« クリエイティブの祭典“AnyTokyo 2019” ⑴ 「着るの未来」 | トップページ | 杉原厚吉氏講演会 不可能立体最前線~脳の不条理な世界 »

2020年1月12日 (日)

クリエイティブの祭典“AnyTokyo 2019”⑵ 伝えるの未来

 先般開催された “AnyTokyo(エニートーキョー)2019”は、クリエイティブの祭典というように、予測できない未来を実験、そして発見するための斬新なアイデアがいっぱい。中でもオヤッと思ったのが、コミュニケーションに新たな価値を生み出そうとする動きでした。

 トークセッション「伝えるの未来」ではそうしたアーティストたちの活動に目を見張ったことが思い出されます。
Img_12681jpg    それは博報堂が発刊する雑誌「広告」の編集長でクリエイティブディレクター/プロダクトデザイナーの小野直紀さん(右)をモデレーターに、パネリストとしてインタープリターのmmm/サンマロさん(左)と、クラウドファンディング・MOTION GALLERY/POPcorn共同代表の大高健志さん(中)が参加して行われた座談会でした。
 コミュニケーションといえば主体は言語です。最近は翻訳もテクノロジーの進化で精度が上がり、国境の壁がなくなってきました。しかしこのディスカッションで気づかされたのは、言葉だけでない、ボディランゲージやビジュアルの重要性でした。

 とくに印象に残ったのは、mmm/サンマロさんです。手話を第一言語に育ち、インタープリター、つまり手話通訳家であるそう。盲聾の方に向けて触手話もやっていらっしゃるといいます。mが3つ並ぶお名前には、音波の波のイメージが込められているようです。
1_20200112091501  ここでは音楽家Kenta Tanakaと音で空間をデザインする展示を見せていました。ヘッドフォンを通して聞こえる音とそこに存在する空間,視覚での実像と聴覚での虚像の関わりを感じる実験行為です。文章で表現するのは何とも難しいのですが---。写真はAnyTokyoのHPからの引用です。
 
 さらにお話しは音の可能性へと展開し、音とは振動であること、その振動のバイブレーションが骨を通して音として伝わる「骨伝導」へ広がりました。今人気の骨伝導イヤホンから、話題は本展の目玉となっている「エコー(echo) プロジェクト」へ。これは以前から私がもっとも注目しているプロジェクトです。このウェアが“骨”を中心につくられていると伺って、納得しました。

 ところでこの「エコー(echo)プロジェクト」とは何か、簡単にご紹介しましょう。
 これはダイアログ・イン・ザ・ダーク檜山晃とライゾマティクスリサーチ、アンリアレイジが協働で取り組んでいる事業で、目の見えない方を支援しようと、ヨコハマ・パラトリエンナーレ2017での展示から始まったといいます。服には導電性繊維が用いられていて、信号を発し、距離を計測することで空間を認知し、その反応が振動として着ている人自身に返ってきます。服自体が発信し空間との距離を感じる「エコー(echo)」を通して、今までに感じたことのない空間の知覚方法を体験、思い巡らすという、感動的なプロジェクト!です。
Img_11881jpg  Img_11871jpg  
 この「エコーウェアecho wear」を制作したのがアンリアレイジのデザイナー、森永邦彦さん。和服は“骨”、洋服は“肉”で着るとの考え方を基に、和服をイメージしてシルエットをつくったといいます。さすが森永さんと、またしても敬服させられたことでした。
 
 この他、表現の伝え方、その理解の仕方など、楽しいトークが続き、何と茶道の茶室の提案も出てビックリ。暗闇で所作をする茶の湯では触覚が頼りです。見えない場所では感覚が研ぎ澄まされます。
 現代人はそうした直観力をもっと磨く必要があるのかもしれません。
 
 この先の「伝える」とは何か、改めて考えさせられたトークセッションでした。

|

« クリエイティブの祭典“AnyTokyo 2019” ⑴ 「着るの未来」 | トップページ | 杉原厚吉氏講演会 不可能立体最前線~脳の不条理な世界 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« クリエイティブの祭典“AnyTokyo 2019” ⑴ 「着るの未来」 | トップページ | 杉原厚吉氏講演会 不可能立体最前線~脳の不条理な世界 »