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2020年5月12日 (火)

「世界の水を守るために天然繊維を使用してください!」

 海洋のマイクロプラスチック汚染が問題視されています。コロナ騒動に掻き消されましたが、この3月22日は、「世界水の日」でした。
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 コットン・インコーポレイテッドの「ライフスタイルモニター」も、この日に向けて「世界の水を守るために天然繊維を使用してください!」と題した下記のような記事を掲載しています。
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 巨大なクルーズ船が小さなマイクロプラスチックの粒子でできていたとして、それが突然水中に崩れ落ち、小さな粒子が渦を巻いて、広がり、沈んでいくと想像してみてください。生分解性のない粒子は海の底に落ち、水生動物に食べられ、食物連鎖に入ったり、飲料水に入ったりします。
 もしこのシナリオが一度でも起きたら、世界は恐らく驚愕するでしょう。しかし、これは基本的に今、フリースやアクリル、ポリエステルなどの合成繊維で作られた衣類に起こっていることです。アパレル業界はより環境に優しい天然繊維の使用を考えるようになるのではないでしょうか。
 Science of The Total Environment誌に掲載されている「アパレルと家庭用繊維からのマイクロファイバー」と題した論文によると、海洋に流入するマイクロプラスチックの量は毎年0.19万トン(米国の約20.9万トンに相当)で、主にアパレルの生産、使用、洗濯に起因しているといいます。
 この論文の著者の一人でオーストラリアのクイーンズランド工科大学未来環境研究所の准教授、ビバリー・ヘンリー博士は、「プラスチック生産量は、1950年代初頭の約170万トンから2015年には3億1000万トン以上に増加しています」と述べ、「中でもアパレルやテキスタイルからの合成マイクロファイバーを含む廃棄物は、『ファストファッション』が始まった2000年頃から、指数関数的に増加しています。これは繊維生産においてポリエステルが綿を追い抜いた時期でもあります」と語っています。 
 「ライフスタイルモニター」の調査によると、10人に6人以上(62%)が、海洋のマイクロプラスチック汚染を知って以降、ブランドや小売業者が服に合成繊維を使用していることを気にしていると答えています。全消費者の半数以上(56%)が、ポリエステル、アクリル、ナイロンなどの繊維で作られた衣類を避けるために、購入する前に繊維含有量のラベルをチェックしていると回答。この数字は、とくにベビーブーマー世代で64%と増加しているといいます。また約4分の3(73%)の消費者が、持続可能で環境に優しい天然素材の服を少なくともその一部に求めているといいます。
 
 今年の「世界水の日2020」のテーマは、水ともう一つ、気候変動でした。消費者は、マイクロプラスチックの粒子が環境に与える二重の打撃にまだ気づいていないかもしれません。しかしハワイ大学マノア校の研究チームは、マイクロプラスチックが水域を汚染し、食物連鎖と飲料水の両方に入り込むだけでなく、気候変動の一因になっていることを明らかにしました。プラスチックは太陽光にさらされると、メタンとエチレンを放出し、地球温暖化の原因となることを発見したと発表しています。
 同大学チームではまた、「海洋プラスチック汚染で一般的にみられるポリエチレンよりも、表面積の大きいマイクロプラスチックは炭化水素ガスの量を加速する可能性が高い」との研究も公開していて注目されます。 

 ヘンリー博士は、オスロ・メトロポリタン大学のキルシ・ライターラ上級研究員、イングン・グリムスタッド・クレップ研究教授とともに、合成繊維のマイクロファイバーに焦点を当てた研究を行い、「複雑なプラスチックサプライチェーンの各セグメントのすべての関係者が責任を共有する必要がある」と提言。「全体の消費量を減らすこと、合成繊維の放出を減らすために洗濯方法を変えること、天然の生分解性繊維の割合を増やすこと」などの選択肢を提案しています。そして「これらの行動は今すぐにでも可能」と述べています。
 一方天然繊維は、その使用を増やしていくことが業界にとって賢明な動きと、天然繊維を推奨。ライフスタイルモニターの調査でもこのことは裏付けられていて、81%の消費者が、合成繊維の衣料品と比較して、綿の衣料品が最も持続可能性が高いと回答。さらに、73%の消費者が綿の服は最高の品質であり、66%の消費者が長く使えて飽きない、と答えています。
 
 ファッションブランドの中には、リサイクルされたペットボトルから作られたテキスタイルに注目しているところもあります。これはペットボトルに新しい命を与えていますが、環境への悪影響は他の石油系繊維と同様です。焼却炉代替のためのグローバルアライアンスのコミュニケーションコーディネーター、クレア・アーキン氏も次のように語っています。「プラスチック汚染の危機から抜け出すためにリサイクルすることはもはや不可能です。使い捨てプラスチックがあまりにも多く生産され、消費され過ぎているからです。」
 ヘンリー博士がより天然で生分解性のあるテキスタイルの使用を提唱しているのは、まさにこのためです。

 最後に博士の言葉で締めくくりましょう。
 「マイクロファイバーに関して言えば、天然繊維であれ合成繊維であれ、すべての繊維は生産、使用、廃棄の過程で排出されることは間違いありません。しかし、ウールやコットンの繊維は、バクテリアや真菌などの自然界に存在する微生物の働きにより、海水中で生分解し、無害な繊維を生成するという確かな証拠があります。天然繊維の微粒子は自然の生態系サイクルの中で再び使用されるようになるのです。一方、プラスチック(合成)のマイクロファイバーは何年も何年も(おそらく何百年も)存続します。」
 
 関連記事https://cottonusa.org/uploads/documents/JA_MicrofiberSellSheet.pdfをクリックしてご覧ください。

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