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2023年5月

2023年5月31日 (水)

2024年春夏ミラノウニカ「流行色2023 SUMMER」掲載

0142 この5月に発行された「流行色 2023 SUMMER No.613」に、今年2月に開催された「2024年春夏ミラノウニカ」の柳原美紗子の記事が、掲載されました。

 本誌にその概要や発表されたトレンドテーマやカラー、素材の特徴などを4ページにわたり解説しています。どうぞご覧ください。Jafca24ss1 Jafca2

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2023年5月30日 (火)

レスリー・キー写真展「A Tribute to Richard Avedon」

 今、朝日新聞デジタルのファッションページでナビゲーターを務めるレスリー・キー氏の朝日新聞ファッションマガジン第2号記念写真展が、渋谷区神宮前のX8ギャラリーで開催されています。

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 キー氏はシンガポール出身で、日本を拠点に世界的に活躍する写真家です。ファッション写真およびアート写真の分野で大きな成功を収めたアメリカの写真家、リチャード・アヴェドン(Richard Avedon)氏を誰よりも尊敬しているのだそう。
 本展はそんなキー氏が、リチャード・アヴェドン氏へのトリビュート「A Tribute to Richard Avedon」をテーマに、世界各国でセレブリティ、モデル、ファッションデザイナーなどを撮影、時代の先端を斬新に切り取った写真をズラリと並べた展覧会で、まさに壮観!

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 開催は6月30日までです。

です。

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2023年5月29日 (月)

超複製技術時代の芸術:NFTはアートの何を変えるのか?

 今、アートの世界でブームになっているのがNFT(偽造・改竄不可能なデジタル証明書)です。このNFTに関する企画展「超複製技術時代の芸術:NFTはアートの何を変えるのか?― 分有、アウラ、超国家的権力 ―」が、表参道のGYRE GALLERYつい先頃まで開かれていました。
 「NFTアートは芸術を投機的な金融商品に変えるものに過ぎないのか? あるいは、既存の社会や芸術のルールを破壊し、表現の解放をもたらし、新たな歴史を描き出すものになり得るのか?」、考えさせられる展覧会でした。

  Img_26621_20230609185201 気になった作品をいくつか紹介します。

  入って最初に迎えてくれるのが、右のチームラボ『MATTER IS VOID(実態とは空虚)』です。
 墨で書かれたようなグラフィティ風の作品で、チームラボらしからぬダークな雰囲気。
 この作品のNFT所有者は、作品内の言葉を自由に書き換えることができ、それにより作品の価値が変化します。
 所有とは何かを模索する作品です。

鎌谷徹太郎『The Dream of Butterfly』
 中央にあるのは花に覆われた髑髏です。死をイメージした作品で、背景には何と無数の蠅の死骸が樹脂で閉じ込められているとか---。華やかさの裏にはゾーッとする不気味さが隠れているのですね。
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森万里子『Eternal Mass』
 取引自体が生命の循環に変わっていく、経済活動を生命の循環に変換するというようなNFTならではの作品といいます。なんとも難しい。Img_26731

レア・メイヤーズ『非真正性の証明』
 ジェフ・クーンズの「BALLOON DOG」を3Dデータでコピーできたとしても、それの真正性は証明書にあるという作品です。Img_26841

施井 泰平『IT Ⅱ』
 なぜか本棚でウキウキしちゃう人、そんな人のために本の表紙で作った本棚パネルだそう。Img_26771

高尾俊介『Generativemasks』
 マスク(仮面)のプロジェクト。Img_26791

 今後NFTはどのような方向に進んでいくのでしょうか? 
 アートの最先端にほんのちょっぴり、触れたひと時でした。

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2023年5月28日 (日)

24春夏栃尾テキスタイルコレクション「おりなすとちお」

 新潟県栃尾産地の2024春夏テキスタイルコレクション展が、5月18日~19日、東京・表参道の新潟館ネスパスで開かれました。出展したのは全8社で、その内2社がニットです。
 栃尾産地では、天然繊維や化合繊など太さが異なる糸を用いた産地オリジナルのブランド生地「おりなすとちお」を展開しています。今シーズンも各社一丸となってブランド化に取り組んでいたのが印象的です。

 中でも、目新しく感じられた展示を紹介します。

Img_26531 (株)ハセック
 春らしいやさしさに包まれた、淡い色使いの先染めに、バランスよくプラスした刺繍レースがロマンティックです。


かざぜん(株)
 紬織物の老舗で、極細の絹糸地に太い綿糸や麻糸を格子状に織り込んだものなど、夏向けの涼感のあるキモノ素材を出品していました。
 よろけ織のランプシェードやバッグなどインテリア小物も目立っていました。
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山信織物(株
 ツートンのファンシーなドビー織物に目が留まりました。
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栃尾ニット(株)
 独特のうねりのある3D効果に、魅せられました。Img_26461

(有) 白倉ニット
 他にないアートな演出にビックリ! 遊び心のあるクリエーションに勢いを感じました。
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2023年5月27日 (土)

「クオン」旗艦店  “ボロ”に脚光を当てる

 以前から日本の“ボロ”着物に興味を持っていた私。浅草にあった“ボロ”着物のコレクションを展示していた「アミューズミュージアム」が2019年に閉館してしまい、残念に思っていました。ところがその翌年、コロナ禍に突入した年ですが、“ボロ(BORO襤褸)”をシグネチャーとする「クオン(KUON 久遠)」が東京・神宮前に旗艦店をオープンしたのです。訪ねてみたいと思いながら、ずっとそのままにしていました。
 ちなみに「クオン」は2016年から石橋真一郎(Shinichiro Ishibashi)氏がデザイナーを務めている、古着や古い布の持つ文化を取り入れ、時代に左右されないシンプルなかっこよさを追求しているブランドです。
   
 その旗艦店は地図があってもわかりにくい場所にあり、先日ようやく探し当てて見に行ってきました。
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 入口には提灯が飾られていて、ショップは由緒ありげな町屋風のつくりです。店内には選び抜かれたコレクションがハンガー展示されています。

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Img_26361jpg_20230609121701  中でも注目は、“ボロ”に脚光を当てた「シグネチャーシリーズ」です。
 厳選された100年以上前の生地を、職人が手作業でジャケットやブルゾンに再構築したものといいます。
 右は、つい最近までイタリアのサルヴァトーレ・フェラガモの展示会に貸し出されていたジャケットだそう。
 このように同ブランドの“ボロ”服は、世界中のミュージアムやギャラリーに何度も貸し出されて巡回しているのです。

 日本語の“ボロ”は今ではもう“BORO”となり、世界共通語になっています。
 大切な布を極力捨てない、日本の“もったいない”精神で、庶民の日常生活の工夫から生まれた刺し子やパッチワーク技術が、今や“BORO”として世界で認知されているのです。
 前回のプルミエ―ル・ヴィジョン・パリで「メゾン・デクセプション」に出展したハングルース (このブログ2023.2.27付け参照)も、日本ならではの「デニム ボロ」を出品し、そのこだわりの加工に大きな関心が集まっていました。
 どんなに貧しくてもおしゃれ心を忘れない、日本の美意識のなせる技が今、とくに若者たちを中心に受け入れられ現実のものになっています。
 「新しいものは古くなるけれど、美しいものはいつまでも美しい」。この「クオン」の考え方に、改めて共感したことでした。

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2023年5月26日 (金)

「ミゼン」伝統技術担う職人が主役のラグジュアリーストア

 先日、以前から訪れたいと思っていた「ミゼン(MIZEN)」に行ってきました。ここは昨年末に南青山にオープンした路面店で、伝統技術を担う職人が主役の次世代ラグジュアリーを目指すストアです。
 その日は定休日だったのですが、特別に入れていただきました。

