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2021年2月

2021年2月28日 (日)

フキノトウの花

 フキノトウが今、花を咲かせています。少し前まで蕾でしたのに、今はもう白い小さな筒状の花が密集しています。花びらもない、何とも控えめな花ですけれど、かわいらしいです。Img_37671

 我が家の庭にはフキがいっぱい。今、この時期は恵みの幸です。このところずっと天ぷらにしていただいています。花も揚げると、ほんのりとした苦みがあってなかなか美味しい。
 夏には茎もまた旬の食材です。フキは昔から薬草でもあったそうで、胃薬などに利用されていたとか。 
 ステイホームの毎日、庭の植物に元気をもらっています。

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2021年2月27日 (土)

モーダ・イタリア展 & シューズ・フロム・イタリー展

 この8日から10日、ベルサール渋谷ガーデンにて、21/22秋冬向け「第56回モーダ・イタリア展&第66回シューズ・フロム・イタリー展」が開かれました。来場者数は1.312名(前年2月来場者数1.778名)で、新型コロナウィルス感染拡大の影響が心配される中、無事会期を終えることができたといいます。Img_35551
 出展者はアパレル77社、レザー関連45社、シューズ25社で、合わせて139社です。コロナ禍でイタリア人出展者は来日せず、日本の代理店・インポーターをもたない企業は各社の出展ブースにサンプルのみを展示し、イタリア貿易促進機構が手配したプロモーターがコレクションの説明をしていました。
 
 今回も様々なブランドがサステナブルを意識したアイテムを展開していたのが印象的です。
Photo_20210219165401  たとえばニティア(NITIA)は、環境への影響が少ない生地やパディングを使用して作られた、エコフレンドリーな女性用パーカーとダウンジャケットを提案。
 
 スガモ ミラノSGAMO MILANO は、レディース・シューズのコレクションを一流リテーラーに提案したいという思いから、設立されたというミラノのブランドです。
Img_35651jpg  イタリアのタンナーから供給された最高級の革を使用して、熟練の職人の手でつくられているといいます。
 
 フォトシューティングも実施されました。日本のトップスタイリストが、出展社のアイテムをセレクトし、日本のマーケットにむけたコーディネートを提案するというもので、毎回好評の様子です。
Img_35631  上は会場内の撮影エリアです。まさにその準備が行われているところでした。

 なお、次回22年春夏向けは7月6日~8日、今回と同じ会場で開催される予定です。

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2021年2月26日 (金)

2021年ifs新春フォーラム⑵ ゲスト二人とトークセッション

 「2021年ifs新春フォーラム」第2部は、コロナ危機が続く社会にあって、いかに快適に過ごすか、このための生活者へのサービスや暮らし方を考えるトークセッションでした。
 ゲストはJTB 名古屋事業部 営業四課 伊藤 慶宜氏と、主婦の友社ライフスタイル編集部 第3編集ユニット「古い家ではじめた、新しい暮らし」編集長 町野慶美氏の二人です。
  冒頭、コーディネーターのifs小原直花氏が「2030年に向けた時代の方向性」を解説。Img_35161
 ifsが昨秋実施した調査で、「コロナ以前の暮らしには戻さない」 と73%もの人々が回答していることや、働き方がテレワークに変わり、住む場所に観点が移って、どこに住んでも働ける可能性が広がる時代になったことを紹介しました。
 
 議論はこの話を受けてスタート。トップに立ったのがJTBの「My office NAVI」を担当されている伊藤氏です。
 JTBナビは、NECソリューションイノベータと共同開発したテレワーク施設簡単予約サービスで、ホテルの客室や宴会場といった遊休スペースを活用して、テレワーク場所として企業に提供しているといいます。当初は東京五輪・パラリンピックによる渋滞緩和・働く場所の確保などを支援する目的で始まったそうですが、今では全国400カ所のホテルにサテライトオフィスがあり、IT企業を中心に、数十社が利用しているとか。働きながら休暇をとる「ワーケーション(ワークとバケーションを組み合わせた造語)」の場にも活用されているといいます。
 選ばれるホテルは自宅に近いホテルが多く、定期代を支給せずにテレワーク費用に充てている企業もあるそうです。これまで都市部に向かって移動していた人たちが郊外へ移っていて、社会全体の流れの変化をもろに感じているとも。
 
 町野氏は、昨年11月「古い家ではじめた、新しい暮らし」という本を出版。
41jglodacul_sy349_bo1204203200_ 東京から地方へ移住した4組の住まい方を掲載したところ、大変参考になると好評だそう。ステイホームとなり、家事の頻度が上がり、料理や裁縫など手作りする人が増えて、楽しんで家事をしたい気分の人が多くなっているといいます。
 
 働き方や暮らし方を変えたいと思っている人を後押しするために必要なことは何かと問われて、伊藤氏は、テレワークの浸透率を上げるには、一に環境整備、二に信頼が重要と強調。そのためには仕事の評価基準も変化する必要があるといいます。ポイントは働く場をいかにストレスのない状態につくれるかで、ホテルは個室なのでストレスなしに仕事できるし、ワーケーションが可能なら、よりカラフルで楽しくなるといいます。
 
 最後に、伊藤氏が今後はテレワークとともにワーケーションが進む、旅行のやり方も多様化する、町野氏が紙の出版に拘らず、オンラインを活用してコンテンツをつくり、ネットに広げていきたいなどと語って、フォーラムを締め括りました。

 

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2021年2月25日 (木)

2021年ifs新春フォーラム ⑴ コロナが変えた未来の暮らし

 先般、恒例の伊藤忠ファッションシステム(ifs)の「2021年ifs新春フォーラム」がオンラインにて開催されました。題して「コロナが大きく変えた、だれにもまだわからない未来をどう楽しく暮らす!? まだ見ぬ社会を語り合おう!!」です。
 第1部では「2030年に向けた生活者の暮らし方キーワード」が発表され、第2部ではこれからの未来をどう楽しく快適に暮らしていくかについて、楽しいトークが繰り広げられました。

Photo_20210224073601  今や働き方や暮らし方が一変したことは誰もが感じているところですしょう。リモートワークが暮らしに入り込むようになり、仕事にも遊びにもフィジカル+デジタル=フィジタルな生活となりました。
 こうした中、心地よい暮らしとはどのようなものか、2030年に向けて未来はどうなる? フォーラムで語られた内容は、大変興味深いものでした。その概容を以下にまとめてみました。
 
 冒頭、次の二つの視点が提示されました。
 一つは、不確実が確実な時代。地球環境の変化、未知のウイルス、資本主義の限界と、この先何が起きてもおかしくない時代に突入していくとみられていること。もう一つは、生活者ムードが「常に不安と隣り合わせ」であること。サバイバルが要求される時代になっていくといいます。
 
