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2023年12月

2023年12月31日 (日)

25年春夏ブロッサム・プルミエール・ヴィジョン開催報告

 25年春夏プルミエール・ヴィジョン・パリのプレコレクションを発表するブロッサム・プルミエール・ヴィジョンが、12月13、14日、開催され、この報告リリースが届きましたのでご紹介します。Blossomdec23787x5071
 ブロッサム・プルミエール・ヴィジョンは、ラグジュアリーやハイエンドのアパレルブランドのコレクションのための見本市です。パリ市内の会場、キャロ・デュ・タンプルには、出展企業 74 社と来場者 1,086 名が集結。新しいテキスタイルやレザー、服飾資材・部材など、出展社の数々の提案がなされ、より責任あるソーシングのためのワークショップへの高い出席率と来場者の質の高さが目立ったといいます。
 来場者のうち、75%がフランス国内からの来場で、フランス国外からは、イタリア、ベルギー、イギリス、ポーランド、ドイツ、日本、スペイン、オランダ、アメリカなどからの来場があったそう。
 厳選された、高品質でクリエイティブな提案を行った出展社の分野別内訳は、ファブリック 59社、レザー7 社、服飾資材・部材 7 社、サービス 1 社、国別では、フランス 18 社、イタリア48 社、日本 3 社、イギリス 1 社、ポルトガル 3 社、スペイン 1 社。
日本からは、広撚株式会社、瀧定名古屋株式会社(JA FABRIC)、スタイレム瀧定大阪株式会社(ZEN KIWAMI)が出展しました。
 
 本番のプルミエール・ヴィジョン・パリは来年2月6日~8日の開催です。私もまた現地に行く予定を立てており、今から楽しみにしているところです。

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2023年12月30日 (土)

25年春夏デニムPV 2023 年 11 月展結果報告

 25年春夏ものデニム・プルミエール・ヴィジョン(デニムPV)が、11月 22 日と23 日にミラノのスーパースタジオ・ピゥで開催され、その結果報告が届きました。Denimpvmilannov23ayg96311
 来場者が前年同期を15%上回る2322人となり、出展企業は15カ国・地域69社で、69%がデニムのファイバー/テキスタイルメーカー、7%がサービスやテクノロジー業者、4%が服飾資材・部材メーカー。参加国は、イタリア、スペイン、フランス、トルコ、モロッコ、日本、パキスタン、バングラデシュ、中国、ドイツ、香港、インド、モーリシャス、ウズベキスタン、台湾で、日本からは、クロキ(株)、クラボウ、(株)ジャパンブルーが出展しました。
 4つのカンファレンスや2025 年春夏トレンドセミナーも開かれ、デニムは、近年ラグジュアリー分野において、卓越した位置を占めており、カジュアルから洗練されたものまで、汎用性の高い素材として、広まり続けているといいます。
 現在大きな転換期にあるデニム産業は、模範的素材として、高品質で最先端かつエコレスポンシブルな製造へと向かう繊維業界全体の切望を反映させているとも。

 次回は来年6月5、6日に今回と同じイタリア・ミラノのスーパースタジオ・ピゥで、25~26年秋冬ものが、また12月4、5日に26年春夏もののデニムトレンドが紹介されるとのことです。

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2023年12月29日 (金)

「親密なからみ合い・フィンランドの現代ファッション」展 ⑵

  「親密なからみ合い・フィンランドの現代ファッション」展ではトークイベントも開かれました。登壇されたのは、キュレーターのアンナマリ・ヴァンスカ教授、ナタリア・サルマカリ博士研究員(共にアールト大学)、スサンナ・パーソネン教授(トゥルク大学)、アンナ=マリア・ウィルヤネン所長の4名です。Img_98871
 研究を始めたのは2019年で、その後コロナ禍となり、それまでの研究成果をまとめた書籍『INTIMACY』の出版に注力。デジタル化が進んだことで、これまで理解が十分ではなかったデジタルファッションが注目されるようになり、デジタルメディアやプラットフォームが日々の生活のインフラの一つとして重視されるようになったといいます。しかし良いことばかりではなく、ITデータの漏洩が多くなっていることを憂えているとか。とくに小規模ブランドほどこの問題が発生しやすいことなどを指摘していました。これを克服しないとサステナブルではありえないとも。
 また衣服製造は伝統的なやり方が主ですので、デジタル化といってもなかなか対応できない大問題があるといいます。最近ようやくデジタルファッションを学べる大学が少しずつ増えてきて、アールト大学では来年からデジタルファッション科が始動するとのことでした。

 最後にこの先、2050年に、ファッションはどうなっていると思うか、という質問があり、その答えが大変興味深かったので、ご紹介します。
― 量産はAIに任せ、人間の手作業の価値が高まり、オートクチュールを求める人の数が増える。
― ファッション業界はグローバル化する。かつて日本のヨージ・ヤマモトやレイ・カワクボが出てきた時のように。地球規模で資本や情報のやり取りが行われ多極化していく。
― これまでパリ中心だったファッションに逆の動きが現れてくる。プロではない人でもファッションの発信者になるだろう。これにより安価な労働力の問題も解決されるのではないか。
― 大量生産がなくなっていき、カスタマイズされて、その人が欲しいと思うものがつくられるようになる。ショップはギャラリーになり、そこで発注したものが届けられる仕組みになっていく。

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2023年12月28日 (木)

「親密なからみ合い・フィンランドの現代ファッション」展 ⑴

 東京・目黒区美術館で先月下旬からこの3日まで、フィンランドセンター主催の展覧会「親密なからみ合い・フィンランドの現代ファッション」が開催されました。
 本展は、ヘルシンキのデザインミュージアムで行われた「Intimacy」(21~22年)の一部を初めて日本で公開するもので、特に20年以降に制作された作品を中心に紹介しています。
 キュレーションを担当したのは、フィンランドのアールト大学のアンナマリ・バンスカ教授とナタリア・サルマカリ博士研究員です。          「Intimacy」展は、フィンランドの戦略研究評議会の依頼で、高度なテクノロジー化によるカルチャーへの影響を研究するため、アールト大学、トゥルク大学、タンペレ大学、オーボアカデミーという4つの大学からメディア、法律、デザイン関係の研究者たちが集まって開催されたといいます。そのモノグラフ(研究書・論文)として出版されたのが『Intimacy - Embodied knowledge, creative work and digitalization in contemporary Finnish fashion (現代のフィンランドファッションにおける身体化された知識、創造的な仕事、デジタル化) 』です。
Intimacy  本書は現代フィンランドのファッションと国際的なファッション研究についての本であり、アイデンティティを表現するツールとしてのファッション、ファッションデザイナー自身の身体経験が作品に与える意味、着用者の身体機能をデータ化するウェアラブル技術がファッションに与える貢献など、身体とファッションの親密な関係を多様な視点から考察しています。
 この研究の基になっているのは、2017年にマッティ・リーマタイネンさんが開発した組み立て可能なガーメント構築キット、「セルフアッセンブリー(Self-Assembly)」です。服はアルゴリズムによって生成されたパターンをレーザーカットで裁断し、手で組み立てることができる特殊な縫い目を使用して形づくられます。

Img_98501  上は、彼の作品で、コンピューターに服をデザイン・製造させる試みです。衣服のデザインを数学とコンピュータサイエンスに融合させ、人間の手を借りない衣服のデザインと製造の可能性を追求しています。

 ここではもうミシンを使用せずに、どんな機械や道具もなしで完全に組み立てることができます。組み立てには衣類製造のための事前のスキルや能力は必要ありません。すべての作業段階は同梱の組み立てマニュアルで説明されているといいます。部品は互いに簡単に取り外せて、製品を分解して再組み立てすることができ、新しい色の組み合わせで混ぜ合わせることもできるという、これまでの服の製造方法を一変させる、まさに革命的な手法!なのです。

Img_98561  上は、出版された本の表紙にも採用された、ボディビルディングの筋肉からインスパイアされたというマッスルスーツです。筋肉の解剖図をグラフィックのパターンで表現した「レーヴィ・イカヘイモ」の作品で、カシミアとウールのリサイクル糸で編んだもの。

Img_98651  衣服とぬいぐるみを融合させた、ユーモラスな「ヴェンラ・エロンサロ」の作品です。

Img_98621  フィンランドといえば忘れてはならない、マリメッコもありました。

Img_98671_20231231180101  さらに同大学を卒業して活躍しているファッションデザイナーたちの創作活動から生み出された約15点の洋服と映像がインスタレーションされていました。

 展覧会は2020年代のフィンランドの衣類やアクセサリーデザインに関する理解を更新し、着用する服と体との親密な関係を探求する画期的なものでした。デザイナーの仕事におけるデジタル化とデータ化の影響を強調し、ファッションの製造、流通、消費のメカニズムに着目するとともに、ファッションのジェンダーやセクシュアリティ、包括性の問題にも焦点が当てられていました。またほとんどのデザイナーがエコロジカルな観点から出発していて、再利用された素材やアップサイクルされた素材、ファブリックの無駄を最小限に抑えるゼロ・ウェイスト・デザインなどの手法を採用していたことも印象に残りました。
 フィンランドといえば人口520万人の小国です。それがこんなにもサステナブルなデジタルファッションを進化させていたとは!日本ももう負けてはいられませんね。

