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2021年1月

2021年1月31日 (日)

ATELIER MUJI GINZA 動詞の森『MUJI IS』を携えて展

 東京・無印良品 銀座のATELIER MUJI GINZAで「動詞の森『MUJI IS』を携えて展」が開催されています。
 本展は、昨年10月、創設40周年を迎えた無印良品が出版した書籍、『MUJI IS 無印良品アーカイブ』で取り上げた動詞と一緒に無印の商品を紹介する展覧会です。当初から無印ファンの私です。先日、告知を見て行ってきました。

Img_33701jpg ギャラリーにはたくさんの紙管が立ち並び、森の樹木のようです。全部で15本あり、その一つひとつに、書籍『MUJI IS 無印良品アーカイブ』から引用した15の動詞と解説が記されています。

 紙管には大木の洞(うろ)を思わせる穴が開いていて、のぞき込むと真っ白な内部には、動物ならぬ商品が展示されています。
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「気づく」では持手に自分の“しるしを付けられる傘”が、Img_33791 また「寄りそう」では “お着換えパジャマ” というように、ショップで今、販売されている商品がライトを浴びて目に迫ってきます。
 ここには何があるのかな、とつい好奇心をそそられる興味深い設計です。今後の巡回展を考慮して、紙管を持ち運びしやすい入れ子式にしているそう。
 空間構成を手掛けたトラフ建築設計事務所の鈴野浩一さん、さすがです。
 
 軽くてシンプル、さりげない無印良品らしい企画展で、ますます好感を覚えました。
 会期は2月21日までです。ファンの方はお早めにどうぞ。

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2021年1月30日 (土)

祈りのデザイン展―47都道府県の民藝的な現代デザイン

 「祈りのデザイン展―47都道府県の民藝的な現代デザイン」を見に、渋谷ヒカリエへ行ってきました。2018年から2年毎に開かれている展覧会で、今回で2回目。コロナ禍による会期延長で2月8日まで開催されています。Img_33071jpg
 テーマは「祈りのデザイン」です。ホールには、47の都道府県から1つずつ選ばれた生活用品が、伝統工芸から若い世代によるクリエイション、観光や食文化まで展示され、ショップで販売もされています。
 
 一点ものの芸術作品ではないのですが、それぞれに個性的な「美しさ」を感じます。こんな風に適度に量産されているものに、民藝本来の精神が宿っているようです。
 
 下記、日本各地の選りすぐりの中から、とくに布製品をいくつかご紹介します。
 
北海道:点と線模様製作所
 身の回りの風景や植物などのモチーフを刺繍で表現したストールやミニバッグ、クッションカバーなどを出品。樹木のデザインは、雑木林の間を風が吹き抜けていくようです。クッションカバーは温もりのあるニット地です。Img_32891
青森:弘前こぎん研究所

 こぎん刺しは 農家の女性たちが家族や大切な人に思いを馳せながら、着物を差し綴ったものといいます。そんな愛情が感じられるポーチやブックカバーなど。
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東京:mina perhonen/ミナ ペルホネン
 卵の形をしている「エッグバッグ」シリーズです。洋服裁断時の端切れを使用してつくられているそう。
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岡山:倉敷本染手織研究所
 「家庭で家族のために糸を紡ぎ、染めて、織り、家族に着せなさい」を忠実に受け継ぎながら織られたというノッティング織の椅子敷きです。大胆なデザインが印象的です。Img_33011

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2021年1月29日 (金)

ウェアラブルEXPO ⑸ 画期的なテラックスのウェア

 今回のウェアラブルEXPOに出展した東光商事は、独自ブレンドの鉱石をパウダー化し生地へプリントした画期的な放熱素材、テラックス(TERAX)生地のウェアを提案していました。
 実はこの鉱石はテラヘルツ人工鉱石と呼ばれるもので、テラヘルツ波(電波と光の中間のような特性を持つ電磁波)を放射し、ゆがんだ細胞のリズムを正常な状態へと働きかける鉱石として美容面や健康面などで近年注目されているのです。
 パリのプルミエール・ヴィジョンにも毎回出品して、バイヤーの高い支持を集めている素材です。 

 季節柄もあってか、とくに前面に打ち出していたのが、「テラックス イーブィ ホット(TERAX EVHOT®)」です。
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 パンフレットによると、モバイルバッテリーによるエネルギーを利用した画期的な発熱保湿ウェアとあります。触ってみるとほんとうに温かくて、驚きました。
 Img_31781jpg  半導体繊維に電流を流す事で、遠赤外線と超遠赤外線(テラヘルツ光波)が発生し、人体の水分子を振動させる事で発熱するといいます。
 こんなのがシャツの背中に付いていたら、どんな厳寒にも耐えられそう。
 
 もう一つ、目を惹いたのが「TERAX CARETECT(テラックス ケアテクト)」です。Img_31801  遠赤外線を放射する鉱石と様々な機能性原料を独自にブレンドした素材で、疲労回復アンダーウェアや胃腸の働きを促進する腹巻き、血行促進や筋肉痛神経痛緩和サポーターなど、すべて医療機器としてネット通販されています。
 
 このテラックス シリーズには、夏用のテラックス クールもあり、寒暖両用に効果を発揮するといいます。
 石の持つ不思議なパワーに、改めて魅せられました。

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2021年1月28日 (木)

ウェアラブルEXPO⑷動物 体調管理スマートテキスタイル

 今回のウェアラブルEXPOの東洋紡STCのブースには、何と巨大な牛の置物が出現していてビックリ! 牛のお腹周りにはベルトが巻かれています。Img_31711_20210127140901
 これはフィルム状導電素材「COCOMI®」を使用した牛用のベルト型スマートテキスタイルの試作品だそう。乳牛や肉牛に装着することで心拍数などの生体情報を常時計測して、牛の体調管理に貢献するといいます。

 「COCOMI®フォー・アニマル」は、既に2016年、競走馬の腹帯カバーに採用されています。これまで経験に裏付けされてきた競走馬の調教状態の計測に役立てられているのです。
 ブースでは馬だけではなく、牛を始めとする家畜、ペットの動物たちにも広がっているのを実感しました。
 Img_31721  上は、かわいい犬の心拍計測用ドッグウェアです。
 ストレッチ素材の生地なのでどんな体型の犬にもフィットするとのことです。
 
 動物たちの健康チェックにも利用されるようになったウェアラブルデバイス、今後どんな広がりを見せるのか、注目です。

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2021年1月27日 (水)

ウェアラブルEXPO ⑶ 「産後うつ」スマートテキスタイル

 1年前のことですが、俳優の竹内結子さんが次男を出産後、8カ月で自ら命を絶ったというニュースが耳目を集めました。これには「産後うつ」が関係しているとみられています。

  今回のウェアラブルEXPOでは東洋紡STC高機能事業総括部が出展、「産後うつ」の研究向けに、同社と東北大学 東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)とユニオンツールが共同開発したスマートテキスタイルを発表していました。Img_31631  (これは以前にも取材したことがあり、このブログ2018.2.5付けで簡単に紹介しています。)
 ToMMoの富田博秋教授のグループと、 ユニオンツールの「myBeat」ウェアラブル心拍センサと東洋紡㈱のフィルム状導電素材「COCOMI®」を使って、バイタル情報を取得できるスマートテキスタイルで、開発にあたっては妊婦さんたちの意見も取り入れたそうです。着用しても圧迫感が少なく、着脱しやすい設計で、とくにブラ部分は出産後の授乳を考えた外から見えない開きのあるデザインになっています。
 「COCOMI®」が心臓から発生する微弱な電気信号を体表面でとらえて、「myBeat」センサが、その信号を外部に発信することなく、心拍情報として機器内に記録する仕組みをとっているとのこと。
  Img_31671  上は、ウェアの裏側のみぞおち辺りに付けられたユニオンツールのウェアラブル心拍センサ「myBeat」です。ドットボタンで付けたり外したりします。
 「産後うつ」の早期発見や予防につながるように、期待しています。

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2021年1月26日 (火)

ウェアラブルEXPO ⑵ 熱中症にミツフジ リストバンド開発

 今回のウェアラブルEXPOで特別講演したミツフジの三寺歩社長が、レクチャー終盤に語ったのが、リストウォッチ型ウェアラブルデバイス「ハモンバンド hamon band」です。
Photo_20210127104201  ハモンバンドは、腕時計のように手首に巻くだけで脈拍情報から深部体温上昇の変化を捉え、熱中症のリスクを可視化して知らせてくれるデバイスです。
(右写真はミツフジのHPから)
 
