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2023年7月

2023年7月31日 (月)

PVパリ24/25秋冬 (22) デニム ①サステナビリティ

 季節ごとに、持続可能なデニムの選択肢が増えています。2024/25年の秋冬も例外ではありません。染色からストレッチ、リサイクルから耐久性まで、主要な領域全てで新しい提案が行われています。

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リジェネラティブ コットン(環境再生型農業によるコットン)
 コットンはデニムの原料として最も一般的な繊維です。しかし、環境への影響が測定される現代、綿の栽培が問題視されて、代替案として環境負荷を抑えたサステナブルなコットンが提供されるようになっています。とくに有機綿は環境への影響が少なく、認証によっては遺伝子組み換え(GMO)、農薬、殺虫剤が不使用であることを保証できます。
 これに加えて、このところ新しい関心呼んでいるのが「リジェネラティブ コットン」です。これは環境再生型農業によるコットンで、その原則は環境(土壌、水、空気、生物多様性)を栽培前よりもより良い状態で残すことです。
 ちなみに「サステナブル」というと持続可能で「継続」の意味合いが強いのに対して、「リジェネラティブ」は「再生」を意味し、現状をより良くするための取り組みに使われます。

 更なる環境保護を提案する新しい世代のコットンに注目です。

リサイクル コットン
 リサイクルデニムが増えています。その方法に二つあり、一つは機械的なリサイクルデニムで、とくに増加しているのはこちらの方です。
 機械的リサイクルでは、綿繊維がプロセス中に縮むことで、品質が低下します。そこで耐久性を保証するために長繊維の綿と混合する必要がありますが、最新技術により、リサイクル コットンの割合が高いテキスタイルを作ることが可能になってきました。またこのプロセスの利点の一つが、リサイクルされた繊維の色をそのまま保持することです。リサイクルされた繊維を直接再び紡績することができますので、漂白や染色の工程が不要となり、水、エネルギー、化学物質を節約できます。
 もう一つが化学的なリサイクル繊維を使って新しいセルロースフィラメントを得る方法です。古着ジーンズから作られるCirculoseや、農業余剰物から作られるAgraloopなどがあり、廃棄材料や発酵がキーワードになる未来が来ています。

新しいクラシック
 アップサイクルされた繊維とFSC認証を受けた木材パルプを使用したビスコースなどとのブレンド素材は、自然な質感と流動性が融合する柔軟な質感が特徴です。トップスやシャツに適していますが、すべてのコレクションに取り入れられる、新しいクラシック素材となっています。

耐久性
 服の耐久性は生産や廃棄時の影響を超えて、過剰消費をしないための重要な考え方です。
 伝統的に長く使えることで知られるデニムですが、より品質に優れた、耐久性のあるデニムが追求されて、今シーズンも丈夫でプレミアムなコットンツイル(セルビッジデニムなど)などの非常に高品質なものが提供されています。

ストレッチ
 ジーンズに伸縮性を求めることは欠かせない要素です。とはいえこの伸縮性のある合成繊維は非常に分解が難しく、微量でもテキスタイルに含まれると、製品のライフサイクル終了時の環境への影響を増大させます。そこで環境負荷を低減した新しいポリウレタン弾性繊維が開発されています。特定の条件下で分解が従来のものよりも速く進み、自然繊維に近い分解性を持っているといいます。

ナチュラルカラー
 染色は最も汚染の原因となる工程の一つであり、これに対処するために多くの代替手段が開発されています。
 まずは天然繊維を染めないことです。コットンは自然なエクリュで育ち、より深いベージュのものもあります。
 次に重要性を増しているのが石油化学系の染料に代わるミネラル染料、また農業など他の産業の副産物から得られる染料です。「アース ダイ (earth dye)」の言葉も最近よく聞かれるようになりました。

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2023年7月30日 (日)

PVパリ24/25秋冬 (21) デニム ファブリック トレンド 

 24/25秋冬のデニム ファブリックのトレンドは、去る5月31日から6月1日、アリーナ・ベルリンにて開催されたプルミエール・ヴィジョン(PV)のデニムのバージョン、「デニムPV」のレポートの中にまとめられています。

 1_20230805184801 今シーズン、主要な焦点となったのが、時代を超越した永遠の価値ある製品を追求し、多目的に使える生地コレクションを作ること。エネルギーや水、処理をより少なく消費する手法により、控えめでありながらもより耐久性のある製品を作り出すことが目標となりました。

 24/25秋冬は、対照的な流れが交錯するシーズンです。ドラマやコントラストの強いものが求められる一方で、装飾や仕上げ加工処理はよりシンプルになっています。
 とはいえ全体的には、インパクトのある効果やビジュアル志向です。思いがけない色の組み合わせや、より大胆な3D効果、複雑なデザインが多くなっています。

 トレンドとして次の3つのテーマが浮上しています。
① サステナビリティ SUSTAINABILITY
② ハイ ドラマ HIGH DRAMA
③ インターフェランス  INTERFERANCE

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2023年7月29日 (土)

PVパリ24/25秋冬 ⒇  デコラティブ ファブリック レース&エンブロイダリー

 様々なレースや刺繍が、透明感と質感の微細なオーバーレイやテクスチャーを駆使して表現されています。パターンが貴重な生地に溶け込み、素材を宝石のようなファブリックに変えています。白の装飾が施されたデザインもあり、ウエディングのファンタジックな世界を蘇らせています。さらに、コート向けの重みのあるものに装飾が施されていることにも注目です。

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宝石のようなファブリック
 華やかなゴールドやシルバーのメタリックレース、また貴石やスパンコール、クリスタルを散りばめたメッシュやチュール、ネット生地は、まるで宝石のようなファブリックに変身しています。高揚感と豊かさを表現する、色とりどりのシードパールを一面に刺繍したモチーフも。レースはオーバーエンブロイダリーやオーバープリントされて、多彩な色合いを見せています。

ブライダルに新風
 ウエディングドレスを想起させる白がスポットライトを浴びています。レースにはビーズやスパンコール、ルレックスの糸が刺繍され、鮮やかな色彩がプリントされたものも。洗練された華麗な刺繍が、透けるベールに軽やかにあしらわれ、伝統的なウエディングコードに新風をもたらしています。

コートの重さを飾る
 コートの重さも装飾を取り入れています。キルティング、ウール、フェルトには花や幾何学、幻想的な刺繍が豊かに施され、フォークロア風のデザインまで広がっています。アウトドア向けにボンデッドレースにも目が向けられています。

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2023年7月28日 (金)

PVパリ24/25秋冬 ⒆ デコラティブ ファブリック プリント

 今シーズン、プリントは多様なスタイルとインスピレーションを得て大胆な飛躍を遂げています。ボタニカルな領域を横断し、森の奥深くに分け入っていく一方で、だまし絵のような抽象的な表現にも挑戦しています。また光学的な幾何学にインスパイアされて、ニュアンスの微妙な変化や、色彩の構成を解体し、ボカシやグラデーションの新しい表現を生み出しています。
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森の中心
 木の静脈、葉のリブ、樹皮を思わせる、抽象的で洗練されたデザインが、アニマル柄や迷彩柄の代替案として提案されています。色合いはモスやマロン、コッパーピンク、レインボーブラウンなど、自然界の植物を思わせる色が取り入れられています。さらにもう一つ、注目されるのが具体的なイメージを描いた意匠で、田園的な風景や田舎の雰囲気を想起させるもの、伝統的な森や林を描いた絵画的なストロークが用いられています。

トロンプ ルイユ効果
 まるで仮想のように振る舞うことを楽しむプリントが浮上。模様が刺繍やレース、織物の構造を模倣して、錯覚を演出します。たとえばクロスステッチ刺繍や透かし織りを連想させるプリントに、ハウンドストゥースやヘリンボーンのモチーフが現れたり、糸が鉛筆のストロークとなって生地を横切り、チェックのバリエーションを描いたり、レイヤー状のモチーフがだまし絵のような効果をもたらしたり。さらに巧みに交差したり絡み合ったりする装飾的なデザインで、サブリミナル的なイメージを暗示するものも。

光との表現
 モチーフに振動を与え、一瞬のきらめきで横切る光との表現に目が向けられています。輝く光のハロー現象がパターンを屈折させ、しばしばぼやけさせ、時折ピクセル化させています。見た目、スプレーまたはエアブラシで描かれたような色合いも特徴。

 コントロールされた光の歪みは、花々や植物、幾何学的なモチーフを装飾し、アート表現を最新のものにアップデートします。空に晒された色彩は燃えるような色調や、太陽のように輝く色合いで揺らめき、グラデーションの効果が新たな形を生み出し、モチーフそのものに複雑さを創り出します。線や形状にエレガントに生命を吹き込む光の演出に注目です。

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2023年7月27日 (木)

