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2023年8月

2023年8月31日 (木)

パリ ガリエラモード美術館「ファッションの色彩」展

 パリのガリエラ宮、ガリエラモード美術館の地下展示場では、そのカーブギャラリーで、「ファッションの色彩(Les Couleurs de la mode)」展が「ファッション・イン・モーション」展と併催されていました。
 これはオートクローム(自動着色写真)コレクションに捧げられた写真展です。オートクローム(自動着色写真)とは、1904年にフランスのルミエール兄弟が発明した写真技術で、異なる色調の粒子を用いて色を復元した特殊なカラー写真です。

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 ここでは通常、芸術・工芸博物館に保管されているという約100枚の未公開写真が展示されていました。被写体は20世紀初頭から1920年代のファッションやラグジュアリーなオブジェです。初期のカラー写真に独特の微妙なカラーパレットで、逆光だったこともあってステンドグラスの色彩を見ているかのよう。100年前のものとは思われないモダンな雰囲気に魅せられました。

 ガリエラモード美術館は地下がオープンしたことで、見どころの多い、すばらしい美術館に変身していました。パリは一見変わらないようですが、少しずつ変化しているのですね。

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2023年8月30日 (水)

パリ ガリエラ美術館「ファッション・イン・モーション」展

 7月初め、訪れたパリのガリエラモード美術館では、その地下展示場にて、スポーツとファッションの融合展「 ファッション・イン・モーション」が開催されていました。
 「1997 ファッション・ビッグバン」展を見終わった後、私は初めてガリエラ宮の地下に降りたのですが、そこには巨大な空間が広がっていて正直、ビックリしました。長い間工事が行われていたようです。

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 「ファッション・イン・モーション」展はタイトル通り、身体の動きに関連するテーマに焦点を当て、18世紀から現代までのファッションの歴史を辿るというものでした。
 来夏は2024パリオリンピックとパラリンピックが開催されます。本展はこれを受けて企画されたもので、ファッションが身体活動やスポーツの実践において果たす役割、身体と動きとの関係、その進化が社会に与える影響について問いかける、展示内容でした。
 各時代に見られた身体活動やスポーツ用の衣服を日常着と対比しながら、スポーツウェアの始まりが特殊なものであったこと、それが19世紀末に女性用の衣服が身体活動に適応するようになり、次いで女性服が男性化し、さらにスポーツウェアが日常の服装に導入されていく過程を探っていく、そんな構成となっていました。

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 左は1900年頃のサイクリスト(自転車に乗る女性)の装いです。
 右は1907年頃の水着です。当時は水着のデザインにセーラースタイルが流行っていたようです。

Img_46611_20230908213901  水着やサイクリング服、乗馬服、ドライブ用のコート、ジョギングのスーツ、スニーカーなど約200点の作品が、ファッション史を代表する3世紀にわたるコスチュームと対話する形で展示されていました。

 右は1991年のカールラガーフェルドによるシャネルの「シティ・サーファー」ルックです。

 本展は2025年9月まで3回、模様替えが行われるとのことです。現在の展示は来年3月15日までとなっています。さて次はどんなものが出品されるのか、興味深いですね。

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2023年8月29日 (火)

パリ ガリエラ美術館「1997 ファッション・ビッグバン」展

 7月初め、パリを訪れ、会期終了間近だったガリエラ宮ガリエラモード美術館「1997 ファッション・ビッグバン」展に行ってきました。本展はぜひ見たいと思っていた企画展でした。

 1997年は、現代のファッションにとって記念すべき年といいます。それは今日のキャットウォークやワードローブで見られるスタイルやトレンドの基礎を築き、パリを再びファッションの都にした、ファッション史の転換期といってもいい年だったのです。

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 本展ではこの年、最も革新的と呼ばれたクリエーションの数々、約50点が展示されていました。その主なものを紹介します。

Img_46061  上は、コムデギャルソンの1997年春夏「コブ ドレス」です。これにより身体の美の概念が変わったと言われています。

Img_46161  上の正面は、マルタン・マルジェラの1997年春夏の「ストックマン コレクション」です。ストックマンのパターン用トルソーを服に置き換えた実験的な作品です。

 また1997年は、衰退していたオートクチュール界が活気を取り戻した年でもあります。
 Img_45721  上は、この年の1月、「クリスチャン・ディオール」にアーティスティック ディレクターとして起用されたジョン・ガリアーノによる1997年春夏オートクチュールコレクションです。メゾン創立50周年を記念したコレクションでもあり、大きな注目を集めました。

 Img_45921jpg 同じく「ジバンシィ」もイギリス人のアレキサンダー・マックイーンによる初のオートクチュールを披露しました。
 右は、その時のマックイーンの作品で、ビョークが着用したことで知られるキモノドレスです。

 さらにジャンポール・ゴルチエやティエリー・ミュグレーといった1980年代のスターデザイナーが、オートクチュールに参入したのも1997年でしたし、ルイ・ヴィトンがマーク・ジェイコブスをプレタポルテ部門のアーティスティック・ディレクター就任を発表し、時代の寵児となったセレクトショップ「コレット」がオープンしたのもこの年でした。

 こんな風に「ヴォーグ・パリ」誌が、1997年を「ビッグバン」と表現した理由が分かるような展示内容になっていました。クリエイティビティの追求にファッション業界全体が盛り上がった、そのピークに達したのが1997年だったのですね。

 最後に思い出の写真展示があり、そこでショッキングな写真を見つけました。1997年はジャンニ・ヴェルサーチが殺害された年でもあったのです。同年7月のヴェルサーチの葬儀に何とあのダイアナ元妃が参列している写真がありました。ダイアナ元妃はこの後、8月31日に悲劇的な事故で亡くなられましたので、悲しみの連鎖が呼び起こされたような気がしたのを覚えています。

 20世紀末の熱量にあふれた時代を追体験した、ユニークな展覧会でした。

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2023年8月28日 (月)

ミラノウニカ24/25秋冬 ⑿ イノベーションエリア

 ミラノウニカでは今期もイノベーションエリアが開設され、革新的な高性能テキスタイル製品やテキスタイル材料に使用できる新技術が多数、提案されました。

 展示フォーラムで、面白いと思ったプロダクツを紹介します。

サイクリングジャージーシャツ (RANDO CYCLING JERSEY)
 これはイタリアの登山服ブランド、モンチュラ (MONTURA)による新しいサイクリングジャージーシャツです。メンズ版とウィメンズ版があり、メインの生地に革新的なQUICKDRY FRAMER 技術が採用されているとのことです。 Img_66251_20230821160801
 ストレッチジャージは軽量(145 g/sqm)でソフトなリサイクルナイロン製です。高い通気性とUVカット、クイックドライ性能を備え、汗を素早く体から遠ざけるとともに寒い環境下での快適性を保証するといいます。またあらゆる臭いを除去し、衣服を新鮮に保ち、洗濯する必要性を減らし、より長持ちするパフォーマンスを得ることができるとも。
 2022年に国際的なレッド・ドット・デザイン賞を受賞しています。

プロジェクト・アンタークティカ=南極大陸 (Project ANTARCTICA) 
 これはイタリアのディーエア・ラブ (D-Air Lab)が、極端な環境(-80°C)で働く科学者や研究者のために立ち上げたプロジェクトで、風と寒さから身体を効果的に保護することができる革新的な衣服といいます。 Img_66111
 アンダースーツは、皮膚とその温度を継続的に調整し、変化する状況に合わせて換気/蒸散を行い、アウターシェルは、肌触りの良いシルク糸と、常に体の換気を提供する硬い糸、発熱用の導電パスを作成するための銀糸との組み合わせでデザインされているとのこと。
 着用者が変化する状況に合わせて温度と換気/蒸散を継続的に調整する、この衣服、極地でなくともいつでもどこでも、うれしい機能になりそうです。

洗濯用バッグ
  合成繊維を洗浄することによって生じるマイクロプラスチック汚染が問題視されています。そこでこのエリアでも、この汚染を防ぐ技術が見られました。
Photo_20230821160901  この洗濯用バッグを使用すれば、プラスチック繊維はバッグ内部に閉じ込められ、水中への放出を防止し、周囲の環境を保護し、また洗浄中の繊維損失を大幅に減少させることで、衣料品を傷めることなく保存するといいます。
 バッグに使用されているのは、ミラノを本拠地とするサァティ(SAATI)が開発したファブリックです。フィルター機能と透過性、耐久性に優れたメッシュ生地とか。