 2階に上がると、そこは明るく閑静で居心地のよいショップです。
Img_26251  石川県の「牛首紬」や福岡県の「久留米絣」、鹿児島県「大島紬」、青森県「こぎん刺し」、山形県「米沢織」、茨城県「石下結城紬」、愛知県「有松鳴海絞」、京都府「リボン織」など日本の伝統工芸品がズラリと並び、職人たちが丹精込めて製作した布で仕立てたジャケットやコート、スカートなどが揃っています。
 店内を案内してくださったのが、幸運にもミゼン代表でデザイナーの寺西俊輔氏でした。元「エルメス」のデザイナーだった方です。
 お話を伺うと、月毎に異なる伝統工芸品にスポットが当てられていて、私が訪問したときは久留米絣でした。ちなみに寺西氏はトンボ柄の久留米絣のシャツを着用されていました。前月は奄美大島の泥染めだったそうで、次月は有松鳴海絞とのことです。その多くがプルミエール・ヴィジョン・パリの「メゾン・デクセプション」にも出展していた工房で、どこのメーカーのものか、すぐに思い当たりました。

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 私が注目したのは、下川織物の久留米絣とニットを組み合わせたアイテムです。着物のように極力、裁断線を少なくしたカットで、間のゆとりのあるフォルムになっています。羽織り型ジャケットは後ろ見頃がニットで、着心地よさそうです。寺西氏によると、織物とニットを接ぎ合わせるリンキングが可能な工場は少なく、新潟県にあるニッターに依頼してつくったとのことでした。

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 生地は着物の小幅をそのまま使い、職人の負担にならないデザインの服に仕上げています。人にやさしいラグジュアリーを実践されていることもすばらしいと思いました。

 「ミゼン」はこんな風に、全国の職人の製品を現代のライフスタイルに合わせ企画・販売、職人と消費者をつなぐプラットフォームとしての役割を担うメゾンです。商品は各自治体と交渉し、ふるさと納税返礼品として出品していくといいます。
 その目標は、高度な技術を持つ職人の地位向上と産業の持続可能性を高めること、そして世界進出を視野に日本のラグジュアリーブランドを発信することだそう。大いに期待しています。

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2023年5月25日 (木)

「コットンの日2023」⑺ コットン・アワード2023 表彰式

 「コットンの日2023」イベントの最後を飾ったのが、「コットン・アワード2023」表彰式です。
 今年は日向坂46の影山優佳さんにアワードが贈られました。
Photo_20230608155201  影山さんは日向坂46で活動するだけではなく、「環境カオリスタ検定」や「薬学検定」など複数の資格を取得しているという知性派アイドルです。昨年のサッカーワールドカップの放送では解説、戦術分析を行うなど、その幅広い活躍がオールマイティなコットンのイメージにふさわしいと選ばれました。

 受賞インタビューで、コットンUSAについて問われて、「以前、環境カオリスタ資格の勉強をしたときに、SDGsや植物など様々なことを習得し、これをきっかけにアメリカ綿や環境への配慮、綿農家さんのことを学びました。サステナブルに配慮した商品が広がって、サステナブルに配慮した商品を手に取ってみようと思う人が1人でも増えれば、素敵な世の中になるのではないかと思っています」とコメント。またコットン製品に関して、「子どもの頃、両親がなるべく肌に負担がかからないようにと、コットンの服を着ることが多かったです。最近ではコットン製のマスクが日向坂46のメンバーやメイクさんの中で話題になり、長時間付けても肌への負担が少ないので愛用しています」などと話していました。

 清楚な白いフリルのドレスがよく似合う影山さんは、コットンの持つやさしさや爽やかさ、ナチュラルさなど、コットン・アワードにピッタリ!カワイイ笑顔が印象的でした。

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2023年5月24日 (水)

「コットンの日2023」⑹ 講演「サステナビリティ及びグローバル・サプライチェーンにおけるトレーサビリティ」

 「コットンの日2023」イベントで講演のトリを務めたのは、チェーシングベターコンサルタンツ(Chasing Better Consultants)代表ゲーリー・ベル(Garry Bell)氏でした。氏は「サステナビリティ及びグローバル・サプライチェーンにおけるトレーサビリティ」をテーマに、U.S.コットン・トラスト・プロトコル(USCTP)プログラムが、どのような価値を提供することができるか、スピーチしました。

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 サステナビリティと環境データから世界の業界動向、サプライチェーンのトレーサビリティについて語りながら、世界のファッション/テキスタイル市場で現在、もっとも重要なのがサステナビリティとトレーサビリティであると解説。U.S.コットン・トラスト・プロトコル(USCTP)は、その双方を担うベストなプログラムであると強調しました。
 まずサステナビリティでは、USCTPが手掛けているサステナブルな綿花生産のための基準作りに不可欠な、しっかりした環境データの重要性を指摘。土地利用や土壌炭素、水管理、土壌侵食、温室効果ガス排出、およびエネルギー効率に関する 6つの主要なサステナビリティ指標における継続的改善を推進していることを説明しました。
 次にトレーサビリティでは、最近、声が高まっている強制労働関連法案もあって、重大性が認識されるようになってきたといいます。USCTPではテキスタイル・ジェネシス(TextileGenesis)のブロックチェーン技術を採用し、綿花繊維に関連するサプライチェーンの透明化を計っていることを紹介しました。
 さらに消費者の意向は今後大きく変わる可能性があると指摘。最近のある消費者調査によると、消費者の65%がサステナビリティを推奨するブランドを購入したいと答えましたが、実際にそうしているのはまだおよそ26%に過ぎなかったのです。この状況は約20年間変わっていません。これには信頼できる持続可能性のブランドの取り組みを知らないか、気候変動や持続可能性の問題に関するブランドの主張を信頼していないか、どちらかでしょう。しかし売上高1兆円を占めるトップ100のファッションブランドが、2025年までに100%サステナブルでトレーサブルな製品を実現することを目標に設定しています。変化は着実に訪れているのです。
 最後に氏は、私たちは数多くの課題に直面していると同時に機会も多いと考えている、といいます。「私たちがつくり上げたUSCTPは、長期的価値と繁栄を生み出すのに役立つ、世界最高の綿繊維のサステナビリティプログラムと信じています。力を合わせて前進しましょう!」と述べて、講演を終了しました。

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2023年5月23日 (火)

「コットンの日2023」⑸サステナビリティ特別講演福田稔氏

 「コットンの日2023」のサステナビリティ特別講演に(株)ローランド・ベルガーのヘルス&コンシューマーチームリーダー、福田稔氏が登壇。「アパレル・繊維業界に求められるサステナビリティ対応」と題して講演しました。今後のサステナビリティ戦略に対する示唆に富む内容で、大変興味深かったです。その概略をまとめてみました。

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 冒頭、アパレル産業では環境破壊や資源の無駄使い、人権侵害等のサステナビリティ関連問題があり、とくにCO2排出による地球温暖化は深刻と指摘。1.温室効果ガス排出による地球温暖化問題、2.環境破壊、3.資源の無駄遣い、4.人権侵害、5.動物愛護問題の5つを挙げ、中でも最も重要なのは1.の気候変動問題と明言しました。現在の枠組みでは気温を1.5度上昇以内に抑えることは難しく、更なる厳しい規制が必要な状況。アパレル業界の温室効果ガス排出は全産業の内約8%と極めて高く、地球温暖化抑制へ向けた責任は大きい。しかもCO2排出量の内8割以上がScope(スコープ) 3の調達したアパレルに起因しているとのことです。ナイキなど先行企業は自らScope 1/2/3のCO2排出量を測定し、カーボンニュートラルに向けた中長期削減目標を開示し始めていますが、もっとも困難なのがScope 3で、ものづくりから出るCO2をいかに減らすかが大きな鍵といいます。

