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2021年4月

2021年4月30日 (金)

21/22秋冬「まとふ」“一着のリレー”matohu 椿山にて

 堀畑裕之さんと関口真希子さんが手がける「まとふ (matohu)」は、日本の美意識につながる新しい服を創造しているブランドです。この「まとふ」の2021/22秋冬コレクションが3月30日~4月4日、オープンしたばかりのmatohu椿山にて発表されました。
 matohu椿山は、神田川をはさんで、椿山荘の向かい側にある「まとふ」の新しい本拠地です。これまで拠点としてきた表参道のショップが立て替えられることになり、アトリエとともに椿山に移転したといいます。
 窓からは関口芭蕉庵が一望出来る素晴らしいロケーションでした。私が訪ねたときは、桜が散ってしまって少し残念でしたが---。Img_42501

 今シーズンのテーマは“一着のリレー”です。これは2019年春夏シーズンから続く、「matohu(まとふ)」の「手のひらの旅」シリーズの第6回目となります。
 改めて「服を創ることについて考えてみる」から始まるムービーも発表されていますので、ご紹介します。

 一着の服はどのようにして出来上がるのでしょう。そこにはたくさんの人の手がリレーのようにつながり、長い過程を経てつくられているのです。それを想うと愛着も一入、大切に着ようと思います。
 ムービーを見て、藍染シルクは青梅の壺草苑で本藍染されて、八王子の文化ファッションテキスタイル研究所で織り上げられていること、また繊細な綿ニットは墨田区の川辺莫大小で編地として仕上げられていたことが分かりました。さすが「まとふ」は日本でも有数の工房と取り組まれているのですね。すばらしいです。

Img_42441  上は、前シーズンから続く江戸小紋のシリーズで、よろけ縞のコートです。
 若き伝統工芸士、廣瀬雄一氏の精緻な手仕事で染められた江戸小紋が、現代のファッショナブルな服に蘇っています。

 Img_42451 右は、ふっくらと暖かい、しかも驚くほど軽い着心地のジャケットです。
 生地はウール圧縮ジャカードで、花模様の更紗柄がシックです。

 他にも、本藍染でクラッシュした光沢が美しいパネベルベット(シルク/レーヨン)のドレスなど。ベルベットの藍染めはめったに試みられない、珍しいものです。
 
 静かな情趣を漂わせている、エレガントなコレクションです。

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2021年4月29日 (木)

第8回「綿織物産地素材展」 「エコ」な綿の確かな価値

 日本綿スフ織物工業連合会(綿工連)が主催する第8回「綿織物産地素材展」が、会場を東京・西麻布の綿工連会館に移して、2年ぶりに
開催されました。
 出展したのは次の6社、カネタ織物、ショーワ、高麻、辰巳織布、ミツノブ、和紙の布です。
 いずれもサステナビリティへ向けた綿を中心とする自然素材の確かな価値を打ち出していました。
 綿は元々、それ自身が「エコ」ですので、環境問題に対する差別化が難しい素材です。それでも他と一線を画そうということでしょう。本展でもオーガニックコットンやリサイクルコットンを使った生地が目立っていました。
 
ショーワ (岡山産地) 
 サステナブルな生地づくりに積極的に取り組まれているメーカーです。オーガニックコットンやリサイクルデニムなど。
 また他社にない独自開発のナイロン100%デニムにも引き合いが高いそう。Img_41951jpg

辰巳織布 (大阪南部産地)
Img_42011jpg  強撚糸使いの生地や上品な光沢のなめらかなギャバジンなど、高級感のある高密度織物を得意とするメーカーです。
 右は、玉虫のように光るツイルです。

ミツノブ (九州産地)
Img_42111  久留米織を製造している織元です。昔ながらの久留米絣かというと、決してそうではありません。
 見せてくれたのは、洗練されたデザインの絣織で、ビックリ! 


 この他、カネタ織物 (天龍社産地)は、超強撚ブロードやタイプライタークロスなど。高麻 (高島産地)は琵琶湖畔に群生する葦(よし)を原料にした和紙糸で作った「琵琶の葦糸」、さらに和紙の布 (大阪南部産地)は、間伐材を利用した木糸の生地などを展開していました。

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2021年4月28日 (水)

21秋冬「プラグイン」展 サステナブルと衛生用品に焦点

 繊研新聞社主催のファッション合同展「プラグイン(PLUG IN)」が、3月24~26日、EBiS303にて開催されました。
 リアル展への関心は高く、出展者は83社が、来場者は延べ2,108名と報告されています。
 トレンドはやはりサステナブルファッション、さらに新型コロナ対策を謳う衛生機能商品が際立っていました。

ダブルフェース トーキョー (Doubleface Tokyo)
 先シーズンも好感したダブルフェース トーキョー。「その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのか」をトレーサビリティーしていくことを掲げ、安さや便利さではなく、地球に優しい素材を使った製品を提案しています。
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 「トラッドから半歩ずらした綺麗目、上質な日常着」というコンセプトで、細部まで丁寧に作り込み、上質な服づくりをしているブランドです。一貫して国産生地と国内生産にこだわっているといるのにも共感させられます。

シキボウ 「フルテクト」
 お馴染みのシキボウがブースを構えていてビックリ! 15年も前に開発した抗ウイルス・抗菌加工「フルテクト」を訴求していたのです。2020年には新型コロナウイルス対策にも効果を発揮することが分かって、人気はうなぎ上りです。Img_41921
 「フルテクト」はアンリアレイジの21春夏コレクションにも使われて、さらに有名になりました。シキボウは自社工場にバイオハザードの設備を持っていて、抗ウイルス性と抗菌性の試験を自社で行う事ができる数少ないメーカーです。今回は「フルテクト」加工の紹介に加えて、自社販売商品のマスクやスプレーなど多様な商品を展示し訴求していたのが印象的です。