 第1部は、上記の二つの視点を踏まえて、ifsナレッジ開発室 中村ゆい氏が、コロナ禍の生活者の変化をifs気分調査結果から分析。生活者にとっての快適さを形づくる要素とは何かをキーワード化して、紹介しました。 
 
 まず快適さのベクトルとして「分散する」です。一極集中はリスクに変容し、働き方、住まいなど、あらゆる局面で物事を分散化させていく動きが進むといいます。次に快適さを形成する条件として「柔軟に選べる」、「失敗を許容する」を挙げ、状況に応じて選択を変えられたり、やり直せたりできる環境が大切とも。とくに他者との関係では「違いを許容する」、「無理に合わせない」ことが、これからのコミュニケーションの鍵といいます。
 さらに生活に向かう姿勢としては「目の前に集中する」こと。できることから一つずつ対応し、足元から暮らしを守ることが重要といいます。物事の判断は「自分自身」で行い、他人が何をしているかは参考にならないとも。またポジティブなムードは「内側からつくる」を提案。外出やコミュニケ―ションへの制約から、楽しみや刺激となる偶然を自分の外に求めるのが難しい現状で、ポイントは健康管理や免疫力を高めるなど自分でつくり出すこと。ポジティブの源泉となるのは、「身近―心近の充実」、つまりリアルに関われる範囲にあるモノ・コトや、心が近いモノ・コトを充実させること。また「“好き”がよりどころ」になることも指摘。
 最後にテクノロジーは「積極活用する」こと、コロナ禍以前・以後の「いいとこ取り」をして、個々人に合った暮らしを実現できるよう、選択の柔軟性を高めることもアドバイス。

 暮らしをポジティブにアップデートしていくための適切なキーワード、一つひとつに納得です。

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2021年2月24日 (水)

「ソレイユトーキョー」2月展 感染対策万全に無事開催

 第12回「ソレイユトーキョー」展が、この2日~4日、代官山ホワイトルームにて感染対策を万全に無事開催されました。オンラインが中心の合同展で、来場者は少ないですが、このコロナ禍の時代に合っているように思います。
 ハンガー出展した17社から、とくに目に付いたブランドをピックアップしてご紹介します。
 
KoH T (コーティー)
 デザイナー、糀泰佑とデザインパートナー、小澤由美子のデザインデュオが手がける有力新進ブランドで、東京ファッションウィークやNYファッションウィークにてコレクション発表しています。
 ファッションとアート、職人技術を融合したものづくりを訴求するブランドとあって、素材がすばらしい!

Img_34481  21-22年秋冬は、黒を基調とした表面感に凹凸のあるファブリックで、都会的なアウターウェアを提案。Img_34581 本阿弥光悦の茶器「時雨」や「雨雲」にインスパイアされた生地を職人と開発したといいます。
 黒和紙と綿をボンディングし、漆黒の表面に職人の手によるムラ感を表現した生地を使用したミリタリー調のウエアなどをラインナップしています。

RE SYU RYU (リシュリュ)
 クリエイティブディレクター、桜川友里恵のダンスキャリアから生み出される、着用してこそ輝く身体美を叶えるブランドで、「日常と非日常のあいだ」をコンセプトに、レースや刺繍などテキスタイルにこだわった上質で華やかなスタイルを提案しています。

Img_34421_20210218200001  21-22年秋冬は、泥の中から茎をのばして花を咲かせる様子に魅かれて「蓮」をテーマに水面の上で花を咲かせる様子やまっすぐ伸びる姿をテキスタイルやシルエットに表現したといいます。
 
INDIGENE
 米国サウスダコタ州が本拠のブランドで、環境配慮や伝統技術の継承を大切にし、ハンドメイドの技術、職人のパートナーシップ、生産廃棄物のリサイクルに重点を置いているといいます。
 Img_34611  素材は全てコットン、ウール、シルクなど天然繊維を用い、刺繍やパッチワーク(廃棄物のリサイクル)、アップリケ、ハンドブロック印刷などのハンドメイド技術を駆使してデザインをしているとのこと。インディゴ染めのくつろいだウェアが印象的です。

Irreplaceable (イリプレイサボー)
 着る人の日常に寄り添い、かけがえのない洋服でありたい、そう願って2019年にデビューしたというブランドです。

Img_34651 オーガニックコットン使いのさわやかなドレスが並んでいました。

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2021年2月23日 (火)

21/22秋冬パリ メンズ ⑹ セリーヌ・オム 「中世の騎士」

 パンデミックとはいえ、ファッションは着心地重視のルームウェア風ばかりではありません。その反動のように登場しているのが、ハードなよろいを着けた中世騎士のムードです。
 セリーヌ・オム(CELINE HOMME)がデジタル配信した21/22年秋冬メンズ コレクションがまさにこれです。ブランドを手掛けるエディ・スリマン(Hedi Slimane)は、ロワールの古城の一つ、シャンボール城を舞台に、格好いい騎士たちを出演させました。
 


 セリーヌ・オムの旗を掲げた若いシュヴァリエが黒馬に乗ってシャンボール城に向かって疾走し、白い馬に乗った仲間の騎士たちが後を追います。幻想的な櫓の屋根の上には、黒いマントに白いフリルネックのルネッサンス期のブラウスを着た金髪のプリンスが立っています。これは「ティーン・ナイト・ポエム(TEEN KNIGHT POEM )」と題したドラマの始まり---。人気ゲームの「ゲーム・オブ・スローンズ」を思わせる展開です。Photo_20210218171301
Photo_20210218171302  モデルたちは当時の肖像画から抜け出してきたかのよう。それをスリマンは現代の若い世代にふさわしい「ニューロマンティック」に換えて発信しています。肩幅の広いジャケットにエリザベスカラーの白いブラウス、フード付きケープ、スキニーなレッグウェアなど、ヒストリカルな雰囲気をたたえたアイテムはエレガントに表現され、ダウンジャケットやオーバーサイズのニット、ダメージデニムといったストリートスタイルには、どこかクラシカルな要素をミックス。アクセサリーは騎士のかぶるマスクのようなニットキャップや甲冑(かっちゅう)のようなスタッズ付きレザーベストなど、若々しい中に重厚感を感じさせます。
  凝った刺繍やストーン、クリスタル、チェーンメールなどの光り輝く装飾も豊富で、さすがセリーヌ、フランスのラグジュアリーを強調するコレクションです。

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2021年2月22日 (月)