 この他、廃棄物をアップサイクルした中綿や詰め物、多目的な油吸着グラフェン材料など、イタリア発の技術革新の凄さを目の当たりにしました。分かっていたつもりでも、改めて製品を見て、啓発されました。

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2023年8月27日 (日)

ミラノウニカ24/25秋冬 ⑾ JOB出展の有力繊維商社

 ジャパンパビリオン「The Japan Observatory」(JOB)では、日本の有力繊維商社が活躍しています。

宇仁繊維
 35,000 種類の日本産のオリジナルの生地を取り揃え、短サイクル、小ロットで提供している人気企業です。
 今回はリピーターか多く、トレンドエリアを見て来場する客が多いそう。売れ筋は、シャンブレーやジャカード、透け感生地など。
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サンウエル

 今回は2月展に比べメゾン系のバイヤーがやや減少。とはいえ極端な減り方ではないそう。Img_64951
 日本の職人技によるトレンド素材を豊富に揃え、自社ストックにより迅速に提供するのが強みで、別注の取引も増えているとのことです。

スタイレム瀧定大阪
 いつもよりは来場者が少ないものの、米国や英国からの来場が多く、来客の半数が新規客で、まずまずの入りだったとのこと。
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 GRS/RCS/GOTS/OCS/RWS 認証のサプライヤーで、オーガニックコットン、リサイクルナイロン、FSC アセテートなどを提案。毛足のあるファータイプへの関心も目立ったそう。一方でストックサービスも人気といいます。

瀧定名古屋
 集客に波はあったものの、総じてよかったとのことです。ピーク時に客を逃さないよう、次回はもっとブース面積を広くして臨みたい、といいます。 Img_64931
 「一本の糸から、一つの発想から、一枚のテキスタイルから『未来を織りなしていきます』」の言葉が印象的です。

双日ファッション
 常時1,600 種類以上のオリジナル商品と色展開20,000 色以上という豊富なラインナップで、バイヤーを惹き付けています。リサイクル合繊やデニム、先染めフラノ、裏毛ニットが人気とか。

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豊島
 サステナブル素材をはじめとする幅広いバリエーションの素材を展開しています。 Img_65361  
 とくに大きく打ち出しているのが「フードテキスタイル」で、廃棄された食品残渣から色素を抽出し、媒染剤を使用せずに色落ちしにくい染色方法で染めた生地です。トレーサビリティも明確で、バイヤーの関心を集めています。

フジサキテキスタイル
 Img_65621 客の入りは前回展比、3割減とか。リサイクルウールを打ち出すなど、サステナブルファブリックに力を入れたコレクションを展開していました。

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2023年8月26日 (土)

ミラノウニカ24/25秋冬 ⑽ JOB出展の有力産地企業

  ジャパンパビリオン「The Japan Observatory」(JOB)で、私が気になった日本の有力産地企業の商材を紹介します。

朝日染色 ソレヴァンテ1918
 足利から世界へ、産地を盛り上げているのが105年もの歴史あるプリントテキスタイルメーカーの朝日染色です。「本物のハンドプリント」及び最新のデジタルプリント、それぞれに各種加工技術を融合させ「進化したプリントテキスタイル」を開発しています。
 今回は予想よりも来客数が伸びなかったとのことで残念でしたが、和紙レザーにエンボス加工やフロッキー加工、シャドーチェックに抜染プリント、チュールレースに花柄プリント、それにニードルパンチを施すなど、唯一無二のデザイン力が光るコレクションを提案していました。

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 トレンドやインデックスコーナーでは同社生地に目を留めるバイヤーの姿が目に付きました。

東紀繊維
 紀州・和歌山にある自社工場では、100年以上の歴史を持つ稀少な「吊り編機」をはじめとした各種編機を保有している、日本有数のニッターです。Img_65231
 独自に開発した糸に特殊な編みや染色を組み合わせた裏毛が好評で、今シーズンも肌馴染みのよい”生きた”風合いの生地に注目が集まっていました。

尾州ウールコレクション
 一宮地場産業ファッションデザインセンター(FDC)では今期も、JOBに「尾州ウールコレクション」を出展。参加したのは尾州産地のテキスタイルメーカーである国島、遠山産業、みづほ興業、宮田毛織の4社です。

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 国島はハイエンドなウールスーツ生地、遠山産業も上質なメルトンなどの高品質テキスタイル、みづほ興業はウール素材をメインに特殊加工もの、宮田毛織は新作ハイゲージニットなどを提案、メイド・イン・ジャパンの毛織物の魅力を発信していました。
 FDCによると、来場者は減少したものの、欧米有名メゾン数社が来場し、一社あたりのサンプルリクエスト数は増加して、尾州ブランドの認知度向上の成果が見られたといいます。今後も継続出展するとのことで、来期が期待されます。

斎栄織物
Img_65181_20230820204501  福島県 川俣シルクの代表的メーカーです。凹凸感のある3Dシルクやオーガニックシルクが人気で、その美しさにうっとり!でした。

JOBプラス
 JOBプラスは欧州進出に興味はあっても、リアル出展には踏み切れない中小企業のための展示ブースです。サンプルオーダーはQRコードからできるような形になっています。
 今回はオールブルー、カゲヤマ、3rdパーティ、サイボー、中伝毛織、日本蚕毛染色、北高の7社がハンガーサンプルを出品していました。
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 新規はサイボー(上の写真)で、花や江戸小紋柄を刺繍したオールオーバーレースなど、他社が真似できないような、多彩な素材感の生地を揃えていたのが印象的です。
 ジェトロの担当者によれば、人気はデニムで、オールブルーの本格的ヴィンテージデニムや革新的なデザインデニムなど。またカゲヤマの短納期対応の先染めや、北高のプリント生地への関心が高いとのことでした。

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2023年8月25日 (金)

ミラノウニカ24/25秋冬 ⑼ JOBに高まる関心 初出展企業

 ミラノウニカ(MU)のジャパンパビリオン「The Japan Observatory」(JOB)は、今年10年目の節目の年を迎えるといいます。スタートしたのは2014年9月でした。ブースではこれを祝ってバイヤーに日本酒の獺祭が振舞われていました。

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 毎回注目のトレンド・インデックスコーナーのテーマは「未来につなぐ時間」です。今期も多くのバイヤーが日本素材を探しに行き交い、関心の高さを伺わせていました。
 出展したのは23 社・1 組合に加え、サンプル素材出品のみの「JOBplus」に 7 社で合計 30 社です。

 JOBに初出展した企業から、その取り組みを紹介します。

長谷虎紡績/ファーベスト (FIRBEST)
 ブース正面に遠赤外線保温材「KODENSHI(光電子)」素材を展示し、その機能をアピールしていました。

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 ファーベストは、長谷虎紡績のグループ会社です。「光電子」とは同社が開発した高機能中綿素材で、繊維の中にセラミック微粒子を練り込み、遠赤外線の効果で温かさをキープする素材です。2022年にはこの技術をさらに進化させた、環境配慮型の「光電子リンサレーション」を打ち出しました。
 今回のJOBでは、この「光電子リンサレーション」を機能と環境配慮を両立させた羽毛代替素材として発表し、バイヤーの関心を集めていました。
 一方の長谷虎紡績も、人工タンパク質繊維のスパイバーや改質ポリ乳酸繊維のバイオワークスのとのコラボレーション商品を出品、日本製サステナブル商材に手応えを感じていた様子でした。

柴屋 (SHIBAYA)
 プレミアムカジュアルに定評のある同社が、JOB初出展というので、ちょっと驚きました。予想以上にバイヤーの入りがよく、エコ素材など約 1,000 種類の生地を在庫するストック販売が好調といいます。

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 天日干し「サニードライ」のコットンやリネン、耐水・撥水性と通気性を両立したコットン 100%の超高密度織物、ナイロン特殊加工糸を使用した「MACLOWLY」のリップストップなど、環境や機能に対応した素材が好評とのことでした。

デビス (DEBS CORPORATION)
 これまでとは全く異なる糸や仕上げ技術を融合したモノ作りで知られるデビスが初出展。

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 中でも好評だったのが、「デビス スポーツコレクション」です。リサイクルポリエステルやキュプラ、アセテート使いで環境に配慮しながら、機能糸使いだけでなく、ストレッチ加工などニットに劣らない着心地を実現した、エレガントでスポーティなレンジです。無水染色プリント加工の「エアダイ」も人気で、ヴィンテージ調のナチュラルな風合いの高密度サテンや、後染めでメタリックなゴールドの光沢を演出した織物なども提案。美しいながらも機能的、豪華なコレクションで感動させられました。

