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2020年8月19日 (水)

2.5次流通 「アップサイクルとITビジネス」の未来を語る

 サステナビリティが叫ばれる中、「2.5次流通」という新しいビジネスモデルが誕生しています。その代表的なブランドが古着のアップサイクルを手掛ける「SREU(スリュー)」です。先般、伊藤忠インタラクティブ株式会社主催、FashionStudies?共催により、SREUディレクター 米田年範氏とRepro(リプロ)株式会社代表取締役 平田祐介氏、モデレーターに朝日インタラクティブ株式会社CNET Japan編集長 藤井 涼氏が登壇するウェビナーが開催されました。「2.5次流通 アップサイクルとITビジネス」と題して、その未来が語られ、大変興味深い内容でした。下記、その概容をまとめてみました。

 まずSREUとReproの企業紹介から。
 「SREU」は、米田氏と植木沙織デザイナーが手がける、1点ものの既製服をコンセプトにシーズンテーマを設けないブランドです。前身は2016年にスタートしたFURUGI-NI-LACE(フルギニレース)で、文字通り、古着と女子たちの好きなレースを組み合わせた服づくりを行っていたといいます。
 2017年にパリでの展示会に出展し、2018年に渋谷ランウェイに参加します。
 2019年にサステナビリティへの流れと海外展開を踏まえて、ブランド名を「SREU」へ改称。名称はSustainabilityとRecycleとUpcycleを組み合わせた造語だそう。リメイクという軸は変えずに、アップサイクルの要素を加え、サステナブルな服づくりを目指して、リブランディングし、東コレに参加しました。
Img_97981_20200820193701 
 上の写真は、そのときセルリアンタワー東急ホテルのラウンジで開催したファッションショーで撮影したもの。(このブログ2019.11.9付け参照)
 2020年春も東コレに参加予定でしたが、コロナ禍で中止となり、その代わりにショー会場に予定していたワールド青山ビル前で、マスク300枚を通行人に配布。(このことはいろいろなメディアで取り上げられていましたね。)手作りのリメイクマスクで、5月までに2,000枚以上つくったそうです。販売はせず、医療従事者への支援やノベルティに利用されたといいます。
 「Repro」は、2014年に平田氏が3度目の起業で創業した、B2C企業向けマーケティングソリューション サービスを開発し運用する会社であるとのこと。WEBサイトを訪れるユーザーの行動データや、ユーザーの属性データを簡単に収集できるようにし、データを活用してユーザー一人ひとりに企業がメッセージを送れるプラットフォームを展開しているといいます。今や国内ではトップシェア、世界66か国7,500ものサービスを築けているそうです。

 次に2.5次流通とは何か、です。米田氏は、「一度流通したモノの再流通」と定義します。古着屋などで2次流通しているものからオーバーフローしているものに価値を与え、新たな商品として流通させることであり、要らなくなったものをデザインして、もう一度価値をつけて販売する、それが2.5次流通であると。
 その事例として、SREU×REPROの協業を挙げました。REPROの型落ちした企業TシャツをSREUがリメイクして2020春夏コレクションで発表し、GMOペパボのハンドメイドサービス、MINNE(ミンネ)で発売するビジネスです。
 近年、プロモーション用につくったオリジナルTシャツの在庫を抱える企業は少なくないようです。旧作をリメイクして新しい作品として活用することは、衣服ロス問題の解消につながりますし、企業のCSRの一環になります。
 こう考えると「サステナブル、アップサイクル」を目的とするブランドにとって、良いことばかりのようですが、そこには次のような課題があると、米田氏は指摘します。
 1つは数年先へ向けて、①100%環境負荷削減でのプロダクト展開、②リメイクがベースの1点ものに対応した量産システムの確立、③他社との取り組みです。
 もう1つはコロナ禍を経た直近の課題で、①オンライン展開、②2021秋冬コレクションの発表方法、③展示会の方式を模索することといいます。
 
 これらをどのように解決していくのか、IT企業、最新技術が力を発揮してくれそうです。
 藤井氏は、今注目されている3つの技術を紹介しました。
 ⑴ 世界の工場をシェアする「Any Factoty」。世界のアパレル生産工場とインフルエンサーや企業をつなぐ、ものづくりのプラットフォームです。アジア各国にある200を超える生産工場と連携していて、誰もが作りたいものを簡単に発注できるそうです。米田氏も利用してみたいと話していました。
 ⑵ 触れる動画「TIG(ティグ)」。動画内のコンテンツにタップするとウエブサイトやECサイトに即アクセスできるサービスです。気になる箇所に触れるだけでその情報が得られますので、検索要らず。ヒートマップというユーザー行動を“見える化” するツールもプレゼン。東京ガールズコレクションやザ・ノースフェイスなども使っているとのこと。動画で、人がどこに反応したかが分かるとあって、導入が増えそう。米田氏もかなり乗り気な様子でした。
 ⑶ 意識を瞬間移動させる「アバターインavatar-in」。
 ANAグループが開発したもの(このブログ2020.1.4付け参照)で、これまで夢だった“テレポーテーション”を実現するものです。専用の移動式デバイスにログインすると、遠隔で操作や会話が可能になります。蔦屋家電ではコロナ禍の一日、本のコンシェルジュサービスを実施。自宅に居ながら本選びする体験を楽しんだといいます。
 ファッションも1点ものの制作が、デザイナーと直接対話しながら、簡単につくれそうですね。
 
 最後は、2.5次流通×ITの未来についての座談会となりました。デジタル化が進行する中、2.5次流通には様々な可能性があるようです。
 中でもおもしろかったのが、古着の調達に関する話でした。古着の収集は現在、海外との往来ができないとあって、困難になっているそう。その代わり国内では断捨離する人が増えて、古着回収業者がパンクするほど集まったといいます。アパレルもAI在庫管理が進むと廃棄する服の量は減少します。しかし廃棄物ゼロにはなりませんから、2.5次流通が消えることはないでしょう。ベーシックな別ブランドをつくって回収し、新ラインをつくり、その売れ残りを材料にSERUにする、との米田氏の提案も一理ありますね。
 さらにシフトせざるを得ないのが、展示会のオンライン化です。ネックは新規顧客を取り込めないことや、質感やサイズ感を伝えにくいこと。とくにレディスは形がイレギュラーなものが多く、ネットでどう対応するかなどの話題も出ました。
 コロナ禍が続く不安な時代ですが、確かに言えることは2.5次流通がまさにサステナブルな業態であること。米田さんに、大いに期待しています。

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