 次に、欧米諸国の環境負荷低減を目的とした法規制の動きを紹介。世界のアパレル企業では、2010年代からサステナビリティへの意識が浸透し、2011年にSAC(サステナブルアパレル連合Sustainable Apparel Coalition)が設立されました。これはグローバルアパレル市場の売り上げの約3割が加盟する最大のNGO です。2012年には環境・社会負荷の測定ツール「ヒグ・インデックス (Higg Index MSI)」を開発し、同ツールを用いた情報開示を取引条件にする企業が増えています。しかし課題は二つあり、一つは合繊の方が天然繊維よりも数値が低く環境負荷が低くなっていること。自然界で生分解しないマイクロプラスティックを排出しているデメリットが数字で反映されていないといいます。もう一つは原産地の差が加味されていないことで、水使用量が大きいコットンでは、大規模灌漑施設のある国や地域とアメリカでは異なっているからです。
  2015年にパリ協定が締結されて以降、ESG投資が加速。企業のサステナビリティに対する取り組みが投資基準として重要度を増し、定量目標の設定やサステナビリティの推進手法開発を行い、個別企業の活動を後押しするアパレル業界のNGO、グローバルファッションアジェンダ(GFA)や化学物質を適正管理するZDFCなどが結成されています。
 2019年からは拡大期に入り、欧州グリーンディールの実現に向けた「新循環型経済アクションプラン」において、繊維・アパレル産業は重点分野として位置づけられ、2021年8月国連報告書では気温上昇・海面上昇の抑制について更なる対策強化の必要性が示されます。
 2022年3月に発表されたEUテキスタイル戦略では2030年に向け脱ファストファッションとサステナブルファッションへの移行が宣言されました。「ファストファッション・イズ・アウト・オブ・ファッション」です。
 この動きに合わせ、フランスでは昨年衣服の廃棄を禁止する法律が公布され、段階的に施行、スウェーデンやオランダも導入が進められています。アメリカでもニューヨーク州やカリフォルニア州で環境負荷軽減に向けた法律の導入が積極的に議論されているとのことです。アパレル企業は必然的にサプライヤーのマネジメント及びエンゲージメントポリシーの見直し、リセールや環境負荷の低い素材の調達へ動いていると強調しました。

 一方で、公的機関によるグリーンウォッシュに関する調査も一般化してきたといいます。H&Mのコンシャスラインがグリーンウォッシュとして賠償請求されたり、イギリスのエイソス(ASOS)がグリーンウォッシュを警告されたり。フランスでは世界初のグリーンウォッシュ規制法が導入されるなど、EUでは法体系が整備されつつあり、今後グローバル規模でいっそう厳しくなると注意喚起しました。

 さらに、アパレル業界のカーボンニュートラルに向けて、変革の鍵となる3つのイノベーション、マテリアルイノベーション、サービスイノベーション、デジタルトランスフォーメーションについて解説。
 マテリアルイノベーションでは、再利用を可能とするサステナブル素材開発の進展や、製造工程の環境負荷を小さくする技術開発の進行。サービスイノベーションでは、今後席巻するとみられているサブスク型サービスの仕組みや、n次流通(リユース・リサイクル)を担う中古衣料品のプレゼンス拡大への対応。デジタルイノベーションでは、デジタルによる環境負荷を下げるビジネスモデルの構築や、サプライチェーンにおけるトレーサビリティの担保などが必要といいます。

 最後に、大量生産・大量消費を前提とした株主資本主義から公益資本主義へ、社会が変化する中で、アパレル・繊維業界も企業経営の在り方を変えることが求められていると、そのポイントを6つ挙げて講演を締めくくりました。
1. ファストファッションからの脱却――大量生産・大量消費を前提としたファストファッション型モデルからの脱却
2. ビジネスモデル改革――適量をつくりプロパー価格で売り切ることや、物販からサービスモデルへの転換が必要
3. カーボンニュートラルに向けた継続的な取り組み――アパレルチェーンは最大のステークホルダーである地球に対して環境負荷が高いという認識の下、サプライチェーンの改革が必須。とくに気候変動対策、カーボンニュートラルはマスト。
4. 社会課題とブランドストーリーとの接続――ダイバーシティ、インクルージョン、サステナビリティなど、社会課題に対するブランドの向き合い方を明確し共感を得ることが重要。
5. ESG対応――ESGスコアを上げた方が株価が伸びる側面もある時代へ突入。
6. KGI/改革――昨対売上に代表される右肩上がりの時代の経営指標は再設計すべくタイミング。幸福度や環境負荷等を軸にしたKPI設計が必要。

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2023年5月22日 (月)

「コットンの日2023」⑷ 講演 米国及び世界の綿花需給の見通し

 続いて、「米国および世界の綿花需給の見通し」について、綿花販売協同組合カルコットのポール・ブッシュ(Paul Bush)社長兼CEO(最高経営責任者)が講演しました。1_20230603133601
 世界の綿花市場に影響を与える主な懸念要因を指摘し、需要面ではインフレ、利上げ、経済成長鈍化、供給面では天候問題、綿花相場の低下、生産コスト高が懸念されているといいます。
 天候や経済状況など様々なデータを紹介しながら、米国の農家の事業環境は厳しいものの、綿花需給は昨年とそれほど大きく変わることはない、との見方を示しました。世界の綿花消費量と世界のGDPの推移には相関関係があり、コロナ禍が一段落した2023年はこの相関関係が復活し、今後は通常に戻ると楽観視しているとのことです。
 気になる米綿綿花相場も、このところの高値がそろそろ落ち着いて、2019年後半頃の70~90セントの間で推移すると予想しているとのことでした。
 最後に2023USピマ綿に触れました。今年は昨冬来、最大産地であるカリフォルニア州が異常気象に襲われていて、記録的低温が続き洪水が発生しているとのことです。生産減少が見込まれるUSピマ綿、今後の動向に注目です。

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2023年5月21日 (日)

「コットンの日2023」⑶ 講演「アメリカ綿最新情報」

  講演では、最初に国際綿花評議会(CCI)のブルース・アサリー(Bruce Atherley)専務理事が登壇し、「アメリカ綿最新情報」をテーマに、最近のCCIの活動の概要を語りました。

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 まず、「コットンUSAソリューション」についてです。
 これはCCIが紡績工場を支援するために5年前に立ち上げた技術チームによる新しいコンサルティングサービスです。チームが実際に工場に足を運び、アメリカ綿の紡績に適した技術アドバイスを実施しています。これにより工場の効率が向上し、顧客の94%がフォローアップ訪問を希望するなど、高評価を得ているといいます。この世界最高のコンサルティングサービスは「U.S.コットン・トラスト・プロトコル」(USCTP)メンバーには無料で提供されます。

 次に、現在の繊維製品で最も重要な3つの言葉、サステナビリティ(持続可能性)、トレーサビリティ (追跡可能性)、サーキュラリティ(循環可能性)を解説。
 サステナビリティでは、CCIがその重要性を鑑みて、3年前にスタートさせたサステナブルな綿作の基準となるプログラム「U.S.コットン・トラスト・プロトコル」(USCTP)に注目です。EUではEPR(拡大生産者責任)など規制が徐々に施行されていますし、カリフォルニアやニューヨークでも規制がいろいろ提案されています。また投資を呼び込みたいなら持続可能な企業である必要があります。データを使って環境フットプリント削減に取り組むUSCTPは、テキスタイル・エクスチェンジなどの様々な認証機関で、サステナブルな綿花として認定され、世界中で知られる存在になってきました。今では1,340の栽培農家が参加し、栽培面積は120万エーカー、1,250を超える紡績工場及び製造業者、25の有力ブランド、例えばラルフローレン、Jクルー、リーバイ・ストラウス、ギャップ、オールドネイビー、トミーヒルフィガー、アマゾンなどがメンバーに名を連ねています。
 トレーサビリティでは、USCTPが独自の仕組みで徹底して行っていることに目を向けていただきたいといいます。またここでとくに注視すべきなのが、2022年6月に始まったウイグル強制労働防止法(UFLPA)と米国国土安全保障省税関・国境警備局(CBP)。綿花がどこから来たのかを証明することが要求されていると注意喚起しました。
 サーキュラリティでは、1. 廃棄と汚染をなくす、2. 製品と材料を最も高い価値を持ったまま循環させる、3. 自然を再生する、の3つの原則を指摘。綿製品も再生材料の利用が大幅に増加し、今後、綿市場全体の5~10パーセントまで増える可能性があるといいます。

 まとめとして、CCIは品質の高いアメリカ綿に加えて、サステナビリティ、トレーサビリティ、サーキュラリティに関するプログラムを提供するとともに、コットンUSAソリューションチームがアメリカ綿花関連事業者の紡績工場の生産性向上を支援する、と強調、最後に感謝の言葉を述べて締め括りました。

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2023年5月20日 (土)

「コットンの日2023」⑵Tシャツプリントコンテスト表彰式

 「コットンの日2023」イベントで、第25回「Tシャツ・プリント・デザイン・コンテスト2023」の表彰式が行われ、グランプリを受賞した坪田 到さんに、上埜紡績協会会長から表彰状と副賞が贈られました。

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 このコンテストは「コットンの日」を盛り上げるための特別企画で、今年のテーマは「サステナブルなコットン」でした。このテーマにふさわしいプリント・デザインを募集したところ、全国から649点の応募があり、坪田 到さんがグランプリに選ばれました。

 Image45 作品は、コットンとタータンチェックをシンメトリーに組み合わせたデザインです。統一感のある美しい色使いで、まとまりの良い安定感のある構成です。従来の応募作にはありそうでないところが新鮮と、高く評価されました。
 受賞インタビューで坪田 到さんは「今回のデザインに関して、一つの絵と見立てて、各パーツに違う時代のアイコンとなるものをピックアップし、それを混在させることで新しい価値を生み出すところに焦点を当てて制作しました。このような賞をいただけて大変光栄です。」と語っていました。

 このデザインをプリントしたTシャツは、会場の来場者全員にプレゼントされました。

 現在、兵庫県を中心にデザイナーとして活動されている坪田 到さん。これを機に益々ご活躍されますように、ほんとうにおめでとうございます!