21/22秋冬パリ メンズ ⑸ ターク 「夢と現実のはざま」

 デザイナーの森川拓野が手がけるターク(TAAKK)が、パリメンズファッションウィークの公式スケジュールに初参加し、21/22年秋冬コレクションをショートムービーで発表しました。
 テーマは「夢と現実のはざま」です。上京した一人の青年が不動産屋を覗いたり、公園を散歩したりしながら、夢に見ていた世界と現実との違いに揺れる姿が描かれます。彼が身に着けているのは、夢と現実が溶け込み合う不明瞭で曖昧な感覚を美しくとらえた新作です。それは不安定な青年の心理状態を映し出しているようにも見えました。
 

 タークはこの8日、21/22年秋冬コレクションをリアルなショーで披露しました。場所は東京・池袋の自由学園明日館という重文施設です。その歴史を感じる静かな空間で、かつてのオートクチュールコレクションのように、森川デザイナーが一点ずつ商品を紹介しました。
Img_35391jpg_20210218144601  とくに目を惹かれたのは、二つの異なる要素が融合し、境界を霞ませていく様子を表現したアイテムです。シャツのようにパンツにタックインして着こなすジャケットは、ジャケットのウール地がウエストに向かってコットンのシャツ地になっていたり、ウールのテーラードジャケットが身頃の途中からポリエステルに変わって、MA1のブルゾンに変化していたり。テキスタイルでは夕焼けのようななめらかな諧調のグラデーションや、ピントをわざとずらして撮影した写真プリントによるふんわりとぼかした花や植物モチーフなど、消え入るような幻想的なデザインに魅せられました。
 Img_35541_20210218144601  
 フィジタル(フィジカル+デジタル)での発表がすばらしかったです。こうした取り組み、今後ますます増えていくことでしょう。

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2021年2月21日 (日)

21/22秋冬パリ メンズ ⑷ ダブレット “再生”をイメージ

 21/22秋冬パリ メンズ ファッションウィークに、デザイナーの井野将之が手掛ける「ダブレット」が参加し、ショーの映像を配信しています。
 映像は「ストレンジスト・コンフォート(STRANGEST COMFORT = 奇妙な心地よさ)」をテーマに、雨の夜に横浜の郊外にあるリサイクル工場で敢行したショーの模様を映像化したものです。配信時は逆回しされて、モデルたちは後ろ向きに歩いていたそうですが、現在アップされている動画では、普通に歩いています。

 
 このようなトリックを施したことについて、井野は、「昔の映画を見たことがきっかけで、タイムマシンについて考えるようになった。---日本には“もったいない”の言葉があるが、目標は、何歳になっても着られる服を作り、物を捨てるのではなく、丁寧に着こなすことの大切さを伝えること」と語っています。

Photo_20210217225001  コレクションは“再生”をイメージし、持続可能な素材、たとえばサフォークウールなど随所に使用しているとのことです。
 大人用のロンパースやパンダなど動物のぬいぐるみが付いたパーカーなど、子どもの頃を彷彿させる“ほっこり”と心が和むようなアイテムが目に付いたり、メンズウェアを展開しているのに女性モデルを登場させて女の子らしさを表現したり---。それがタイトルの「奇妙な心地よさ」につながっているということでしょう。

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2021年2月20日 (土)

21/22秋冬パリ メンズ ⑶ ロエベ ブレイナードに着想

   ロエベ(LOEWE)のクリエイティブ・ディレクターのジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)は、約5分の動画で自らコレクションを解説しています。
 それによると今シーズンはジョー・ブレイナード(Joe Brainard)の作品に着想したといいます。ブレイナードは、花のコラージュで知られるアメリカ人アーティストでライターです。ジョナサンはそこにある種の脆さを感じ、花のシリーズに魅了されたと語っています。

Photo_20210217170901  最初に登場するのは、パンジーモチーフの手編みニットです。その何と大胆なこと、次いで3角形のテント型パンツが登場します。このパンツは広げると二つの長方形になり、広げたまま楽しめるデザインです。またグラフィックなコラージュのコートも提案されます。
 さらにブレイナードの作品に「反復」というキーワードを見つけて、ポロシャツやTシャツを3枚ずらして重ねた独創的なデザインが出現します。たくさんのベルトをムートンと革に巻いて留めた彫刻的なパンツや、女性的な要素を採り入れたドレープたっぷりのバギーパンツなど、楽しさいっぱい。

 
  クリエイティブなアイデアにあふれた作品の数々、まさに圧巻のコレクションでした。

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2021年2月19日 (金)

21/22秋冬パリ メンズ⑵ ディオール ドイグとコラボして

 ディオール・メン(Dior Men)のアーティスティック ディレクター、キム・ジョーンズ(Kim Jones)は、2018年に着任して以来、オートクチュールの技術や抜け感のある男らしさをメンズウェアに持ち込み、昨年はフェンディにも迎えられて、今春夏オートクチュールコレクションで初のウィメンズに挑戦、拍手喝采を浴びたことは記憶に新しいところです。
 この熱気はどこから生み出されているのでしょう。そこにはコレクションにアーティストを継続的に参加させるというキム・ジョーンズの拘りがあるようです。
 

 今季のクリエーションビデオでは、スコットランド生まれの画家、ピーター・ドイグ(Peter Doig)とコラボレーションし、夢のような世界を現実のものとして見せています。ロマンティックでミステリアスなドイク作品の心象風景がクチュールの伝統に組み入れられて、メンズウェアに落とし込まれているのを見ることができます。 

 シルエットは全体にユニフォームのディオール “ニュールック”を連想させます。
 Photo_20210217140301  上は、冒頭に登場するモデルです。ミリタリーの影響を受けた(詰襟の学生服のような)スーツに、きらびやかな金色の刺繍が施されたコートを羽織っています。これはフランスの芸術家がパリの美術アカデミーに入学する際に必要とされる燕尾服をベースにデザインしたものとか。星型のボタンが付いているところなど、ドイグの作品「Milky Way」の夜空を思わせます。
 1_20210219091301  上のセーターもドイグの影響が、またジュエリーとベルトにはドイグが彫り上げたというライオンのモチーフがあしらわれています。さらにドイグの筆使いを巧みに再現した手刺繍や手描きも見られ、カラーもドイグに特徴的なネイビーやグレー、ブルーに鮮やかなイエロー、オレンジ、グリーン。

 その昔、ムッシュー・ディオールはジャン・コクトーやクリスチャン・ベラールなどのアーティストたちと揺るぎない友情を築き、芸術や技巧に情熱を燃やしていたといいます。そんなかつての創立者を想起させる“ニュー ユニフォーム ルック”のコレクションです。

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2021年2月18日 (木)

