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2020年9月

2020年9月25日 (金)

2021春夏エズミ 隈研吾の「負ける建築」を発想源に

 「エズミ(EZUMi)」はファッションデザイナーの江角泰俊さんが手がけるブランドです。
 江角さんといえば、JALの新制服のデザインを担当されたり、つい最近も三陽商会の「ブラックレーベル・クレストブリッジ(BLACK LABEL CRESTBRIDGE)」のクリエイティブディレクターに起用されたり、活躍されています。Img_04871  このほど2021年春夏コレクションを公式サイトで発表、同時に展示会を東京・神宮前のRi Designにて開催しました。

  注目はやはりポスターなどに掲載されているトレンチコートを再構築したアイテムです。
Img_04851  着想したのは建築家の隈研吾が提唱する「負ける建築」だそう。
 負ける建築とは、従来の大きくて景観を仕切る建物ではない、環境に馴染む「接合する」建物という考え方です。

 今シーズンはこのアイデアをファッションに落とし込み、とくに日本の伝統工芸との融合に挑戦。
 とくに竹細工技法の「やたら編み」をヒントにしたデザインは印象的です。

 環境に溶け込む心地よいムードとクラフトマンシップを両立させた独自のクリエーションに、私も目が点!です。

 南青山のサニーヒルズを会場に撮影したという3Dポートレートショー(https://ezumi.jp/参照)もすばらしい出来栄えで、建物の中を歩いているような錯覚に陥りました。

 ブランド独自の世界観に、今後も期待しています。

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2020年9月24日 (木)

2021春夏ヨウヘイ オオノ 機能的でモード感たっぷり

 「ヨウヘイ オオノ (YOHEI OHNO)」はデザイナーの大野陽平さんが手掛けるレディスファッションのブランドです。このほど東京・赤坂の日本服飾文化振興財団で行われた2021春夏ものの展示会に行ってきました。
Img_04761 会場には洗練されたドレスが並んでいます。
 女性のボディラインに沿いながら、流れるように落ちるストレートなシルエットは、すっきりとして美しく、感動しました。
Img_04811  アートや建築、工業デザインなどに着想し、構築的な感覚のコレクションを展開しているといわれるブランドですが、これ(写真右)は正面から見る と、神社の社殿を思わせるようなつくりにも見えます。

 デザインのポイントとなっているのは、ウエストのベルトです。
 抑えたベルトがドレスのきちんと感を演出すると同時に、体型に応じて着心地を調整できるようになっています。

 機能的でモード感もたっぷり。
 優しい上品な色使い、素材も心地よいやわらかな感触です。 

Img_04781  着る人の身体に負担をかけないユニバーサルファッションが、ここでは自然な形で実現されているように思いました。

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2020年9月23日 (水)

2021春夏ベースマーク   「ニット&タイ」をテーマに

 「ベース マーク(BASE MARK)」は、1751年創業の老舗繊維商社タキヒヨーのウィメンズブランドです。このほど東京・代官山で展示会を開催し、2021春夏の新作を発表しました。
 ブランドを手掛けるのはデザイナーの金木志穂さんです。今シーズンは「ニット&タイ(Knit & Tie)」をテーマに、糸が編まれて紐になったり、柄をつくったり、また結んだり。 
  とくに日本文化を象徴する「結び」をイメージし、金具などで留める代わりに、Img_03691jpg ウエスト結びパンツや巻きスカート、結ぶベルト類など、たくさんの結びを散りばめたデザインを提案しています。
 また編み地ならでは菱型モチーフも今季を特徴づける柄で、ニットからプリントまで、様々なアイテムに見られます。
 シルエットはストレートをベースに、ボディと生地の間に余白をもたせ、やわらかな女性美を表現しているといいます。

 キーカラーは梨色で、肌に心地よい天然の原料にこだわり、自然が生み出す表情や質感を重視しているそう。

Img_03661_20200922111201  自然の豊かさや実りの喜びを感じさせる魅力的なコレクションです。

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2020年9月22日 (火)

2021春夏ディスカバード ヴィンテージとのミックス

 デザイナー木村多津也さんと吉田早苗さんが手がけるメンズファッションブランド「ディスカバード(DISCOVERED)」が、東京・代官山で2021年春夏ものの展示会を開催しました。
 今シーズンは “COME PLAY WITH ME” をキーワードに、ヴィンテージの要素をミックスさせた新作が印象的です。
Img_03501jpgImg_03581 Img_03531  クラシカルなジャケットの背部にヴィンテージなロックバンドTシャツのモチーフをコラージュしたり、二枚のチェック柄コットンのネルシャツを解体してチャイナ風シャツに仕立て直したり、ヴィンテージのスエットを再構成したり。
 
 右は、心地よさそうな毛足の長いソフトなコットンパイルのカットソーです。USミリタリーの「B7フライトジャケット」風にレザーテープがあしらわれています。
 
 アーカイブや残布も上手に使って、持続可能なサステナビリティとデザイン性のあるファッションを両立させた、このブランドらしいコレクションです。

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2020年9月21日 (月)

「中原淳一のはじめての、ふろく展」 思い出のアーカイヴ

 雑誌というと毎号、付録が楽しみです。中でもあの中原淳一がつくったという付録ならましてや、少女たちのときめきはさぞかし大きかったことでしょう。
 その「中原淳一のはじめての、ふろく展」が、29日まで表参道のTOBICHI東京にて開催されていて、私も行って来ました。
Img_05001 よくもまあ残っていた、と思う、思い出の小さなアーカイヴが約50点展示されています。
 Img_05031 ファッションのスタイルブックや手芸の小冊子、レターセット、カルタ、カードゲームなど、戦前の「少女の友」、戦後の「ひまわり」のために中原淳一が精魂込めて創り出した付録がズラリ!

