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2020年1月 7日 (火)

JAPANTEX 2019 ⑵ 特別対談 わたなべひろこ×須藤玲子

 今回JAPANTEX(ジャパンテックス)2019で行われたセミナーの一つ、「テキスタイルデザイナー特別対談 わたなべひろこ×須藤玲子」に参加しました。わたなべひろこ氏は国際テキスタイルネットワークジャパン 代表/多摩美術大学 名誉教授、須藤玲子氏は(株)布 取締役デザインディレクター/(株)良品計画 アドバイザリーボードメンバーです。
  この我が国を代表するテキスタイルデザイナー、お二人が「日本のImg_09351 繊維産業が忘れているものを考える」をテーマに、 日本の豊かな繊維文化をもう一度取り戻し、新しい繊維産業の未来を拓く為に私たちは今何をすべきか、語られました。

 最初にわたなべひろこ氏が自己紹介。四季の風土に根ざした日本の染織文化には世界に誇れるものがあり、この仕事に長年携わってきたことに喜びを感じているといいます。
 その上で、テキスタイルデザイナーとは、色柄はもちろん素材加工、使用目的に応じた諸々のことまで企画する職業であると定義。かつてテキスタイルデザインといえば京都や大阪が主体で、ファッション系に偏っていたといい、東京はどちらかというと不毛だったそうです。そこで住居の中のインテリアテキスタイルの道に進もうと思うようになり、そのためにはテキスタイルの勉強だけではなく、建築も学ぶ必要があると気づかれたと話されました。

 次に紹介された須藤玲子氏が、そのキャリアをプレゼンテーション。1984年に「布」ブランドの設立に加わり、1987年から本格的に「布」のものづくりから販売まで、全てを担当するようになったといいます。建築家伊藤豊雄氏との出会いは「布」を立ち上げた頃で、今治市伊藤豊雄建築ミュージアム「シルバーハット」のテキスタイルを任せられたのが始まりとか。その後伊藤豊雄氏とパリのポンピドゥセンターでの展覧会など、いろいろな仕事をするようになったそうです。「せんだいメディアテーク」の壁の布がN YのMOMAで再現されるなど、そのすばらしい技量が重なり国際的に高い評価を集めるようになっていきます。
 そうした折りに入って来たのが、2005年に開業したマンダリン オリエンタル東京というホテルのオリジナルテキスタイルを手掛ける仕事だったといいます。皇居が見えることから「森と水」の“成長と成熟”をテーマに、京都や桐生など全国80カ所の工場とテキスタイル制作に取り組まれたそう。あれから14年経った今も、テキスタイルは当時のまま変わりなく古びていないのは、まさに職人の為せる技だからでしょう。わたなべひろこ氏も「感動した!」と絶賛されていました。

 2018年に国立新美術館で開催された「こいのぼり」展(このブログ2018.5.14参照)も話題に上り、須藤玲子氏が「産地の職人との布づくりが何よりも大切」と強調。「デザインの仕事は人をつなぎ、人の暮らしを豊かにする仕事」と述べると、わたなべひろこ氏も、「生活の中にアートが入りクロスオーバーする時代に、テキスタイルアートの世界には大きな未来がある。これが廃れてしまうのはもったいない」と持論を展開。「繊維産業は国策でやるべき」と提言されたのも印象的でした。

 最後に、日本では繊維産業の多くが軽んじられ、目先のビジネスに追われて衰退している現状を憂えて、日本の繊維文化を見直し、忘れてしまったもの取り戻そうと呼びかけ締めくくりました。

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