信州セラミックス 「アースプラス」 
 「アースプラス」は信州セラミックスが開発した細菌、ウイルス、臭いなどのタンパク質だけを選択して吸着し分解する新素材です。地球にも身体にも優しい食品添加物(ハイドロキシアパタイト・銀・酸化チタン)を組み合わせた自然に優しく、安全、安心なセラミックスの複合材といいます。
 既に全国3,000の病院で採用されていて、医療機関では高い評価を得ているそうです。白衣やナース服から、タオル、カーテン、寝装などのホームファッション分野など、また海外でも広く応用されているとのこと。Img_41871jpg

 パンデミックに戦々恐々とする毎日が続いています。「フルテクト」や「アースプラス」のような衛生用品は、医療従事者ではない私たちにも、もう必要不可欠ね、と改めて思ったことでした。

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2021年4月27日 (火)

21/22秋冬「PRO1」展 ⑶ 服への想いや信念伝えるブランド

 「PRO1」展では、服づくりへの想いや信念が伝わる若手デザイナーブランドが数多く出展していました。私が出会った3つのブランドをご紹介します。

RURI.W (ルリ)
  デザイナーは渡邉瑠璃さん。2018SSのデビューコレクションで着想したのは、日本の伝統的な祭装束である白丁だったといいます。なぜ白丁かというと、そこには亡きお祭り好きだった祖父の姿があったそうです。
Img_39661jpg  祖父へのオマージュは、時代を超えて受け継がれてゆくものを大切にする、ブランドの精神を形成していったようです。
 渡邉さんは、どのような人物がいつ、何のために着用した服なのか、服の背景を探り、デザインのリサイクルをしているかのようにコレクションを制作しているそうで、今シーズンもこの創作のプロセスは変わらないといいます。
 右は、つけ襟のような大きい襟が印象的なシンプルなシルエットのドレスです。

N'enuphar (ネニュファール)
 神戸の古着屋「タナゴコロータス」よりスタートしたオリジナルブランドで、メンズウェアが中心です。デザイナーは、中村善幸さんで、コンセプトは「未完成でいて決して終わることのない美しさ 常に感じ 解釈し 表現する」といいます。
 Img_39891   今シーズンは、押井守監督のアニメ映画「スカイクロラ」をヒントに、空を飛ぶ戦闘機をモチーフとしたプリントのシャツを前面に押し出していました。

SARTOGRAPH (サートグラフ)
 ファッションデザイナーのSHINSUKE NAKANOが2020年に立ち上げたブランドです。
Img_39781    昨年秋の「rooms(ルームス)41」展にも出展されていましたので、このブログにそのときの取材記事を掲載しています(2020.11.19付け)。ご参考までに。
 ブランド名は「テーラリング」を意味する「Sarto」、これに「描く」を表す「graph」という言葉を組み合わせた造語です。この名称のようにコレクションはテーラリング技術を基に、ワークウェアの要素を加えた、現代的でミニマルなシルエットで構成されています。 
 今季の一押しはメンズコートで、ベルトにつけた大きなカラーポケットがアクセント。きちんとした中に、アートな遊び心のあるデザインです。

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2021年4月26日 (月)

21/22秋冬「PRO1」展 ⑵ アップサイクルに取組むブランド

 「PRO1」の合同展では、今シーズンも引き続きアップサイクルを手掛けるブランドが目に付きました。アップサイクルとは、古い布や古着、廃材、縫製後の余り生地など、従来ならば不用品(=ゴミ)として廃棄処分されていたような製品・道具を、新しい感性で生まれ変わらせることです。
 そうしたアップサイクルに取組む魅力的なブランドを2つ、ご紹介します。

Atelier KOHAL (アトリエ・こはる)
さ  デザイナーは齋藤こはるさんです。
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 佐賀県唐津市を本拠地に、洋服の製造過程で出るハギレを活かしたファッション商品を提案されています。技能五輪全国大会洋裁部門で銀賞を受賞されているとか。
 パッチワークのトレンチコートやサーキュラースカートなど、どれもスタイリッシュです。
 切りっ放しのほつれた布の端を活かしたデザインが、趣のある味わいを演出していますね。
 ボタンなどの付属品も希少な物やヴィンテージ品を多く使用しているそうです。
 
LOWRUNDER  (ローランダー)
 2009年、櫟 (いちい) 純也さんと斎藤菜奈さんのデザイナーデュオが立ち上げたブランドで、東京・台東区の台東デザイナーズビレッジ発だそう。Img_39931
Img_39961jpg  コンセプトは「時代を再構築する服」で、ヴィンテージ古着のリメイクからスタートしたといいます。二着の古着をミックスさせてコラージュしたり、丈や幅をリサイズして今風なシルエットに再構築したり。新品にありそうでないデザインが人気です。
 右は、デザイナーの斎藤菜奈さんです。二種類の小花を散らした裏切りドビーチェックを大胆な片身変わりにスタイリングしたワンピースを着装しています。その着姿がカワイイ!
 
