にパリにもショールームを開設し、欧州市場開拓にますます積極的です。
Img_22471  今シーズンはコットン素材をコットンではないようなタッチに表現した素材で、現代加工というシリコン含侵を加えた日本独自の加工「MODERN VIBRATTO COTTON」(右)や、後染めで中白を演出したデニム、天然のリネンのような柔らかさとナチュラルな表情を併せ持つ、リサイクルポリエステルを使用した「ASAMI」などを提案。天然らしさをアビールして、大人のカジュアルを目指す取り組みが目立っていました。

宇仁繊維株式会社
Img_22011  ストックサービス、短納期、日本品質が強みの同社。注目は、ポコポコとした表情豊かな凹凸のミラクルウェーブ(右)で、綿100%のもの、またポリエステル/綿混のカットジャカードやほどよい透け感と全面のシボ感が特徴のサッカー生地、さらに24年春夏ものPTJの「ワッツネクスト」で1位となったポリエステル100%ストレッチシアサッカーも人気といいます。

瀧定名古屋株式会社
 前面に打ち出していたのが、前シーズン来の尾州の職人技から生まれたクラフトワーク素材です。
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 絞り染や流し染め、ウールのボンディングといった素材が目を惹いていました。

北高株式会社
 毎シーズン、人気の和柄に加え、タイダイやむら染め、植物染めが好評といいます。Img_22071g

柴屋株式会社
 今回はいつもの天日干しとともに、“アンティークダイ” と名付けた、生地に負荷をかけずにふんわりと染め上げたという、ヴィンテージ感のあるコットンや麻素材の打ち出しに着目しました。Img_22571jpg

東紀繊維株式会社
 無染色のオーガニックコットン100%やコットン/シルクジャージーにスポットを当て、インナー製品に仕立てて提案していたのが印象的でした。Img_22631

長谷虎紡績株式会社
 前回に続く二回目の出展で、今回目新しく感じたのが、京都紋付とのコラボ素材でした。それは極限まで黒の濃度を高めた素材です。
遠赤外線保温材「KODENSHI(光電子)」とともに今後が注目されます。Img_22401
豊島株式会社
 フードテキスタイルのみならず、ハーブ染めなどの植物染めを訴求。また海島綿のDNAを100%受け継いだアメリカンシーアイランドコットン、人工合成による構造タンパク質素材のスパイバーなどもアピールし、持続可能な未来への取り組みに力を入れていることがわかるラインナップでした。Img_22091

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2024年2月11日 (日)

25春夏MU ⑾ JOB 初出展企業に手ごたえ

 多くの日本企業が円安環境を活かし、輸出に期待しています。ミラノ・ウニカ(MU)のジャパンオブザ―バトリー(JOB)には、5社(内1社がJOBプラス)が初出展、いずれも継続は力と次回展も参加予定で、手ごたえを感じている様子でした。

株式会社ベルテックス / BELL TEX CO.LTD.
 東京・墨田区が本拠地のニットメーカーで、フジサキグループとして輸出実績があり、まったくの初出展ではないとのこと。
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 ニットの中でも裏毛に強く、とくに一押しなのが、ウォッシャブルシルクの裏毛です。糸に特殊加工を施すことでシルク特有の色の白化・風合いの悪化を防ぎ、家庭洗濯を可能にした素材とか。またバランサーキュラーというニットと布帛を融合させた特殊編み機で編み立てた和紙使いのニットも出品し、好評を得たといいます。

株式会社パノコトレーディング / PANOCO TRADING CO. LTD. 
 国際的な第三者認証機関により、検査・認証されたオーガニックコットン生地の有力メーカーです。「欧州での販売の足掛かりにしたい」と今期JOB に初出展したとか。
Img_22841  今回はオーガニックコットンとオーガニックウールを打ち出していました。いずれも無染色の天然の有色素材です。コットンでは、オーガニックのエジプトギザ綿によるベルベットの艶感と肌触りのよさが印象的でした。