21/22秋冬パリ メンズ⑴ ルイ・ヴィトン 強いメッセージ性

 21/22秋冬パリメンズファッションウィークは1月19日から24日まで、ミラノと同様にオールデジタルで、68ブランドが参加して行われました。
 全体に目に付くのは濃色の強い色合いです。
 また社会的メッセージを強く打ち出すブランドも目立っています。デジタルでコレクションをどう見せるか、デザイナーの模索が続きます。
 
 ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の今季テーマは「Ebonics (エボニックス = アフリカ系アメリカ人が使う特有の黒人英語)」です。ガーナ系アメリカ人のクリエイティブ ディレクター、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)は今シーズン、同じ黒人のジェイムズ・ボールドウィンのエッセイ「村のよそ者(Stranger in the Village)」(1953年)に着想したといいます。この作品は文化的なアウトサイダー対インサイダーという社会構造を捉えたものです。
 雪山の麓にシルバーのモノグラムのトランクを持って佇む男性は、シンガーソングライターのソウル・ウィリアムズです。「私はもうよそ者ではない。世界は私を愛している」と自身の詩をつぶやいています。アブローは自らをよそ者のアウトサイダーと称していますが、その心の内をこの人物に重ねているようです。
2_20210216101501  冒頭のシックなコートは床を引きずるような長い丈で、飛行機の飾りボタンが印象的です。続いてトレンチやモッズコート、イージーでスリムなテーラリング、それにアフリカンなドレープのラップ、キルトなど、様々なアイテムが提案されます。
 Photo_20210216101501  キーカラーはグリーンで、ガーナ国旗の緑や自然回帰を連想させます。
 まさにアブローの自伝を喚起させるようなコレクションでした。

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2021年2月17日 (水)

21/22秋冬ミラノ メンズ ⑷ Children of the discordance

 東京コレクションで人気のデザイナー、志鎌英明が手掛ける「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(Children of the discordance)」が、ミラノのメンズ・ファッションウィークに参加し、21/22秋冬コレクションを動画配信しています。
 タイトルは“Dawn (夜明け)”です。今季はブランドにとって “新しい始まり ” のシーズンといいます。
 軸は若者らしいヴィンテージの新解釈ですが、全体により大人っぽくなった印象です。Photo_20210214103101 
  パッチワークやプリント使いのアノラックやデニム、パーカーに、ブランドを象徴するバンダナをリメイクした「バンダナ クチュール」。さらにニットのセーターセットもラインナップ。ヒップなカジュアルに楽しさを添えています
 

  日本のラッパーのカッコ良さも全開! ワイルドな不自然さもなく、前向きに生きる男性が喜びそうなコレクションと思いました。

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2021年2月16日 (火)

21/22秋冬ミラノ メンズ⑶ フェンディ クラシカル一捻り

 21/22秋冬ミラノメンズファッションウィークでフェンディ(Fendi)は、約6分の動画で今シーズンのショーを発表しています。

 
 クリエイティブディレクターのシルヴィア・フェンディが「トンネルの先にある光」をイメージしたというように、会場は360度鏡張りのトンネルのような空間になっていて、そこにはネオンで照らされたオプティカルな迷路が設えられています。登場するモデルたちの姿がイリュージョンのように浮かび上がる演出です。
 
 全体にクラシカルなルックをフェンディらしくフォルムや素材を一捻りしたスタイリングです。インドアの要素を採り入れたゆとりのあるシルエットのアウターウェアが多く、ベルト付きオーバーコートやトレンチコート、ショールカラーのラウンジコート、シャツジャケット、リバーシブルのウィンドブレーカー、バミューダショーツ、パジャマ風のパイピングジャケット、ローテクなリブ編みやケーブル編みのニットなど。3_20210213193501
 カラーは秋冬に定番のグレーやキャメル、ブラックに、イエローやオレンジ、バーミリオン、エメラルドといったブライトカラーがプラスされ、楽し気な気分を醸し出しています。
 メゾンの伝統を魅力的に解釈したコレクションといえそうです。

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2021年2月15日 (月)

21/22秋冬ミラノ メンズ⑵ プラダ 触れ合いへ想い込めて

 21/22秋冬ミラノメンズファッションウィークで、プラダ(PRADA)のミウッチャ・プラダとラフ・シモンズによる協働製作コレクションが発表され、動画配信されました。



 動画にはショーの後、2人が世界中のファッション学校の学生の質問に答えるトークセッションの映像が収められています。42分と長いのですが、プラダの次世代クリエイター育成への取り組みが伝わってきます。 

 そのタイトルは「POSSIBLE FEELINGS(ポッシブル フィーリングス)」です。
 「触れ合いたい」という親密で個人的な願い、交流をして関係を交流し、関係を築きたいという想いを込めたテーマです。コロナ禍でソーシャルディスタンスが要求される状況にあるからこそ、触れることができる喜びを大切にしたいということでしょう。
Photo_20210213170601  コレクションは人間の身体への回帰とその自由への欲求をベースに展開されます。
 キーアイテムとなるのは、ボディスーツです。やわらかいジャカードニットのボディスーツは流線形の「第二の肌」となって、ダイナミックに動き身体の輪郭を浮き上がらせます。その上に組み合わさるのが、ビッグなコートやピンストライプのウールジャケット、ボンバージャケットなどです。ピンクなど意外な色彩とのレイヤードも新鮮に映ります。
 Photo_20210213165401  上は、ジャケットの袖を上までたくし上げて、中に着たボディスーツを見せるといった着こなしです。
 身体を強調しながら、しかも体形をカバーし、隠しながら見せるという矛盾を体現した斬新なルックで、ブランドに新しい価値を吹き込んでいます。
 プラダに入って2シ―ズン目のラフですが、いよいよクリエイティブな本領発揮といった感じのコレクションです。

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2021年2月14日 (日)

21/22秋冬ミラノ メンズ⑴ 心地良い温かさとソフトにシフト エルメネジルド ゼニア テーラリングの“リセット”

 21/22秋冬ミラノのメンズ・ファッションウィークは、先月中旬、前シーズン同様オールデジタルで、39ブランドが参加してコレクションを発表しました。
 全般に、今の社会ムードを反映する快適で心地よい、温かくてソフトなウェアが中心になっています。伝統的なテーラードスーツからは一旦離れたようなコレクションが増えている印象で、ガウン風のコートドレスやパジャマ風、シャツトップ、スエット、レギンスパンツなど、メンズ向けニットウェアが目新しく映ります。
 
 エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)の今シーズンのテーマは、“リセットTHE (RE)SET”です。ゼニアと言えばイタリアを代表するテーラードスーツブランドですが、今季はそれをリセットして、現代を生きる男性たちに向けて再解釈したコレクションを展開しています。
 アーティスティック ディレクターのアレッサンドロ・サルトリは、伝統的なテーラリングの系譜を踏襲しながらも、かつてならテーラリングの域を超えていたと考えられるものにもその哲学を適用し、新しいスーツルックを提案しています。