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2023年5月19日 (金)

「コットンの日2023」⑴ 4年ぶりにリアル会場で開催

 この5月10日、国際綿花評議会(CCI)と日本紡績協会が主催する第28回「コットンの日2023」のイベントが東京・目黒の雅叙園にて開催されました。リアル会場に加えて、オンライン併用ハイブリッド形式の開催で、双方合わせて300人が参加したとのことです。

Photo_20230529222501  
 最初に、日本紡績協会会長でユニチカ(株)社長の上埜修司氏(上の写真)が「CCIの協力に感謝し、今後も日米の緊密で良好な関係が維持されるように祈念しています」と挨拶。「国産綿素材の良さをアピールするために、ジャパン・コットン・マークを国産綿製品に付ける活動を今年度も積極的に行っていきます」とコメントしました。
 次いで来賓の祝辞です。米国農務担当公使モーガン・パーキンス(Morgan Perkins)氏が登壇し、「日本企業は強制労働や人権侵害の見られる地域などからの調達を行わないことを確約しています。持続可能性と人権はすべての産業の最優先事項でなければなりません」と述べ、新疆ウイグル産の綿花問題を取り上げていたのが印象的でした。
 (ここからは明日以降のブログで詳細を掲載します。)
 続いてTシャツプリントデザインコンテストの表彰式、さらにアメリカ綿の最新情報やUSコットントラストプロトコルに関する講演が行われました。目玉は、ローランド・ベルガーのヘルス&コンシューマーチームリーダー福田稔氏による特別講演です。氏は「アパレル・繊維業界に求められるサステナビリティ対応」をテーマに、カーボンニュートラルに向けた取り組みの重要性を強調しました。
 最後に「コットン・アワード2023」が発表され、日向坂46の影山優佳さんが受賞して閉会しました。

 この後の祝賀パーティでは、4年ぶりの再会を喜び合う人々の姿が目立っていました。集合写真を撮るのもマスクなしになり、ようやく元に戻った感じです。久しぶりの楽しいひとときとなりました。

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2023年5月18日 (木)

鎌倉円覚寺雲頂庵 中島千波画伯による待望の襖絵「桜」

 先日、鎌倉円覚寺雲頂庵に参りましたところ、ずっと話に聞いていた襖絵が届いたとのことで、特別拝観させていただきました。
 それは中島千波画伯による「桜」の襖絵です。枝垂れた枝からいっぱいに桜花が咲き誇り、もう見事というしかありません。

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 モデルは枝垂れ桜で有名な福島県の「三春の滝桜」です。樹齢1000年を超える老木で、優美さの中に哀愁を帯びた風情が伝わってくるような趣のある姿で描かれています。 
 この桜のある三春町には芥川賞を受賞した玄侑宗久氏が住職を務める福聚寺があり、以前円覚寺夏期講座でお話を聞いたことがありました。
 一度、三春の滝桜とお寺に行ってみたいものです。

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2023年5月17日 (水)

義肢装具士 安田伸裕氏講演会「義肢装具の世界」

 一昨年開催された東京パラリンピックでは、世界の義足アスリートの存在感が印象的でした。彼らを支えているのが義肢装具士です。
1_20230529112701  先般、義肢装具士で楠岡義肢製作所株式会社執行役員 兼 製造マネージャー 安田伸裕氏による「義肢装具の世界」と題したセミナーが、ファッションビジネス学会FashionGood lab.とユニバーサルファッション協会の共催で行われました。
 義肢装具とは義肢と装具を組み合わせた用語で、義肢とは、元の手や足の機能と形を復元するため装着、使用する人工の手足のこと。装具とは、主に治療や症状の軽減を目的として装着する器具で、治療やリハビリ、日常生活の補助などの目的で使用するものや、予防や矯正を目的とするものもあるとのことです。
 その市場規模は2020年に2,183億円で、この30年で約1.5倍に拡大したといいます。ちなみに一口で義肢装具といっても、義肢1-2割、装具8-9割と、装具の割合が圧倒的に高く、その大半は靴のインソールや、コルセット類だそう。ユーザーは高齢者中心ですが、高齢になる前の世代が身体ケアを考える中で装具を使う層が増えているといいます。
 実際、私の周りにも、怪我や病気、事故、高齢化など何かしらの要因で装具を身につけている、あるいは身につけていた方が多数いらっしゃいます。私自身も「明日は我が身」と思うことがあり他人ごとではありません。その最新事情に関するお話を伺える機会とあって、興味津々でした。

 まず義肢装具のビジネスモデルについて。
 大きく二つあり、一つは、治療用義肢装具で、怪我等に対する治療で用いるもの。背骨骨折時で使う体全体を支えるものなど、見た目もハードですが、かつてのギプスと違いお風呂にも入れるそう。早期回復してリハビリするための補装具で、医師の指示が入り、補装具算定基準に則り、健康保険制度を用いてつくるものです。
 もう一つは、更生用義肢装具です。治療が終わって、障害が固定した後の日常生活の中で必要となる義肢装具で、バリエーション豊富、装飾性の高いものもあります。身体障害者自立支援法により、義肢装具の公費負担分 + 利用者負担額でつくることができるとのことです。
 ここでとくに義足に関して興味深い指摘がありました。日本では実際の足に近づけ目立たなくさせることが基本的価値観ですが、海外では逆に義足を見せてパフォーマンスとしてこういうことができると発信しているケースが多々見られるそうです。日本の隠す文化がこんなところにも表れているとは、おもしろいですね。 

 次に氏の活動について。
 ユーザーがいつも身に着けていたくなるような、機能性を前提にした装飾性やデザイン性の高い更生用義肢装具の実現を目指して活動中。そしてその軸となっているのが「京都義肢デザイン」プロジェクトで、「デザイン・ウイーク・京都」に参加したことをきっかけに立ち上げたとのことです。伝統工芸の要素を取り入れ、ものづくりを素材起点からデザインすることで、義肢装具のスタンダードなデザインを生かせる、との思いもあってスタートさせたといいます。
 製作のポイントは次の3つ。
1. 伝統工芸 × 義肢装具。例えば藍染や西陣織金襴製の義肢装具やそれを入れる袋など。
2. アート × 義肢装具。アーティストと義肢装具デザイナー、ユーザーの共同製作による意匠性の高いデザイン。
3. サステナブルなデザイン。とくに素材・材料面での持続可能な取り組み。例えば木屑使いで、石膏に木屑を混ぜることで、石膏量を減少、軽量化や臭いの面など新たな価値が生まれているといいます。また石膏モデルも捨てることなく次に利用する仕組みづくりを行っているとも。

 またタスク(やるべき仕事)として次の3つがあるといいます。
1. デザイン費用の在り方。健康保険や身体障害者福祉法による支援はあるものの、デザイン性のある装具の提供は困難な場合が多い。ユーザーの費用負担軽減に、制度の変更が必要。
2. 循環型モデル。素材を生かし廃棄される義足を新たな価値につなげる体制づくり。
3. 義肢装具のデザインが目指す社会実装。自社だけでなく他社と協力して社会全体に取り込んでいく。