 開発のきっかけとなったのは、着衣型のスマートウェアによる健康管理をしていた際に聞いた、ウェア着用者の声だったそう ―着るのはよいけれど、もっと簡単にデータを取る方法はないのか―。
 これまでバンドタイプでは脈拍はとれても心電データを取ることは難しかったといいます。そこで産業医科大学と前田建設工業株式会社と共同研究に乗り出します。その結果、スマートウェアで作成したアルゴリズムをリストバンドの製品に載せることにようやく成功したとのこと。つまり心拍情報から深部体温上昇変化の推定ができるアルゴリズムを応用し、手首につけるだけで脈波から4色のLEDと振動によるアラートで暑熱リスクが事前に分かるデバイスの開発が成ったのです。
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 猛暑というピンポイントな対策に特化していることも特徴で、スマホなしで気軽に使えます。
 販売は4月下旬から。今夏に、とくに熱中症予防になくてはならない製品になりそうです。

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2021年1月25日 (月)

ウェアラブルEXPO⑴ 次世代ウェアラブルが実現する世界

 この20日~22日、東京ビッグサイトで開催された第7回ウェアラブルEXPOで、ミツフジの三寺 歩社長が「次世代ウェアラブルが実現する世界とは」をテーマに特別講演しました。(このブログ2018.5.10付けも参照ください)
Img_31561jpg  同社は糸からクラウドまで一気通貫のシステムを構築、連続した精緻なバイタルデータを取得し、そのデータを独自のアルゴリズムで分析して体調や健康状態を可視化することで、企業や社会が抱える課題の解決を目指すウェアラブルソリューション“hamon(ハモン)”を展開しています。
 この技術を企業に提供しているのも特徴で、ワコールとブラジャー型ウェアラブル“アイブラ”を共同開発したり、子ども服のキムラタンが掲げる全国の保育園に向けた園児見守りサービスに取り組んだり---。
 Img_31601jpg  今回のウェアラブルEXPOでは、ソフトバンクの高精度測位サービスichimill 及び 豊島が推進するスマートライフが一体となったプロジェクト(上写真)を初公開。
 もうまさに日本が誇る医療・介護や高齢者施設、スポーツ分野に向けた健康管理で最先端を担うベンチャーとなっています。2022年には血圧や血糖値の測定技術の完成も目指しているとのことで、ほんとうにすばらしい。

 2018年9月には福島県川俣市に工場を建設して話題を集めました。住民の心電図データから呼吸計測、加速度ジャイロ情報などを取得して健康管理に役立てているといいます。
 当初ウェアラブルデバイスによる身体測定で必ず衝突したのが個人情報の取扱いだったそうです。しかしコロナ禍で一変、一定の健康データを会社や自治体などが管理することに対して人々の側の許容度が高くなったといいます。
 内閣府では現在、「スーパーシティ」構想が進行中です。少子高齢化や地域格差といった社会問題を最先端のテクノロジーによって一挙に解決しようとする仕組みで、人々のヘルスケアデータを使って、介護予防や予防医療をやって行こうという考えがイメージされています。社会はいよいよウェアラブルによってヘルスケアを管理する方向に変化してきているのです。
 次世代ウェアラブルが実現する世界はもうすぐそこ。データ基盤にあるのはウェアラブルデバイスです。ミツフジのさらなる可能性が広がります。

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2021年1月24日 (日)

マンリョウの実

 コロナ自粛で家にいることが多い毎日です。目をやるのは、猫の額ほどの庭の植物たちです。その中でひと際目立つのが、マンリョウの実です。今年も小枝からぶら下がるように、たわわに実りました。12月からずっと今も変わらずに、艶やかな赤い実を付けています。 
 Img_32721  
 花言葉は「寿(ことほぎ)」。お正月の縁起物として人気があるそうですが、枝を切って生け花にしようとは思いません。そんなことをしたら縁起が悪くなる気がして---。
 それにしてもこんなに熟しているのに、落下しないとは! 野鳥に食べられるのを待っているようです。

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2021年1月23日 (土)

HFWから考えるデジタルファッションとサステナビリティ

 ファッションビジネス学会のFashionGood 研究部会が昨年末、初のオンラインイベントを開催しました。この研究部会を主宰するのはユニバーサルファッション協会理事でMASATO YAMAGUCHI DESIGN OFFICE代表/デザイナーの山口大人さんです。山口さんによると、FashionGoodとは「ファッション産業のGood(持続可能性)」の意味で、ファッションビジネスにおける持続可能性を環境、社会、経済など様々な角度から捉えて研究し、研究成果を実践の場に落とし込むことが目的といいます。
  
 第1回のテーマは「Helsinki Fashion Week(略称HFW)から考えるデジタルファッションとサステナビリティ」です。
 Hfw    HFWは、フィンランドの起業家のEvelyn Moraさんにより2015年に創設され、以来、毎年ヘルシンキで開かれているファッションイベントです。当初よりサステナビリティを軸に、デジタル化が進められていて、昨年は7月27日から8月2日、コロナ禍もありオールデジタルで開催されました。
 今回は、山口さんの呼びかけでこのHFWに参加した日本人2人、KoH T(コーティ)のクリエイティブディレクター、糀 泰佑さんとRITTAIFUKU ハラダ・アヤ(Harada Aya)さんが登壇。HFWを通してデジタルファッションとサステナビリティを考察するトークイベントとなりました。
 その概要を簡単にご紹介しましょう。
 
 最初はゲストの自己紹介です。
 糀さんは福岡出身で、神戸ファッションコンテストで特賞を受賞し渡英。経験を活かして2018年にコーティーデザインスタジオを設立。2019年、ファッションブランドのKoH Tをスタートさせています。
 ハラダさんは日本人とフィリピン人のハーフで、国籍はフィリピンとか。デジタルを独学で学び、服作りに関心があったことからデジタルファッションデザイナーの道を選ばれたといいます。
 
 次いでディスカッションに移ります。
 まずHFWへ参加した経緯と内容について。
 糀さんは、昨年3月の東京コレクションで無観客ショーをオンラインで発信し、ボーグ誌にサステナブルなファッションデザイナーとして紹介されたことがきっかけだったそう。そこからHFWからオファーがあったといいます。
 HFWのオンラインプラットフォーム「デジタル・ビレッジ」の、「デザイナー・レジデンシー・プログラム」に取り組む15組に選出されて、フィンランドの有害な科学物質を使わないパルプ繊維技術を開発したスタートアップSpinnovaとコラボ、3Dデザイナーとタッグを組んでデジタル化したコレクションを発表したといいます。
 ハラダさんは、自身のインスタグラムを見たHFWファウンダーのアシスタントからのコンタクトだったそう。インスタの発信力に驚かされますね。
 HFWでは3Dデザイナーとして、韓国のユン・リーさんやロンドンのデザイナーとコラボし、デジタルファッションツールのCLOや、Blender、CINEMA 4Dを使い、作品を制作したといいます。

 ちなみにCLOとは韓国のスタートアップが開発した3Dモデリングのソフトウェアのこと。従来のような型紙や縫製サンプルをつくる必要がなく、廃棄物を出さないことからサステナブルと考えられています。Blenderは、3Dモデルを作成できるツール、CINEMA 4Dは、3次元コンピューターグラフィックソフトであるとのこと。
 ハラダさんはとくに服飾専門学校に行かなかったといいます。パターンの技術や知識はなくても、CLOは誰でもウエブサイトで学べるので、勉強して欲しいと強調します。
 日本でも今、少しずつ普及しつつあるようですが、あまり進んでいるようには見えません。このままでは世界から取り残されてしまいそう。
 糀さんも、これまでの伝統的な服づくりの方式が変化し、サンプルの仕事がなくなり、パタンナーはデジタルに取り組んでいかないとキャッチアップできなくなる、そうした時代が来るといいます。
 
 次に、デジタルファッションとサステナビリティを考えます。
 デジタルファッションで今後何ができるようになるのかと問われて。
 ハラダさんは、可能性は大きいといいます。サンプルが不要になるなど、制作工程で無駄を省くことができますし、工場などの労働環境の改善にも役立つでしょう。
 糀さんは、HFWは最先端の領域を示唆するもので、デジタルはまだ実験段階とみているようです。作品が先走っても、社会が追い付いていないので、実際の運用で価値を示せないと、なかなか慎重です。

 それではデジタルファッションを普及するにはどうすべきなのでしょうか。
 山口さんは、フィジカルとデジタルを融合させて無駄なものをつくらない使い方がベスト、コスト削減にもつながるといいます。
 つまりサポートツールとしてのデジタルです。糀さんもルックブックで例えばシューズのみをデータ化して効率化したり、デジタル空間と合わせたプロモーションを行ったりすることで、ブランドの世界をより強く印象的に魅せることが可能になるといいます。
 今後の課題は、グリーンウォッシュ(環境配慮をしているように装いごまかすこと )ではない本当の価値ある服を提供できるブランドを目指すこと。それには世の中の意識が変わってくるように発信し続けることが重要と力強く語られました。

