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2020年2月

2020年2月29日 (土)

21春夏PVパリ ⑶ 「スマートクリエーション」よりスマートに

 プルミエール・ヴィジョン(PV)パリが今、もっとも力を入れているのがサステナビリティ(持続可能性)です。サステナブルな素材を集めた「スマートクリエーション (Smart Creation)」エリアが、今期2月展にも登場していました。というのもこのエリアは2015年来、毎年9月に設置されてきたからです。しかし今回は、前回展までの展示とは少し様相が異なっていました。テクノロジーの要素が加わって“よりスマート”に生まれ変わっていたのです。
 このテクノロジーとは、2017年に新設されたファッションテックの「ウェアラブルラブ(Wearable Lab)」のことです。2月展の注目イベントとして毎回親しまれてきましたが、今年はエコデザインと融合し、新生「スマートクリエーション」となりました。
Acc0321
 エコとテックが統合し、リニューアルした「スマートクリエーション」。このスペースに出展していたのは58社です。内訳は、エコ分野が48社(スマートマテリアル41社、スマートサービス7社で、40%が初出展)、ファッションテック分野が10社(うち、3社が初出展)でした。

 中でも人気はバイオファブリックに集まっていたようです。
 例えばバナナテックス(BANANATEX<スイス>)の、バナナの繊維でつくった織物はしっかりと丈夫で、石油系合繊の代替としてバッグ用途などに期待されているといいます。フィリッピンのバナナ農家を支援することで、労働問題解決の一助にもなっているようです。
  また下の写真、コクーン(COCCCON<インド>)のシルクはオーガニックシルクです。
Acc09141  シルクといえば、繭をお湯で煮て殺すという残酷なプロセスでつくられますが、これはそうしたことが一切なく、殺虫剤や殺菌剤や遺伝子スプレーなども一切使用していないといいます。
 
 日本からも5社(うち初出展4社)が出展していましたので、ご紹介します。

小松マテーレ
 PVファブリックでお馴染みですが、スマートクリエーションは初出展といいます。合繊のエコな染色法、「オニベジ」などいろいろありますが、ここでの目玉はエコ建材の「グリーンビズ」でした。
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  「グリーンビズ」は繊維の染色で排出される余剰バイオマスケイクが原料で、これを約1000℃で焼き上げた発泡セラミックス素材。スポンジ状に無数の微細な「孔」が空いているので、優れた透水性と保水性が特長といいます。
Img_54021  ブースでは実際に水をかけて、保水性の高さを実験して見せていただきました。これなら大雨が降ったとしても道路の冠水を防げそうです。
 2013年から建築家の隈研吾氏とも協業していて、屋上や緑化や舗装ブロックから土壁調の内装材まで、多方面で使用、あの新国立競技場にも使われているとか。
 こんなことまで手掛けているとは!さすが日本を代表する最先端ファブリックメーカーです。

スパイバー
 クモの糸の人工合成を成功させた山形のバイオベンチャーが初出展していました。元PVのトレンドを担当されていた方に誘われての出展だそう。
Img_53421_20200229170601  人工構造たんぱく質素材「ブリュード・プロテイン」と、それを使ったノースフェイスの「ムーンパーカ」を展示し、ブースは常に人、人、人---。説明に余念がないといった様子でした。
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トヨシマ
 最近様々なメディアで取り上げられるようになった「フードテキスタイル」を発表、新規出展していました。
Img_53461  トレース可能な食品産業の残滓から作られる天然染料染めとあって、話題沸騰といったところです。

デビステキスタイル
 以前から打ち出している「エアダイ」という無水染色・プリントの新技術で、初めてスマートクリエーションに初出展。
Img_61901  出品されていたデニムはすべて織物ではなくプリントで、ほんとうにそっくり、よく出来ていて驚かされました。
 
旭化成
Img_53381jpg  前回同様、「ベンベルグ」とスパンデックスの「ロイカ」で構成、ブースはいつも人で賑わっていました。

 とくに目に付いたのが、オランダのG-Star RAWのジーンズの展示です。(右写真)
 人や地球へのリスク・ゼロを謳うブランドの「C2C (CRADLE TO CRADLE ゆりかごからゆりかごへ)」認証のデニム生地に、ロイカが2%使われていることで、その魅力をアピールしていたのが印象的です。

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2020年2月28日 (金)

21春夏PVパリ ⑵ 記者会見で2021年より変わる日程

  プルミエール・ヴィジョン(PV)パリの初日、記者会見でPVジェネラルマネージャーのジル・ラスボルド氏が冒頭、取り上げた話題が日程の変更でした。
Img_53581_20200227155101  PVパリは、開催日程が2021年から大きく変わります。2022春夏コレクションの日程は2021年2月2日(火)~4日(木)、2022/23 秋冬コレクションの日程は2021年7月6日(火)~8日(木)となるそうです。
 私はミラノウニカ(MU)開催時にPVパリの広報からいただいたメールでこのことを知り、正直驚きました。MUとバッティングしてしまうからです。最初に聞いたときは「えッ、どうして」と思いましたけれど、ラスボルド氏の解説を伺い、変更は仕方がないと納得しました。

 ラスボルド氏は、この会期前倒しに関して、昨年末にIFM(フランスモード研究所)がフランス、イタリア、ドイツ、英国、スペインの5か国の業界専門家1,765人を対象にアンケートを行なったことを発表。この調査から春夏物展ではパネルメンバーの72%が1月末から2月初めを、秋冬物展では69%が7月初めを希望しているとの結果が得られたといいます。これを裏付けるデータも紹介しました。これによると、欧州のラグジュアリーブランドは、47%がコレクションを年4回以上実施、生地調達は20%が年12回行っているとのこと。プレミアムブランドでも似たような数字が出ていて、プレ・コレクションに注力するブランドも多くなり、企画が早期化して商品納入の回数が増加しているといいます。「もうシーズンがない」、そんな状況をPVパリも無視できなくなったということのようです。

 開催時期の問題は以前からあったことで、とくに9月開催は遅すぎると言われてきました。このためにPVパリは2016年に「ブロッサムPV」を創設して対応してきたのです。ちなみにこのブロッサムPVですが、2021年は9月7日~8日になるとのことです。(今年は7月1日~2日)
 それにしてもPVパリがMUと会期が重なることは、出展社にとっても来場者にとっても新たな事態です。両方に出展しているメーカーも多々あり、どのように調整していくことになるのでしょう。今はもう見守るしかありません。

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2020年2月27日 (木)

21春夏PVパリ ⑴ 平常時から大きく外れた例外的な会期

 パリではプルミエール・ヴィジョン(略してPV)パリが、この11日~13日開催され、連日パリ・ノール ヴィルパント見本市会場に足を運びました。Fd2034402  ミラノのミラノウニカ(MU)同様、PVパリでもコロナウィルスの感染拡大が影を落としている様子でした。来場者はいつもより少なく、その分静かでゆったりとしていて、来訪した者にとっては何もかもがスムースでかえって良いのかも、と思ったりしました。

 実は私はPVの前日に、PVパリ会場に近いル・ブルジェ会場で行われていたテックスワールド・パリ展を訪れていました。この見本市の出展企業はほぼ半数が中国です。中止かも、との噂もありましたが、きちんと開かれていました。ただし思っていた通り、中国ブースはほとんどが空で、人がいたとしてもEU在駐の方々でした。ある人は「ゴーストタウンのようだった」と過激な表現もされていました。
 日本からはトヨシマ(中国やインドネシア支店)が1社出展されていて、「次回はもう参加しない」と諦めたように話していたのが印象的です。360度伸縮するツイル「ワンダーシェイプ(WONDER SHAPE)」というカジュアルなパンツ向け素材などを打ち出し、しっかり準備されていたのに残念なことでした。
 
 さてPVパリですが、結果速報によりますと来場者数は44,414名で、平常時から大きく外れた例外的な会期となった、と発表しています。出展社数は6つの見本市全体で世界48か国から1,755社、内新規出展は148社で、昨年同期比2%の微減です。これには当初出展の申し込みをしていた中国企業の出展見合わせ(実際45社が取りやめた)の影響があったとみられていて、このことを踏まえても堅調だったといいます。
 6つの見本市別では軸となるPVファブリックが771社、PVレザーが255社、PVアクセサリー282社、PVマニファクチュアリング180社、PVデザイン222社、PVヤーン45社で、それぞれ減っています。日本からは55社が出展しました。
 来場者数は上記の通り、45,000人に満たず、前年比17%と大きく減少しています。しかしながら、それでも124か国から通常の80%を超える来場者が、2021春夏コレクションの準備のために会場を訪れたことは、やはり高く評価されるべきことと思います。
 実際、今期も業界の今後にとって鍵となるような取り組みが多々あり、たくさんのインスピレーションや体験に溢れていました。
 これについて、このブログで随時お伝えしていきます。

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2020年2月26日 (水)

パリにも錯覚を楽しむイリュージョンミュージアム誕生

 パリにも目や脳の錯覚を楽しむイリュージョンミュージアムが昨年末、ポンピドゥセンターの近くに誕生したというので、行って来ました。
 館内は狭いこともあって、人がいっぱい。子どもを連れたファミリーがたくさん来ていてはしゃいでいました。なかなか盛況のようです。