 復刻デザインの「スカートとタイ付ブラウスのセット」も受注販売されていました。

 まさにカワイイの原点! 
 あのつぶらな瞳にどんなに憧れたことか、当時を偲んだひと時でした。

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2020年9月20日 (日)

2021春夏ロキト 「THINK ABOUT」コロナ後を想像して

 ロキト(LOKITHO)は "精神的に成熟した女性のための洋服"をコンセプトにハイクオリティな服作りで注目されているブランドです。
 その2021春夏もの展示会が、先週、東京・渋谷で開催されました。デザイナーの木村晶彦さんは、何気ない日常や人との交流といった、今まで当たり前のように存在していた事柄に思いを馳せ、「THINK ABOUT」をテーマに、コロナ収束後の新しい生活を想像しながらコレクションを制作したといいます。Img_05171
Img_05161  会場にはモノトーンの優美なロングドレスが並びます。
 素材はコットンのエンブロイダリーレースやクルーニーレース、小花や植物の刺繍、シルク楊柳、しなやかなポリエステルデシンなど。
 
 こういう時代だからこそ、装う喜びを取り戻して欲しい、というデザイナーの気持ちが伝わるコレクションです。

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2020年9月19日 (土)

2021春夏 サカヨリ カットの美しさ映えるコレクション

 ビギグループの「サカヨリ(SAKAYORI.)」が先日、ビギ本社にて2021春夏展を開催しました。
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 Img_03471jpg ブランドを手掛けるのはデザイナーの坂寄順子さん。
   パタンナーとして経験と実績を積まれてデザイナーに転身されたという方だけに、カットの美しさが映えるミニマルなコレクションです。

 シャープで立体的なシルエットのトレンチコートや、スッキリとしたラインのスエットに惹かれます。

 流行や年齢にとらわれない、無理のないデザインに好感しました。

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2020年9月18日 (金)

2021春夏ミントデザインズ “Very Best,”をテーマに 

 「ミントデザインズ(mintdesigns)」は、デザイナーの勝井北斗、八木奈央、竹山祐輔によるファッションブランドです。先日、開かれた2021春夏ものの展示会を見てきました。
 テキスタイルデザインに定評のあるブランドだけに、華やかな彩りのドレスがズラリ。Img_03741
  シーズンテーマは“Very Best,”です。
Img_03751  手紙の結びの言葉ですね。
 星型やジグザグ、猫柄モチーフのジャカードから、モダンアートのような抽象パターンや手書きアルファベット文字のプリントなど、アーカイブを今風にアレンジしたデザインも多数。
 異質なもの同士の組み合わせも洗練されて個性的です。

 さすがアーティストの顧客が多いブランドらしいコレクションと思いました。
 

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2020年9月17日 (木)

2021春夏アキコアオキ 「Watch your daughter」テーマに

 デザイナーの青木明子さんが手がける「AKIKOAOKI(アキコアオキ)」の2021年春夏展示会が先日、東京・渋谷のギャラリーで開催されました。
 前シーズンの凛々しい女性像から一転、緊張感を解いた少女の雰囲気を復活させています。
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Img_03841  テーマは「Watch your daughter」です。

 ロマンティックな花模様のドレスは、オフショルダーだったり、背中が大胆にカットアウトされていたり。
  ボリュームのあるバルーンスリーブやフリル、ギャザー、リボン結びといった愛らしいディテールもふんだんに採り入れられています。

 ロマンティックでガーリームードたっぷりのコレクションです。

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2020年9月16日 (水)

オノデラユキ FROM Where展 「古着のポートレイト」

 パリを拠点に活動する写真家、オノデラ ユキの写真展「オノデラユキ FROM Where」が、ザ・ギンザ スペースで開催されています。
 作品は、ご自身が1995年に発表した「古着のポートレート」シリーズから厳選した15点です。ギャラリーのやや高い位置に展示されていました。会場の赤い照明は、暗室をイメージしているとのことです。Img_05221jpg
 これらの古着は、フランスを代表する現代アーティストのクリスチャン・ボルタンスキー展で使われたもので、それをオノデラさんが買い取ったといいます。私もボルタンスキーを見て、古着が人間の抜け殻のように展示されていたことを思い出しました。(このブログ20194.26付け参照)
 オノデラさんは古着を針金のような細いハンガーにかけて、窓際に置き、その古着に合う雲が現れたときにシャッターを切ったとか。
 いつまでも色褪せないものの価値を再確認する展覧会です。会期は11月29日まで。

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2020年9月15日 (火)

文具・紙製品展で第29回『日本文具大賞』グランプリ発表

 先般の雑貨EXPO文具・紙製品展で、第29回『日本文具大賞』が発表されました。2020年の「機能面」「デザイン面」、それぞれの部門で優れた文具に贈られるアワードです。

 機能部門の優秀賞5製品とデザイン部門の優秀賞5作品の中から、展示会場にてグランプリが決定され、表彰式が行われました。
 機能部門でグランプリを射止めたのは、(株)相馬「ホントの紙ねんどつくるキット」です。 Img_02841  これは紙屋さんのアイデアだそう。紙ねんどを、紙という素材から自分の手でつくることを楽しめる点が評価されたといいます。紙の優しい手触りを体感する、というのもいいですね。

 デザイン部門のグランプリは、ハリオサイエンス(株)「毎日使いたいガラスペンとインクポット」に贈られました。
Img_02741  ハリオサイエンスは、フラスコやビーカーから耐熱ガラスをつくっている会社です。それが文具展に初めて出展して、グランプリ受賞という快挙を成し遂げたのです。インクの色をしっかり楽しめる、透明でシンプルなデザインがステキです。

