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2020年7月16日 (木)

パリ・オートクチュール⑻ まとめ

 2020/21秋冬オートクチュールコレクションが8日、3日間の幕を閉じました。参加した34のメゾンの新作をオンラインで配信し、デジタル時代の到来を実感します。
 本来ならフィジカルなランウェイショーとなり、限られたバイヤーや顧客、プレスのみが招待されるはずでした。それが新型コロナの影響で、世界中誰もがリアルタイムで視聴することができたのです。私も楽しませていただきました。
 デジタルに限界があることは確かです。しかしブランドの世界観やストーリーを伝えるのには適していると思われます。登場するモデル数も少なくて、わずか1点というブランドもありました。でも少ないからこそ、そのブランドのコンセプトをより強くアピールできたのではないでしょうか。無観客ショーというとクラシカルで定番的スタイルと思われがちですが、このブログでも既に取り上げたジャンバチスタ・ヴァリ(Giambattista Valli)やヴィクター&ロルフ(Victor&Rolf)、イリス・ヴァン・ヘルペン(Iris Van Herpen)には心を打つものがありました。

 以下は今回オンラインだったからこその新しい発表方式です。興味深く思ったものをご紹介します。
 まず一つは、発表の場所を問わないことです。例えばトップを飾ったスキャパレリ(SCHIAPARELLI)です。

 デザイナーは昨年春に新アーティスティック・ディレクターとして就任したアメリカ人デザイナーのダニエル・ローズベリー(Daniel Roseberry)で、ニューヨーク在住と思われます。映像は、デザイナーがニューヨークのセントラルパークでデザイン画を描いているシーンを映し出していました。無理もありません。コロナの移動制限でパリのアトリエへ行くことができなかったのですから。でもこんな風にデジタルを使えば、どこにいても、またいつでもパリとつながって仕事ができます。

  二つ目は、ムービーです。娯楽映画でも見ているようなワクワク感、ドキドキ感のあるストーリーで魅せられます。マッテオ・ガロンヌ監督がデザイナーのマリア・グラツィア・キウリの依頼で、おとぎ話のような世界をイメージに落とし込んだディオール(このブログ2020.7.10付け参照)、ギリシヤ神話の「エレクトラ」をテーマに母と娘の関係を象徴するフィルム作品を見せたアントニオ・グリマルディ(Antonio Grimaldi)、医師にフィーチャーしたコレクションを見せたフランク・ソルビエ(FRANCK SORBIER)も。

 上は、フランク・ソルビエのオートクチュールコレクションです。
 
 ペストが流行した時代、医師は鳥を連想させる長いくちばしを持つマスクをつけて、木の杖を使って聴診したそうです。自由の女神像を縛って拘束するシーンもあり、今の新型コロナを連想させる、ちょっとホラーなショートムービーです。

 三つ目は、制作のプロセスを見せる動画です。ジュリアン・フールニエ(Julien Fournier)はアトリエを公開、スケッチから最終製品に至るまでオートクチュールコレクションの制作過程を紹介しています。普段なら見れないモードの舞台裏に興味津々です。

 この他、多々みられたのが、ミュージックビデオ(MTV)で、オリヴィエ・ティスケンスによるアザロ・クチュール(AZZARO COUTURE)や、既にこのブログ2020.7.13付けに掲載したシャネル(CHANEL)など。
 さらにコレクションのイメージビデオでは、自然への回帰を謳うエリーサーブ(ELIE SAAB)、サバンナと題して動物をモチーフにしたグオ・ペイ(GUO PEI)、蝶々が飛び交うラフル・ミシュラ(Rahul Mishra)も注目です。

 最後に、期待したメゾン・マルジェラ(MAISON MARGIELA)とヴァレンティノ(VALENTINO)は、ティーザーの予告だけで少しがっかり。ヴァレンティノは7月21日にローマでのライブ・パフォーマンスを発表するとのことです。

 初めてデジタルでの発表を余儀なくされたオートクチュールコレクションでしたが、やってみなければわかりません。そのメリットもいろいろ見つかったと思います。今後はこんな風にリアルにデジタルを上手に採り入れたコレクションが増えていくことになるのでしょう。

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