 さらに未来に向けて。
 今後、義肢装具はファッションの一部になると考え、その可能性を探っていくと強調。
 氏は自身が考案したモジュラータイプのシャツを紹介しました。義足の製法で主流となっているパーツ交換可能なモジュラー式をヒントにデザインしたシャツで、丈の調整やディテールの取替え、付けはずしなどがしやすくなっているといいます。
 ファッションに義肢装具の考え方を導入したり、逆に義肢装具にファッションのアイディアを反映させたり。義肢装具の世界はますます広がりそうです。
 義肢装具をファッションとしてどう展開できるか、誰もが楽しめるデザインを目標に、「義肢装具 × デザイン」の普及活動を行っていくと語って、講演を締めくくりました。

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2023年5月16日 (火)

「戦後日本コスチュームジュエリー史1950~2000」展

 アクセサリーミュージアムで「戦後日本コスチュームジュエリー史1950~2000」展が27日まで開催されています。
 アクセサリーミュージアムについては、このブログ2014.6.18付け2013.4.20付けもご参照ください。時折行われる企画展に、私も立ち寄っていますが、今回はまた格別でした。
2_20230527154701  というのも本展は、館長の田中元子さんが執筆した「日本のコスチュームジュエリー史 1950~2000」(繊研新聞社)の出版記念展でもあったからです。
 本著は、田中館長が自らの体験や資料、当時の技術者たちの協力を得て、日本におけるコスチュームジュエリーの変遷と、戦後急速に拡大し変化を続けたファッション業界の足跡をたどった渾身の一冊です。激しく揺れ動いた時代を生き抜いたコスチュームジュエリーの姿はもちろん、時のファッションも浮き彫りにされていて、興味深く拝読しました。

 展覧会では新著に収められた膨大な装身具の中から、トレンドを感じさせる作品が時代ごとに展示されています。

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 戦後の受難の時代から、高度成長期、大消費社会の爛熟期、好景気の終焉とデジタル社会まで、その時代の流行を色濃く反映するコスチュームジュエリーには当時の世相や文化などを読み解くヒントが隠されていると、改めて感銘したことでした。

Img_25991  中でも私が注目したのが、田中館長が1960年に初めてデザインしたという造花のブローチです。スカートに白いブラウスの装いが大流行したこの時代に、赤い革でつくった大きめのブローチは、百貨店に並べると飛ぶように売れたそうです。
 それまで入社したてで、意欲を見出せなかったという田中館長でしたが、その女性たちのうれしそうな顔を見て俄然やる気を起こしたといいます。それが現在まで続くアクセサリー愛の源泉となったのですね。

 コスチュームジュエリーで時代を振り返った後のショッピングでは、気に入ったネックレスを見つけることができてラッキーでした。着けるのを楽しみにしながら、ミュージアムを後にしました。

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2023年5月15日 (月)

東京国立近代美術館70周年記念展「重要文化財の秘密」

 この5月14日まで開催されていた東京国立近代美術館70周年記念展「重要文化財の秘密」を見に行ってきました。明治以降の絵画・彫刻・工芸のうち、重要文化財に指定された作品が展示されていて、連休だったこともあり、かなり混んでいました。

 入館すると長蛇の列でした。何かと思ったら、横山大観の「生々流転」の大絵巻を見る行列で、少しずつ並んで拝見しました。
 天から降った雨の一滴が、あつまって渓流となり川へと成長し、さらに大河になって大海に注ぎ、最後は飛龍となって天に昇るという、流転する水の一生を描いた水墨画です。全長40メートルにも及ぶという、壮大なドラマに圧倒されました。
 東京でこの作品が一般公開された日(1923年9月1日)に、関東大震災が起こったそうです。でも無事、損傷を免れたのですね。

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 そんな幸運のエピソードを持つ、「生々流転」のトランプ(1,980円)を購入しました。

 日本画では、前田青邨の「洞窟の頼朝」屏風が印象的でした。石橋山の戦いに敗れた源頼朝一行が洞窟にじっと身を潜めている場面です。昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ていましたから余計に、武士たちの安堵と不安、張りつめた空気が漂っているようでした。

 菱田春草の「黒き猫」のちょこんと可愛い姿や、上村松園の「母子」もステキでした。

 洋画では、表紙のビジュアルを飾っていた高橋由一の「鮭」の前に人垣ができていました。洋画作品で初の指定となった傑作で、その写実的な質感に感嘆!

 黒田清輝の「湖畔」、岸田劉生の「麗子微笑」なども改めてじっくり堪能。
 他にもいろいろ。
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 上が図録(3,300円)です。

 教科書で見たことがあるような、お馴染みの名作揃いでした。
 とはいえ重文作品は全部で68点だそうで、作品の展示替えもあり、意外に少なく感じました。もっと増えることを願っています。

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2023年5月14日 (日)

ミラノウニカ24/25年秋冬 日本パビリオン「JOB」出展概要

 先日、7月11~13日に開かれる国際素材見本市ミラノウニカ(略してMU)24~25年秋冬の日本パビリオン「ジャパン・オブザーバトリー(略してJOB)」の出展概要に関する記者説明会が開催されました。
 今期JOBにリアル出展するのは23社(20件)、内新規6社/JOBプラス 7社の計30社です。昨年7月展から約3倍に増え、出展面積もコロナ禍前より大きい508㎡とのことです。
 「JOBプラス」については、コロナ禍の時限的な企画として渡航制限等のため人材派遣しての出展ができない中小企業を対象に、23春夏よりスタートしましたが、中小企業が海外の展示会に出展するハードルはまだ高く、リアル出展に踏み切れない中小企業を対象としたプレゼンテーションの場を提供することを目的に再スタートするとのことです。

 Milano_unica_36_0029 右は前回展のJOBトレンドコーナーです。

 早いものでJOBも来年は10周年を迎えるとのことです。2024春夏展よりEU外企業の個別出展が解禁となる事前情報だったそうですが、MU一般規定の改定に時間を要するため、この会期での個別出展解禁は見送られたといいます。また前回展ではコロナ禍特例料金としてJOBは一部出展料を改訂しましたが、MU主催者の定める規約や料金もコロナ前の状態にすべて戻ったことから、JOBの出展料ももとに戻し、10周年に向けてさらなる発展を目指すといいます。
 
 私もまた取材に渡欧する予定ですので、行方が楽しみです。
 なお、MUは会場がロー・フィエラミラノのホール1~4となり、これまでとは異なるので要注意です。

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2023年5月13日 (土)

プルミエール・ヴィジョン・パリ7月展 日本から41社出展

 来る7月4日(火)~6日(木)に、パリ・ノール ヴィルパント見本市会場にてプルミエール・ヴィジョン・パリ(PVパリ)7月展が開催されます。

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 プルミエール・ヴィジョン・ジャパンによると、日本の出展社は41社で、その内初出展は4社です。昨年7月展が28社だったのに比べ、大きく増加しました。

PVファブリック  :  エイガールズ、国島、デビス、広撚、北高、ケイライン、カネマサ莫大小、興和、クロキ、桑村繊維テキスタイル2課、リリーレース・インターナショナル、植山テキスタイル、ミナミ、三菱ケミカル、森下メリヤス工場、ニッケテキスタイル、柴屋、サンウェル、チクマ、タキヒヨー、瀧定名古屋、卓Edge、帝人フロンティア、東光商事、東レ、東レ(ウルトラスエードコレクション)、豊島、宇仁繊維、ヤギ、スタイレム瀧定大阪、ジャパンブルー(初)、川越政(初)
PVヤーン  :  村田機械、アドエルム(初)
PVレザー  :  ヒライコーポレーション
PVアクセサリー :  清原、落合レース、SHINDO、島田商事
スマートクリエーション :  スパイバー、バイオワークス(初)

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2023年5月12日 (金)

デニム・プルミエール・ヴィジョン2023年5月展 開催予告

 プルミエール・ヴィジョン(PV)のデニムのバージョン、デニムPVが、来る5月31日から6月1日、アリーナ・ベルリンにて開催されます。先般、このリリースが届きました。