興和 (KOWA)
 デニムやメンズに特化した客先が多いイタリアの顧客へ向けて、デニム販売の強化に加え、興和オリジナル素材の拡販を目的にJOBに初出展したといいます。

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 シルクと交織したラグジュアリーなネップ入りデニムや、超長綿使いの光沢感のあるデニム、またピーチ加工の超高密度織物、コットン/コーデュラナイロン混の塩縮加工など、独特なタッチのジャパンクオリティが高く評価されたとのことです。

V&A ジャパン (V&A JAPAN CORPORATION)
 バイオ由来の生分解ポリエステル「CRAFTEVO ReTE (クラフトエボ リーテ)」生地を提案。堆肥中にて、約 1 年で水と二酸化炭素だけに分解されるといいます。これまでの分解素材に比べ、耐熱性・耐久性があり、レギュラーポリエステルと比較しても遜色のない機能を保持していることが大きな特徴とも。

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 人気はデニムで、この原料を縫製糸、ボタンなどの付属品にも使用したアパレル製品を「TAVITALIUM」として紹介していました。

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2023年8月24日 (木)

ミラノウニカ24/25秋冬 ⑻ トレンドをメタバースで体験

 今回、ミラノウニカ(MU)は、PwCイタリアが開発した初のメタバース・プロジェクトを紹介、クリエイティブサステナビリティエリアに近接するスペースで、来場者にメタバースによる没入型体験を提供していました。

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 私もスタッフの案内でMUメタバースを体験しました。VRゴーグルをつけると、MUハブから24/25秋冬シーズンのクリエイティブなヒントを提供するMUコミュニティの3つのテーマへアクセスします。
 MUハブはクリエイティブサステナビリティ、トレーサビリティ、そして常に進化するイノベーションの価値を強調する旅の序章です。最初に飛び込んだのがナイトコミュニティで、輝くナイトライフからインスパイアを受けたアンダーグラウンドな美意識の世界。次にファミリーコミュニティで、親密でリラックスした感覚を呼び起こされます。最後が伝統に革新を取り入れたカルチャーコミュニティです ----とは言いながら、実際には何が何だか分からないうちに終わった感じでした。

 拡張現実の世界は仮想世界とはいえリアルに迫り、ちょっと怖かったです。でも不思議で面白い体験でした。

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2023年8月23日 (水)

ミラノウニカ24/25秋冬⑺トレンドテーマ MUコミュニティ

 全般に洗練されたエレガンスへの回帰が注目されるシーズンです。ファブリックはクラシックを基調にヴィンテージ風の要素や光沢、立体的な効果などを加えた、新たな表現が目立っています。

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 打ち出されたトレンドテーマは「MUコミュニティ」です。このテーマは、今季を象徴する力強いアイデンティティを持っています。背後にあるのはサステナビリティ(持続可能性)を踏まえて、人間性と周囲を大切にしようという意図です。共有や所属感、おもてなし、多様性、インクルーシブという概念を基に、個々人と人々の特性、感情、好奇心に焦点が当てられます。
 コミュニティは、人とのつながりの大切さを再認識できる場です。個々の人に所属意識を与え、自分と同じような他の人々、そして周りの地球との経験や情熱を共有したいという願いを育む、純粋で意味深い場所として存在しています。

 MUトレンドディレクターのステファノ・ファッダ氏が次のように語っていました。「市場の状況は厳しいです。戦争やインフレ、コロナ禍の影響で、一時期上向いていた雰囲気も沈静化してしまいました。社会や政治はこれらの課題を解決するために十分な対策を講じていないようで、同じ考え方や志向を持つコミュニティの中に身を置くことで安心感を得ることができるのではないかと思います」と。そして「コミュニティを構成するのは、MUがターゲットにしているハイエンドの富裕層」の言葉が印象的でした。

 「MUコミュニティ」では次の3つの特徴的なテーマが提案されています。それぞれ表層は異なるものの、所属感と同じ経験を共有したいという欲求によって結びついているコミュニティです。

ファミリー コミュニティ
 Eer06491 リラックスし、自己表現し、避難所を求めるような気持ちに寄り添う、安心感のある場所。
 カジュアルな美学と自然さ、そしてシンプルさが支配するこのテーマは、柔らかで包み込むような素材と、暖かく安心感のあるヴィンテージ調の色彩に特徴づけられています。

カルチャー コミュニティ
Eer06081  卓越した場所、自分自身のルーツの探求、歴史と伝統、そして革新への衝動、これらがこのテーマの基盤を形成しています。
 テキスタイルはクチュール感覚の高級感のあるもので、時にはエキセントリックなものもありますが、常に真のエレガンスを追求しています。アクセサリーはプレシャスに輝きます。白やアイボリーの色合いには、光るアクセントが取り入れられたりします。

ナイト コミュニティ
Eer05671  夜のコミュニティを迎える場所で、大都市のクラブで非日常的な体験を共有したいという願望に応えます。
 アンドロジナスで官能的なエレガンスを表現するために、希少なファブリックを選ぶことで、男性的な要素と女性的な要素が交わる瞬間を演出します。対照的な要素が混ざり合い、一体化します。ダブルカシミアと加工されたレザー、ジャージー生地と快適な高性能テキスタイルなど。カラーパレットは陰影のある色合いからコントラストのある明暗まで幅広く、トーン・オン・トーンからグレーシェードまでの色調で。

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2023年8月22日 (火)

ミラノウニカ24/25秋冬 ⑹ クリエイティブ サステナビリティ

 ミラノウニカ(MU)では、今回も前回同様、トレンドエリアを持続可能性(サステナビリティ)に特化した「クリエイティブ サステナビリティ」エリアとして展開しました。 
 但し前回と異なっていたのは、24/25秋冬トレンドエリアに展示されたすべてのトレンドテキスタイルがサステナブル(持続可能)なサンプルのみに限られていたことです。今回MUは、サステナビリティへの取り組みをトレンドエリアへの出品条件としました。
 またトレンドエリアの隣に、サステナブル素材に特化したインフォメーションエリアが設けられていたことも新しい驚きでした。ここでは誰もがサステナブルなサンプルに関する情報サービスを受けることができます。

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 さらにもう一つが、展示サンプルへのラベル付けです。バイヤーがサステナブルな素材をより簡単に見つけることができるように、一つ一つのサンプルに下記5つの柱、つまり持続可能性の価値領域に基づく柱となるラベルが付けられました。
 24/25秋冬シーズンの「クリエイティブ・サステナビリティ」エリアに展示された素材は、この5つの柱のうち、少なくとも1つを遵守して選ばれたものです。テキスタイルやアクセサリーの研究・生産に取り入れるべき新たな指針となっていました。

  8855 気候対策 : 気候変動とその地球と産業への影響と闘うための行動。

8853 化学物質の安全性 : 人の健康と環境に対する化学物質のリスクを低減するための行動。

8852 生物多様性の保護 : 生態系の保全と回復、動物愛護のための行動。

8854 循環経済 : 製品のリサイクル、再利用、耐久性、ライフサイクルの延長を促進するための行動。

8856 社会的正義 : サプライチェーン全体を通じて人権と労働権の尊重を確保するための行動。

 2018年、MUは「地球を救え」というスローガンのもと、持続可能性に関する最初のプロジェクトを立ち上げ、53の出展企業から250のサステナブルなサンプルを選出しました。しかしここで問われたのが、「クリエイティブはサステナブル(持続可能)か?」という重要な問題です。2021年春夏イベントの際に投げかけたこの質問に、圧倒的多数の参加者が「はい」と回答しました。これは、持続可能性(サステナビリティ)がクラシックで少しクリエイティブ性に欠けるという考え方と矛盾します。
 当初は特別な例としてのみ存在していたサステナブルなサンプルは、会期を重ねるごとに増加し、2023年2月展では166社から1,171の製品に達しました。これは環境保護に対するテキスタイルとアクセサリー産業の取り組みが、明らかに進化しているあらわれです。 
 今では循環的生産と持続可能性、社会的公正が、競争上、優位となり、サプライチェーン内の全ての関係者にとっての価値の源となり、さらには欧州の法律の指針ともなっています。

 MUのサステナブルなクリエイティビティプロジェクトは、新たな具体的なアプローチを取って、新しい一歩を踏み出しました。

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2023年8月21日 (月)

ミラノウニカ24/25秋冬 ⑸ イタリア繊維産業 経済調査から

  今期ミラノウニカで、コンフィンドゥストリア・モーダ(Confindustria Moda)のリサーチセンターから、イタリア繊維産業に関する経済調査の概要が発表されました。