株式会社タケミクロス / TAKEMI CLOTH CO.LTD. 
 海外販路拡大を目的に初出展した遠州産地の企業です。得意のリネンを中心に、コーデュロイも出品していました。
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 リネンは、生地を窯で高温で蒸し、ストレスフリーに染め上げたもの。遠州の乾燥風で生地を踊らせる天日干しによる、ふわふわした風合いに引き合いがあった模様です。

伊藤忠商事株式会社 繊維カンパニー / ITOCHU CORPORATION Textile Company 
 川上から川下、ブランド関連事業まで幅広く手掛けている総合商社です。「JOBに新規出展ですね」と言いましたら、逆に驚かれました。
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 今回は北陸産地を中心に開発した合繊アウター、レディス素材のコレクション「LIVINAX」を展開。独自のサステナブルポリエステル素材で販路開拓強化に乗り出していました。

株式会社シャンブレー / CHAMBRAY CO. LTD. 
 担当者のいない、ハンガー展示のみのJOBプラスに初出展した同社。先染め布帛生地の素材提案力と開発力に強みを持つ企業で、「THE STATES MADER」は米綿を原料にしたビンテージ素材を現代の技術を使って復刻したシリーズです。例えば、オックスフォード生地は1980年代に米国の衣料ブランドが使用していたものを再現したものとか。Img_22711_20240219195001
 また再生ポリエステル使用の「REFABRISH🄬」やオーガニックコットンのトップ糸使いの「ORGAMIX ™ 」も展示。JETROによるとサンプル依頼はかなりあったといいます。

 ところでこのJOBプラス、残念ですが今期限りで終了とのことです。コロナ禍の一時的な対応策として始まったもので、一定の役目を終えたということでしょう。

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2024年2月10日 (土)

25春夏MU⑽ JOBで菅井英子デザイナー「ネオ西陣」に注目

  ミラノ・ウニカ(MU)のジャパンオブザ―バトリー(JOB)で、株式会社ヤギが西陣織工業組合の協力によりテキスタイルブランド「PRAWEFT (パラウェフト) 」を発表・展示し、話題を集めていました。
  全体のディレクションを担当したのが、ファッションブランドのデコジャパン(DECO JAPAN)を手掛けるデザイナーの菅井英子さんです。
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  菅井さんは2022年に西陣織文化賞を受賞しました。その後、伝統的なデザインと技術に新しい時代の革新性、たとえばサステナビリティを意識してリサイクル素材を取り入れるなど、西陣織工業組合とその加盟企業5社と組んで、和装を中心とした伝統工芸の生地でファッションテキスタイルを制作してきました。「伝統と技術」や「和と洋」を融合し、これまでにない作品を作り出そうと、企画開発を進めてきたことがMUへの出展につながったといいます。それはまさに「ネオ西陣」!

 西陣織は長い歴史の中で常に変化し続けてきました。菅井さんは、これからは和の伝統にデジタルテクノロジーを取り入れることで、新しいライフスタイルに対応していく必要があるとも語っていました。具体的には、ラグジュアリーブランド向けのカジュアルなテキスタイルなど、新しいマーケットの開拓です。「日本人は和柄をためらいますが、海外では新鮮に受け止められています。可能性は大きいのでは」と手ごたえも。

 今後の「ネオ西陣」、その展開に注目です。

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2024年2月 9日 (金)

25春夏MU ⑼ 日本パビリオン 春展で過去最大規模の出展

 日本パビリオンとして始まったジャパンオブザーバトリー(JOB)は今年、10周年を迎えました。20回目となる今期は37社が出展、うち3社は出展者不在のJOBプラスエリアに、また5社が初出展して、前年同期比6割増となり、春展で過去最大規模となりました。
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  開会式では古茂田 博 事務局長が挨拶し、またその夜のカクテルパーティでは日本をフィーチャーした演出が催されて、日本ムードが大いに盛り上がりました。
 来場者数はブースによりまだら模様でしたが、出展者は総じて継続出展に前向きでした。
 バイヤーからは「他にはない日本独自の生地」が好評で、輸送コストや納期などのハンディはあっても、ジャパンクオリティへの評価は依然として高く、MU事務局も「ハイエンドな素材見本市を構成していく上で、欠かせない存在」と期待しているといいます。