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2023年12月27日 (水)

「トモ コイズミ」個展 ファッションとアートの境界線超えて

 東京・天王洲のアートギャラリー「YUKIKOMIZUTANI」で開催中の「トモ コイズミ(Tomo Koizumi)」個展を見てきました。これは気鋭のファッションデザイナー・小泉智貴さん初のアート作品展です。
  2011年に自身のブランド「TOMO KOIZUMI」を立ち上げて以来、フリルを大胆にあしらった唯一無二のデザインはBjork(ビョーク)やSam Smith(サム・スミス)など、名だたるアーティストたちから絶大な支持を集め、数々のコラボレーションを実現させています。昨年の東京オリンピック開会式では国歌を斉唱した歌手MISIAの衣装を担当したことでも話題を呼びました。
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 本展では「ファッションとアートの境界線」をテーマに、展示会場をクローゼットに見立て、ギャラリーをフレームとして “流動的かつ可変的な空間”を作り上げたといいます。
 いずれの作品も1枚の布のような形状でありながら、立体作品のように展示されることで、躍動感に満ちた迫力ある表情を見せています。作品との距離や見る角度によっても受ける印象が変わります。インテリアとして様々な飾り方ができたり、時には身に纏ってみたり、どこまでも変幻自在に楽しめるのも魅力です。
 小泉さんは「常にアートとして考えるファッションを」という想いを抱いてドレスをつくり続けてきたといいます。ファッションとアートの境界線を超えて、自由気ままにその表現を拡張していく「トモ コイズミ」の新章に注目です。

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2023年12月26日 (火)

24春夏ファッション合同展 新ブランドに注目

   ファッションPR会社のピーチ(PEACH)が取り扱っているファッションブランド合同展が今月初め、PEACH PRESSROOMで開かれ、これまであまり見たことのない新ブランドに注目しました。
 そのいくつかをご紹介します。

ブランベール(blanvert)
  「大人コンフォート」がブランドコンセプト。 いつも自分らしい新しさを求める大人の女性のためのブランドといいます。Img_99491jpg
イキツケ(IKITSUKE)
  “IKITSUKE(イキツケ)”とは、粋な着付けという意味。大人の女性に向けてリラックスしたエレガントなスタイルを提案しているブランドです。ショップは東京・世田谷区内に3店舗展開しています。Img_99431pg

ガレージ オブ グッド クロージング(GARAGE OF GOOD CLOTHING)
 自分らしさを大切にする女性に向けた、新しい発見と共感を感じるブランドとか。Img_99461

ニーナ バッグ(NINA BAG)
 シンガポールを拠点に活動するバッグのブランドで、美味しそうな果物をイメージさせるビーズ刺繍のバッグが斬新です。世界各国から厳選された上質なビーズをインドの職人が一つ一つ丁寧にハンドメイドで仕上げているといいます。Img_99481_20231230200601

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2023年12月25日 (月)

2024春夏ファッション合同展 アップデートされた新作揃えて

 ファッションPR会社のプロスペールによる2024春夏ファッション合同展が12月初旬、プロスペールPRショールームにて開かれました。
 並んでいたのは色や素材、フォルムでアップデートされた新作や新ブランドです。

エフ(ykF)
 「エフ」は日常のエレガンスウェアブランドです。24春夏は「プロヴァンスの風~リゾート地での一日」をテーマに、定番色の白、黒に加え、ピンクからオレンジ色に染まる夕焼けをイメージしたサンセットビーチカラーを提案。
 Img_99531  素材は米沢織のからみ織ジャカードや肌触りの良いシルク、幾何柄レース、天女の羽衣と呼ばれるオーガンザなど、動くたびに風をはらんで余韻を残すシルエットがロマンを誘います。
 美しい夕暮れの情景に溶け込む映画のワンシーンを思わせるようなエレガントなコレクションでした。

アワーワコール(OUR WACOAL )
 (株)ワコールが今夏ローンチした新ブランドです。ワコールのEC「ワコールウェブストア」を主販路に、販売をスタートさせています。
 中心アイテムは、服と下着の境界を超える「カップインウェア」です。ワコール独自のカップを服に一体化することで、ボディラインを整え、一枚で、また組み合わせてもフレキシブルに自分らしい着こなしを楽しめるデザインです。

Img_99591  クリエイティブディレクターにはスタイリストの一ツ山佳子氏、デザイナーには「サカヨリ」を手がける坂寄順子氏を起用。ワコールの人体計測データや下着の開発技術にファッションのスペシャリストの知見が掛け合わさり、高い実用性とファッション性を兼ね備えたコレクションに仕上がっています。

サカヨリ クチュール(sakayori.couture)
 ファッションデザイナーの坂寄順子氏による「サカヨリ(sakayori.)」がデビュー20周年を迎え、コンセプトも新たにクチュールラインを始動させています。
 コンセプトは、プライベートなものづくりへの原点回帰とサステナブルなファッションを指針に、新しい価値の循環とアートを創造する喜びを大切にした、“今”の時代のファッションです。
 Img_99561  ロマンティックとハードな要素をブレンドさせた装飾的でアヴァンギャルドなテイストで、シンプルなのに普通じゃない、エレガントなのにエッジの効いたアイテムを展開。素材はアトリエに保管されていた残布やメーカーの倉庫に眠るデッドストックなど、廃棄されようとしている素材をピックアップし、唯一無二のアートピースに仕立てることを目指したといいます。
 サステナビリティとファッション性を融合した、素材中心のものづくりを提案するブランドです。

チョノ(CHONO)
  ファッションデザイナーの中園わたるさんが手掛けるブランドです。
Img_99501  スタートして10年目を迎え、ブランドが大切にしてきたことを再認識する原点回帰をテーマに、ブランドのアイコンでもある星のモチーフに願いを託して、「Wish upon a star (星に願いを)」を謳うコレクションを展開しています。
 右は、オパール加工の透ける地合いに星柄プリントを施した生地使いのドレスです。ツーピースに見えますがワンピースです。
 洗練されたノーブルな感覚で、日常を彩る特別な時間に着てみたいと思うようなステキなドレスでした。

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2023年12月24日 (日)

2024-25年秋冬ミラノウニカ 流行色2023 WINTER掲載

1_20231230112501  先般発行された「流行色 2023 WINTER No.615」に、今年7月に開催された「2024-25年秋冬ミラノウニカ」の柳原美紗子の記事が、掲載されました。

 その概要や発表されたトレンドテーマやカラー、素材の特徴などを4ページにわたり解説しています。ご参照ください。

 

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2023年12月23日 (土)

上智大学で「そのとき、あなたは、何を着てた?」展

 東京・四谷の上智大学で、今月8日まで開催されていた「そのとき、あなたは、何を着てた?」展は、性暴力を受けた被害者が着ていた服装を紹介する企画展でした。

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 性被害にあったのは露出の高い服を着ていたからでは---。被害に遭った「あなたが悪い」と思ったり、またそう思わわれたりしてしまうことがあります。実際には何を着ていたかは関係がないのに、本展にはそうしたいわれなき非難に立ち向かう意味が込められているといいます。

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 展示されていたのは、性被害経験者20人の服装を再現した古着の数々です。この9~11月、ウェブで被害について募集し、18歳~50歳代の35人から寄せられたものとか。当事者の同意を得て出展した服装には、一部編集した被害にあった出来事や思いも添えられていました。
 ひざ丈タイトスカートの黒っぽいスーツで盗撮の被害に遭った大学生や、紺のセーラー服で痴漢に襲われた高校生、6歳のとき丸襟の白いブラウス姿でレイプされたという女の子など、展示品の服とともにここでは書けないような赤裸々な体験談も綴られていました。
 着用していた服は皆、ごく普通の普段着です。それなのに多くの被害者が自身の責任を感じているようでした。性暴力は加害者が100%悪いのであって、被害者が責めを負う立場ではないのに---。「被害者があんな格好をしていたからだ。」という、そんな私たちの中にある思い込みは完全に改めるべき、と強く思いました。

 この取り組みの始まりは、米アーカンソー大の研究者らが2014年に開催したアート展だったといいます。米国の倫理学者、メリー・シマリングさんがレイプ被害にあったことを書いた詩「私が着ていたもの」から着想を得たもので、反響が広がり、米国内やベルギー、ベトナムなどで開かれてきて、日本で初めて開催されることになったそうです。
 古着の収集・展示に協力したのは都内でセレクトブティック「シスター(Sister)」を運営する長尾悠美さん。「被害にあった人たちは特別ではなく、身近にいると感じてもらいたかった。服と性被害は全く関係がありません。性被害の問題をぶれさせないよう訴えたい」の言葉が印象に残りました。
 性暴力やセクハラの被害者は声を上げることが困難です。でも「あなたは悪くない」のです。被害者への非難をなくしていかないと、世の中は変わりません。
 そんな重いメッセージを発信していた展覧会でした。改めて深刻な問題と、考えさせられました。

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2023年12月22日 (金)