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 その要点は次のようです。
2023年1月から3月の期間において、繊維の輸出は2桁の増加(+13.8%)を記録しましたが、2022年同期の増加率(+46.2%)には大きく及ばなかったといいます。
 というのもこの期間、輸出が、織物の生産と輸入の双方を相殺したからです。イスタット(Istat)の工業生産者物価指数によれば、織物は-19.8%、ニットは-11.5%減少しましたが、輸入も-21.4%減少しました。この輸入と輸出の短期的な相違トレンドの結果、産業の貿易収支は約5億1700万ユーロとなり、2022年同期の黒字に対して約2億2500万ユーロ増加しました。
 輸出のポジティブな動きは、すべての製品カテゴリーで見られ、牽引役となったのは紡毛および梳毛のウール生地(+37.9%)や純シルク生地(+19.5%)だったといいます。その最大の輸出市場はフランスとドイツで、それぞれ+13.7%および+13.5%増加しました。中国は、香港の急激な減少にもかかわらず、第3位の座をキープしています。

 2022年は、イタリア製のテキスタイル(ウール、綿、麻、絹、ニットなど)が非常に好意的な指標で始まりましたが、2023年になると光と影が見られるようになります。2023年の最初の3ヶ月間、輸出は好調でしたが、国内生産と輸入は減少しました。この停滞は、前年のコロナ禍による生産と国際貿易の停止に続いて起こった強力な回復、およびその後の地政学的および経済的な緊張が、商品価格の急騰とインフレを引き起こしたためとみられています。

 2022年の業界収支をみると、2022年、イタリア製のテキスタイルは前年比+29.6%の成長を記録しています。総売上は79億ユーロに上昇し、2021年に比べて絶対的な値で18億ユーロ増加したとのことで、2023年はコロナ禍前のレベルを超える増加が見込まれています。

 総じて好調なイタリア繊維産業です。MUもますます勢いづくことを期待しています。

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2023年8月20日 (日)

ミラノウニカ24/25秋冬 ⑷ チャリティ カクテルパーティ

 オープニングセレモニーの後、4年ぶりにカクテルパーティが催されました。これはチャリティイベントで、チャリティ パートナーはCESVI(イタリアの人道団体)です。
 ミラノウニカ(MU)は、長年にわたり、社会から疎外され、困難な状況に置かれている子供たち、10代の若者たち、若い女性たちの基本的権利を促進し、保護するためのプログラムである "Case del Sorriso (笑顔の家)"を支援してきたといいます。

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 ダ・ヴィットリオによる軽食をいただきながら、サックス、ギター、DJセットによるライブ音楽を楽しんだ私たち。チャリティと聞いて、改めてMUの活動に敬意を表します。

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2023年8月19日 (土)

ミラノウニカ24/25秋冬  ⑶ オープニングセレモニー  

 初日、恒例のオープニングセレモニーは時間をずらして、夕刻に行われました。その模様をご紹介します。

 アレッサンドロ・バルベリス・カノニコ会長は、「ミラノウニカ(MU)は、世界中のトップバイヤーが持続可能で価値のある製品を求めて選ぶ国際的なイベントとしての地位を維持することができました。参加企業数もパンデミック以前の水準に戻り、ハイエンドブランドやメイド・イン・イタリーのバイヤーを迎えて、需要の好循環を引き起こしています。エディションごとに、高級な女性向け商品の提供の拡大が見られることも注目に値します」と挨拶。

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 この後、ゲストのスピーチとなり、バン・アンド・カンパニー(Bain & Company)のシニアパートナー、クラウディア・ダルピツィオ氏が、プレミアムとラグジュアリーマーケットのパフォーマンスと、テキスタイルセクターの中期的に直面する課題を分析して、次のように語っています。「テキスタイル供給チェーンの安定傾向が、ブランドや小売業者がファブリックの需要を『正常化』させています。(2022年の強力な成長と注文の前倒しに比べ)。一方で、『新しいフォーマル』の確立と『よりエッセンシャル』なスタイルの探求が、伝統的で機能的なファブリックの需要に大きな影響を与えています。テキスタイルセクターのパフォーマンスは、中期的には実際の消費者市場の需要によって牽引されるでしょう。2023年後半には、一部のブランド/小売業者が在庫を最初に処分する必要があるため、ボリュームのわずかな減少が予想されます。2024年のパフォーマンスは、主にテキスタイルメーカーが行う価格決定に影響を受けるでしょう(エネルギーと原材料のコストの安定/削減に対抗するための可能性のある労働コストの増加が、インフレのマクロ経済シナリオに応じて相殺される可能性があります)。明日の「勝者」は、5つの主要な課題を最もよく管理するテキスタイルメーカーです。つまり顧客に対する総合的なサービスの提供、継続的なイノベーション、コロナ後の価格帯の維持、供給チェーンの維持、そして新しい才能を引き寄せて育成する能力です。イタリアのテキスタイル供給チェーンには、スキルと卓越性を活かしてプロセス全体で持続可能性を高める「国際的な」認証基準を作成するという大きな機会があります」と。

 またMU前会長のエルコレ・ボット・ポアーラ会長のサステナビリティにン関する発言も注目されました。「イタリアテキスタイル産業は循環経済に関して、テキスタイル廃棄物リサイクルの点で欧州の規制を先取りしました。しかし前途はまだ長く複雑です。持続可能な生産に関する規定は、まだEUレベルで定義されていません。したがって、他人の意思決定をただ受け入れるのではなく、自分から声を出す必要があります。持続可能な方法で生産することは、国際市場での存在感を増し、投資への魅力を高めるための戦略的なレバレッジとなる可能性があります」と、受け身にならずに自分たちで発信することの重要性を訴求しました。
 加えてシステマ・モーダ・イタリア(SMI = Sistema Moda Italia)のセルジオ・タンボリーニ氏も、「テキスタイル産業は、ラグジュアリー、プレミアム、そしてマスマーケットなど、あらゆる分野において、デジタル化と持続可能性という2つの重要な課題に取り組む必要があります。SMIでは、イノベーションを通じて、新しい生産と消費のモデルを進めることで、特に循環経済に重点を置いて、サプライチェーンが果たす重要な役割を強調できると確信しています」と同社の取り組みを説明しました。

 さらにイタリア貿易庁(ICE)のディレクターであるマウリツィオ・フォルテ氏は、今期の新しいレイアウトやグラフィック、増加した出展者の数について祝意を表し、業界の活力と成長の明確な兆候と述べて、MU支援をアピールしました。
 MUメタバースのデザインを開発したPwC Italyのパートナーの二人による、革新的な技術解説も興味深かったです。

 最後に、イタリアの企業とメイド・イン・イタリーの製造担当大臣であるアドルフォ・ウルソ氏によるビデオメッセージが紹介され、「メイド・イン・イタリーの卓越性の核心はノウハウであり、これこそイタリア企業にとって大きな競争上の優位性」と強調していたのが印象的でした
 MUゼネラルマネージャーであるマッシモ・モジエッロ氏が、「持続可能性と品質開発のコアな価値に焦点を当てた今会期、参加企業から総合的に高い満足度が得られ、国際的バイヤー数も増加しました。この8月28日から30日には"MU上海"を開催し、41の企業がイタリア貿易庁主催のイベントに参加する予定です。今後もイタリア外務省と協力して、業界発展に取り組んでいきます」と語って、締め括りました。

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2023年8月18日 (金)

ミラノウニカ24/25秋冬⑵ エレガンスへの回帰と持続可能性

 今会期を総括して、ミラノウニカは次のコメントを発表しています。

 「今回のメッセージはリニューアルです。出展企業の提案は、品質、バリエーション、そしてクリエイティビティの面でバランスよくまとまっています。新しいテーラリングのコードは大きなボリュームとリラックスしたシルエットが特徴で、これによってクラシックな要素が新しく解釈され、“スマート・サルトリアル”スタイルが生まれています。これは、エレガントながらもカジュアルな現代的な要求に応えるスタイルで、MU出展企業が生み出す生地に好影響を与えています。

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 最近のフォーマルウェアへの需要の増加は、世界中で増えているオーダーメイドの商品に注目が集まっていることを示しています。エレガンスへの回帰は、サステナブル(持続可能)な側面を強調しています。実際、持続可能性を重要視する企業のニーズに応えるため、トレンドエリアのクリエイティブ サステナビリティエリアでは持続可能なサンプルのみが展示されるようになりました。永続的な品質は、製品の耐久性や再利用を奨励し、消費者のトレンドにもマッチしています。つまり、少ない量を購入しつつも、より良いものを選ぶ消費スタイルが支持され、同時に環境への影響を減少させる方向へ進んでいます」と。