Img_23221_20240219192801   JOBのエントランスでは、法被姿のスタッフが、宇治の有機JAS認定基準をクリアした緑茶園のお茶を来場者にふるまわっていたのも印象的でした。

 JFW テキスタイルビュー(ジャパンテキスタイルトレンド)では、今回も多くのバイヤーが訪れ、熱心にメモをとっていました。

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 コンセプトは、「あらゆる角度から接点を持つこと」です。様々な新しい価値観を共有し、お互いを認め刺激し合い、受け入れると同時に、自然との結びつきを大切にし、地球を守り、感性豊かな人々が生まれ育つことの重要性を提唱しています。このために重要なのはこれまでになかった新しいアプローチや解決策を創造する姿勢と強調。
 カラーは、優しさと切なさ、心地よさ、活力、爽やかさを感じさせる色合いで構成されています。自然を大切にし、さりげない透明感や洗練されたフィーリングで表現される色調で展開されています。

 テーマは、下記4つで、出展社の一押し素材がそれぞれのテーマに合わせて分類展示されました。
 ◇ たそがれ ⇋ あかつき
 ◇ 建築家 ⇋ 小説家
 ◇ ジャズ ⇋ クラシック
 ◇ 散歩道 ⇋ 帰り道




 

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2024年2月 8日 (木)

25春夏MU⑻ イノベーションエリア スポーツと機能性焦点

 今期もミラノ・ウニカ(MU)をサポートするシステマ・モーダ・イタリアのテクニカル&イノベーティブ・テキスタイル部門、「TexClubTec」によるイノベーションエリアが設営されました。
 “スポーツウェアと機能性衣料のためのテクニカル・テキスタイル”に 焦点が当てられ、約15社が出展。材料から最終製品まで、テクニカル・テキスタイルの生産チェーン全体を代表する企業や、最先端の技術やプロセスを提供するサプライヤーたちが集ってブースを組んでいました。

 とくに興味深く思ったのは下記の企業です。

ペン・イタリア PENN ITALIA SRL / PENN TEXTILE SOLUTIONS GMBH
「イタリアで創り、ドイツで開発する」をモットーに、独伊2社がパートナーシップを組んでいます。イタリアのデザインとドイツのエンジニアリングが融合し、主にストレッチ素材のポートフォリオを提供しているとか。メッシュ生地の豊富なカラーパレットを揃え、エコテックス認証を取得し、環境に配慮した革新的な製品を幅広く取り揃えています。
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インボテックス IMBOTEX
 1955年創業のパディングを製造するイタリアのトップメーカーです。企業理念はアップサイクルの考え方に基づいており、廃棄された素材を完全に機械的なプロセスで非常に細い繊維に変換して、中綿を製造しているとのこと。同社の新部門、インボテックス・ラボはその革新的な技術に基づくプロセスの特許を取得しているそう。新技術を絶えず探求し、天然素材の可能性を高めているといいます。 
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クライツィー KREIZY SRL
 2017年にボローニャで設立された、ハイエンド・ファッションの刺繍を専門とする会社です。ブースでは刺繍ミシンが設置されて、実演が行われていました。 Img_21631_20240217115701  上は機械が動ているところです。

 平均年齢29歳の若くダイナミックなクリエーターチームが、客の要望に沿い、完全でパーソナライズされたサービスを提供しているといいます。

チッタディーニ CITTADINI
 90年以上にわたって、ネットと糸の製造という繊維のニッチ分野で成功を収めてきた企業です。
 インダストリー4.0に基づく技術的に先進的なシステムで垂直統合された生産が行われていて、工業、ファッション、自動車、家具、水産養殖の各分野向けに、最新世代の合成繊維を使用した結び目なし、結び目あり、間隔ありの3Dネット、衣料品、革製品、履物向けの工業用縫製糸とブレード、織物やリボン工場、家具用繊維、工業用用途向けのテクニカルヤーン、ブレード、ロープなどを製造しているといいます。
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 注目は生産プロセスにおける「グリーン哲学」の実践で、再生可能な資源から電力を自家生産、ISO 14.001環境認証を取得。特にGRS4.0(グローバルリサイクル基準)認証のリサイクル糸で織られたグリーンファッションネットは、その優れた性能やトレンドカラー、特注色の染色、特殊加工を施した様々な仕上げの提案などで人気とか。

