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2021年5月 3日 (月)

FW東京 春 ⑵ 持続可能なアパレルの認証基準とは?

 ファッションワールド(FW)東京 春 展のサステナブルファッションEXPOで、関連セミナーが行われ、その一つにTextile Exchange(テキスタイル エクスチェンジ)アジア地区アンバサダー (一社)M.S.I. 理事 稲垣 貢哉が登壇しました。Textile Exchangeとはアメリカのテキサスに本部を置き、世界中の水・土壌・大気・人類において繊維産業の影響を軽減するため、農業、材料、加工、トレーサビリティ、製品寿命に関する最良の事例を特定し共有する非営利団体です。アメリカ綿も加盟していて、昨春からU.S. Cotton Trust Protocol(U.S.コットン・トラスト・プロトコル)が参加しています。Img_41541  上はTextile Exchangeの展示風景です。

 テーマは「持続可能なアパレルの認証基準とは? Textile Exchange認証基準と現状」です。サステナブル認証の視点から国内外のアパレル業界の現状を解説され、興味深く拝聴しました。
 
 まずは自己紹介です。大学卒業後、興和(株)に入社した稲垣氏。繊維事業部で15年、主に綿原料の生産管理に従事され、オーガニックコットンブランド「Tenerita(テネリータ)」を創業。2007年よりOrganic Exchange(現Textile Exchange)理事に就任されたといいます。
 入社した1987年頃、綿は繊維素材の60%を有していたそうです。それが年々縮小し、現状は50%以上がポリエステル、綿は30%弱になってしまいました。これは世界市場の拡大により、天然繊維が減少したというよりは化合繊が増加したことを表しているのですが、それでも綿は全繊維生産量でポリエステルに次ぐシェアとなっています。

 次にTextile Exchangeが掲げる「プリファード(preferred = 好ましい)」に関する説明です。今や業界を挙げての合言葉といえば「サステナブル」ですが、Textile Exchangeではこれを「プリファード」という単語で表現しているそうです。サステナブルなコットンは、「プリファードコットン」、またポリエステルは「プリファードポリエステル」などと呼ばれています。「プリファード」とはエコで社会的にも前向きな選択肢のより良いものをチョイスする意味で、使っているようです。
 このプリファードコットン、すなわちサステナブルコットンには、オーガニック、フェアトレードコットン、CmiA(コットン・メイド・イン・アフリカ)、BCI(ベター コットン イニシアティブ)、リサイクルコットンなどが含まれ、認証ごとにさまざまな基準が設けられているといいます。現在、全生産量の20%強がプリファードコットンであり、その内オーガニックコットンは0.1%にも満たないそう。フェアトレードコットンも0.1%でこれからといいます。またとくにシェアを伸ばしているのはBCIであるとも。
 Textile Exchangeでは「2025サステナブルコットンチャレンジ」で、2025年までにサステナブルコットン50%を目指しているといいます。果たしてできるのか、これも注目です。

 さらにサステナブル認証についてです。オーガニックコットンの認証には基準が2つあるそうです。一つは95%以上オーガニックの場合の100%ラベルと、もう一つはオーガニックが5%以上であれば良いというラベルです。いずれも表示された含有率のパーセントが正しいかどうか、トレーサビリティの確認が中心になるとのことです。
 国際認証が増える中、世界の趨勢は近年、オーガニックかどうかよりも動物福祉の方になっているとの指摘もされました。たとえば2014年にスタートしたRDS(リスポンシブル ダウン スタンダード)は非常な勢いで増えているそう。リアルな毛皮や皮革を使わないブランドも多くなっているといいます。生産が減り続けているウールも、動物愛護のRWS(レスポンシブル ウール スタンダード)を取得するメーカーが増加。人造セルロース繊維も森林保護など様々な取り組みが行われているといいます。
 リサイクルはポリエステルだけではなくコットンをはじめあらゆる繊維で、GRS(グローバル リサイクル スタンダード)やRCS(リサイクル表示基準)の取得が激増している様子です。

 最後に認証機関としては大きく次の3つがあるとのこと。①CONTROL UNION(コントロール ユニオン <オランダ>)、②ECOCERT(エコサート <フランス>)、③NSF(エヌ エス エフ<アメリカ>)です。Textile Exchangeはこれらの基準をつくり、認証機関がそれを審査しチェックする機能を担っているといいます。
 このように認証制度はいろいろありますが、ヨーロッパが中心で、審査に費用がかかるなど、どちらかというと日本に不利な制度になっているようです。
 ところがつい最近、日本のケケン試験認証センターがテキスタイルエクスチェンジの認証機関に登録されたというニュースが飛び込んできました。ケケンが国際認証機関になったとは!これまで認証になかなか動けていなかった日本のメーカーですが、まさに朗報ですね。
 
 今や小学生たちがSDGsを学び、ラベルが付いている製品を研究している時代です。多岐にわたる国際ラベルをサステナブル ラベルと総称し、それを選ぶことで未来を変えていこうという活動も始まっているといいます。繊維製品にリサイクルや認証付きが当たり前の社会がもうすぐそこまで来ているのですね。そんなことに改めて気づかされたセミナーでした。

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