 アップサイクルで独自の世界観をつくりあげているブランドに注目です。

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2021年4月25日 (日)

21/22秋冬「PRO1」展 ⑴ 「カイキ」リラックス感と緊張感

  クリエイターの卵を発掘するプロジェクト「PRO1」の合同展が、東京ファッションウィーク「Rakuten Fashion Week TOKYO (RFWT) 2021/22 A/W」と同時期の3月17日~19日、渋谷セルリアンタワー東急ホテルにて開催されました。

 「カイキ(kaiki)」は飯尾開毅デザイナーが手がけるブランドです。今季はRFWTに参加するとともに、この合同展にも出展し、2021年秋冬コレクションを発表していました。
 展示会では、播州織の千鳥格子柄のジャカード生地が目に飛び込んできました。どこか懐かしい味わいのある風通織のような綿織物です。千鳥柄が大から少しずつ小さくなっていくデザインに、素材へのこだわりを感じます。Img_39721
 カラーは黒やグレーを基調に、オレンジやイエローなどを採り入れた暖かな雰囲気です。
 フレアのワンピースにゆったりと丸みを帯びたジャケットなど、落ち着いた色調のニットも提案されています。
Img_39711   
 リラックス感と緊張感が程よくミックスされているステキなコレクションです。



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2021年4月24日 (土)

2021桐生テキスタイルプロモーションショー テーマは共感

 群馬県桐生産地の繊維企業が一堂に会する展示会「桐生テキスタイルプロモーションショー(TPS)」が、3月17日~18日、東京で開催されました。昨年はコロナ禍で開催が見送られ、2年ぶりとなった今回は、会場をベルサール渋谷ガーデンに移しての再スタートとなりました。
 出展したのは24社で、テーマは「共感 (empathy =エンパシー)」です。デジタルが顕在化する昨今、求められるのはAIにはない共感力ということでしょう。そうした温かな空気感が漂う展示会でした。

須裁
 職人の技術や自由なアイデアにあふれるジャカード織の豊かな表現、凹凸感のある手触りや風合いに惹きつけられます。
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ミタショー

 変化に富んだカットジャカード、どれも皆、洗練されています。
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津久弘織物工場

 繊細な感覚の美しいカットジャカードに魅せられます。フリンジのように長いカットヤーンがエレガントです。
Img_39451 Img_39421jpg

 
下島 
Img_39481  ドビー織ならではの技巧を凝らして、繊細なグラデーションを丁寧に表現しています。



Tex.Box
 ニードルパンチによるアイデアにあふれた服地がいっぱい。訪れるたびにワクワクします。Img_39291jpg
 ニードルパンチとは剣山状の多数の針を高速で幾度も突き刺すことで複数の繊維を絡ませ新たな生地を作り出していく技法です。サンプルをすぐにつくっていただけるというのもすばらしいです。

トシテックス
 細巾ラッセル編み機を用いたアップサイクルの取組みに注目しています。
Img_39541  ふんわりとやわらかいモヘア糸のループフリンジ「ふ ふ ふ」がカワイイ!

桜井レース
 繊細なラッセルレースを先染めに接合させて、新しい魅力を演出していたのが印象的です。
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2021年4月23日 (金)

モード・イン・フランス 3月展 日本市場に期待

 第50回モード・イン・フランス展が3月16日~18日、ベルサール渋谷ファーストにて開催され、出展した16社20ブランドが新作コレクションを発表しました。来場者は98社518名で、前回の昨年10月展よりも微増となったといいます。Img_38991
 新型コロナウィルスの影響で、今回展も出展者がフランスから来日することは叶わず、飛行機で運ばれたサンプルが展示され、商談はブースを託された通訳を介して行われました。最終レポートによると、バイヤーの購買意欲は高く、商品を実際に手に取って確認した上で買い付けができる点が、大いに評価されたといいます。日本市場への期待感は依然として高いようです。

レディスウェアのブランドを中心にご紹介します。

Ananke (アナンケ)
 デザイナーのアヌクが手がけるマルセイユ発の高い品質を誇るファッションブランドです。世界700ヶ所以上で販売されていて、ロックダウンのない日本は安定市場と位置づけているといいます。Img_39021
 着心地のよいジャージーやニットウェアを中心に遊び心あふれるアイテムを提案しています。

Img_39031jpg FUEGO(フエゴ)
  1980年、女性を喜びと太陽で満たしたいという情熱の元、南仏で誕生したブランドです。

   ベーシックで洗練されたアイテムを中心に、地中海特有の気候や豊かさにインスパイアされた独自の世界観を感じます。


Mat de Misaine (マ ド ミゼーヌ)
 1990年に大西洋岸の観光地の1つ、サン ジル クロワ ド ヴィでスタートしたマリンテイストのブランドです。
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   この土地で生み出される価値ある伝統工芸を大切にしながら、オーガニックコットンやリサイクル素材の使用など、環境に配慮したサステナブルファッションを目指しているといいます。
 
Inoui Editions(イヌイ エディションズ)
Img_39101  フランス北部のソンムの湾に位置するアトリエで、折々の季節のなかからインスピレーションを得て唯一無二のスカーフを創作しているブランドです。

 今シーズンは力強くシンプルなモチーフに、動物、風景、ポートレートの新柄が登場していました。

 バッグなどバラエティー豊かで魅力的なコレクションが提案されています。

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2021年4月22日 (木)

「プロジェクト トーキョー3月展」多彩なブランドが出展

 「プロジェクト トーキョー」は、ファッションの「今」を繋げる国際的なファッションイベントです。その3月展が3月10日~11日に、渋谷ヒカリエにて開催され、国内外から多彩なテイスト・ジャンルの160ブランドが出展しました。
 興味深く思ったブランドをご紹介します。
 
FFM(エフエフエム)
 ニットに特化したOEMメーカーのバスターズカンパニーが立ち上げたニットウェアブランドです。
 シンプルでベーシックなウェアですが、新しい手法のニット技術”Tradretch”(トラドレッチ:造語)で、編地にさりげない表情がつけられています。Img_37781jpg
 今や、コーディネートの一部として欠かせないアイテムとなったニットのマスクも展開していて、シックな大人の雰囲気を感じさせていました。
 
RIEKA INOUE GNU (リエカ イノウエ ヌー)
  デザイナーの井上里英香さんが手がけるブランドで、毎シーズン、コンテンポラリーなドレスコレクションを発表しています。
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  星座柄の刺繍を施したチュールのロングドレスや、サテンのドレープが美しいアシンメトリーのスカートなど。リバーレースも贅沢に使用されていて、ゴージャスです。
 
Graphzero (グラフゼロ)
 国産ジーンズ発祥の地、岡山県児島で、生地屋からスタートしたファクトリーブランドです。
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 コンセプトは既成の概念に囚われず、ゼロから始める本物へのこだわりとか。ブースには着れば着るほど愛着が増すコットンデニムのアイテムが勢揃い---。
 年月が経つに連れ、より美しさや躍動感が溢れ出すデニムの可能性を感じるコレクションです。

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2021年4月21日 (水)

ファッションスクール「me」のショーは驚きの連続!