SDGs Week EXPO 2023「第25回エコプロ」注目ブランド

 今年のSDGs Week EXPO 2023は12月6~8日、東京ビッグサイトで開催され、環境総合展の「第 25 回エコプロ」、持続可能な社会資本整備をテーマとする「社会インフラテック(第6回インフラ維持管理・老朽化対策総合展)」、脱炭素化に貢献するテクノロジーやソリューションを紹介する「第 3 回カーボンニュートラルテック」、そして激甚化する気象災害への適応を主テーマとする「第5回自然災害対策展」の4つの展示会が相互に連携しながら各種企画を展開し最新の情報発信が行われました。
 コロナ禍前の規模ではありませんでしたが、432社・団体/939小間が出展し、来場者約65,000人と盛況でした。
 今回、私が注目したブランドは下記です。

秋月草木染工所
 春の桜、秋の紅葉の名所として知られる福岡県朝倉市秋月にある染め工房「工房夢細工」が出展していました。工房周辺は豊かな自然と染めに適した水に恵まれていて、桜や屋久杉を始め、すべて自然の染料で昔ながらの伝承手法で布や革などに命ある草木の色を染めているといいます。Img_99331jpg
Img_99301  中でも「桜染め」の美しさにビックリ!ここでは桜の花が咲く前の蕾の付いた小枝を集めて、約40日炊いたり冷ましたり。さらに約90日かけて熟成させ、桜の花びらのピンク色を染めていくのだそうです。
 従来の桜染めは、桜で染めているかと言えばそうではなくて、紅花で赤く染めた布の上に白い布を重ねる“桜重ね”という手法や、茜で薄く染めたものを桜染と言っていたといいます。桜だけで染めた“桜色”ではなかったのですね。
 ほんのりオレンジ味がかった本物の“桜色”、私はすっかり虜になりました。

BRING Bottle Water | JEPLAN
 ジェプラン(JEPLAN)は、私も以前から知っていた日本環境設計(株)でした。
 あらゆるものを循環させる」をビジョンに掲げ、独自のPETケミカルリサイクル技術を用いたものづくりを行い、限りある資源の循環を実現し、CO2の排出量削減に寄与している企業です。
 Img_99071   ブースでは、服から服をつくる事業「BRING」「BRING Uniform」や、自治体や企業と連携したペットボトルの循環について展示していました。
 工場は北九州市エコタウンセンターにあるとのことで、見学に行きたいものです。

再生ナイロン「エコニール🄬」手袋
 「エコニール(ECONYL) 🄬 」は中古カーペットや漁業で使用された網などの廃棄物を回収・分解加工して作成した、ケミカルリサイクルの再生ナイロン素材です。このナイロン素材は、世界的な有名ファッションブランド、例えばプラダなどでも採用されています。

Img_99141  この「エコニール」を使用したエコ手袋が(株)ウィード(Weed)より新発売されたとのことです。ウィードでは使用済みとなったこの手袋を回収して、再び手袋を計画中とのことで、これも素晴らしい取り組みと思いました。

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2023年12月21日 (木)

エコプロアワード2023 環境大臣賞「シマデニム」が受賞

 日本経済新聞社主催「SDGs Week EXPO 2023」が12月6~8日、東京ビッグサイトで開催され、環境総合展「第 25 回エコプロ」の「第6回エコプロアワード2023」で、「シマデニム(SHIMA DENIM)」が環境大臣賞を受賞しました。
 シマデニム(SHIMA DENIM WORKS)は、沖縄県浦添市 港川外人住宅街にある店を拠点に、沖縄で生まれたさとうきびを、日本各地の確かな伝統技術のもと、デニム生地に加工し、沖縄県内の職人によって製品化しています。Img_99191  上はエコプロ展に出展したシマデニムのブースです。

 さとうきびは沖縄県の耕地面積の47%を占める基幹農作物です。しかし消費者の健康志向もあって、砂糖の需要減や収益性の低さで生産量が低下するなど、大きな課題を抱えています。製糖時には「バガス」と呼ばれる搾りかすが発生しますが、その殆どが有効活用されていませんでした。 
 2019年1月に、起業したシマデニムは、この未利用資源のバガスをアップサイクルする循環型経済を構築することに成功しました。搾汁後すぐのバガスを乾燥・粉砕し、マニラ麻と掛け合わせ和紙に加工します。その和紙を撚糸し、生地に織り上げます。製品寿命を迎えた製品や端切れは炭化をし、土壌改良材として畑に還元します。

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 また同時に地域創生を目指すプロジェクトを立ち上げました。バガスからできたエシカルな衣服や生活雑貨を展開し、既製品販売だけでなくシェアリングやオーダーメイドサービスも提供することにより、製品寿命を最長化。また、国内でサプライチェーンを構築し、トレーサビリティの確保と、物の移動における環境負荷の最小化に努め、LCA(温室効果ガス算出)にも取り組んでいるといいます。
 八木哲也環境副大臣は祝辞の中で「廃棄物削減だけでなく、沖縄のさとうきび農業のサスティナビリティに貢献する素晴らしい取り組みである」と述べられていました。

 環境面、社会面、経済面の総合的な観点から高い評価を獲得したシマデニム、今後の進展が注目されます。

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2023年12月20日 (水)

「J∞QUALITY 匠の技」展・ビジネスマッチング開催

 日本が世界に誇る品質の証明、「J∞QUALITY 」が11月27日と28日、ウィズ原宿にて、「J∞QUALITY 匠の技」展・ビジネスマッチングを開催しました。
 出展したのは、日本の繊維・縫製産地を代表するJクオリティー承認企業13社です。

 注目した職人の技や工場の特色をご紹介します。

(株)内田染工場 東京都/染工場
 東京都文京区で来年創業115年を迎える製品染めに特化した老舗の染工場です。職人技のむら染め、グラデーション染め、絞り染からウオッシュやヴィンテージ加工など、日本を代表するコレクションブランド等のハイレベルなリクエストに対応しているといいます。
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(株)サンテイ 岐阜県/縫製
 圧着無縫製(シームレス縫製)という最先端技術を持つ縫製メーカーです。これはシーム箇所を超音波溶着機と熱板溶着機でつなぎ合わせる技術です。縫い代ゼロにより、軽くフラットでありながら、ミシン縫製では表現できない、一枚の布でつくられたようなドレープを生み出せる画期的なもので、私も今後の展開に注目しています。
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(株)マルチョウ 東京都/カットソー縫製
 紳士カットソーでナンバーワンの技術力を持つメーカーです。近年、ファクトリーブランドを手がけるようになり、超一流百貨店からオファーがあり、ポップアップショップを展開しているとのこと。ピシっとした美しい仕立てに感動しました。Img_97951

岩手モリヤ(株) 岩手県/縫製
 婦人高級既製服を製造しています。生地試験、スポンジング、3DCAD、CAM、最新鋭縫製機器など完全内製化を実現し、仕様書にない作業でも着る人の身体に沿ったシルエットになるように、匠の技術を持った縫製工が工夫を凝らすといいます。Img_98031_20231228191401

丸和ニット(株) 和歌山県/丸編
 世界に同社しかないバランサーキュラー編機による生地は、ほつれにくく軽く布帛のような仕立て映えで欧州高級メゾンが高く評価しているといいます。和歌山からメイドインジャパンクオリティを世界に発信しているにニッターです。Img_97901

 他に(株)ナカノアパレル 東京都/カットソー縫製、伊東メリヤス工業(株)東京都/カットソー縫製、(株)ソトー 愛知県/染工所、東洋紡糸工業(株)大阪府/染色整理、カジレーネ(株)石川県/織布、(株)サンライン 青森県/縫製、中伝毛織(株)愛知県/織布、スタイレム瀧定大阪(株)大阪府/生地商社、瀧定名古屋(株)愛知県/生地商社、宇仁繊維(株)大阪府/生地商社。

 あんなところにも、こんなところにもある匠の技、日本の高度な技術力により生み出されたジャパンクオリティに改めて感銘させられました。

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2023年12月19日 (火)

JAFIC PLATFORM ビジネスマッチング2023

 日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)は11月28日、ウィズ原宿にて「JAFIC PLATFORM ビジネスマッチング2023」を開催しました。Img_97761
 JAFIC PLATFORM とはJAFIC会員企業とクリエーター(または企業)との交流を通じ、新たなファッション・ビジネスモデルを創出することを目的に構築されたプラットフォームです。アパレル企業とクリエイターとの出会いを通じて、日本のアパレル・ファッション産業全体の持続的な発展に寄与し、未来のクリエイターの発掘、育成にも貢献していくというもので、ファッションデザイナーやファッション雑貨、テキスタイル、デジタルソリューション企業など、28のブランドや企業が出展しました。

 今回とくに気になったブランドをご紹介します。

リコレクト rikolect
 デザイナーは山崎祐介さん。「記憶の手ざわり」をコンセプトに叙情的なデザインと上質な素材による、静かで心地よい服を提案しています。
 Img_97631jpg  自然のうつろい、感情のゆらぎなど目には見えないけれど確かにそこに存在する詩情のかけらのようなものを集め直し、デザインに落とし込んだコレクションです。日本国内の産地と連携し、オリジナル素材開発から手がけた服づくりや、クリーンでタイムレスなデザインを訴求しています。

イン プロセス トーキョー IN PROCESS TOKYO
 スティーブン・ホールと大原由梨佳さんのデザイナーデュオによるブランドで、オリジナルテキスタイルに定評があります。