PVパリ24/25秋冬 ⒅ デコラティブ ファブリック             ハイファンシー ジャカード&シルキー

 シルクファブリックは今シーズン、驚くような変化を見せています。それは行き過ぎとも思えるほど奔放に施された装飾です。バロック調にひねりを効かせたテクスチャーでは室内装飾用の生地のようなものが見受けられますし、またリッチで装飾的な幾何学模様の提案も目立っています。
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バロック・ツイスト
 バロック調のアクセントを加えた提案で注目されるのは、ちょっと風変わりで異国情緒豊かな、バロックスタイルそのものといったデザインです。そのデザインの豪華さは、XXLサイズという巨大なモチーフで表現されています。花もまた、巨大なスケールで演出されたものが目に付きます。全ては装飾過多で、色彩は眩しく、輝きは活き活きと、メタリック箔もさらに輝きを増して、施されています。

装飾的なテクスチャー
 あらゆるジャカード技法を駆使した素材が登場し、木のテクスチャー、葉脈、樹皮などを想起させるデザインが多く見られます。立体感のある加工は流動的な生地だけでなく、厚手の素材にも見られ、模様には樹皮を模したものや、有機的なジャガードのモアレ、テクスチャーのレリーフを取り入れたプリントなどがあり、自然との共生関係を印象づけています。
 またエンボスやダマスク柄の生地に迷彩柄やゼブラ柄を取り入れたもの、ファンシーヤーンを加えてタペストリーの世界を連想させるものも。

華やかな幾何学模様
 ジャガードパンベルベットは、洗練された幾何学的なデザインが施され、ヘリンボーン、チェック、ダイヤモンドなどのクラシックなメンズウェアのデザインにアクセントを加えています。密な織りとテクスチャーによって模様が際立ち、新しい解釈が生まれています。ジャガード生地は非常に華やかで、メタリックな質感を持つヤーンを使って立体感が表現されたり、サテンと組み合わせることで特殊なテクスチャーが生まれたり、さらにカットヤーンを使用して毛皮のような見た目が実現されたりします。

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2023年7月26日 (水)

PVパリ24/25秋冬 ⒄ デコラティブファブリック ハイライト

  24/25秋冬デコラティブファブリック、そのハイライトは次のようです。

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樹木に着想を得たデザイン 
 豊かな森の景観が装飾的なデザインに変わり、葉脈や葉、枝などの樹木に着想を得たデザインが広がります。木材とその模様に影響された、新しいカモフラージュが生まれます。この緑豊かなテーマは、今シーズンの主要なコンセプトの一つである、生きる世界との共生への願望を示唆しています。

マキシマルな装飾へのアプローチ
 超高度な装飾技法を取り入れた生地が目立ち、高揚感が一気に加速。華やかなモチーフが織物やレースに多様なスタイルで輝きます。スケールの遊びが楽しむ柄が浮上し、限りなく大きいものと限りなく小さいものが組み合わさり、巨大さと細部へのこだわりが交差します。物語を映し出す鏡のように、織り込まれたデザインは、パターンの中に隠されており、例えばチェック柄やハウンドスツースなどの小さな模様が、二つの異なる解釈や読み方を生み出すことがあります。
 このマキシマルな装飾へのアプローチは、純粋にバロックの伝統に基づく、スタイリッシュで贅沢な演出で、洗練されたビーズやクリスタル、シークィンで彩られた見事な刺繍にも表れています。

輝く光環
 宝石のような品質は、光の効果でも明らかです。輝く光環が、霞んだ輝きのあるモチーフに振動を与えます。色は動きます。線と形状が素材を横断するように揺れ動いているように見えます。

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2023年7月25日 (火)

PVパリ24/25秋冬 ⒃ デコラティブ ファブリック 広がるファンタジーの世界

  2024/25年秋冬のデコラティブなファブリックを特徴づけているのが、奇抜なエキセントリシティです。シーズンに漂うディストピア的な傾向に対する完璧な解毒剤的な役割を果たします。過剰で豪華な要素が共演し、喜びに満ちたファンタジーの世界が広がります。マキシマリストのクチュール精神が、プリント、刺繍、レース、シルク素材に満ち溢れ、光輝く流れるようなビーズやスパンコール、また光と影が交錯するジャカード、メッシュ、シルクのチュール、キルト素材---、あきれるほどにポジティブなバロックテーマが豪快に表現されます。

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  豊かさの追求は、自然との共生への強い欲求と密接に関係しています。特に森で見られる植物が、デコラティブなスタイルに新しい息吹を吹き込んでいます。自然への賛美は、葉、樹皮、枝など様々な要素で表現され、その中には牧歌的でのどかな風景を想起させるプリントが見られたりもします。

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2023年7月24日 (月)

PVパリ24/25秋冬 ⒂ ファブリック スポーツ&アウトドア

 スポーツファブリックはタウンユースが中心。シルクのようなルックスとクチュールの影響を受けた洗練されたテクスチャーが、細部にまでこだわったグラフィックなファンタジーや表現力豊かなデザインで登場しています。ライフスタイルやニーズに合った多機能で効率的な特性を誇り、ますます洗練された持続可能な構成で仕上げられています。

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クチュール・インフルエンス
 テクニカルなファブリックがシルキーになると、オートクチュールとハイパフォーマンスの融合という素晴らしい表現を生み出します。ほとんど侵入不可能なほどコンパクトで、風雨を通さないカラパス(甲羅)のようなサテン、カレンダー加工を施したファブリック、コーティング加工を施したテキスタイルなど。パールのような光沢やメタリックに反射するものも。

持続可能な構成と仕上げ
 現代のファッション業界では、素材から仕上げ作業、布地からプラスチックや金属部品に至るまで、製品に使用されるすべての要素が詳細に検証されています。スポーツ用生地は従来のソリューションに先んじて、様々な課題に対応してきた経験豊富な存在です。従来のリサイクルにとどまらない、第二世代のポリアミドや生分解性を持つポリエステルも登場しています。化石資源の消費を減らすために、生分解性の高いバイオポリマーもニット、織物、薄膜、アクセサリーに導入されています。また機能的でプロテクティブな天然素材も存在します。本来、保温性を持つウール素材で合繊に匹敵する性能を持つものや、天然繊維ベースのフリースやジャージーも増えています。さらにバイオベースのワックスや植物油由来の処理を施した防撥水加工にも注目です。

スポーツ&アウトドアに魅力を加えるファンタジー
 繊細なラインから入念にパターン化されたチェック、ダイヤモンドステッチやツートンステッチに至るまで、技術的専門知識を象徴する高精度なデザイン。その一方で、それとは対照的なヴィジュアルも。混沌としたタイダイやスプラッター、乱れたドリップは、ひび割れた氷河や絡み合った重なり、渦巻く形状のディストピア的な美しさに素早く変化。通常の迷彩柄よりもはるかに印象的な、衛星画像に匹敵するような芸術的なヴィジョンが私たちの意識をかき立てます。

マルチユースでマルチパフォーマンス
 通気性があって雨を防ぎ、紫外線をブロックし、臭いを中和する...これらの多機能な特性は快適で、伸縮性があり、見た目も素晴らしい。中でも最も軽量なものは実質的にほとんど重さがなく、しかも堅牢で不透明性を保ちます。いかなる天候条件にも耐え、不要になった時には簡単にパック可能。同時に、高い強度を持つ繊維も活躍しています。長持ちするので安心感があり、摩擦や破れにも耐性があります。これらの素材は今や自転車からオフィスへ、屋外から屋内へと違和感なく移行できる柔軟性とエレガンスを備えています。

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2023年7月23日 (日)

PVパリ24/25秋冬 ⒁ ファブリック ニット

 Tシャツからコート生地まで、ウールは一致した人気を誇り、カットソーのルックスをより洗練された方向に導いています。女性用のスーツ、ジャケット、ドレス向けでは、ニット素材が織物の領域に入り込み、テーラリングのエレガンスをより体にフィットするボリュームで演出します。そして、ニット素材はXXLなファンタジーにおいても巨大なモチーフや誇張されたテクスチャ、華やかな輝きを披露し、織物に負けない力を発揮しています。Img_41341
ウールの一致した人気
 新しい組み合わせ、新しいスタイルのジャージーやインターロック、フリースなど、ウールは一致した人気で、カットソーの日常的な世界を新たなページに切り替えています。Tシャツはより洗練され、フリースはスウェットから離れ、ウールのフリースが街着に到来します。

織物の領域へ
 女性用のスーツからジャケット、ドレスに至るまで、ニット素材が織物の領域に入り込みます。コンパクトなミラノ、ダブルフェース、サテンインターロックなどのバージョンで、タータンチェックやプリンス・オブ・ウェールズなど、シックなクラシック柄をハイコントラストにアレンジしたニットが見られたりします。

