« IFFT/インテリアライフスタイルリビング⑵ ハイムトレンド | トップページ | クリエイティブの祭典“AnyTokyo 2019”⑵ 伝えるの未来 »

2020年1月11日 (土)

クリエイティブの祭典“AnyTokyo 2019” ⑴ 「着るの未来」

 クリエイティブの祭典といわれる“AnyTokyo(エニートーキョー)2019”が、昨年11月16日~24日、kudan house(東京・九段下)にて開催されました。
 2015年に国の重要文化財・増上寺(このブログ2015.11.30参照)で開かれて以来、4年ぶりの開催で、4回目となる今回は、会場が東京・九段下の九段ハウスkudan house(旧山口萬吉邸)でした。登録有形文化財として登録されている歴史的建造物で、2018年にリノベーションされて、日本庭園のある会員制ビジネスサロンとしてオープンしています。
 どんなところかしらとドキドキしながら門をくぐり受付をすませて入ってみると、玄関前には、巨大な蜘蛛のような“モンスター”が鎮座していました。
Img_12511jpg  これはアーティスト高島マキ子さんの「Hopeful monster」という作品です。女性が嫉妬から蜘蛛へと変身させられるギリシャ神話の生物に着想し制作したといいます。キメラ化された妖怪は現代女性の不条理・恐怖を考察し具象化したものとか。抑圧者から逃れようと長い足を時折動かして、少しの希望を求めてもがいている姿が、何か切なく見えました。
 
 大正ロマンの香り漂う洋館の内部では、高島さんのような各分野のイノベーターたち、25組の作品が、インスタレーションされていました。テーマは“Crazy Futures / かもしれない未来”で、プロダクトからファッション、インテリア、建築、ロボティクス、コミュニケーション… まで様々。いずれも暮らしにイノベーションを起こすこれからのデザインです。それらがジャンルの垣根を超えて集まり、お互いの創造力やイマジネーションを刺激し合っているように思われました。

 Img_12071_20200110120801 ファッション分野で、一つ、興味深かったのが右の「アルゴリズミック/キメラ」です。これはAIによる衣服の製造システムを提案するもので、手掛けたのはファッションとテクノロジーの融合を目指すSynfluxのメンバー、スペキュラティヴ・ファッションデザイナーの川崎和也さんと佐野虎太郎さん、デザインエンジニアの清水快さんと藤平祐輔さんです。
 このシステムなら、これまで大量に出ていた生地の廃棄部分を削減でき、環境面でもコスト面でも効果を発揮できると明言しています。生地もバクテリアを培養してつくった生分解素材を使用し、バイオロジカル・テーラーメイドを目指しているとのこと。次の“スパイバー”になれるか、期待されます。ファッションブランドの「ハトラ」も係わっているとのことで、驚きました。
Img_12091  アルゴリズミック・クチュールを衣服製造の新たなスタンダードにしていきたいというSynflux、今後が楽しみです。

 “AnyTokyo 2019”では、「着るの未来」と題したトークセッションも開かれました。
 WWD JAPAN.com編集長・村上要氏をモデレーターに、バイオアーティストの福原志保さん、それに上記「アルゴリズミック/キメラ」の作品制作に携わったスペキュラティヴ・ファッションデザイナーの川崎和也さんが、私たちの衣服、着る行為は、この先どのように変わっていくのか、語りました。Img_11831jpg
 過去100年ほどの間、衣服の形はそれほど大きく変わらず、ファッションシステムもあまり変化しなかった業界ですが、近年、激震が起こっています。情報技術の発達や深刻化する環境問題をはじめとした、ファッションに関わる倫理的な問題を提起する動きが活発になっているからです。
 こうした中で、川崎さんはサステナビリティの見地から、ファッションシステムの見直しと更新を訴えました。福原さんはテクノロジーを採り入れることでイノベーションを起こしている伝統工芸や職人の話をされていたことが印象に残りました。

Img_12441  右は福原さんが着用されていたリーバイスの「トラッカー ジャケット ウィズ ジャカード バイ グーグル」です。袖のカフス部分に、ご自身も開発を担当した導電性繊維が埋め込まれていて、この部分に触れるとスマホを操作できようになっています。
 Img_12471jpg 右のサンローランのリュックサックのショルダーベルトにも、この導電性繊維が使われているとのことで、有力ブランドを中心にこのようなウエアラブルテクノロジーが広がっていることに驚かされました。

 目に見えないところでデジタルが活躍するエキサイティングな未来が増殖し始めています。「着るの未来」、どんどん楽しくなってきそうでワクワクします。

|

« IFFT/インテリアライフスタイルリビング⑵ ハイムトレンド | トップページ | クリエイティブの祭典“AnyTokyo 2019”⑵ 伝えるの未来 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« IFFT/インテリアライフスタイルリビング⑵ ハイムトレンド | トップページ | クリエイティブの祭典“AnyTokyo 2019”⑵ 伝えるの未来 »