 21秋冬東京コレクション(RFWT21AW)の会期中、デザイナー坂部三樹郎氏が立ち上げたファッションスクール「me」の学生によるファッションショーが、東京・青山で開催されました。
 「me」は、ファッションにイノベーションを起こす人材を輩出する学校といいます。そういうように会場には、これまで見たことがない予測不可能なパンチの効いた作品が並んでいて、びっくりの連続! 
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 ファッションショーも、若い才能の爆発と言った感じで、興味深かったです。彼らの中から、これからのファッション業界を担う人たちが続々出てくるのでしょう。Img_38771 Img_38801
 コロナ禍を契機にディスラプションが本格化しています。ファッション業界も随所で既存のシステムを覆すような動きが見られ、「me」のような自由な発想のクリエイターが求められていると感じます。
 
 若い息吹に触れて、圧倒された一夕でした。

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2021年4月20日 (火)

21/22秋冬東京RFWT ⑾ チョノ “ベリー”の似合う女性に

 中園わたるデザイナーによる「チョノ(CHONO)」が東京コレクションRFWTに初参加し、約3分間のショートムービーで21/22秋冬コレクションを発表しています。

 映画の予告編のモチーフを採り入れた映像で、“ベリー”の似合う女性に向けた甘酸っぱい物語が展開され、終盤にコレクションを着装したモデルが次々に登場する構成です。

 瑞々しい“ベリー”の彩りをのせた、エレガント感あふれる上品なスタイリングがいっぱい。
Img_3796  胸元に大きなリボンをあしらった花模様のワンピース(右 展示会で撮影)や、ピークドラペルでダブルブレストのテイラードパンツスーツ、セーラーボーダーのセーターにフレアスカートなど。

 一つひとつのモデルに、ファブリックストーリーが記され、産地メーカー名が表記されているのも、服地を一から開発しているこのブランドらしいと好感しました。チョノは“imagine fabrics”をコンセプトにしているブランドなのです。産地の技術力を持った人たちのことをもっと知って欲しい、日本の技術に光を当てることで、活性化していって欲しい、そんな想いを感じて、うれしくなりました。

 ものづくりに対する信念と職人へのリスペクト、そして日常生活で服を着る人の視点を冷静に併せ持つ、ステキなコレクションです。

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2021年4月19日 (月)

21/22秋冬東京RFWT⑽ アンダーカバー エヴァンゲリオン

 高橋盾デザイナーが手がける「UNDERCOVER(アンダーカバー)」が、RFWTのプロジェクト“by R”として19年ぶりに東京で21/22秋冬コレクションショーを開催し、その動画が配信されました。
 今シーズンは人気アニメ作品「シン・エヴァンゲリオン劇場版」とコラボし、「CREEP VERY(忍び寄る)」をテーマに、前半はメンズ、後半はウィメンズの2部構成で、アンダーグラウンドな妖しい美しさを表現しています。
 メンズでは冒頭、子どもたちがパジャマルックで登場します。
Photo_20210419125501   うつむき、あてもなくさまよう姿は夢うつつのよう。パジャマの背中や羽織ったニットには「エヴァンゲリオン」に登場する使徒のシルエットが描かれています。ここは序章としての演出だったようです。
 1_20210419125601  続いてエヴァンゲリオンの初号機、弐号機、身体の線を強調したパイロットスーツの “プラグスーツ″ を思わせるモデルが現れます。
 Photo_20210419125601  ウィメンズでは花のモチーフが数多く出現。華麗なムードに包まれる中、涙を流しているかのようなきらめくフェイスデコレーションが印象的です。
 

  絶望に打ちひしがれていても、希望を見出そうと踏ん張る、相反する感情を抱えて生きる人々へのメッセージ性を感じるコレクションです。

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2021年4月18日 (日)

21/22秋冬東京 RFWT ⑼ バルムング“分解と再構築”

 東京コレクションRFWTの期間中、デザイナーHachiによるバルムング(BALMUNG)の展示会が渋谷ヒカリエで開催されました。

Img_40621jpg  会場には、21/22秋冬コレクションとともに、奇妙にねじ曲がったアルミ箔のようなオブジェを載せた段ボール箱が随所にインスタレーションされていました。これは今シーズンの“分解と再構築”の象徴的存在であるようです。
 Img_40541 Img_40571jpg  ここで見られるのは解体されたパーツを組み込み、再構成したウエアや、異素材の融合です。光るものやベールのような透け感、マットなアウター素材などが組み合わさり、未来的な感覚をイメージさせられます。
 
 これまでに見たことのないような、新しい造形へ挑戦する実験的なコレクションでした。

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2021年4月17日 (土)

21/22秋冬東京 RFWT⑻ メアグラーティア「予期せぬこと」

 関根隆文デザイナーによる「メアグラーティア(meagratia)」の21/22年秋冬コレクションの展示会が渋谷ヒカリエで開かれました。
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  テーマは「UNEXPECTED = 予期せぬこと」です。
  ここでイメージされているのは、ズバリ絞り染めです。
  今シーズンは絞りが生み出す偶然のカタチ、Img_40501 不規則で不定形に広がるフォルムを取り込んだ、表情豊かなコレクションを展開しています。
 まるで樹皮のような柄を演出したコーデュロイやトワルのセットアップ、デニムに白抜きタイダイ、その独特のシワ感も新鮮です。