  そこにはいろいろありました、おもしろい不可能モーション立体や 変身立体(下の写真)が--。Img_67661pg
 でもそれほど驚かなかったのは、明治大学で2015年まで錯覚美術館を運営されていた杉原厚吉研究特別教授のご講演(このブログの2020.1.13付け参照)を聴講していたからです。

Img_67791pg  でも、ほんとうに怖いと思った衝撃的体験は、「ヴォルテックスのトンネル」(上の写真)です。トンネルに入ると壁がぐるぐる回って、前に進みたくても進めないのです。バランスを失うとはこういうことか、と思いました。
Img_67971   それからもう一つ、テーブルの上のお皿から人間の頭が飛び出す「ボナペティ!」も、ぎょっ!と、一瞬震えました。

 Img_67781 他にも7色の影が現れるプロジェクション・マッピング(右)とか、マルチな顔を表現する万華鏡など、様々な不思議を体感。
 とくに「逆さまの部屋」など、インスタ映えを意識したスペースは若者たちに人気のようです。

 イリュージョンミュージアムは世界のあちらこちらに出現していて、日本でも一昨年、大阪に登場しているのですね。ローマ、アムステルダム、マドリッドなど、これからもどんどん増えていくとのことです。
 錯覚の研究をされている杉原先生が、交通標識などに利用される以上にエンターテインメント業界で大きな可能性がある、とおっしゃっていたことを改めて思い出していました。

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2020年2月25日 (火)

「アライアとバレンシアガ」展 響き合うフォルムの彫刻家

 パリのマレ地区にあるアズディン・アライアのギャラリーでは、「アライアとバレンシアガ」展が開催されていました。
 二人はともに“フォルムの彫刻家”と称される、パリモード界の巨匠です。その美しいボディラインを形づくる服が、まるで対話でもしているかのように対になって、響き合いながら、順路に沿って展示されています。

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 ディレクションを担当したのはオリビエ・サイヤール氏で、両者を比較しながら見ることができる構成は、さすが辣腕キュレーターの仕事と思いました。触ってはいけないとはいうものの、至近距離で細部まで鑑賞できますので、モードを学ぶ学生は必見といったところでしょう。
 展示作品は全部で56点ありました。(パンフレットにはその全ての写真が掲載されています。) そのいくつかをご紹介します。

Img_52131jpg 右:アライア(1988年秋冬クチュール コレクション) 黒のロング ビスチェ ドレス。
 左:バレンシアガ(1966年秋冬オートクチュール コレクション) 黒のシルク クロッケ、ストラップレス、ドレープのイブニングドレス。

Img_52651jpg  右:アライア(2012年秋冬コレクション) ネイビーブルーのウール ジャケット。
 左:バレンシアガ(1953年秋冬オートクチュール コレクション) オークル色のウールのコート、ファスナーなし、4つのフラップポケット付き。

Img_52701  右:アライア(2011年秋冬クチュール コレクション) バーガンディ色の穴開きベルベット ドレス。
 左:バレンシアガ(1968年春夏オートクチュール コレクション) 黒のギピュールレースのカクテルドレス。

 こうして見ると、スペイン出身のクリストバル・バレンシアガとチュニジア出身のアズディン・アライア、この二人の天才は密接な関係にあったように思われます。 
 最後のビデオ上映によると、プレタポルテが台頭した1968年、バレンシアガは突然クチュールメゾンを閉鎖。アトリエで長年働いていたマダム・ルネが、残された多くの布地やドレスを当時無名だったアズディン・アライアに自由に選ばせたのだそうです。
 バレンシアガの後を継いだジバンシーは、亡くなるまで二人の展覧会の実現を望んでいたとのことで、ようやく本展開催が叶った、ということのようです。
 
 二人の魂の共鳴を感じたすばらしい展覧会。開催は6月28日までです。パリに行ったらぜひ訪れてみてはいかがでしょう。

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2020年2月24日 (月)

パリの「メルシー」 “ミリタリーキャンプ”をイメージして

 パリで毎シーズン訪れるショップが、北マレにあるライフスタイル型セレクトショップの「メルシー merci」です。というのもこのショップのアトリウムこそ、新しいトレンドの情報源と思っているからです。
 いつも時代の感性を捉えたストーリー性のあるテーマで、商品がディスプレーされていて、そのキュレーションには私も一目置いています。

 今月は「Baroudeurs(バルデュール)」、「冒険家」といった意味合いの言葉がテーマになっていました。
Img_51851  アトリウムの真ん中にはキャンピングカーが置かれていて、ちょっとハードな“ミリタリーキャンプ” をイメージした構成です。アウトドアコートやジャンプスーツ、ヴィンテージウェア、クライミングのワードローブ、快適なTシャツ、また靴やブーツ、柄物のソックス、カモフラージュキャップ、水のボトル、ハイキング用のキットなども揃えられていました。
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 昨年9月に来たときは「リサイクル」がテーマでしたが---。あれからファッションはよりカジュアルになって、軽く明るい感覚が主役です。戦争を経験していない世代にとっては、実用の面でもまたスタイルの面でも、そうした新しい感覚の冒険的なアウターが新鮮に受け止められているのでしょう。
 この冒険はさらに洗練されて続いていく、とみられています。

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2020年2月23日 (日)

パリのボン・マルシェで「雨のち花」のインスタレーション

 この2月、パリのボン・マルシェ百貨店では、「雨のち花 ame nochi hana」というインスタレーションが行われていました。これは「雨のち晴れ」にかけた言葉で、何ともポエティック!
Img_50491_20200224184401 Img_50771   吹き抜けの空間には、天井から無数の白い蕾型のオブジェがぶら下がっていて、音楽とともに、上昇しながら徐々に花開いていきます。その美しいこと、目を丸くして見つめてしまいます。花が上りつめると今度はまた蕾の形になって、雨粒のように降り落ちてくるのです。
 この情景を演出したのは、デザイナーで建築家、佐藤オオキ率いるnendoです。
 nendoによれば、年明けは白いリンネル製品(寝具)を販売する「mois du Blanc(白い月)」なので、白をモチーフにした展覧会を求められたそう。

 3階では、ステージが設えられていて、傘をさして人が歩いていました。
 Img_50621 よく見ると、床に映る傘の影の中に雨やら花やら不思議な映像が現れていて、ちょっと驚きます。
 これは誰でも参加できる「uncovered skies」と題された体験型イベントで、こういうのも楽しいですね。

 ボン・マルシェでは週末、ミュージック体験コーナー、MUSIC FOR ALL STUDIOもオープンしていました。曲をつくって演奏して録音する、そんなサービスのようです。
 改めて日本的な「おもてなし」精神を感じるデパートね、と思ったことでした。

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2020年2月22日 (土)

パリFLV「シャルロット・ペリアン展」日本との繋がりを想う

 パリに来て、目的の「プルミエールヴィジョン・パリ」まで少し日が空いていることから、美術館巡りをしました。

 最初に向かったのは、ブローニュの森にある美術館「フォンダシオン ルイ・ヴィトン(FLV)」です。今、「Le Monde Nouveaud de Charlotte Perriand(シャルロット・ペリアンのニューワールド)」というシャルロット・ペリアン没後20周年の大回顧展が開催されているのです。
 シャルロット・ペリアンといっても日本ではあまりお馴染みではないようです。が、実は著名な建築家でありデザイナーです。私も以前、その個展を見たことがあって、日本との繋がりが深い、女性アーティストがフランスにいる、と思っていました。1940年に来日して輸出工芸指導の装飾美術顧問となり、ヨーロッパのモダンデザインを伝えたといいます。同時に日本の「民藝」の影響も強く受けたようで、木や竹など自然素材を用いた線構成の家具や意匠など、日本人の心をくすぐるような作品を数多く制作しているのです。
 
 本展では地下のギャラリーから上へ、ほぼ年代順に約400点が展示されていました。中でも私が興味を惹かれたのはギャラリー4で、1940年の「日本と再構築」のテーマを扱っていた展示室でした。 
Img_49031jpg_20200224164301  日本家屋の伝統的な畳の空間には、蚊帳を張った寝室が設えられていました。
Img_49071  その隣には名作の籐椅子や、茶室の炉を思わせる演出のほか、子どもの絵のようなデザインを拡大したタペストリーが架かっていました。作成したのは龍村美術織物だそうです。
Img_49171  上の御簾のような仕切りも龍村美術織物によるものです。
 Img_49431   ペリアンによる家具の代表作のひとつが「ニュアージュ・ブックシェルフ」です。桂離宮の違い棚からインスピレーションを得たものといいます。これはもういたるところに見られました。
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Img_49491  ペリアンが1927年に初めて門を叩いたル・コルビュジエの作品(上)や、一緒に働いたという画家、フェルナン・レジェの作品も数えきれないほどたくさん展示されていました。ピカソなど様々なアーティストの絵もあり、親しい交流があった様子がうかがえました。
 Img_49521jpg  イサム・ノグチの「アカリ」も出品されていました。

Img_49681  名作揃いの展示室を通り抜けて、最後に到達するのが「茶室」です。ペリアン96歳のときの作品で、パリのユネスコ庭園に造られたものだそう。傍らにイサム・ノグチの1979年作の彫刻が配置されていました。
 