 サステナブルにテクノロジーの活用は必須です。デジタルの採用がサステナビリティにつながる、これは今や自明の理です。山口さんのレポートにもあるように、3D CADでの無駄の出にくいモノ作りや、AIによる需要予測、デジタル接客によるパーソナライズ化で生産量の抑制もできるようになります。
 HFWではデジタルツールによって環境負荷を見える化し、サステナビリティへの信頼度を上げているとのこと。ポイントは、①様々な分野の人と提携し双方向で情報を共有し、共創すること、②グリーンウォッシュにならないように透明性を確立すること、③既存の経済システムからの脱却です。
 
 ファッションのデジタルデータ化が持続可能性へのアクセスを生み出そうとしている現在、世界の趨勢は早いです。昨今はフィリッピンなどアジアの進展に目をみはることが多く、日本もうかうかしていると乗り遅れます。それにはハラダさんが言っていたように、学ぶことですね。 
 次回のFashionGood 研究部会でどのような “学び”があるのでしょうか、楽しみにしています。

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2021年1月22日 (金)

WWDジャパン サステナビリティ サミット ⑶ 服の廃棄問題とこれからの服作りを考える

セッション3
 「WWDジャパン サステナビリティ サミット」のセッション3は、「服の廃棄問題とこれからの服作りを考える」と題し、栗野宏文ユナイテッドアローズ上級顧問、セッション2でファシリテーターを務めた川崎和也シンフラックス主宰、米国サンフランシスコ発のスタートアップ企業、アンスパン(UNSPUN)のウォルデン・ラム共同創業者が香港から登壇。廃棄物問題などビジネスの現実的な課題に対してアジアの若手起業家はどんな解決方法を考え、未来を見ているのか? これからのファッションビジネスの可能性を探るトークイベントでした。
 司会は向千鶴WWDジャパン編集長です。
 
 そのポイントをピックアップすると---。

 冒頭、動画が紹介されました。登壇した二人のアントレプレナーがそれぞれ開発したもので、一つはアンスパン(UNSPUN)の完全オーダーメイドジーンズ、もう一つはシンフラックスのAIを活用したパターンメーキングシステム「アルゴリズミック・クチュール」です。
 

 アンスパンが開発した3Dボディースキャンで、資源の無駄を最小限に抑えた完全オーダーメイドのジーンズです。
 
 シンフラックスが開発したAIを使った廃棄ゼロのパターンメーキング技術です。3Dモデルでつくった服を直線で自動的に型紙をつくるCADシステムで、一般に服をつくる際には15%~20%の余り布地が出ますが、このシステムを使えば5%以下に抑えられるといいます。

 まず、一つ目のテーマ「廃棄を出さないことを前提にしたデザインは人が予想もしなかったようなデザインを生み出せるか」について。
 ウォルデン・ラム氏は、日本のきものが新しいイノベーションを起こしているといいます。きものは最大限生地を使い切るようにデザインされていて、日本には生地を最後まで保存する文化があると。
 栗野氏は、きものは廃棄ゼロに近い衣服で、日本にはこのDNAがあると指摘します。
 川崎氏は、二つの視点があるといいます。一つはパターンカッティングで、日本のきものに着想し、型紙を直線に置き換え廃棄ゼロにすることで新しい表現が生まれると考えていること。もう一つはコンピューターが生み出す面白いカタチです。コンピューターが生成する驚きの表現と廃棄ゼロを両立させることが、これからの課題になるといいます。

 ここで向氏から「人が見たことがないデザインを生み出したいと思うか」と問われて。
 ウォルデン・ラム氏は、新しいものを生み出そうという意識があるかといえば、「ノー」だそう。新しいというより既にあるもの、例えば尾道デニムのように、ワークパンツとして1年間穿き続けた本物のユーズドジーンズなど、使い古した(エイジドな)体験の方に価値が高まっていると。
 川崎氏は、新しくしなければいけないのはモードではなく仕組みの方ではないか。仕組み、つまりシステムをつくることが、新しいデザインにつながると持論を展開。(栗野氏がいうシステムデザイナーらしいですね)

 次に、二つ目のテーマ「ヒューマンスキルとテクノロジーは共存できるのか」について。
 川崎氏は、ともにつくることが大切。ファッションブランドの「ハトラ」とAIの柄をニットでつくったとき、残糸を少なくする方式で、逆に職人の仕事を増やしてしまったことがあり、新しい仕組みと現状のすり合わせが重要といいます。 
 ウォルデン・ラム氏も、テクノロジーは人をサポートし、エンパワメントするために使われるものととらえているそう。
 二人ともヒューマンスキルとテクノロジーは共存できるということのよう。
 
 さらに肩書について尋ねられて---。
 ウォルデン・ラム氏は、「プロブレムソルバー」。在庫リスクや売れ残りなどの問題解決者といいます。
 川崎氏は、スペキュラティブデザイナーと称しているように、遠くの未来に問いを投げかける問題提起と解決をセットでやる職業と思っているそう。

 最後に、これから何をしたいか、です。
 川崎氏は、ファッションシステムの改革が最重要課題。国境を越えてサステナブルなファッションのデザイナーとコラボする、また大手メーカーと組むなどして、ファッションシステムを変えていくことに取組んでいくといいます。
 ウォルデン・ラム氏は、地球上のCO2排出量を2030年までに半減することが目標。他のブランドとのコラボをメインに積極的にやっていきたいと。
 
 栗野氏が、二人の活動は必ず生かされていくとまとめて、終了となりました

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2021年1月21日 (木)

WWDジャパン サステナビリティ サミット ⑵ サステナブルな世界のためのマテリアル&デザイン革新

セッション2
 「WWDジャパン サステナビリティ サミット」のセッション2に登壇したのは、サステナブルなテクノロジーで話題の企業のトップ、2人です。人工クモの糸で日本発の素材革命を目指すスパイバーの関山和秀取締役兼代表執行役と、サステナブルなモノづくりを掲げる新会社CFCLを立ち上げたデザイナー、高橋悠介代表で、彼ら若きリーダーに斬り込み、ファシリテーターを務めたのが、AIを使った廃棄ゼロのパターンメーキングを開発した研究者、川崎和也シンフラックス主宰です。
 「サステナブルな世界のためのマテリアル&デザイン革新」をテーマに、モノづくりから経営までサステナビリティの本質を語るトークイベントとなりました。

 まず川崎氏が、これからのファッションとサステナビリティについてディスカッションすると挨拶。関山氏は素材開発研究者の立場から、高橋氏はファッションデザイナーとしての立場から、ファッションと環境がよりよい関係を結ぶために何をすべきか、必要なアクションを語られました。
 関山氏は、スパイバーが開発したブリュードプロテイン(微生物による発酵で作られた人工の構造たんぱく質)素材について、可能性は非常に大きいと話します。社会が自然の生態系とつながる循環型を目指そうとしている現在、自然界のタンパク質を使いこなすことは実際、ますます重要になるでしょう。Img_53421_20210124172801
 (上写真は、スパイバーのブリュードプロテイン素材の展示です。プルミエールヴィジョン・パリの2020.2月展で撮影しました。)
 スパイバーはゴールドウィンとコラボし、ムーンパーカやTシャツに加えて、このほど第三弾の新アイテム「ザ・セーター」を発表したといいます。素材はウールやカシミアにインスパイアされたブリュードプロテイン、保温性があって肌触りがよく、天然繊維ならではの風合いに新しい機能を追求したものとか。進化を続けていますね。
 
 高橋氏は、イッセイミヤケを退社して昨年新ブランドCFCLを立ち上げ、この2月から販売開始の予定とか。CFCLは「Clothing For Contemporary Life」の略称です。イッセイミヤケの花形メンズデザイナーから一転、独立したきっかけは、娘の誕生だったそう。環境活動家グレタ・トゥーンベリさんにも触発されたとか。次世代へ向けてアクションを起こすために、自立の道を歩むことにしたといいます。
 手がけるのは、ほぼ全て3Dコンピュータプログラミングニット、つまり廃棄物をほとんど出さないホールガーメントニットとのこと。糸も再生ポリエステル100%でつくっているといいます。

 次に川崎氏が「未来への責任」を問いかけます。
 高橋氏は、CFCLにチーフ・サステナビリティ・オフィサーCSO(最高サステナビリティ責任者)という役職を置くとともに、モのづくりから流通、販売までブランドの全てにおいて環境配慮の素材以外扱わない方針といいます。
 関山氏は、2021年末までに量産プラントをつくるなど、量産体制を整えているとのこと。巨大なファッション産業にインパクトを与えることで地球のサステナビリティに貢献したいと話します。

 さらに未来をどのように考えているのかについて。
 関山氏は、ブリュードプロテインが普及した未来に、タンパク質は選択肢の一つとなるとみているとのこと。セルロースを含むバイオ材料で地球に負荷をかけずにつくる基盤を確立していきたいといいます。
 高橋氏は、服は売りっぱなしではなく回収を考え、つくり直すなどのシステムが必要。自身がつくる服はシーズン性にあまりとらわれない長く着ることができるものをデザインしていくといいます。デザイナーは自分が表現したいものだけをつくっていてはいけないのではないかとも。
 