Photo_20210213100801  例えばソフトで温かいカシミアジャージ―使いのジャケットやパンツに、ニットのシャツやタートルネックを組み合わせるなど、ビジネスシーンでもプライベート空間でも着用できるスタイルへ、また家の中で着用するルームウェアを家の外でも着こなせるようにシルエットを変更、洗練されたエレガントなショールカラーのベルト付きローブやゆったりしたスエットパンツ、それにスリッパ風のシューズなども打ち出しています。
 
 働き方が変わり、公的な空間と私的な空間、インドアとアウトドアなど、境界が失われつつある現代です。サルトリはそうした時代の流れを「インドアとアウトドアがぶつかり合う世界」と捉え、従来のテーラリングを“リセット”、メンズウェアの世界に一石を投じているようです。
 


 上は公開された動画です。終盤、インドアを表現する12のオープンウォールの部屋から成るスタジオセットが登場し、モデルたちは時にアウトドアと繋がったり、時に離れていたり。ビジネスライフがオフィスから家庭へと拡大していくパンデミック後の世界を思わせる映像です。

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2021年2月13日 (土)

ダブル・ファンタジー ジョン&ヨーコ展 二人の歴史追体験

 先日、ソニーミュージック六本木ミュージアムで開催中の「ダブル・ファンタジー ジョン&ヨーコ」展に見てきました。 
 
 昨年はジョン・レノン生誕80年、没後40年でした。これを記念してその前年の2019年に、ジョンの故郷であるイギリス・リバプール博物館で大規模な展覧会が行われ、70万人もの人を動員したといいます。
 ヨーコの故郷、東京では、この節目の年の11月に本展が実現、会期が2月18日まで延長されました。「ダブル・ファンタジー」というアルバムは、1980年にリリースされ、私はそれをいち早く購入して、聞いていたものです。ところがこの年の12月8日、ジョンは銃弾に倒れたのでした。
 実は私は本展を見逃していました。会期延長を知って急遽、二人の歴史が詰まったこの企画展を追体験してきたのです。
 
 まずは二人の生い立ちや出会いが紹介されます。
 Img_35971 上はヨーコが1966年にインディカ・ギャラリーで発表したインスタレーションです。
 天井に吊るされたキャンバスに書かれた「YES」の文字をヨーコが虫眼鏡を使って読んだというパフォーマンスで話題になった作品です。
 このときギャラリーを訪れたジョンが、展示されていたリンゴを齧ってしまったそうで、ヨーコのジョンに対する第一印象がとても悪かったという面白いエピソードが綴られていました。

Img_35931  1969年3月、二人はジブラルタルで結婚式を挙げます。上はそのときの白いウェディング衣裳です。
 
Img_36051jpg  「平和のためのベッドイン」の展示です。結婚式を終えた二人がアムステルダムのホテルで報道陣を招いて行ったもので、彼らなりの反戦運動の「座り込み」だったのですが、この話をテレビで見たときの衝撃は今でも忘れられません。
 Img_36091  「ベッドイン」のイベントで象徴的なギターです。ジョンによる二人の自画像が描かれています。
 
Img_36281  ビートルズ解散後の1971年、ヨーコとジョンはニューヨークに移り住みます。上の袖なしTシャツは、ジョンがニューヨーカーの代名詞となったといわれるものです。この年、名曲「イマジン」がリリースされています。
 
Img_36311  しかしその後、1973年、「失われた週末」事件が起こります。仲のよい二人にも危機があったのですね。写真を見ると雰囲気が似ているなと思います。
 
Img_36451  1975年、一人息子のショーンが生まれて、ヨーコと愛らしいショーンのステキな絵画やショーンの抱っこ紐が展示されていました。
 
Img_36471  ヨーコとレノンが来日した時に着用していた二人の私服です。
 
Img_36651jpg  最後の展示が、ジョンを追悼する「ストロベリーフィールズよ、永遠に」です。セントラルパークの「ストロベリーフィールズ」と呼ばれる区画には、モザイクが美しい、真ん中に「IMAGINE」とデザインされた文字のある円形の記念碑があって、ニューヨークの観光スポットになっているのですね。
 
 場内にはいつも「イマジン」の楽曲が静かに流れていました。
 これほどに平和を願っていたジョン・レノン、それなのにFBIやCIAから、危険人物としてつけ狙われていたといいます。真相は未だに謎のままです。
 
 銃規制は結局ままならないアメリカ社会、ジョンが生きていたら、何を想うのでしょうか。複雑な思いにとらわれながら、会場を後にしました。

 なお、東京展の1分間ダイジェスト映像が公開されています。音声がミュートなのが残念ですが、雰囲気が伝わります。

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2021年2月12日 (金)

香りの器 高砂コレクション展 香水瓶に美術品の存在感

 今、パナソニック汐留美術館で「香りの器 高砂コレクション展」が開催中です。D54e794aa4e470bec9fd2f612a81410b 古代オリエントから近代ヨーロッパ、日本まで、香水瓶など様々な器を中心に、香り文化を伝える古今東西の資料が勢揃いしています。
 「高砂コレクション」は、高砂香料工業が所蔵する古今東西の香り文化を伝えるコレクションです。本展はその質の高いコレクションから選りすぐりの約240点を展示しているといいます。一点一点が美術品としての存在感を放っていて、小さな香水瓶もこれだけたくさん集まっていると見応えがあります。
 
 とくに興味深く思ったものを挙げてみます。

 まず古代です。最古の器として、紀元前10世紀~4世紀頃の古代オリエントの香油壺が並びます。縄文土器に似た模様のものもあり、東西交流の足跡をうががわせています。
 次に17~19世紀です。陶磁器やカットガラスの技術が進歩し、香水瓶は貴族女性のステータスシンボルとして、装飾的なアクセサリーのような存在になっていったようです。携帯用のペンダント香水瓶も流行った様子で、数点出品されていました。望遠鏡付きの香水瓶もあって、ビックリ!
 