ファンタジーニット
 ピケやふくれジャカード、キルト、パッド入り、シャーリング、さらにはラッカー仕上げまで、フーディからコート、ダウン、ファー付きジャケットに展開できるニットに目が向けられています。またワイルドに、ときに未来的に、さらにロックンロール的に、カラフルなバリエーションでその多様性を披露し、XXLサイズの存在感を示すファンシーニットへの関心も注目されます。

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2023年7月22日 (土)

PVパリ24/25秋冬 ⒀ ファブリック シルキー

 華やかで豪華なシルク素材に目が向けられて、光沢への興味が再び蘇っています。滑らかなシルクに輝く流動性を演出したものが多くなり、同時に、セルロース混合素材がクレープに新しい息吹をもたらしています。植物の世界が注目される今シーズンです。シルクもファンシーな表面感のものとして樹皮にインスパイアされたものにスポットが当てられています。

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コンテンポラリー・クチュール
 輝く光沢のアイコニックなシルク、デュシェスサテンやダブルサテン、ミカド、ショットタフタなど。夜のドレスに揺さぶりをかけ、テクノクチュール精神でデイウェアを刷新します。

輝く流動性
 光り輝くパンベルベット、流れるようなサテン、ジャカードベルベット――これらの滑らかなシルク素材が、ロング&スリムの曲線的シルエットを演出します。動きによって輝く反射が生まれ、時折メタリックに輝きます。

柔らかなクレープ
 クレープに新しい風が吹いています。まるで良いスクラブ後のように、特有のザラザラ感が取り除かれます。その秘密は、乾いてさわやかな手触りを提供するセルロース混素材にあります。

樹皮のようなシルク素材
 軽いモスリンから重めのジャカードまで、シルク素材は森の呼びかけに応えているかのようです。樹皮の効果、年輪や木の成長線、木の質感が織物に反映され、プリーツやチュービック、クレポンといった技法で表現されます。

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2023年7月21日 (金)

PVパリ24/25秋冬 ⑿ ファブリック シャツ地

 冬に最適なシャツ生地として、暖かみのあるウールのブレンド素材で作られたものが増えています。チェック柄のフランネルシャツは古くから愛されていますが、その伝統を受け継いだオーバーシャツの、静かで力強い印象のものが掘り起こされています。また柔らかな雰囲気を引き継いだベルベット素材のシャツも、より洗練されてシックなスタイルを提供しています。フォーマルな場面で必要とされる、精密なパターンと洗練されたデザインを持つシャツ生地にも注目です。

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ウールのブレンド素材
 新しいシャツ生地に、ウールや時にリヨセルとの微妙なブレンドがみられ、それによってより魅力的で自然な温かみが生まれています。見た目は日常的なその背後に垣間見えるのが新しいエレガンスで、品質を保ちながらクラシックなシャツが再認識されています。

オーバーシャツ
 微起毛とボカシしたグラデーションが、冬の陽光の落ち着いた輝きと活気に満ちた中で、光輪のようなチェック柄を作り出しています。シャツからジャケットまで幅広い用途のフランネル素材のシャツ地で、ランバージャック(木こり風)の大きな格子柄のものも再登場しています。

洗練されたベルベット
 マットな柔らかさと控えめな繊細さを持つベビーコードが、魅力的な質感と深みのある色合いで関心を集めています。洗練されたコーデュロイやベルベット素材はシックなシャツ向けだけでなく、ドレスとしても充分な華やかさと品のある印象を与えます。

高精度
 完璧に配置された幾何学的な模様と細かな点描など、ネクタイのモチーフと和風の文様の中間に位置するミクロなパターンを継ぎ目なく組み合わせた柄が浮上。しっかりと緻密で、控えめながら伸縮性があり、抑制されたエレガンスを備えたシャツ生地に支持されています。

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2023年7月20日 (木)

PVパリ24/25秋冬 ⑾ ファブリック カジュアルウェア

 カジュアルウェアといっても、注目は決して平凡ではない!ものです。質の高い素材で、創造性に富み、打ち込みのよい高密度コットン使いの製品は、どこに行っても安心して着こなせるエレガントな存在です。ベルベットやコーデュロイも、カラフルでシルキーなファンシーバージョンのものが出ていますし、ウォッシュ加工は、ガーメントウォッシュをエシカルなクリエーションへの方向に導いています。またウールとコットンという動植物素材の組み合わせという新しいドレスコードも浮上しています。Pvparisjuly23alexgallosi67781

完璧に密な素材
 コットンの生地は、ダブルワープ、ダブルウィーブ、ダブルフェイスなどの様々な技法で、妥協せずにクオリティにこだわったものが出ています。ホイップコードやギャバジン、ドリルなどの頑丈な織りのものや、ミリタリーサテンやモールスキンのしっかりとした織り、さらにはボンディング素材などのファブリックは、ワークウェアからインスパイアされたものが多く、洗練された存在感を醸し出しています。

コーデュロイやベルベット
 コーデュロイが新しいルックを手に入れています! この時代を超えたクラシック素材は、家具の生地にインスパイアされて新たなアプローチを見つけたようです。細かく彫られて密に刈り込まれたコーデュロイは、想像力豊かなデザインとカラーバリエーションに挑戦し、洗練されたスタイルで表現されています。ビスコースとブレンド素材は、光沢感とクリーミーな柔らかさを誇り、性別やスタイルにとらわれない魅力を持ちます。

ガーメントウォッシュ
 汚染をもたらさない、ウォッシュアウトが再び脚光を浴びています。機械的加工やステッチ、ニードル、レーザー、オゾンなどのドライ技術が採用されています。濃淡グラデーションの色合いに、時にはチラリと見え隠れする輝きを求めて、メタル箔の仕上げを施すなど、多くのアイデアが見られます。スタイルの力を損なうことなく、エシカルラグジュアリーに向けて再展開されるジーンズウェアに注目です。

動植物繊維のブレンド
 動植物のブレンドが感じられることで、スタイルがアップデートされます。ドライなコットンにモコモコとしたウールが加わり、カジュアルウェアに一定のエレガンスを注入したり、それともコットンが厳格なスーツに新しいしわを与えたり。
 とくにスタイルコードを揺さぶるのがリネンです。アイロンをかけ過ぎない自然なシワ感のスーツ素材、暖かみのあるギャバジン、より快適なベルベット、そしてバンカーストライプ入りデニムなどに。

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2023年7月19日 (水)

PVパリ24/25秋冬 ⑽ ファブリック テーラーリング

  テーラード仕立てにウールが注目されています。とくにサルトリアルなスーツで、着飾ったシックさが復活。シルクに影響された、流れるようなしなやかさとサテンの輝きを備えたウールブレンド生地が増えています。ツイードは、贅沢な意匠糸使いでさらに高貴さを引き出したものがドレッシーなジャケットやコートに人気です。さらに弾力のあるフカフカした風合いのウール素材がラグジュアリーな居心地の良いスタイルに強いメッセージを発信しています。

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シックなスタイルの復活
 サルトリアルな要素への回帰で、品質の優れた上質ウールへの関心が高まっています。さりげない控えめさを演出する英国調のチェックやトーン オン トーンのプリンス・オブ・ウェールズ柄のもの、ホイップコードや畝の立ったツイル、ドライで弾力のあるスーツ素材、流れるような上質フランネルも。

シルクの影響
 ウール混のより流動的で優雅なまろやかさのあるスーツ地が浮上。洗練されたスリムなスタイルにしなやかさと快適さを与えます。

ドレッシーなジャケットとコート
 伝統的なウール素材が再発見されています。起毛ブロードクロスやモヘアベロアの控えめで贅沢なシンプリシティに目が向けられ、また柔らかくしなやかなツイード素材では、職人の技が感じられるファンシーな織りや煌めく輝きへの関心が高く、その貴重なアクセントが素材の自然なエレガンスを引き出しています。

居心地の良さと高貴さ
 フリースやパイルのようなフカフカした密で弾力があるものから、ふんわりと軽やかなものまで、居心地の良いウール素材が増えています。そのふわふわの質感は、無邪気に乱れた見た目で内なる子供心を目覚めさせます。

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2023年7月18日 (火)

PVパリ24/25秋冬 ⑼  ファブリック ハイライト

 「ソーラーヴィジョン」を背景に、より持続性の高いファッションを意識したファブリックコレクションが集結する今シーズン。儚さと力強さを融合したアイデアをベースに新しい素材が表現されていました。

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 こうした中、ハイライトとして次の3つの視点が浮上しています。そのキーワードを挙げてみました。

⑴ ソーラーフォース(太陽の力) : 物質を照らし、輝かせる無尽蔵のエネルギーの力

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  オレンジ色の暖かい輝き、点滅する光やボカシ、プレシャスな光。

⑵  拡張されたエレガンス : 洗練された控えめなエレガンスへの回帰
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  クチュール・ブラック、テクノ・クチュール、ダブルフェイス

