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2020年6月12日 (金)

アクティブウェアにテクニカルな天然繊維―コットン調査から

 米国でもコロナウイルス感染拡大防止によりスポーツジムやヨガスタジオなどのドアが閉じ、フィットネスファンは自宅でのエクササイズに励むようになったといいます。再開したとはいえ、アクティブウェアを含めた健康関連ビジネスが以前のような状態に戻るかどうかは不透明です。
 この危機を乗り越えるには、消費者が何を求めているのか、その動きをみていく必要があるでしょう。コットンの消費動向を調査しているコットンライフスタイルモニターに、「消費者ニーズは天然繊維でパフォーマンス性の高いテクニカルなアクティブウェアにある」との興味深いレポートが掲載されています。この概要をまとめてみました。
  Img_80281                                (上はナイキショップ)
 ニューヨーク州ポートワシントンに拠点を置く市場調査会社NPDグループによると、米国の大人用アクティブウェア業界の2019年の売上高は503億ドルで、男性用が市場シェアの51%を占めているのに対し、女性用は49%です。成長率もメンズ市場で2%と、3年連続で女性を上回っています。女性向けアクティブウェアの売上高は2018年比で横ばいです。 
 これについて同グループのマット・パウエル上級副社長兼スポーツ業界アドバイザーは「女性用アスレチックアパレル市場は、スポーツ業界の最大の失敗であると同時に、最大のチャンスでもあり、そのことに変わりはない」といいます。そして「苦戦を続ける伝統的なアスレチックブランドが成功するためには、女性向け製品に多くのリソースを投入し、誠実なつながりを作り、女性たちがどこで買い物をしているのかを理解することが不可欠で、今こそ今日の女性に同調しないアクティブウェアの小売モデルは払拭されるべき」と語っています。
 
 パウエル氏がこのように述べたのはウイルス感染爆発が起こる前でした。その後全国的な閉鎖が起こり、米国商務省の発表によると4月の小売売上高は前年比21%減少となり、衣料品・服飾雑貨では非店舗(eコマース)では昨年同期比22%増加したものの、店舗での売上は2019年4月に比べ89%の大幅減になったといいます。

 こうした壊滅的損失から立ち直るために、為すべきことは消費者の嗜好に訴えかけることです。2020年コットンライフスタイルモニター調査によると、消費者の65%が衣服購入の際、機能性が重要と答えています。上位に挙げられているのが防縮性(67%)、防臭性(66%)、耐久性の向上(61%)。次いで、汗を隠す機能(60%)、水分管理(58%)、防汚性(56%)、撥水性(51%)です。 
 またもう一つ、消費者が追求しているのは、健康によいというだけでなく、地球にも優しいことです。モニター調査によると、消費者の3分の1近く(30%、2018年の17%から増加)が、合成繊維の衣服のマイクロファイバーが地球の海や水を汚染しているという懸念し、3分の2近くの人々が(62パーセント)、マイクロファイバー汚染のために、服に合成繊維を使用しているブランドや小売店が気になっていると答えています。ブランドは、化合繊に手を伸ばすのではなく、10人に8人近くの買い物客(78%)が「お気に入りはコットン」と答えていることを考慮すべきでしょう。買い物客の大多数(51%)は、価格が高くてもフィットネスウェアに綿リッチ混を選ぶと回答しています。

 NPDグループは、売上が上昇傾向にあるブランドに、チャンピオン(Champion)とヘインズ(Hanes)の二つを挙げています。いずれもウェブサイトを見ると「ベストセラー」として綿や綿を多く含むアイテムが大量に掲載されていて印象的です。
 
 綿素材は今や技術が進化し、消費者が求める性能を備えたアクティブウェアと、消費者が好む綿の着心地の良さを両立させることが可能となっているのです。
 
 ここからはコットンインコーポレイテッド社が開発した革新的な技術の一端を紹介します。
 「タフ コットン(TOUGH COTTON)」は耐久性が高く、摩耗やシワに強い特徴を持っていますし、「トランスドライ(TransDRY)」は高性能の水分管理技術で特許を取得しています。防臭・抗菌技術を搭載したものも数多くあります。
 またピュアプレス(PUREPRESS)」という、衣類をシワになりにくくする耐久性のある仕上げや、アーチロマ社とのコラボレーションから生まれた「アースカラー(EarthColors)」、これはテキスタイルの染色に責任あるソリューションを提供しています。
 中でも画期的なのが、「ナノテックス(Nanotex)」と共同開発した「ドライインサイド(DRY INSIDE)」です。これは湿気を身体から遠ざけ、生地表面に拡散させる湿気管理システムで、ポリエステル100%などの合成繊維と比べても遜色ない、競合他社よりも優れた加工といいます。さらにスパンデックスを使用せずにコットンアパレルに快適なストレッチ性を与える「ナチュラルストレッチ(NATURAL STRETCH)」も注目です。

 最後は、前述のNPDグループのパウエル氏の言葉で締め括りましょう。「米国のように成熟したアクティブウェア市場が成長するには新鮮なアプローチが必要です。市場全体を成長させる鍵は、男性とほぼ同じ市場シェアを持ちながら、潜在能力を十分に発揮できていない女性市場にあります。その“ルネッサンス”の機会はテクニカルな天然繊維でつくられるでしょう」。

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