 最後に感想として、高橋氏が、今素材はサステナブルであることがセールスポイントになっているが、バリエーションが広がって、あらゆる素材がサステナブルになるとよい。ボタンやファスナーなどの副資材もサステナブルな材料にしたいのでスパイバーでつくれないかと相談しました。関山氏の答えはもちろん可です。すでに樹脂の開発も行っているそうです。

 希望の持てる前向きな話で締めたセッションでした。

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2021年1月20日 (水)

WWDジャパン サステナビリティ サミット ⑴ 政治と産業が協働し、サステナブルなファッション産業を目指す

 先月、WWDジャパン主催のオンライントークイベント「WWDジャパン サステナビリティ サミット」を視聴しました。「サステナブルなファッションの未来を共につくる~これからのイノベーション、クリエーション、コラボレーション~」と題したシンポジウムで、ファッションのモノづくりに焦点を当てた興味深い議論が展開されました。 
 統括した向千鶴 WWDジャパン編集長は、「ファッションの未来を拓く鍵は、サステナブルな環境の中にある」といいます。一見対立しているように見えるサステナビリティとファッションですが、しかしファッションの創造性は、サステナブルという制約のある環境でこそ高まるものです。「制約は創造の源」という言葉に共感しました。
 登壇者はポジティブかつ、イノベーティブな視点を持つ識者・研究者たちです。3部構成で行われた各セッションには、関連企業のみならず様々な分野の知が集まり、共有とアクションの輪が広がりました。
 その概要を簡単にまとめてみます。
 
 セッション1です。
 ここではファッションと縁遠いと思われていた政治の世界から、何と小泉進次郎環境大臣が登壇してびっくり!そのお相手は、パリからマリー・クレール・ダヴー ケリング CSOです。ナビゲーターは日比保史コンサベーション・インターナショナル・ジャパン代表理事で、「政治と産業が協働し、サステナブルなファッション産業を目指す」をテーマに、フランスと日本のファッションビジネスにおける課題や未来について語り合いました。1_20210124075201
 冒頭、小泉氏が「政治とファッションがサステナビリティを通してつながった。日本でもサステナビリティとグリーンリカバリーが本格的に動き出したことを伝えたい」と切り出すと、マリー・クレール氏がケリンググループのサステナビリティへの取り組みを流れるように話し出しました。(ちなみにケリンググループとは、パリを拠点にグッチ、サンローラン、バレンシアガなどのグローバル・ラグジュアリー・ブランドを保有するコングロマリットで、他者に先駆けてサステナビリティに取組んでいることで知られています。)
 「同グループのピノーCEOはサステナビリティとラグジュアリーは同一というビジョンを持っている。サステナビリティは責務であり発展に不可欠な条件との考えから、EP&L(環境損益計算)を導入し、グループの環境負荷を数値化し可視化している。取締役会にも傘下のブランドにもサステナビリティ専門のスタッフが50名いる。協働へのアプローチ、透明性やオープンソース化も重要」といいます。
 また「サステナビリティを進めるにはエネルギーが必要」で、「ケリングではパイロットプロジェクトをつくり、そこから大規模に展開するプロセスで進めている」とのこと。小泉氏も「省内に27名のファッション タスクフォースを立ち上げ、ファッション業界と意見交換をしている」と日本の事情を紹介。 
 次に、話題は「ファッション協定」に移りました。これは2019年8月にパリで開かれたG7サミットで発表されたファッションパクトで、ファッション産業の環境負荷軽減に向けた国際的な枠組みです。ケリンググループが主導して発効したと言われています。
 マリー・クレール氏は「パクトの柱は3つ、気候変動と生物多様性と海洋の保護で、現在14か国60社、250ブランド以上が加盟している」と説明。「日本企業もこの協定に参加していただきたい。小泉大臣にはファッション協定の日本のアンバッサダーになってもらいたい」と要請しました。
 小泉氏は「この協定に日本企業が一つも入っていないのはもったいない。パクトへの加盟を促し、国際的な流れをつくっていきたい。この対談がそのスタートになればいい」と応じました。(実は日本企業ではアシックスが初加盟しています)
 パクトの目標の一つ、生物多様性は指標化が難しいとみられていますが、これについても、ケリングは生物多様性のための基金を立ち上げ500万ユーロの予算を当てたとか。(さすが違いますね。)
 さらにサステナビリティに不可欠なイノベーションでは、小泉氏が「日本は世界トップのサステブル技術を持っている。そうした企業へのサポートを進めていく」と述べると、「イノベーションはケリングの鍵。119のスタートアップと連携しているが、日本のスタートアップともぜひ協業したい」とマリー・クレール氏。
 生活者のライフスタイルにも言及があり、マリー・クレール氏は「ミレニアル世代やZ世代はサステナブルへの意識が高い。重要なのは企業のトップレベルでメッセージを発信すること。客との対話が企業を動かし、業界全体を動かすことにつながる」と強調。
 最後に、小泉氏が「タスクフォースを通じて、日本がサステナブルなファッションの国であることを後押しする」と断言して、セッションを締めくくりました。

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2021年1月19日 (火)

石岡瑛子展「グラフィックデザインはサバイブできるか」

 アートディレクターやデザイナーとして世界的に活躍した石岡瑛子の展覧会が今、ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開かれています。現在、東京都現代美術館で開催中の「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」を見た私は、この回顧展にも足を伸ばしてきました。Img_30161
 タイトルは「グラフィックデザインはサバイブできるか」です。これは石岡瑛子が「こんな世界でよくサバイブできているわよね。私」と言った言葉だそう。この語りを書き記したのは、作家・編集者の河尻亮一氏で、石岡瑛子の生前に、4時間にも及ぶ長いインタビューを行ったといいます。
 「いつも崖っぷちにつま先で立っている。---合言葉はサバイブ」のフレーズも、石岡瑛子のクリエーションの本質を突いているようで、印象的です。
 ギャラリー入口ホールの赤いカーテンは、こうした石岡瑛子の文言で埋め尽くされていました。「グラフィックアート」の映像を見ながら、真っ赤に彩られた空間にしばし没入します。
 
 地下の展示室では、60年代から70年代にかけての石岡作品が所狭しにディスプレーされています。
Img_30041_20210123111001  上は資生堂の「太陽に愛されたい」(1966年)のポスター。これを見てモデルの前田美波里に憧れたことが思い出されます。
 
Img_30071  渋谷パルコの「裸を見るな。裸になれ。」(1975年)のポスターも展示されていました。女性の権利に対して高い意識をもって仕事に取り組んだ石岡瑛子、その姿勢が分かる、衝撃的なビジュアルです。
 Img_30081  これも渋谷パルコのポスターです。「西洋は東洋を着こなせるか」(1979年)と挑戦的なメッセージが載せられています。石岡瑛子はデザインの世界に日本的発想を採り入れて、旧態依然の西欧に向けて快進撃していったのですね。
 
 従来のタブーを打ち破り、新しい世界を切り拓いた石岡瑛子。一人の日本人女性として尊敬の念を覚えずにはいられません。

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2021年1月18日 (月)

初 回顧展「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」

 昨年末、東京都現代美術館で開催されている「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」展に行ってきました。 石岡瑛子と言えば、数々の記憶に残る広告から映画・舞台衣裳のデザインで世界的に知られるアートディレクター/デザイナーです。世界初という大規模な回顧展でもあり、ワクワクする気持ちで美術館に足を運びました。もう思っていた以上の感動の連続---。見終わった後もその余韻冷めやらず、でした。Img_28831jpg
 タイトルの「血が、---」という表現も刺激的です。
 Ihttps3a2f2fseximgjp2fexnews2ffeed2fohta これは石岡瑛子が2003年の世界グラフィックデザイン会議で行ったスピーチ、「血がデザインできるか、汗がデザインできるか、涙がデザインできるか。別の言い方をするならば、『感情をデザインできるか』ということです。私の中の熱気を、観客にデザインというボキャブラリーでどのように伝えることができるだろう。いつもそのように考えているわけです」に由来するそうです。
 この文言は入口の真っ赤な壁に綴られていました。石岡瑛子はまさに「感情をデザインする」アーティストでした。改めてその熱気に打たれたわけが分かったように思いました。

 常に時代の最先端をリードし、枠組にとらわれない、むしろその枠をはみ出して、ジャンルも国境も常識も超えて活躍した石岡瑛子。本展はその幅広い創作活動を辿る構成になっています。大きく3章に分けられ、作品には石岡瑛子が発した言葉による解説が添えられています。
 館内には石岡瑛子の最後のインタビューの音声が絶え間なく流れています。まるで天に昇った彼女の声が地上に降り注いでいるかのよう。クリエーションとは何か、デザインとは何か、語っているのはその本質的な行き方です。私も思わず立ち止まって聴き入りました。

