21春夏パリコレクション⑻ ケンゾー“養蜂家の装い”テーマ
今月初め、デザイナー高田賢三さんが新型コロナウイルスの合併症によりパリで死去された悲報に接し、心がザワザワと動揺したのを覚えています。ファッションの一つの時代が終わったのです。
その賢三さんが創始した「ケンゾー(KENZO)」ブランドを引き継いでいるのは現在、ポルトガル人デザイナーのフェリペ・オリヴェイラ・バティスタ。昨年クリエイティブ・ディレクターに就任したばかりです。
バティスタによるメンズ・ウイメンズ合同の2021春夏コレクションは、パリの庭園を舞台にライブで開催されました。テーマは“養蜂家の装い”です。
今回のコレクションの出発点は、一枚の養蜂家の写真だったとか。バティスタはミツバチと養蜂家の関係に、私たちが今日迫られている危うさと、距離を一定に保つソーシャルディスタンスを重ねたといいます。自分のみならず他者、大きくいえば世界を守るためのプロテクション。とはいえそこには不安や恐怖だけではない楽観的な考え方を込めて、現実と真正面から向きあいながらも、強い意志をもって前に進む女性像を作り上げたと、語っています。 ランウェイに登場したのは、ベールで顔や体が守られた養蜂家のような出で立ちです。ポケットの付いた作業服風のアウターやパンツなど実用的なイメージも目にしながら、全体的には幻想的な雰囲気が漂うコレクション。
ケンゾーのアーカイブに着想したという花柄プリントは、悲しみの涙で滲んだように色褪せて見えるのが印象的です。
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