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2020年5月22日 (金)

ウエビナー「逆境の今アパレル企業が戦略投資する意味」

 コロナ危機で先が見通せない昨今の状況です。先日、アパレルの名門、レナウンの経営破綻のニュースも飛び込んできました。
 こうした中、セントリックソフトウェア主催(メディア協力 繊研新聞社)「逆境の今アパレル企業が戦略投資する意味」と題したウエビナーを拝聴しました。
Img_50431  セントリックソフトウェアはシリコンバレーを本拠地に、多くの企業のデジタルトランスフォーメーションをサポートしている企業です。ルイヴィトンを始め世界をリードする企業やブランドが同社のPLM(Product Lifecycle Managementの略で、「製品ライフサイクル管理」)を活用しているといいます。
 パネリストはこのセントリックソフトウェアコマーシャルディレクター 荒井基宏氏、戦略コンサルタント / ターンアラウンドマネージャー 河合拓氏、繊研新聞社 編集局長 矢野剛の3氏です。ビジネス再開の今だからこそ、強いIT基盤を築くためにITへの戦略投資が必要と、投資の重要性やリモート環境の充実、セントリックPLMソリューション導入のメリットなどが議論されました。
 
 まずは日本のファッションビジネスの現状です。矢野氏が90年代以降の構造的問題を解説しました。SPAモデルが進出し、次第にOEMが増加して企画までもが組み込まれてODMとなり、生産分野がブラックボックス化。そこから価格競争が起こり、近年それが加速して価格競争による過剰在庫の悪循環が進んでいるといいます。
 河合氏はそれに加えて、生産現場が20年前と変わっていないことを指摘。工場は依然として紙と手でコミュニケーションしているのに対し、販売の方はAIを採り入れるなど進化し、今や化石時代と21世紀が一緒にバリューチェーンを形成している状況になっているとのこと。SPAはモノをつくって売る業態ですが、メンタル的には売場とつくり手が分断されていて、デジタル化は売場に集中。その結果、つくる側は分業でやってきたこともあり、デジタリゼーションから取り残されたといいます。これからは横のデジタル化が最後のブルーオーシャンになってくるとも。 
 次に基幹システムへの投資についてです。コロナ禍でアパレルは疲弊を余儀なくされ、DtoCでセントリックPLMを導入しているところもあるとのことですが、しかし新規投資はアパレル、とくに百貨店アパレルにとって、資金的にも人材的にもかなり困難のようです。
 荒井氏は、PLMの受注状況を問われて、欧米や中国企業は旺盛といいます。なぜかというと売上至上主義から利益至上主義に変化しているからで、このためよいモノをつくることが必須、つまり余剰生産しない、余剰在庫をつくらない製品開発が追求されているのだとか。モノづくりの過程で余分なコストを極力削減することが求められているのてすね。
 セントリックPLMは効率よく品質のよいモノをつくるソリューション。欧米や中国企業が導入している理由は、①よいモノをつくる仕組みを構築したい、②すべてがストップしているこの時期だからこそ、再開に向けた足場固めをしたい。③細分化したEC市場のニーズに応えたいから。昨今は工場とブランドがデジタルでやり取りするのがトレンドで、セントリックPLMならこれらすべてが可能。そこで工場とブランドのワンセットでの購入が多いといいます。
 さらに話題はアフターコロナへ。繊研に「7つの予言」という論考を書かれた河合氏は、今年をTOB元年と位置付けたそう。金融主導で業界再編が起こる可能性が高く、こういうときはアフターコロナにビフォーコロナを引きずるのか、あるいは自分自身が変わるのか、変わるとしたらどう変わるのかという絵をしっかりと持っておくことが大切だといいます。
 荒井氏は、最近のECの売上を見て通常とは異なるものが売れているといい、変わるトレンドに素早く対応するための武器が必要と強調。また消費回復までに少なくとも1~2年はかかるとの見通しを示し、マーケットの変化をキャッチアップできる体制を整えておかないと苦しくなると予想します。セントリックPLMは期間を短縮化できるのも強みで、需要期にできる限り近い段階で消費者に商品を提供できるのも特徴といいます。
 最後に、アパレルがこれから競争力を得るためにはどうすればよいのか、という質問が出ました。
 矢野氏は、アパレル本来の企画力やデザインの部分を再構築しないといけない。多様な付帯業務はコンピュータに任せて効率化を図ることを提案。
 河合氏は、デジタル化の行きつく先は原点回帰。人間がどう差別化していくかを考えること、これが競争を優位にする鍵になると述べ、商売の原点に戻すことがデジタルの本質とコメント。
 荒井氏は、クリエーションもリモートワークでできるようになり、クリエイティブかつ差別化された製品開発に、PLMはますます重要になってくると、語ってウエブを閉じました。

 業界の多くの方が、このオンラインパネルディスカッションに参加され、刺激されたものと思います。有意義な時間となりました。

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