⑶ オーガニック・ロジック : 自然と向き合い、その可能性の探究。
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 ウールの復活、有機的な構造の再発見、冬の自然との共生
 

 24/25秋冬は、光沢といっても温かみのある輝きや、ハイエンドへ高まるエレガンス、植物に代表される自然やクラフトワークへのリスペクト、といった新たな流れに注目です。


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2023年7月17日 (月)

PVパリ24/25秋冬 ⑻ ファブリックテーマ「フューチャー・オブ・クラシック」

 プルミエール・ヴィジョン(PV)パリが今季、ファブリックのトレンドテーマとして打ち出したのは、「フューチャー・オブ・クラシック(The future of classics)」です。Pv11_20230731202401
 今なぜ、シルキー素材が再び輝きを放ち、シックなスーツ生地が脚光を浴びているのでしょうか? また緻密でコンパクトなコットンが再び存在感を持ち、多目的で高性能なウールがあらゆる分野に登場しているのはなぜでしょうか?
 それは、これらのクラシックな生地が過去を振り返るのではなく、24/25年秋冬シーズンに多くの意味を持っているからです。
 一つには、これらの生地は革新的な使い方に適している多くの特性を持っています。自然な素材であることも、私たちの心を引きつけます。明日の世界に向けて、私たちは新しい、より実験的なアプローチでこれらの生地を見直しているのです。
 もう一つは、これらの生地は、ファッションにおいて高品質な素材を使って美を創り出す誇りを取り戻すように促します。長く愛用できるものであり、高貴な繊維の贅沢さを再び見出すように私たちを勇気づけています。  
 さらに、これらの生地は特定の場面に囚われることなく、どんなファッションにも適しています。創造的で使いやすく、私たちの日常生活に自然に溶け込むことができる力を持ち続けています。

 24/25秋冬はクラシックの新たな次元へ、次世代のデザインスタンダードを目指すシーズンとなりそうです。

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2023年7月16日 (日)

PVパリ24/25秋冬⑺ カラーは「ソーラーヴィジョン」を象徴

 今シーズンは「ソーラーヴィジョン」が主要なインスピレーションソースとなっています。太陽は、文明や神話によって長らく神聖視されてきましたが、資源が不足する現代の文脈において、その普遍的で再生可能なエネルギーが新たな象徴としての意味を持つようになりました。

  このメッセージは、カラーレンジの5つのアイコニックな色調に表れています。Pvparisjuly23francoisdurand2008621

・イエロークレイ ― 陽光に照らされた、黄色い粘土の色で、大地と光の共生を反映しています。力強く控えめで、活気と中立性が融合しています。

・トゥルーオレンジ ― 純粋なエネルギーを象徴する色です。血のように魅惑的で、太陽の中心のように燃えるような色合い。大胆かつ魅力的です。

・シンプルグレイ ― ニュートラルで、鉱物的かつ実用的、最終的にリサイクルされる色合い。

・ダークパープル ― 深みのある色として、ダークなパープル。洗練されたテクスチャー向けの新しい定番色。

・オパールグリーン ― クロロフィル(葉緑素)の冷たく軽いグリーン。バイオロジーとテクノロジーのハイブリッドを喚起する色合い。

 中でも黄色みとオレンジ色の色合いは、24/25秋冬を暖かく明るく照らし、太陽フィルターのように透明に拡散されたり、過度に露出したパターンで強調されたりします。

 太陽の普遍的なメッセージは、男女を問わず調和を促し、幅広いスタイルに適用されます。スポーツアイテムからテーラードやファンタジールックまで、またレトロでカジュアルな美の追求から逆に未来的なエッジまで、コレクション全体に影響を与えているのが、太陽の輝きです。
 

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2023年7月15日 (土)

PVパリ24/25秋冬 ⑹ メガトレンドテーマ「ソーラーヴィジョン」

 24/25秋冬プルミエール・ヴィジョン(PV)パリのメガトレンドテーマは「ソーラーヴィジョン(Solar Vision 太陽の指針)」です。
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 トレンドフォーラムの「インスピレーションフォーラム」では、正面中央に宇宙との交信をイメージさせる、ソーラーパネルを意識したオブジェが木の幹に設置されていました。宇宙と地球の関連性を喚起させる未来的なディスプレーでした。

 今シーズン、プルミエール・ヴィジョン(PV)パリが予測するのは、自然のエネルギーにインスパイアされたクリエイティブなシーズンです。再生可能な太陽エネルギーがサステナビリティを約束し、ファッション業界の再生を促します。
 太陽光が素材のテクスチャーを照らし、新たな光沢とエレガンスが生まれます。このシーズンは、自然循環を重視し、製品のライフサイクルを考慮に入れるとともに、テクノロジーと自然の融合を探求します。植物の力とテクノロジーが結びつき、エシカルでエコな製品開発を進めることが重要です。

 2024/25秋冬は、創意工夫とノウハウを活用し、耐用期間の長い製品を重視するシーズンでもあります。自然の恵みを大切にし、クリエイティブな新たな共存関係を築くことが目指されます。

 ここでPVモード委員長、デゾリナ・シュテールの言葉を紹介します。
 「エコレスポンシビリティは、ファッションにおける新たな挑戦です。プルミエール・ヴィジョンではシーズンを越えて、責任あるソーシングという大きなトレンドに応えながら、バイヤーを可能な限り支えています。
 2024/25 秋冬は、トレンドを 次の3 つの流れで分析しています。一つ目は、ソーラーヴィジョン 、 強大で再生可能なエネルギーの源を象徴的に蓄積します。二つ目は、エレガンスへの流れです。持続可能かつ消費を削減するウエアのために高品質なテキスタイルを製造します。三つ目は、自然からのインスピレーションとデジタルな媒体です。近現代の美学では自然から着想を得ることが求められます。」



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2023年7月14日 (金)

PVパリ24/25秋冬 ⑸ サステナブルファブリックのトレンド

 エコレスポンシブル(環境に責任のある)なアプローチというと、長い間、主に原材料に焦点が当てられてきましたが、実は調達から生産、マーケティング、流通などにも、ドラスティックな変化が起きています。まずは環境への影響は製品のライフサイクル全体に関心をもつ必要があることに注意です。Pvparisjuly23alexgallosi00501
 そのポイントは:
・長持ちするベーシックなデザイン
・セカンドライフを考慮したデザイン
・デザイン・オン・リユース ― 製造の初期段階から、再利用を可能にするデザイン
・デザイン・フォー・リカバリー ― マテリアル・リカバリー(資源回収)を考慮したデザイン

 以上を考察した上で、サステナブルファブリックのトレンドを紹介します。

 2024/25年秋冬は、太陽光など再生可能エネルギーによる環境配慮のソリューションが広がるシーズン。(「太陽」は重要なキーワードです。)
 原材料は、テキスタイル廃棄物や農食産業の廃棄物からの調達に目が向けられるようになります。土壌を弱めたり、生物多様性を減少させたりする集約的な栽培モデルからは距離をおくようになります。
 リサイクルや生分解を容易にする組成が選ばれるなど、多くの素材でサステナブルへの解決策が開発されるとみられています。
 今シーズンのハイライトの一つが、トレーサブルで再生可能なリソースからつくられる、冬の寒さから身を守る暖かい素材です。多様なものが出ていますが、とくにアニマルウェルフェアに則った、動物の福祉を尊重するウールにスポットが当てられています。
 持続可能なアプローチ自体は厳格である必要がありますが、必ずしも視覚的な厳しさを意味するものではありません。実際、環境への影響を軽減したテキスタイルは、魅力的なモチーフや刺繍、ジャカード織、レース、色彩を取り入れたファンタジー溢れるデザインを擁しています。

 トレンドは下記3つの視点に注目です。

〇循環を目指す
 ファッション業界において循環経済への移行が求められています。リサイクルは既に確立され、現在はクローズドループの生産プロセスに向けて進んでおり、ウール、綿、合成繊維、またセルロースからテキスタイルの残渣が再生されています。
 従来のウールや綿のメカニカルリサイクルに加えて、セルロースの残渣や農業副産物から得られるケミカルリサイクルによる人造繊維が広がりを見せており、新規資源にかかる圧力を軽減する手助けとなっています。
 素材リサイクルの可能性を促進するために、紡績プロセスの前段階で長い繊維を選び、製品の品質を向上させることや、機能性の改良や装飾加工の進展もリサイクルを意識して行われます。
 合成繊維は生分解性のタイムフレームを改善しており、適切な条件と特定の添加剤や重合により、その分解速度を数百年から数か月にまで短縮することが可能になっています。