  優秀賞の中で、グランプリではなかったのですが、私がすばらしいと思ったのは、(有)真美堂手塚箔押所の「バリアフリーカレンダー」です。
Img_02721  文字がエンボス加工の浮き出し文字になっていて、「視覚で分かる」「触覚で分かる」カレンダーです。使い手への思いやりが行き届いていますし、デザインもシンプルで洗練されています。

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2020年9月14日 (月)

雑貨EXPOライフスタイルWeek夏 新しい生活様式グッズ

  この9月2日~4日、「雑貨EXPOライフスタイルWeek夏」展が東京ビッグサイトで開催されました。今回は、リモートワークや感染対策、おうち時間に関わる新しい生活様式グッズが数多く集結していたのが印象的です。
 出展した410社の中から、私が注目した商品をご紹介します。

「着る保湿クリーム」ダブルガーゼマスク
 リオグループが開発した「着る保湿クリーム」使いのダブルガーゼのマスクは、5月20日に販売開始と同時に、即日完売したという大ヒット商品とか。特長は肌に優しいコットン素材で、生地に天然由来成分のシアバター、オリーブオイル、シルクアミノ酸が配合され、美容液を使用したように大切なお肌を包み込むといいます。
  肌荒れや顔の乾燥対策に、きっと実感できるとアピールしていました。価格は2枚組¥1,500(税抜き)
Img_03371_20200913092501  マスクが手放せなくなった今、毎日着用するマスクに保湿効果があるというのはうれしいですね。
 
ケアファッションの「おしりスルッとパンツ」
 ケアファッションはシニアにやさしいユニバーサルファッションを手掛ける会社です。Img_02871  今回、大きく打ち出していたのが、シニア女性の必須アイテムであるパンツです。引き上げやすくて、ずり落ちない履きやすい仕様で、シルエットをすっきり保つと、支持されているといいます。
 年間3万本販売しているという同社のヒット商品です。
 
オリムの「やわらかあったかマフラー」
 今治タオルの高級タオルメーカー、オリムでは、タオルにとどまらず服飾雑貨や生活雑貨など日々の暮らしにフィットする幅広いアイテムを提案しています。Img_03141  秋冬に向けて、ふんわりやわらかくて気持ちいいコットン100%のマフラーが人気。チェックや無地など色柄も豊富に取り揃えています。価格は3,000円(税抜き)。
 
ウエーブの「COCOWALK(ココウォーク)」
 毎日使いたいエプロンを中心にワンマイルウェアを扱うメーカーです。Img_03321_20200913092601    ここでは、キャンプなどだ活躍しそうなアウトドア感覚のエプロンを提案。デニムがかっこいい!です。

ホワイトボードで習字「消せる筆ペン」
 エポックケミカルの書いては消すことができる筆ペンです。ホワイトボードや専用半紙に書いて習字の練習ができるのです。
Img_02941  これなら面倒な習字道具を用意することもなく、手軽に使えて、子どものプレゼントにいいですね。価格は1本1,980 円(税抜き)。

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2020年9月13日 (日)

有隣堂が目指す書店の未来~誠品生活日本橋プロジェクト

 先般、東京ビッグサイトで開催された雑貨EXPOで、私もお馴染みの書店、有隣堂の松信 健太郎社長が登壇するセミナーが行われました。題して「有隣堂が目指す書店の未来~アジアNo.1書店を日本へ 誠品生活日本橋プロジェクト」です。
 2019年9月、アジアNo.1書店ともいわれる台湾の誠品書店が日本橋に上陸したときは、大きな話題を集めました。導入したのが有隣堂と知り、驚かされたことを覚えています。コロナ禍の中、どのような展望を持たれているのでしょうか。興味津々拝聴しました。
 
 まず出版市場の縮小です。ピークの1996年に比べ48.6%低下したとのことです。ECアマゾンの台頭やスマホの発達、電子書籍の成長など、理由は様々。そこには日本独特の出版流通の崩壊もあるといいます。世界に例のない流通方式で発展してきた出版市場で、リードしてきたのは雑誌の販売売上だったのです。しかし2016年にはついに書籍の売上を下回るようになります。出版社では雑誌はもはや収益源ではなく、ブランドツールと再定義しているとか。この流れはコロナ禍でさらに加速しているといいます。
 次に有隣堂が他の書店と異なり売上を伸ばしてきた理由についてです。実は書店以外の事業で利益を出していたのですね。それは事務機器やオフィス通販を手掛ける外商部門です。有隣堂の売上の約半分が外商だったとは、驚きです。
 こうした中、台湾発の大型複合セレクトショップ「誠品生活」の日本1号店の開業に参画したのです。「誠品生活」は代官山蔦屋書店がモデルといわれる“本屋らしくない本屋”ですし、またタイム誌アジア版でアジアにおける最も優れた書店と高評価されたこともあったようです。
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 「誠心生活日本橋」は「くらしと読書のカルチャー・ワンダーランド」をテーマに、昨秋、華やかにデビュー。多彩なカルチャーの発信基地として機能しているようです。
 店内はまさに雑貨と本の回廊! 台湾・中国と江戸の歴史文化が見事に融合していると思いました。
 
 開業して1年の「誠品生活」ですが、認知度は今一つ。ウィズコロナに合わせた軌道修正を視野に入れているとのことですので、今後の展開を楽しみに待っています。

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2020年9月12日 (土)

オンライントーク「建築・デザインのこれから―Multiplication, CONNECT/DISCONNECT」

 銀座・京橋のLIXILギャラリーが今月末で閉廊するそうです。私は同ギャラリーでの展示を毎回楽しみにしていましたので、ほんとうに惜しまれます。

 その最後を飾るイベントとしてオンライントーク「建築・デザインのこれから―Multiplication, CONNECT/DISCONNECT」が、30日まで配信されています。
 建築家の隈 研吾氏と美術家の野老朝雄氏、建築家でnoiz代表の豊田啓介の3名が登壇し、編集者でライターの青野尚子氏による司会進行で、「建築・デザインのこれから」と題し、同時期に開催されているオンライン展「Multiplication」と「CONNECT/DISCONNECT」の見どころを含め、幅広く語られています。Lixil_dm_07232