Img_97731jpg  ヴィンテージ・ミリタリー・トラッドを再構築したレディスウェアを主に、自社ブランド以外にも業務委託で他社ブランドのデザイナーやユニフォームデザイン、柄提供などで活動中です。

ディーソファ DsoFa
 竹内淳子さんが手掛けるブランドです。「透明感のある空色」がメージカラーというように、爽やかでエレガントな服が並びます。
 Img_97681  今後はスポーツ系グローバルブランドとコラボしエレガンスを提案していきたいとのことです。

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2023年12月18日 (月)

ここのがっこうと栗野宏文氏 渋谷パルコ期間限定店出店

 ファッションスクール「ここのがっこう(coconogacco)」(山縣良和代表)とユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文氏による「ココクリ(cococuri)」が、先月下旬、渋谷パルコに期間限定店を出店しました。これは渋谷パルコ50周年記念イベントの一環で、現役の生徒のクリエイションを商品化して受注販売する初の取り組みといいます。
 長年、ここのがっこうの講評会や卒業展覧会、また実際の講義などに参加してきた栗野氏ですが、協業は初めてだそう。会場では、栗野氏が「エモーション」をテーマに選定した同スクールの可児真嗣、金子圭太、中村英、松田悠太、馬渕岳大、村尾拓美の生徒6人の作品が展示販売されました。また同コラボを記念したオリジナルTシャツやバッグも発売されました。

Img_97561  
 商品化には、デザイナーの堀内太郎や富永航など総勢10名がチューターとして特別参加し、また商品設計・製作には高級婦人服で定評のあるファッションしらいしが協力したとのことです。さすが、どれもトレンドを踏まえたしっかりとしたつくりに仕上がっていました。

 Img_97531jpg  上は、アドバンスドコース在籍の村尾拓美さんのワークです。2019年東京藝術大学工芸科修了後、IT企業に就職し3DCGデザイナーとして勤務しながら、ここのがっこうに通っているそう。ジャケットの3Dパターンに合わせ、レーザーカットで表現したグラフィックモチーフが秀逸でした。

Img_97471pg  上は、マテリアル&マターコース在籍中の馬渕岳大さんによるテーラードアイテムで、カラフルなテキスタイルが華やかです。手描きした柄をジャカード技術で表現したもので、ドローイングや刺繍した柄をベースに、テキスタイルから新しいファッションの可能性を探る作品を制作しているといいます。
 2022年に渋谷パルコで開催された、ポップアップ企画「自由な背広」でドローイング作品がキービジュアルに採用されたのも印象に残っています。日本の新しい才能の一人として注目です。

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2023年12月17日 (日)

「ベストジーニスト2023」菅田将暉さんと池田美優さん受賞

 日本ジーンズ協議会主催「ベストジーニスト」は1984年にスタートして今年で40回目を迎えました。一般選出部門、協議会選出部門、次世代部門の3つの部門があり、その時代に1番輝いている人を部門ごとに、毎年選出・表彰しています。
 先般、11月9日、「第40回ベストジーニスト2023」授賞式が恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンホールで開催されました。一般選出部門はSNS調査でランダムに選ばれた10代から50代までの1万人から“最もジーンズが似合う有名人”を投票してもらい、男女各1名を選出するというものです。選出されたのは、男性は俳優の菅田将暉さん、女性はタレントでモデルの池田美優さんの二人が2年連続で受賞しました。また協議会選出部門では俳優の松重豊さん、俳優でモデルの飯豊まりえさん、料理家で食育インストラクターの和田明日香さん受賞、協議会選出部門グローバル特別賞にはバスケットボール男子日本代表の富樫勇樹さん、次世代部門では歌舞伎俳優の市川染五郎さん、俳優の莉子さん、V Tuberの叶さんが選ばれました。Img_95811

 私が注目したのはやはり“みちょぱ”こと池田美優さんです。
 Img_95851pg 今回の授賞式では、タイのバンコクまで足を運び、特別に用意したデニムのビスチェとアシンメトリーなカーゴスカート、そしてデニムのブーツというオールデニムのスタイルで登場しました。それが何とも格好よくてステキでした。
 「2年続けて受賞できて、本当に嬉しいです。だからこそ、今日は力を入れてスタイリッシュな服装で臨んでみました。3年続けて選ばれると、殿堂入りすることになるそうで、それが次の目標ですね。ちなみに、今年はテレビの生放送で草彅剛さんに選んでもらい、約100万円もするデッドストックのデニムを手に入れることができました。まだ今日は早いと思って、そのデニムは着ていませんが、自分でも成長を感じつつ、いつかそのデニムを着てこのような素晴らしい場に立てることを楽しみにしています。」と、嬉しさや意欲を語りながら、驚きのエピソードも披露しました。

 菅田将暉さんは、手先が器用で自分で手縫いすると語られ、ちょっとビックリ!しました。「広告出演やラジオでの毎週のジーンズ着用、自ら生地を購入してジージャンを手縫いするなど、これまでの積み重ねがあってこそと、思っています。実際にジージャンを手作りした経験はありますが、ジーパンはまだ手がけていないので、今後挑戦してみたいです。縫う作業は結構楽しいもので、地味ながらも1度経験すると洋服がどのようにしてできるのか、その瞬間が実感できるんです。生地が繊維から形成され、急に服に変わる瞬間を目の当たりにすることで、ものづくりへのリスペクトが湧きます。自分で縫ったものはまだまだぎこちないものかもしれませんが、市販されている製品がどれだけ素晴らしいかを理解し、それに愛着が湧くんです。」と、自身のものづくりへの思いを吐露。すばらしいジーニストと感動しました。

 また協議会選出部門で選出された松重豊さんは、「バラエティ番組への出演がなく、また表舞台でジーンズを穿いている様子もないにもかかわらず、なぜ私が選ばれたのか疑問に思っていました。しかし、実際にはジーンズをはいて買い物をしているところを見られていたらしく、ある女優さんから『あの場所でジーンズを買っていましたよね』と質問されたことがありました。外出する際には、ジーンズの装いに気を配りたいと考えています。」と、テレビで見たのと同じ飄々とした雰囲気でコメントしていました。

 次世代部門で選ばれた市川染五郎さんは、歌舞伎俳優としてだけでなく、ファッションやビューティー業界でも注目の存在です。
 Img_95551pg 自身が普段から愛用している1970~80年代のデヴィッド・ボウイやマイケル・ジャクソン、沢田研二などのスタイルに着想を得たという、ナポレオンジャケットにフリルブラウス、フレアデニムといったコーディネートで登場し、貴公子然とした魅力を放っていました。
 「ジーンズは、着るほどに人の身体に馴染んで味わいが出てくるものだと考えています。同様に、私も自分の芸が徐々に馴染んでいくように、歌舞伎役者としての職業を追求していきたいと思っています。」の言葉も印象に残りました。

 さらに次世代部門で、叶さんというV Tuberが選出されたことも、今という時代らしい受賞でした。

 最後にもう一つ、協議会選出 特別貢献賞が、三越伊勢丹に贈られたことも付け加えておきます。デニムをはじめとした様々なファブリックの残反を使ったアップサイクルプロジェクト「ピースdeミライ」を実施し、ファッション業界が抱える社会課題に向き合うことに貢献したことが評価されました。

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2023年12月16日 (土)

ニット合同展 ジャパン・ベストニット・セレクション2023

 今年も11月8日と9日、東京都立産業貿易センターにてニット合同展「ジャパン・ベストニット・セレクション2023」が、「これからの服づくり」をテーマに開催されました。
 コロナ禍から立ち直りつつある今、国内ニット製造業における生産稼働状況は総じて堅調な推移を示しているといいます。しかしその一方で、原材料やエネルギーコスト、人件費等、ほぼ全ての経費が上昇し、多くの国内ニット製造企業は十分に価格転嫁できていない、厳しい経営環境に置かれているとのことです。
 こうした中、会場には横編みニット16社、カットソー3社、ソックス・テキスタイル素材13社にサポート企業として島精機が加わり、合計33社のブースが立ち並びました。各社各様にまだら模様ではあったものの、それなりににぎやかな商談風景が見られました。
 今回、とくに気になったのはカットソー関連でした。

安泰ニット(株)
 120年以上の歴史を持つ老舗メーカーで、国内トップクラスのアパレル生産拠点を持ち、日本製アパレル商品の提供に努めているといいます。IT技術や残反の再利用など環境配慮にも注力しているとのこと。
 Img_95961  ブースではアメリカンシーアイランドコットンのカットソー製品を打ち出していたのが印象的でした。

(株)ピーコンポ Pee-Compo
 東京・墨田区を拠点に活動するカットソーメーカーです。大人の女性に向けたエレガントで洗練された製品を展開しています。

Img_96011pg  今期はインドの最高級超長繊維綿「スビン」使いのものや、以前から力を入れているリンクス編みの製品を提案していました。リンクス編みは特殊な編み機による希少な編地です。同社はこのリンクス編みでランダムボーダーや水玉柄、格子柄等、様々な柄を発信しています。表情感があって、しかもシンプルなデザイン性をアピールしていました。