〇長持ちするプロテクション
 化石資源を使わずに寒さや風、雨から身を守る斬新な素材の提案が増えています。
 ポリマー化された自然資源から作られるポリアミドなど、石油化学物質を使用しないバイオポリマーが、撥水性、防風性、防水性を持つニットや織物、膜、コーティングとして開発されています。
 雨などを防ぐ防水加工では、植物性油から作られた天然ワックスコーティングや仕上げを使用する方法も見られます。
 寒さとの戦いでは、環境負荷の低い組成で再発明されたフェイクファーが台頭。とくにバイオポリマーに移行した合繊による、ふわふわで毛足の長い毛皮のようなファブリックやシャーリング効果の再現が目に付きます。
 様々なニットや織物のバリエーションで提供されるウールやリサイクルウールも、短く刈り込んだフェイクファーや長毛の厚手の毛皮風のもの、ウェーブのあるフリースが登場。オーガニックコットンのニットも、ふんわりと柔らかい心地良さを備えた植物繊維のフェイクファーが再来しています。

〇未来を見据えたファンタジーのルック
 ファンタジックな柄もの素材も環境への影響を軽減した新しい製品提案が躍動します。
 プリントはエコな付加価値を持つベースで提案されたものに、単なる技術の披露以上のものがあるとみられています。中でもファッション界にしっかりと根付いているのが、サステナブル認証の森林から調達されたセルロース系素材をベースに展開されるモチーフです。
 織りやデザイン、ハウンドトゥース、ヘリンボーン、チェック柄などは、染色された糸を使わずに、天然素材自体が持つナチュラルなシェードのクリーム色や灰色の色合い、温かみのある茶色のコントラストで表現されます。
 環境負荷を削減したカラーリングのプロセスが増えており、自然の顔料や農業副産物の発酵技術による生野菜染料を使った鮮やかな色合いのものが登場しています。
 レースや刺繍も、花束などの空気感溢れる意匠がリサイクル ポリアミドをベースに構成されていたりします。洗練されたリバーレースも、オーガニックコットンやバイオソース ポリアミドとの新しい組成が特徴です。シークインもリサイクル素材から作られるなど新世代の服飾資材への関心が増しています。
 24/25秋冬は、究極のファンタジーと環境への配慮が融合し、最小限の環境への影響と最大限のビジュアルアピールを兼ね備えたファッションを実現するシーズンです。


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2023年7月13日 (木)

PVパリ24/25秋冬 ⑷ ソーシングソリューションフォーラム

 プルミエール・ヴィジョン(PV)パリの新しいフォーラム、「ソーシングソリューションフォーラム」では、出展者の24/25秋冬ものの中から、最もクリエイティブで質の高い、エコロジーに配慮した素材、約1,500が選択され、展示されました。
 持続可能なイノベーションを取り入れた、より少ない水と農薬で作られる繊維や、農業副産物から新しい資源として変換された繊維、再生可能なテキスタイルやレザーの廃棄物から作られた繊維、また染色、仕上げ、加工では、環境への影響が少ない化学物質を使用したものなどが紹介されました。

Pvparisjuly23alexgallosi00111  フォーラム巡りのガイドツアーも英、仏、伊、独に加えて日、韓、中を含む各国語で行われました。上はその様子を写したものです。

 目立ったのはナチュラル素材です。とくにリジェネラティブ・オーガニック (農場が土壌の健康、動物福祉、労働者に対する公平性のそれぞれで厳格な基準を満たす農法) 認証が話題になっていました。
 また環境負荷の少ない繊維としてリネンやラミーなどの様々な麻素材があちらこちらに。ジュートやラフィア、また中綿にカポックも。農産物残渣を利用したバナナやパイナップル、オレンジファイバーなども。
 リサイクル素材も増え、メカニカルリサイクルやケミカルリサイクルのサンプルが多数登場。
 化合繊で目に付いたのは、生分解性やバイオ由来のものです。ストレッチも従来の代替素材としてリサイクルポリエステルやバイオポリマーベースのもの、綿100%クレープなどのナチュラルストレッチも再浮上しています。
 さらに秋冬シーズンらしいボディをプロテクトする温かい起毛ナチュラル、綿など天然繊維100%のふんわりとしたファーも。
 最後に忘れてはいけないのが、サステナブルな染色加工法です。環境にインパクトを与えないプロセスによるものや、植物などから抽出した染料使い、リサイクルカラー、コットンやウールで未染色のものにも注目が集まっていました。

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2023年7月12日 (水)

PVパリ24/25秋冬 ⑶ スマートクリエーションエリア

 PVパリは2017年からファッションの未来を形作る(あるいは形作るであろう)イノベーション、エコデザイン、テクノロジー・ソリューションに特化したスマートクリエーションエリアを設け、出展者のエコレスポンシブルな取り組みを促進しています。
  今期新設されたPVハブのメインエリアが、このスマートクリエーションエリアです。製品の革新性や意外性、必要性などから選ばれた56社が3つのゾーン ― 「スマート・マテリアル」、「スマート・サービス」、「スマート・テック」、そして7月展より新たに「デッドストック」専用エリア(このブログ2023.7.11付け参照)― に分かれて出展していました。

 「スマート・マテリアル」には、革新的な素材、環境に配慮した新しい繊維、染色工程、影響を抑えた化学的ソリューションの素材を有する32社が出展。
 「スマート・テック」は、素材のデジタル化プロセス、トレーサビリティ、環境負荷の測定など、革新的な技術ソリューションに特化した最先端企業20社が集まっています。
 「スマート・サービス」では、新しい認証や責任ある取り組みでサプライチェーン全体をサポートするサービス企業 4社が集結していました。

 日本からは「スマート・マテリアル」ゾーンに、スパイバー(Spiber)とバイオワークス (Bioworks)の2社が出展し、多くのバイヤーを集めていたのが印象的です。

 スパイバーは、日本独自のサステナブル素材である人工たんぱく質「ブリュード・プロテイン」が人気で大盛況でした。
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 とくに好評だったのがコラボ素材で、エイガールズとのエコファーを始めとするカットソーや植山テキスタイルとのミリタリー先染めシリーズだったとのこと。クオリティの高さでバイヤーを惹き付けていました。
 これからは単に原料が良いというだけではなく、いかにクオリティの質を上げていくか、そのセンスが求められているようです。

 バイオワークスは今回初出展のテキスタイルベンチャーです。植物由来のPLA(ポリ乳酸)繊維「プラックス」を打ち出し、瀧定名古屋との協業によるストック販売も訴求。ポリエステル代替素材として高く評価されたといいます。

 日本以外で印象に残った企業を2社ピックアップします。

 アナナス アナム ― ピニャテックス (Ananas Anam-Pinatex)
 ピニャテックスは、パイナップルの葉から生まれたレザー、ヴィーガンレザーです。
Img_38061  開発者は、かつてレザーグッズを作っていたロンドンの「アナナスアナム社」。サステナブルな観点から、これまで農産業の過程で廃棄されていたパイナップルの葉に着目し、パイナップルの葉からセルロース繊維を抽出して、新素材を開発したといいます。
 表面に凹凸のシボがあり、見た目は本革のよう。革より軽く、温もりのある風合いも特徴。耐久性、撥水性があるので、色落ちしにくく、雨の日でも大丈夫とか。
 水や有害な化学物質を使用せず、廃棄物ゼロのクローズドループで作られた織物で、自然な通気性と生分解性があり、葉から繊維が除去されると、残ったバイオマスは天然肥料またはバイオ燃料として使用できます。
 フィリピンの農村地域に雇用を生み出し、パイナップル農家の収入の多様化を可能にする、社会にプラスの影響を与える営利企業であるとも。

 ストラタシス(Stratasys)
 「スマート・テック」ゾーンにまたもや出展していたのがストラタシスです。イスラエルに本部があり本拠地はアメリカのミネソタ州という3Dプリンターメーカーで、生地にドット状の樹脂を打ち、立体的に表現します。Img_38001
 このような意匠は従来の伝統的な方法では作ることができなかったものです。今回もグラデーション状の樹脂打ち技法のものなど、ユニークなコレクションを発表していました。

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2023年7月11日 (火)

PVパリ24/25秋冬 ⑵ PVハブの新しい取り組み

 今期プルミエール・ヴィジョン(PV)パリは、「エコレスポンシブル(環境に責任のある)」を主軸にPVハブを新設するなど、新たな法的規制や消費行動など、変容する業界の課題によりよく応えるための取り組みを強化していました。その具体的なソリューションとしてスタートしたのが新プログラム「ア・ベターウェイ(A Better Way)」と、デッドストック エリアです。
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Pvpictoabetterway  「ア・ベターウェイ」は、環境への貢献をシンプルなピクトグラムで表示するプログラムで、出展社のエコレスポンシブルなイニシアチブの価値を高めることを目的にローンチされました。右がそのピクトグラムです。
 今シーズンこのプログラムに参加した290社(内、日本企業9社)のブースには、直接同ピクトグラムが掲示されました。もちろん出展者リストにも。またフリー配布された「サステナブルなソーシングのためのガイドブック」は、このプログラムを理解するのに大いに有用な資料となりました。
 なお、この「ア・ベターウェイ」プログラムは、2023年11月22日(火)・23日(水)ミラノで行われるデニム・プルミエール・ヴィジョンでも行われ、PVパリ2024年2月展でも継続の予定とのことです。初回の今回は認知度が今一つでしたが、次回はもっと広がるものと思われます。 