 ここからは章ごとに興味深く思った展示をご紹介します。

1. TIMELESS(タイムレス) 時代をデザインする
 石岡瑛子が芸大を卒業してグラフィックデザインの道を志した1960年代初頭から70年代にかけての作品が並びます。
 資生堂に入社して、まだ無名だった前田美波里を起用した「太陽に愛されたい」や、渋谷パルコのキャンペーン「裸を見るな 裸になれ」のポスターが目に入ります。これら鮮烈なヴィジュアルが石岡瑛子のディレクションにより創られたことを再び実感、懐かしさでいっぱいになりました。
 
2. FEARLESS(フィアレス) 出会いをデザインする
1_20210122104001  1980年、ニューヨークに拠点を移した石岡瑛子の舞台や映画など多岐にわたる仕事を振り返ります
 日本人初のグラミー賞(1987)を受賞したマイルス・デイヴィス『TUTU』のジャケットデザインや、ミシマの金閣寺も荘厳な美しさを放っていました。
 映画『ドラキュラ』の衣装でアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞(1993)した作品展示はほんとうにすばらしくて---、映画で見る以上の迫力でした。(右写真はパンフレットから)
 
3. BORDERLESS(ボーダーレス) 未知をデザインする
478429  アカデミー賞受賞後も自らの個性を進化させ、駆け抜けていった石岡瑛子の円熟期の作品グループです。
 ターセム・シン監督との映画『落下の王国』の独創的な衣装や、北京オリンピックの開幕式の衣裳、オペラ『ニーベルンゲンの指輪』の壮麗な衣装(右写真 パンフレットから)など、石岡作品には、「西洋は東洋を着こなせるか」(パルコ、1979年)もそうですが、東洋のイメージ、とくに日本のきものの影響を色濃く感じます。日本の伝統的な織物産地の生地も随所に見られました。
 その一方、目を瞠ったのがシルク・ドゥ・ソレイユのコーナー。ファンタジックで幻想的な世界を現出しています。

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 最後に「白雪姫と鏡の女王」で鏡の女王に扮したジュリア・ロバーツが着装したウエディングドレスが展示されています。映画で見た衣裳をガラスケース越しでなく、こんなに近くで直に見ることができるのも本展の魅力です。(上写真はパンフレットから)

 石岡瑛子の創作のモットーは、「オリジナリティ」と「タイムレス」、「レボリューショナリー」だったそうです。そのエネルギーに圧されて、石岡瑛子ワールドに没頭したひと時でした。

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2021年1月17日 (日)

IAUD国際デザイン賞⑸オネスティーズ 裏表前後ない肌着

 「IAUD国際デザイン賞2020」のファッションデザイン部門で銅賞を受賞したのが、大阪府泉佐野市にあるオネスティーズ(HONESTIES)の裏表や前後のないスマート肌着です。
 前と後ろの区別がなく、裏も表も気にしないで着用できるとは、何て楽チン。肌着を着るときには、必ず裏表や前後を確認しないといけません。おっちょこちょいの私はよく間違って袖を通してしまいます。あとで気づいて着直すことも度々。
 洗濯ものも、裏返ったものを返してたたむなど、意外とストレスでした。
 どんな風に着ても、正しく着られる肌着は、とくに視覚障がいなどのハンディキャップのある方には朗報です。
 
 この肌着開発のきっかけとなったのが、目の不自由な方との出会いだったそうです。全盲の中学生ドラマーの動画をご覧ください。

 
 生地は裏表のないコットン100%のもの、縫製は縫い目で肌を痛めない特殊な4本針ミシン「フラットシーマー」を採用しているとのこと。2020年度グッドデザイン賞を受賞しています。
 
 ビジネスマンや子育て、介護などで忙しい方にも裏表や前後がないなら、シンプルで簡単。これぞまさしくユニバーサルデザインの衣服ですね。

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2021年1月16日 (土)

IAUD国際デザイン賞⑷ 医療用ストッキング「クールララ」

 「IAUD国際デザイン賞2020」で数は少なかったものの繊維製品の受賞もありました。その一つが医療福祉部門で、銅賞を贈られたベーテル・プラスの医療用弾性ストッキング「クールララ」です。

 リンパ浮腫や静脈瘤を治療中の患者さんのために開発された医療用製品ですが、デザイン性が高く、穿いたら元気になれそうです。ムレから解放され、少しでも明るく楽しく過ごしてほしい、そんな想いで開発したといいます。
 カラーはきれいな色のツートンカラー配色で、着用時はオーソドックスな色目のみが見えるようにデザインされています。切替線を生かしたバランスのとれたスタイリングで、編地は漸減的に加圧する設計、縫い目を表側に出した縫製は敏感肌にも優しい仕様です。
  小物入れとして使えるパッケージも、ストッキング着用をイメージできる「脚シルエットの透明窓」付ポーチになっていて、プレゼントにしても喜ばれそう。
19g100769_01_880x660  こんなハイスペックな機能美が評価されて、2019年度のグッドデザイン賞を受賞。上の写真はこのページからお借りしたものです。
 
 新型コロナでメディカル衣料がクローズアップされる中、ファッション企画にヒントを与える注目の受賞といえそうです。

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2021年1月15日 (金)

IAUD国際デザイン賞⑶ 銀賞「みんなのピクト」安心の食事

 「IAUD国際デザイン賞2020」で銀賞を受賞した19件の内、ぜひご紹介したいと思ったのが「みんなのピクト」です。これは食物アレルギーなどの情報を正しく伝えるピクトグラム(絵文字)で、電通ダイバーシティ・ラボ/一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会/東京電機大学が、誰でも安心して食事を楽しめるようにと、協働開発したものです。
 対応するのは特定食材28品目で、延べ1000名以上の協力を得て「図案の妥当性」や「ぼかし・縮小状態での視認性」などを調査し、検証を重ねて完成させたといいます。1_20210115135601
 近年、アレルギー疾患の子どもたちが増えているといわれます。10年前ですが、厚生労働省の調査によると、0歳~14歳の子どもたちの約40%に、東京・大阪など都市部に住む4歳以下の子どもたちに至っては51.5%、つまり2人に1人の割合で何らかのアレルギー症状が認められたそうです。原因は花粉やダニなどが中心ですけれど、食物が原因とされるものも数%あるといいます。
 この「みんなのピクト」が食品の包装やパッケージに付けられて、2_20210115135601 アレルギーの心配なしにすべての人が食事を楽しむ社会になるといいなと思います。

 日本のピクトグラムは世界的に高く評価されていますし---。もしかしたらこれが日本発祥のトイレマークのように、世界標準になるかもしれません。そう思うとうれしくなります。

 

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2021年1月14日 (木)

IAUD国際デザイン賞⑵ 金賞のパワードウェア「ATOUN」

 「IAUD国際デザイン賞2020」で金賞の受賞作品は9件ありました。中でも私がもっとも興味深く思ったのが、ATOUNのパワードウェア「ATOUN MODEL Yシリーズ」です。
 ATOUNは、作業支援用の「着るロボット」を開発しています。とくにこのモデルYシリーズは比較的重いものを持ち上げる際の腰と背中や腕の負担を軽減するウェアラブルロボットで、旧モデルより約40%軽量化とコストダウンにも成功したとか。
 センサーが腰の動きを検知し、作業員が重いものを持ち上げたり動かしたりするのを助けてくれるとあって、介護などの現場でなくてはならないものになってきそうです。以前展示会で、私も試着させていただいたことがあって、そのパワーに驚かされたことがありました。

 
 Photo_20210115114201 既に、1年あまりの調査を経て、2019年より介護施設への製品提供が始まったとのことで、導入が期待されます。

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2021年1月13日 (水)

IAUD国際デザイン賞⑴ 大賞は米国オリンピック&パラリンピック博物館

 ユニバーサルデザイン(UD)を基本理念として活動している国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)が実施している「IAUD国際デザイン賞2020」のプレゼンテーション/表彰式が、先月18日、開催されました。オンラインにての開催で、私もメンバーの一人として参加させていただきました。
 2020年で10年を迎えるこの賞には、世界14か国から67件のエントリーがあったとのことです。「大賞」1件、各部門の「金賞」9件、「銀賞」19件が選ばれました。また2019年から設けられている「銅賞」が、今回は思いがけなく35件と多数選定されていて、UDの奨励に喜ばしいことと思ったことでした。
 とくに目新しかったのは、受賞作品に、各作品と関係の深いSDGsの目標が表示されていたです。SDGsの原則は「誰一人取り残さない」で、UDの基本理念である包括性(inclusivity)と合致しています。UDとSDGsが連動していることがはっきり伝わって、受賞者にとっても大いに励みになると思いました。