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2023年8月17日 (木)

ミラノウニカ24/25秋冬 ⑴ 外国からの来場者増に注目

 ミラノウニカ(略称 MU)の第37回目の展示会、2024/25秋冬テキスタイルとアクセサリー(服飾付属品)を紹介する国際イベントが、7月13日までの3日間、ミラノフィエラ・ロー見本市会場で開催され、成功裏に終了しました。Milano_unica_37_00021
 出展したのは総計562社で、内訳はイタリア企業403社、外国企業78社、特別エリア81社です。特別エリアには日本パビリオンの「ジャパン・オブザ―バトリー(JOB)」参加の30社が含まれています。
 来場者は企業数で4,701社を数え、2022年7月展に比べて+16%増加しました。その内、外国企業は1,583社(+26%)、イタリア企業は3,118社の(+11%)と発表されています。

 MU会長のアレッサンドロ・バルベリス・カノニコ氏は、「特に日本、中国、韓国からのバイヤーが増加し、アメリカも重要な確認がとれました。これはこれらの国々におけるイタリア製テキスタイルへの需要の高まりを示唆する動きです。プレミアムとラグジュアリー分野ではイタリア製テキスタイルは、2023年第1四半期に良好な結果を示しています。高品質な製品とエレガントなデザインが評価されていることを意味するものです」。続いて「中国の増加に加えて、フランスからのバイヤー数の大幅な伸びも注目に値します」とコメントし、イタリア製テキスタイル産業が成長し、国際的な需要が増加している、と強調しました。

 さらに最終的なデータによれば、外国企業の来場に関して、絶対数とパーセンテージの成長の両方で正の傾向が見られました。イタリア以外の国々の来場数と成長率を見てみましょう。

 まず来場企業数のランキングです。米国が165社で最も多く、前回に比べて2%増加しました。イギリスは122社で2割以上増加(+28%)し、フランスは117社で半数以上増加(+52%)。日本は100社でほぼ倍増(+94%)、スイスは110社で16%の増加です。ドイツは93社、スペインは87社で3分の1以上の増加(+34%)。韓国は65社で倍増(+100%)、オランダは48社で1/3以上増加(+33%)。中国からは97社、香港からは24社が来場しました。

 次に来場企業数に基づいて上位20か国をランキングすると、ヨーロッパ(イタリアを除く)が総来場数の60%以上を占め、米国が約15%、極東(オーストラリアを含む)が22%となっています。

 ヨーロッパや極東、それに米国からの来場増を示すデータは、この国際的イベントへの興味や今後の需要の増加を明確に反映しているといえそうです。

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2023年8月16日 (水)

PVパリ24/25秋冬 (38) PVアクセサリーの日本企業

 プルミエール・ヴィジョン(PV)アクセサリーに出展した日本企業から下記2社を紹介します。

落合レース(サクラレース) Sakura Lace
 東京・日本橋で創業70余年のレース専門商社です。2008年からPVアクセサリーに出展し、2019年に体制を新たに仕切り直して、「Sakura Lace」として再出発したといいます。ですから社名は日本向けには「落合レース」、海外向けには「Sakura Lace」なのです。
 今期は来場者が少なく、残念な様子でしたが、来期も継続出展の予定とか。 Img_36071  
 人気はアンティークなムードのロマンティックなレースで、繊細なチュールレースやトーションレースなど。

清原 Kiyohara
 4年ぶりの出展で、サステナビリティを意識したディスプレーが行われていました。何といっても目を引いたのが内装の「パネコ」です。パネコは廃棄衣類繊維をアップサイクルした循環型繊維リサイクルボードで、ブースをミニマルでモダンな雰囲気に見せていました。

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 ボタンやパーツ類には環境負荷のない素材使いを訴求。金属ボタンにはリサイクル認証を取得した金属を使用し、バイヤーから好反応が得られたといいます。
 服飾付属品も環境に配慮していることを示す認証がキーポイントになってきます。このことを改めて印象付けられたブース展示でした。

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2023年8月15日 (火)

PVパリ24/25秋冬 (37) PVアクセサリーのトレンド

 “アクセサリー”というと、日本では“装身具”と思われがちですが、広く“付属品”のことで、一般には “服飾付属品”を指しています。服全体の印象を左右もするし、服の機能を完成させるためにも必要なパーツです。
 プルミエール・ヴィジョン(PV)アクセサリーには、今期も世界中から188社が出展し、日本からも4社が出ていました。落合レース(サクラレース)、清原、島田商事、SHINDOです。

 PVアクセサリー全般のトレンドも発表されました。これによると24/25年秋冬は、リッチ(贅沢なムード)とナチュラルネス(自然なムード)、ヒート(熱さ)とクール(冷たさ)の対照的なイメージが行きかうシーズンです。

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 リッチ(贅沢なムード) : アクセサリーに新しい贅沢なムードと高級感をもたらしているのが、ミニマルなシルエットへのシフトです。ここでは洗練されたディテールを持つシンプルで完璧な要素を持つアクセサリーがデザインされています。深みのある黒にはメタリックな光沢が加えられ、スタッズが高級感を演出し、夕暮れや幻想的な森を連想させて、神秘性を醸し出します。

 ナチュラルネス(自然なムード) : シンプルさを求める流れで、生の自然な美意識を具現化するアクセサリーが展開されます。カラーはオフホワイトが中心です。樹木、木の根、樹皮の表面感や キノコなどの菌類が作り出すネットワークがイメージされています。

 ヒート(熱さ) : シーズン全体のテーマである「ソーラービジョン」がアクセサリーに天空の星の熱を注入しているかのようなテーマです。鮮やかなオレンジ色が現代的で都会的なスピリットをもたらし、暖かみのあるアーストーンがラグジュアリーなアウトドアスピリットを象徴します。あたかも時空を超えて宇宙を旅したかのような、原始的な輝きを備えたアクセサリーが見られたりします。

 クール(冷たさ) : 冷たい色合いでも太陽光線の影響で暖かみを帯びます。アクセサリーはモノクロ調で、氷河のようなブルーから深いパープルまでのクールなソーラートーンが特徴。霜や結晶が卓越したクラフトマンシップで表現されます。

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2023年8月14日 (月)

PVパリ24/25秋冬(36) 日本企業 ニット&レース&プリント

<ニット>
エイ ガールズ A Girls
Img_36991  今シーズンは「アプリシティ(Apricity)」がテーマです。「太陽の温もり」を意味する言葉で、降り積もった雪に陽光が射し込み光っている様子をイメージして企画した新作、ちらちら光るラメ入りフリースやバルキーなニットが人気を集めたといいます。

ミナミ Minami
Img_36691  もやもやとした表面変化のあるものや、しっかりした裏毛パイルが好評。



森下メリヤス工場 Morishita
Img_36811  生分解性のあるPLAフリースを提案。有力メゾン系のバイヤーに受けているといいます。

 

カネマサ莫大小 Kanemasa Knitting
Img_36841pg  日本におけるハイゲージニットのリーディングカンパニーです。高級細番手綿糸使いのコットン100%シャツ生地コレクションはまさに圧巻! 布帛並みの緻密でコンパクトな質感に圧倒されます。

ヤギ Yagi & Co.
Img_37131  SDGsに早くから取り組み、リサイクル素材はもう出尽くしたとか。今季はこれまでより少し表情に変化のあるクオリティ、ウールの目の詰まった裏パイルやテリークロスなどへの関心がみられるといいます。

<レース>
リリーレース Lily Lace
 レースもサステナブルを意識させるものが提案されています。
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 左は、梅染めのオーガニックコットン チュールです。
 また右のようなシルバー/ゴールドの凹凸感を演出したレースも。今季は箔加工やラメ使いなど、光りものが目立つシーズンです。

<プリント>
北高 Hokkoh
 今シーズンも多様な柄や素材が揃う中、とくに関心の高いのが、染料が飛び散っていたり、滲んでいたりする柄行きのものや、インディゴ系のプリントだそう。
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 和柄や浮世絵風は定着した人気を維持しているといいます。

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2023年8月13日 (日)

PVパリ24/25秋冬(35) 日本企業 ジーンズ & P.リラックス

<ジーンズ (アパー ジーンズウェア)>
クロキ Kuroki
 この春、LVMH メティエ ダールが日本初のパートナーシップを締結したことで、一躍話題を集めた岡山県井原市のデニム生地メーカーです。
Img_38421  今期PVは直前に発生した暴動の影響で客数は少ないとはいうものの、「来て欲しい顧客には来てもらえた」し、「デニムは来年流行りそう」と期待しているといいます。
 人気は重めのデニムで、スラブ糸のきついものが好評、ダメージ加工はキレイ目がよいとも。