Img_48971jpg  展覧会は室内だけではなく、外にもあり、それが「限りなく水に近い家」です。
Img_49751  この家は1930年に建てたものを再現した小さな木造家屋で、中に入ると人工の滝が借景となって迫ってきます。
 
 本展は当初の予想以上の反響があって、来場者が押し寄せているそうです。私も少しでしたが行列しました。
 今何故、ペリアンなのでしょうか?  そこには自然を尊重する姿勢や、レス・イズ・モアの精神、真に幸福な人間生活とは何なのか、といったメッセージが込められているからなのかもしれません。
 お見逃しなく、といってもこの24日までです。もうすぐ終了ですので残念なのですが---。

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2020年2月21日 (金)

アンビエンテ ⑶「ヤングタレント」二人の日本人デザイナー

 今年の「アンビエンテ2020」の「ヤングタレント」コーナーでは、二人の若い日本人デザイナーがブースを出していて、お話を伺いました。

 一人は、「Coloridas (コロリーダス)」の山本康子さんです。
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 金色に輝くアクセサリーが美しく、私はてっきりゴールドメタルと思ったのですが、そうではなくて「草」と聞いてビックリ! ブラジルに自生する“Capim dourado”というゴールデングラス(黄金の草)というものだそうです。
Img_48001  山本さんはこのアクセサリーを、豊かな大地に育まれた美しい黄金の草と自然の恵みに敬意を表し、日本語でビオジュエリーと名付けていました。ブラジルでは職人たちがこれを生業にしているとのことで、山本さんも彼らの作品を日本で紹介したいと強く思うようになり、現在一緒に作品作りをしているといいます。
 また『ブラジル摂氏40℃の手工芸プロジェクト』を立ち上げ、フェアトレードを基本に世界でも絶えつつある手編みレースなどの販売も手掛けているそう。
 東京・青山にショップ/アトリエがあり、2店目をこの春、鎌倉駅近くの御成通りにオープンするとのことで、楽しみです。
 
 もう一人は、「KAMEHIKOWORKS」の亀井紀彦さんです。軽石とブリザードフラワー、香りを組み合わせた美しいプロダクトを、「hanayama (はなやま)」のネーミングで発表されていました。

Img_48061  ブースでは自ら制作のデモを行って、人目を惹いていたのが印象的です。 
Img_48111jpg  「手の中に大自然を」をコンセプトに、両手におさまるくらいの軽石の器の中に、プリザーブドフラワーを一輪一輪埋め込み、草原や花畑、山などの理想の景色をつくり上げていくのです。香りはそれぞれの景色に合わせて調香師が制作、天然植物原料の香料を使用し、 日本独自の香料(ゆず、紫蘇等)をメインに調合したものといいます。
 景色から吹いてくる様々な香りも楽しめるアートオブジェとは、何てステキなのでしょう。
 
 なお、この二人はともに去る11月に東京で開催された「IFFT/インテリア ライフスタイル リビング2019」で、「Yong Design Award」賞を受賞し、副賞として今回の出展の運びとなった方々です。
 亀井さんは鎌倉在住、山本さんも鎌倉に出店すると伺い、同じ鎌倉つながりで、ちょっとうれしくなったことでした。

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2020年2月20日 (木)

アンビエンテ ⑵ 「ジャパンスタイル」に高い関心

 「アンビエンテ2020」には、日本からも85社が出展していました。とくに8ホールの「ジャパンスタイル」には高い関心が集まっていたようです。日本の伝統クラフトの要素をモダンにアレンジしたオシャレな商品が多数展開されていました。
 そのいくつかをご紹介します。

TEXI YOKOHAMAのボタンホールハンカチ
 これは時にハンカチとして、時にエプロンとして使うことのできるハンカチーフエプロンです。
Img_47761 Img_47741  ハンカチに設けられたボタンホールをシャツのボタンにかけると、お食事用エプロンとしても使える興味深いアイデア商品で、デザインを手掛けたのは伊東祥次さん。
 これをつければ、食べこぼしをしても、ドレスを汚さないですみますね。
 
 横浜市はかつてスカーフの「捺染プリント」で有名でした。これは市を代表する産業のひとつ、「捺染プリント」で染められているといいます。そういうのもまたいいですね。

KINOFU 木の布
 「木の布」は、徳島県のほぼ中央部に位置する山あいの町「上勝町」でつくられている杉の木の糸で織った織物です。
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 杉の廃材から繊維を抽出して紙をつくり、それを細切りにして撚ると木の糸が出来上がります。

 この糸と綿糸を組み合わせたワッフル織などの布は、やわらかでしなやか。
 通気性、速乾性に優れて、衛生的、吸水しても軽くてまとわりつかず快適です。

 自然素材ならではのサラッとした気持ちいい肌触りでした。 


hibi/ヒビ 日常に10分、自然のアロマ

 これは神戸マッチという会社がつくっているお香スティックです。
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  マッチを擦るように火をつけて、立ちのぼる自然の香りを楽しむお香で、着火具がなくても手軽に使えるとあって、海外でも人気を呼んでいるといいます。
Img_47701  マッチで火をつける行為は、今や生活から失われつつあります。そこで「マッチが主役でなくてもいい。ただ、マッチのルーツを語り継ぐことができれば」と、そんな想いでこの商品を開発されたとか。そこには涙ぐましい努力のストーリーがあったのですね。

ORIAMI/オリアミ 金網折り紙
 布のようにしなやかで紙のようにしなやかな金網を使った、金属の折り紙です。
Img_47811   特徴はしっかりと形状を保って、半永久的に鑑賞できることといいます。
Img_47821jpg  アクセサリーを自分でつくるなど、DIY精神をかきたてられますね。
 日本伝統の折り紙に新しい風を吹き込むことになりそうなグッズです。

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2020年2月19日 (水)

アンビエンテ ⑴ 世界最大の消費財見本市のトレンドを探る

  ミラノを後に、ドイツのフランクフルトへ飛び、この7日~11日、メッセ・フランクフルトで開催された世界最大級といわれる国際消費財専門見本市「アンビエンテ AMBIENTE 2020」を取材しました。東京で毎年行われるインテリアライフスタイル展の母体となっている見本市で、私もぜひ一度訪れてみたいと思っていたのです。
 初めて会場入りして、メッセ(国際見本市会場)の巨大さにびっくり! 展示面積358,913平米と東京ビッグサイトの約4倍の広さです。この広い会場に、前回実績で世界92カ国・地域から4,460社が出展、約14万人(世界167カ国・地域)が来場するといいます。今年はコロナウィルスの影響で中国からの出展がなく減少したと思われますが、それでもすごい数です。
 展示ホールは、大きくダイニング(主にキッチン用品)、リビング(家具・照明・ホームアクセサリー)、ギビング(雑貨・ギフト用品)の3分野に分かれていました。各ホールには出展各社のブースが立ち並び、壮観でした。Interiordesignjlv131jpg 上は、リビング分野でアップサイクリングを提案するブースです。

 セミナーも多数開かれ、その内の一つ、トレンドセミナーに参加しました。講師は東京でお目にかかったことのあるドイツのデザイントレンド発信事務所のアネッタ パルミザーノ氏です。相変わらずの精力的な仕事ぶりで、今年も6月のインテリアライフスタイル展で来日されるとのことです。
 お話の中で、注目すべきはやはり環境問題です。この大潮流に乗って、すべては変化しつつあるといいます。消費財産業は持続可能で高品質な製品開発へ舵を切るという課題に直面し、メーカーやデザイナーはエコ責任を負える材料やリサイクルを利用した循環型モデルに向き合うときと指摘しています。

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 2020年に向けて発信されたテーマは3つで、写真はトレンドエリアにて撮影しました。下記にその一部をご紹介します。
 
◇shaped + softened シェイプト + ソフト
Img_47221 ・ムード : 彫刻的/ボリュミナス/静穏/形にアクセント/ナチュラル/起伏のある
・カラー : 微妙なニュアンス/調和/優しさ/ニュートラル/光
・マテリアル : マット/センサリ―/オーガニック/メロウ(まろやかな)/サステナブル
 
◇precise +architectural プリサイス + アーキテクチュラル
Img_47301jpg ・ムード : 集中/クリア/ミニマリスティック/コンサイス/ソフィスティケート/ストラクチャー
・カラー : 落ち着いた/雰囲気のある/ダーク/エレガント/控えめ
・マテリアル : 思慮分別のある/正確な/人の心を打つ/タイムレス/リファイン
 
◇artistical + diverse アーティスティカル + ダイバース
Ambientetrendsps051_20200223190401   ・ムード : 多面的/楽しい/アバンギャルド/シュールリアル/ダイバーシティ
・カラー : チアフル/ビビッド/フルーツ/カラフル/活発
・マテリアル : 実験的/リッチなディテール/型破り/モジュール/レイヤード

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2020年2月18日 (火)

ミラノウニカ⑻ 日本パビリオンは明暗分かれる展開に

 ミラノウニカ(MU)会場は、人通りが明らかにまばらでした。新型肺炎による中国の出国禁止や出張人員の制限措置などが響き、日本パビリオンも総じて客数が減少し、集客に悩む出展社が多く見うけられました。とはいえ固定客をしっかりつかんでいるところでは、さほどの落ち込みはなく、充実した商談ができたといいます。ブースにより明暗が分かれる展開となりました。
 下記、いくつかの出展企業についてご紹介します。
 