 まずは大賞です。大賞は、もっとも優れていると評価されるデザインに贈られます。2020年は公共空間デザイン部門から、米国オリンピック&パラリンピック博物館が受賞しました。

 コロラド州コロラドスプリングズ市に2020年7月30日に開館した新しい博物館です。あらゆる人に公平に開かれているインタラクティブな博物館で、オリンピアンもパラリンピアンもコンテンツとデザインを通じて真にインクルーシヴな体験をすることができるといいます。展示品は障害のある人の特定のニーズや好みに応じて、一人ひとり個別に設定でき、設定の変更も自在とか。Ud
 まさにすべての人のための博物館のすばらしい実例ですね。

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2021年1月12日 (火)

小売・アパレルがおさえておくべき消費のあり方

 コロナ禍で多くの小売・アパレル企業が窮地に陥る中、「2030年アパレルの未来」著者で、 ドイツを本拠とする経営戦略コンサルティングの2_20210113123401 ローランド・ベルガー日本法人 パートナーの福田 稔氏が オンラインセミナーに登壇。企業は消費に合わせてどのように変わっていけばいいか、小売・アパレルがおさえておくべき「これからの消費のあり方」をテーマに講演しました。

 まず取り上げたのが「コンテクスト消費」です。消費者の価値観が多様化し、モノではなく精神の充足が必要となっている現代では、消費する理由を促すコンテクストが必要と訴求します。商品やマーケティングのどの部分で自分に合うコンテクストを感じてもらうか、たとえばマクロではサステナビリティに共感できる取り組みを行っているとか、ミクロでは誕生日に記念クーポンが届くなど、消費者が欲しいのは、商品そのものではなく理由であると指摘。これを喚起するためには、ブランドの世界観や商品、マーケティングなど企業活動の様々なポイントで自分事化を促すような仕掛けを埋め込んでいくことが重要といいます。

 次にコロナにより何が変わったのか、です。
 ローランド・ベルガーが昨年7月に実施した日本を含むアジアや欧米の10ヶ国・地域の調査から、変化した価値観を6つ挙げて解説しました。①安全・安心志向―健康・予防や安定性や拠り所の重視。②節約志向―高額の支出の削減、安価。③本質追求志向―より効率的な手段へ、本当に重要なものへの集中。④イエナカ充実志向―在宅でできる手段、自宅の更なる充実と投資。⑤家族志向―家族と過ごす時間の充実、家族との関係を考えた消費。⑥社会協調志向―公益性や社会貢献の優先、企業や人々への応援意識です。
 中でも世界的に高まったのが安全志向や社会協調志向で、先進国では誰もが満たされていると感じていた安全欲求が簡単に脅かされることが明らかになったと言及。企業はこれらの価値観を社会共通のコンテクストとして意識することが重要といいます。また20~30歳の消費者は50歳以上の消費者よりも最大1.5倍程度価値観を強めているとの分析も紹介しました。
 
 さらにウイズコロナで重要となる要素について。冒頭の「コンテクスト消費」を捉えるには、大きく二つ、社会全体のコンテクストと個々人のコンテクストへのアプローチが必要で、とくに求められるのが次の3つの要素といいます。
 一つはダイバーシティです。日本では男女問題にフォーカスされるきらいがある多様性の問題ですが、グローバルな観点ではBLM運動など人種問題が浮上。日本でも関心度は高まっていく見通し。
 二つ目はサステナビリティです。繊維産業はものづくりの仕方として地球環境に大きな負荷をかけていることが国際社会の課題となっています。そこで直近、グローバルでみるとアパレル企業のサステナビリティに対する意識は大きく改善されつつあるといいます。2018年には66%の企業がサステナビリティ関連5項目以上の目標を定めるようになり、変化がみられるとのこと。消費者の方も地球温暖化への意識が強まり、1年間新しい服を買わないように呼び掛けるボイコットファッション運動が話題になるなど、業界を大きく揺るがすような気運もあり、社会共通のコンテクストとして取り組んでいく必要があるといいます。
 三つ目はパーソナライゼーションです。オンラインとオフラインの融合が進む中でテクノロジーを駆使した広告や商品のパーソナライズが、「売り方」、「見せ方」、「作り方」の3つの領域で重要といいます。「売り方」では、これまでの売り切りモデルからサブスクモデルの登場、「見せ方」では音声インターフェイスにも最適化領域が拡大していること、「作り方」ではマスカスタマイゼーションの適用領域が拡がりを見せているとのことを提言。多様化する個人のコンテクストを捉えるパーソナライゼーションこそ勝負の鍵と断言しました。
 
 最後に、株式市場で評価の高い企業は、①DX・パーソナライゼーションの推進、②ESG・サステナビリティ対応、③収益性の高さのいずれかを押さえているとまとめ、これまでのビジネスモデルを変える転換期にあることを強調してセミナーを締め括りました。

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2021年1月11日 (月)

ピエール・カルダン氏逝去 ファッションの未来創った先駆者

 昨年末12月29日に世界的天才デザイナー、ピエール・カルダン氏の訃報を知りました。ニューヨークで大回顧展が開催され、ドキュメンタリー映画『ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン』が公開されて、私も見に行きたいと思っていた矢先のことでしたので、衝撃でした。
 昨年はカール・ラガーフェルド氏、山本寛斎氏、高田賢三氏と有名ファッションデザイナーが次々に死去された年でもあり、一時代が終わったという印象です。
 
 ピエール・カルダン氏は、ファッションの未来を創った先駆者でした。1960年代に打ち出した宇宙(コスモコール)ルックは、未来主義(フューチャリズム)と呼ばれ、この時代を象徴するスタイルになっています。幾何学的なデザインやAラインのシルエットは現在も受け継がれて、デザイナーのクリエイションに大きなインスピレーションを与えています。Cimg1693pieree-cardin2014021  (写真は2014年に撮影したパリのブティックのウインドー)

 同時代を生きたイヴ・サンローラン氏がクラシックなエレガンス派とすれば、カルダン氏は革新派のカリスマでした。オートクチュール組合に所属しながら1959年に初の既製服(プレタポルテ)を発表してブーイングを食らったり、また初めてライセンスビジネスに乗り出して「オートクチュールなのに、見苦しい」と散々非難されたり。それでも動じることはなく、堂々と信念を貫きました。ライセンス生産は800以上ものアイテムに上り、トイレマットにまでPCのロゴが付いて、驚かされたのを覚えています。
 紳士服プレタポルテを手掛けたのもカルダン氏が最初でした。男女差のないデザイン、たとえばジャケットの前開きをボタンではなくファスナーで打合せるなどを提案、まさにジェンダーレスのパイオニアだったのです。ロシアや中国で誰よりも早くショーを開催したり、国籍や肌の色に関係なく多様性に富んだモデルを招いたり。松本弘子さんは日本人専属モデルの第一号でした。その後の日本人モデルの活躍ぶりはパリコレで見る通りです。
 
 常に時代に先駆け、何もないところから事業を始めて成功させてきたカルダン氏です。振り返ってみれば、ファッション、アート、不動産の帝国を率いる唯一の独立した実業家クチュリエになっていました。
 2011年にはブランドを売ろうと画策し、10億ユーロを要求したそうですが、買い手は見つかっていないとか。不動産では1970年にオーナーとなったエスパス・ピエール・カルダン劇場をパリ市に売却したり、また自身がノータイで入ろうとして門前払いされたマキシム・ド・パリを買い取ったり。マルキ・ド・サドのラコスト城の購入、南仏にある別荘のバブルハウスを現在も売りに出していることなど、もうプロ顔負けの土地ころがしです。
 
 その巨大な資産を継ぐのは誰でしょう。名乗りを上げる人はいるようですが、後継デザイナーは未定の様子です。

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2021年1月10日 (日)

キンカンの実 ウイルスの感染予防にも?

