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2024年1月16日 (火)

エコロジー:循環を巡るダイアローグ1 新たな生 崔在銀展

 エルメス財団によるアートにおけるエコロジーの実践を問う企画展「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ1 新たな生 崔在銀(チェ・ジェウン)」が、東京・銀座の銀座メゾンエルメスフォーラムで開催中です。
 今、森美術館では開館20周年記念展「私たちのエコロジー」が開かれていますが、本展はその関連企画で、ダイアローグ1は、崔在銀の40年にわたる作家活動を振り返る個展形式の展覧会です。
 崔在銀は韓国・ソウル出身で環境や自然との対話を継続してきた作家の1人といいます。
 会場で私がもっとも目を奪われたのが、2023年新作《White Death(白い死)》の巨大なインスターションでした。積み上げられているたくさんの白い石のようなものは、よく見ると死んだ珊瑚で、その上に光るミラーの破片が散らばっているのが不気味さを強調していました。

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 制作のきっかけは、崔が沖縄を訪れた際に浜に打ち上げられていた大量の死珊瑚を目撃したことだったそう。沖縄の海域では、地球温暖化や水質汚染による生態系の破壊の結果、現在90%もの珊瑚礁が白化しているのだとか。白化したサンゴを救うためには、海水温の上昇を防ぐしかないのです。環境問題を改めて考えさせられる作品でした。
 なおこれらの死珊瑚は、沖縄県の許可を得て使用されており、展示が終了した後は元の海に還元される予定だそう。

 またもう一つ気になったのが、上と同じ2023年の「ある詩人のアトリエ」より《内面への光》です。
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Img_01131  「ある詩人のアトリエ」は、自然や生命に関して知ることを実践してきた崔自身の様子がうかがえるシリーズで、《内なる光》ではランプシェードに押し花のような植物が飾られています。

 また《私たちが初めて会ったとき》は、漆仕上げの木板に押し葉加工の植物を143枚並べた作品です。毎朝出会う道端の雑草や花から、絶滅危惧種まで名前が入っていて、まるで植物図鑑のようです。
 そこには私たちの日常に在りながら、名前も知らぬまま消えてゆく、崔の植物への温かな眼差しが感じられました。

 他にも世界7カ国に和紙を埋めたのち時を経て掘り起こした「World Underground Project(ワールド・アンダーグラウンド・プロジェクト)」や、朝鮮半島を南北に隔てる非武装地帯(DMZ)で自然が自己組織を通じて実現している生態系に想いを馳せ、森の復元を試みる「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト)」など、切迫した環境危機の様相に静かに迫る作品群がインスタレーションされています。

 人類は自然といかに共存していくか、その可能性を作家とともに探る展覧会でした。

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