ショーワ
 初日の客足は割合よかったが、リピーター客はもっと来て欲しかったといいます。
 Img_45281jpg 人気の3本柱として、まずセルビッチデニムを挙げました。セルビッチは依然として好調といいます。次に柄物で、パンツ向け厚地の綿ストライプが思いの外、好評だそう。3番目が環境配慮の素材で、オーガニックやリサイクル素材使い。とくに大正紡績の“ラフィ
  (RAFFY 落ち綿綿の再利用糸)”が伸びているといいます。
 
東播染工
 西脇産地の播州織メーカーです。前回同様、好ましい結果が出ているとのことでした。
Img_45101   とくにエコ素材が好調で、茶綿や緑綿の色付きオーガニックコットンで不揃いなネップ糸を織り込んだ先染めや、コットン/リネン強撚で洗い晒した雰囲気に仕上げたもの、金ラメの光るダブルクロスなど。またユニチカの“パルパーエコ(PALPA-ECO再生ポリエステルを上質コットンで包み込んだ特殊複重層構造糸)”使いも好評といいます。
 
宇仁繊維
 約100社が来場し商談、にぎわっている様子でした。
211jpgImg_45901jpg_20200223122201Img_45911jpg

 ブルーとイエローを大きく打ち出し、ラッセルレースでレーヨン/ポリエステルのカチオン染めのものや、カットジャカードに線描きの花のプリントなど、人気素材は多々。

日装(ニッソウ)
 福井産地で、刺繍(エンブロイダリーレース)を専門に取り扱うメーカーです。
Img_45951jpg Img_45981
 トップ人気は上の二つだそう。左はベルベット刺繍、右は綿の刺繍です。いずれも職人の手の込んだクラフト技術でつくられている、完成度の高いクチュール感覚の生地です。

吉田染工
Img_46011jpg  例年通りの入りで、とくに変化はないといいます。
 島精機の編み機による150cm幅のファンシーなインレイ編みジャカードニットが好評で、たとえば右の太めの糸使いによる畳のような編み組織のものなど。

古橋織布
Img_46081  ラトビアやハンガリーなど、東欧からもバイヤーが来場。
 片面にウレタンコーティングを施し、紙のようにパリッと仕上げた綿100%素材や、ヘンプ使いで白いネップが飛ぶ生地など、ナチュラル志向に関心が集まったといいます。

大長
 滋賀県で織物整理加工を営むメーカーです。麻がメインですが、同社はコットンを打ち出して差別化を図っているといいます。
Img_46271_20200223122401  ハリコシや、シャリ感、凹凸など表情のある表面感のものが人気だそう。

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2020年2月17日 (月)

ミラノウニカ⑺ 日本パビリオン新規出展社・団体に手応え

 今回もミラノウニカ(MU)に、日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)、日本貿易振興機構(ジェトロ)が共同で主催する日本パビリオン「The Japan Observatory (JOB)」が出展しました。出展したのは30社・団体です。
 サステナビリティが意識される中、パビリオンの顔ともいえる2021春夏トレンド&インデックスコーナーも、環境に配慮した再生可能な素材の段ボールを使用して構築されていました。トレンドテーマは「午後のひととき」、「ハイパーノマド」、 「スーツタイムトラベル」、「思い出の後先 」の4つです。さわやかで心地よい陽射しを感じる窓際をイメージした、開放的な日常感を表現した空間で、よく考えられていると思いました。
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241  またMUトレンドエリアには、サステナブルでかつ独創性に優れた日本製の生地サンプル259点が展示され、これを見てブースを訪れる客も多かった様子です。
 
 今期は全体に新型ウィルスの影響でにぎわいに欠けた会期でした。とはいえ新規出展の6社・団体はいずれも意欲的で、手応えを感じたといいます。以下、ご紹介します。

坂本デニム
 坂本デニムは広島県福山市を本拠地に、デニム用経糸のインディゴ染色を中心に事業を展開しているメーカーです。今回は「JAPAN DENIM」のブースに初出展。ここは、同社とデニム織物の篠原テキスタイル、仕上げ加工の三陽染工の3社による合同ブースで、福山ブランドのデニムを訴求していました。Img_45651  とくに注目されたのがエコ・フレンドリーな染色技術システムです。蒸気の使用量を制御するボイラーによるCO2の削減や、常温で洗浄効果のある電解水の使用によるCO2削減と洗浄薬剤の低減、排水処理への負荷低減による水質汚濁の低減、排水処理バイオ技術による汚泥の削減などを大きく打ち出していたのが印象的でした。

亀田繊維工業協同組合(立川織物/中営機業)
 新潟の地域ブランド「亀田縞」をアピールしていたのが亀田繊維工業協同組合です。
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  「亀田縞」は江戸時代の優美な伝統色で織られた織物で、15年前から再現プロジェクトがスタートしたそう。
 Img_45361 現在、手掛けているのは、立川織物と中営機業2社のみといいます。
 これまでアメリカや香港などに出展して反応があったので、ヨーロッパ向けにもと、世界展開を目指して初出展。「エド・ストライプ」のネーミングで、アーカイブを忠実に反映した生地に引き合いがあるようです。
  
長尾織布
 阿波しじら織のメーカーです。欧米向け輸出を少しずつ手掛けてきましたが、大きな海外展でどのように評価されるのか、感触を得たいと、今回初出展したといいます。
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 シボのある独特な風合いのしじら織の変化組織のものや、藍染絞りを施したものなどを提案。バイヤーの関心を集めていました。

遠孫織布
 西脇産地でジャカード織を手掛ける同社も初の海外出展です。蛍光色使いのふくれジャカードや大きなチューリップのモチーフなど、個性的なものが人気といいます。
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 約40社と商談し、今回1件成約がとれそうとか。
 
朝日染色 ソレヴァンテ1918
 朝日染色は、足利産地にある老舗染色工場です。インクジェットプリントが主流になる中、創業以来102年のハンドプリントの技術を守っているといいます。ソレヴァンテ1918は、その企画提案型営業を行うセクションだそう。インクジェットとハンドプリントの割合は現在、半々くらいとのことですが、ここでは全てハンドプリント100%のものを揃えていました。
Img_45171jpg  日本の手捺染生地が欧州でどこまで通用するのか知りたいと、初出展を決めたそうで、デザイナーブランドに向けて手応えは十分、成果があったといいます。

サード・パーティ (3rd.Party)
 今回、MUに初出展して、欧州市場での展開を始めた生地商社です。Img_45771pg
 昨年4月に東京都渋谷区に創業し、各産地メーカーの素材の輸出を支援しているといいます。
 尾州、北陸、岡山・広島産地の5社の素材を提案、その中にタケヤリの帆布もみられました。まずまずの反響があった模様です

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2020年2月16日 (日)

ミラノウニカ⑹ トレンドエリア「カルチャー トライブ5.0」

   今回ミラノウニカ(MU)の2021春夏トレンドエリアのタイトルは、「Gen Z ジェン フューチャー:カルチャー トライブ5.0」となっています。まるで暗号のような言葉使いですね。
 Gen Zとは「ジェネレーション Z 」の略号で、1997年以降に生まれた世代から現在のティーンエイジャーまでを含めたデジタル ネイティブやポスト ミレニアル世代を指し、「ジェン フューチャー」とは未来の世代を意味する言葉といいます。生まれたときからインターネットを使い、認知能力や言語能力もテクノロジー5.0(超スマート社会における未来のテクノロジー)を介して発達させてきた最初の世代であり、環境問題にもっとも敏感で、しかも常につながり合っているともいわれています。精神分析学者のマッシモ・アンマーティ氏もこの世代を次のように分析しています。「自分が所属するトライブ(種族)の他のメンバーたちとの相互作用の中で生活し、自分を形作っていく」と。
 2021年春夏トレンドはこのGen Zに着想。MUアートディレクターのステファノ・ファッダ氏はGen Zを「未来のテクノロジー5.0を洗練された形でファッションに投影すると同時に、行動レベルでは生まれたときから持っているトライブ性に従っている世代」とまとめています。テーマとしては下記3つ、創造性と文化の融合という発想を基に、未来と過去をつなぎ、テクノロジー5.0と世界の様々なトライブの美意識や独自性を結び合わせ、今日の若者の美意識とトライブの古代的感性とを関連づけたテーマを提案しています。
 
トロピカル レイヴ イン メキシコ シティ TROPICAL RAVE IN MEXICO CITY
0001_0001022_area_trend_tropical_rave_vu  メキシコの風俗とレイヴパーティのトロピカルなテクノミュージックの融合。自然が主役で、プリントやカラーで表現されるテーマ。

インディアン チル アウト イン ロサンゼルス INDIAN CHILL OUT IN L.A.
2_20200221151001  マハラジャの記憶とネイティブアメリカン、サーフィンのもつ解放的なエネルギーのミックス。ヴィ―ガンの洗練された色使いも特徴。
 
ブリティッシュ クラビング イン パプア BRITISH CLUBBING IN PAPUA
1_20200221151001  英国のクラブの伝統とパプアの焼畑の民によるクラフト技術の対比。生成りの天然繊維とハイテク素材のハイブリッド。

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2020年2月15日 (土)