 職人的伝統技術と先端技術が共存するイタリアです。日本もイタリアと同様に、世界に誇る素晴らしい製品を創り出すことができると信じています。

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2024年2月 7日 (水)

25春夏MU ⑹ トレンドエリア コンセプトは「MU+」

 2025年春夏ミラノウニカ(MU)のメインテーマは人工知能「AI」です。このテーマに基づき、トレンドエリアではシーズンコンセプトとして「MU+」を掲げています。接尾辞「+(プラス)」は「AI」の意味です。創造的な研究における分析ツールや日常生活でますます重要となっているそのコンテンツ使用の流れを象徴するコンセプトとなっています。

 「MU+」は、特にAIが創造的な研究やデザインプロセスに組み込まれている点で革新的で先進的です。再生素材や持続可能性に焦点を当て、AI生成アルゴリズムを活用することは、テキスタイル産業においてより持続可能で効率的な取り組みに向けた重要な一歩と言えるでしょう。

 アーティスティック・ディレクターのステファノ・ファッダ氏は、「AIは創造性を阻害するのではなく、新しい研究やイノベーションの可能性を広げ、それを増幅させるツールとして機能する」と述べています。
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 上は「MU+」の近未来的なイメージを表現するトレンドエリアです。
 鏡のように反射するシルバーメタルを四方に貼ったトンネルを抜けると、この広場に出ます。この広い空間も総シルバーメタルのフロアと吊り天井のある構造になっていて、まるでヴァーチャル空間に来たような印象でした。

 トレンドエリアは製品分野別に下記、3つのテーマに分かれています。このエリア向けに集積されたクリエイティブ/サステナブルな素材サンプルは342社2,776点。それらがテーマごとに設えの異なる未来感覚なスペースに展示され、なかなか壮観でした。

☆ MU+ リジェネレーション
 再生素材に焦点を当て、ミルキーカラーの洗練されたパレットを特徴としています。主なカテゴリーはニットウェア、刺繍、ランジェリーです。
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☆ MU+ デザイン
 夢見るような、グラフィック的で絵画的なスタイルを混淆し、カラーはパステルカラーが主調です。カテゴリーとして、クラシック、シャツ、プリントを提案しています。11_20240216200201
☆ MU+ インタラクティブ
 テクニカルとグラマラスな要素を組み合わせ、機能性とファッションとのバランスを追求、鮮やかな色彩がコアを形成しています。テクノ、グラム、シャイニーのカテゴリーで代表されるテーマです。12_20240216200601

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2024年2月 6日 (火)

25春夏MU ⑸ SMI経済分析 メイド・イン・イタリー動向

 ミラノ・ウニカ(MU)では毎シーズン、システマ・モーダ・イタリア(SMI)の経済調査部による経済分析概要が発表されます。
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 今シーズンのリリースによると、2023年、イタリアのメイド・イン・イタリーの繊維製品は、過去2年間と比較して成長が鈍化しましたが、それでもコロナ禍前の2019年の水準を上回っているとのことです。総売上高は77億ユーロ超で、前年比2.5%減少しましたが、2019年比では2.2%増加しました。貿易収支の黒字はメイド・イン・イタリー生産の好調さを裏付けるものですが、これは主に輸入の急減によるものです。輸出も2022年比2.7%減で44億ユーロだったといいます。
 主要輸出市場は依然として中国+香港ですが、2023年1~9月期の国別内訳を見ると、中国(3.2%減)はフランス(0.3%増)、ドイツ(0.1%増)に次ぐ第3位、香港(22.5%減)は16位に転落しています。輸入に関しては、EU域外からの輸入の割合が高く(68.0%)、そのうち51%以上を中国、トルコ、パキスタンからの生地が占めているとのことです。
 全体に不利な業績となったのは、海外市場での売上減少と、とりわけ国内市場での売上が減少したことにあるといいます。セグメント別の分析では、39.1%と大きなシェアを占めるウーステッド・ウールと、リネンは過去2年間と同様にプラスとなりましたが、逆にコットンとニット、それに絹織物は、外需と内需の両方から打撃を受け、マイナスで2023年を終えたとのことです。

