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2024年1月23日 (火)

2030に向けたファッションビジネスと人材に関する提言 ⑵

 「2030に向けたファッションビジネスと人材に関する提言」をテーマにしたシンポジウムで、基調講演に続くパネルディスカッションが実施されました。パネリストとしてエコテックジャパン(株)取締役会長 近藤 繁樹 氏、YUIMA NAKAZATO 代表・デザイナー 中里 唯馬 氏、学校法人上田学園 理事・上田安子服飾専門学校 校長 田島 等 氏が登壇。日本のアパレル産業が抱える人材育成などの課題について議論が交わされました。

Img_01651_20240120191001       シンポジウムの会場となった文化学園前の風景

 近藤 氏は、「世界中の工場数千社を回り、日本の700~800社を監査しました。2030年に向けて、人権や環境、持続可能性に関する規約や規定が標準装備になっていますが、日本では社内規定がなく、いくら『やっている』と言っても証拠はありません。整備が進んでいないのが実状です」と警鐘を鳴らしました。
 中里氏は、「2016年からオートクチュールという1点ものの世界でコレクションを発表しています。作る人と着る人の距離が近いので、クリエイティブな行為で着る人が喜んでくれることがデザイナーとしてシンプルにうれしいです。昨年、アフリカのケニアに行き、大量廃棄された古着の山を目にして、このままでは明らかに継続していかないことを痛感しました。人間の価値観が変化しているのに、前時代のそれが続いています。大量生産以外の在り方に目を向けるべきです。そのためには商品価値を高めていくことが重要で、新しいラグジュアリーの定義が求められています。そこには倫理に価値があると思っています。つまり一部の特権的な人ではない多くの人が享受できる新しい価値です。これを日本から発信する、このための人材が必要です」と。
 田島氏は、「国内は厳しい。私立大学の半数超で、昨春の入学者数が定員割れし、その3分の1が赤字です。それでも日本の教育レベルは高く、我が校では世界を相手にした人材育成を行っています。世界を視野に現状を変えることができれば未来は明るいのではないでしょうか」と話しました。

 締めの一言として。
 近藤氏は、「循環型社会は避けては通れない課題で、この問題に一番後れているのが日本です。SDGsをどう展開していくか、また3D CAD人材を育成していくことが大事」と指摘。
 中里氏は、「大量生産からの脱却が必要で、これを救うのがデジタル化です。企業が出資するなどして無料で学べる制度をつくることも重要」と提案。
 田島氏は、「企業が教育側に対して、もっと注文を付けて欲しい。人材への投資が少ない」と。

 最後に、質疑応答があり、中里氏が日本文化、とくに着物に内包されている哲学を次世代に継承していくことの重要性をコメントされたのが印象的でした。

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