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2024年1月20日 (土)

防災のためのファッション&グッズ ~防災グッズ大賞から~

 日本は自然災害が多い国ランキングで世界一です。マグニチュード6以上の地震の 約 2 割が、日本周辺で発生しています。このお正月には能登半島が震度7の地震に襲われ、激甚災害に指定される大災害となりました。
 災害大国日本だからこそ、私たち一人ひとりが基礎的な防災力を持つべきと、私が所属するユニバーサルファッション協会(UNIFA)では活動の一つとして、ユニバーサルファッションのフェーズフリーである「ユニバーサル フェーズフリー ウエア」をテーマに研究しています。ちなみにフェーズフリーとは災害時や平常時に関わらず、どの様な状況でも私たちの命や生活を守るデザインのことです。
 Photo_20240118105701
 先般、UNIFAが準会員となっている国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD) 主催・UNIFA共催により「防災のためのファッション&グッズ ~防災グッズ大賞から~」と題したセミナーを開催しました。講師にお迎えしたのは一般社団法人 災害防止研究所 代表理事 吉田 明生氏です。
Goods20231photo  災害防止研究所は災害防止の啓発・普及活動を通じて、安全安心な社会の実現に貢献している団体で、2019年に「防災グッズ大賞」を創設し、以来毎年、数多くの企業から応募を得て、防災グッズ大賞と各賞を選出するとともに、「防災グッズ大賞展」を開いています。(このブログ2023.10.24付け参照)
 本セミナーではこのイベントを基に、平常時からそのまま災害時にも安心・安全に用いることができるファッション&グッズはどうあるべきかが考察されました。 

 まず、「ファッションと防災」の観点から、優れた機能性と由緒がある衣服として次の2つの事例を解説。
 一つが「コックコート」です。Photo_20240118111101 フランス国立の料理学校では教育の最初に教えられるのが調理服で、ナポレオンジャケットから発展して来た衣服といいます。その特徴は調理時の事故を考慮したデザインです。燃えにくく、吸水性、速乾性に優れた素材を使用し、前身頃は二重仕立てで火や熱湯に強い。熱い鍋をつかめるように袖丈は指先まである長い丈で、布ボタンをほどけば、包帯にも使用できる仕様になっています。

 もう一つが「トレンチコート」です。その起源は第一次世界大戦のイギリス軍の、寒冷な欧州での戦いに対応する防水型の軍用コートで、「トレンチ(塹壕)」の称は、このコートが泥濘地での塹壕戦で耐候性を発揮したことによるといいます。平時のファッションとして用いられるようになってからも、軍服としての名残を多く残しているコートです。

 次に、「防災グッズ大賞」について、歴代の受賞企業と製品の中から繊維ファッション関連のものを取り上げ紹介しました。

大作商事(株)ネッククーラー、マジックール
 熱中症予防に効果的。水を含ませるだけで、抗菌・防臭性ビーズ配合の特殊ポリマーにより頸動脈を流れる血液を冷やし、冷感が20時間以上持続するといいます。

 無臭元工業(株)ニオイも安心の吸水パンツ
 アクティブシニア層向けに汗や尿の臭いの抑制に効果がある吸水パンツで、消臭機能が洗濯で回復するという、世界初の機能が注目されます。

(株)スギタ 全身反射ポンチョ
 捜索隊から発見されやすいように、素材全体に反射材のドットプリントが施されていて、夜間に極めて目立ちやすい仕様になっています。耐水度が通常の商品の100倍程度あり、かつ外気の寒さを20度近く遮断できる遮熱効果にも優れています。

(株)ワークマン プレミアム防水防寒コート
プロの職人の作業着を進化させた高機能、高品質、低価格のコートで、耐水圧は20,000mm、透湿度は40,000g/㎡/24hの最高レベルの基準をクリアしているといいます。

 (株)ウイード 耐切創性能に特化した手袋
 縫い目のない一体型成形の、操作性に優れた手袋で、切り傷に強く、世界一厳しい欧州の耐切創規格に適合している。温度が250度で15秒以内なら耐えられるといいます。

パナソニック・ライティング・デバイス(株)耐切創手袋(ストロングンテ)
 ダイヤに次いで硬いタングステン繊維を使用した、切り傷や擦れに強く、しなやかで手になじむ。ガーデニングやDIY、アウトドア、工作・カッター作業、災害時の備えにもおすすめの手袋といいます。

(株)Fine Track 撥水アンダーウエア
 登山の経験を生かして製品化された下着で、独自の「撥水」技術により、かいた汗は瞬時に肌から離れ、肌をドライにキープする。抗菌防臭性があり、汗冷えを抑えて身体を保護します。

  この他、いろいろ。

 氏は、昨今の防災非常用品の重要なポイントは、「日常の延長で備える」ことといいます。防災グッズ大賞の選定では、「防災グッズは、日々の生活の中で使われ、役に立つものでなければ、決して災害時に使われることがない」という観点から、「毎日、便利に楽しく使う」という視点で選出されているとのことでした。 

 最後に、防災の啓蒙・普及活動を取り上げ、危機管理を習慣化し、ライフスタイルとして定着するまで継続することが重要、と語って結ばれました。

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