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2021年1月12日 (火)

小売・アパレルがおさえておくべき これからの消費のあり方

 コロナ禍で多くの小売・アパレル企業が窮地に陥る中、「2030年アパレルの未来」著者で、 ドイツを本拠とする経営戦略コンサルティングの2_20210113123401 ローランド・ベルガー日本法人 パートナーの福田 稔氏が オンラインセミナーに登壇。企業は消費に合わせてどのように変わっていけばいいか、小売・アパレルがおさえておくべき「これからの消費のあり方」をテーマに講演しました。

 まず取り上げたのが「コンテクスト消費」です。消費者の価値観が多様化し、モノではなく精神の充足が必要となっている現代では、消費する理由を促すコンテクストが必要と訴求します。商品やマーケティングのどの部分で自分に合うコンテクストを感じてもらうか、たとえばマクロではサステナビリティに共感できる取り組みを行っているとか、ミクロでは誕生日に記念クーポンが届くなど、消費者が欲しいのは、商品そのものではなく理由であると指摘。これを喚起するためには、ブランドの世界観や商品、マーケティングなど企業活動の様々なポイントで自分事化を促すような仕掛けを埋め込んでいくことが重要といいます。

 次にコロナにより何が変わったのか、です。
 ローランド・ベルガーが昨年7月に実施した日本を含むアジアや欧米の10ヶ国・地域の調査から、変化した価値観を6つ挙げて解説しました。①安全・安心志向―健康・予防や安定性や拠り所の重視。②節約志向―高額の支出の削減、安価。③本質追求志向―より効率的な手段へ、本当に重要なものへの集中。④イエナカ充実志向―在宅でできる手段、自宅の更なる充実と投資。⑤家族志向―家族と過ごす時間の充実、家族との関係を考えた消費。⑥社会協調志向―公益性や社会貢献の優先、企業や人々への応援意識です。
 中でも世界的に高まったのが安全志向や社会協調志向で、先進国では誰もが満たされていると感じていた安全欲求が簡単に脅かされることが明らかになったと言及。企業はこれらの価値観を社会共通のコンテクストとして意識することが重要といいます。また20~30歳の消費者は50歳以上の消費者よりも最大1.5倍程度価値観を強めているとの分析も紹介しました。
 
 さらにウイズコロナで重要となる要素について。冒頭の「コンテクスト消費」を捉えるには、大きく二つ、社会全体のコンテクストと個々人のコンテクストへのアプローチが必要で、とくに求められるのが次の3つの要素といいます。
 一つはダイバーシティです。日本では男女問題にフォーカスされるきらいがある多様性の問題ですが、グローバルな観点ではBLM運動など人種問題が浮上。日本でも関心度は高まっていく見通し。
 二つ目はサステナビリティです。繊維産業はものづくりの仕方として地球環境に大きな負荷をかけていることが国際社会の課題となっています。そこで直近、グローバルでみるとアパレル企業のサステナビリティに対する意識は大きく改善されつつあるといいます。2018年には66%の企業がサステナビリティ関連5項目以上の目標を定めるようになり、変化がみられるとのこと。消費者の方も地球温暖化への意識が強まり、1年間新しい服を買わないように呼び掛けるボイコットファッション運動が話題になるなど、業界を大きく揺るがすような気運もあり、社会共通のコンテクストとして取り組んでいく必要があるといいます。
 三つ目はパーソナライゼーションです。オンラインとオフラインの融合が進む中でテクノロジーを駆使した広告や商品のパーソナライズが、「売り方」、「見せ方」、「作り方」の3つの領域で重要といいます。「売り方」では、これまでの売り切りモデルからサブスクモデルの登場、「見せ方」では音声インターフェイスにも最適化領域が拡大していること、「作り方」ではマスカスタマイゼーションの適用領域が拡がりを見せているとのことを提言。多様化する個人のコンテクストを捉えるパーソナライゼーションこそ勝負の鍵と断言しました。
 
 最後に、株式市場で評価の高い企業は、①DX・パーソナライゼーションの推進、②ESG・サステナビリティ対応、③収益性の高さのいずれかを押さえているとまとめ、これまでのビジネスモデルを変える転換期にあることを強調してセミナーを締め括りました。

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