「印刷博物館」印刷の過去/現在/未来 学び体験する見学会
先般、(一財)日本ファッション協会うらら会主催による凸版印刷「印刷博物館」見学会に参加しました。
同博物館は東京都文京区水道トッパン小石川ビルにあり、印刷文化の伝承・発展への寄与を目的に、2000年に設立され、2020年10月にリニューアルされた企業博物館です。約7万点の印刷関連史資料を有し、年間平均3万人もの人々が訪れるそうです。
地下が博物館になっていて、学芸員の方が説明してくれました。
まず印刷の世界史から。ラスコー洞窟の壁画やロゼッタストーンなどのレプリカが展示されています。
印刷は紙、火薬、羅針盤とともに古代中国の4大発明の一つと言われています。石刻文や拓本、印章と言った類似の行為が行われるなど、活版印刷も仏教文化と重なって、中国では11世紀に始まっていたといいます。
15世紀、ヨーロッパではグーテンベルクが近代活版印刷術を生み出して、それが瞬く間に広まります。それ以前は書写でしたので、テキストが間違って伝わることも多かったのですが、以後は正しいテキストを残せるようになります。同時に複数の書物を安価につくれるようになって、コミュニケーションそのものが変化。人類の歴史が大きく変わったのがこの時だった、のですね。
現存する世界最古の木製手引き印刷機(レプリカ)
グーテンブルグの活版印刷による聖書
次に印刷の日本史です。
古代、中世、近世と様々な展示がある中で、おもしろかったのは企画展、「家康は活字人間だった!」です。
徳川家康は銅を集めて硬貨を発行する一方、駿河版銅活字をつくっていたのです。江戸時代初期の50年間は、活字で印刷できることは権力の象徴だったといいます。
また浮世絵が江戸時代のファッション雑誌だったことや、シーボルトが国外に持ち出そうとした日本地図などもあり、興味深かったです。
常設展をじっくり展覧した後、印刷工房「印刷の家」で活字印刷を初めて体験しました。
スタッフの方が丁寧に教えてくれて、しおりを完成させることができて、ラッキー! でした。
それにしても昔はこんなにも細かくて根気のいる作業をして、一枚一枚手で刷っていたのかと、感慨深かったです。
すべてがすばらしい見学会でした。
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