 隈 研吾氏は、ご自身の作品「Multiplication」について、「仮想のゲーム空間を創ろうと思った」と話しています。大宰府天満宮をイメージしてつくったという空間では、靴音が聞こえてきて、人の動きまで伝わってくるようです。音は建築にとって重要で、リズムは建築に大切な要素であるといいます。2_20200912154601
 離散型住宅の概念にも触れられていたこともコロナ禍の今、興味深いです。
 テレビ東京の「コロナに想う」に出演されたときには、次のように述べられていました。それは「箱=室内からの解放」です。コロナウイルスの教訓として「人間は自然の中に出ていくべき。自然と近づいて、もう一度健康を回復させ、自由を取り戻すこと」を提唱されています。
 私もまったく同感で、今回の「Multiplication」にもこの考え方が表れているように思いました。
 
 野老朝雄氏は「CONNECT/DISCONNECT」という作品を発表しています。それは豊田氏との協働作業による常滑焼のタイルのプロジェクトで、アナログなタイルの紋様とデジタルの融合が生む万華鏡のようなバーチャル世界です。無数の幾何学デザインの出現に圧倒されます。
 
 トークで私がとくに関心を引かれたのが、隈氏が「粒子」について言及された箇所です。
 東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場を設計した隈氏。全国の杉材を取り寄せて気づかれたことは、同じ杉なのにそれぞれ色が違っている、つまり粒子が異なっていることだったそう。そこでそれぞれに違う粒子の良さを活かして、ふわりと全体をまとめ上げる手法を採用したといいます。
 「この手法はアジア的で、西欧にはないやり方」と隈氏は言います。「キリスト教的な設計というと、異質なものをアウフヘーベンするというもので、より高次のものを創り上げるために、違う要素を犠牲にする」というのです。これまでのモダニズムはずっとこの方式だったといいます。
 反キリスト教的世界では、たとえばゼロを発見したインドのように、多様に存在する異質な粒子の隙間を開けて、何となく全体に気持ちいい環境をつくるそう。
 隈氏はこのことをいくつもの例を挙げて紹介され、最近そうした考え方にとらわれ始めていると発言されたのが、印象的でした。
 
 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、建築デザインの世界もこれまで以上に東洋的な建築表現が広がりそう、と思ったことでした。

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2020年9月11日 (金)

ミライロ「Bmaps」の交流イベント オンラインにて開催

   この5日、株式会社ミライロ主催「Bmaps」の交流イベントが、オンラインにて開催されました。
 先月訪問した「ミライロハウス東京」(このブログ2020.8.26参照)は、このミライロが運営する初めてのショップです。
 「Bmaps」とは、ミライロが提供するバリアフリー地図アプリで、障害者や高齢者、ベビーカー利用者、外国人など、多様なユーザーが外出時に求める情報を共有・発信するサービスです。
Img_99981   今回で3回目となる交流イベントは初のオンライン開催となり、「ミライロハウス東京」を基地局に、全国に発信された模様です。(右はミライロハウス東京の受付カウンター)

 株式会社ミライロ 代表取締役社長 垣内 俊哉氏の開会の挨拶の後、パネリストとして東 ちづる氏(俳優 / 一般社団法人Get in touch 理事長)、安藤 美紀氏(特定非営利活動法人MAMIE 理事長)、中村 珍晴氏(神戸学院大学 講師)、原口 淳氏(一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会 講師)が登壇、垣内 氏の進行で座談会が行われました。

 まずコロナ騒動でどのような変化があったのかを語り合います。
 安藤 氏は、聴覚障害者のための補助犬、「聴導犬」の存在を広めることができたといいます。盲導犬は知っていても、意外と聴導犬は知らない人が多いです。
 原口氏は、趣味のブラインドサッカーができなくなり寂しかったと話します。
 中村氏は、ネガティブなのは学生に会えないこと。とはいえオンライン授業での発信はポジティブに受け止めているそう。
 東氏は、俳優業がピンチに陥り、その上この2月にオープンした雑貨ショップが、たちまちコロナで閉店の憂き目にあってしまったとか。しかしオンラインイベントやトークでは障害のある人が参加しやすいなど、無限の発見があったといいます。
 次に在宅勤務で気づいたこととして、安藤 氏は、マスクで口の動きが分からない。オンラインでは必ず手話通訳をつけて欲しいなど。
 さらに多機能トイレや、新幹線などの移動での問題など、健常者ではなかなかわからない話題が上り、大変興味深く視聴しました。

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 上は、最後に見せていただいたグラフィックレコーディングです。Bmaps運営事務局が送ってくれました。素晴らしいレポートですね。
 
 これからもUD(ユニバーサルデザイン)研究に尽くしたいと改めて思っています。

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2020年9月10日 (木)

ウェビナー中川政七氏「すべてはビジョンからはじまる」

 奈良を本拠に「中川政七商店」「遊 中川」「日本市」などの自社ブランドを確立し、業界特化型の経営コンサルティング事業に携わる中川政七商店。先般、代表取締役会長 中川政七氏が登壇するウェビナー「すべてはビジョンからはじまる」が開催されました。
 私は、中川政七商店が主催する「大日本市」のイベント(このブログ2019.9.17付け)や、この8月初めに東京駅の新商業施設「グランスタ東京」にオープンした「中川政七商店 分店 服」(このブログ2020.8.11付け)など、事あるごとに取材しています。
 今回の講演は、経営に効果的なビジョンの実践方法を分かりやすく解説するレクチャーでした。その概要を下記にまとめてご紹介します。