 ナチュラルなムードもたっぷり。
 クラフト感を大切にするこのブランドらしいコレクションです。

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2021年4月16日 (金)

21/22秋冬東京 RFWT⑺ ペイ デ フェ 無重力のユートピア

 デザイナーの朝藤りむさんが手がける「ペイ デ フェ(pays des fees)」が21/22秋冬コレクションをプレゼンテーション形式で発表しました。ブランド名の「ペイ デ フェ」とは、フランス語で「妖精の国」という意味です。妖精というように、ファンタジックな“奇妙かわいい”を主軸にクリエーションを展開しています。
 ブランドが本格的にスタートしたのは2014年で、東京コレクションには今回初参加だそうです。

 テーマは「無重力のユートピア」。コロナ禍で人との社会的距離が求められる中、気持ちを和らげる、穏やかで明るい無重力感覚の理想郷を想い描いたといいます。またとくにシュールレアリスムのアーティスト、ルネ・マグリットや古賀春江らにもインスパイアされたとも話していました。
Img_40301              (左はデザイナーの朝藤りむさん)

 ふんわりとしたAラインのドレスが中心で、ロング丈、ふくらんだ袖にフリル、ティアード、リバーレースやチュール使いで、ロマンティックな雰囲気に仕立てられています。
 カラーはペールで優しいパステルカラーで、ブルーやピンクが中心。
 テキスタイルはやわらかくて軽い素材やゴブラン織りが目に付きます。鯨のような形の飛行船やアブ、蛾など“飛行”モチーフを散りばめたデザインも印象的です。
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  無重力になって空を自由に浮遊する、少女が描く夢のような世界に遊ぶコレクションです。

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2021年4月15日 (木)

21/22秋冬東京 RFWT ⑹ 「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス」+「フェイスエージェー」のショー

 ミラノのメンズ・ファッションウィークに参加した「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(Children of the discordance)」(このブログ2021.2.17付け参照)が、日本とアフリカのファッションを繋ぐプロジェクト「フェイスエージェー(FACE.A-J)」と協働し、東京 RFWTでリアルなファッションショーを東京国立博物館 表慶館で開催しました。

  手がけるデザイナーは志鎌英明さん。
 今回はスポーティなブルゾンやパーカーに、お得意のパッチワークやバンダナ、カラフルな絞り染めなどに加えて、フェイスエージェーが提供するアフリカンファブリックを使用したルックが登場しました。
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 アフリカンな白黒のストライプや水玉プリントのセットアップも目新しく映りました。

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2021年4月14日 (水)

21/22秋冬東京 RFWT ⑸ フォーサムワン = 誰かのために

 小川哲史デザイナーが手掛ける「フォーサムワン(FORSOMEONE)」がRakuten Fashion Week TOKYO (RFWT) 2021 A/Wで、初のリアルなファッションショーを渋谷ヒカリエで披露しました。
 フランド立ち上げは2018年秋冬からだそう。新進気鋭のメンズファッションブランドです。
 ブランド名の「フォーサムワン」は、衣装デザイナーとして活動を始めた小川デザイナーが、その経験を糧に活動するブランドとして、誰かの為に=FORSOMEONEと命名したといいます。
 今秋冬のテーマは“HUMAN NATURE 2.0”。自然と調和する穏やかで心地よいスタイリングを展開しています。
 素材は優しいソフトな質感や温かなニットが中心。ニットにフリンジや、グラフィックな切替デザインのものも。PVC使いのコートもナチュラルな雰囲気を引き立てているようです。 
Img_40811 Img_40731Img_40891  
 ボヘミアンな雰囲気を随所にちりばめ、リラックスしたムードがカッコいいコレクションでした。

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2021年4月13日 (火)

21/22秋冬東京 RFWT ⑷ ビューティフル ピープル

 熊切秀典デザイナーが手掛ける「ビューティフルピープル(beautiful people)」は、パリ・ファッションウィークでデジタルショーを、続く東京ファッションウィーク「Rakuten Fashion Week TOKYO 2021/22 A/W」ではリアルショーを開催しました。
 テーマは「Side-C Vol.6 DOUBLE-END(ダブルエンド)」です。「ダフブルエンド」とは、必要に応じて両口で使えるマーカーをダブルエンドマーカーというように、「両頭使い」の意味です。コレクションは一着の服を別の着方もできるようにデザインしたアイテムで構成されていました。
 B  ランウェイにはペアのモデルが登場し、同じ服やアクセサリー、バッグを上下入れ替えたり、ひっくり返したり、回転させたり。ボタン位置をずらして、襟開きに腕を通したり、また袖から頭を出したりといった服もあり、いろいろな着こなしを楽しむアイデアが満載。
 「次はどんな服が出てきてパフォーマンスしてくれるのかしら」と、ワクワクするような動画になっています。

 クラシックの再構築で、ファッションの楽しい世界が広がる、その可能性を実現して見せたコレクションでした。

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2021年4月12日 (月)

21/22秋冬東京 RFWT ⑶ ソワハ 「新時代の和装」

 今季、東京ファッションウィークで、目玉となった新ブランドが「ソワハ(sowaha)」です。「ソマルタ(SOMARTA)」で知られる廣川玉枝デザイナーが、「新時代の和装」をコンセプトに、原宿デザインと立ち上げた、日本文化の発信を行う文化的デザインプロジェクトといいます。
 ちなみにブランド名の「ソワハ」の「ソ」は「装」、「ワ」は「和」、「ハ」は「羽」の意味だそう。
 発表したのは、きもの風に打ち合わせた「カシュクール」のワンピースです。ワンピースドレスですので、きものの着付けなしで着ることができます。きものの雰囲気を気軽に楽しめるデザインというのがいいですね。

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 絵羽模様はデジタルプリントで、京都友禅染の「千總」「岡重」の協力によるものだそう。表情豊かな織柄の上に模様を重ねることで、奥行きのある鮮やかな風景画が実現されています。
 襟もとの「襲(かさね)」色目も美しくエレガントです。