ミラノウニカ⑸ イノベーション&スタートアップエリア

 今回のミラノウニカ(MU)では、新しいエリアが二つ、隣接して設けられていました。
 一つが「イノベーション・エリア」です。システマ・モーダ イタリアのハイテク及び機能性テキスタイルのためのセクションで、TexClubTecとのコラボレーションにより誕生したといいます。
Img_39091  各生産工程を代表する企業にImg_39001 よる革新的素材が集結し、高機能を謳っていました。

  サステナブルな素材として、右のような撥水加工の、表面が綿100%で裏面がポリエステルのボンディング素材なども出ていました。

 もう一つが「スタートアップ・テキスタイル・コネクション」です。
030_startup_innovation_area_mu30_high_ph  このエリアはイタリアテキスタイル財団とスタートアップブートキャンプ(Startupbootcamp Fashion Tech)とのコラボレーションによって実現したものとか。スタートアップブートキャンプ テックは個々の産業分野でスタートアップの加速を図る、世界有数のネットワークといいます。
 世界1,200社から選出された11のスタートアップ企業が、よりサステナブルなビジネスモデルやデジタル・ソリューション、製品やトレーサビリティ・ツール/システムなど、ファッション業界全体に向けて独自のソリューションを提示し、連日数回のセミナーが開かれていました。
 ここには日本のECスタートアップ「アオイシップ」も出展していたそうで、2月6日付け繊研新聞に記事が掲載されています。
 
 日本企業もこうしたイノベーションにアプローチして、世界市場における競争力を一層高めていく必要がありそうです。

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2020年2月14日 (金)

ミラノウニカ⑷ 「サステナビリティに向けた第三の楽園」展

 第30回ミラノウニカ(MU)では、3日間の会期中、いくつかのイベントが行われました。
 その一つが「ファッションのサステナビリティに向けた第三の楽園」という映像と展示による巨大なインスタレーションです。
001_allestimento_maestro_pistoletto_mu30  上がそのインスタレーションで、今回のMUの出展企業が制作したサステナブルな生地が用いられているといいます。三つの輪があり、1つはいにしえの「自然の楽園」、もう一つは現代の「人工の楽園」、そして中央の輪が人間の技と自然が完璧なバランスを保つ、新しい文明「第三の楽園」を象徴しているとのことです。

 ここで「第三の楽園」とは何かというと、イタリア美術界の巨匠、ミケランジェロ・ピストレット氏が創案したサステナビリティのシンボルであるといいます。
 ピストレット氏は、ビエラ市出身で、初日のオープニングセレモニーにも列席されていました。
 実際、2010年に「第三の楽園」という著書を出版されていて、これによると、第一の楽園は、アダムとイブがリンゴを食す前の自然の治世により規制された楽園です。第二の楽園は、人間の知性によって開発された人工の楽園です。そして第三の楽園は、第一と第二の楽園の肥沃な結合をいうとのこと。
 あらゆる種類の人工物で構成された第二の楽園ですが、今はもう、人類の生存という普遍的な問題に直面していると考えた偉大なアーティスト、思いついたのが「第三の楽園」というグローバルなプロジェクトだったのですね。
 テキスタイル産業の未来を予言するような興味深いインスタレーションでした。

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2020年2月13日 (木)

ミラノウニカ⑶ 30周年記念カクテルパーティ

 今回で30回という節目を迎えたミラノウニカ(MU)。初日の終了後、記念カクテルパーティが盛大に催されました。
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 冒頭、ボット・ポアーラ会長やビエラ市のクラウディオ・コッラディーノ市長らが登壇し、MUを構成する中軸の展示会「イデアビエラ」のビエラ産地があるピエモンテ州ビエラ市が、ユネスコの創造都市ネットワークのメンバーとなったことが発表されました。

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 ビエラ市を紹介するビデオが流れるなか、創造都市ネットワークへの加盟と30周年記念を祝う華やかな宴となりました。

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2020年2月12日 (水)

ミラノウニカ⑵ 来期会長にバルベリス・カノニコ氏を発表

 ミラノウニカ(MU)オープニングセレモニーで、スピーチの最後に、ボット・ポアーラ会長はご自身の任期が今期で終了することを告げられ、ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(VITALE BARBERIS CANONICO)社社長でイデア・ビエッラ(Idea Biella)会長のアレッサンドロ・バルベリス・カノニコ(Alessandro Barberis Canonico)氏に会長職をバトンタッチすることを発表しました。011_cerimonia_mu30_high_ph_erdna1
 2005年から今日まで、パオロ・ゼーニャからピエール・ルイジ・ロロピアーナ、シルヴィオ・アルビーニ、エルコレ・ボット・ポアーラまでの4代にわたる会長の足跡やその役割と達成された目標を示すビデオ上映が行われたことも、印象に残る出来事でした。
 中でもボット・ポアーラ会長は、サステナブルな創造性とイノベーションに手腕を発揮。新しい市場に対応すべく、9月開催を7月に早めた先見性も高く評価され、惜しまれながらの退任劇となりました。
 
 来期会長のアレッサンドロ・バルベリス・カノニコ氏は、350年を超える長い歴史を持つ老舗毛織物メーカーの若社長です。次の打つ手は何なのか、期待されます。

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2020年2月11日 (火)

ミラノウニカ⑴ 持続可能性とトレンドを統合し変革へ挑戦

 ロンドン経由でイタリアのミラノにやって来ました。何故かというと、この4~6日、ミラノのフィエラ・ロー会場にて開催されたファッションテキスタイルの見本市、第30回ミラノウニカ( MILANO UNICA、略してMU )の最新情報を取材するためです。
 今回、MUに出展したのは、イタリアを中心とする欧州企業と特別プロジェクトの日本と韓国を含めた477社でした。これは前年2月展と比べて微増といいます。出展各社はメンズ、レディス、キッズ用ハイエンド向けテキスタイルと服飾付属品の2021年春夏向けコレクションを披露、とくにサステナブルに関わる提案が大幅に増加していて、このことはこれまでにない特徴ではなかったかと思います。
 来場者数に関してですが、MUでは以前から人数ではなく来場した企業数を公表しています。中日に行われたMUのエルコレ・ボット・ポアーラ会長との記者会見では、初日の来場社数が前年同期比2%増だったとのことで、会長自身、思いがけない数字に喜びを隠せない様子でした。とはいえ人数的には新型ウィルスの影響などで、一社あたりの来場者の数は落ち込んだとみられています。
 最終的な来場社数は、リリースによると前年同期比2%減とわずかながらの減少と発表されました。出展者は概してバイヤーの数よりも商談の質を評価し、総じて満足度が高かったことから懸念は克服されたと伝えています。
 
 初日に催されたオープニングセレモニーでは、エルコレ・ボット・ポアーラ会長が挨拶。サステナビリティ(持続可能性)というテーマに焦点を置きながら、今期の主要ポイントを次のように説明しました。
 011_cerimonia_mu30_high_ph_erdna11 「政治や経済情勢の不安定さに加え、中国で広がるウィルス性伝染病や羊毛価格に大きな影響を与えるオーストラリアの森林火災など、公衆衛生面でも国際貿易面でも重大なリスクを抱える昨今、私たちができることは、より一層のサステナビリティを追求すべく、産業界の責務のハードルを上げ、同時に提案の創造性のレベルを引き上げること。それはまた若い世代の感性を映し出す市場のニーズを的確に汲み上げるためにも必要」とアピール。
 このためMUトレンドエリアでは新たな変革への挑戦が行われていました。それが「サステナビリティ プロジェクト」と「トレンド デザイン」の統合です。これまでサステナブル素材はトレンドとは別区画で展示されていたのですが、今回は、トレンドのクリエイティブなサンプルと同じテーブルの上で、各ストーリーの中心に据えられました。
 トレンドディレクターのステファノ・ファッダ氏は、「トレンドコーナーで展示した素材は全部で1,500点、その内1,000点がサステナブル素材」と、サステナブルな素材がトレンド素材を大幅に上回ったと話しています。そしていずれは「トレンドエリアは100%サステナブルな素材になる」と語っていました。
 ボット・ポアーラ会長はさらに、「この変革は、単に創造性とサステナビリティの物理的な共有を目的にしたものではなく、メイド・イン・イタリーの戦略的資産、すなわち創造性とサステナビリティの間の文化的、実践的な融合を意図したもの」と述べ、これからのテキスタイル産業におけるサステナビリティの認証について言及、「個々の認証のみならず、全生産工程の認証によってその価値が測られることになる」と。続けて「創造性とサステナビリティの融合は、決して容易な事業ではなく、コストも伴うが、しかし業界全体が負担と責任を負って取り組むべきことであり、こうした前向きな意欲を具体的なカタチにしようと思うのなら、これはどうしても受けて立つべき挑戦だ」と、強調したのも印象的でした。

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2020年2月10日 (月)