 中でももっとも目を惹いたのが、19~20世紀の展示室です。撮影もここだけ許可されていました。

Img_32091  上は展示室の真ん中に設置されていたのがボヘミアン・ガラスの香りの器です。卓状型香水瓶の美しさに目を奪われました。
 これらは当時ウィーン市民の間で流行ったビ―ダーマイヤー様式でつくられているといいます。ビ―ダーマイヤーはロココよりシンプルで、後のバウハウスの礎となったと様式といわれていますが---、今の私たちから見るとずっと優雅で装飾的です。

 その隣のコーナーではアールヌーボーからアールデコにかけて活躍したエミール・ガレやルネ・ラリックの香水瓶が数多く展示されています。
 Img_32331  上はガレの《アネモネ文様》の香水瓶です。1904年頃。

Img_32421  ラリックの《ユーカリ》と名付けられた、1919年のティアラ型香水瓶です。ユーカリの葉が垂れ下がるモダンなフォルムが圧巻!です。
 
 さらに20世紀前半に入っていきます。ファッションブランドやメーカーが盛んに香水をつくるようになっていく時代です。
 とくに注目はオートクチュールとして初めて香水を発売したポールポワレの《ロジーヌ》です。特別出品されたアールデコのサロン風コーナーに展示されていて印象的でした。
 スキャパレリの太陽王やミスディオールのカワイイ子犬の香水瓶など印象に残るものから華麗なバカラまで、たくさんの作品を見ることができます。
 
 最後に、日本の香道の道具、香木の希少な展示を拝見して出口です。

 会場に香りはまったくないのに、いろいろな香りにむせたような気分になりました。ステキな展覧会で、会期は3月21日までです。

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2021年2月11日 (木)

「眠り展:アートと生きること」様々な眠りの解釈

 最近眠れないことがあって、睡眠に興味を持っていた私。東京・国立近代美術館で開催されている「眠り展:アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで」に行って来ました。Img_33101
 本展は、「眠り」がいかに芸術家たちの創造を駆り立ててきたか、様々な美術作品に表現された「眠り」の表現をゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで、33名の約120点の作品で読み解くというものです。

 展覧会は序章「目を閉じること」から始まり、「夢かうつつか」はっきりしない状態、眠りと死を考える「生のかなしみ」、眠りは苛烈な行為から目をそむけることでもあるという「私はただ眠っているわけではない」、眠りの後に訪れる「眼覚めを待つ」、最後に「もう一度目を閉じて」で終わります。
 睡眠と夢の話が中心と思っていましたが、上記のようにたくさんのテーマがあって、興味深かったです。

Img_33111   ペーテル・パウル・ルーベンス《眠る二人の子供》1612-13 年頃
  すやすやと無心に眠るあどけない寝姿の子どもたち。まるで天使のようで、ほっとさせられます。

Img_33171  フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス 「ロス・カプリーチョス」より《理性の眠りは怪物を生む》1799年 
 眠りにつく芸術家にフクロウが銅版画制作に必要な針を渡しているシーンです。夢をみながらアイデアが湧くことってよくありますね。眠りが想像力を生む、創造の源泉であることを示唆している作品で、印象深いです。

Img_33291jpg  台湾のジャオ・チアエン《レム睡眠》2011年 映像作品です。
 映っている人物は出稼ぎ労働者たち。眠っているかと思えば目が開いて語り出します。レム睡眠は浅い睡眠で、夢をみやすいといいます。夢に出てきた働く現場のちょっと辛い話をしているようです。

Img_3333j1pg  塩田千春《落ちる砂》2004年 映像作品です。
 ベッドに横たわる女性は塩田千春本人でした。それが次の瞬間、突如消え去ります。眠りは、一瞬の死ともいわれます。そんな生と死を暗示する作品です。

Img_33471_20210207155701   森村泰昌《なにものかへのレクイエム (MISHIMA1970.11.25-2006.4.6) 》
 三島由紀夫に扮した森村泰昌が「清聴せよ」と呼びかけても誰も目を向けません。聴衆は目覚めてはいるものの、眠ったような状態にあるという風刺。眠りには、現実に対する抵抗という意味合いもあるということのようです。

 他にもたくさん。「眠り」と一言でいってもいろいろな解釈の仕方があることが分かっておもしろかったです。
 開催は2月23日まで。会期は終盤、興味のある方、お早めにどうぞ。

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2021年2月10日 (水)

21春夏オートクチュール ⑼ ユイマ ナカザト「アトラス」

 中里唯馬が手がけるユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO)は、今シーズンもオートクチュールコレクションに招待メンバーとして参加、2021年春夏コレクション「アトラス(ATLAS)」を5分あまりの動画に収めて配信しています。



 「万人のためのオートクチュール」を理念に掲げるユイマ ナカザトは、1点ものという究極の「個別性」と万人という究極の「普遍性」の共存を目指すクチュリエです。ユニバーサルファッションと符合する考え方で、私はこれぞ未来のファッションの姿では、と思っています。

 今季のテーマ「アトラス」は、ギリシャ神話の神であり、“地図”のことでもあります。中里はこれを記憶という地図が描かれている世界と捉え、その見えない記憶を具現化する服づくりに挑戦したといいます。
 始まりはローレン・ワッサーという義足のモデルと出会ったこと、彼女との対話から発想が閃き、困難を乗り越えて生きる強い姿勢と神話の英雄であるアトラスが重なり合ったといいます。
 素材は昨年傘下入りしたスパイバーの発酵タンパク質素材のブリュード・プロテインを使用。かねてより縫わない服を考案している中里は、人間の人生を記憶する衣服として日本の襤褸(ぼろ)に着目したといいます。襤褸は、様々な人たちが纏ったきものの片鱗が寄り集まることで形を成しているからです。
 この襤褸のイメージをローレンの好きな自然の色使いでブリュード・プロテインにプリントし、液体に浸すと、生地が縮んで形が変化し、あらかじめ採寸したモデルの体のラインに沿ったパーツができるのです。このパーツを28枚組み合わせて、アーティスティックなクチュールピースを制作したといいます。Photo_20210207110201
 ここで使われているのが「バイオスモーキング(BioSmocking)」と呼ばれる最先端テキスタイル技術です。ブリュード・プロテインには濡れると超収縮(形状変容)する性質があります。この特徴をデジタルファブリケーションにより精密にコントロールすることで、生地の表面に3 次元のテクスチャーを作り出し、生地自体を自由に変容させることができるといいます。生地に印刷された無数の長方形一つ一つに、「体に沿わせる」「体から離れる」など様々な指示がプログラムされていて、生地はその指示通りに反応し、衣服の立体造形を生み出すそう。
 これによりパーツの合わせ方次第でフォルムを数通りに変化させることができるとか。こうして発表されたコレクションは、まさにこれまでに見たことがない構造のドレスでした。
 進化するユイマ ナカザト、次は何を見せてくれるのでしょう。楽しみです。

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2021年2月 9日 (火)

21春夏オートクチュール⑻ V&Rの“ハイ ファンタジー

 V&Rこと、ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)は、21春夏オートクチュールコレクションでアムステルダム郊外の廃工場を舞台に無観客のショーを開催、その模様を約6分の動画に収めて公開しています。
 テーマは“ハイ ファンタジー(Haute Fantaisie)”で、春の到来を感じさせる明るいうきうきした気分がいっぱい。彼らは最新のコレクションを「クチュール・レイヴ(couture rave)」と表現していて、レイヴというように、「これはパーティ。世界的コロナ危機に対して、クリエイターとして、軽快でエネルギーとパワーのあるものを提供する必要があると感じた」と語っています。