 日本の伝統的な美意識を礎に、現代の生活様式に合わせたものづくりを行っていくというソワハ。今後の和装の発展に期待です。

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2021年4月11日 (日)

21/22秋冬東京RFWT ⑵ アツシナカシマ 日本画家「楚水」

 東京ファッションウィーク(RFWT)に「アツシナカシマ (ATSUSHI NAKASHIMA)」が戻ってきました。ミラノ・ファッションウィークで発表を続けていたのですが、5年ぶりに東京でショーを開くことになったのです。
 テーマは「楚水」で、ブランドを手掛ける中島篤デザイナーの曾祖父の名前だそう。今シーズン、デザイナーの心を捉えたのは、生涯、日本画家として情熱を注いだ曾祖父だったのですね。トレンチコートやMA-1、ワンピースといったアイテムには、墨で力強く描かれた絵画が、濃淡美しい色彩で鮮やかに写し込まれ、アップデートされています。

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 前シーズンから続く「和」の要素はさらに色濃くなり、和花柄や虎モチーフなどオリエンタルムードたっぷり。着丈の長い羽織るレイヤードも繰り返し見られます。
 とくに終盤にはきものとドレスのドッキングが登場。平面のきものに立体的なフリルをあしらったドレスを片身変わりに組み合わせたデザインに強く引き付けられました。Photo_20210410181602
 和洋がクロスオーバーする素晴らしいコレクションでした。

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2021年4月10日 (土)

21/22秋冬東京 RFWT ⑴ リンシュウ ドレスコード「黒」

 東京ファッションウィーク「Rakuten Fashion Week TOKYO 2021/22 A/W」は、3月15日から20日までの6日間、開催されました。参加ブランドは全51で、オンライン配信は30、観客を入れたリアルなショーは21だったといいます。私はほんの一部しか見ることができなかったのですが、それぞれが新しい風を感じる「らしさ」全開のコレクションを見せていたようです。

 初日、リアルなファッションショーを開催した「リンシュウ(RYNSHU)」。ブランドを手掛ける山地正倫周デザイナーは1986年にデビューし、今シーズンで35周年を迎えるとのことです。 この記念の節目にふさわしく、結婚式場「アニヴェルセル 表参道」を会場に、「ドレスコード」と題したコレクションを発表。メンズ主体にウィメンズも披露しました。
Img_38191  来場者に「黒」のドレスコードが設けられたように、登場したモデルも黒が主役でした。コントラストをつける白やオレンジ、それにメタリックカラーが華やかさを際立たせていました。
 キーアイテムはメンズのドレスコードの象徴であるテーラードです。バリエーション豊かに、ロングジャケットやタキシードをカジュアルな組み合わせで楽しむクリエーションが展開されました。素材は心地よいカシミヤをはじめ、シルクシフォンオーガンジーやストレッチのマルチカラーツイード、光沢ジャカード、煌めくスパンコール。また黒と白のハンドメイドのフラワーモチーフも花を添えていました。
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 リュクスなエレガンスはそのままに、エッジの効いたコレクションでした。

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2021年4月 9日 (金)

21/22秋冬パリFW⑾ ルイ ヴィトン 古代彫刻に見守られて

 パリ・ファッション・ウィーク(FW)のトリをつとめたのが「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」です。ウィメンズ アーティスティック・ディレクターであるニコラ・ジェスキエールが今シーズン、会場に選んだのは、フランス・パリのルーヴル美術館館です。館内のミケランジェロ・ギャラリーとギャラリー・ダリュで、古代彫刻に見守られるように無観客ショーを開催し、動画を配信しています。



 とくに今シーズン、話題となっているのが、イタリアのアート&デザインスタジオ「フォルナセッティ・アトリエ」とのコラボレーションです。その13,000点にのぼるアーカイヴをセレクトし、ウェアに落とし込んでいます。彫像をモチーフにしたアートワークが、不朽の時代へのロマンをかき立てているようです。
 Photo_20210406104101  シルエットは、身体を拡張するようなボリュームのあるダイナミックなフォルムで、目立つのは肩の強調です。彫刻のようなケープやケープレットも目につきます。それらに動きをつけるチュールのフリルのスカートも。
 クチュールらしい手仕事も随所に散りばめられ、現代と古代を行き来するようなコレクションです。

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2021年4月 8日 (木)

21/22秋冬パリFW ⑽ ミュウミュウ 雪山のショー

ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)は、山が好きなのですね。「ミュウミュウ(MIU MIU)」の21/22秋冬コレクションショーは美しく晴れた雪山で撮影されました。映像にはアルプスのドローミティ山脈の絶景が広がり、雄大そのものです。
 タイトルは「ブレイブハート(BRAVE HEART)」で、「勇気」です。そこには「もう家に閉じこもっていないで、勇気を出して外に飛び出していこう。一歩一歩雪を踏みしめるように」というメッセージが込められているといいます。
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 モデルたちは、ダウンやキルティングのスキーウェアのようなスタイルで現れます。フェイスマスクにもなるニットのバラクラバ、カラフルなフェアアイルニットも暖かそうです。これなら雪深い山の中でも寒くないでしょう。でもその下に着込んでいるのは、ビュスチエやボディス、あるいはシルクサテンのスリップドレスです。また上着もなしのタンクトップ姿で歩くモデルもいます。ミウッチャはこれを “アルペン・ランジェリー”と呼んでいるとか。実際、ミウッチャ自身、若い頃に、暑い日にビキニを着てスキーをしたことがあると語っているとのこと。

 
 終盤は神秘的な円形の焚火のシーンとなります。古代からの自然と人間とのつながりを感じさせる印象的なフィナーレでした。

 

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2021年4月 7日 (水)

