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2020年9月 9日 (水)

日産アートアワード2020 予言の《ディスリンピック2680》

 第4回「日産アートアワード展」が今、横浜のニッサンパビリオンで22日まで開催されています。展示されているのは5人のファイナリストの作品です。
 会場に入って真っ先に目に飛び込んでくるのが、風間サチコの大作、2.4×6.4メートルに及ぶ巨大な木版画の《ディスリンピック2680》です。 Img_04421
 描かれているのは、神殿のような、あるいは廃墟のようなスタジアムです。スポーツの祭典らしい開会式が行われていて、小さな同じ形をした人間が行進し整列しています。でも無観客状態! Img_04441
 これは「ディスリンピア」、架空のオリンピックです。今年行われるはずだった東京オリンピック/パラリンピックが思い浮かびます。コロナウィルスで延期された現在の姿をまさに予言しているようです。 
 作家は4年前のオリンピック招致が決まった年に、この作品を構想したといいます。イメージしたのは1940年に東京で開かれる予定だったのに、戦時のため中止になった、あの幻のオリンピック。タイトルの2680は、2020年が皇紀2680年にあたるところから名付けたとか。1940年のオリンピックの年は皇紀2600年で、その80年後が今年です。何と言う符号!
 もうアーティストには予言力があるとしか思われません。

Img_04571  上は今回のアワードでグランプリを受賞した作品です。上海出身で東京を拠点に活動している潘逸舟の《where are you now》。日本でよく見かける消波ブロックをモチーフとした新作インスタレーションで、新型コロナの影響で移動が拒否され、消費の物流だけが稼働する現在の状況を、「群」から離れたテトラポッドで表現したといいます。

 この他、下記3つの作品も簡単にご紹介します。
Img_04551  和田永の《無国籍電磁楽団:紀元前》です。これは使われなくなったブラウン管テレビやリール式テープレコーダーなど、古家電を楽器化するアートプロジェクトです。5ヶ国の人々に家電楽器のつくり方と部品を送り、それぞれが現地で古家電を手に入れ、楽器を作成し、初めての演奏に挑戦する映像が流れる作品で、作業している姿も楽しそう。

Img_04491  《無主物》(2020)。《無主物》とは、「所有者のない物」を指す法律用語だそう。これは三原聡一郎による「水」をモチーフにした新作で、空気中の水分子を氷、水、水蒸気の推移として可視化、苔も置かれていて、発生した水を得て会期中に育っていくといいます。木材も水と太陽で育った素材ということで採用、釘を用いていないとか。

Img_04641_20200911073901  複数の彫刻のような作品で構成された、土屋信子の新作《Mute-Echoes Mute-Echo, Breve, Repeat, Creotchet, Key, Rest, Sharp, Quaver》(2020)です。素材はウールやシリコン、鉄の破片、綿、プラスチックなど、身近なものや拾い集めた廃材を組み合わせたものだそう。

 全体に社会問題や環境問題に触れる作品が目立っていました。アートの力を改めて見直した展覧会でした。

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