 キンカンは今が旬。庭のキンカンの木にもたくさん実が生っています。ミカンを小さくしたような黄金色をしたかわいい実です。Img_31331
 甘露煮にしたり、タルトにしたり。でも私はそのまま皮ごと食べるのが好きです。皮に甘みがあって、少しほろ苦いけれど美味しいのです。
 薬効もあって、ビタミンCやカリウムが含まれているので、免疫力を高める効果もあるといいます。だから昔から風邪薬として利用されてきたのですね。
 新型コロナウイルスの感染予防にもなるかな?と思いながら---、収穫が楽しみです。

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2021年1月 9日 (土)

ユニバーサルファッション「人を元気にする力がある」⑵

 「ファッションは人を元気にする力がある」のトークセッションで、続いて登場したのがコヒナ (COHINA)代表/ディレクターの田中絢子さんです。2018年1月に小柄女性向けブランドのコヒナを創業、インスタで知られるようになり、1年半で月商5,000万円を達成、1回のインスタライブで200万円を売り上げるという、今話題の起業家です。

 Photo_20210110171601 セールスポイントは「アラウンド150 cmの小柄女性を綺麗に見せる服」で、身長155cm以下の女性が対象。日本人女性の平均身長は157cmなので、全体の2~3割に当たるとのことです。田中さんご自身148 cmでとってもキュートで可愛らしい。前職はマーケティングで、アパレルは素人だったそうですが、ご自身に似合う服がなかなか見つからない。身長が低いというだけで、ファッションを楽しむ可能性が閉ざされてしまっていると感じ、それなら創ろうとブランドを立ち上げたといいます。
 コアな客層は小柄の中でもとくに小さい150 cm以下の小柄さん。彼女たちに向けて、どちらかというとベーシックな服を展開しているといいます。というのもその多くが、皆が当たり前に着ている服を私も着てみたいと思っているからだそうです。一歩先をチャレンジする前に、当たり前を当たり前のように着たい顧客に合わせて品揃えしているとか。
 ベーシックというとユニクロがあり、サイズも豊富です。しかしそのSサイズでも大き過ぎて、丈詰め一つとっても、お直し代の方が商品代よりも高くなってしまうそう。
 そうした悩みをすくいあげているのが、SNSを通じたコミュニケーションといいます。インスタグラムのフォロワーは現在15万人いるとのことです。こんな商品が欲しい、ここのサイズが困っているなど、インスタライブでリアルタイムに客の声を聴き、それを直接商品に反映するモノづくりをしているそうです。生産元の工場とも直接会話しながらつくっているのも特徴で、デザイナーではないからこその商品展開ができていると語ります。
 D2C形式で客との距離感を縮め、事前のヒアリングを行って在庫を積まない、DNVB(デジタル・ネイティブ・バーティカル・ブランド)として確立していることが、まさにこのブランド成功の秘密なのですね。
 
 このトークセッションで、フライングジーンズを開発した加藤健一さんは、「このジーンズを穿くとかっこいいと言われる、それがうれしくて外に出てみたくなる」と言われて感激したそうです。コヒナの田中絢子さんは「サイズが合うというだけで社会の一員として認められた気がした」の声を紹介し、服は人の存在にかかわるものだった、服には人を肯定する力があるとコメントされていました。
 お二人のお話しを伺って、「ファッションは人を元気にする力がある」ことに改めて感動しました。

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2021年1月 8日 (金)

ユニバーサルファッション「人を元気にする力がある」⑴

 昨年11月初旬、東京・渋谷で国内最大級のソーシャルデザインの都市フェスSOCIAL INNOVATION WEEK(SIW)が開催され、ユニバーサルファッションをテーマにしたトークセッションが行われました。題して「ファッションは人を元気にする力がある」です。山形バリアフリー観光ツアーセンター 代表理事の加藤健一さんと、コヒナ (COHINA)代表/ディレクターの田中絢子さんが登壇し、MASATO YAMAGUCHI DESIGN OFFICE代表/デザイナーの山口大人さんがモデレーターを務めました。1_20210109193201
 山口さんは昨今ファッション業界に旋風を巻き起こしているサステナブルファッションを専門に活動されています。誰もがファッションを楽しみ続ける社会を創ることが、サステナビリティになり得るというヒントをこのセッションから引き出して欲しいといいます。車椅子のために生まれたジーンズ「フライングジーンズ (Flying jeans)」の発案者である加藤健一さんと小柄女子のためのファッションブランド「コヒナ」を運営されている田中絢子さんとの対談は、ファッションがいかに人を豊かにする力があるか、その力がいかに社会をポジティブに変える可能性を秘めているかを伝えてくれました。

 ファッションが持つ“人を元気にする力“とは何か、下記は登壇した二人が語った興味深いストーリーです。

 世界最軽量の重さ3.5kgの車いすを使用している加藤さんは、通称「空飛ぶ車いす社長」と呼ばれているそうです。山形県南陽市を拠点に、山形バリアフリー観光ツアーセンターの代表理事をはじめ、様々な活動をされています。
 21歳で筋ジストロフィーを発症し、車いす生活となって一番感じたのはあきらめなければいけないことの多さだったとか。そのバリアを片っ端からこわしていきたい、こんな思いから始めたのが車いすでのフライトだったといいます。
 地元のハングライダーのフライトエリアは、世界で唯一の障がい者を受け入れる施設だそうです。憧れの福祉国家、デンマークからも多くの観光客が車いすでフライトを楽しんでいかれるとか。
 こうした「バリアフリーインバウンド」や障がい者用駐車場の塗装作業「ブルーペイント大作戦」などに取り組む中で、「フライングジーンズ」も誕生したといいます。
2_20210109193301  ジーンズは障がい者にとって穿きにくいアイテムの一つなのですね。車いす利用者は、柔らかくて伸びるスウェットやジャージーパンツで過ごす人が多いといいます。でも皆が当たり前のように穿いているジーンズです。ジーンズのおしゃれをあきらめて欲しくないと思い立ち、丸安毛糸とコラボし、両国の丸和繊維工業の「動体裁断」という特殊な裁断法によって、座った状態できれいにはけるジーンズを開発されました。
 これにより座ってもウエストラインが下がらず、膝を曲げた時に突っ張る不快感もなく、脱ぎ着しやすくなったそう。裾が上がらないし、不自然なしわも寄らないため、見た目も良くてかっこいい。¥28,000も高価ではないようで、海外からも注文がくるといいます。
 はきやすくてシルエットが良いので、座って仕事することの多い健常者にも好評の様子です。これぞユニバーサルファッションのジーンズですね。

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2021年1月 7日 (木)

21/22ハイムテキスタイル―新しいものはないが全て新しい

 ハイムテキスタイル(Heimtextile)は、ドイツのフランクフルトで開催される世界最大のホームテキスタイルの国際見本市です。世界中から約3,000社が出展するといわれています。今年も1月12日に開催が予定されていましたが、コロナ危機で5月4日~7日に延期となりました。
 このハイムテキスタイルの21/22トレンドウェビナーが昨年末にあり、2019年より公式アンバサダーを務める南村 弾氏が、ファシリテーターのインテリア情報企画の善明剛史氏と登壇。対談形式で「2021/2022デザイン・素材は今後どのように変化するのか」と題してホームテキスタイルのトレンドをわかりやすく解説しました。
 
 冒頭、ここ10年来継続する流れの中で、21/22にとくにフォーカスされるのが「天然素材の活用」、「色や柄をぶつけあう」、「デザインとDIY」、「本質の追求」と前置き。
 その上でパンデミック前を振り返り、トレンドとして着目したのが「都市化」だったそう。都市化は人類が直面しているもっとも大きな変化と捉え、そこから4つのテーマ、「フレキシブル・スペース—都市は一人当たりのスペースが小さい」、「ヘルシー・スペース—都市では人はほとんどインドアで過ごす」、「リ・メイド・スペース—都市はゴミがたくさん出る」、「メーカー・スペース—都市の生産・製作」を導き出したといいます。

 次に21/22のトレンドについてです。
1_20210108174701  メインテーマは「Nothing New, Everything New (新しいものはないが全て新しい)」で、「本質的な部分に立ち返ると新しくない。だったら工夫してどう変化をつけるか」と紹介。根底にサステナブルの考え方があるといいます。

 このメインテーマの下、提案されたのが下記4つのテーマです。テーマ名のすべてに「Re(リ)」が付いているのが印象的です。

⑴Re-Purpose (リ・パーパス) 
Heim-reporpose  優しい感じ 古いものの再利用
 ・ゼロから創るのではなく、既にあるもので何が創れるかを考えるテーマ。
・「クリエーターからキュレーターへ」
・背景に中古市場の世界的拡大がある。
・余り物を活用した素材 ― ニードルパンチ、パッチワーク、レイヤー、ステッチなど。
・カラーは優しい感じの色調、昭和レトロ的。
・キーワード:リメイク、リペア、再編集、先人の知恵など。

⑵Re-wild (リ・ワイルド)
Heim-rewild  ナチュラルな感じ 自然をそのまま野性的に使う。
 ・自然主義を見直し、現代的解釈で活用するテーマ。アップサイクル、リサイクル。
・本物をブラッシュアップ。さらなる本物への変化と、土に帰る自然の模倣。 
・サーキュラーエコノミーへの転換。
・素材はリネンの反毛やマクラメ編みなど。
・カラーはアースカラー。自然の草や木を思わせるグリーンとブラウンが基調。
・キーワード:プリミティブ、ローテク、循環型など。

⑶Re-inforce (リ・インフォース)
Heim-reinforce  力強い感じ 長寿命で長く使う
・デザインの永続性や機能性、長く使う耐久性。
・モノクローム、しっかりと緻密、シンプルでモダン。 
・裏側に布を張りつけて丈夫にした生地、キルティング、メディカルテックス。
・カラーはグレーからブラックのトーン、ニュートラルカラー。
・キーワード:無彩色、密度、気取らない。