ジャパンブルー Japan Blue-Collect
 プルミエール・ヴィジョン(PV)パリは初出展。ふらりと入ってくる新規客も多く、手応えを感じている様子でした。
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Img_38461  セルビッジデニムなどデニムもよいのですが、デニム以外のカラーものがよく出ているとのことです。とくに1950年代の古着や米軍放出品などからリプロダクトした生地への関心が高く、リップストップや、スラブ入りのものが好調といいます。

<P.リラックス (プレミアム リラックス)>
東光商事 Toko Shoji
 大手ブランドが戻ってきて、少数精鋭で商売は広がりそうと話していました。
Img_37771  一番人気はウール起毛のシャドーチェックで、トレンドエリアでも取り上げられていました。またウール/アルパカの起毛加工のものも。

柴屋 Shibaya
 独自の匠の技による「荒炊き」リネンや、後加工しなくても撥水性のある高級高密度綿100%織物「ベンタイル」ギャバジンが人気。また綿帆布天日干しワッシャーや、シャギー シャドーチェック、ヴィンテージネップツイル、ワッシャー コーデュロイなど、同社得意の天然素材をアピール。
Img_35951 Img_35981    

 

 

     

 日本ならではのストック機能も魅力で、ブースは賑わいを見せていました。

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2023年8月12日 (土)

PVパリ24/25秋冬 (34) 日本企業 テーラリング&シャツ

<テーラリング>
瀧定名古屋 Takisada Nagoya-JA Fabric
 前回来場客をやむなく断ったことから、今回は展示面積を1.3倍に拡大し、実質的に中身のある商談ができたといいます。
  今シーズンは「ウールワンダーランド」をテーマに尾州ウールにフォーカス、Img_37411 尾州産地との“ご縁”あって発信された“EN” と名付けた生地コレクションをお披露目し、 ウールの奥深さを発信していました。
 尾州の職人技から生まれたクラフトワーク、ウールモヘアの流し染めやボンディング加工などを打ち出し、好評の様子でした。
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ニッケテキスタイル Nikke Textile
 新規客も入り、客足は例年と変わらないとのことでした。
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 ノンミュール梳毛細番手の端正なウールキャバジンなど、どちらかというと織り目が立っている表情のある生地が好調といいます。

チクマ Take By Chikuma
 艶やかな光沢のアセテートやビスコース、リサイクルポリエステルなどエコレスポンシブルなファブリックを提案。
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 テキスタイルアップサイクルの取り組みもディスプレーして、サーキュラーエコノミーの実現に寄与している企業であることを訴求していました。

東レ Toray Japan
  3年ぶりの出展で、海外市場向けメードイン・ジャパンの最高峰素材「sembism(センビズム)」を訴求。独自の複合紡糸技術「ナノデザイン」による絹を超える「キナリ(絹なり)」や「uts―FIT」などを打ち出し、バイヤーの注目を集めていました。Img_43571_20230813112401

東レ ウルトラスエード Toray Industries Ultrasuede🄬
 ベーシックなスエードに、今回も有松絞りやカットワーク、ストラタシスの3Dプリントなど、アイキャッチャーとなるクラフトワークを展示していました。あえて量産でないデザインに魅せられます。
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<シャツ>

桑村繊維 Kuwamura
Img_37741  一番の売れ筋はシャギーチェック。ソフトで温かそうです。
 色目はグレーの落ち着いた色調が人気といいます。

丸和 Maruwa By Ueyama Textile
 サッカーチェックなど凹凸の表面感のあるもの、またとくにアメリカ向けに厚地の起毛ジャカードに引き合いがあるとのことでした。
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2023年8月11日 (金)

PVパリ24/25秋冬(33) 日本企業 ハイファンシー 独自技術

 今期プルミエール・ヴィジョン(PV)パリに出展した日本企業は41社で、昨年7月展の28社に比べ大きく増加しました。円安も追い風に、輸出拡大に向けた動きが活発化しています。とはいえ来場者が減少、今年2月展よりも少なく、“ふりの客”を期待した一部の出展社からは失望の声が聞かれるなど、まだら模様の展開となりました。

 各分野別に日本企業の人気素材を紹介します。

<ハイファンシー>
ゼンキワミ・バイ・スタイレム Zen Kiwami By Stylem Takisada Osaka
  スタイレムの欧米向け生地コレクション「ゼンキワミ」が出展し、日本の独自技術を生かしたエコレスポンシブル素材に引き合いがあったといいます。
 ノンミューリングウールとヘンプやリネン混で接結クレーター加工により凹凸やナッピングといった表面感を演出したものや、アセテートの裏面に鈍いヴィンテージ調の箔加工を施したり、キュプラにフロック加工でスエードやベルベット風の表面感を持たせたりして、2面性をもたせもの。また綿100の強撚ジャージーやラメ入り綿ツイルも。
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コボ-クニシマ Cobo Kunishima

Img_37201  ウール含侵加工が好評。密度のあるしっかりした、パリッとした風合いで、構築的なフォルムを表現できると人気が高いとのこと。

タク-エッジ Taku-Edge
 PVパリ初出展です。元クニシマ出身者による名古屋ベースのブランドで、伝統的な技術を大切にしながらも、革新的な技術で新しいものを生み出すことを目指しているといいます。世界有数のハイファッション・ブランドとの取引があり、本見本市では客数は少ないながらも新規客はそれなりにあったと話してくれました。
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 目立ったのは絞り染めで、ウールの有松鳴海絞りや同社オリジナルのミシン絞りのもの。また京都の墨流しプリントも、表が光沢のあるビスコースで裏コットンの生地で引き合いがあったようです。

川越政  Kawagoshimasa
 大阪拠点の繊維商社で、ロンドン支店を開業、今期PVパリは初出展です。
 華やかなラメジャカードやボカシ加工など、他にないテクニックの生地を打ち出し、PVトレンドエリアで、ひと際大きな存在感を放っていました。
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タキヒョー Takihyo

 今期は例年より少ない客と効率よく商談できたので結果オーライの様子。
 Img_37291 とくにPLA素材を大きく展開、PLA/コットンデニム(右写真)や、Tシャツ向けジャージーにも引きが入ったとのことでした。

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2023年8月10日 (木)

PVパリ24/25秋冬 (32) エコレスポンシブル消費者行動調査

 今期プルミエール・ヴィジョン(PV)パリのPVハブ内トークスエリアにて、IFM(フランスモード研究所)との提携によるエコレスポンシブルファッションに関する消費者行動調査が、IFM経済観測所のディレクター、ジルダ・マンヴィエル氏により発表されました。 

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 この調査は2023年4月にフランス、イタリア、ドイツ、イギリス、アメリカで5,000人を対象に行われ、家計予算、素材の役割、“メイド・イン” の重要性、セカンドハンドファッションのトレンドなどを分析しています。その気になるポイントを下記にまとめました。

 まずサステナブルファッションに対する消費者の認識について:
 「あなたにとってサステナブルファッションとは何ですか」との問いに、「使用されている素材」と答えた人はフランスで37.7%(2019年度比10%増)、イタリアやドイツ、アメリカでは環境保護や労働環境などを抑えてトップとなり、素材の重要性が増しています。
 「ファッションアイテムの素材はどうあるべきですか?」では、フランスの場合、エコフレンドリー素材57.5%、天然繊維53.9%、リサイクル素材53.2%で、とくにイタリアと英国でリサイクル素材の伸びが目立っています。
 またファッション商品の生産地に関する質問では、フランスは自国が82.3% (2019年79.6%)、他の国もほぼ同様に約80%が自国志向で、EU域内でというのも約60%と強く、地産地消の高まりを感じさせます。

 次に素材について:
 素材の品質表示タグを必ず見て買う、という人はイタリアがもっとも多く、繊維産業で断トツの競争力を誇るお国柄を反映しているようです。
 環境に悪影響があるとされた素材は、トップからポリエステル、アクリル、ポリアミドの順、また環境にもっとも良いとされたのがリネンや麻素材です。その中間に位置するのが皮革とコットンで、コットンは環境に配慮した綿花栽培の認知度がまだまだ低いことがうかがわれます。