1_20230522184701  出展は、イタリア、日本、ポルトガル、トルコ、モロッコ、チュニジア、エジプト、中国、インド、パキスタン、モーリシャス島、バングラデシュ、香港、ドイツ、スイスなど、15か国 65社です。日本からは、クラボウとクロキが参加します。
 いずれも世界のデニム業界を牽引する企業揃い。クリエイティビティやイノベーションのキャパシティ、エコレスポンシブルな取り組みの面で、厳選された出展社です。製品の製造プロセスにおいて、より透明性が高い、環境と人間に配慮したデニムを提案しています。:ゴミと排水の再処理、エネルギー消費と水使用量のコントロールと削減、化学製品の制限、エココンシャスな新ファイバーや素材、リサイクルとアップサイクリングの技術、最先端技術など。

 2024/25 秋冬向けに各社が発表しているデニムのトレンドは下記のようです。
 全体にぼやけたビジュアルが強調されるシーズン。まるで何かの干渉を受けたかのように、しわくちゃの紙や、灰になった風景、デジタルノイズを連想させる、謎めいた雰囲気が予想されています。

・Colorful glitches カラフルなトラブル
・Noise and waves ノイズやウエーブ
・Crumpled paper くしゃくしゃの紙
・Neo-scrapings 新しい色落ち加工
・Ash grey 灰のグレー
・Post-consumer fuzziness 使い古した不明瞭さ
・Menthol abstracts メントール(ハッカ)アブストラクト

 ベルリンは芸術的な豊かさと独自の多様な文化を持つ、歴史的で現代的、かつ前衛的な都市です。この地で開催されるデニムPV、次への新しいヒントがたくさん詰まっていそうです。

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2023年5月11日 (木)

新緑の埼玉古墳群を訪れて

 連休の一日、埼玉県行田市にある埼玉(さきたま)古墳群を訪れました。ここは埼玉県の県名発祥の地で、5世紀後半から7世紀初め頃までにつくられた9基もの古墳が集っています。

 大渋滞の道路を抜けて、新緑あふれる緑の丘のような前方後円墳が見えた時は正直、ほっとしました。ここは広大な公園で、巨大な古墳が点在しています。
20230503135504imgp29851  上は双子山古墳です。

 到着して、まず向かったのが「さいたま史跡の博物館」です。というのもここに来た目的が国宝「金錯銘鉄剣(きんさくめいてっけん)」を見ることだったからです。
 20230503140930imgp29951 この鉄剣は稲荷山古墳から発掘されたもので、古代5世紀に登場した雄略天皇ではないかと思われる名前が、金象嵌されているのです。
 「金錯銘鉄剣」は館内中央のガラスケース内に展示されていました。
 金色に輝く漢字が象嵌されているのを見ることができました。
 ここには雄略天皇、すなわち「ワカタケルの大王」と書いてあるそうなのです。
 日本の古代国家の支配が関東にまで及んでいたのです。はるか悠久の時を感じさせられました。

20230503154924imgp31371  この古墳が稲荷山古墳で、階段で上がれるようになっています。

20230503154500imgp31321   稲荷山古墳の頂上に、上の写真のような金錯銘鉄剣が発掘されたことを示す展示が設置されていました。

Img_25021jpg  将軍塚古墳展示館には横穴式石室展示があって厳かな気分になりました。

20230503145956imgp30631pg  公園内で、一番高い丸墓山古墳にも上って、広々とした田園風景の見晴らしを楽しみました。
 
Img_25161   途中、何と雉がいました。雉を見たのは初めてで、かなり響く声で鳴きます。動きが早く、何とか頭部だけ撮影できました。

20230503164108imgp31661  最後、すでに夕方でしたが、歴史小説「のぼうの城」の舞台となった忍城(おしじょう)にも立ち寄り、立派な天守閣などを眺めて、帰宅しました。

 たまにはこんな古(いにしえ)の歴史に浸る旅もよいですね。

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2023年5月10日 (水)

NFDTインクルーシブファッションに光を当てたコンテスト

 NFDTは「ネクスト・ファッション・デザイナー・オブ・トーキョー(Next Fashion Designers of Tokyo)」の略語です。東京から世界で活躍するデザイナーを生み出そうと東京都が初めて開催したファッションコンテストで、特徴は次の二つ。一つは、腕を競うのが全員学生であること、もう一つがインクルーシブファッションに光を当てたことです。
 インクルーシブファッションとは「障がいの有無や年齢、性別、国籍などに関わらず、すべての人を孤立させず、包摂することを目指すファッション」のことで、ユニバーサルファッションと同義です。
 その最終審査ファッションショーが3月25日、東京・丸ビル1階「マルキューブ」にて開催され、私もユニバーサルファッション研究者として雨の中、満を持して駆け付けました。
 作品はフリー部門と障害のある方の着用を前提としたインクルーシブ部門を合わせて707件もの応募があったそうです。厳正な審査の結果、両部門からファイナリスト7組、計14組の作品が、ランウェイショー形式で披露されました。

 ショー後、執り行われた表彰式で、インクルーシブ部門の東京都知事賞・大賞にエスモードジャポンの河村 奈央子さんの作品「The Dancing Baobab (ザ ダンシング バオバブ)」、東京都知事賞・優秀賞に国際ファッション専門職大学の丸山奈月さんと野島瑛貴さんの作品「難病を患っている方に寄り添うファッション」が受賞しました。また特別審査員を務めた山本耀司さんからは山本耀司賞がファイナリストの14組全員に贈られました。

 大賞の河村 奈央子さんの作品「The Dancing Baobab (ザ ダンシング バオバブ)」は、バオバオの木をイメージして、バオバオが着る人の動きに合わせて踊っているような形に変化する造形を表現したとのことです。神秘的な命が宿っているかのように見える、巧みなデザインに拍手です。

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 受賞後のインタビューで、河村さんは、「このコンテストで印象的だったのはワークショップです。車イスのモデルを頼むなど、いろいろな方との出会いがあり、コミュニケーションをとりながらモノづくりできたことは、これからの大きな経験になりました」とコメント。

 Img_18631 優秀賞の丸山奈月さんと野島瑛貴さんの作品は、「がんなどの難病に苦しむ方が『自分らしくあり続ける』ことができるようにサポートするファッション」をコンセプトに制作したというドレスです。
 身体的機能にこだわったデザインを開発するために、患者を支援するNPO法人への調査を実施したといい、この綿密な調査も高く評価されました。
 服の前と後ろが分かれるようになっていて、弱い力でも簡単に外せるようになっているのがポイントといいます。
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 いずれも機能と装飾を両立させたデザインで、これを機に東京から世界へ大きく羽ばたかれることでしょう。

 このイベントに出席した小池都知事の挨拶も心に染みるものでした。
 「2021年のパラリンピック2020大会は、世界人口の15%が何らかの障がいを持つと言われている中で開催されました。ファッションコンテストで初めてインクルーシブ部門を設けたのは、障がい者だからこそ感じている困難や困りごとを、ファッションで少しでも明るく楽しくできるように、との思いからです。今後のファッション産業の新しい文化として、また東京から世界へファッションを発信していくという意味でも大きな意義があると思っています」と。

 改めて、インクルーシブ部門があることで、衣服の美しさだけでない機能性を一人一人が真剣に考えるよい機会になった、と思うコンテストでした。

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2023年5月 9日 (火)

フェンディ「ハンド・イン・ハンド」展 卓越した職人技称賛

  フェンディ(FENDI)「ハンド・イン・ハンド~卓越した職人技への称賛~」展は、世界を巡回する企画展です。この4月、本拠地ローマに続く第2回目が東京・原宿で、5月8日まで開催されました。

 展示されたのは、イタリア各地の伝統工芸技術を駆使して制作された“バゲット”バッグや、アーティストや著名人たちとのコラボレーションによる“ピーカブー”です。それらを一堂に集めた空間はなかなか壮観でした。
 刺繍、かぎ針編み、タペストリー、パイルカーペット、寄木細工、モザイクタイル細工など、イタリア各地の19もの工芸アトリエなどが紹介され、各地の職人によるデモンストレーションも行われました。

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Img_23271  上は、職人がパイルカーペットのアートワークを製作しているところです。

Img_23151jpg 上は、ピエモンテ地方に伝わる刺繍「バンデーラ」。カラフルなウールとコットンの糸を使い、ホワイトのハニコム(蜂巣織)生地に立体的な刺繍を施す技巧は、「針を使った絵画」とも称されています。