吉田染工(株)/貴志川工業(株)
 ともに和歌山県紀の川市を拠点とするニット企業です。
 Img_96061  今回は貴志川工業の特殊風合い加工 「綵AYAGINU」に注目しました。これはコットン生地が本来持っている柔らかな肌触りに特殊加工を施して、シルクやレーヨンの様なドレープ性としなやかさを併せ持たせた加工技術です。
 従来のコットンの風合いを超えた流動感としなやかな感触に魅せられました。

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2023年12月15日 (金)

皇居三の丸尚蔵館開館記念「皇室のみやび―受け継ぐ美」

 「皇居三の丸尚蔵館」が11月3日、新しいミュージアムとして皇居東御苑内にオープンしました。
  開館記念展として開催中の「皇室のみやび ― 受け継ぐ美」と特別展示「御即位5年・御成婚30年記念 令和の御代を迎えて ― 天皇皇后両陛下が歩まれた30年」展を鑑賞してきました。
 事前予約したのですが、着いたら行列で、中はかなり混んでいました。

 最初の展示室が「皇室のみやび ― 受け継ぐ美」です。 

Img_96181  以前見た若冲の動植綵絵があって、名画は何度見ても素晴らしかったです。

Img_96131jpg  教科書にもあった蒙古襲来絵詞も間近に拝見。鎌倉武士の活躍ぶりがリアルに描かれていて、色彩の美しさも印象に残りました。
 ここは国宝や蒔絵箱など国宝級揃いの展示で、すべて撮影可能というのもうれしかったです。

 Top_img_sp2 次の展示室が特別展示の「令和の御代を迎えて ― 天皇皇后両陛下が歩まれた30年」展です。
 こちらは撮影不可で残念でした。
 興味深かったのは、平成5年の「結婚の儀」で着用された装束です。皇太子の装束「黄丹の袍(おうにのほう)」の鮮やかなだいだい色や、雅子妃がお召しになった十二単の色目を目に焼き付けました。結婚の祝宴「宮中饗宴の儀」の衣装のひとつ、デザイナーの森英恵さんが手掛けた杏色のドレス「ローブ・モンタント」も展示されていました。
 陛下が幼い頃に親しまれていたバイオリンや皇后さま愛用のフルート、また陛下の天体反射望遠鏡まで、趣味の品々も…。

 見終わって、皇室のお宝はやはり別格の風格でした。
 
 なお、本展は「皇室のみやび―受け継ぐ美」が6月23日までの開催となっています。東御苑を散策する傍ら、立ち寄ってみてはいかがでしょう。

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2023年12月14日 (木)

JFW-JC24/PTJ24秋冬⑺ デニム シンプルとビジュアルと

  デニムは環境に配慮した、永遠の価値へ。装飾や仕上げ加工処理がよりシンプルになる一方、ビジュアル志向のインパクトの強い、大胆な3D効果のあるデザインも見られます。

ダックテキスタイル(株
 日本が誇るデニムの産地、広島県福山市と岡山県井原市を中心とする備中・備後地域の機屋と直結したものづくり体制を敷いている同社。東京・原宿にショールームがあります。
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 今季はウール混デニムや起毛デニムなど秋冬にぴったりなオリジナルデニム生地を展示。
 Img_94261 とくに注目したのが右の「ワラカットデニム」という糸を使わない原反刺繍です。洗い加工をすることで、カットした部分の柄が浮き出てくる、加工場独自のオリジナル加工とか。

有限会社 山政テキスタイル
 1916年創業の丹後の合繊服地メーカーです。丹後産地の特徴である強撚糸加工技術を駆使して、川下志向のオリジナル素材造りを目指しているといいます。
 Img_93351 今回は前回も好評だった京都の企画会社とコラボレーションし、他にないオリジナルの後加工商品を提案していました。
 右は、デニムに大胆な筆のタッチが印象的なプリント生地です。

倉敷染
 岡山県織物染色工業協同組合の各企業が一体となって、安全且つエコロジーで高品質な繊維製品を提供するために誕生したのが「倉敷染」です。現在の世界の潮流に対し、厳しい安全基準を設定して、組合として安全性を認定し、世界基準の安全をコミットした、安全でやさしいものづくりを行うと、同時に環境負荷低減も目指している、注目のブランドです。  
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 今シーズン、打ち出していたのは古来より使われてきた墨染めです。化学染料とは異なるムラ感やマットなグレイッシュカラーがヴィンテージな趣のある味わいを演出しています。

山陽染工(株)
 広島県福山市を拠点に、日々進化するテキスタイルの開発に力を入れている染色加工場です。
Img_93541  目新しかったのは「チンツー」(右)と呼ばれるフリクションカレンダー機による光沢加工や、ナノ顔料を用いた無水染色加工です。
 もちろん独自技術の「段落ち抜染」や、水や薬剤の使用量を最小限に抑えた「ビギー加工」なども。サステナブル素材をバリエーション豊かに展開しています。

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2023年12月13日 (水)

JFW-JC24/PTJ24秋冬 ⑹ テクスチャーへのこだわり

 ジャカードやプリント、エンブロイダリー、レースなど、モード感のある素材にはテクスチャーにこだわったクオリティが多く見られました。

宇仁繊維(株)
 国産テキスタイルにこだわり、国内協力工場との密な連携によるスピード加工や小ロット加工に対応、約4万点の在庫をストックしているといいます。
Img_93951jpg  「What’s Next」では、播州産地で生産した「先染めカットジャカード」(右)を出品し、トップ5には入りませんでしたが、人気を集めていました。毛足を長めに残したことで高級感のある仕上がりになっています。

有限会社クロスジャパン
  日本国内の各産地が培ってきた意匠性の高いクオリティをImg_92861 活かすために、テクスチャーにこだわった自社 オリジナル企画によるテキスタイルを毎シーズン、マス見本として作製して提案しているといいます。
 右は、綿混のカットジャカードで、どこか懐かしいビンテージ感を表現しています。

国島(株)
Img_93742jpg   同社は創業1850年、尾州で最も古い歴史を持つ毛織物メーカーで、その独自の加工技術は国内外で高く評価されています。
 天然らしいナチュラル感のあるカラミ素材(右)に注目しました。

落合レース(株)
 東京・日本橋を拠点に、1941年に創業、1957年に服飾用レース全般を取り扱う企画卸売り会社として設立され、日本のレース職人のモノ作り技術の素晴らしさを訴求しています。
 今シーズンは冬物らしい、ステッチを効かせた分厚いキルティング風のものに目が向きました。レースでは珍しいチャレンジングな風合いです。
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2023年12月12日 (火)

JFW-JC24/PTJ24秋冬⑸ アップデートされた先染チェック

 シャツからジャケットまで用途の幅広い先染チェックがアップデートされて登場しています。その活き活きとした新作を紹介します。

(株)カゲヤマ
 兵庫県西脇産地の繊維産元商社で、天然繊維の先染め生地(播州織)を中心に生産している同社。現在約300品番2,000色ものオリジナル生地をストックし、1反から購入可能といいます。
 今秋冬展では1980年代の古着や約20年前のアーカイブ生地にインスピレーションを得た新作を披露していました。とくにモザイクタイル柄ダブルガーゼ(左)や白黒マニッシュな千鳥格子やグレンチェック(右)が人気とのことです。
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 また「かこっとん(KACOTTON)」の生地も展示。このプロジェクトは「ワタで日本を元気にする」を目指して、播州加古川流域(兵庫県南西部)で2011年に始まった綿花栽培の取り組みです。Img_93191_20231222121401
 「かこっとん」を紡いで織り上げた織物の上品で洗練された感覚にちょっとびっくり!すばらしいと思いました。ソックスや草木染ストールなど、売れ行きも順調のようです。

浅記(株)
 新潟県見附市を拠点とする同社は、1869年創業以来、培ってきたノウハウを生かし、得意の先染め織物を感性豊かにアップデートしています。
 今シーズンは別々に染め上げた糸を撚り合わせたカラー杢を使用した深みのあるチェックやヘリンボン(左写真)、リサイクル原料の綿とポリエステルの混紡糸を使用した、嵩高で温かみのあるチェック、さらに「ワッツニュー」にも出品した、緯糸にリサイクルポリエステルのエコペット使いのよろけ織ツイルのオンブレ起毛加工(右写真)など、クリエイティブかつサステナブルなファブリックへの動きを強めていました。
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古山(株)
 静岡県浜松を拠点とする織物メーカーで、天然素材の後染め商品を在庫展開しているといいます。特に加工方法に力を入れており少量生産ならではの柔らかさやシワが特徴とか。
  ブースではインドから取り寄せた先染めコーデュロイの「バンガロールリッジ」(左)やインド南東部で作られる伝統的な先染めパッチワーク生地(右)を提案していました。
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2023年12月11日 (月)

JFW-JC24/PTJ24秋冬 ⑷ サステナブルなこだわりの無地

 サステナブルな天然繊維を中心に展開しているメーカーを中心に見て回りました。
  まずはシャツ地やアウター向け無地を紹介します。定番に見えて、決して平凡ではありません。そこには各社独自の品質へのこだわりが見られます。

古橋織布有限会社
Img_92791  高級綿織物の産地「遠州」で生地を織っている、創業95年の織布メーカーです。旧式のシャトル織機と天然素材にこだわっていて、平織りの高密度な生地を得意としています。
 今シーズンは、ヨコ梳毛ウールの杢糸で作った中肉のバフクロスがおすすめだそう。
 バフクロスとは、乗馬のときの馬布(バフ)が名前の由来であり、強い摩擦に耐えられる、軽いながらもとても強度のある生地です。
 上着やパンツ地に相応しい、独特な「カタ柔らかい」触感です。