ロンドンV&A美術館でホイッスラーの「孔雀の間」再構築展

  ロンドンで私が必ず訪れるのがヴィクトリア&アルバート(V&A)美術館です。今回は館内ポーターギャラリーで、ホイッスラーの「孔雀の間 (ピーコックルーム)」の再構築展が開催されていました。Img_35491
 この「孔雀の間 (ピーコックルーム)」の本物は、ワシントンのスミソニアンのフリーア美術館にあって門外不出ですね。以前私はこの部屋をスミソニアンで見たことがあります。
 「孔雀」と名付けられているように、孔雀のデザインに彩られ、壁面には天井まである飾り棚に東洋陶磁器が飾られていて、暖炉の上部にはホイッスラーの名作「陶磁器の国の姫君」が架かっている、当時のジャポニズムを象徴する装飾豊かな空間になっていました。その美しさに感嘆したことが思い出されます。
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  本展に見る「孔雀の間」は、アメリカ人画家でアーティストのダレン・ウォーターストンが「Filthy Lucre(フィルシールークル)=不正な利得」をテーマに、現代を皮肉った視点で再演出したものです。

Img_35511jpg   あの豪華なインテリアはすっかり古びて、あちらこちらが壊れて、ゆがんでいます。
  暗い室内は、不気味で、どこか不穏な雰囲気さえも漂っているようでした。

  現代の過剰な文明の崩壊を暗喩しているような、ちょっと怖い感じもする、でも興味深いインスタレーションです。
  開催は5月3日まで。ロンドンに行く機会がありましたら、ここは無料ですし立ち寄られてみてはいかがでしょう。

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2020年2月 9日 (日)

ロンドンで「ビアズリー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」展

 ロンドンのデザインミュージアムでは、昨日のこのブログに掲載した「火星移住」展と、もう一つ、「ビアズリー・デザイン・オブ・ザ・イヤー 2019」展も開催されていました。
 「ビアズリー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」は、保険会社のビアズリーグループがデザインミュージアムの協力により、優れたデザインに贈られる賞で、昨年で12年目を迎えたといいます。
 本展では、2019年の入賞作品76点が、建築、デジタル、ファッション、グラフィックス、製品、および輸送の6つのカテゴリー別に展示されていました。日本からのものは無かったのが残念でした。
 
 中でも興味深く思ったのがファッションのカテゴリーです。
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Img_33511  右は、本展のポスターにも選ばれていたViktor&Rolfによるミーム風のドレスで、2019春夏オートクチュールコレクションで発表されたものです。
 ドレスにはSNSのキャプションに着想した「TRUST ME,  I AM A LIAR. (私を信じて、私は嘘をついている)」のフレーズがデザインされています。
 ジャーナリストが事実を確認せずに声明を載せることへの問題提起を、メッセージとして表現したもので、昨年大きな話題を呼びました。
 
 
Img_33481  右は、アディダスコレクションで韓国のデザイナー Ji Won Choiが手がけた作品です。
 とくにウィナーとして表彰されたフレッシュなストリートウェアです。
 
 アディダスのモノクロ三本線が大胆にデザインされています。
 
 チマチョゴリに代表される韓国の伝統衣装「韓服(ハンボク)」を思わせますね。

 
 
 
 製品のカテゴリーでは、ユニバーサルデザインのものが取り上げられていました。そのいくつかをご紹介します。
 Img_33801 上は、IKEAの「メガスイッチ(MEGA SWITCH)」です。電気スタンドのスイッチを大きくして押しやすくしたもので、身体障害者のQOL向上に貢献する「ThisAbles」プロジェクトの一つです。この補助器具は、イスラエルのNPO「Milbat」が設計し、3Dプリントデータ(STL形式)で提供されたものといいます。
 
Img_33851   世界初のハンズフリーのダブルポンプ搾乳器です。
 働く母親にとって赤ちゃんに母乳をあげるのは大変です。この搾乳器は赤ちゃんに母乳を与え続けるための最適な方法といいます。
 時間も節約でき、搾乳量も増やせて、さらに母乳の脂肪分の増加も見込めるそうです。
Img_33781jpg  上のような美しいバイオ・プラスティックも展示されていました。
 
 他にもデザインのアイデアが満載。見ておく価値ある展覧会でした。3月末までの開催です。

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2020年2月 8日 (土)

ロンドン デザインミュージアム 「火星移住」展

 ロンドンではデザインミュージアムに行き、「火星移住」を計画する展覧会を見てきました。
 このミュージアムはこのところ、科学的な取り組みの企画展を矢継ぎ早に行っています。前回は「2001年宇宙の旅」などの映画で知られるスタンリー・キューブリック展でしたが、予約制だったため私は見損なってしまいました。今回は無事、入場出来ました。

 火星がテーマということで、その背景などを少し調べてみました。
 火星探査については今、着々と準備が進められているようです。人類が初めて月面着陸してから半世紀が経過し、次のターゲットは火星なのだそう。NASAでは2033年までに有人火星着陸を計画しているといいます。本展ではとくに火星への移住を視野に開発を進めているイーロン・マスクの〈スペースX〉のアイデアが、色濃く反映されているようです。
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 会場には様々な模型や写真などが展示されていましたが、中でも興味を惹かれたのが宇宙服の展示コーナーです。
Img_32931  上は、ソ連の宇宙船ソユーズ用に開発されたソコル宇宙服(1980)です。ゴツイ印象です。
 
Img_33121  右は宇宙散歩用につくられたというEVA手袋です。
 
 スペースシャトル(1983)で実際に用いられたものだそう。
 
 
 「火星のオアシス」を模した宇宙での居住をイメージした空間もつくられていました。
 入ってみて、居心地はなかなかよさそうでした。


Img_33021   宇宙食も上のように展示されていました。
 スープや缶詰、麺類などいろいろなものがあるのですね。

 最近はファッションでも、宇宙をモチーフに取り上げるブランドが増えています。 
Img_34401  上はバレンチノの今春のコレクションです。背中や胸に「moon(月)」の巨大なワンポイントが描かれています。
 
 この「火星移住」展、ファッションデザインの視点からもユニークな展覧会と思いました。開催は、2月23日までです。

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2020年2月 7日 (金)

この春一番ロンドンのファッション 花やフリルにあふれて

 月初、素材展取材のため欧州出張の旅に出発しました。最初に着いたのがロンドンです。さっそくこの春一番の店頭をウインドーショッピングしました。新型肺炎といった暗いニュースが流れる中、ウィンドーには明るい春の雰囲気がいっぱいです。
 ファッションが女らしくなっているからでしょう。何といっても目に付いたのが花のモチーフです。ディテールではフリル。彩りは予想通り、赤やピンク、それに白が目立っています。
 
Img_34991jpg  上はドーバーストリート・ロンドンのインスタレーションです。コム・デ・ギャルソンの「オーランドー」のコレクションが、衣装部屋のような囲いの中にディスプレーされていて、まるでオペラの楽屋に入ったような気分になりました。

Img_35051  花はプリントを中心にジャカードや刺繍など、ロココ調からリバティスタイル、植物図鑑風、水彩風、グラフィックな抽象柄、バティック風などほんとうに様々なものが出ています。
 上のようなバラの花のモチーフをあしらったジャケットもロマンティックです。
 
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 軽やかに透けるような素材のフリル、今シーズンはあちらこちらでたくさん見られます。
 
 またもう一つ、揺れるフリンジも目立つディテールです。
 Img_48751 右のようにドレスのボトムに、またストールや皮革バッグに、テキスタイルでもカットヤーンのかなり長いものが多くなっています。

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2020年2月 6日 (木)

わたしとコートと□展~買い手目線のバリアフリー考える

 任意団体コオフクが主催する「みなとコオフク塾」の『わたしとコートと□展』が、この1日から6日まで、ワールド北青山ビルで開催されています。
 「みなとコオフク塾」というのは、障がいの有無に関わらずファッションを楽しむことを目的にしたプロジェクトで、東京都港区にゆかりのある“多様な人々”が集い、障がいのある方が抱えるおしゃれの悩みや課題を理解し、衣服をリデザインするプログラムを実施されています。
 今回のテーマが「コート」だったのです。
 Img_32681  
 上はその展示風景です。このプログラムにはワールドグループのブランド「オペーク ドット クリップ」と「ザ ショップ ティーケー」のメンバーも参加しているそうで、それぞれのブランドが展開するコートをもとに、回を重ねてつくったワードローブがマネキン展示されています。
 
 本展の初日、関連イベントとしてトークセッションがあり、私も行ってきました。
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 登壇したのはイオンモール甲府昭和ゼネラルマネージャー 東朋浩氏、丸井グループサステナビリティ部ダイバーシティ&インクルージョン推進担当 井上道博氏、東急不動産 都市事業本部 商業施設開発部 若津宇宙氏と、コオフク プリンシパル 西村佳子氏です。本セッションの企画運営を担当されたFashionStudiesの 篠崎友亮氏の進行のもと、「買い手目線のバリアフリー」と題して、商業施設における現在のバリアフリーの取り組みや施策などが語られました。

