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2022年12月23日 (金)

メゾン・エ・オブジェ 1月展 ⑴ テーマ ≪TAKE CARE ! ≫

 「メゾン・エ・オブジェ(Maison et Object 略してM&O)」は、パリで年2回開催されている「インテリアのパリコレ」と呼ばれるインテリア雑貨の総合見本市です。次回は2023年1月19日~23日、パリ・ノール・ヴィルパント見本市会場にて開催されます。Mo   プレスリリースによると、インスピレーションテーマは≪ TAKE CARE ! (いたわりの心で!) ≫です。今会期は互いにいたわり合い、ノウハウや地球を大切にする価値観を中心に構成されるシーズンといいます。底流に流れているのは「美」の新たな概念を探り、「善」に貢献するデザインです。
 
 M&Oでテーマ空間を担当するネリー・ロディ社のトレンド予測部門ディレクター、ヴァンサン・グレゴワール氏は次のように語っています。 「今日の社会は文化・環境・アイデンティティといった様々な問題に直面しています。社会が必要としているのは、環境・ノウハウの保護、他者やウェルビーイングへの配慮といった点において解決策を提供する新たなモデルです。それらを具現化しようという声が高まっています。Z世代(25歳以下の若者たち)は行動を期待しています。今日、私たちの消費において新たな倫理観が必要不可欠になっているのです。」 

 ブランドに求められるのは、さらなる透明性やインクルーシビティ、責任です。責任あるアプローチ(廃棄物の50%をリサイクル、LEDイ吏用の増加、看板の保管・再利用、売れ残った食品を赤十字に寄付、水の現地調達、暖房弱化)に加えて、誰も取り残さない望ましい未来を描くために不可欠な価値観に賛同する出展者が増えています。
Photo_20221228103801   例えばリサイクル素材のみを加工するフランスの家具メーカー「Noma」、プレモントレ会修道院の白衣の神父たちに代々伝わるキャンドル制作のノウハウを継承する「Ciergerie des Premontres」(右)、手触りが良く温かみのある服や小物のコレクションを考案するデンマークのブランド「Care by me」、ローカルなウール素材を使ったラグを展開する「Laines Paysannes」など、数多くのブランドが、私たちの興味を呼び起こし、インテリアに意味を与えてくれています。

・自分をいたわる
 身体だけでなく、メンタル面にも気を配るように促す本質的なヘルスケア提案が多くなっています。
 Water  上は、室内でできるボートトレーニング機器「WaterRower」です。天然木がふんだんに使用されています。
 単に美しさを追求するのではない、ウェルビーイングと身体の健康に特化した大きな潮流が来ています。

・自然を大切にする
 エコロジーをはじめとする社会問題に応えるトレンドです。
 展示ホールには数年前から、こうした社会問題に関心の高い若手ブランドが数多く出展していて、「スローというトレンドに同調した消費に欠かせない、新たな倫理観」を提案する動きが強まっているのです。
 例えば「La Fabrique a Sachets」は種を植えることによって、自然に救いの手を差し伸べようという気持ちを起こさせます。
Mo1  またプラスチックボトルの生産の規制に熱心に取り組む「Dopper」は、丈夫で魅力的な使い勝手の良い水筒を提案しています。右はノート型ボトル「memobottle」です。再利用可能で平たいスリムなウォーターボトル(水筒)で、A5サイズ薄型ノートのような形をしていて、どこにでも携帯し易いようにデザインされています。
 ゴールドやラメよりもシンプルさが優先されるという、ラグジュアリーの新たな一面に注目です。

・他者に関心を持ち、関わる
 前述のヴァンサン・グレゴワールは「多くの業界関係者が、異なる世代・社会階級・文化との結びつきを作り直すことに尽力し、うわべだけの美しさやイメージを超えていこうとしている」と述べています。
 Mo-3 今回スポットが当てられた7組の「ライジング・タレント」は社会問題に関心の高い世代の代表格で、その作品には、私たちをとりまく世界を大切にしたいという広く普及した欲求が表れているといいます。
 また「The art of resilience (立ち直りの力)」と題したプロジェクト(右)は、ウクライナのデザイナーに自由裁量権を与えるもので、戦争によってどこに離散しようとも、私たち一人ひとりと同じように、ウクライナのデザインは生き続け、成長しさえするということを証明する企画展示になるとのことです。

・遺産やノウハウを守る
 M&O 1月展は、世界の様々な文化に橋をかけ、デザインやインテリアを生み出し・楽しむ方法を一新、傑出した伝統工芸を永続させ、未来に向けて推進させ、革新的で意味のある新しい取り組みをクローズアップする会期になるといいます。
 Mo4  上は、日本の愛知県瀬戸市にある瀬戸焼工房の現場写真です。つくっているのはゾウの鼻から水を吸って植物を育てる栽培セット「eleplant」です。アイディアのおもしろさと、歴史ある伝統技術、職人の丁寧な手仕事に高い評価が与えられています。

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