太陽繊維(株)
 ドレスシャツ向けシャツ生地の販売を行っているという同社ですが、布帛生地のコットン100%やポリエステル混等の合繊素材や機能素材、ニット生地と幅広く、機能素材のクールマックスも取扱っているといいます。
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 とくに最高級綿のスーピマ綿からエジプトのギザ綿など、超シルキーコットンを打ち出していたのが印象的です。
 オーダーシャツ店向けに1着分でカットした着分生地も常時7000~8000着の在庫があり、別注生産や小ロット生産での半別注にも対応しているとのことです。

シーアイランドクラブ(株)
 「繊維の宝石」とも呼ばれる海島綿、「シーアイランドコットン」を中心とする超長綿に特化した繊維商社です。綿の栽培から関わり、高品質かつトレーサビリティとサステナビリティの確立された原料を糸にして販売しているのも他にない特徴です。

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 ここではオリジナル素材であるアメリカン・シーアイランドコットンとカリブの海島綿を使用し、国内の各産地で生産した生地を出品していました。繊細で上品なシワ感の美しいクレープ生地に魅せられました。

柴屋(株)
 布帛生地を中心にストック販売しているテキスタイルコンバーターで、お祭りのようににぎやかな楽しいブースです。
 綿や麻の天然繊維を中心に、企画・開発から生産、そして販売まであらゆるニーズに応えられるオリジナルテキスタイルを約1000品番取り揃えているとのこと。1m~のオーダーにも対応するそうです。

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 今期は、人気のヴィンテージ・フィニッシュ(Vintage Finish)に加えて、新たに開発したアンティークダイ(ANTIQUE DYED)が一押しとか。古着独特のユーズド感を再現する事にこだわり開発した素材で、独特なフェード感のある色合いが魅力です。

鈴木晒整理(株)
 遠州産地、静岡県浜松市にある染色整理の加工場です。季節柄、綿の起毛商品をメインに出品。中でも注目はリニューアルしたピーチ起毛加工です。
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 桃のうぶげのような起毛なのでピーチ起毛と呼ばれ、ワッシャー加工を施すことでさらに柔らかい風合いになっています。1980年代末のバブル期に大流行したことが思い出されました。

スタイルテックス(株)
 糸染スレン染料を中心とした高密度コートクロスを企画・販売する同社。今期も前回同様、撥水加工の実演を行い、シャンブレーコットンギャバジンを訴求していました。
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2023年12月10日 (日)

JFW-JC24/PTJ24秋冬 ⑶ サステナブルコーナー

 JFW テキスタイル事業では繊維産業が持続可能な社会と地球環境の実現に貢献していくため、サステナブル・プロジェクトを発信しています。今シーズンもサステナブルテキスタイルコーナーを開設して、啓発と促進に取り組んでいました。
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 サステナブルテキスタイルは大きく3つに分類されています。<サステナブル原料>、<サステナブル製造工程>、<サステナブル企業認証>で、その中に7つの詳細分類が設定されています。
 ここでは展示されていた一部、該当素材を抜粋して紹介します。

< サステナブル原料 >
☆オーガニック原料・生分解性のある天然繊維
・オーガニック製品は、農薬や化学肥料、化学物質を使わずに、太陽や水、土地などの自然の恵みだけの農業や、製法、加工を行い出来上がったものです
・生分解性のある天然繊維には、綿・麻・羊毛・絹などがあり、これらの天然繊維は大昔から人類が使用してきた繊維で環境に優しいものともいえます。

☆リサイクル原料 
 システムが構築されている、ペットボトルのリサイクルや、天然繊維のリサイクルであるリサイクルウール・リサイクルコットン・リサイクルリネンなど。
Img_93791  写真は様々なリサイクル原料による生地の展示です。

☆バイオ・ベース原料(自然由来原料)・環境負荷軽減原料
 化学繊維の中には、石油を原料とする「合成繊維」と、天然の木材などから精製されたレーヨン・テンセルなどの「再生繊維」があります。後者の再生繊維は、植物繊維からセルロースを人工的に取り出して、繊維として再生させたもので、バイオ・ベース繊維として環境に優しい環境負荷軽減繊維として注目されています。
 Img_93781pg  写真はバイオ・ベース原料による生地の展示です。

☆アニマルケアー原料
 毛皮、レザー、ダウン、羊毛と獣毛などを素材とした衣料は、基本的に動物たちの犠牲の上に成り立っています。近年、動物愛護団体が動物たちの惨状を伝え始め、サステナビリティの視点から、より動物と地球に優しいファッションのあり方が模索されています。たとえばウールは「ノン・ミュールシング」へ動いています。

<サステナブル製造工程>
☆最適化された染色・後加工プロセス
 世界の産業廃水汚染の20%が、ファッション産業により排出されていると言われています。繊維製品の製造プロセスの中でも、染色と後加工の工程の改善が求められています。
・環境に配慮した染色・後加工
・水と廃水の削減では、高圧窯の中で水を使わない無地染めの高度技術やインクジェットプリント、超臨界無水染色。
・「染めない」では、未加工綿花の色糸や原毛ウールをそのまま使用すること。
・「染めない+再生」では、古着や裁断くずを回収して、素材や色ごとに分別して反毛し、糸に生まれ変わらせる取り組み
・天然染料の進化では、環境負荷が少ない天然染料につきまとう工程の複雑さ、色ムラや褪色の問題が解決される方向に。加工工程の工夫や超音波補助剤などで安定化への研究、開発が進んでいます。

☆非有害化学物質
 繊維製品には、染色や柔軟、防縮、紡シワ、撥水などの目的で、様々な化学物質が使用され、このような物質の中には環境に悪影響を与える危険なものがあります。
 見えない汚染を止めるために、有害化学物質を使用しない取り組みが始まっています。

Img_93771  写真はサステナブル製造工程による生地の展示です。

<サステナブル企業認証>
 国際的な第三者認証機関の認証はサステナブルなビジネス展開が進んでいる海外とのテキスタイルビジネスにおいて大変重要で、 購入の指針にもなっています。

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2023年12月 9日 (土)

JFW-JC24/PTJ24秋冬 ⑵ トレンド「 未来につなぐ時間」

 出展各社のブースを回る前に、出展者の素材がシーズントレンドに基づき、編集展示されているトレンドコーナーを訪れます。
 24/25秋冬のトレンドテーマは「未来につなぐ時間」です。世界は急速に変化し、不確かなリスクが広がる中、日々進化する現実に向き合いながら、時代や価値観が変わっても、幸せな時間を大切にし、人生を支え合いたい。そんな意味を込めたテーマです。
 カラーは個人の思いや時の流れを表現する、味わい深い色合いが提案されています。

 このテーマを構成しているのが下記4つのストーリーです。

循環な時間 Circulatory Time
Img_94101  自然と向き合いながら心と身体の共生バランスを創造する。
 人の暮らしに自然が溶け合い人にも自然にも優しい温もりのカラーバリエーション。モダンなニューナチュラルカラーで表現されるストーリー。

メランコリックな時間 Melancholic Time
Img_94081  記憶を辿りながら現在を見る。独創的な感情が溢れます。
 タイムカプセルの中の不思議な時間。儚さと現実、自由な美学を創造的に個性的なカラーパレットをエレガントなカラーで表現するストーリー。

パワーアップの時間 Energizing Time
Img_94041  ステップアップしたパワーを弾ませます。
 ポップなアート、音楽、リズムやアート。リッチでエネルギッシュなカラーを大胆で情熱的に。遊び心溢れるカラフルなパレットで表現するストーリー。

なごみの時間 Harmonious Time
Img_93991  静寂な時間、なごむ一日。
 落ち着きを感じさせるリラックスカラーと人の心を優しく癒す暖かみのあるラグジュアリーカラーで表現されるストーリー。

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2023年12月 8日 (金)

JFW-JC24/PTJ24秋冬 ⑴「ワッツネクスト」目立つ意匠性

 一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)主催の繊維総合見本市「JFW JAPAN CREATION 2024(JFW-JC2024)」とテキスタイルビジネス商談会「Premium Textile Japan 2024 Autumn/Winter(PTJ2024秋冬)」が10月31日~11月1日、東京・有楽町の東京国際フォーラムにて開催されました。 
 JFW-JCは217社(うち海外8社)、PTJは71社(うち新規5社、復活6社、海外13社)の規模でした。入場者数は2日間で約11,000人と発表されています。海外バイヤーも増えて、新規顧客開拓に向けて攻めの姿勢で取り組む企業が多かったといいます。また将来の顧客と見込まれる学生の入場が、両日ともに解禁されたのも特徴でした。

 「次の売れ筋テキスタイル」を探る試み、「ワッツネクスト(What’s Next)」が前回に続き今回も開催されました。
 出品されたのは出展企業の生地約50点です。来場者がトレンド性、感性、技術、好みなど自由な観点で投票し、その結果、投票数の多かったのが下記です。選ばれたのはやはり意匠性の高いものでした。インパクトのある目立つ生地に目が向くようです。