 まず東氏が、イオンモールの「人にやさしい施設・街づくり」を、井上氏が、丸井が実施しているユニバーサルデザインの様々な試みを、若津氏が、開発を手掛けた東急プラザ渋谷にみるバリアフリーの考え方を、自己紹介方々プレゼンテーションされました。
 次にフリートークとなり、エレベーターやトイレ、手すりなど商業施設におけるユニバーサルデザインの具体例が紹介されました。
 中でも興味深かったのが、井上氏のお話です。博多丸井では4,000人のモニターがいて、車いすユーザーなどの方々からの視点で、ハード面の改善がされているといいます。車いすの方は足の小さい方が多いそうで、レディス靴で19.5cm~27.0 cmのサイズを揃えたブランドを展開されているとか。また有楽町丸井では昨秋「すべての人」が使いやすい試着室『みんなのフィッティングルーム』を設置。自分の部屋にいるような広々した空間で、使いやすさが好評だそう。これに続けてハード面の充実以上に大切なのは「おもてなしの心」と強調され、接客には何よりも思いやりの精神で臨むように、従業員教育に力を入れているといいます。
 さらに意外でおもしろいと思ったのが、若津氏による客の属性に関する話題です。東急プラザ渋谷で一番多いのは在住外国人、次に外国人観光客、そして三番目がシニア層だそうで、夜のエッジ―なバーには高齢の方がたくさん来ているといいます。現在、1階の観光案内所で運営に携わっている同氏、そんなことも意識して「渋谷のロビー」を盛り上げていきたいと話していました。

 イベントの最後に、「みなとコオフク塾」修了書授与式があり、 ワールド代表取締役の上山健二氏よりワークショップに参画した各チームに、修了書が贈られました。
Img_32691jpg  上はその時の一コマを撮った写真です。

 おしゃれが好きで新しいことにトライしたい、でもどうしたら楽しめるか分からない。そんな好奇心旺盛な人たちの思いと悩みを繋げ、カタチにしていくこのプロジェクト、ほんとうに尊いと思います。
 継続を願いつつ---、会場を後にしたことでした。

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2020年2月 5日 (水)

播州織総合素材展2020 「先染め新時代へ」

 「播州織総合素材展2020」(兵庫県西脇市 北播磨地場産業開発機構主催)が先月末、「先染め新時代へ」と題して東京・秋葉原のアキバスクエアで開催されました。出展したのは西脇産地の17社と1団体です。
 この産地は元来、サステナビリティに関しては意識の高い産地です。自然を守る、エコは当たり前にやってきたとはいうものの、時流もあり、さらなる努力への取り組みが見られました。自然素材のコットンを中心にリネン、麻、ウール、キュプラなどの生分解性素材から、リサイクルや残糸の利用、環境に配慮した染色、CO2削減まで、産地が一丸となって播州織の強みを訴求するコレクションが展開されていました。

Img_31651jpg  会場では、「極限」をテーマにした播州織新商品試作コーナーも設けられていました。上の写真がそれで、カットジャカードなどの新作や斬新な表面変化のあるものが目立っていました。
 
Img_31401  ファッションショーも行われました。

 ショーを発表したのは、日本アパレル・ファッション産業協会所属の3ブランドです。
 大原由梨佳とスティーブン ホールによるインプロセス(IN-PROCESS)、竹内淳子によるDsofa、井上里英香によるRIEKA INOUEが、播州織を駆使した作品を披露しました。

 右は、インプロセスです。

Img_31601  
 各社ブースから注目素材をご紹介します。

◇島田製織
 環境に配慮した新しいベーシック、軽やかな風合いで、中でも一押しが下記です。
Img_31331jpg Img_31341
 左は「200番双糸」。200番という超極細綿糸の双糸で繊細な美しさの極致を表現した先染め織物です。
 右は「グリッターカットジャーカード」。軽やかでフレッシュなカットジャカードです。生分解性ラメ糸が使用されていて、微妙なニュアンスの光沢感があります。

◇東播染工
Img_31971  原料の綿花自体に色がついている色付き綿花のカラードコットンを使用した先染め織物を提案。染色加工を施さないことで、環境配慮をアピールしています。

◇桑村繊維

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 「Renatus~再生~」をテーマに、サステナビリティを発信。織物の価値を再発見し、未来への再生を訴求しています。

◇カゲヤマ
Img_31791  様々なトレンド感のある播州織を提案。
 中でも、右のような「ヤク」混の綿リッチな先染めが好評です。「ヤク」はヒマラヤ等の高地に生息するウシ科の動物の毛で、保温性に優れていて柔らかい素材です。

◇大城戸織布
 手織り風クラフト感覚のジャカードが存在感を発揮しています。

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 一般に流通していない糸使いや変化を加えた染め、昔懐かしい風合いを実現させた織物で、その唯一無二のクリエイティビティに注目です。

◇西脇小西
Img_31851  多種多様な播州織を生産されています。
 今シーズンは、とくに右のようなやや厚地の英国調チェックを大きく打ち出しています。
 

◇丸萬
  前面に打ち出しているのが「POLS」ブランドです。
Img_31711  テキスタイルデザイナーの梶原加奈子氏とのコラボレーションにより創られるグラフィカルなジャカード織物で、播州織の概念を覆します。

◇丸和商事
 インドのオーガニックコットン使いの先染めコレクションを軸に展開しています。

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◇播

 得意のインディゴ「へそデニム」を中心に機能性のある綿織物など、幅広い提案で知られるメーカーです。

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 今回は、2019年度グッドデザイン賞受賞のストールを特別展示していました。水彩の様な透明感とタテとヨコのグラデーションが重なる玉虫色の発色が特徴で、播州織の「薄手の綿織物」と「チェック柄の技法」の究極を追求したといいます。
 ブランドは「ファボリ(fabori)」で、お値段は7, 000円だそう。ネット販売されています。

◇服部テキスタイル
 ホテル向けリネンのサプライヤーです。

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 「ギガクラブ」というエジプト超長繊維綿100%の高品質テキスタイルなどを使用したベッドリネンなどを訴求。クリーニングするとより風合いの良さが増すという最上級コットンならではの風合いが魅力です。

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2020年2月 4日 (火)

音を着る! 布スピーカーで未来の音楽体験を

 “布が音楽を奏でる”とは、もうおとぎ話の世界です。でもそれが可能となったことを先日、体験しました。
 それは東京・五反田で行われたトークイベント「音を着る! 布スピーカーで未来の音楽体験を」でのことです。
 布のスピーカー(ファブリックスピーカーとも言っているようです)を開発したのは、吉田学さん(産業技術総合研究所)です。この技術に可能性を感じ、共同開発を申し出されたのがファッションテックデザイナーのオルガさんです。お二人は今、「音を着る!布状スピーカーによるファッションインスタレーションを成功させる!」と題したクラウドファンディングに挑戦中でもあります。ファンディングは達成される見込みですので、近々ファッションインスタレーションが開催されることでしょう。

Img_30711  上は、そんなお二人が登場したトークイベント風景です。

 前半は「ファッションテックデザイナーとは!?」をテーマに、オルガさんがファッションテックデザイナーの仕事や、必要なスキルなどを語りました。
Img_30721  オルガさんは、デジタルハリウッド大学大学院 メディアサイエンスラボ助教でファッションテックラボ を担当、ish inc. 代表でもあります。
 ロンドンの大学院でファッションとテクノロジーの関係性を独自に学ばれ、帰国後ファッションブランドEtw.Vonneguet(エトヴァス・ボネゲ)を立ち上げ、東京コレクションにも参加されていたとか。2012秋冬ものから数シーズン、コレクションを発表、クロスシミュレーションを使ったCGのファッションショーを行い、3Dから型紙生成した服などを展開して、渋谷パルコや伊勢丹をはじめとする国内外の百貨店にも出店していたといいます。
 しかしアパレルでファッションテックはやっていけないことがわかったそうで、ある日突然やめたとか。単に新しいから、おもしろいからでつくっても、うまくいかないといいます。またVC(ベンチャーキャピタル)がファッション分野に投資しないのも問題だとも。
 とはいえファッション分野でテックなファッションを実現しようと精力的に活動されているオルガさんです。ishを創設し、現在、様々な企業のウェアラブルデバイスデザインや研究開発などを手がけているといいます。
 吉田学さんと出会ったのは、新しい素材を探しにナノテク展に行ったときのことだそう。布スピーカーの原型を見て可能性を感じ、すぐに共同プロジェクトを立ち上げることになったといいます。昨年11月に渋谷パルコがオープンした際、「Booster Studio by Campfire」でファンドレイジング中のパーカなどの製品を展示し、好評だったとか。(このことは私もちらっとニュースで知りました。)
 
 後半は、その布スピーカーの体験会となりました。
 スピーカーといえばゴツゴツした堅いもので、到底身に着けることなどできません。でもこれは「音が鳴る布」、布ですから折り曲げても、くしゃくしゃにしても大丈夫なのです。
 内部にはやわらかいセンサーが入っています。最初は蚊が鳴くような音しか出なかったそうですが、今ではより自然に大きい音が出せるようになったそうです。
 Img_30921  上の写真のスピーカーはフエルト生地でつくられています。ステレオでサウンズされてビックリ!

