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2023年9月25日 (月)

「HENRI MATISSE The Path to Color : マティス展」

 東京都美術館で開催された「HENRI MATISSE The Path to Color : マティス展」、ちなみに「The Path to Color」 とは「色彩への道」の意味です。Photo_20231005112401 会期終盤の8月中旬、事前予約して見に行ってきました。 場内は混雑していましたが、予想していたほどではなかったです。
 私は何度もアンリ・マティスの作品を見ていますが、このようなまとまった構成の回顧展は初めてでした。
 出品されていたのは、パリ、ポンピドゥー・センターの名品約150点です。若き日の挑戦から晩年の大作まで、全8章で紹介されていました。(写真撮影が可能だったのは第4章の1920年代から第7章の切り紙絵までの一部作品のみで、ほぼ禁止でした。)

1_20231005111901  注目は、話題の《豪奢、静寂、逸楽》(1904年)で、日本初公開という初期の傑作です。
 右の写真がそれで、パンフレットからのものです。
 鮮やかな色と明るい光が“フォーヴィスムの夜明け”というのにふさわしい作品と、改めて思いました。
 
Img_70041jpg  上は、《赤いキュロットのオダリスク》(1921年)です。ニースに居を構えたマティスは、1910年代のキュービズム影響の濃い作品から小ぶりな肖像や室内情景、また風景画などを次々と制作していきます。この作品はお気に入りのフランス人モデルをイスラムの女性に扮装させ、アトリエを劇場のように飾り付けて描いた一枚とか。当時の異国趣味がありありと表れています。

Img_70171  上は、《夢》(1935年)。アシスタントからモデルとして、1954年より画家の死までマティスの傍にいたリディア・デレクトルスカヤを描いた作品の一つです。

Img_70471  上は、《マグノリアのある静物》(1941年)。花や貝を貼り付けたように描いた平面的な空間構成で、それらの事物はマグノリアの周りを浮遊しているように見えます。マティス自身が、「私のお気に入り」と語っていた作品といいます。
 Img_70521  上は、切り紙絵です。マティスは「色彩の魔術師」とも言われています。色彩を追求した結果、行き着いたのが切り紙絵で、マティス72歳頃のことだったといいます。「ハサミでデッサンすることで彫刻の直彫りを思い出す。---- 切り抜くことで、ペインティング、デッサン、彫刻を集約し、色彩と線描の造形要素を統一した」とのコメントが印象的でした。
 
 マティスの作風が次第に単純化して「切り絵」に至る過程を鑑賞し、もう最後の出口と思って足を踏み入れたのが、「ロザリオ礼拝堂」の映像コーナーでした。
 その大画面4K 映像は圧巻でした。ステンドグラスから溢れる色と光の交錯に、気分が明るくなった気がしました。次はぜひ、南仏ヴァンスまで足を伸ばし、訪れたいものです。

 今回のマティス展、最初は迷っていましたけれどやっぱり「行ってよかった!」展覧会でした。

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