第1位 サンコロナ小田(株)「Air Fabric Color-sputtering / エアファブリックカラースパッタリング」Polyesyer 100%
Img_93931jpg  水を一切使用しないカラースパッタリング加工(薄く金属膜をつける加工)を施した超極薄オーガンザです。
 光干渉による神秘的な色彩表現が興味深い素材です。

第2位 (有) クロスジャパン「ロービングBIGチェック」Wool 95%, Nylon 5%
Img_93901jpg  太番手のロービング糸を使用したチェック生地です。
 ここまでの太い糸をタテヨコに織り込んだ生地は珍しく、まさに希少、と思いました。

第3位 岡文織物株式会社(西陣織工業組合)「Paper Waffle」分類外繊維(紙) 50%, Silk 50%
Img_93831_20231220184901  京都・西陣の老舗帯屋さんの生地で、シルクモール糸と和紙糸をワッフル組織で構成したもの。
 白と黒のコントラストをつけたオプティカルなグラフィックがおもしろいです。

第4位 糸の音 <槙田商店>「メタルウェーブ」Polyester 79%, Cotton 20%, Polyurethane 1%
Img_93971  特殊な太番手モノフィラメント糸を使用し、光沢と凹凸が混在する生地の開発に成功したとコメントされています。
 ウエーブの表面感に注目です。

第5位 溝呂木(株)「柄合わせプリントエンブロイダリーAO生地」Polyester 100%
Photo071  ビンテージ感のあるジャカード風エンブロイダリーレースで、刺しゅうした後、空間にチェック生地風のプリントを施しているとのこと。
 レースデザインの可能性を感じます。

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2023年12月 7日 (木)

2024年の色「世界にハロー!世の中を明るく照らすブルー」

 一般社団法人 日本流行色協会(JAFCA)は、毎年12月に「来年の色 — メッセージカラ―」として、翌年を象徴する色1色を発表しています。
 このほど「2024年の色」が選定されました。それが「モデレート・ブルー」です。「世界にハロー!世の中を明るく照らすブルー」として選ばれたといいます。Image004
 22年のジョリーコーラル、23年のルミナスイエローと明るいビタミンカラーが続きましたが、24年は一転して落ち着いた寒色系です。
 モデレート・ブルーのマンセル値(色相・明度・彩度)は「3.6PB5.5/8.6」。明るく優しいブルーで、先行きを見定める冷静さを与え、未来を明るく前向きにしてくれる色です。
 選定理由にもあるように、ブルーは水に恵まれた地球の色であり、また、平和のイメージでもあると言われています。冷静さを与えるこのブルーで、地球環境問題や紛争問題を乗り越えていけるように、私も心より願っています。

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2023年12月 6日 (水)

「カラートレンドと社会環境の関係」 人気色と時代の流れ

 先般、一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)は創立70周年を迎えて、「『感性価値』が描く未来」をテーマに記念講演会を開催しました。
 AI(人工知能)を活用した感性価値の定量化の試みや生成AI時代の色彩表現など、デザイナーにとって大変興味深い講演でした。

 中でも私が着目したのが、文化学園大学教授 JAFCA理事 大関 徹氏の講演です。「カラートレンドと社会環境の関係」をテーマに語られました。
 氏はまず、JAFCAの色彩調査から1945年から2023年までの主な人気色と時代の流れを紹介しました。
 1960年代から70年代にかけては所有消費時代で、ビビッドカラーやパステルカラーといった清色が並びます。とはいえものすごく売れたわけではなく、服の場合「白・黒・紺・茶・鼠」が7~8割を占めています。1974年のオイルショック以降は節約時代で、注目色はブラウンやベージュ、オリーブなどアースカラーといわれる濁色になります。1980年代には白黒のモノトーンが大流行。それに追随するように、自動車や家電もまっ黒になったといいます。80年代後半は飽食の時代でバブル経済真っ盛りとあってハイテクカラーの清色が出ます。90年代、閉塞時代に入ると濁色のエコロジーカラーが登場し、世紀末へ向けてミニマルな清色のグローバル社会へつながっていきます。リーマンショックを経て濁色が復活、「白・黒・紺・茶・鼠」の定番色は、2014年頃「ノームコア(究極の普通)」という新しい言葉が付けられ、以後ナチュラルカラーやシンプルカラーとともに人気色として注目されています。
 主な人気色を時系列順にみると、GDP(国内総生産)と連動し、清色(澄んだ色)と濁色の人気が交互に繰り返されていることが分かったといいます。

Img_99351  現在はGDPが低迷している濁色の時代です。ファッションの街、原宿・竹下通りを行く若者たちの装いもそんな色ばかりが目立っています。 

 まとめますと、清色時代には白やパステルカラーといった爽やかな色、多色、高彩度の色が出現。人工素材や金属が登場し、積極性や技術、未来感が話題になります。
 濁色時代は不景気の時代です。着回しのきく低彩度、保守の普段色が中心になり、内省的で癒しや温もり感などが関心を集めます。好まれるイメージは安心、落ち着き、ウォーム、マイルド、ナチュラル、過去、文化です。
 またデパートでの売れ行きカラー調査も開示。1990-2002年のウィメンズのベストは、トップから黒、ベージュ、紺など、「白・黒・紺・茶・鼠」が75%。次がパステルカラーと赤のグループで20%、さらにビビッドカラーグループ、とくにオレンジと緑と紫が5%。
 2010-2016年では「白・黒・紺・茶・鼠」の割合は75%で変わっていませんが、紺がトップで黒、白と順番が少し変化。20%のグループでは赤系が落ち、代わってブルー系が上昇。5%のグループではビビッドでも紫が消えるなどの変化がみられたといいます。
 昨今、ブルー系やカーキなどのグリーン系が上がっているのは、エコロジーの影響とみられ、サステナブル/SDGsへつながっているといいます。当初、エコロジーカラーはベージュ系が多かったのですが、グリーン系へ変わっていったとも。

 次に本題の「カラートレンドと社会環境の関係」です。
 近年の生活意識変化を促す諸要素を列挙し、下記4つのグループに分類し、カラーインスピレーションの事例をプレゼンテーションしました。
①自然環境の変化 — 地球・大地、自然、エコフレンドリー
 水よりは空の色、青が多い。あまりビビッドでない、心地よい色。
②社会環境の変化 — 多様性、共有・共存、協調する
 「人」「文化」への関わり。ダイバーシティやジェンダーレス。性差を感じさせないグレイッシュなカラー。
③科学技術の変化 — デジタル、通信、VR/AR、メタバース、バイオ
 光の色と実素材のレイヤー、デジタルとアナログの融合色、境界のない感覚。
④物(対象物) の変化 — サステナビリティ、循環性、再生、アップサイクル
 リサイクルの最後の色はダークグレー。ブラウン系やダークな赤、混ざりものや素材感を伴う色。

 今はサステナビリティへの関心が非常に強い、と述べて結びました。
 たくさんの図表やイメージ画像を使っての解説は大変分かりやすく、さすが色彩の専門家、学びの多い講演でした。

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2023年12月 5日 (火)

24春夏ネスト「ワッカ」 今を生きる凛とした女性に向けて

 去る10月下旬、ネストクリエーションラボが主催する合同展「Nest Creation Labo Spring/Summer 2024」が代官山で開催されました。出展した4ブランドの中で、気になったのがデザイナーの太田みぎわさんが手がける「ワッカ(WaCCa)」です。
 「ワッカ」とは、アイヌ語で「聖水」のことだそう。無限の変化と力を象徴する神秘的で雄大な水をイメージしているといいます。北海道出身の太田みぎわさん、そのルーツを結び付け、旧約聖書からの引用も加えて、身近なアイヌ語と融合させたそう。
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 クリエーション活動では、人との縁や「Wa」のつながり・拡がり、時代の空気を共感しあえるような価値を大切にしていて、クライアントには吉永小百合や小池栄子、阿川佐和子、浜田敬子、徳永有美といった、知的な大人のセレブリティがいらっしゃるとのことです。
 24春夏は、ニュートラルでポジティブな感覚をテーマに、上品でたおやかなシルエットやディテールが特徴です。素材は麻やコットンなど天然素材が中心で、ポリエステルもウール調に織り上げた生地が使用されています。
 今を生きる凛とした女性に向けた洗練されたコレクションでした。

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東京ファッションクロッシング ヘラルボニーとコラボショー

 この11月初め、東京・丸の内仲通りで、にぎやかなファッションショーが催されました。これは東京都とファッション・アパレル関連団体等で構成する「ファッションフェスタ実行委員会」による初のファッションイベント「東京ファッションクロッシング(TOKYO FASHION CROSSING)」の一環として開かれたものでした。
 その目的は、街全体でファッションやアパレルを楽しむ気運を醸成し、産業を活性化することで、丸の内・銀座・渋谷の3エリアにて同時開催されました。

 その初日、私は丸の内を舞台にしたイベントに参加しました。
 スタートは、「WWDJAPAN」編集長の村上要氏と、フォトグラファーのシトウレイ氏によるトークセッションで、テーマは「ファッションショーの読み解き方」でした。実際のショーの動画を見せながら、「デザイナーやブランドは何を伝えようとしているのか、想像すると面白くなる」など、ショーを楽しむポイントを語っていました。