 デッドストックの提案は、2023年2月展マーケットプレイスPVで始まり、この7月展ではデッドストック専用業者が出展するエリアが設置されて、この取り組みをさらに充実したものにしていました。Pvparisjuly23alexgallosi74241
 アパレルブランド向けにはアップサイクルでクリエイティブな素材ソーシングを、サプライヤー向けには過去のコレクション在庫を再販売するソリューションを展開、サステナブルの観点から活用が広がっています。
 参加した3社の一つ、ノナソース(Nona Source仏)はLVMHグループによって開設された、メゾンのファッション&レザーグッズ素材を再販するオンラインプラットフォームです。ヨーロッパの若手デザイナーやブランドに、競争力のある価格の高級生地やレザーを提供し、創造的なリユースを推進し、ブースでは残反をハンガー展示して人気を集めていました。またもう一つ、注目されたのがバルセロナを本拠地とするスタートアップ、レコボ(Recovo)です。廃棄物を資源に変えるテキスタイル SaaS プラットフォーム で、このような循環型のシステムを訴求する企業の増加が印象的でした。

訴求。

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2023年7月10日 (月)

PVパリ24/25秋冬⑴ 未来へ更なる変貌を遂げた会期

 今年50周年を迎えたプルミエール・ヴィジョン(PV)パリが7月4日~6日、パリ・ノール・ヴィルパント見本市会場にて開催されました。
 出展企業は45ヵ国1,315 社 (内、軸となるPVファブリックには631社)で、2022 年 7 月展比 10%増です。これを国別にみるとトップはイタリア、次いでトルコ、中国、フランス、ポルトガル、スペイン、韓国、日本の順。
 Photo_20230725002901 来場者は95ヵ国から25,117 名 (内、国外から17,317 名) で、2022 年 7 月展比 7%増と発表されています。    私の率直な感想としては、来場者数は期待していたよりは少なかったと思われます。実際、前回2月展では118か国34,548名が来場したとのことでしたから、それに比べれば大幅減です。これには開幕前に起こった暴動の影響や、オートクチュールコレクションと時期が重なったことなどが挙げられています。
 とはいえ出展者からは「数は多くなくても、然るべきバイヤーと商談した」、来場者からは「2024/25秋冬向けのクリエイティブな提案を発見できた」など、前向きな声が聞かれました。

 プルミエール・ヴィジョン ゼネラルマネージャーのジル・ラボルド氏は、「2022 年はクリエイティブなファッション業界が回復の兆しを見せたが、2023 年は引き続き不安定な世界経済が、消費への圧力や中価格帯の弱まり、インフレという形で業界のプロたちへ影響を与えている。このような状況にもかかわらず、この度 50 周年を迎えたPVパリは、推進と統合の役割を維持し、フランス国外からの来場者が70%を占める 25,117 名の来場者を集結させた。今会期は、アジアからの来場者の段階的だが確かな回復を見せた。とりわけ、中国からの来場者の強い回復が見受けられた」と語っています。

 環境、社会、技術面における大きな課題に対応するため、絶えず進化する業界のために道を切り開いてきたPVパリです。今回はクリエイティブなファッション業界を支える新プログラム「ア・ベター・ウェイ (A Better Way)」をローンチし、サステナブルなファッションに貢献する製品やサービスを展示するエリア「PVハブ」を新設。30 のカンファレンスプログラム、10 のガイド付きフォーラムツアー、新製品とイノベーションに浸る5つのフォーラム―インスピレーション、ソーシングソリューション、アクセサリー、レザー、デザインズが設置されました。

 今期PVパリ7月展は、未来へ向けてさらなる変貌を遂げた会期だったといえそうです。

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2023年7月 9日 (日)

「日本の伝統に光を当てる日本ブランド」寄稿

 日本の伝統工芸が海外で人気を集める中、そうした日本の伝統に光を当てるファッションブランドの動きも目立っています。
  そこで一般財団法人日本綿業振興会発行の機関紙「COTTON PROMOTION コットンプロモーション」(2023年夏号)のコラム「マーケティング・アイ」に、「日本の伝統に光を当てる日本ブランド」と題して寄稿しました。
 本紙と併せてご覧下さい。(下記をクリックすると拡大します)
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2023年7月 8日 (土)

改正障害者差別解消法で企業の合理的配慮とは?

  改正障害者差別解消法が2021年5月に成立し、施行日を2024年4月1日とする政令が、2023年3月14日に閣議決定されました。この法律は共生社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を目的に制定されたものです。これにより、民間企業の障害者雇用はもとより、飲食店や小売店などでも障害のある方に対する合理的配慮の提供が義務化されます。
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 これを踏まえて先般、経営層・管理職向けに(株)ミライロ ディレクターの福田哲也氏による合理的配慮セミナーが開催されました。テーマは「改正障害者差別解消法が成立―2024年4月までに企業が取り組むべきこと」です。氏は、改正障害者差別解消法の詳細と合理的配慮の提供に向けたポイントを語っています。以下、概略をまとめてみました。
   
Photo_20230724115701  まず「合理的配慮」についてです。この言葉は法律や国際条約で使われている単語です。しかし昨今、一般の企業にも使われるようになってきました。その大きな要因が2024年4月から民間事業者に合理的配慮の提供が課せられるようになったことです。これまでは公的機関だけが提供を義務化されていたのです。
 法律で合理的配慮の提供が義務となってくることから、企業は法的義務に準拠した体制構築が不可欠です。企業にとって障害者対応はCSR(Corporate Social Responsibility) という企業の社会的責任ではなく、コンプライアンス(法令順守)で語られる時代になりました。
 (株)ミライロが運営する民間事業者による委員会である合理的配慮推進委員会では、昨年300社の事業者に合理的配慮の実態調査を実施したそうです。これによると日常生活で合理的配慮が不十分と思うシーンの1位は予想通り「仕事や職場」、2位が「公共交通機関」、3位が「日常のお買い物や飲食等のサービス提供」だったといいます。また注目に値する意見としては、公共交通機関の利用で、視覚情報を頼りに移動することが多いのに、音や音声の情報が多く字幕などの視覚情報が少ないことや、動画コンテンツが増えたにも関わらず、字幕がなく情報が取得できない、聴覚障害者にとって飲食や買い物での文字情報が足りないなどがあったとか。
 次に改正障害者差別解消法について、今回の法改正の要点は、①障害を理由とした不当な差別的扱いの禁止、②社会的障壁を取り除く合理的配慮を行うことときっぱり! 不当な差別的取り扱いの具体例としては、入店や乗車を拒否する、本人を無視して付き添いの人にだけ話しかける、窓口での対応を拒んだり順序を後回しにしたりする、などがあるといいます。
 そして何よりも重要なのは「障害の社会モデル」の考え方、と明言しました。「障害の社会モデル」とは、「障害は人ではなく、環境にある」とする思考です。つまり個人の心身機能に原因があるとする「障害の医学モデル」ではない、社会の側に原因があるとする問題意識で、これは一過性のものではない大きな潮流になっていると指摘しました。

 さらに合理的配慮のポイントを5つ挙げて紹介しました。
 1つ目は、社会的障壁(バリア)を知ることです。バリアには段差などの物理的バリアや制度的なバリア、文化・情報のバリア、意識上のバリアがあります。これらのバリアは障害者自身が努力して障壁を克服するのではなく、障壁を取り除くのはむしろ社会の側にある、私たちの責務であると捉え直すことが重要と語気を強めます。バリアは機会の不平等につながります。合理的配慮が必要な理由は、社会的障壁により生まれる機会の不平等を正すためなのです。
 2つ目は、人によって必要とする合理的配慮は異なることです。障害者といっても身体障害436万人45%、精神障害419万人(44%)、知的障害108万人(11%)がいて、身体障害も多種多様です。それぞれに応じた合理的配慮が求められていることを改めて認識することがマストです。
 3つ目は、不特定多数の障害者を想定した事前準備が効果的であることです。合理的配慮を提供するためには、不特定多数の障害者を想定して事前に準備を行うことが重要で、この準備がないと、提訴やトラブルの一因になります。車椅子での入店を拒否したスボーヅジムに33万円の支払いが命じられるなど、我が国でも様々な事例が出ています。訴訟となって社会的評判を落とすことになれば影響は大きいですし、これを防ぐには、従業員や現場に任せるのではなく、事業者が組織として推進することが必須と力説しました。
 4つ目は、合理的配慮は会社全体で求められることといいます。自社の企業価値を高めるためにも、自部門だけではなく会社全体で取り組むことが肝要です。
 5つ目は、自社の現状を適切に把握することで、施設や製品のUD対応、従業員研修等のソフト対応、情報アクセシビリティの対応、コミュニケーション支援の対応、相談体制整備の対応、新技術による負担軽減の対応など、障害者対応度を正しく理解することが大切と強調しました。
 