 中国の景気減速やインフレ懸念で減速したイタリアのテキスタイル市場、2024年はどのように推移するのか、その動向を注意して見ていきたいと思います。

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2024年2月 5日 (月)

25春夏MU ⑷ MUカクテルJOB参加10周年記念イベント

 ミラノ・ウニカ(MU)で、見本市初日の終わりにカクテルパーティが催されました。その主役は、今年MU参加10周年記念のジャパンオブザ―バトリー(JOB)です。
 日本のテキスタイルのモノづくりを紹介するビデオが上映され、お祝いの鏡開きが行われました。
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 “獺祭”の酒樽が置かれた舞台に、日本の法被を着用したJOB関係者を始め、現MU会長のアレッサンドロ・バルベリス・カノニコ氏や前会長のエルコレ・ポッド・ポワーラ氏らが上って、もうお祭り気分です。ふたの合わせ目の端を木槌で叩いて、鏡を開きました。
 桝酒がふるまわれてパーティは最高潮。日本ムードが最高に盛り上がった瞬間でした。
 当地で人気の「おにぎり」のおもてなしもありました。 
 出展した日本企業を後押しする、ステキな演出に湧いたイベントでした。

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2024年2月 4日 (日)

25春夏MU ⑵ 開会式 『AI』テーマとJFW事務局長登壇と

 ミラノ・ウニカ (MU) 恒例の開会式が、初日の午前10時30分から行われました。今期のテーマは人工知能『AI』です。

Milano_unica_38_cerimonia00011  まずアレッサンドロ・バルベリス・カノニコ会長が「過去4年間、MU会長を務め、7回(パンデミックを挟んで8回)を担当し、高度に選択的なイベントにするという、自らに課した課題に立ち向かった。トレーサビリティ、教育、市場分析とプレミアム&ラグジュアリー市場の進化に取り組み、今回は人工知能『AI』という重要なテーマに挑んでいる」と挨拶。
 ここで氏は今期限りで会長を辞し、後任にシャツ生地で著名なカンクリーニ CEOのシモーネ・カンクリーニ氏に場を譲ると発表しました。突然の交代劇にちょっとビックリ!

 次いでマルコ・モンテマーニョ氏(4Books創設者)がAIアプリ情報を、オッタヴィオ・フォリアータ氏(StoryKube創設者兼CEO)がクリエイテイブなAIツールを、ニコラ・ガッティ氏(ミラノ工科大学准教授)がコンピューターサイエンスや人工知能研究を披露。急ピッチで広がる『AI』の活用を紹介しました。

Milano_unica_38_cerimonia00101  また今年で出展10周年を迎えたJOBから、特別ゲストとして古茂田 博氏(JFW事務局長)が登壇、日本を盛り上げるスピーチと日本の美意識を伝える美しいビデオが上映され、注目を集めました。

 さらにマウリッツィオ・フォルテ氏(イタリア貿易庁輸出促進部門マネージングディレクター)が、イタリア外務省によるMU支援の重要性を訴求。セルジオ・タンボリーニ氏(システマモーダイタリア会長)が、MUは世界の主要なプレーヤーとの出会いの場、イタリア繊維産業が直面する持続可能性や原材料調達、人工知能といったグローバルな課題に対して、産業の価値とその人的資本を保護する必要があると指摘すると、アドルフォ・ウルソ氏(イタリア企業担当大臣)が、産業システムや製造業の強化に触れ、政府系ファンドとして今後2年間で企業による投資を促進するために約200億ユーロ(日本円で3兆円強)を割り当てる予定があると公表。
 さすがイタリア、業界は手厚く守られているようです。