 Img_31081 センサーをカバーする布はどんなものでもよいとのことです。

 右は透けるような薄地で撥水加工したものです。これなら多少濡れても問題ないそう。
 

Img_31061  また最近はファッションでストレッチ素材のものが多くなっていることから、伸縮性のある生地のスピーカーも開発されたそう。
 それが右の写真です。

 スピーカーといってもこれは布です。布ですからいつも見ている繊維製品のすべて、ソファーやクッション、枕、椅子、カーテンから---もちろん服にも使えて、音楽を聴くことができるのです。これからの私たちの生活を変える夢のようなアイテムになってきそうですね。
 
 オルガさんが準備されているファッションインスタレーションでは、ファッションショーとともに布スピーカーによるオーケストラも披露されるといいます。
 どんなことになるのか、ほんとうに楽しみです。期待がふくらみます。

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2020年2月 3日 (月)

2020年ifs新春フォーラム 第2部 ifs気分調査より

  「2020年ifs新春フォーラム」の第2部を ご紹介します。
 
 Img_30641 ここでは伊藤忠ファッションシステム(ifs)が昨年実施したifs気分調査の結果を基に、割り出された「2030年に向けたキーワード」が、Ifsナレッジ開発室 中村ゆい氏より発表されました。
 
①2020年の位置付け「解始する」 これまでの仕組みを解体し、新たな骨組みに組み替える作業に腰を据えて向かう。
②基本姿勢「好動する」 こうあるべきに合わせるのではなく、「自分がこうありたい」で動く。
③重視する感覚「無理しない」 それぞれが互いに心地よい、自分の周りが心地よい。誰かどこかに無理があるのは心地よくない。
④今後10~20年の時代感「課題=ズレに向き合う」 個と組織、上世代と下世代、人と地球環境---、思惑のズレや価値観の違い、理想と現実のギャップが痛烈にあらわれる。
⑤企業に求められる役割「ネガをポジに変換する」 「好動」に対応した社会へと仕組みを変える。仕組みの中で生まれる困難や課題は新たなビジネスチャンス。
⑥生活者が求めるもの「心の余白と充実」 「無理しない」は無理と不安の裏返し。心のゆとりと安心を切望。
⑦コミュニケーションの基本「分断しない否定しない」 過去-未来、旧-新、表層-深層、正-負、快-不快 どちらか一方でなく、地続きで共存しているのがリアル。現状を受け止めた上でよりよくする。

 今年は東京オリンピック・パラリンピックがあり、その後の市場の先行きが懸念されています。それが今回の「2020年ifs新春フォーラム」を伺って、少し視界が開けた感じがしました。大変勉強になる、充実したフォーラムに感謝です。ありがとうございました。

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2020年2月 2日 (日)

2020年ifs新春フォーラム 第1部 トークセッション

東京・虎ノ門ヒルズのアンダーズ東京にて1月23日、開催された伊藤忠ファッションシステム主催「2020年ifs新春フォーラム」に出席しました。2020年以降の10年間とどう向き合っていけばよいのか、興味深いセッションが盛り込まれた討論会でした。

  第1部はトークセッションです。Img_30451   コーディネーターはifsナレッジ開発室室長の小原直花氏、ゲストにスノーピークビジネスソリューションズ エヴァンジェリストで、NPO法人「ハマのトウダイ」共同代表の岡部祥司氏、大和ハウス工業マンション事業推進部 企画建設推進部 次長/設計デザイン室室長の瀬口和彦氏、ifsマーケティング開発グループ 太田敏宏氏です。テーマは「10年後の人々の暮らしとそれを踏まえた企業の動き」で、これからの10年をどのように築き上げていくべきか、を語り合いました。

 まず小原氏が「2030年に向けた時代の方向性」を取り上げ、「21世紀化を進めないと未来は開けないのでは」と問題提起します。
 これを受けて、岡部氏が横浜を中心に公共空間の活用や自販機の事業など、様々な事業に取り組まれているご自身のビジネスを紹介。既存の組織に別の視点を組み合わせ、既成概念を覆していくことが重要で、そうすることにより可能性が広がると指摘しました。
 瀬口氏は、今では住宅もマンションも斜陽産業になっているとし、現在、力を入れているのは流通や物流、工業団地、また海外で、さらにファイナンスや農業にも参入していると紹介しました。モットーは創業者の石橋相談役の言葉「事業はもうかるからやるのではなく、世の中の役に立つからやる」で、これを基に中興の祖といわれる樋口会長がつくった「ア・ス・フ・カ・ケ・ツ・ノ」を披露。アは安全・安心、スはスピード、フは福祉、カは環境、ケは健康、ツは通信、ノは農業で、今言われているSDGsにも沿う内容でもあり、これをキーワードに次のステージに向けた新たな価値創造を社会に届けていく方針と明言。RE100に加盟していることから、2035年までに事業にかかる電力はすべて再生可能エネルギーで賄う、また現時点で4兆円の売上は創業100周年の2055年には10兆円にするとも明かされました。

 太田氏は、「この先10年の時代背景」と題したミニレクチャーを発表。というのも最近「この先のビジネスについて一緒に研究して欲しい」というプロジェクトを受託することが多くなったからだそう。
 テーマは大きく5つあり、1つは「人口減少」で、この先10年で600万人減るとの見通しをグラフで提示。市場が縮小しGDPも下がるので、このままの状態での成長はないとみているといいます。
 2つ目は「働き方の変化」です。キーワードは3つで、①「足らない」、労働力不足で外国人やシニアやママたちが市場に投入される、②「要らない」、AIやロボティクスの活用によりバックヤードで働く人が不要になる。③「どこでも」、テレワーク化、フリーランス化、副業化でオフィスに出社しないスタイルが増加する。オフィス需要は今がピークで、その後空室率が高まるといわれていることなどを紹介。
 3つ目は「技術革新」。AIやロボティクス、5G、ナノ、VR/AR、MAAS、CASE、オーダーメイドを含むパーソナイライゼーションなどいろいろあり、これによりビジネスの成長の仕方や消費の仕方が変わっていくと指摘します。
 4つ目は「消費マインドの変化」です。“1億総中流” ベースの中間価格帯が消失し、コモディティ化、つまり低価格化が進む。コモディティで満足できない人がオタク化する現象も増え、「持たない」選択肢も拡大する。消費者は、従来の高価格でも良いものを持ちたいという富裕層と、コモディティで済ませる人たち、オタクといわれる人たちの3極化へ向かうと指摘します。
 5つ目は「場の変化」で、商業ではモールからパークへ、公園化がトレンドになり、オフィスはどこでもオフィス化し、コワーキングスペースが増える。住宅は複数拠点を持つ、また定住しないアドレスホッパーも現れるといいます。
 場の曖昧化がここ10年と起きるとみているそうです。
 
 ここから座談会となり、あらゆるものの境界がなくなっていくとみられていることから、下記3つのテーマが俎上に載せられ議論されました。

テーマ1 働き方・暮らし方が変わる
・テレワーク化が推進されるとみられていて、実験的試みが見られ始めている。
・ダイワハウス工業は2018年からテレワークが認められるようになり、瀬口氏もテレワークしてみて仕事の効率があがったそう。今夏の五輪期間中も、東京本社では出社せずにサテライト拠点で働くことなったといいます。
・ただし、テレワークの解禁はまだ非常に少ない。ちなみに伊藤忠もまだだそう。

テーマ2 消費が変わる 
・共感が消費につながる、ときめかないものは買わない、若者はむだなものにお金を使わない、モノを持つことが幸せなのか疑問視されているなど。
・住宅はわざと未完成にして未完成住宅をリノベーションする傾向も。
・適切なアドバイスを求める人が増えて、そうしたサービスをする人から買いたいという消費者が多くなっている。販売員の力量が問われている。

テーマ3 あらゆるものの境界線が曖昧になる
・アウトレットが飼い犬を見せる場になるなど、公園化。
・メルカリのように、売り手と買い手も曖昧化。
・トヨタが街づくりに乗り出したり、ソニーが車をつくったりしているが、重要なのは事業の軸。軸を見失わないことが肝要。

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2020年2月 1日 (土)

川崎 景太さんによる「花のメッセージ」展 

 このほど世界的に活躍されているフラワーアーティストの川崎 景太さんによる「花のメッセージ」展“植物と共にある暮らし”から、持続可能な環境づくりを考える試み~が、ワールド北青山ビル1Fエントランスホールにて開催されました。
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 会場には花の香りが漂い、甘くやさしい空気に包まれているようでした。ホール三方の壁には透けるベールが張られ、その内側にはたくさんの花々がすっくと立ちあがるように、活けられています。ベール越しに見た花たちは、まるで幻想の世界に生きているかのようでした。 
Img_30071jpg  さわやかな自然のエネルギーを伝えるチューリップの花。
 Img_30041   人間の本能を目覚めさせるような、情熱的な赤やオレンジのダリアの花。
 
 初日に行われたトークイベントでは、川崎 景太さんと神戸ファッション美術館 学芸員の浜田 久仁雄さんが対談。花をテーマにしたミュージックの演奏もあり楽しかったです。Img_30221   花と人との関わりの歴史や、花と昆虫、生き物にまつわる摩訶不思議な魅力、それぞれの植物の特性から、自然界に生かされている人間の自然との共生へ、話はあちらこちらに飛びかいます。
 印象に残ったのは、川崎 さんの「野草はあっても雑草はない」、「花にも人にも上下はない」の言葉です。
 
 最後に、川崎さんは、どんな花にも価値があることをデモンストレーションしてくれました。
Img_30301_20200128143401   上は、「ハラン」の長い葉を持っている川崎さんです。
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 この後、川崎さんはこのハランの葉を巻いて、小さな花かごをつくって見せてくれました。花たちも水が入って喜んでいるよう。
 
 また道端の隅によくあるトクサを、たちまちバラの花台に仕立てるパフォーマンスも披露。
 
 古来より愛で、共存し、生活やデザインに採り入れてきた植物や花の圧倒的な生命力を体感したひと時でした。

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