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2024年1月25日 (木)

齊藤孝浩氏講演 「今、世界では何が起こっているのか?」

 先日、フルカイテン特別オンラインセミナーにファッション流通の在庫最適化コンサルタントとして著名なディマンドワークス代表 齊藤孝浩氏が登壇しました。
  「今、世界では何が起こっているのか?アパレルTOP10に見る店舗とECの未来図」と題して、Photo_20240122184101 グローバルトップ10企業の業績や動向を解説、これからのアパレルマーケットとの向き合い方のヒントを探る興味深い内容で、下記概要をまとめてみました。

 冒頭、2022年度世界アパレル専門店売上ランキング TOP10から、前年との売上比がダントツに高いのが「インディテックス」、また絶好調は「ルルレモン」、堅調は「ネクスト」、回復・好調とみられるのが「ファーストリテイリング」、「プライマーク」、「しまむら」、苦戦は「H&M」、「ギャップ」、「ヴィクトリアズシークレット」と指摘。
 トピック1は、店舗もECも伸ばす企業がある一方、店舗は回復したもののECが減少した企業があることです。氏は、売上を伸ばしている企業は店舗もECもグローバルに対応しており、越境してビジネスを拡大できるECという武器が好調・不振の明暗を分けたと分析。
小売業とECでは費用の掛けどころが異なり、小売業は家賃と人件費、ECは広告宣伝費と物流費と前置きした上で、トップ10企業のECの取り組みを次のように語られました。
 ECに取り組んでいないのが「プライマーク」です。低価格アパレルチェーンにとって宅配送料が割に合わないからです。オンラインサイトはあっても通販は行わず、商品紹介とどの店に行けば手に入るかの在庫情報の提供に徹しています。しまむらも同様で、ほとんどECをやらず、店頭受取です。
 とはいえ多くの企業がクリック&コレクト(BOPIS) などOMOを標準装備しています。これを徹底しているのが「インディテックス」で、世界全店舗とECの在庫一元化を完了しました。店舗のある94ヵ国から世界213か国に販売できる仕組みを整え、オンライン注文も店舗在庫を引き当て出荷可能、オンライン注文2時間で店舗での受取り可能で、このために店舗を大型化しているといいます。 
 独特なのが英国の「ネクスト」で、自社が構築したプラットフォームを使用して、他社の在庫も運送する取り組みを行っています。自社OMOを実現し、他社商品のECにおける運営を代行。自社商品および他社商品に対しては、クリック&コレクトのサービスを提供し、アマゾンハブカウンタ―とも提携して、高い営業利益率をあげています。

 トピック2は、販売期間の短いアパレルビジネスで、損益のカギを握るのは何か?です。
 従来のアパレルビジネスは需要予測に基づき見込み生産し、つくった商品を販売するために、安い人件費を求めて、産地は中国から東南アジアへと遠方になり、その結果リードタイムが長くなり、在庫リスクも拡大するというものでした。
 しかし「インディテックス」の「ザラ」は、これとは異なる需要連動生産を行っています。実需要を見てからつくり足す、つまり必要な分だけつくり、売れるものをつくり足すビジネスです。シーズン商品の3週分だけの商品を生産し、販売。毎週、顧客の反応に応じて改良商品を3週単位で追加生産し、むだな在庫をつくりません。プロパー消化率は85~88%といいます。
売上ランキング2位の「H&M」は売上高が伸びているものの、利益率減少に歯止めがかからず、営業利益は2015年でピークアウト、オンライン対応にも乗り遅れ、苦戦しています。
 こうした中、トップ3を追う急成長企業が台頭しています。その一つが「ルルレモン」です。カナダ本社、米国をマーケットに伸びているアクティブウェアブランドで、EC比率が高い。コミュニティストア型で店舗では無料ヨガ教室・ランニング教室を提供し、トレーナーやアンバサダーを中心にローカル・コミュニティを形成。オンラインでコンテンツを配信し、パンデミック下、顧客が自宅でエクササイズする巣ごもり需要が拡大し、TOP10ランキング入りしました。
 もう一つが「シーイン」です。非公開企業ながらクローバルトップ3の規模に急拡大中。世界の工場、中国からの越境ECで、「ザラ」よりも速く、「プライマーク」よりも安い。素材から製品まですべてが揃う産地、広州に拠点を置き、深?というアジアのシリコンバレーでオンラインの技術を駆使して、世界の消費者に売り込み、店舗を持たず産地から直送。短納、少量生産を実現しています。
 これまでのグローバルチェーンとは異なる業態で、今後アパレルのゲームチェンジャーとなるのではないか、と言及し、セミナーを結びました。

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