« 寺山修司没後40年 ジャパン・アヴァンギャルドポスター展 | トップページ | 2030に向けたファッションビジネスと人材に関する提言 ⑵ »

2024年1月22日 (月)

2030に向けたファッションビジネスと人材に関する提言 ⑴

 ファッションビジネス学会は昨年11月18日、学校法人文化学園にて30周年記念全国大会を開きました。
Fb  テーマは競争力のあるファッションビジネス創出に向けた「バリューチェンジ~知の新機軸」です。第1部は口頭とポスター展示による53の研究発表で、第2部が「2030に向けたファッションビジネスと人材に関する提言」と題したシンポジウムでした。
 シンポジウムでは基調講演とパネル ディスカッションが行われ、ファッションビジネス学会専務理事 福永成明氏が司会進行を務めました。

 基調講演に登壇したのは法政大学大学院政策創造研究科教授 ファッションビジネス学会会長代行・2030提言策定委員長、岡本 義行 氏。策定中の2030年への提言を紹介し、日本のアパレル産業が抱える人材育成などの課題について語られました。

 まず、日本のアパレル業界の現状について。
 経産省データによると1990年に15兆円を超えていた国内アパレル市場規模は、2020年に8.6兆円に縮小しました。人口減少や古着流通形態、オンライン会議定着、実質所得の低下、生活様式の多様化や簡略化などが要因といいます。輸入浸透率も2021年98.2%に達し、国内製造は3%未満で、国内市場は輸入品に席巻されています。その原因は安価な賃金の海外生産へ移行したことにあると明言。それはコストが安くともリスクの大きい方向だったのです。
 日本の繊維産業概況を見ると、機械や生地は競争力があって成長していますが、衣料品は伸びていなくて横ばいです。「ユニクロ」を除けば、輸入は多いけれど輸出が極端に少なく、日本の製品輸出はフランス、イタリア、ドイツと比べ桁違いに低い状況です。
 そこで当面の課題は衣料品競争力をどう作っていくかです。このために日本の「強み」―― 生産技術や全国に広がる産地、関連機械産業の強さ、高水準の巨大消費市場、海外市場に向けた商社などのインフラの存在、ファッションと装いの伝統 ―― を確認して活かすことが重要といいます。

 次に、日本の衣料品産業はなぜ競争力に欠けるのか? について。そこには需要と供給の不均衡と、日本特有の産業構造があるといいます。日本のアパレルは、問屋としての特性が強く、リスク回避のために製造機能、すなわち工場を保有せず、代わりに製造を海外に委託しています。例えば「ザラ」などは本社に近いところで生産していますし、最近は「オンワード」も工場を持つようになりましたが、日本ではこれまでブランドのコアとなる生産技術を重視してきませんでした。この点を迅速に解決する必要があると語気を強めました。 

 さらに、消費市場からの情報を処理する体制づくりも課題と指摘。「ザラ」を例に、地域にリサーチャーを配置して、需要変化を素早く吸い上げ処理する体系を確立し、次の生産に活用している解説しました。手元にある工場で生産技術を蓄積し、デジタル化に基づく問題解決のためのPLM(商品ライフサイクルマネジメント = 製品の企画・生産・販売・廃棄までの一連の工程における情報を管理)を導入し、生産と企画の間の調整をいち早く行えるシステムが求められていると強調。

 最後に、モノより組織をデザインできる人材が必要とされていることなど、きめ細かい人材育成の重要性に言及して講演を結びました。

|

« 寺山修司没後40年 ジャパン・アヴァンギャルドポスター展 | トップページ | 2030に向けたファッションビジネスと人材に関する提言 ⑵ »

ファッションビジネス」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 寺山修司没後40年 ジャパン・アヴァンギャルドポスター展 | トップページ | 2030に向けたファッションビジネスと人材に関する提言 ⑵ »