 まずは自己紹介から。同社のビジョン「日本の工芸を元気にする!」の基本は、「経済的自立」+「ものづくりの誇りを取り戻す」ことであり、このために次の二つの考え方、一つは流通の出口を確保し拡大することと、二つ目は経営再生コンサルティングを軸に事業展開しているという。
 流通の出口拡大といっても、そこには限界があると話す。2007年頃から経営再生コンサルティングに取組むようになり、10年で20社、産地の一番星をつくろうと活動を始めた。最初のクライアントが佐賀県波佐見焼のマルヒロで、HASAMIというブランドを立ち上げた。売上より借金が多かった会社だったが、今では優良企業になっている。このように年商1億円以下の赤字企業を再生し、その件数は累計で50社以上にも上るという。
  何故うまくいったのか。それは部分ではなく全体を見たことと分析する。 最初に見るのは決算書で、それを読み解いた上で、どう手をつけていくかを考え実行するのが最大のポイントという。 いわば経営者の家庭教師をやっているような感覚とか。
  Img_41591  販路開拓では「大日本市」と呼んでいる合同展示会(右の写真は2018年夏の会場風景)を開催、毎回約50社が出展し、大いににぎわっている。
 また地域の行政と組んで人材育成講座も開講、11期生まで出ている。講義の最終回は実践型の事業プレゼンで、そこから生まれたブランドで大ヒットしているものはいくつもある。
 とはいえ産地の衰退は予想以上に早い。サプライチェーン崩壊という現実にも直面しているが、立て直しには製造背景の統合が不可欠。しかしそれには投資が要る。投資にプラスアルファの価値を呼び込むために、日本工芸産地協会という業界団体を結成、観光や現地に足を運んでもらえる環境づくりにも力を入れている。同社はここ3~4年、奈良地域のブランディングにも取り組んでいるという。
 
 次に本題のブランディングとビジョンについて。ブランディングとは付加価値をつけることではないときっぱり。付加価値というと、いかに安くてよいモノをつくるかという足し算になり、価格競争しか生まない。その対極にあるのがブランディングで、ブランド価値は掛け算であり、その価値をいかにつくり込んでいくか、意味的価値をつけるのがブランディングであるという。
 この意味的価値や感じ方は時代と共に移り変わっていて、モノがない時代は「安心」を、次にラグジュアリーブランドなどへの「憧れ」の時代、近年はデジタルに需要が移っていることを大前提にした「共感」の時代へ動いている。
 このブランディングを時代変遷とともに読み解くと、「安心」「憧れ」の時代は、商品そのものがブランドの価値を生んでいた。しかし今や「共感」の時代となり、商品だけではない。モノからコトへと言われるように、ブランドのライフスタイル、ストーリーを伝えることで共感を得るのが今の時代のブランディングであるという。商品2~3割、ブランド7~8割の比重で伝えなければいけない時代になっている。
 ところが最近、それがまたしても変化しつつあると語る。共感はもう一つ上のレイヤー、会社そのもののビジョンや思想、つまり「スタンス」へ移っているというのである。ライフスタイルよりは「ライフスタンス」という言葉を10年前くらいから唱えてきたが、それがようやく共感を生む時代になってきているという。
 それではビジョンとは何か。ビジョンとは将来のあるべき姿を描いたものであり、未来の旗印みたいなもの、そこに向かってみんなが熱くなれるものという。中川政七商店が掲げるビジョン「日本の工芸を元気にする!」のように、ビジョンは会社の事業とつながっていて、そこに向かって前進する、実現するというものでないといけないとも。
 さらにビジョンを考える上で重要なのは、CSRよりもCSVと指摘する。企業が追求すべきは、もうかったときに余裕があるから貢献するCSRよりも、本業と社会貢献が混然一体となり、ビジネスに取り組むことと社会貢献が切り離せないCSV (Creating Shared Values)の方という。「利益追求」と「社会貢献」、「自己実現」の3者が重なり合う、その真ん中でピンを打っているようなものがビジョンであると図を使って解説した。
 最後にビジョンはつくった後が重要と、次の3つのポイントを挙げた。一つは、事業との整合性を担保して展開すること。二つ目は、社内での理解で、それを徹底的にやること。社員の自覚が必須という。三つ目は、ビジョンから別の戦略、例えばコンサルティングなどをスタートさせること。実際、ビジョンをかかげなかったらコンサルティングは始まらなかった。それ自体はもうからないが、やり続けたことで、2015年ポーター賞の受賞につながるなど評価され、その後の中川政七商店の戦略的優位を築くことができたという。

 まとめとして、ライフスタイルより一つ上のレイヤーが求められる時代になりつつあること。ビジョンは非常に大切で、掲げているだけでは意味がなく、それに対して真摯に向き合うと意外な効能もあり、それが競争戦略につながる。中川政七商店がこれだけできている理由はビジョンが定まったことと思う、と結んだ。

 これからの時代のブランディングや、ビジョンを実装させるための経営のヒントになるお話が詰まっている、さすがの講演でした。

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2020年9月 9日 (水)

日産アートアワード2020 予言の《ディスリンピック2680》

 第4回「日産アートアワード展」が今、横浜のニッサンパビリオンで22日まで開催されています。展示されているのは5人のファイナリストの作品です。
 会場に入って真っ先に目に飛び込んでくるのが、風間サチコの大作、2.4×6.4メートルに及ぶ巨大な木版画の《ディスリンピック2680》です。 Img_04421
 描かれているのは、神殿のような、あるいは廃墟のようなスタジアムです。スポーツの祭典らしい開会式が行われていて、小さな同じ形をした人間が行進し整列しています。でも無観客状態! Img_04441
 これは「ディスリンピア」、架空のオリンピックです。今年行われるはずだった東京オリンピック/パラリンピックが思い浮かびます。コロナウィルスで延期された現在の姿をまさに予言しているようです。 
 作家は4年前のオリンピック招致が決まった年に、この作品を構想したといいます。イメージしたのは1940年に東京で開かれる予定だったのに、戦時のため中止になった、あの幻のオリンピック。タイトルの2680は、2020年が皇紀2680年にあたるところから名付けたとか。1940年のオリンピックの年は皇紀2600年で、その80年後が今年です。何と言う符号!
 もうアーティストには予言力があるとしか思われません。

