« 2021年春夏コットン素材傾向―PV 及びMUより | トップページ | 銀座エルメス サンドラ・シント展「コズミック・ガーデン」 »

2020年3月25日 (水)

FB学会講演 福崎学氏「商社から見えるファッションの未来」

 先般2月22日、ファッションビジネス学会東日本支部主催合同研究発表会が行われ、伊藤忠商事ブランドマーケティング第一部長 福垣 学氏が基調講演しました。題して「商社から見えるファッションの未来」です。
Img_69711  大阪出身で伊藤忠商事大阪本社織物貿易担当からニューヨーク駐在となり帰国後アパレル資材課へ、原料貿易に移動後、ブランドマーケティング配属となり、2011年から5年間コンバースフットウェアへ出向し社長に就任、その後東京本社に初勤務してブランドマーケティングを統括されていると自己紹介。併せて伊藤忠商事という「非資源ナンバー1商社」の紹介もされました。企業理念「三方よし」の精神とともに、業績はこの10年、右肩上がりで伸び、今年度連結純利益2,000億円を目指しているそう。

 まずは同氏が携わるブランドビジネスの話から。伊藤忠商事では全部で約150ブランドを取り扱っているとのこと、その主な形態に下記3つがあるといいます。
1. インポートビジネス 
 独占輸入販売契約を締結し、関連企業を通じて消費者に販売するビジネスで、その始まりは生地の輸入だったそう。その時のエピソードやその後アルマーニと交わした契約の話など、有力ブランドとの苦労話を披露。
2. ライセンスビジネス
 マスターライセンス契約を結び、サブライセンス・ブランドの取りまとめをするビジネスで、例えばフィラ(FILA)にはカテゴリーごとに16社のサブライセンサー、ミラショーンには同様に28社があるそう。他にもポールスミスなどを引き合いに解説。
3 商標権取得による自社展開
 商標権を取得し、自らブランドホールダーとなって展開しているビジネス。ハンティングワールド、ランバン、レスポートサックなど多数あり、ご自身も社長として活躍されたコンバースジャパンの経緯などを語られました。ちなみにコンバースは今もっとも好調なブランドだそうです。

 次に繊維カンパニーの今後について。直近のテーマとして、大きく下記3つを取り上げました。
1. 原料起点のバリューチェーンの構築
 注目は同社の独自素材「レニュー(RENEW)」。フランスで衣料品廃棄禁止の法律が施行されるなど、アパレル関連で見込まれるサステナブル原料への需要の高まりを受けて開発したポリエステル素材で、ペットボトルではなく、「服」から「服」を生み出すという画期的なプロジェクトです。日本で年間10億点あるという棄てられた服を回収して粉砕、チップに回してポリエステル繊維に戻すサーキュラーエコノミーの実現に一役かっています。今春発売のハンティングワールドのボルネオバッグにも使われるなど、欧州ブランドでもいくつか採用が決まったといいます。
 もう一つ、フィンランドのメッツァグループと、木材原料の環境配慮型のセルロース繊維工場の立ち上げにも参画しているそう。
2. 新たな流通ビジネスへの参入
 さらなるEC強化とともに、伊藤忠の社内ベンチャー「マガシーク」、マクアケと並ぶクラウドファンディング「キャンプファイア」への出資、360度の画像を処理する米国企業「フュージョン」への投資など、新たな取り組みが着々と進められているといいます。
3. リテールサポート事業の提供
 一つはAI採寸技術「ワン・メジャー(1 measure)」を展開する中国企業TOZIと資本業務提携したこと。これはゾゾスーツの高精度版だそう。またもう一つはRFID 非接触管理ICカード導入で、単品管理ができるので在庫管理の一元化につながるといいます。さらに米国JOOR社との資本・業務提携も発表。これはWEB上で受発注ができる展示会で、既に8,600ものブランドが採用しているとか。業務効率化につながり簡潔に作業できるとあって、様々なシナジー効果が期待されているといいます。
 最後に、今後の課題として「個」への対応を挙げたのが印象的でした。
 B to Cの「C」という個人中心時代が到来する中で、「個」をどう束にしてビジネスにつなげていくか、この課題を克服しビジネスの次世代化を進め、繊維産業を衰退産業から脱却させることが重要と強調して締めくくりました。

|

« 2021年春夏コットン素材傾向―PV 及びMUより | トップページ | 銀座エルメス サンドラ・シント展「コズミック・ガーデン」 »

ファッションビジネス」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 2021年春夏コットン素材傾向―PV 及びMUより | トップページ | 銀座エルメス サンドラ・シント展「コズミック・ガーデン」 »