 さらにサステナブルなファッションの購買行動について:
 サステナブルなファッションの購入では、どの国も古着が増加しています。フランスでは2022年に女性服の古着購入は44.2% (2019年42.2%)、男性服38.4%(2019年34.5%)というように伸びています。その理由は、安価だから、がトップです。商品の長寿命やリペアサービスも、約70%の人々が求めています。購入ブランドでは、フランスのトップスリーは、KIABI、H&M、パタゴニア、イタリアはH&M、ザラ、OVS、ドイツはアディダス、ナイキ、H&M、英国はマークス&スペンサー、プライマーク、H&Mと、ファストファッション系が強いです。

 最後に、ファッション業界は他の業界ほど“サステナビリティ”の基準をリスペクトしていないと思われていることを紹介しました。「ファッション業界は “サステナビリティ” の基準を尊重していると思いますか?」に、フランスでは「他分野ほど尊重していない」が35.7%で、2019年の41.6%より低くなったものの、「他分野より尊重している」と答えた人は9.8%しかいなくて、2019年の10.7%よりも少なくなっているのです。
 消費者がエコリスポンシブルな商品に使う金額が、全体のファッション購入にかける予算の4分の1に過ぎないことも、この調査で浮かび上がりました。
 そうはいっても、衣料品の環境表示に関する新しい法律がまもなく施行されます。これにより消費者の消費行動はどう変化するのでしょうか。アンケートによれば、約60%が環境負荷の少ない商品を選んで購入すると回答しているとのことです。

 やはり法的な規制の影響は大きいです。つくる方も使う方も、これからは環境に責任ある商品へ、必然的に動いていくことになるのでしょう。

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2023年8月 9日 (水)

PVパリ24/25秋冬(31) マンテコ社創業80周年記念イベント

 イタリア企業でプラート屈指のマンテコ(Manteco)社が、プルミエール・ヴィジョン(PV)パリで創業80周年を祝うイベント、「Mantecoサーキュラー・エコノミー・エクスペリエンス」を開催しました。

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  特設スペースでは、古着や製造工程で出るウールの裁ち屑、売れ残りの服、製造過程で生じるウール廃棄物を原材料とする新世代リサイクルウールMWool🄬の生産プロセスを紹介。
 まずウール製の古着がカラーや組成に応じて仕分けされます。次いで機械的な「ほぐし」プロセスによって、カラフルなMWool🄬のファイバーへと加工されます。ここで興味深かったのがRecype🄬(Recyled Wool Color Recipe、「リサイクルウールのカラーレシピ」の意)と呼ばれる技術で、異なるカラーニュアンスのMWool🄬ファイバーの分量を量り、混ぜることで、着色剤も化学物質も加えることなく、様々なカラーが作り出されていきます。
 また環境負荷を抑えた新バージンウールReviWool🄬や、メルトン製のリサイクルファブリックで極めてコンパクトなフェルト加工のEnzo、さらにソフトでシルキー、繊細なリサイクルカシミアのNobleも展示。
 同社が高品質テキスタイルの分野においても、および資源循環への取り組みにおいても、リーダーと目される存在であることをアピールしていました。

  PVパリ初日の夕べにはカクテルパーティが開かれ、何事かと思うほど多くの来場者でにぎわっていたのも印象的です。

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2023年8月 8日 (火)

PVパリ24/25秋冬(30)「ムービング・レース」コンクール展

 プルミエール・ヴィジョン(PV)パリでは今期も、出展社によるイベントが開催されました。
 その一つがレース&エンブロイダリーエリアにて行われた「ムービング・レース」コンクール展です。これは昨年、コードリー・レース刺繍博物館のクリエイティブ・ラボラトリー (LabLace)を通じて始まった、国際リバーレース・コンペティションです。 
 フランス北部に位置するコードリーは、現在、カレーと並ぶ世界最高峰のリバーレースの産地です。この地のリバーレースは、並外れた繊細さと透明感を生み出すユニークな手法とノウハウで、原産地証明であるDentelle de Calais-CaudryR(ダンテル・ド・カレー=コードリー)トレードマークにより安価な製品との差別化が図られています。
 コンテストの目的はリバーレースの潜在的可能性を探り、イノベーションの新たな道を切り開くことだそう。そこには先端的な仕上げ加工や、ファッションへの前代未聞の応用など、クリエイティビティを刺激する個性的で独創的な作品が展示されていました。
 Img_36651  上は受賞者の中で1位となったメリーズ・ゲナル氏(モダール)の作品です。

Img_36571  上の手前2点は、2位に入賞したクリスティアーノ・カステッリ氏(IFMパリ)の作品です。

 リバーレースはエレガントな高級クチュールのもの、という先入観はこれで完全に打ちのめされました。どれもポップでアクティブ、若さにあふれています。伝統の殻を打ち破る、ポジティブなエネルギーに圧倒されたコレクションでした。

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2023年8月 7日 (月)

PVパリ24/25秋冬 (29) PVデザイン  ④ピクチュラル インフルエンス PICTURAL INFLUENCES

  自然のモチーフは絵画的な手法で見直され、静物画から風景まで美術史の象徴的な題材を暗示しています。
 デザインは感情を掻き立て、具象的で豊かであり、かつ、かつては強大で厳然としていた生物多様性が、今では脆弱で絶滅の危機に瀕していることへの新たな驚きを提供しています。

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装飾的な野生生物
 緑豊かで静謐な宇宙の中で、コントロールされ、拡大された動植物が目を引きます。
 花や装飾的な要素がミックスされ、ミニマルなものから装飾性の高いものまで、さまざまなグラフィックスタイルで表現されています。きらめく色彩のモチーフの繰り返しが、時代を超えた調和の感覚を生み出しています。

ミニマリストな自然
 自然は超絵画的に様式化され、20世紀の現代美術の実験を思わせます。
 植物相は図式化され、極端に簡略化され、幼児のような素朴な構成を連想させるXXLのコラージュ効果が使われています。
 絵画における象徴的なジャンルである風景は、フラットなパステルの色合いで自由に再構築されています。

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2023年8月 6日 (日)

PVパリ24/25秋冬 (28) PVデザイン ③テクニカル センシティビティ TECHNICAL SENSITIVITY

 アートのクリエーションはますます科学にインスピレーションを求めるようになっています。
 数学とその複雑な問題が、緻密で催眠的のようなモチーフにインスピレーションを与えています。
 新しいテクノロジーの加速により、新しい形のノスタルジアが生まれます。:バーチャルなものが現実の粗悪な模倣であった、それほど遠くない時代のノスタルジアです。ピクセル、静的な画面、ぼかし、グリッチがロマンティックに描かれます。

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ぼやけたビジュアル
 クラシックなパターンが不良な画面を通してフィルタリングされます。
 クールな色調のストライプ、チェック、ヘリンボンなどの古典的な模様が、ヴィンテージ風のピクセル化されたデータ処理で表現され、私たちの知覚を歪ませ、意図的に「エラー」を見せるようなデザインです。
 植物のパターンはピュアなトーン オン トーンで施され、モアレがレトロなテクノの雰囲気を漂わせます。

几帳面なリピート パターン
 数学への賛歌です。科学の冷徹な論理が整然とした幾何学的なデザインをインスパイアします。色はニュートラルカラーで、スケールはミクロです。きちんとしたリピートパターンは、ある種の織物の複雑さを思い起こさせ、相互に組み合わさった幾何学的な形状がキネティックアートのような視覚的錯覚を呼び起こします。

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2023年8月 5日 (土)

PVパリ24/25秋冬(27) PVデザイン ②ナチュラル シンビオシス NATURAL SYMBIOSIS

 現代はルーツに立ち返り、自然界との共生(シンビオシス)を求める時代です。この創造的な深い探求は、リアルなものから抽象的なものまで、グラフィックに表現されます。

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かくれんぼ
 葉が目の前に隠れています。巧妙な色使い、レイヤー、対比を駆使して、馴染みのある形が感覚をだますと同時に認識を歪めます。
木の枝を示唆する柄は、色のストロークと重ね合わせることで抽象的になります。フラットな色調とリアルで鮮やかな葉の模様が対比を成します。そして、素朴な背景に植物のモチーフがグラフィックなしみで寄生されるようなデザインもあります。

装飾的な植物相
 ここでは、植物は暗い背景に映えます。白またはカラーで精巧に描かれ、緻密なレースワークを思わせるような輪郭線を持つものが時折見られたり---、植物は装飾的な側面を存分に発揮しています。花のモチーフは次第に葉や枝に変わり、冬の花束を形成します。淡く様式化された茎は、まるでスタンプを押したかのように見えます。