Img_04571  上は今回のアワードでグランプリを受賞した作品です。上海出身で東京を拠点に活動している潘逸舟の《where are you now》。日本でよく見かける消波ブロックをモチーフとした新作インスタレーションで、新型コロナの影響で移動が拒否され、消費の物流だけが稼働する現在の状況を、「群」から離れたテトラポッドで表現したといいます。

 この他、下記3つの作品も簡単にご紹介します。
Img_04551  和田永の《無国籍電磁楽団:紀元前》です。これは使われなくなったブラウン管テレビやリール式テープレコーダーなど、古家電を楽器化するアートプロジェクトです。5ヶ国の人々に家電楽器のつくり方と部品を送り、それぞれが現地で古家電を手に入れ、楽器を作成し、初めての演奏に挑戦する映像が流れる作品で、作業している姿も楽しそう。

Img_04491  《無主物》(2020)。《無主物》とは、「所有者のない物」を指す法律用語だそう。これは三原聡一郎による「水」をモチーフにした新作で、空気中の水分子を氷、水、水蒸気の推移として可視化、苔も置かれていて、発生した水を得て会期中に育っていくといいます。木材も水と太陽で育った素材ということで採用、釘を用いていないとか。

Img_04641_20200911073901  複数の彫刻のような作品で構成された、土屋信子の新作《Mute-Echoes Mute-Echo, Breve, Repeat, Creotchet, Key, Rest, Sharp, Quaver》(2020)です。素材はウールやシリコン、鉄の破片、綿、プラスチックなど、身近なものや拾い集めた廃材を組み合わせたものだそう。

 全体に社会問題や環境問題に触れる作品が目立っていました。アートの力を改めて見直した展覧会でした。

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2020年9月 8日 (火)

横浜トリエンナーレ「光の破片をつかまえる」⑶ 第三会場

 P_20200904_104326_vhdr_auto1jpg 横浜トリエンナーレ「光の破片をつかまえる」ではもう一つ、第三会場の日本郵船歴史博物館があります。
  こちらはトリエンナーレのチケットがあれば、無料で会期中はいつでも入場できます。

 
  展示されているのは唯1点、マリアンヌ・ファーミの《アトラス》という新作です。
Img_00721  水摘をイメージした透明アクリルの巨体な立体によるインスタレーションで、光を反射して、アクリルに玉虫のような色彩やゴールド、シルバーといった色がうっすらと付いているのが美しい!

P_20200904_103345_vhdr_auto1  ファーミはエジプトのアレキサンドリア出身で、「水」にまつわる歴史を創造的に再解釈して作品化するアーティストだそう。
 エジプトの海と日本の海は水でつながっています。だからでしょうか。周囲をとりまく歴史的な船の展示と不思議に似合っていると思いました。

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2020年9月 7日 (月)

横浜トリエンナーレ「光の破片をつかまえる」⑵ プロット48

  横浜トリエンナーレ2020の第二会場であるプロット48を訪れました。約20人のアーティストの作品が展示されています。 

 私が注目した作品をご紹介します。

P_20200822_160636_vhdr_auto  玄関前には、大きな木があり、自転車のベルが吊り下がっています。これはデニス・タン(陳文偉)の《自転車ベルの件》というインスタレーション。
 ベルを鳴らして、館内に入ります。

P_20200822_172331_vhdr_auto1  ナイジェリアを拠点に活動するラヒマ・ガンボの作品です。《タツニヤ(物語)》と題された映像は、過激派組織ボコ・ハラムの脅威を生きのびた少女たちが再び教育の機会を得て、学校で遊び心を取り戻していく様子をとらえたストーリーです。希望の光が灯ります。

Img_98271  台湾のアリュアーイ・プリダン(武玉玲)の《生命軸》。鮮やかな布製のソフト・スカルプチャーです。「布を織る」「ビーズを縫い付ける」といった営みを連綿と続けてきた部族の女性たちの脈動が伝わってきます。

P_20200822_171944_vhdr_auto1  ドイツのアンドレアス・グライナーの《弦より古生物へ》は、ピアノの弦に反応して発光するプランクトン(夜光虫)を鑑賞する体験型の作品です。プランクトンは海水が入ったプラスティックボトルの中にいるのです。ピアノの音が強くなる度に、光を放ちます。か細い光でだんだん反応しなくなっていきました。プランクトンもお疲れだったのかな。
 真っ暗闇の中、15分間の起立状態はちょっときついと思ったのですが、終わってみれば意外と短かかったです。

P_20200822_162150_vhdr_auto1  東京で活動するオーストラリア出身のエレナ・ノックスによる《ヴォルカナ・ブレインストーム》。拘束具などが展示されている刺激的な空間にギョ!