Vr  登場したのはブラトップとラッフルのスカート、ボウを飾ったケープなど、カワイイ要素がありながらも、パンキッシュなアングラ感が漂うアイテムです。ランジェリーとフォーマルなクチュールのミックスも焦点。
 しかもこれらアイテムは、アーカイブのアップサイクリングで、ドレスの断片や端切れ、ジュエリーのカケラなど、様々なものを活用して創出されたといいます。
 


  オートクチュールの手仕事に若者のDIYが組み合わさって生まれた今季のコレクション、クチュールの伝統を守りながらもそれを打破しようという、ポジティブで前向きなエネルギーを感じて、さすがV&Rと思いました。

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2021年2月 8日 (月)

21春夏オートクチュール⑺ AZファクトリー 全ての人の服

 ランバン退社後5年、新ブランドAZ(エージー)ファクトリー(AZ FACTORY)を立ち上げたアルベール・エルバス(Alber Elbaz)。そのデビューコレクションのショートムービーが、21春夏オートクチュールコレクションで公開されています。ちなみにAZファクトリーのAZとは自身の名前、AlberのAとElbazのZからとったネーミングです。
 ムービーのタイトルは「The Show Fashion」。エルバス自身が出演し、ブランドストーリーをユーモアたっぷりに語る、コミカルな演出です。

 
 コレクションには、エルバスらしい華やかさとカラフルな奇抜さがいっぱい。でもかつてのようなオートクチュールのパーティードレスではなく、スポーティブでリアルな日常生活に即したアイデアが採り入れられています。
 とりわけ斬新なのが、全ての人(女性)のための服という考え方です。これはまさにユニバーサルファッションと同じスタンスですね。とくにあらゆる体型やサイズの人間工学を考慮して設計されたドレスセット「My Body」のラインは未来の服づくりを先取りしていると思いました。
 サイズはXXXSからXXXXLまで対応するといいます。どんな体型でも着用可能な3Dストレッチニットのドレス、背中のファスナーには長めの鎖を付けて一人で楽に着脱しやすい工夫も。ヨガやストレッチした後、ズーム会議に臨めるスイッチウェアも楽しい。パンプスにスニーカーの要素を取り込んだポインテッドトゥの“スニーキーパンプス”も提案。カラフルなドレスをまとった18歳から70歳までのさまざまな女性たちがステージ上でダンスして歓喜するフィナーレなど、見ていてワクワクします。Az
 素材は環境に優しい再生素材など、持続可能なものを使用、最先端の技術者たちと独自のオーダーメイド生地を開発し、旧来の無駄な習慣を断ち切ることができたといいます。
 「シーナウ・バイナウ」で「ネッタポルテ」や「ファーフェッチ」で発売されて、早くも売り切れが出ているとか。価格はすべてが230から1,200ユーロだそう。手の届く価格帯というのもうれしいですね。

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2021年2月 7日 (日)

21春夏オートクチュール (6)フェンディ「オーランドー」

 21春夏オートクチュールコレクションでフェンディ(DENDI)は、アーティスティック・ディレクターにキム・ジョーンズを迎えて、パリの旧証券取引所で開催したショーを動画配信しました。 
 長年ディオール・メンズなどメンズウェアを手掛けてきたキム・ジョーンズにとって、初のウィメンズのコレクションでした。メディアが期待する中、行われたショーは絶賛を浴び大成功を収めた様子です。
 
 着想したのは、ヴァージナ・ウルフが1928年に出版した小説「オーランドー」。両性具有の恋と冒険の物語ですね。

1_20210205181001  冒頭、現れたのはハリウッド女優のデミ・ムーアです。オーランドー役に雰囲気がぴったり。大きく肩をはだけた黒いジャケットを合わせたパンツスーツを着装してウォーキング、大きな袖口がルネサンスをイメージさせます。

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 性を超越したようなモデルが多数登場、ジェンダーがいかに曖昧なものか、改めて納得です。
 
 
  モデルたちは一巡りした後、それぞれが透明ボックスの中に入っていきます。時空を超えて様々に変身するオーランドーの姿を確認する、そんな演出も斬新なコレクションでした。

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2021年2月 6日 (土)

21春夏オートクチュール (5) ヴァレンティノ 一時的な記号

 本拠地のローマにあるコロンナ美術館で無観客ショーの映像を配信したヴァレンティノ(VALENTINO)。ここはコロンナ家のコレクションを展示している美術館で、映画「ローマの休日」の最後の記者会見場面の撮影に使われました。
  手掛けるのはクリエイティブディレクターのピエールパオロ・ピッチョーリです。テーマは、“CODE TEMPORAL(一時的な記号)”で、動画はマッシヴ・アタックのメンバー、ロバート・デル・ナジャとのコラボレーションによるものといいます。BGMはマッシヴ・アタックの「Ritual Spirit」で、デル・ナジャ本人が編集した楽曲だそう。軽やかなリズムが、コロンナ宮の荘厳な佇まいにマッチしています。デル・ナジャは謎のストリートアーティストといわれるバンクシーその人ではないか、と噂さされている人物ですね。
 

 保守的と見られていたオートクチュールコレクションが時代に合わせて変わっていくことを感じさせます。
 ショーはピッチョーリも述べている通り「カジュアルクチュール」。従来ならゴージャスなイブニングウェアで魅せるところ、いつもなら見過ごされてきたパーカーやセーター、シャツ、ショーツといったデイタイムウェア、日常着に重点が置かれ、イブニングとデイウェアの比率が逆転しています。Photo_20210205150701
 シンプルなレイヤードスタイルですが、その確かな裁断や仕立てと絶妙なバランス感覚が、ミニマリズムのオーラを放っています。
 コレクションノートには「思考する心、ものを生み出し価値を与える手。これは人間を称えるコレクション」とあり、登場するルックの一つひとつに制作した職人の名前が付記されているのも印象的です。
 ピッチョーリの職人愛が伝わるコレクションでもありました。

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2021年2月 5日 (金)

21春夏オートクチュール⑷ シャネル 温かなウエディング

 シャネルは2021年春夏 オートクチュール コレクションをほぼ無観客で開催しました。配信された動画を見ると、招かれたのはシャネルのアンバサダーを務めるペネロペ・クルスや、セレブリティ数名だけでした。
 ミュージックはリンダ・ロンシュタットの「Be My Baby」、懐かしくも心が温まる楽曲ですね。この音楽が流れる中、ショーが始まりました。モデルは総勢32名です。彼女たちが一斉に現れて場内を一周すると、モノクロだった映像がカラーに色付いていきます。