⑷Re-vive(リ・バイブ)
Heim-revive  にぎやかな感じ 古いものをつくり替えて新しいものにする
・プロセスにフォーカスする。完成品よりも途中段階を大事にするデザインが増えている。
・お直しや修理することがクリエイティブとみられる時代。
・紐を糸にして布をつくりラグにする。手作りが興味の対象に。
・カラーは中間色中心に明るい色合い。色がぶつかり合い、楽しさを生む色調。
・クリエイティブな発想、体験価値、日本のボロの文化も参考に。

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2021年1月 6日 (水)

PVパリとミラノ・ウニカ2月展は100%オンライン開催

 2022春夏向け国際素材見本市のプルミエール・ヴィジョン(PV)パリとミラノ・ウニカ2月展は、ともに100%オンライン開催になるとのことです。Digitalshow PVパリは2月15日~19日にデジタル・ショーを、2月2日~4日の予定だったミラノ・ウニカも「デジタルプラットフォームe-MilanoUnica Connectで会いましょう」と呼びかけています。
 既に昨年末のプレスリリースで知ったことではありますが、現地に取材に行くことができなくなって、大変残念です。
 でももし予定通りフィジカルで行われたとしたら、PVパリとミラノ・ウニカの日程が重なっておりましたので、両方行くことはかないませんでした。オンラインになったことで、じっくり視聴できますし、かえってこの方がよかったのかもしれないと思っています。

 PVパリのマーケットプレイス・プルミエール・ヴィジョンでは、双方向型のデジタルカタログが掲載されていて、出展企業は点数を無制限にアップできます。またバイヤーもサンプルの注文や、本発注を容易に行える仕組みになっていて、ビジネスのサポートは万全のようです。
 ミラノ・ウニカもデジタルマーケットプレイスをより機能的にリニューアル。バイヤーは出展企業が発表する新しいコレクションを発見するだけでなく、カタログの閲覧、資料やサンプルのリクエスト、アポイントメント、ショールームへのバーチャル訪問などの機会が提供されるといいます。
 
 次回2022/23 秋冬コレクションを発表する7月展も、PVパリとミラノ・ウニカのスケジュールがこの2月展と同様、ダブっていました。しかしながら重複しないように日程調整がされるとのことで、「ああ、よかった」と一安心。いずれもフィジカルとオンライン双方の長所を採り入れたハイブリット展となる見込みで、どんな展開になるのでしょう。楽しみです。

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2021年1月 5日 (火)

2022春夏デニムPV デニムファッショントレンド

 デニムプルミエールビジョン(デニムPV)は、ジーンズの世界に特化した見本市です。
 コロナ禍にあって、2022春夏向けデニムPVはベルリンでの開催予定が変更され、昨年の11月30日~12月4日、デジタル方式にて行われました。このデジタルデニムウィークに出展したのは60社1,100点で、日本からは唯一、クラボウインターナショナルが参加しています。
 デニム市場は欧州でなお一層の拡大が見込まれていて、完成品の売上高は2019年の約580億ユーロから2025年には830億ユーロに増加すると予想されているといいます。
 
 下記、デニムPVが発信している2022春夏のデニムファッショントレンドを簡単にまとめてみました。
 
 トレンドテーマは大きく2つです。
⑴ サステナビリティ
Denim11  より持続可能な生産方法を、またより環境にやさしいものづくりを追求する流れが強まり、エコロジカルなイノベーションへの取り組みが引き続き強化されます。自然からの影響に彩られるシーズンです。

・自然の移ろいやイレギュラーな感覚が求められ、コットンとともにリネンや麻などの天然素材が脚光を浴びる。
・トウモロコシやビーツなどを原料にしたバイオ素材やリサイクルデニムが浮上。
・ストレッチのポリウレタンは減少傾向。
・オーガニックやサステナブルなど環境認証マーク素材に支持が集まる。
・循環型経済へ向けて、水やエネルギーの消費を管理し、化学物質の使用を監視し、廃棄物や廃水処理に配慮している企業が高評価される。
・オゾンウオッシュやレーザー加工などによる排水減素材が好まれる。

⑵ 快適性と差別化
Denim21  2022春夏デニムに影響を与えているのが次の二つの方向性です。一つは「しなやかさと快適さ」、もう一つは「細やかさと差別化」で、この二つが組み合わさって、従来の伝統とは異なる新しいハーモニーが生み出されます。
 
「しなやかさと快適さ」
・リモートワークもあり、着心地よい質感が追求され、“柔らかさ”と“しなやかさ”のあるデニムが浮上。
・リヨセル混やバイオ素材使いで、繊細さを感じさせるデニム。重いドレープではない、落ち感のあるしなやかな感触。
・落ち着いた色合いで、すべてに優しい100%コットンのデニム。

「細やかさと差別化」
・ソフィスティケートされたなめらかなデニムや構築的なデニム。
・完璧なしっかりとしたハンドルのテクノデニム。
・きちんと感、細やかさ、小柄ヘリンボンなどの緻密な織り組織。
・深みのある魅惑的な光沢を放つデニム。

 なお次回デニムPVは5月25~26日、ミラノにて開催されます。

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2021年1月 4日 (月)

2021-22年秋冬ミラノウニカ 流行色2020 WINTER掲載

Scan0203  先般発行された「流行色2020 WINTER No.603」に、今年9月に開催された「2021-22年秋冬ミラノウニカ」の柳原美紗子の記事が、掲載されました。

 その概要や発表されたトレンドテーマやカラー、素材の特徴などを4ページにわたり解説しています。ご参照ください。
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2021年1月 3日 (日)

コロナ禍のお正月 人出激減で少し寂しい鶴岡八幡宮

 年初からコロナ感染拡大のニュースばかり、不安が募ります。初詣客に分散参拝が呼びかけられて、神社仏閣の人出は激減しました。
 毎年詣でている鎌倉 鶴岡八幡宮も、例年なら人で埋まって大行列している参道がガラガラでした。まったく並ばずに参拝できて、いつもこんな風ならとよいのにと思う反面、一抹の寂しさも---。
 Img_31231jpg  狛犬の白い巨大マスクが印象的でした。

 本覚寺の鎌倉えびすも縮小開催だそうで、福娘の姿も出店もなくて、午後3時終了とあっけない。

 神奈川県も知事が緊急事態宣言発出を要請しているとのことで、今はもう我慢のときです。
 早くマスクを外せる日が来るといいですね。

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2021年1月 2日 (土)

初詣は鎌倉の長谷寺へ

 久し振りに鎌倉の長谷寺へ初詣しました。Imgp80841  創建は奈良の天平時代といいますから、まさに古寺、ご本尊の十一面観世音菩薩像は、造立されて今年2021年で1300年にもなるそうです。「長谷観音」と呼ばれて私も子どもの頃から親しんできたお寺です。
 Imgp80031  観音堂に安置されている金色に輝く観音様を拝顔して、改めてその大きさにびっくり!高さは9.18mもあって日本最大級の木彫仏といいます。
 阿弥陀堂やマニ車のある経堂など、お参りするところがいっぱい。
 Imgp80341  地蔵堂にはたくさんの小地蔵様が並んでいます。千体もあるので千体地蔵と呼ばれるのでしょう。自然と手を合わせてしまいます。
 1_20210102171001  眺望散策路を登り、由比ガ浜を一望しました。海が朝の光を浴びてきらめき、美しかったです。
 Imgp80641  下の境内の放生池を過ぎた辺りにあるのが、弁天窟です。弘法大師参籠の地と伝えられているそうです。Imgp80541jpg  窟内の壁面には弁財天と十六童子が彫られていて、何とも神秘的。子どもに帰って洞窟探検を楽しみました。

Img_30881  手入れの行き届いた庭園には、早くも白梅や紅梅、黄色い蝋梅の花が咲き始めています。春はもうすぐそこ、ですね。
 
 長谷寺は見どころ満載、季節を変えてまた訪れたいですね。

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2021年1月 1日 (金)

鎌倉 長谷寺から 明けましておめでとうございます!

 2021年 明けましておめでとうございます!
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 本年初のご来光は鎌倉の名刹、長谷寺で迎えました。年末年始というといつもはスキー場で過ごすのですが、コロナ禍で出かけられなくて、近場で楽しんでいます。
 長谷寺は鎌倉では初日の出の名所で、元旦は朝8時まで拝観料無料で入れます。由比ガ浜を見下ろす展望台は密というほどではありませんでしたけれど、けっこう人が集まっていました。
 太陽が逗子の山の上から顔を見せたのは朝7時頃でした。すべてが金色に光って、雲が西遊記の筋斗雲のように見えたりして---。これは瑞兆が現れたのかなと思ったりしました。
 今年はこの雲に乗ってより良い方向に動き出しますように、切に願っています。

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