P_20200822_173411_vhdr_auto  ベトナムのハノイを拠点とするグループ、ファーミング・アーキテクツの《Architecture is a miracle universe》という作品。「都市に緑の種をまく農家のような建築」を活動のコンセプトにしているといいます。木の枠組みの間には、グリーンが置かれ、何と金魚が泳いでいる水槽もあって、爽やかムード満載でした。

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2020年9月 6日 (日)

横浜トリエンナーレ「光の破片をつかまえる」⑴ 横浜美術館

 先日、横浜トリエンナーレ2020に行ってきました。(3年前にも来たことが思い出されます。)コロナ禍で開催されている初の大規模な現代アートの国際展です。参加者は30か国から65組67人に上っています。

 20年目を迎えた今年、初めて海外からアーティスティック・ディレクターを招聘したそうで、それがインドの3人のアーティスト集団、「ラクス・メディア・コレクティブ」です。彼らは来日が叶わなかったのですが、「AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」をテーマに、光の破片をつかまえて、次のステップへ歩むきっかけとなるようにと、企画したといいます。「自分で考え、光を発し、人をいたわり、共に生き、『毒』とも共存する」のコンセプトは、私たちに希望の光ととともに毒をも受け入れよ、ということでしょう。コロナの時代を生きる知恵となる考え方ですね。
 
 作品は横浜美術館とプロット48を中心に展示されています。まずはメイン会場の横浜美術館から見ていきましょう。
 
P_20200822_115405_vhdr_auto1  入口です。建物全体にブルーの幕が張ってあって、工事中なのかと思いましたら、そうではなくてそれも立派なアート、クロアチアのイヴァナ・フランケの《予期せぬ共鳴》と名付けられた作品でした。
 
P_20200822_115629_vhdr_auto1  吹き抜けのエントランスホールでは、巨大なモビールが目を惹きます。ニック・ケイヴの《回転する森》という作品です。
 キラキラ光って揺れているのは、アメリカの住宅の庭などによく見られる「ガーデン・ウインド・スピナー」と呼ばれる装飾だそう。スピナーをよく見るとピースマークもありますが、ピストルや弾丸の形をしたちょっと怖いモチーフのものも含まれています。美しくきらめく光の中には、怖い毒もある、そんな現代社会を映し出しているようです。

P_20200822_135241_vhdr_auto1  「えっ、これ何?」と思うような巨大な作品は、スペインのエヴァ・ファブレガスの《ポンピング》。人間の腸のかたちをしていて、シリコンやゴムなどでつくられているのか、弾力性があってやわらかい。私たちは腸内フローラと共生しながら生きているなど、意識が広がります。

P_20200822_135543_vhdr_auto1  突然出現するのが、体操競技場。ロシアのタウス・マハチェヴァの《目標の定量的無限性》。体操器具をよく見ると、鞍馬の持ち手は一つしかありませんし、平行棒は斜めになっています。耳を澄ますと、響いてくるのは私たちが日常生活でしばしば聞く、人の行動を制御するための抑圧的なフレーズ、「どうしてこんなことができないの?」とか、「もっと高く、もっと速く」といった言葉です。
 ジムで展開されるパフォーマンスから、現代社会における身体、規律、統制について問いを投げかける印象的な作品です。
 
P_20200822_140047_vhdr_auto1  スエーデンのインゲラ・イルマンによる大きな立体作品《ジャイアント・ホグウィード》です。ジャイアント・ホグウィードとは、花は美しいけれども、光が当たると毒をつくるという中央アジア原産の植物です。これはその姿を巨大化させたインスタレーションで、美しいのにかぶれてしまう毒との共生を考えさせられます。

P_20200822_120008_vhdr_auto1  新井 卓の《千人針》。一枚の布に千人の女の人が赤糸で一針ずつ刺して縫い玉をつくって出征兵士に贈ったものです。その縫い目を撮影した1,000枚のダゲレオタイプの写真を壁面いっぱいに並べて展示。戦争という暗い影の中に漂う祈りの気持ちを感じます。
 
P_20200822_124627_vhdr_auto1  ポーランド出身ズザ・ゴリンスカの《ランアップ》。赤いカーペットの段は硬いかと思ったら、ぐにゃっとしていてやわらかい。見た目と中身のギャップに戸惑います。

P_20200822_140608_vhdr_auto1  ツェリン・シェルパの《54の智慧と慈悲》。極彩色のチベット仏教絵画を54のパズルに分解。完璧に対する疑念を表現しているようです。
 
P_20200822_142800_vhdr_auto1  竹村 京の《修復されたY.N.のコーヒーカップ》。壊れた陶器の破損部分を絹糸で縫い直す「修復シリーズ」の一つ。カップを覆っている透ける薄地には光る糸で刺繍が施されています。この光る糸は、オワンクラゲの緑色蛍光タンパク質を創る遺伝子を用いて開発された蛍光シルクだそう。思い出の品と過ごした過去の時間が蘇ります。
 
P_20200822_143402_vhdr_auto1  1階ホールの階段上に設置されている大作は、青野文昭の《なおす・代用・合体・侵入・連置》。仙台出身のこの作家は、「なおす」という行為を主題に、使い古された家具や浜辺の漂着物などの欠損箇所から想像を膨らませ、異なるモノと結合させながら創造的復元を行っているといいます。
 これは東日本大震災の体験を新しいかたちに生まれ変わらせたというインスタレーションです。温かな家族があったことが思われ、しばし当時を偲びました。

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2020年9月 5日 (土)

シャルロット・デュマの展覧会「ベゾアール(結石)」

 今、銀座 メゾンエルメス フォーラムでシャルロット・デュマの展覧会「ベゾアール(結石)」が開催されています。
 シャルロット・デュマはアムステルダムを拠点に活動する写真家、アーティストです。動物と人の関係性をテーマに、動物たちを被写体としたポートレイト作品を発表しているといいます。ベゾアール(結石)とは動物の胃や腸の中に形成される凝固物のことだそう。古来お守りや神秘的な想像と結びついてきた石なのですね。
 デュマは2014年に訪日して以来、現存する在来馬を撮影し続けているそう。本展では、馬の撮影を通して発見した馬と関連する品々が展示されています。

 会場を彩るのはたくさんの藍染の布です。Img_02031  さわやかなブルーの布が垂れ下がる中で、馬と人間の関わりを再考するビデオが上映されています。
 Img_02101   馬型の埴輪です。