 米国では日本より一足早い1990年に障害持つアメリカ人法 ADA (Americans with Disabilities Act)が制定され、民間でも合理的配慮が法的に義務化されました。これにより訴訟件数は8年間で320%増加したといいます。ネットフリックスもストリーミングビデオに字幕がなかったことから75.5万ドルの支払い命令を受け、以後アクセシビリティの向上に力を入れているとのことです。この傾向は日本でも徐々に表れるとみられています。
 障害のある方への合理的配慮の提供はもう待ったなし、です。企業の合理的配慮への取り組みが期待されます。

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2023年7月 7日 (金)

テックスワールドエボリューション パリ2023中国勢目立つ

 パリに来て、今回から会場をパリ市内のポルト・ド・ベルサイユ展示場に移転した「テックスワールドエボリューション パリ2023」に行ってきました。今回もプルミエールヴィジョン・パリよりも1日早い7月3日からの開催で、私が訪れたのは最終日の3日目でした。会場がこれまでよりもずっと近くなり、地下鉄で行けますので便利です。

 本見本市は、アパレルソーシング(Apparel Sourcing)、アヴァンテックス(Avantex)、レザーテックス(Leatherworld)、そして25周年を迎えたテックスワールド(Texworld Paris)の4本立てで、27か国1,350社が出展し、来場者は3日間で6,800人と発表されています。
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 場内で目立ったのは中国勢です。全1,350社中、900社以上を占め、中国素材に絞ったトレンドコーナー(上の写真)が新設されるなど、経済再開からわずか6か月後で、強力な存在感を放っていました。次いで韓国、インド、地中海諸国、トルコです。日本関連の出展は豊島の中国法人のみでした。
 展示で目に付いたのは、サステナビリティ(持続可能性)へのアプローチです。多くのメーカーがこの課題に取り組む中、とくにパキスタンと台湾企業の高度に専門化された製品ラインアップでのアピールが注目されました。パキスタンのデニム製造大手クレセント・バウマン (Cresent Bahuman Ltd)は、廃棄するインディゴ染料を、製品染めで再利用する「リ・インディゴ」を、また台湾のワイニスト・リテール・ソリューションズ(Wynist Retail Solutions)は、布切れや古着から店頭ディスプレイ(ユニクロやルルレモンで見られる)を製造するアップサイクルプロセスを提案していました。
 ファッションテック企業を集積したアヴァンテックスでは、アヴァンテックス ファッション ピッチ2023(Avantex Fashion Pitch 2023)に選ばれた8社に目が行きます。グランプリはオランダのAwareTM社が開発したトレーサビリティ システムで、衣服リサイクルを促進するため、スキャナを使用して衣服の正確な組成を決定するというもの。フランスのInduo社のRefactも、あらゆる種類の繊維をリサイクルし、環境負荷の非常に低い新しいビスコース繊維の製造プロセスを工業規模で開発することを可能にしたソリューションにより、特別賞を受賞しています。
 Img_34171  アパレルソーシングでは、南アフリカのクリエーションにスポットライトが当てられ、上の写真のようにAllfashion S.A.が主催する南アフリカ若手デザイナーのコンペティション優勝者の作品展示が行われていました。

 トレンドフォーラムは「アフター・ユー(お先にどうぞ)」をテーマに、下記4つのストーリーで構成。
 このテーマはドイツ思想家ウォルター・ベンヤミンの人間の歴史や文化に関する考え方を反映したもので、「人間が自分自身と自然から遠ざかってしまったことで、自分たちの滅亡を美しいものとして感じるようになった」という概念です。

イン・メモリアム (in memoriam) 記念碑
 地球上に生息していた生物の99%以上が絶滅した世界をイメージ。
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イン・ヴィトロ (in vitro) 試験管内
 生命誕生のイメージ。Img_34251 Img_34271

メメント・モリ (memento mori) 死を想え
 「死を意識することで今を大切に生きることができる」
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アド・ヴィタム(ad vitam) 命に
 永遠の生命、私たちは宇宙の一部。
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2023年7月 6日 (木)

パリに来て 真夏の風物詩あれこれ

 またまたパリに来ました。昨年からプルミエール・ヴィジョン・パリが7月開催となったためです。7月3日の夜便で4日早朝にパリに到着しました。
 5か月振りのパリの街で、今回「オヤッ」と思った真夏の風物詩あれこれをご紹介します。
 
ノートルダム大聖堂がほぼ元の姿に
 セーヌ河岸から見たノートルダム大聖堂が、正面から見るとほぼ元の姿を取り戻していました。2019年4月に大火災に遭った大聖堂です。再開にはこの先何年もかかる、と絶望していました。それが来年のオリンピックに向けて突貫工事が行われて、ここまで復興したことに驚かされました。Img_50141_20230717204701
 2024年オリンピックは、セーヌ川で開会式が行われることになっています。各国選手団は入場行進の代わりに、約160隻の船に分乗して川を下るとのことです。その出発点がこのノートルダム大聖堂のある辺りになるようで、外観だけでも修復が間に合うとよいのですが----。

ソルド(バーゲンセール)一
 パリに来たらいつもショップ巡りをする私です。でもあいにくお店はどこもかしこもソルド一色で、新しいものが入っていなくて残念でした。
 Img_45261jpg  
 上はプランタン百貨店のソルドのディスプレーです。黄緑色で統一されて、セールの見せ方も洗練されています。
 フランスはセール期間が政府主導により定められていて、開催日は夏も冬も統一され、各店が同じ日付に一斉に値下げを始めます。今年は6月28日~7月25日ですが、話によると、売り上げは伸びていないそうです。原因は、日本でもニュースとなった、あのフランス警察による少年射殺事件に端を発する深刻な暴動と、時期が重なったためとみられるといいます。社会を揺るがす事件の影響は計り知れないものがあるようです。

草間彌生氏の巨大像からルイ・ヴィトンのロゴ撤去
Img_50121  サマリテーヌ百貨店前には、この3月に設置された草間彌生氏の巨大な人形が立っていました。この人形像が手に持っているバッグにはルイ・ヴィトンのロゴがついていたそうですが、今回行ってみると、ロゴマークは跡形もなく、撤去されていました。
 Photo_20230717204801  バッグはルイ・ヴィトンが販売するレプリカで、そこにロゴが見えたことからエコロジストの怒りを買い、パリ市議会に撤去要請が出されていたといいます。
 公共空間におけるアートと商業的プロモーションの境界線について疑問を投げかける事件です。フランスらしい出来事ですね。

レンタル電動キックボードに「ノン」
 パリ市はこの4月にレンタルの電動キックボード事業継続の是非を問う市民投票を行い、結果、「ノン」が9割に達したとのことです。レンタルの電動キックボードは9月から廃止されることとなりました。
 Img_64091_20230717204601 この影響か、今夏は電動キックボードが昨夏よりずっと少なかったです。
 とはいえ右のような2人乗りや飲酒運転、スピードの出し過ぎなど、違反は絶えない様子です。
 電動キックボードを安全に使用するための仕組み作りをしてきたパリ市ですが、規則はあっても守らない人が多くいて残念でした。
 日本では逆に7月から解禁となりました。パリ市の政策を参考に、といえ安全が懸念されますね。

花を盛る「造花カフェ」
 パリでは昨年来、ファサード部分を造花で盛った「造花カフェ」が増えています。
 Img_50241  
 上は私が宿泊したホテルの前のカフェ・レストランで、ブーゲンビリアのような花が飾られていました。
 人が多いのはいいのですが、夜は10時頃まで明るいこともあって、楽隊が来たりして真夜中を過ぎても騒がしいのです。近所迷惑はなはだしいのに、誰も文句を言いません。私は静かな部屋に替えてもらいました。

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2023年7月 5日 (水)

ソーイング竹内から学ぶ縫製工場のサステナビリティ

 兵庫県西脇市は播州織と言われる先染め綿織物の産地として有名です。この播州・西脇産地に環境配慮型の縫製工場があることを知り、興味を持ちました。工場は、昨年創業40周年を迎えた「ソーイング竹内」です。
  先般その3代目次期後継者で弱冠29歳という若さの竹内祐太氏が登壇するセミナーが、ファッションビジネス学会 FashionGood研究部会主催で開かれ、拝聴しました。テーマは「ソーイング竹内から学ぶ縫製工場のサステナビリティ」です。