有機的なイメージ
 液体から鉱物までのうねるような物質が、有機的なイメージを持つ柄のインスピレーションとなっています。
 樹皮の解釈は中性的な色調とグラフィック処理でスタイライズドされ、白樺やユーカリ、動物の模様を思わせます。
 抽象的なモチーフは地質学的な地層やインクのしみを連想させ、また波打つ水を暗示するものも。

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2023年8月 4日 (金)

PVパリ24/25秋冬(26) PVデザイン ①ソーラーヴィジョン SOLAR VISION

 プルミエール・ヴィジョンでは、太陽の力が24/25秋冬シーズンの主要テーマとして輝きを放っています。星の影響は至る所にあり、とくにシーズンのカラーパレットやパターンに表れています。

輝くグラデーション
 グラデーション効果がコレクション全体で主役として登場し、クラシックなデザインに活気を与えています。
 形Img_41871状と色が混ざり合い、まるでまぶしい光の効果のように変化した知覚を呼び起こします。ストライプは水彩画のようにうねり、フェードアウトしています。大胆で不協和な色調で活気あるチェック柄が様々なバリエーションで表現され、点描画スタイルの抽象画は、網膜に刻まれた光の点のように踊っているかのように見えます。

光で描く
 写真の起源に基づいたテーマであり、その言葉は古代ギリシャ語で「光で書く」という意味の「photos」と「grapho」から来ています。
 Img_39121 さまざまな露光によって明らかにされる花や葉のパターンは、シアノタイプやネガのような印象を与えます。長い露光時間が神秘的で繊細な植物相を捉え、暗闇から現れるように描かれています。

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2023年8月 3日 (木)

PVパリ24/25秋冬 (25) PVデザイン 自然と技術の調和

  プルミエールヴィジョン(PV)パリのテキスタイルデザインのエリアが、PVデザインです。今期はデザイン工房やアトリエが97社出展しました。

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  PVデザインでは24/25秋冬に向けて、自然と技術の調和を目指して下記の4つのテーマが提案されています。

① ソーラー ヴィジョン SOLAR VISION
  太陽のビジョンは、シーズン全体のテーマであり、ぼかした、輝く、眩しいデザインとして具現化されます。光は写真にインスパイアされたパターンにも現れ、ネガティブとシアノタイプ(青色の発色を特徴とする19世紀に発明された写真方式)の効果で、花のモチーフが浮かび上がります。

② ナチュラル シンビオシス NATURAL SYMBIOSIS
  一方で、現代は自然との共生を求める時代です。野生の自然にインスピレーションを受けたデザインは、新しい植物のビジョンを提供します。風景は抽象化され、装飾的な花が主役になります。木材やその脈絡を写す模様が新しいカモフラージュを形成します。

③ テクニカル センシティビティ TECHNICAL SENSITIVITY
  その一方で、創造性は科学と論理的なデカルトのアプローチに触発されています。繰り返しのパターンは、初期のテクノロジーを思い起こさせる感覚的な技法を思わせます。

④ ピクチュラル インフルエンス PICTURAL INFLUENCES
  自然にインスピレーションを受けたモチーフは非常にスタイリッシュです。絵画的な影響はエキゾチックな動物を再訪し、華麗な花は子供の手によって切り取られたように見えます。

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2023年8月 2日 (水)

PVパリ24/25秋冬 (24) デニム ③インターフェランス

  24/25秋冬は、ぼやけたビジュアルが強調されます。まるで干渉を受けたかのように、素材はしわくちゃの紙や灰色の風景、デジタルノイズを連想させます。ミステリアスな感覚を抱かせるデニムのシーズンです。
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カラフルなグリッチ
 モニター上のグリッチ(突発的な不具合や故障)のように、カラフルな干渉が今シーズンのデニムを活気づけます。これらの鮮やかなアクセントは、縦糸や糸染め、ネップ、さらには刺繍で表現されます。どの手法でも、明るいカラースキームに極めて微細な虹色の効果が組み合わされています。

ノイズと波
 変則的なテクスチャー効果は、デジタルノイズのような外観を表現します。ピクセル状の点描画は粒々状や、細密に描かれたシワのような様相を見せます。さらに、正方形の平織りに微妙なウォッシュアウトを施したものもあります。これらの構造は不規則なウォッシュで強調されます。

しわくちゃの紙
 今シーズン、インディゴはパリパリした外観を持っています。バイオウォッシュにより、氷や雲のような効果を表現したものは、雪と寒さを連想させます。これらの要素はインディゴとホワイトを対比させ、冬のシーズンに鮮明な色の対比を作り出します。またホワイトのギャバジンは、ホワイトのベースに天然のインディゴをゲルで染めることで、貴重な不完全さが生み出されます。紙のような風合いが、立体的な摩耗したようなテクスチャーによって強調されます。

ネオ スクレーピング
 スクレーピング(擦り加工)が大復活です。今シーズンは、未染色のベースにスクレーピングを施したものや、スクレーピングによるウォッシュアウト、スクレーピングの効果にインスパイアされたプリントなど、さまざまな技術が目立ちます。

アッシュグレー
 ウォームな色調のデニムが目立った24春夏ですが、これに続く新しいシーズンはグレーのシェードが注目されています。冷たくやや汚れた雰囲気が、グランジの影響を反映しています。ペールカラーがベースのものは、ぼんやりとしたウォッシュで緻密に仕上げられ、謎めいた霧の中から現れたかのようなデニムに仕上がっています。

リサイクルデニムのあいまいさ
 ぼんやりとした、やや灰色がかったビジュアルは、リサイクルされたテキスタイルの特徴でもあります。機械的リサイクルでは、服の元々の色合いが漂白や再染色せずに保持されます。その結果、糸はほとんどあいまいな外観を持ち、元の生地の姿を反映しています。ノスタルジックな要素を新しい視点で表現しているのかもしれません。

メントールの抽象
 オーバーダイされたデニムの色は今季、明らかにグリーンです。ミネラルやオーガニックなカーキから、より人工的なアクアとミントウォーターまで、さまざまな方法で演出されています。自然界やそのクロロフィル トーンへのポエムであり、ビンテージな雰囲気を持っています。

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2023年8月 1日 (火)

PVパリ24/25秋冬 (23) デニム ②ハイ ドラマ

24/25秋冬は、デニムに多様なファンタジーの選択肢が用意されています。クリエイティブな発想はいたるところに、ドラマティックなカラーコントラストや、微妙なニュアンスの光沢、バロックからのインスピレーションなどが焦点。
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強いコントラスト 
  今シーズン、デニムのウォッシュがハイ(気分が高揚する)なドラマを演出します。淡い端正な色合いがインディゴからブラックまでのダークな地に描かれ、ひび割れたような効果だったり、水のような反射を表現していたり。また樹脂加工で3D効果をさらに強調したものも。

大胆な色合いのオーバーダイ
 ここではウォッシュが染料や着色料で大胆に彩られます。鮮やかな色や中立的な色、そして暗い色がパワフルに組み合わせられ、ダークなインディゴやブラックのデニムベース全体をほぼ埋め尽くして、不協和音的な対比を生み出します。

オーガニックなグリーン
 今シーズンのデニムに目立つのが森や草原をイメージした加工です。グリーンがスポットライトを浴び、深いモミの木から黄ばんだ地衣類まで、その様々なニュアンスで表現されます。不規則なウォッシュや割れ目のエフェクトなど、グリーンのオーバーダイや糸染めにもオーガニックなインスピレーションが感じられます。

微妙な輝き
 Y2Kにインスパイアされたルックに見られるのが、華やかなパーティー感溢れるデニムです。暗いグレーや黒を背景に微妙に輝くルレックス糸や反射するプリント、コーティング、エンブロイダリー、その高級感あふれるアプローチはまるでイブニングウェアのようです。

バロックのインスピレーション
 デニムの装飾的なヴィンテージに、バロックが復活します。インテリア装飾やタペストリーからのインスピレーション、ヒストリカルなモチーフ、物語のあるシーン、大きいレースの花などが、ジャカードやレーザープリント、フロック加工といった様々な技術で表現されます。

絹のような柔らか
 プレシャスで装飾的なトレンドで目につくのが、デニムとベルベットのハイブリッドです。これにより、通常は頑丈で硬いデニムに驚くほどの柔らかさと官能性が与えられます。また暖かい感触を求めて、起毛のブラッシュ加工も。カシミアなど高級獣毛との混紡も多くなっています。

プロテクションデニム
 身体と外界の間にバリアを形成する保護的なデニムも目立ちます。モーターサイクルの雰囲気に影響されることがますます増えていて、キルティングからXXLボリュームのものまで、様々な構造とパターンの演出が見られます。

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