アフターコロナ時代の最新暮らしトレンドとは?
東京インターナショナルギフトショー秋2021併催のライフ×デザイン展で、「アフターコロナ時代の最新暮らしトレンドとは?」と題したセミナーが行われました。登壇したのはルームクリップ(RoomClip)株式会社 執行役員/ルームクリップ住文化研究所所長 川本 太郎氏と同社マーケティングチーム/ルームクリップ住文化研究所研究員 水上 淳史氏です。
冒頭、ルームクリップとは住生活の領域に特化した日本最大のソーシャルプラットフォームと自社紹介。様々なユーザーが投稿した住生活のリアルな写真からお手本になる人や情報、欲しいアイテム、好きなブランドとつながるサービスを提供し、写真の蓄積は約500万枚、ユーザーは600万人といいます。
本セミナーでは新型コロナウイルスの影響で大きく変わった住まいと暮らしを、ルームクリップの実例データから解析、変化のポイントを次の5つ、衛生思考、食、おうち時間、在宅ワーク、収納の観点にまとめて解説しました。
⑴ 衛生思考 ― 衛生思考の高まりが家の中に新しいスペースを生んだ
まずマスクと除菌アイテム置き場の設置です。マスクと除菌アイテムが入った写真の投稿がコロナ前と比べて7倍に増加。設置場所は玄関で、マスク置き場やアルコールスタンドを急遽DIYでつくったり、別のもので代用したりする人が多かった、玄関の外に立水栓を設ける家もあったといいます。
次に洗面所の再構築です。洗面に家事・洗濯スペースをプラスしたり、洗面所にメイクのためのスペースをつくったり。また洗面所が混むことから、洗面をダブルにする家も。洗面所と脱衣所を分離したり、洗面所を玄関側に設置したり、生活導線に沿って配置転換する家が増えたとか。
さらにコロナ前と比べてエコバッグを玄関に置く人が多くなったとも。
⑵ 食 ― 家での「食」の変化、効率と豊かさの両立が課題に
“おうちごはん”の投稿が伸び、家で食事する人が増加したと明言。とくにランチを家の中で食べるようになったことは大きな変化といいます。とはいえキッチンで料理はつくらず、出前や冷凍食品などを利用する家が増えたとも。
実際、アンケートによると、コロナがきっかけで新たに取り入れた食の習慣は、「テイクアウトと食材のストック買い」と答えた人が約4割いたそう。シャープのヘルシオホットクックがヒットするなど、食に関しては手間暇を省き、効率を重視するも食にこだわる人が多くなっているといいます。
⑶ おうち時間 ― 投稿で見えて来た「暇つぶし」の再定義・再構築
“おうち”で始まるタグがこの1年で倍増。家で豊かな時間を取り戻したい人が増えて、イエナカ活動が多様になったといいます。
たとえば“おうちキャンプ”で、テラスでキャンプしたり、ベランダで寝泊まりしたり。家キャンプならではのスタンドランプの購入も。
また“おうち映画館”や“おうちライブ”で、大画面を体験する家も多くみられたそう。
さらに宅トレ。テレビの前にヨガマットを敷いて運動したり、ボルダリングウォールをつくったり。筋トレも活発化し、トレーニング用具をDIYする人も。
もう一つ、人気のアクティビティとなったのが家庭菜園。
一方で、盛り上がったのが安らぎや癒しの潮流。オフになれる場所、寝室からお風呂やトイレなど、リラックスできる空間づくりへの関心が高まったといいます。たとえば間接照明を取り入れるなど。中でも勢いがあるのは香り系と強調。
⑷ 在宅ワーク ― 当たり前になった 家の中で、どう動く?
一気に一大ブレイクしたのが在宅ワークです。この一年、家の中の主要話題となりました。仕事スペースはリビングやダイニングがもっとも多いとのことですが、子ども部屋も、またテラスやベランダでも。さらに押し入れを隠し書斎にする人もいたそうです。
オフィスがフリーアドレスへ変革しつつあるように、家の中のワークプレイスもいろいろ。“ZOOM疲れ”という言葉もあるように、在宅も一か所ではなく気分を変える必要があるようで、様々な場所で働くことを前提にしたグッズに追い風が来ているといいます。
⑸ 収納 ― 整理整頓に「備蓄」が加わった!心の衛生管理も大きな話題に
収納の投稿・検索が多くなり、大きな変化があったといいます。家の中のストレスポイントを改善したり、モノの出し入れの回数が増えたことで仕組み変更を考えたり。断捨離も増加。
これに加えて新キーワードに「備蓄」が浮上。防災意識もあり、食材や日用品を備蓄する収納場所をつくったり、パントリーやストッカーを設けたり。
また買い方も変わり、サブスクが増え、飲み物の段ボール買いなどまとめ買いも増加。これらをパントリーへ運ぶためのキャスター付きが好まれているとの話も。
さらに二次流通(販売)を前提とした買い物をする人が多くなっていることにも触れ、以前はモノを持たない暮らしでミニマリストが多かったが、ここに来て所有にまつわるダイナミックな変化が起こっていると指摘しました。この動きはもっと広がりそうです。
最後に、コロナ後は「五感を満たす、心地よい暮らし」へ、コロナ前の“インスタ映え”とは異なる軸のポスト“映え” の世界に着目していると語って、セミナーを締め括りました。
NRIの「日本人の日常生活に関する調査 2021年7月調査」によると、7割以上の人がコロナ以前の生活に戻らないと考えているといいます。何故元に戻さないかというと、「完全に収束すると思えないから」が4割でトップ。もう一つ注目はオンライン化や無駄の排除で「今の生活様式に慣れてしまったから」というものだったそう。
⑴~⑸のキーポイントの内、⑴ の衛生思考は少しずつ消えて行きそうですが、残りはすべて継続あるいは拡大していくことでしょう。
アフターコロナ時代を占う大変興味深い暮らしトレンドに、納得のセミナーでした。
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