21/22ハイムテキスタイル―新しいものはないが全て新しい
ハイムテキスタイル(Heimtextile)は、ドイツのフランクフルトで開催される世界最大のホームテキスタイルの国際見本市です。世界中から約3,000社が出展するといわれています。今年も1月12日に開催が予定されていましたが、コロナ危機で5月4日~7日に延期となりました。
このハイムテキスタイルの21/22トレンドウェビナーが昨年末にあり、2019年より公式アンバサダーを務める南村 弾氏が、ファシリテーターのインテリア情報企画の善明剛史氏と登壇。対談形式で「2021/2022デザイン・素材は今後どのように変化するのか」と題してホームテキスタイルのトレンドをわかりやすく解説しました。
冒頭、ここ10年来継続する流れの中で、21/22にとくにフォーカスされるのが「天然素材の活用」、「色や柄をぶつけあう」、「デザインとDIY」、「本質の追求」と前置き。
その上でパンデミック前を振り返り、トレンドとして着目したのが「都市化」だったそう。都市化は人類が直面しているもっとも大きな変化と捉え、そこから4つのテーマ、「フレキシブル・スペース—都市は一人当たりのスペースが小さい」、「ヘルシー・スペース—都市では人はほとんどインドアで過ごす」、「リ・メイド・スペース—都市はゴミがたくさん出る」、「メーカー・スペース—都市の生産・製作」を導き出したといいます。
次に21/22のトレンドについてです。 メインテーマは「Nothing New, Everything New (新しいものはないが全て新しい)」で、「本質的な部分に立ち返ると新しくない。だったら工夫してどう変化をつけるか」と紹介。根底にサステナブルの考え方があるといいます。
このメインテーマの下、提案されたのが下記4つのテーマです。テーマ名のすべてに「Re(リ)」が付いているのが印象的です。
⑴Re-Purpose (リ・パーパス) 優しい感じ 古いものの再利用
・ゼロから創るのではなく、既にあるもので何が創れるかを考えるテーマ。
・「クリエーターからキュレーターへ」
・背景に中古市場の世界的拡大がある。
・余り物を活用した素材 ― ニードルパンチ、パッチワーク、レイヤー、ステッチなど。
・カラーは優しい感じの色調、昭和レトロ的。
・キーワード:リメイク、リペア、再編集、先人の知恵など。
⑵Re-wild (リ・ワイルド) ナチュラルな感じ 自然をそのまま野性的に使う。
・自然主義を見直し、現代的解釈で活用するテーマ。アップサイクル、リサイクル。
・本物をブラッシュアップ。さらなる本物への変化と、土に帰る自然の模倣。
・サーキュラーエコノミーへの転換。
・素材はリネンの反毛やマクラメ編みなど。
・カラーはアースカラー。自然の草や木を思わせるグリーンとブラウンが基調。
・キーワード:プリミティブ、ローテク、循環型など。
⑶Re-inforce (リ・インフォース) 力強い感じ 長寿命で長く使う
・デザインの永続性や機能性、長く使う耐久性。
・モノクローム、しっかりと緻密、シンプルでモダン。
・裏側に布を張りつけて丈夫にした生地、キルティング、メディカルテックス。
・カラーはグレーからブラックのトーン、ニュートラルカラー。
・キーワード:無彩色、密度、気取らない。
⑷Re-vive(リ・バイブ) にぎやかな感じ 古いものをつくり替えて新しいものにする
・プロセスにフォーカスする。完成品よりも途中段階を大事にするデザインが増えている。
・お直しや修理することがクリエイティブとみられる時代。
・紐を糸にして布をつくりラグにする。手作りが興味の対象に。
・カラーは中間色中心に明るい色合い。色がぶつかり合い、楽しさを生む色調。
・クリエイティブな発想、体験価値、日本のボロの文化も参考に。
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