21/22秋冬パリFW ⑼ アンリアレイジ 重力逆転のショー

 森永邦彦デザイナーによる「アンリアレイジ(ANREALAGE)」が、今シーズンもパリコレで2021-22年秋冬コレクションを動画で発表しています。
 テーマは「グラウンド(GROUND) = 地面」です。その奇想天外な表現には、誰もがビックリすることでしょう。何しろ天地が逆転しているのです。森永デザイナーは「パンデミックという状況がもたらしたデジタルファッションショーは、地面が支えている世界を変えてしまった」といいます。現れたのは、すべてがフラットになって、上下がない、重力や質量までもが消えてしまった不思議な世界です。Photo_20210406143001
 モデルたちはまず床を歩き、次に天井を歩き、それぞれの "いつもの "あるいは "いつもと違う "位置関係を反映した表情を見せます。ポルカドット、チェック、千鳥格子、星柄、花柄、アーガイルダイヤモンドは、180度回転させると、肩に向かって下降(足から床に向かって着た場合は上昇)していきます。
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 逆さまになるのはパターンだけではありません。バイカーやトラッカー、トレンチのポケットや襟、ドレスのフリル、ボンバーの裾、さらには靴ひもまでもが、「正しい」方向に上げても逆さまに見えるように作られています。逆転の力を加えることで、視点が転換されて、見慣れた定番アイテムに新鮮なデザインが創出されているのです。
 ショーの後半には、上下をひっくり返しても着られる服も登場しました。
 それにしても何とユニークな発想! リアルショーではあり得ない映像の面白さに引き込まれたコレクションでした。

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2021年4月 6日 (火)

21/22秋冬パリFW⑻シャネル パリジャンとスキーリゾート

 「シャネル(CHANEL)」は今シーズン、1960年代から続くセーヌ左岸の有名なナイトクラブ「シェ・カステル」を会場に無観客のショーを開催し、映画のような動画を配信しています。
 アーティスティックディレクターであるヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)は、これまで広大なグランパレで壮大なシャネルのショーを繰り広げてきました。しかしグランパレが大規模な改装工事に入り、元来「クラブのような小さな場所でショーをしたかった」というヴィアールが選んだのが、英国の家のような雰囲気の、この店だったそう。遊び心にあふれた「ココネージュ」コレクションを発表するのに、これまでとまったく異なる雰囲気の場所が必要だと感じていたこともあったようです。

 コレクション動画はクールなパリジャンシックとスキーリゾートをテーマに展開します。
 「シャネル」ガールを演じるモデルたちはスキー帰りという設定です。街を歩き、店に入り、支度して螺旋階段を降りると、映像はモノクロから一転、カラーに切り変わります。そこでは華やかなパーティーが開かれているという、巧みな演出です。モデルたちは分厚いコートやかっちりとしたツィードのジャケットを纏っていますが、その下にはイブニングにふさわしい繊細なシフォンのドレスを着けていたり、グラマラスなブラトップやレースのキャミソールを組ませていたり。その意外な着合わせのコントラストに注目です。 Photo_202104051910012_20210405191001
 ふわふわファーのジャケットやノルディックのセーターなど、スキーリゾートらしい楽しいアイテムも登場します。
 親密なパーティーの、温かな活気が伝わってくるコレクションです。

 

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2021年4月 5日 (月)

21/22秋冬パリFW⑺ ディオール おとぎ話の「不穏な美」

 ディオール(DIOR)は21/22秋冬プレタポルテ コレクションを3月8日、動画で配信しました。タイトルは「Disturbing Beauty(不穏な美)」です。



 アーティスティックディレクターのマリア・グラツィア・キウリは、「赤ずきんちゃん」や「美女と野獣」といったおとぎ話の世界、それもダークファンタジーにヒントを得て、無観客のショーを発表しています。おとぎ話というと、子ども向けの優しげなものを想像しますが、その裏にはしばしば不穏な要素が隠れているのですね。

 会場は夜のヴェルサイユ宮殿「鏡の間」です。壮麗な鏡の回廊には、ワックスをかけて映らないようにしたメタルフレームの鏡が並べられ、「美女と野獣」に出てくるような棘のあるものなど、禍々しい装飾が施されています。これはイタリアのアーティスト、シルヴィア・ジャムブローネの作品だそう。ここでは鏡は魅力的であると同時に反発するものと捉えられているのです。
 登場するダンサーたちの不思議なパフォーマンスにも魅せられます。キウリによると、「ダンサーたちは、ランウェイを歩くモデルたちに、自分のアイデンティティを確立したいなら、自分を鏡で見てはいけない、と忠告している」そう。
 これは自撮りやビデオ会議など、自分の姿を見て虚栄心を満足させるような昨今の風潮、デジタルナルシシズムへの警告でもあるようです。キウリ自身はシンプルでリアルなものが好きだそうで、「集中したければ、自分の姿を見てはいけない」とも。

Photo_20210404151401  ランウェイ上には、おとぎ話のアーキタイプ(元型)を再解釈した、大人のイマジネーションを誘うドレスが並びました。子ども服を連想させるジャンパードレスや、「赤ずきん」を思わせる赤いケープ、おもちゃの兵士風にアレンジした「バー」ジャケット、ハートの女王を喚起させるドレスなど。
 展開されているのは、単なるおとぎ話への現実逃避ではない、現状に異議を唱える刺激的な世界でした。

1_20210404151401   ダークさとフェミニティの要素を散りばめたファンタジックなコレクションです。

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2021年4月 4日 (日)