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2024年2月 3日 (土)

25春夏MU ⑴ 世界で最も厳選されたイベントとアピール

 25年春夏テキスタイルとアクセサリー向け国際テキスタイル見本市、第38回ミラノウニカ(MU)がロー・フィエラ ミラノ見本市会場で、1月30日~2月1日に開催されました。
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 出展社数はメンズウェアやウィメンズウェア、キッズウェアに特化したハイエンドのファブリックやアクセサリーを扱う企業508社(2023年2月開催比7%増)に、101の特別エリアを含めた合計609社と発表しています。この特別エリアには日本パビリオンのジャパンオブザーバトリー(JOB)に参加した37社も入っています。円安を追い風に、日本勢もコロナ禍前の水準に戻ってきました。
 来場者数は総数5,886社(11%増)で、イタリア企業が3,983社(4%増)、海外企業が1,903社(26%増)となり、海外バイヤーが大幅に増加しました。特に中国が驚異的な伸びを記録し、続いて日本(57%増)、韓国(15%増)。ヨーロッパでは、フランスが+75%、ポーランドが+30%、イギリスが+26%、ドイツが+15%。 北米からの参加者もカナダは48%増、アメリカは前回並みの151社で安定、全体に好調な動きだったといいます。私も今回はいつもより人の入りが良いと感じていました。

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 MUはこれにより、目標としているテキスタイルとアクセサリー業界における品質、創造性、持続可能性の面で、世界で最も厳選されたイベントの一つとして確認されたと強くアピール。次回が楽しみになる見本市でした。

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2024年2月 2日 (金)

ミラノの新興地区「ポルタ・ヌォーバ」を訪れて

 イタリアのテキスタイル見本市、ミラノウニカ(略してMU)を視察するため、ミラノを訪れました。
 その合間にブラリと歩いてみたのが、ガリバルディ駅正面に位置する新興地区「ポルタ・ヌォーバ(PORTA NUOVA)」です。ここは2015年に開催されたミラノ万博に向けて新開発された地区で、高層ビルが続々と建設されています。

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 その頃、コルソ・コモからの上り坂には、モスキーノやディスクエアードなど勢いのあるブランドの店舗が軒を連ねていました。ここはミラノの新ラグジュアリーストリートになるに違いないと、私自身、期待していましたが、今回はそうした店が姿を消し、テナントが空いていたり飲食店になっていたり。これも今どきの経済不安を反映しているのかしらと思いつつ---。
 中心のガエ・アウレンティ広場周辺はスポーツ、カジュアル系ブランドが入り、盛況の様子でした。ユニクロのミラノ2号店もこの春オープンの予定で、工事が進められていました。

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 この広場に続く広大な芝生の公園の向こうには、ミラノ最先端の建築物であるボスコ・ヴェルティカーレ(垂直の森)を眺められます。建築構造と緑が一体化している、都市緑化の象徴とされているビルです。2 棟の超高層ビルには、数千本と言われる樹木が植えられているとか。とはいえ真冬とあって、バルコニーの植物たちも少し寂しそうでした。

 それにしてもこの広場に立ち並ぶビルの何と近未来的なこと! まだ建築中でしたが、その革新的なデザイン、美的感覚に改めて目を見張った散策のひとときでした。

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2024年2月 1日 (木)

コットンプロモーション紙に「リカバリーウェア」寄稿

 コロナ禍を経て健康への関心が高まる中、注目されているのが疲労回復を謳う「リカバリーウェア」です。
 一般財団法人日本綿業振興会発行の機関紙「COTTON PROMOTION コットンプロモーション」(2024年冬 558号)の「マーケティング・アイ」に、「リカバリーウェア」をテーマにコラムを寄稿しました。本紙と併せてご覧下さい。(下記をクリックすると拡大します)

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