 日本からも、栃木県足利市の「にしかた染織工房」の栃木県伝統工芸士に認定された西形彩さんらが参加していました。

Img_23321jpg 上は、「にしかた染色工房」の綴れ織りの織機です。西形彩さんは不在でしたが、植物染めのウール糸を使って手織りでつくられた“バゲット″が出品されていました。

 また「フェンディ・デジタル・エクスペリエンスルーム」という “バゲット”と“ピーカブー”の世界に没入しながらフォトジェニックな写真撮影を行うことができるスペースも設置されていて、私もデジタルな体験を楽みました。

 さすがフェンディ、圧巻の展覧会でした。

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2023年5月 8日 (月)

アーティスト 空山基の新作個展「スペース・トラベラー」

  今、人体と機械の美を追求するアーティスト 空山基の新作個展がNANZUKA UNDERGROUNDにて開催されています。
 テーマは「スペース・トラベラー(Space Traveler)」です。ギャラリー1階では、鏡が設置された暗がりの中に、『Untitled_Sexy Robot_Space traveler』と題した6体のロボットがケース内に展示されています。回転するような仕草をしたり、外へ飛び出そうとしていたり。宇宙船内の空間にでも入り込んだかのよう。

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 2階に上ると、女性の人体美をロボットに取り込んだ「セクシーロボット」のインスタレーションや、大型のキャンバス絵画、また自身初というCGによる映像作品が紹介されていました。
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  提示されているのは、人間の身体性を超えた未来という仮想の物語です。SF世界を連想し、不思議な気持ちにさせられた展覧会でした。
 会期は5月28日までです。

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2023年5月 7日 (日)

ブランディング「コロナ禍にクラネが急成長できた理由」

 コロナの影響でファッション業界は大きく変化しました。こうした中でコロナ禍前よりも売り上げを3倍強に伸ばしたファッションブランドが「クラネ(CLANE)」です。
 先般のファッションワールド東京のセミナープログラムで、「コロナ禍にクラネが急成長できた理由」をテーマに、ファッションビジネスジャーナリスト kumicom代表 松下 久美氏がクラネデザイン(CLANE DESIGN)(株)代表取締役 兼 クリエイティブディレクター 松本 恵奈氏にインタビューする対談が行われました。
 「クラネ」は2015年2月、ファッションモデルで「EMODA(エモダ)」の元プロデューサーでもあった松本 恵奈氏が、“オリジナルスタンダード”をコンセプトに立ち上げたブランドです。ブランド名はコンテンポラリーレーン(Contemporary Lane)に由来し、ほどよい価格帯で出来るだけ良いものを提供することをモットーにしているとか。
 2016年に都内中心にクラネ直営店をオープン。現在は都内に3店舗、関西に1店舗、オフィシャルオンラインストアを展開しているといいます。

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 上は、表参道ヒルズ店の風景です。今の旬を感じさせる、一捻り効かせた洗練されたエレガントなデザインが魅力的です。

 松本氏が松下氏との会話の中で語った、その急成長の理由を下記にまとめてみました。
 
 コロナ前はSNSに出ない方針でしたが、コロナ禍が始まって、SNSにチーム全員で積極的に参加するように転換、インスタライブやズームを通じて、クラネの魅力を打ち出しました。とくにユーチューブでは、リアルな良さを発信することに成功。インスタは “かっこつける” けれど、ユーチューブなら具体的に服を伝えられるといいます。この結果、フォロワー数は15万人に達し、新作アイテムへの期待も高まったそう。
 デザイン面では、シンプルなデザインに一風変わったアクセントを加えるなど、クラネらしい独自のアイデアが支持されている、と自信をのぞかせました。 
 またブランドの成長を支えているのは、デザイナーやパタンナー、プレスなど、クラネのスタッフが一丸となって、常に顧客を最優先に考え、彼らに喜びや幸せを提供することに熱意を傾けているからと強調。ポップアップイベントでは、クラネが作り出すアイテムへの愛情が顧客に伝わり、顧客とのつながりがより深まったと感じたとも。

 最後に、皆が仲良く協力し、笑顔で働くことを目指し、楽しい経験を積み重ねて、アパレル業界の盛り上げに貢献したいと述べて、明るい雰囲気で終了となりました。

 ブランディングでは、SNS、中でもユーチューブの活用がキーポイントになりそうですね。

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2023年5月 6日 (土)

環境問題のキーは2030年 新世代と共に企業ができること

  気候変動問題に関する「パリ協定」のゴールは2030年です。キーとなるこの年まで、あと7年となりました。今年は、まさに新時代への分岐点と位置づけられています。
 企業が脱炭素戦略を進めるには、生活者の「行動変容」を促すことが必要で、その鍵を握っているのが若者層のサステナビリティ観です。Img_21491
 そこで先般のサステナブルファッションEXPOでは、「環境問題のキーは2030年。新世代とともに企業ができることは? 次の7年のキーとなる生活者の行動変容レバー」と題したセミナーが行われました。
 登壇したのは(株)ifs未来研究所所長代行 山下 徹也氏、慶應義塾大学 環境情報学部 准教授 塚原 沙智子氏、Global Organic Textile Standard ジャパン・リプレゼンタティブ 松本 フィオナ氏です。山下氏をファシリテーターに、鼎談形式で進行しました。

 まず、ポストコロナで変化する生活者について。
 山下氏はこれからの消費の中心となる新世代は、Self-D世代と断言しました。30年以上の長きにわたり、生活者を見つめ続けてきたifs未来研究所の資料をもとに、導き出されたのがSelf-D世代で、ゼネレーションZの中間世代にあたるといいます。2001年から2004年生まれの、現在18歳から21歳、大学生活がコロナで始まった世代で、彼らが10年後の消費を牽引する存在になります。
 その特徴は、Self-DのDがDiscipline/ Diversity / Defenseを示しているように、自律意識を強く持ち、あらゆる場面で自己成長を図りながら、多様性を前提に利他的視点で他者を肯定、受容し、ノイズのない安心できる関係の中で自分らしいファッションを楽しみます。高校時代には既にSDG’sの認知が広がり、環境配慮を習慣として刷り込まれています。しかし情報の多さゆえに諦めに近い意識も持っているとも。
 松本氏は、Self-D世代は情報収集に長けていて判断力も身についているので、SDG’sグローバルの一員として理解できる世代ではないか、と。また塚本氏は、紙なしでデジタルを使いこなし、見極める力があり、ウオッシュも見抜ける、ファッションの裏側のストーリーを重視する世代と考えているといいます。

 次に、企業の側から生活者をどう巻き込んでいくか、その方策について。
 山下氏は、環境課題に対する日本企業の国際イニシアティブへの参加は進んでいるものの、社会課題への意識は低いと指摘。とくに生活者の具体的行動は今一といいます。
 塚本氏は、重要課題を明確にして客に伝えるストーリー立てが大切。ファッション業界は商品がどこでどのようにしてつくられているのか、生産への思いを発信するだけでも商品の魅力が伝わってくるので、いろいろな形で情報発信をしていくとよい、と。
 松本氏は、オーガニック=肌にやさしい、でやってきたが、伝えられることはもっと多い。これまで原料中心だったが、加工の重要性を企業や生活者に認識して頂きたい、といいます。

 最後にまとめとして、山下氏が、企業は事業が環境や社会に与える影響をシビアに捉え、なぜ取り組むか、客に協力してもらいたいことは何か、それによって実現したい未来は何かなどを考え、伝えることが必要。心を動かすストーリーが求められている、と語り、セミナーを締め括りました。

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2023年5月 5日 (金)

第10回 FaW TOKYO サステナブルファッションに注目

  日本最大のファッション見本市「第10回 FaW TOKYO(ファッション ワールド 東京)が4月5日~7日の3日間、東京ビッグサイトにて開催されました。昨年比400社増の約750社が出展し、あらゆるファッション商材が揃う中、私は「サステナブルファッション」展を中心に見て回りました。