21/22秋冬パリFW ⑹ クレージュ 青春への頌歌

 パリ ファッションウィーク(FW)で「クレージュ(COURREGES)」は、新クリエイティブ・ディレクター、ニコラ・ディ・フェリーチェ(Nicolas Di Felice)による21/22秋冬コレクションを動画で発表しています。
 テーマは「I can feel your heartbeat」です。若き日のアンドレ・クレージュと、彼のアトリエが始まった頃を振り返る “青春への頌歌”となっていて、閉塞感のある現代に生きる若者たちへのメッセージでもあるといいます。
 舞台は白い真四角の空間です。ファーストルックはビッグなチェックのロングコート、次いでウエストマークのフレアコート、続いて1960年代に爆発的にヒットしたミニスカートにニーハイブーツ、パンタロンルック、ウエスト部分を大胆にカットアウトしたくり抜いたミニドレスも登場。Photo_20210403154001
 かつてのアーカイブが現代のデザインにアレンジされて蘇っています。とくに生まれ変わっているのが素材です。メゾンのシグネチャーであるビニールが、バイオベースのポリウレタンに置き換えられていたり、ボディスーツのニットが環境に優しい、より軽くて心地よいコットンになっていたり、バッグがパイナップルのへたの部分を再利用したレザーでつくられていたり。
 現代のフューチャーリズム(未来主義)は、60年代とは異なり、サステナビリティを向いていることを証明するようなコレクションです。

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2021年4月 3日 (土)

21/22秋冬パリFW⑸ ドリス ヴァン ノッテン ダンスで発表

 「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」は、ダンスの映像を通じて21/22秋冬コレクションを発表しています。
 撮影された場所はアントワープのデシンゲル劇場。その暗いステージで、47人のダンサーが新作をまとってパフォーマンスを繰り広げます。表現しているのは、コロナ禍で行き場を失ったダンサーたちの鬱積した怒りやフラストレーション、混乱、憧れ、別離などの感情でしょうか。そんな彼らのパッションが溢れ出ているかのような、誇張された、なまめかしさをも感じさせる女性美にドキッとさせられます。

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  印象的なのは、衣服が身体の動きと連動しているかのようなデザインです。コートがふわりと宙に翻ったり、反り返った身体によってジャケットにシワやドレープが生み出されたり、屈むことによって裾が広がり落ちたり。またテーラードジャケットとセンシュアルなサテンのキャミソールやドレスとのコントラストも目を惹きます。
 さらにダンスの躍動感を引き立てるようにあしらわれている、煌めくスパンコールやフェイクファー、フェザー、フリンジ。加えてトロンプルイユプリントも。 平面的に描かれているはずなのにドレープのように見えるグラフィックなど。

  大人のサイコ・セクシュアルドラマでも見ているようなコレクションでした。

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2021年4月 2日 (金)

21/22秋冬パリFW ⑷ クロエ サステナブルと社会貢献

 「クロエ(CHLOE)」はパリ・ファッション・ウイーク(FW)の3か目、2021年秋冬コレクションを7分間の動画で発表しました。この日はクロエの創業者ギャビー・アギョン(Gaby Aghion)の生誕100年となる日で、コレクションを手掛けたのは新任のウルグアイ出身のデザイナー、ガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)、愛称はギャビです。リリースには「ギャビ―からギャビへ」と記されていたそうです。
 撮影場所はパリのサンジェルマン・デ・プレで、ブラッセリー・リップなどの店が出てきます。創業当時、アギョンはこの界隈の店でショーを開いていたといいます。

 
  ところでガブリエラ・ハーストは2019年に世界初のカーボンニュートラルなランウェイショーを開催するなど、サステナブルな取り組みで評価されているデザイナーです。
 今回のコレクションも、クロエの路線を踏襲しながらも素材を変えて、リサイクルやオーガニックなど、ガブリエラらしいサステナビリティと社会貢献にこだわっています。
 登場したのは、故郷の南米ウルグアイを思わせるロングポンチョやパッチワークのコート、マルチボーダーのロングニット、フリンジの装飾など、アップサイクルによる手仕事の温もりを感じさせるようなアイテムです。カラーもアーシーな茶系が多い。1970年代頃パリのサンジェルマン・デ・プレで流行っていたフォークロア調のスタイリングを彷彿させます。

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 またホームレスの支援を行うオランダの非営利団体シェルタースーツ・ファンデーション(SHELTERSUIT FOUNDATION)に協力して、過去のコレクションの残反を渡し、雨風から身を守るための“シェルタースーツ”を製作、バックパックも販売して同団体の活動支援に充てるなど、社会貢献活動にも乗り出していることも話題です。
 ノブレス・オブリージュを実践する新生「クロエ」、期待しています。

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2021年4月 1日 (木)

21/22秋冬パリFW ⑶ マメ クロゴウチ“夜の窓”テーマ

 日本人デザイナー、黒河内真衣子が手がけるマメ クロゴウチ(MAME KUROGOUCHI以下、マメ)が、21/22秋冬コレクションをパリ・ファッション・ウイーク(FW)の公式スケジュール上で、デジタル配信しています。
 テーマは前シーズンと同様に“窓”です。しかし違うのは“昼の窓”から“夜の窓”へ変わったことです。着想したのは、寝室のブラインドから差し込む月明かりがつくるぼんやりとした影であるとか。ストライプ状に揺らきながら壁や天井を横切り、ソファーやベッドの上で歪んでカーブを描く影を思い浮かべたそう。

  
 黒河内さんはこのテーマを日本の伝統的な2つの技法を用いて表現しています。
Photo_20210401111301   一つは京都の板締め絞りです。板の間にプリーツを入れた布を挟み、プリーツの隆起部分だけが染料に当たるようにして染めます。この手法で染料の色であるオレンジや黒がシルエットを縁取るドレスやブラウスに仕上げているのです。
 もう一つは京都にある日本唯一のマーブリング工場との協力で制作したマーブルプリントです。白黒から激しい朱色へと変化する渦巻き状の模様をシンプルな仕立てが引き立ていいます。
 この他、リブが膨らみながら細くなっていく不規則なリブニットのセットなども見られます。

 幻想的で優雅な趣が伝わって来る、美しいコレクションです。

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