  お話によると、「ソーイング竹内」は国内の繊維産業においてサステナビリティと叫ばれるようになる遥か以前から環境経営に取り組んでいる異例の企業です。2004年に環境省がISO14001の中小企業版として制定した「エコアクション21」と呼ばれる環境マネジメントシステムを取得、それも21番目という早さで認証され、エコアクション21オブザイヤーソーシャル部門環境大臣賞金賞受賞したといいます。
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 社屋には「ECO-FRIENDLY FACTORY (エコフレンドリーファクトリー)」の文字が大きく掲げられています。(写真は同社提供) エコアクション21への真摯な取り組みが目に見えるようです。
 このほど40周年を記念し新たなヴィジョンとして「NEW Nu COMPANY 人と想いを縫い合わせ、新しい価値を創造する」を策定。従業員27名で女性が多い工場は、明るい雰囲気で、およそ縫製工場らしくないとも。
 環境と調和した経営を行っていく、きっかけとなったのは、創業当時から大切にしてきた言葉「もったいない」の精神だそう。それがいつしかSDGsと呼ばれるようになったとか。とくにエコアクション21が決定したことで金融機関による関連融資とともに社会からの信頼を獲得、総合的な環境対応が可能になったといいます。
 同社にはキッチンファブリックブランド『BF KITCHEN』があります。これは環境配慮型の縫製工場であることを世に伝えるために立ち上げたもので、今ではこれが大きな稼ぎ頭になっているといいます。縫製工場は縫製の仕事だけでは持続可能ではない、との本音も聞かれました。
 ソーラーパネルにより発電される電力で、地場産業である播州織の生地を使い、播州織博覧会に参加して地域と連携、廃棄物のアップサイクルなども行って産地に貢献、ウクライナへも大量のマスクを寄贈するなど、社会貢献活動にも励まれているとのことでした。

 SDGsの17のパートナーシップで目標を達成しよう、の意識をもって、その11の住み続けられるまちづくりに徹底的に取り組みながら、包括的に他の目標達成もできていると胸を張る「ソーイング竹内」。その環境経営がなぜ高く評価されているのか、その理由が分かった気がしました。

 このような縫製工場が日本にどんどん増えてくることを願っています。

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2023年7月 4日 (火)

ヒット商品を生み出す『インサイト思考』とは?

 先般開催された日経セミナー「原田曜平氏に学ぶ隠れたニーズの発掘術」で、原田曜平氏がWebinar202305121 「ヒット商品を生み出す『インサイト思考』とは?」について語っています。
 氏はご存じの通り、日本や世界の若者の消費・メディア行動研究及びマーケティング全般の専門家として、一目も二目も置かれる存在です。『インサイト思考』とは何か?を実例を挙げて、分かりやすく解説されていますので、簡単にまとめてみました。
 
 隠れたニーズとは「インサイト」のこと、それをどう発掘するかという、お話です。
 よく聞かれる「インサイト」という言葉は、辞書では「洞察」ですが、これでは分かりにくい。そもそも和訳しにくい言葉といいます。
 なぜインサイトが大切かというと、すべてのヒット商品・広告・サービスには必ず強いインサイトがあります。だから強いインサイトが何かが分かれば、逆算してヒット商品をつくれるのです。氏の著書「それ、なんで流行ってるの? 隠れたニーズを見つけるインサイト思考」で、「インサイト」は「そう、それ! 」と訳しているとのことです。

 次に、海に浮かぶ氷山を例に、「ニーズ」と「インサイト」の違いを説明しました。
 氷山の海面上に出ている部分(全体の10%)が「ニーズ」で全体の10%、海中にある部分(全体の90%)が「インサイト」というわけです。すなわち「ニーズ」は顕在化しているのに対し、「インサイト」は潜在化しているニーズであり、未充足のニーズといいます。
 この潜在化しているニーズを突くことで市場を新しいものにすることができるのです。それではどうすればインサイトを発見することができるのでしょう。それにはやはり綿密な調査・分析が必要のようです。例えば「飢餓調査」もその一つと紹介され、なるほどと思いました。

 最後に「インサイト」についておさらいします。
・インサイトとは、消費者の「未充足ニーズ」のことである
・インサイトは、全てのヒット商品・サービス・広告に必ず含まれている
・インサイトは、商品・サービス・広告制作においてもっとも大切な要素の一つである。
・インサイトは、得意先を説得する上(プレゼン)で最大の武器となり得る
・インサイトは、消費者を動かすツボなので最大の武器となり得る
・インサイトは、自分の最大の自信となり得る

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2023年7月 3日 (月)

ザ・コンランショップ 代官山店 シャルル・ムンカ新作個展

   この4月末にオープンした「ザ・コンランショップ」代官山店は、世界初の「ローカルで自主編集するショップ」という触れ込みの店です。アジアに焦点を当てているといいますが、先日、初めて訪れて、静謐な“和モダン”の佇まいに魅せられました。ここには日本の美意識に通じる、創業者テレンス・コンランのデザイン哲学「無駄なく、シンプル、実用的」の精神がすべてに活かされているようです。

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 この空間で今、世界中の“試し書き”をアートに昇華するアーティスト、フランス人アーティストのシャルル・ムンカ(Charles Munka)の新作個展が開かれています。
 ムンカは、フランス・リヨン生まれで、2000年にフランスを離れ、東京、上海、香港を経て、2018年から新潟県佐渡市を拠点に制作を行っているとのことです。世界各国を旅しながら20年以上にわたり文具店で見かける「試し書き用紙」の蒐集を続けていて、今回の個展では、ペンや鉛筆などの「試し書き」として他人が残した線、文字や記号などのモチーフをサンプリング・リミックスして組み上げた作品シリーズ「Tameshigaki(lignes de vies)」を初公開しています。 

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Img_05431_20230702173901  “和モダン”のミニマルな設えに、ムンカの “試し書き″ 作品が所々、壁面に散りばめられ、ステキな空間を構成していました。

 本個展は東京のクリエイティブスタジオ「INS Studio」でも同時開催されていて、「INS Studio」が7月16日まで、ザ・コンランショップ 代官山店が7月18日まで。会期終了後は、大阪に巡回して7月28日から展示が行われるとのことです。

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2023年7月 2日 (日)

ハンガリー大使館「未来へ続く!ハンガリー刺繍の装い」展

 今、東京・麻布十番のハンガリー大使館文化部リスト・ハンガリー文化センターで、「未来へ続く!ハンガリー刺繍の装い」展が開催されています。
 ハンガリーで活動するデザイナー9名による、伝統と現代ファッションが融合するアートワークを軸にした展示で、ハンガリーの文化を新たな形で未来につないでいこうというデザイナーのポジティブな意欲が感じられます。
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   写真中央の黒いドレスはデザイナーのクリストン・ギトカ氏によるフリーダ・カーロに刺繍を施した黒い綿のTシャツと刺繍付きベルトの黒いチュールスカートのセットです。

Img_32961  上は、デザイナーのヘーヤ・ヤーノシュ氏によるハンガリー風民族舞踊衣装です。

Img_32871  上は、伝統的なハンガリー刺繍の民俗衣装です。

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 左は、“カロチャ”刺繍で、カロチャという町を中心とする地域に伝わる、色鮮やかなお花をモチーフとした刺繍だそう。カットワークのレース地に彩り豊かな花模様が魅力的で、おしゃれ心をそそります。
 右は、“マチョー”刺繍です。ハンガリー北東部に位置するマチョー地方で誕生し、約150年もの間継承されてきた伝統的な刺繍で、2012年ユネスコ無形文化遺産にも登録されたといいます。豪華なデザインが特長で、着飾ることを大切にしてきた民族の誇りを感じさせます。 

Img_33121_20230702161601  上は、世界でたった11人の職人しか保持していないというレースの女王、“ハラシュ”レースです。フリブナーク・デュンデ氏の作品の胸元に飾られていました。キシュクンハラスに伝わる美しいニードルレースで、繊細な手仕事の技に驚かされます。

 会期は11月10日まで。この間、ワークショップやレクチャー、民族舞踊などのイベントも盛りだくさんとか。訪ねてみてはいかがでしょう。

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2023年7月 1日 (土)

竹林に咲く朱赤の花 ヒメヒオウギズイセン

 梅雨の晴れ間、竹林の前に群生しているのがヒメヒオウギズイセンです。炎のように鮮やかな朱赤の花が今を盛りに咲いていました。

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 道端や川岸でよく見かけるアヤメ科の多年草で、特段何の変哲もありませんけれど、竹林をバックにした姿は格別でした。

 明治時代に渡来して野生化し、全国に広がってメイワク植物とされているそうですが、花はキレイです。よく見ると花は下向きに咲いています。  
 花言葉は「謙譲の美」とか。名前のヒメヒオウギ(姫檜扇)の名称も可愛らしい、夏のスイセンです。

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