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2020年6月 8日 (月)

西欧と日本のマスク文化を考える

 何故日本はコロナによる死者数が少ないのか、その理由の一つとして挙げられるのが日本のマスク文化です。日本では花粉症やインフルエンザ対策で当たり前のようにマスクをする習慣が根付いています。しかし西欧ではマスクの慣習は奇異に映るようで、当初「マスクは無意味」などと言われてきました。それが今では外出時のマスクの装着が推奨されるようになり、フランスでは交通機関利用時のマスク着用が義務づけられているといいます。
 日本は特別な罰則もないのにほとんどの人がマスクを着けているのに対し、フランスではそう言われても守らない人が半分くらいいるそうです。
 そこには明らかに文化の違いがあるようです。
 
Img_80071  フランスのマダムフィガロ誌(5月15-22日号)にマスク特集があり、セレブたちがマスク姿で登場しています。社会学者のミシェル・マフェゾーリ(MICHEL MAFFESOLI)氏とのインタビュー記事も掲載されていて、同氏が「マスク着用はゲームでありチャレンジである」と語っているのが興味深かったです。
 
 フランスと日本、そのマスク文化の相違はどこから来ているのか、歴史を調べてみました。
 日本衛生材料工業連合会の資料によると、日本でマスクがつくられたのは明治初期で、主に炭鉱労働者の粉塵除けとして用いられたようです。それが広く普及するようになったのは大正時代で、スペイン風邪の大流行がきっかけだったといいます。日本のマスクは衛生という観点に立った実用品という位置づけです。
 西欧では図版などの記録を見ると、16世紀から18世紀にかけて上流階級の女性たちはマスクを日常的に身に着けています。暑さ寒さを防ぐ効用もあったといいますが、それ以上にその下に隠れている美しい顔が、異性の好奇心をそそったようです。マスクは魅惑的な女性を演出するための欠かせない服飾品であり、身分の高い女性であることの証でもあったのです。しかし19世紀になり民主化の波が押し寄せるとともにマスクは廃れ、現在ではベネチアのカーニバルなど限られた場面でのみ使用されています。 

 マスクとは、すなわち仮面です。仮面というと日本では能楽を始めとする演劇などで見られますが、一般的ではありません。でも仮面ではなくマスクと表現すると、衛生観念の強い日本では予防や他人への配慮もあって、ごく普通に着けることができるのでしょう。
 ところが西欧でマスクは、かつて独特のモードでした。王侯貴族のマスク風俗は根強く存在しているといいます。顔を隠す妖しい魅力をファッションデザイナーがコレクションで取り上げることもよくあります。コロナ以前は異質な存在とみられていたマスクですが、感染爆発が起こり、そんなことも言っていられなくなったようです。
 WHOが布マスクの効果を否定しなかったこともあり、西欧では日本と異なり、布マスクの使用が多く見られます。スカーフやバンダナなどで鼻と口を覆うのもよいとのことで、マスクは、一躍おしゃれなアクセサリーに昇格した模様です。

 マスクは単に健康を保つ機能があるというだけではなく、コミュニケーションの手段でもある---。そう思うようになって、改めて、上記マフェゾーリ氏の言葉「マスク着用はゲームでありチャレンジである」に共感したことでした。

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