 この後、丸の内仲通りの街中での野外ショーとなりました。

  最初にオープニングセレモニーがあり、同イベントのアンバサダー、テリー伊藤、冨永愛、ゆりやんレトリィバァ、kemioの4人が登壇。「日本人は世界各地の文化を吸収し、独自に進化させる才能を持っています。またファッションセンスは世界一と言えます」(テリー伊藤)などとコメントしました。Img_94791
 次いでファッションショーです。ショーは「ダイバーシティ」をテーマに(株)ヘラルボニー (HERALBONY)とのコラボレーションで行われました。ヘラルボニーは岩手県盛岡市を拠点に、「異彩を、放て」をミッションに掲げる福祉実験カンパニーです。福祉施設に在籍する知的障害のある作家とアートライセンス契約を結び、福祉を起点に新しい文化創造を目指しているといいます。
 障害を持つ作家、郁美さんが装飾したランウェイを、プロのモデルに混ざって、人種や年齢、身体的特徴など多様な個性を持つモデルたちが、「シュタイン(STEIN)」、「タナカ(TANAKA)」、「フェティコ(FETICO)」、「ハルノブムラタ(HARUNOBUMUARATA)」の今秋冬コレクションを着用してウォーキングしました。

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 最近、ヘラルボニーの名前をあちらこちらで見聞きするようになりました。実際、知的障がい者のアート作品をビジネスとして提案する企業が増えています。
 障害は「個性」です。このようなショーが社会の価値観を少しずつ転換していくことでしょう。

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2023年12月 4日 (月)

くらしのデザイン展 2023 Good Design Good Over 50’s

 今年も10月末から11月初旬、ケアリングデザインが主催する第11回「くらしのデザイン展2023 」が池袋西武本店にて行われました。
 テーマは「Good Design Good Over 50’s」です。誰も体験したことがない人生100年時代を迎え、50代以上の世代に向けて、さらなる時間のギフトを受け取ったことを前向きにとらえて欲しいと、心地よい、活き活きとした暮らしを提案するデザインをセレクトし、展示紹介していました。

Img_94621g  上は、「五感の変化とデザイン」と題したコーナーです。

Img_94601jpg  年齢を重ねるとともに私たちの五感の機能は変化していきます。視覚、触覚、嗅覚、聴覚、味覚を満たしながらさりげなくケアする商品が提案されていました。
 右は、充電式オーダーメイド耳あな型補聴器です。ジパントス(株)のシグニアブランドの新製品で、Bluetoothが搭載されていてスマホ/TVとの連携も可能。一人一人の耳の形に合わせて制作されているので、目立たず快適に装用できるといいます。

 中でも注目したのが10月5日に発表されたグッドデザイン賞からのセレクションでした。気になったファッション関連の製品をピックします。

防虫機能付きアウトドア用衣料
Foxfire SCアルティメットフーディ(株)ティムコ
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 アース製薬と帝人フロンティアが共同開発したスコーロンという防虫素材が使用されています。屋外でのアクティブな使用環境に対応したフルジップフーディです。
 フーディとして、街中でも、またそのままアウトドアの森にも着ていけるシンプルなデザインです。ハイスペックのモノを多くのシーンに対応させていくというこれからの時代のモノの使い方、あり方が垣間見える製品です。動植物を撮影するプロのカメラマンが愛用する防虫着とのことで、蚊などの虫が媒介する病原菌や生じるトラブルを事前に回避できる高機能ウェアとして今後、人気を集めそうです。

胸を「つぶさない」バストフラットインナー
Nstyleハーフトップ/タンクトップ (株)エル・ローズ
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 「バストを小さく見せたい」の思いに応えた商品。心と身体のどちらにも心地よいデザインと着心地を実現しているといいます。
 細部の処理とバストが触れる部分にはオーガニックコットン天竺が使用されているなど、素材選定も適切。補正下着特有の締め付け感が少なく、長時間ストレスフリーで着用できる設計になっていると思いました。

睡眠の質を上げることで美しさへと変換する
寝具ブランド「ニューミン」(株)西川Img_94491jpg
 睡眠という新たな美容習慣とアイテムを提案。寝返りからくる肌と髪へのダメージを軽減し、自身の肌タイプに合った素材を選べるというのもいいですね。 
 とくに寝圧や摩擦の軽減度合をデータで示した「肌にやさしいまくら」「髪にやさしいまくら」が人気とのことです。データというエビデンスが重要と、改めて思いました。

Img_94551  また最後に、右のアシストスーツに着目しました。
 東京都豊島区高齢社会対策推進室では、高齢者の社会参加・就労支援施策の一つとして、パワーアシストスーツの活用を検討しているとのことです。
 クラボウの「着るアシストスーツCBW 」(このブログ2023.12.3付け参照)ではないのですが、このような腰の負担を軽減するウェアの取り組みが広がり始めています。
 非電動で誰でも一人で装着できるメリットは大きいです。

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2023年12月 3日 (日)

クラボウ ユニフォーム ウィーク「FEEL & MATCHING」

 クラボウ ユニフォーム ウィーク2023が10月31日~11月2日、東京美術倶楽部にて開催されました。
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 テーマは「FEEL & MATCHING」です。ここには素材だけでなく、課題解決型製品・サービスを提案し、共感していただき、新しいビジネスへとマッチングしていければ、という思いが込められているといいます。

 たとえばクラボウが日本シグマックスと共同開発した「着るアシストスーツCBW (CONDITIONING BRACE WEAR) 」は、腰に負担がかかる作業をするワーカーの職場環境問題を解決するウェアです。持ち上げ動作や長時間に及ぶ前傾姿勢での作業時の腰のサポートと動きやすさを両立させていて、ベストとサポーター、パンツの一体型なので装着も簡単。作業時以外でも着用できるスタイリッシュなデザインでもあり、従業員の安全衛生に対する企業の意識の高まりを背景に採用が増えているといいます。
 作業者の体調を管理するウエアラブルシステム「スマートフィット(Smartfit)」も、着用者一人ひとりに合わせた「しきい値」が設定される独自のアルゴリズムを搭載。熱中症など個別のリスクが一目でわかるとあって、導入する企業が増えているようです。
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 ますます重みを増すサステナブルでは「ループラス(L∞PLUS)」を提案。裁断くずを繊維に戻し、再び糸にして新たな付加価値商品を生むアップサイクルをユニフォーム向けにも展開しています。また工場内で発生する未利用繊維を再利用した「リルコット(RERU COTT)」もイチ押し素材として訴求していました。
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  機能素材として注目されるのが、綿100%後加工難燃「プロバン(PROBAN)」です。
 Img_92761 「プロバン」のライセンスは1982年から大和紡績が保有していましたが、加工先の大和川染工所が操業停止し、代わってクラボウもライセンス契約して加工を担うことになったとか。
 高い防炎性能と洗濯耐久性を持ち、鉄鋼業など火の粉が舞う作業現場での需要が伸びているといいます。
 さらにもう一つ、付け加えておきたいのが右の「バンジーコットン(BANGEE COTTON)」です。ゆっくり伸びてゆっくり縮む、人によりそうコットン100%のナチュラルストレッチ素材です。

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2023年12月 2日 (土)

大山紅葉ライトアップ

 11月下旬、神奈川県の紅葉の名所ナンバーワンと言われる大山阿夫利神社に行ってきました。ケーブルカーで、赤や青にライトアップされた木々の間を登ると阿夫利神社下社に到着です。
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 境内は夕闇に燃え立つ錦秋の世界でした。光に照らされて楓やイチョウが赤や黄に輝いています。その間から相模湾の夜景を一望し、江の島らしい小さな明かりが見えたことに感動しました。
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 この後、もっと心を動かされたのが大山寺の紅葉です。石灯籠が立ち並ぶ階段は、まさに紅葉のトンネル、何とも幻想的な光景でした。眼の前に伸びるもみじは、深紅色をしていて思わず息を飲むような美しさ!ご本尊の不動明王の神秘の炎が燃えているように思われました。
 どこか神聖な気持ちにさせられて山を降りました。

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2023年12月 1日 (金)

松島~蔵王御釜の旅 ⑶ エメラルドグリーンの御釜に感激!

 蔵王は山形蔵王スキー場に何回か行ったことがあり、有名なシンボルである樹氷も見たことがありました。今回の旅はもう一つの蔵王のシンボル、「御釜」です。

 秋保温泉に宿泊して、日本3名瀑の一つと言われる秋保大滝に立ち寄り新鮮な空気を満喫した後、宮城蔵王へ向かいました。エコーラインに続くハイラインの終点が刈田(かった)岳山頂レストハウスになっています。
 その裏手の悪路を登りきったところで、急に視界が開けて、あの御釜と呼ばれている火口湖が姿を現しました。何とも神秘的なエメラルドグリーンの絶景です。

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 聞くところによると、御釜が見える確率はたった3割しかないそうです。こんなにすっきりと見えるなんて、ほんとうに幸運でした。
 刈田岳は蔵王連峰で2番目に高い山(標高1758m)です。晴れていたとはいえ風が強く、暖かい上着が要る気温でした。山頂の刈田嶺神社 奥宮に祀られている蔵王権現にお参りして、山を下りました。玉こんにゃくが美味しかったです。

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