Img_02181  手前は馬沓(うまぐつ)です。馬の足のツメを守るために使われたわらで作ったくつです。
 Img_02151_20200905200001 馬の腹に巻く帯です。
 沖縄在来の草木から抽出した色素で染められたものとか。
 
 この他、写真は撮れませんでしたが、馬の骨もありました。
 神聖な趣を感じます。

 馬好きならきっとたまらないと思う、ステキな写真やオブジェが多数。

 ゆったりとした空間構成も気持ちいいです。
 会期は11月29日まで。

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2020年9月 4日 (金)

古賀学個展「Buoyancy ボヤンシー | 浮力」展

 アーティストで映像作家の古賀学さんの個展「Buoyancy ボヤンシー | 浮力」展が、六本木のCLEAR GALLERY TOKYOで、26日まで開催中です。
 女性がバスタブに潜る新作「Izumi」にはビックリ!水面が揺らいでいる立体作品です。「液晶ディスプレイにあわせてバスタブを小型化」することを閃き、1/5スケールで再現したとか。Img_02381jpg
Img_02391  モデルの女性は水泳もダイビングも経験豊富な方だそう。

 飛び込み台から被写体と一緒にダイビングをして、その瞬間をとらえた作品も驚きです。どうやって撮影したのか、思わず肢体の美しさを見つめてしまいます。
 
 今夏の猛暑をひと時、忘れさせる展覧会でした。

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2020年9月 3日 (木)

第22回亀倉雄策賞 受賞記念展「菊地敦己2020」

 コロナ禍で延期されていた亀倉雄策賞受賞記念展「菊地敦己2020」が、この2日まで東京・銀座のクリエーションギャラリーG8で開催されていました。
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  菊地敦己氏は、書籍、雑誌、パッケージなど、数々の優れたデザイImg_99412jpg ンで知られるグラフィックデザイナーです。
   ミナ ペルホネンやサリー・スコットなどファッションブランドのアートディレクションも手掛けています。
  シンプルなカラフルで美しい色使いが印象的です。
 
 今回、第22回亀倉雄策賞を受賞した作品は、『野蛮と洗練 加守田章二の陶芸』の図録のブックデザインです。
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  菊地氏のこれまでの作品からすると、意外にも渋い感じがしますが、50歳を目前に夭折した現代陶芸作家の短くも濃い作陶人生の変遷をおさめた図録にふさわしい仕上がりです。
   この陶芸家の作品展が昨年の4月~7月、菊池寛実記念 智美術館が開かれたときに出版されたもので、選考委員からは「作品集というものは大仰になりがちだが、加守田章二という人物がそのまま伝わってくる」といった称賛の声が上がったといいます。 
 本に魂(大袈裟かな)を与えるデザイナーの力ってほんとうにすばらしい! 改めて賛辞を送りたいと思いました。

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2020年9月 2日 (水)

オンライン会議用部屋着「上はビジネス、下はリラックス」

 コロナ危機でテレワークが中心になると、服装も変化します。仕事着も全身ビジネスウェアである必要はないわけです。
 そこで今、話題を集めているのが「上はビジネス、下はリラックス」の部屋着です。
  1_20200901173201  WFH Jammiesがオンライン会議に対応するために開発したもので、在宅でリラックスして仕事しつつ、ビデオ会議では相手に対してフォーマルに見せる事ができる仕様になっています。発案したのは社内デザイナーの伊藤太一氏、服のデザインから製造までを担当したのは、ファッションブランドLOKITHO(ロキト)のデザイナー、木村晶彦氏。ちなみにWFHはワーク・フロム・ホーム(Work From Home)の略です。
 
 この春ネットでこのアイテムを知り、気になっていた私。最近、この商品を東京・六本木のNY発セレクトショップ「NEW STAND TOKYO」で見つけました。上はコットンのシャツ生地で下はジャージです。シンプルでシックに仕上がっています。
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Img_02451jpg  このショップは7月末にオープンしたばかりだそうですが、このシャツは大人気で、よく売れているといいます。
 海外からの問い合わせも多いそうです。
 価格は9,900円(税込み)。
 
 新しい生活様式「ニューノーマル」を支える仕事着のアイデアとして注目です。

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2020年9月 1日 (火)

「ワコール・メゾン」“住みたくなるランジェリーストア”

 「ワコール・メゾン(WACOAL MAISON)」は、ワコールが8月26日、東京・銀座のギンザ・シックスにオープンした新店舗です。
Img_01941  邸宅のような構えの外観で、ちょっとどきどきします。

Img_01951  “住みたくなるランジェリーストア” をコンセプトにしているとあって、家でくつろぎながらインナーウェアを選ぶ環境が整っているようです。居心地よさそうなリビングや書斎のような空間が設えられていました。

  並んでいるのは「ワコールディア」や「トレフル」、「サルート」、「ハンロ」といったプレステージブランドです。今後はサイズオーダーブラの「デューブルベ」も導入の予定だそう。

Img_01971  上は「ハンロ」です。選りすぐりのコットンやテンセルなど最上質の素材使いで知られるスイスの高級アンダーウエアブランドです。
 
 試着室はバスルームをイメージしたつくりで、カップルで入れるというほど広い。
 1_20200901104601 試着にあたっては「3Dスマート&トライ(smart&try)」と呼ばれる新しいサービスを受けられるといいます。
  内部にはワコール独自の3Dボディスキャナーが設置されていて、前に立つだけで全身を5秒で計測。客はそのデータを基にAI(人工知能)と会話しながら商品をチェックしたり、プロに下着の選び方をアドバイスしてもらったり。
 
 自分にフィットしたランジェリーを選ぶのってなかなか難しいものです。でもここに来れば、きっと合うものが見つかりそう。リラックスした雰囲気で、新技術によるカウンセリングもあるのですから。
 ここはそんな新しいカタチのランジェリーショップです。

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