 テーマは「ウエディング」です。それもクリエイティブ ディレクターのヴィルジニー・ヴィアールが語っているように、「決して派手ではない、よりボヘミアンなスタイル、つまり村での結婚式や家族のお祝いのようなもの」がイメージされています。
 コロナ禍にあって、家族のような身近な人との集いこそ大切、というメッセージでもあるのでしょう。

 
 登場したモデルも、ハイウエストのパンツに合わせたスウェットや、ノースリーブのベスト、細身のカーディガンジャケット、サテンのシャツにロマンティックなバレエスカートの組み合わせなど、見慣れたシンプルなシルエットが中心。とはいえクチュールの軸はぶれていなくて、見事な刺繍がちりばめられていたり、手仕事の特注のレースがあしらわれていたり、ルマリエの造花が飾られていたり。オートクチュールの技はその細部にまで及んでいることが分かります。

Photo_20210203180201   フィナーレは花のアーチから花嫁スタイルのモデルが白馬に乗って登場。温かな祝福に包まれたエンディングとなりました。

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2021年2月 4日 (木)

21春夏オートクチュール ⑶ ディオール “タロットの城”

 世の中が不安定ですと、スピリチュアル系が流行るとか。占いもその一つですね。コロナ禍の今、タロットがブームを呼んでいるといいます。
 21春夏オートクチュールでもディオール(DIOR)のクリエイティブ・ディレクターのマリア・グラツィア・キウリが、“LE CHATEAU DU TAROT(タロットの城)”と題したショートムービーを配信しています。Photo_20210203153501
  これは「一人の少女が城の中に入り、それぞれの(タロット占いの)人物に出会って、自分の人生についての決断を迫られる。その一方で、彼女はもう一人の自分に巡り合い、未来を恐れないことを学ぶ」ストーリーです。
 キウリは、創始者のクリスチャン・ディオールが第二次世界大戦中、行方不明になった妹のカトリーヌが戻ってくるようにタロットカードにはまっていたという史実に着想、最古のタロットカードとされるヴィスコンティ・スフォルツァ版からイメージを膨らませて、この神秘的な物語を紡ぎ出したといいます。

  主人公が遭遇するのは、タロットカードの大神官やジャスティス(正義)、フール(愚か者)、テンペランス(節制)、吊るし人、ムーン(月)、死---たちです。彼らはハイウエストのコルセット付きボディスや重厚な錦織のローブ、繊細なプリーツのドレスなど、イタリア・ルネサンス風の衣裳をまとって出現します。

 映画化は前シーズンに続きマッテオ・ガローネ監督が担当。歴史を感じさせる謎めいたファンタジーにあふれる映像です。またしても引き込まれてしまったディオールのコレクションでした。

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2021年2月 3日 (水)

21春夏オートクチュール⑵イリスVヘルペン「再生の根源」

 2021年春夏 オートクチュール コレクションで毎シーズン、夢のような別世界を見せてくれるイリス ヴァン ヘルペン(IRIS VAN HERPEN)。今シーズンも3Dプリントのテクノロジーを使用した一点ものの作品を約9分間の動画で発表しています。
 タイトルは「Roots of Rebirth(再生の根源)」で、着想源は自然界の菌類であるそう。登場するモデルは、キノコやマッシュルームのような有機的形態をしています。顕微鏡で見た菌糸体のような色やカタチのものも。
Lr 2_20210203095801  素材も自然に帰るPARLEY OCEAN PLASTICが使われているそう。海に流入する前に回収されたプラスチック廃棄物をアップサイクルして生まれたもので、シルクと同等の品質に進化しているといいます。

 手作業による繊細なレースや刺繍の技を駆使した作品の数々、まさにオートクチュールの最高峰!ですね。

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2021年2月 2日 (火)

21春夏オートクチュール⑴スキャパレリ ラジカルウーマン

 2021春夏オートクチュールコレクションが1月25日~28日、27のメゾンが参加して、オールデジタルで配信されました。
 そのトップを切ったのが、スキャパレリ(Schiaparelli)です。手掛けるのは2019年にアーティスティック・ディレクターに就任したアメリカ人クチュリエのダニエル・ローズベリーです。
 
 ローズベリーの名前が一気に知れ渡ったのは、ジョー・バイデン大統領の就任式で国歌を歌ったレディー・ガガのドレスですね。ガガは、彼がデザインしたネイビーのカシミアジャケットに、真っ赤なシルクファイユ生地のボリュームたっぷりのスカート、それに平和の象徴、金色の鳩のブローチをまとっていました。いつもの奇抜なファッションとは違う落ち着きのある姿が新鮮で、強く印象づけられました。
 
 コレクションでは、このドレスのような構築的なラインを中心に、過激なまでのラジカルウーマンを見せています。
 スキャパレリと言えば、始まりはエルザ・スキャパレリで、1930年代、「ショッキングピンク」を代名詞にシュールな強い女性像で時代を導いたデザイナーです。ローズベリーも、このDNAを継承しているように思われます。
 Photo_20210202100101   動画の冒頭に登場したピンクの大きなリボンスカートは、エルザを彷彿させます。
 Photo_20210202100102  上のボディビルダーのような筋骨たくましいピンクのドレスにはビックリ!しました。ジムで鍛えられた腹筋だけでなく、僧帽筋や上腕二頭筋を強調しています。
 女性の体形を象った胸当てもコレクションを特徴づけているアイテムです。
 アクセサリーも大胆で楽しい、目を驚かすようなデザインがいっぱい。
 
 米国ハリス副大統領就任で、女性のパワーが際立つ今、従来の伝統的な女性らしさを打破する、逞しい女性の表現が魅力的なコレクションです。

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2021年2月 1日 (月)

「吾妻山菜の花ウォッチング」早春の花々を満喫

 湘南の春を告げる菜の花を見に、二宮町公園に行ってきました。町には「吾妻山菜の花ウォッチング」開催中のポスターがあちらこちらに掲示されています。
 山頂には6万株といわれる早咲きの菜の花が見頃を迎えていました。菜の花畑越しの富士山と相模湾の大パノラマはまさに絶景でした。
 Imgp82771jpg  お天気は良かったのですが、富士山は「霞深し」でした。
 Imgp08251  相模湾を遠望します。海の白い煌めきが印象的です。
 
Img_34401jpg   吾妻山神社では河津桜が早くもほころんでいてびっくり!
 
Img_34091  水仙も真っ盛り。
 
 美しい眺望と早春の花々を満喫したひと時となりました。

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