  その注目の展示を紹介します。

コットンエイト(cotton∞)豊田通商(株)/シキボウ(株)/信友(株)
 「コットンエイト(cotton∞)」とは、上記3社が推進するフェアトレードコットン普及に向けたプロジェクトです。フェアトレード認証コットンと同様に、SDGSの16のうち特に8つのゴール達成に貢献する取組みといいます。
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 コットン生産と貿易における社会課題を解決しようと始めた事業で、まずは「8%」からスタートし「∞(無限大)」へ広げていきたいとのこと。本展に出展して、フェアトレードに共感する仲間を増やそうと、参加者を募っていました。

USコットン トラスト プロトコル 蝶理グループ(株)STX 
 昨秋に続き、USコットン トラスト プロトコル製品を打ち出していました。
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 ハンガーにかかっていたのはカットソーで、ベトナム・ホーチミン市にある同社の縫製拠点で生産されたものだそう。第三者監査機関から企業の社会的責任における一定の評価を受けていて、国内外からの信頼は大きいといいます。

ウォーターレス・デニム  タキヒョー(株) 
 同社は、地球と共存する人のライフスタイルを先読みして提案する繊維系商社です。
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 ブースでは「ウォーターレス・デニム(WATER LESS DENIM)」の提案が目につきました。これは“水”という地球資源への負荷に大きく貢献するデニムブランドです。
 生産工程上、水の消費量が非常に多いと言われているデニムですが、まず糸染め段階での水の使用量を大幅削減する染色方法=“AIR WHIP DYEING”によって、糸染めで使う水を大幅に抑制。その糸を使って生地を織り上げ、縫製後の洗いをオゾン加工により色の調整を行う工程で従来より水使用量を大きく削減、ソーピング作業時の水使用量をナノバブル加工による洗いを施すことにより水使用量を大幅に削減しているといいます。
 これにより何と99%もの水の削減を実現しているそうです。
 世界一の品質と呼ばれる日本のデニムです。期待がふくらみます。

絞り染めを施したドレス   カジグループ(株)熊谷 
 カジグループが開発に取り組む和紙糸を使った新作サステナブル素材「KJF-PPX/カジフペーパークロス」や、有松・鳴海絞りを手掛ける(株)熊谷の絞り染めに注目が集まっていました。

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 上は、KAJIF(カジフ)のサステナブル素材を使用した有松絞りのウェディングドレスです。デザインは桂由美デザイナーによる「ユミカツラ」で、さすがの美しさにウットリ、でした。

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2023年5月 4日 (木)

24春夏尾州マテリアル・エキシビション ファンシー充実

   日本一の毛織物産地を支えるのが尾州の企業です。尾州産地11社による総合展「24年春夏尾州マテリアル・エキシビション」が4月20日から21日、東京・原宿のWITH HARAJUKU HALLで開かれました。

  総合テーマは「エルスウェア(ELSEWHERE) = どこか他の場所」です。コロナ禍で移動の制限を強いられた期間も一段落し、日常生活が戻ってきました。新しい土地や人々との出会いを求めて行動を起こすときが来た、という意味で、これは時宜に合った良いテーマ、と思いました。
 各社提案素材では、そんな気分を反映するようなエレガントで洗練されたファンシー素材が充実しています。明るい色やスラブ糸使い、カスリ糸など意匠糸を用いたツイードなど。日本のラグジュアリーを代表する尾州らしい素材群です。

 シーズンの新作は、下記の3つのトレンドテーマに分類展示されました。

ハンブル(HUMBLE) = 謙虚
 混乱から抜け出す再構築のとき。純粋で本質的な美学を探究する精神。ナチュラルで手工業的、質素で地域的なものを活用する。

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岩田健毛織(株)                        ファインTX(株)  
コットンギマドビー                麻混透けチェック       

パッション(PASSION) = 情熱
 輝く太陽が人々をストリートへ誘い出す。夏向けのエキゾチックなテイストをシンプルに解釈する。

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宮田毛織工業(株)                           (株)ヒラノ 
幾何学的リズム リサイクル糸使用JQ       フリンジ風カットストライプ

ダイナミック(DYNAMIC) = 原動力
 新しい日常に求められるのがカラフルなカラーや原動力。スポーツのポジティブさや活力からのアイディア。

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みづほ興業(株)                              林実業(株)桐生とコラボ
表裏で色違い 二重ボーダーを表現  市松のブライトカットジャカード



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2023年5月 3日 (水)

2024春夏テキスタイル・ネットワーク・ジャパン東京展

 「テキスタイル・ネットワーク・ジャパン東京」、通称「TN J」は、日本全国産地のテキスタイルデザイナーによる総合提案型個展合同展です。この4月11日~12日、この2024春夏展示会が、会場をこれまでの中目黒から原宿のWITH HARAJUKU HALLに移して開催されました。
 出展したのは約25社で、「そよ風の誘惑、煌めくS/Sの宝箱」のテーマのもと、各社得意の新作を発表。来場者はアパレル中心に502名が来場し、にぎやかな商談風景が見られました。
 また今回、事務局アドバイザーにファッション・ビジネス・コーディネーターの兼巻 豪氏が就任したこともニュースでした。氏の手腕で、TN Jも変わろうとしているようです。

 毎回のことですが、気になった企業を紹介します。

株式会社 近藤紡績所
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大町工場生産の企画糸の特徴を生かしたオリジナルテキスタイルを展示していました。
 Img_21631 また今回、打ち出したのが新開発の「アルモニコス(ARMONICOS)」の細番手です。
 厳選された高品質なピマ綿「SILKCOTT」を100%使用し、極限まで甘撚りした糸で、この糸を使ったサマーベロアやモックロディなどの生地は、心地よい触感がすばらしかったです。
 贅沢な光沢感と滑らかでとろけるような肌触りで、魅了されました。

有限会社 福田織物
 生地の少ロット販売への対応として、ストックのもののみ50mから染販売するとのことです。
 Img_21591jpg 高級感のあるコットンをメインに、ヘンプ、リネンなど、高密度織物からサテンなど、様々な織物を提案しています。
同社得意素材の柔らかくて膨らみがあるコーデュロイ「ベコ(BECCO)」のバリエーションも注目です。

吉田染工株式会社/貴志川工業部式会社
 ニット(横編み)の機械で作るニット生地を提案しています。
 Img_21721 とくに《SRY編み機》と呼ばれる特殊な機械を使用したニット生地が興味深く、ニット×ヨコ糸を入れ込みながら編む事によって、今迄のニットとは異なる柄表現を生み出しています。
 右はタタミのような表面感がおもしろい、布帛でもない、カットソーでもない布帛とニットのハイブリット生地です。

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2023年5月 2日 (火)

「スリープテックに注目」寄稿

 コロナ禍を経て健康志向が高まる現在、注目されているのが「スリープ(睡眠)テック」市場です。その動きをまとめた記事を、一般財団法人日本綿業振興会発行の機関紙「COTTON PROMOTION コットンプロモーション」(2023年春 555号)のコラム「マーケティング・アイ」に寄稿しました。
 本紙と併せてご覧下さい。(記事をクリックすると拡大します。)

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2023年5月 1日 (月)

プルミエール・ヴィジョン・パリ 会場再編は24年7月展から

 世界最高峰の素材見本市であるプルミエール・ヴィジョン(PV)パリは、先日突然、国別の会場再編を2024年7月展からに延期すると発表しました。
 Photo_20230512230801 先般2月展でのプレスリリースやこの3月来日したPVジェネラル・マネージャーの ジル・ラスボルド(Gilles Lasbordes)氏の記者会見で、今年のPV7月展は会場を欧州と非欧州に分けて、非欧州については国別にゾーニングする、としていました。しかしこの再編は反発が大きかったようです。国別レイアウトは来年7月展からで、今年7月展と来年2月展は従来通りに実施されるとのとことです。
 PVパリのラスボルド氏は、バイヤーのアンケートなどを鑑み、国ごとの調達へ向けた要望が高まっていると語っていたのですが、出展者数の多いアジア企業からの不満の声が大きく調整に手間取り、時間切れとなった模様です。これから1年間をかけて慎重に行っていくといいます。

 私はこの件で、ブログの2023.2.15付け及びファッションテキスタイルセミナーで、皆様に今年7月からとお話していましたが、ここで撤回いたします。時にはこういうこともあるのですね。ともあれ、これでよかったと思っています。

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