有隣堂が目指す書店の未来~誠品生活日本橋プロジェクト
先般、東京ビッグサイトで開催された雑貨EXPOで、私もお馴染みの書店、有隣堂の松信 健太郎社長が登壇するセミナーが行われました。題して「有隣堂が目指す書店の未来~アジアNo.1書店を日本へ 誠品生活日本橋プロジェクト」です。
2019年9月、アジアNo.1書店ともいわれる台湾の誠品書店が日本橋に上陸したときは、大きな話題を集めました。導入したのが有隣堂と知り、驚かされたことを覚えています。コロナ禍の中、どのような展望を持たれているのでしょうか。興味津々拝聴しました。
まず出版市場の縮小です。ピークの1996年に比べ48.6%低下したとのことです。ECアマゾンの台頭やスマホの発達、電子書籍の成長など、理由は様々。そこには日本独特の出版流通の崩壊もあるといいます。世界に例のない流通方式で発展してきた出版市場で、リードしてきたのは雑誌の販売売上だったのです。しかし2016年にはついに書籍の売上を下回るようになります。出版社では雑誌はもはや収益源ではなく、ブランドツールと再定義しているとか。この流れはコロナ禍でさらに加速しているといいます。
次に有隣堂が他の書店と異なり売上を伸ばしてきた理由についてです。実は書店以外の事業で利益を出していたのですね。それは事務機器やオフィス通販を手掛ける外商部門です。有隣堂の売上の約半分が外商だったとは、驚きです。
こうした中、台湾発の大型複合セレクトショップ「誠品生活」の日本1号店の開業に参画したのです。「誠品生活」は代官山蔦屋書店がモデルといわれる“本屋らしくない本屋”ですし、またタイム誌アジア版でアジアにおける最も優れた書店と高評価されたこともあったようです。
「誠心生活日本橋」は「くらしと読書のカルチャー・ワンダーランド」をテーマに、昨秋、華やかにデビュー。多彩なカルチャーの発信基地として機能しているようです。
店内はまさに雑貨と本の回廊! 台湾・中国と江戸の歴史文化が見事に融合していると思いました。
開業して1年の「誠品生活」ですが、認知度は今一つ。ウィズコロナに合わせた軌道修正を視野に入れているとのことですので、今後の展開を楽しみに待っています。
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